台湾における公平交易法改正
「公平交易法」(日本の「不正競争防止法」および「独占禁止法」に相当。)改正案が、2015年1月22日に立法院の三読(最終審議)で可決され、2015年2月4日に総統によって総統華総一義字第10400014311号令として公布された。第10条および第11条の条文が、公布の30日後から施行されるのを除き、その他の条文は、公布日から施行された。
2015年の改正案は、「公平交易法」が1992年に施行されて以来、初めての全面的な法改正であり、その変更内容は大きく、法規構造を再度、構築・整備して、競争制限および不正競争関連規範を明確に区分する以外に、結合申請制度、連合行為に係る法の執行、不実な広告、著名商標保護、調査権、罰則などの規定をすべて調整、改正しており、事業者に大きな影響を及ぼすものである。以下に、今回法改正された法規構造の調整、不正競争、行政調査と処分、および罰則と行政救済などの関連規定の重要な変動を簡単に説明する。
さらに、2017年に第11条の条文が改正され、同年6月14日に公布された。
1.法規構造の調整
過去、「再販売価格の制限」(旧第18条、現行第19条)および「競争を制限するまたは公正な競争を阻害するおそれがある行為」(旧第19条、現行第20条)などの事項は、もともと「不正競争」の章に規範が置かれていたが、新法では、当該これらの事項が実際には市場競争秩序に影響を及ぼす競争制限行為の類型に属すことを明確にし、「競争制限」の章に移した。
しかし、旧法第19条第3号の不当な手段や景品贈呈によって販売促進を行う場合、本質的に不正競争に属するため、別途、「不正競争」の章に新たに第23条を追加して対応している。また、旧法第19条第5号の他人の生産や販売上の機密を不当に取得するなどに関する事由を削除し、営業秘密法の規範に戻した。
2.不正競争
不実な広告を認定する際に考慮すべき事項につき、包括的な一般的規定を新たに追加した。すなわち、「商品と関連し、かつ、取引決定に影響を及ぼすに足る事項」で、虚偽不実または人に錯誤を生じさせる表示または標章であり、既に取引相手人を勧誘する目的を達成している場合にのみ、本法の規範を受ける。旧法に列挙されていた商品の価格、数量、品質などの事項は、単なる例示であることを明確に規定した。
事業者は、不当な景品贈呈によって販売促進を行ってはならない、とする規定を新たに追加し、ならびに公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当。)に関連規則を規定する権限を授けた。この新たに追加された規定により、旧法第19条第3号に代わって、現行の「公平交易委員会の景品贈呈販売促進額に対する処理原則」(「公平交易委員会対於贈品贈獎促銷額度案件之処理原則」)が公平交易委員会の権限の法的根拠となる。
3.調査および行政処理
公平交易委員会は、証拠となる物品を押収できるとする規定を新たに追加し、調査を受ける者は正当な理由がある場合を除き、公平交易委員会が行う調査措置に協力する義務を有し、調査を回避、妨害または拒絶することはできない旨明確に規定した。
調査を受ける予定の事業者が、すでに具体的な措置を講じて違法と疑われる行為を排除している場合、公平交易委員会は、行政コストを省くため、案件の調査を中止することができる。
4.罰則および行政救済
公平交易委員会の調査に協力しない場合について、罰則額を引き上げた。
新法では、公平交易委員会の処分について訴願(日本における行政不服申立)手続を経る必要がなく、直接行政訴訟手続きが適用される旨明確に規定した。ただし、新法改正施行前にまだ終結していない訴願案件は、依然として訴願法(日本における行政不服審査法に相当)の規定によりこれを終結する。
5.2017年の第11条改正
「非友好的合併(いわゆる敵対的買収)」行為について、公平交易委員会による買収案件の審査期限を従来の30日から30営業日に延長した。これにより審査日数が連休やその他の要因で短縮されて審査の公正性に影響が及ぶことを回避する。
さらに、公平交易委員会は、企業結合の届出について外部の意見を諮問することができ、必要であれば産業、経済分析の意見を提供するよう学術研究機関に依頼することができるとした。ただし、結合事業者の一方が結合に同意していない場合、公平交易委員会は届出事業者の届出事由を該事業者に提供し、その意見を諮問しなければならない。
台湾における公平交易法改正
【詳細】
「公平交易法」(日本の「不正競争防止法」および「独占禁止法」に相当。以下「公平法」)改正案が2015年1月22日に立法院の三読(最終審議)で可決され、2015年2月4日に総統によって総統華総一義字第10400014311号令として公布された。第10条および第11条条文が公布の30日後から施行されるのを除き、その他の条文は公布日から施行された。
今回の改正案は、「公平法」が1992年に施行されて以来、初めての全面的な法改正であり、その変更内容は大きく、法規構造を再度、構築・整備して、競争制限および不正競争関連規範を明確に区分する以外に、結合申請制度、連合行為に係る法の執行、不実な広告、著名商標保護、調査権、罰則などの規定をすべて調整、改正しており、事業者に大きな影響を及ぼすものである。以下に、今回法改正された法規構造の調整、不正競争、行政調査と処分、および罰則と行政救済などの関連規定の重要な変動を簡単に説明する。
1.法規構造の調整
(1)過去、「再販売価格の制限」(原第18条、現行第19条)および「競争を制限するまたは公正な競争を阻害するおそれがある行為」(原第19条、現行第20条)などの事項は、もともと「不正競争」の章に規範が置かれていたが、新法では当該これらの事項が実際には市場競争秩序に影響を及ぼす競争制限行為の類型に属すことを明確にし、「競争制限」の章に移した。
(2)しかし、旧法第19条第3号の不当な手段や景品贈呈によって販売促進を行う場合、本質的に不正競争に属すため、別途、「不正競争」の章に新たに第23条を追加して処理する。また、旧法第19条第5号の他人の生産や販売上の機密を不当に取得するなどに関する事由を削除し、営業秘密法の規範に戻した。
2.不正競争
(1)不実な広告を認定する際に考慮すべき事項につき、包括的な一般的規定を新たに追加した。すなわち、「商品と関連し、かつ、取引決定に影響を及ぼすに足る事項」で、虚偽不実または人に錯誤を生じさせる表示または標章であり、既に取引相手人を勧誘する目的を達成している場合にのみ、本法の規範を受ける。旧法に列挙されていた商品の価格、数量、品質などの事項は、単なる例示であることを明確に規定した。
(2)事業者は不当な景品贈呈によって販売促進を行ってはならないとする規定を新たに追加し、ならびに公平交易委員会(日本の公正取引委員会に相当。以下「公平会」)に関連規則を規定する権限を授けた。この新たに追加された規定により、旧法第19条第3号に代わって、現行の「公平交易委員会の景品贈呈販売促進額に対する処理原則」(「公平交易委員会対於贈品贈獎促銷額度案件之処理原則」)が公平会の権限の法的根拠となる。
3.調査および行政処理
(1)公平会は証拠となる物品を押収できるとする規定を新たに追加し、調査を受ける者は正当な理由がある場合を除き、公平会が行う調査措置に協力する義務を有し、調査を回避、妨害又は拒絶することはできない旨明確に規定した。
(2)調査を受ける予定の事業者がすでに具体的な措置を講じて違法と疑われる行為を排除している場合、公平会は、行政コストを省くため、案件の調査を中止することができる。
4.罰則および行政救済
(1)公平会の調査に協力しない場合について、罰則額を引き上げた。
(2)新法では、公平会の処分について訴願(日本における行政不服申立)手続を経る必要がなく、直接行政訴訟手続きが適用される旨明確に規定した。ただし、新法改正施行前にまだ終結していない訴願案件は、依然として訴願法(日本における行政不服審査法に相当)の規定によりこれを終結する。