韓国における模倣対策マニュアル(付録1から5)
「模倣対策マニュアル韓国編」(2019年3月、日本貿易振興機構(ジェトロ))「付録1から5」
(目次)
付録1 ジェトロソウル事務所からのお知らせ P.387
付録2 各管轄官庁/担当機関へのリンク P.388
付録3 日韓知的財産関連分野の差異点対照表 P.390
1.一般/四法共通 P.390
2.特許 P.391
3.実用新案 P.395
4.デザイン/意匠 P.396
5.商標 P.398
付録4 知財四法の特許料・登録料・各年度維持年金(2018年) P.400
付録5 税関への商標権申告書様式 P.401
シンガポールにおける特許出願制度
シンガポールの特許制度は先願主義を採用している。また他の多くの国と同様、特許出願における優先権主張を認めている。パリ条約締約国または世界貿易機関(WTO)加盟国において先に出願されると、当該出願を後のシンガポール出願において優先権主張することができる。ただし当該シンガポール出願は、先行出願の出願日から12か月以内に出願されなければならない。
1.出願要件
出願に際しては、以下の情報を提出することが必要である。
1-1.特許明細書
・明細書、請求の範囲、要約および図面を含む、特許出願に関する英語で記載された明細
書
・明細書には、実施例と図面への参照を伴う、請求された発明を実施する少なくとも一つ
の方法が記載されなければならない
・発明の保護範囲を定める請求項は明細書によりサポートされなければならない
・図面は、明細書中または請求項中で言及されなければならない
・要約は、特許出願公開において記載される発明の要約である
出願日を確保するためには、特許出願の時点において請求項を提出することは要求されない。これは、一部の国において利用可能な仮出願の概念と同様のものである。しかしながら、特許出願を完了するためには、下記に示す所定期間内に請求項を提出しなければならず、これを怠ると、出願放棄となる。
(a)優先権主張されていない場合、当該出願の出願日から12か月;または
(b)優先権主張されている場合、以下のいずれか遅い方:
・主張された優先日から12か月
・出願日から2か月
1-2.優先権情報の詳細
優先権主張の基礎となる先行特許出願に関する以下の情報
(a)出願国
(b)出願日
(c)出願番号
1-3.出願人の詳細
(a)個人(自然人)である各出願人については以下の情報
・氏名
・住所
・居住する国
・国籍
(b)企業体(法人)である各出願人については以下の情報
・名称
・登記住所
・設立州(米国企業にのみ適用)
・設立国
1-4.発明者の詳細
各発明者についての以下の情報
・氏名
・住所
・永住権を有する国
・国籍
・発明者が発明の創造時のいずれかの時点でシンガポールに居住していたか否か
1-5.権利の由来
出願人が、各発明者から当該発明に対する権利をどのように得たかについての詳細
・雇用により
・譲渡により
・その他
1-6.その他
ブダペスト条約に基づく生物材料の寄託および国際展示会における先行開示が行われたか否かに関する情報の詳細
特許出願時に支払う超過請求項費用はなく、超過請求項費用は登録費用の支払い時点において25以上の請求項についてのみ納付することとなる。
2.出願日通知書および方式審査報告書の発行
2-1.出願日通知書
シンガポール知的財産局(Intellectual Property Office of Singapore : IPOS)が、下記に挙げる出願日付与に関する要件が満たされたと判断した場合、IPOSは、出願人に対して、出願日通知書を発行する。
(i)特許を求めていることが出願書類で示されていること
(ii)出願書類で特許出願人が特定されていること
(iii)明細書、優先権を主張する場合には優先権情報および優先権証明書が含まれていること
要件が満たされていないとIPOSが判断した場合、不備通知書が発行され、出願人は当該不備を回復するために2か月の期間が与えられ、これを怠ると当該出願は放棄されたものと見なされる。
2-2.方式審査報告書
方式審査において、IPOSは以下を判断する:
(i)優先権主張が、当該シンガポール出願の出願日前12か月以内である、先行する関連出願の出願日を特定しているか否か
(ii)図面または明細書の一部が出願から欠落しているか否か および
(iii)出願がすべての方式要件を満たしているか否か
すべての方式要件を満たしている場合、IPOSは方式審査通過報告書を発行する。
いずれかの方式要件が満たされないと、IPOSは、方式審査不備報告書を発行し、出願人は3か月間の応答期間を有し、これを怠ると当該出願は拒絶される。
3.出願公開
出願日が付与されると、優先権主張日または優先権主張がない場合は当該出願の出願日から18か月後に、特許公報において出願公開される。
4.調査および審査手続き
シンガポールにおいて、特許を取得するには4つの異なるルート(オプション)があり、それぞれ以下の通りである。
・オプション1:調査請求後の実体審査請求
・オプション2:調査および実体審査の同時請求
・オプション3:対応出願*1、対応国際出願または関連国内段階移行出願*2の最終調査
結果に基づく実体審査
・オプション4:対応出願、対応国際出願または関連国内段階移行出願の最終調査およ
び審査結果に基づく補充審査
なお、オプション4の補充審査は、2017年10月30日付けで改正された特許法により、2020年1月1日以降の出願では、利用できなくなる(シンガポール特許法第29条(11A)、およびシンガポール特許規則43(4))。
*1 「対応出願」とは、米国、カナダ(英語での出願)、欧州特許庁(英語での出願)、英国、オーストラリア、ニュージーランド、日本または韓国における所定の特許庁に出願されたものを指す。進歩性について未審査のニュージーランド出願に依拠することは推奨されない。さらにシンガポール出願は当該外国出願と優先権関係を有し、当該外国出願について優先権を主張するか、当該外国出願が当該シンガポール出願について優先権を主張するか、両出願が別の出願について共通の優先権を主張しなければならない。
*2 シンガポール国内段階移行出願に関する「関連国内段階移行出願」とは、所定の特許庁のいずれかにおいて出願された国内段階移行出願を指し、シンガポール国内段階移行出願のPCT出願から派生するものである。
オプション1について、調査請求は、当該出願の優先日または出願日(優先日がない場合)から13か月以内に提出されなければならない。その後、実体審査請求は、同じ優先日または出願日(優先日がない場合)から36か月以内に提出されなければならない。
オプション2について、調査および実体審査請求を、優先日または出願日(優先日がない場合)から36か月以内に同時に提出されなければならない。
オプション3について、対応出願、対応国際出願または関連の国内段階移行出願のいずれかの最終調査結果に基づく実体審査請求は、優先日または出願日(優先日がない場合)から36か月以内に提出されなければならない。本請求に必要な書類には以下が含まれる。
・国際調査報告書(International Search Report:ISR)または所定特許庁の1つに
おいて出願された特許出願に関する最終調査報告書の写しおよび、
その証明付の英語訳(必要な場合)、およびISRまたは最終調査報告書で引用された
先行技術文献それぞれの写し
・これらにおいて引用された非英語文献のそれぞれに対応する特許ファミリーに対する
参照リスト
オプション4について、対応出願、対応国際出願または関連国内段階移行出願のいずれかの最終調査および審査結果に基づく補充審査の請求は、優先日または出願日(優先日がない場合)から54か月以内に提出されなければならない。本請求に必要な書類には以下が含まれる。
(i)対応する外国の特許付与証の謄本または、その結果において登録可能と言及された請求項を含む最終調査および審査結果、ならびにその証明付き英語訳(必要な場合)および
(ii)シンガポール出願の各請求項が、対応出願の登録可能請求項とどのように関連*3しているかを示す表
*3 以下の場合、請求項は、他の請求項に関連するものと見なされる
(i)2つの請求項が同一である または
(ii)後の出願の請求項における各限定が、先の出願における限定と同一である、または表現のみが異なり、内容が同一である
実体審査に際して、新規性、進歩性、産業上の利用可能性、および、または単一性に関して拒絶理由を有する場合、審査官は見解書(Written Opinion)を発行し、出願人に対して5か月の応答期間(延長不可)を与える。見解書に対する応答は、審査官の見解に対する書面応答、明細書の補正またはその両方の形態を取ることができる。
補充審査の場合において、請求項のサポート、追加事項、および、または二重特許等に関する拒絶理由を有する場合、各拒絶理由を詳述する見解書が発行される。見解書に対する応答は、見解書の発行から3か月以内に提出されなければならない。見解書に対する応答は、審査官の見解に対する書面応答、明細書の補正またはその両方の形態を取ることができる。なお補充審査において審査官は、新規性、進歩性および産業上の利用可能性について検討を行わない。
5.審査の終結:特許付与適格または拒絶意思
5-1.特許付与適格通知(Notice of Eligibility to Proceed to Grant)
実体審査また補充審査が完了すると、審査官は、審査報告書または補充審査報告書を、適格通知または拒絶意思通知とともに発行する。
審査報告書が肯定的な結果である場合、IPOSは、特許付与適格通知書を発行する。その後、出願人は、該通知の発行から2か月以内に登録費用を支払うことが要求される。
5-2.拒絶意思通知(Notice of Intention to Refuse)
審査報告書が否定的な結果である場合、IPOSは、当該出願の拒絶意思通知書を発行する。その後出願人は、当該通知の発行日から2か月以内に審査レビューを請求する、もしくは、さらなる措置を講じないことにより出願の拒絶を受け入れるオプションを有する。
6.審査レビュー(再審査)
出願人は、拒絶意思通知の日から2か月以内に審査レビューを請求することができる。出願人はこの請求を行う際に、意見書と(必要に応じて)補正書を提出しなければならない。
上記と同様に、審査レビュー報告書が肯定的な結果である場合、IPOSは、特許付与適格通知書を発行し、出願人は、当該通知の発行から2か月以内に登録費用を支払うことが要求される。
拒絶意思通知において提起された拒絶事項が解消されないため、審査レビュー報告書が否定的な結果である場合、IPOSは拒絶通知を発行し、これは通知の日から2か月後に効力を生じる。この2か月間、当該出願は依然として係属中であり、出願人は分割出願を行う機会を有する。拒絶通知の発行は、当該シンガポール出願の審査手続きの終了を意味する。
7.付与証明書
特許が付与されると、特許の権利期間は年金費用の納付を条件として、出願日から20年間である。
特許を維持するためには、出願日から4年度目の終了から始まり特許が失効するまでの間、出願人は毎年維持年金を納付する必要がある。維持年金は、出願日相当日の前3か月以内に納付することができる。
出願日から45か月以降に特許が付与された場合、すべての年金は、特許付与の日から3か月以内に支払うことができる。
以下のフローチャートに、シンガポールの特許審査手続きの概要を示す。
特許審査手続きフローチャート
シンガポールに国内移行した国際出願
国際出願におけるシンガポール国内段階への移行期限は、最先の優先権主張日から30か月、または優先権主張されていない場合は国際出願日から30か月である。
国際出願が英語以外の言語で出願・公開された場合、当該国際出願の英語訳を優先日から30か月以内に提出しなければならない。また、優先日から32か月までに翻訳文の確認証明書を提出する必要がある。
シンガポール国内段階に移行した国際出願に関する調査および審査手続は、優先権を主張したパリルートでの出願および優先権を主張しない出願と同一である。
インドネシアにおける特許権の取得
「模倣対策マニュアル インドネシア編」(2018年3月、日本貿易振興機構知的財産・イノベーション部知的財産課シンガポール事務所知的財産部)第1章第2節
(目次)
第1章 知的財産権の取得等
第2節 特許権の取得 P.12
1. 特許法の概要 P.12
2. 出願から登録までの手続き P.14
3. 出願・登録状況 P.19
4. 特許審判 P.22
5. 特許権の効力 P.23
6. 強制実施権 P.23
7. 出願費用及び特許維持年金 P.24
添付資料
3. 特許出願料金表 P.91
4. 特許年金表 P.93
11. 特許出願用紙 P.112
12. 特許審査請求用紙 P.115
シンガポールにおける特許出願制度
【詳細】
シンガポールの特許制度は先願主義を採用している。また他の多くの国と同様、特許出願における優先権主張を認めている。パリ条約締約国または世界貿易機関(WTO)加盟国において先に出願されると、当該出願を後のシンガポール出願において優先権主張することができる。ただし当該シンガポール出願は、先行出願の出願日から12ヶ月以内に出願されなければならない。
1.出願要件
出願に際しては、以下の情報を提出することが必要である。
1-1.特許明細書
・明細書、請求の範囲、要約および図面を含む、特許出願に関する英語で記載された明細書
・明細書には、実施例と図面への参照を伴う、請求された発明を実施する少なくとも一つの方法が記載されなければならない
・発明の保護範囲を定める請求項は明細書によりサポートされなければならない
・図面は、明細書中または請求項中で言及されなければならない
・要約は、特許出願公開において記載される発明の要約である
出願日を確保するためには、特許出願の時点において請求項を提出することは要求されない。これは、一部の国において利用可能な仮出願の概念と同様のものである。しかしながら、特許出願を完了するためには、下記に示す所定期間内に請求項を提出しなければならず、これを怠ると、出願放棄となる。
(a)優先権主張されていない場合、当該出願の出願日から12ヶ月;または
(b)優先権主張されている場合、以下のいずれか遅い方:
・主張された優先日から12ヶ月
・出願日から2ヶ月
1-2.優先権情報の詳細
優先権主張の基礎となる先行特許出願に関する以下の情報
(a)出願国
(b)出願日
(c)出願番号
1-3.出願人の詳細
(a)個人(自然人)である各出願人については以下の情報
・氏名
・住所
・居住する国
・国籍
(b)企業体(法人)である各出願人については以下の情報
・名称
・登記住所
・設立州(米国企業にのみ適用)
・設立国
1-4.発明者の詳細
各発明者についての以下の情報
・氏名
・住所
・永住権を有する国
・国籍
・発明者が発明の創造時のいずれかの時点でシンガポールに居住していたか否か
1-5.権利の由来
出願人が、各発明者から当該発明に対する権利をどのように得たかについての詳細
・雇用により
・譲渡により
・その他
1-6.その他
ブダペスト条約に基づく生物材料の寄託および国際展示会における先行開示が行われたか否かに関する情報の詳細
特許出願時に支払う超過請求項費用はなく、超過請求項費用は登録費用の支払い時点において25以上の請求項についてのみ納付することとなる。
2.出願日通知書および方式審査報告書の発行
2-1.出願日通知書
シンガポール知的財産局(Intellectual Property Office of Singapore : IPOS)が、下記に挙げる出願日付与に関する要件が満たされたと判断した場合、IPOSは、出願人に対して、出願日通知書を発行する。
(i)特許を求めていることが出願書類で示されていること
(ii)出願書類で特許出願人が特定されていること
(iii)明細書、優先権を主張する場合には優先権情報および優先権証明書がふくまれていること
要件が満たされていないとIPOSが判断した場合、不備通知書が発行され、出願人は当該不備を回復するために2ヶ月の期間が与えられ、これを怠ると当該出願は放棄されたものと見なされる。
2-2.方式審査報告書
方式審査において、IPOSは以下を判断する:
(i)優先権主張が、当該シンガポール出願の出願日前12ヶ月以内である、先行する関連出願の出願日を特定しているか否か
(ii)図面または明細書の一部が出願から欠落しているか否か および
(iii)出願がすべての方式要件を満たしているか否か
すべての方式要件を満たしている場合、IPOSは方式審査通過報告書を発行する。
いずれかの方式要件が満たされないと、IPOSは、方式審査不備報告書を発行し、出願人は3ヶ月間の応答期間を有し、これを怠ると当該出願は拒絶される。
3.出願公開
出願日が付与されると、優先権主張日または優先権主張がない場合は当該出願の出願日から18ヵ月後に、特許公報において出願公開される。
4.調査および審査手続き
シンガポールにおいて、特許を取得するには4つの異なるルート(オプション)があり、それぞれ以下の通りである。
・オプション1:調査請求後の実体審査請求
・オプション2:調査および実体審査の同時請求
・オプション3:対応出願*1、対応国際出願または関連国内段階移行出願*2の最終調査結果に基づく実体審査
・オプション4:対応出願、対応国際出願または関連国内段階移行出願の最終調査および審査結果に基づく補充審査
*1 「対応出願」とは、米国、カナダ(英語での出願)、欧州特許庁(英語での出願)、英国、オーストラリア、ニュージーランド、日本または韓国における所定の特許庁に出願されたものを指す。進歩性について未審査のニュージーランド出願に依拠することは推奨されない。さらにシンガポール出願は当該外国出願と優先権関係を有し、当該外国出願について優先権を主張するか、当該外国出願が当該シンガポール出願について優先権を主張するか、両出願が別の出願について共通の優先権を主張しなければならない。
*2 シンガポール国内段階移行出願に関する「関連国内段階移行出願」とは、所定の特許庁のいずれかにおいて出願された国内段階移行出願を指し、シンガポール国内段階移行出願のPCT出願から派生するものである。
オプション1について、調査請求は、当該出願の優先日または出願日(優先日がない場合)から13ヶ月以内に提出されなければならない。その後、実体審査請求は、同じ優先日または出願日(優先日がない場合)から36ヶ月以内に提出されなければならない。
オプション2について、調査および実体審査請求を、優先日または出願日(優先日がない場合)から36ヶ月以内に同時に提出されなければならない。
オプション3について、対応出願、対応国際出願または関連の国内段階移行出願のいずれかの最終調査結果に基づく実体審査請求は、優先日または出願日(優先日がない場合)から36ヶ月以内に提出されなければならない。本請求に必要な書類には以下が含まれる。
・国際調査報告書(International Search Report :ISR)または所定特許庁の1つにおいて出願された特許出願に関する最終調査報告書の写しおよび、その証明付の英語訳(必要な場合)、およびISRまたは最終調査報告書で引用された先行技術文献それぞれの写し
・これらにおいて引用された非英語文献のそれぞれに対応する特許ファミリーに対する参照リスト
オプション4について、対応出願、対応国際出願または関連国内段階移行出願のいずれかの最終調査および審査結果に基づく補充審査の請求は、優先日または出願日(優先日がない場合)から54ヶ月以内に提出されなければならない。本請求に必要な書類には以下が含まれる。
(i)対応する外国の特許付与証の謄本または、その結果において登録可能と言及された請求項を含む最終調査および審査結果、ならびにその証明付き英語訳(必要な場合) および
(ii)シンガポール出願の各請求項が、対応出願の登録可能請求項とどのように関連*3しているかを示す表
*3 以下の場合、請求項は、他の請求項に関連するものと見なされる
(i)2つの請求項が同一である または
(ii)後の出願の請求項における各限定が、先の出願における限定と同一である、または表現のみが異なり、内容が同一である
実体審査に際して、新規性、進歩性、産業上の利用可能性、および、または単一性に関して拒絶理由を有する場合、審査官は見解書を発行し、出願人に対して5ヶ月の応答期間(延長不可)を与える。見解書に対する応答は、審査官の見解に対する書面応答、明細書の補正またはその両方の形態を取ることができる。
補充審査の場合において、請求項のサポート、追加事項、および、または二重特許等に関する拒絶理由を有する場合、各拒絶理由を詳述する見解書が発行される。見解書に対する応答は、見解書の発行から3ヶ月以内に提出されなければならない。見解書に対する応答は、審査官の見解に対する書面応答、明細書の補正またはその両方の形態を取ることができる。なお補充審査において審査官は、新規性、進歩性および産業上の利用可能性について検討を行わない。
5.審査の終結:特許付与適格または拒絶意思
5-1.特許付与適格通知
実体審査また補充審査が完了すると、審査官は、審査報告書または補充審査報告書を、適格通知または拒絶意思通知とともに発行する。
審査報告書が肯定的な結果である場合、IPOSは、特許付与適格通知書を発行する。その後、出願人は、該通知の発行から2ヶ月以内に登録費用を支払うことが要求される。
5-2.拒絶意思通知
審査報告書が否定的な結果である場合、IPOSは、当該出願の拒絶意思通知書を発行する。その後出願人は、当該通知の発行日から2ヶ月以内に審査レビューを請求する、もしくは、さらなる措置を講じないことにより出願の拒絶を受け入れるオプションを有する。
6.審査レビュー(再審査)
出願人は、拒絶意思通知の日から2ヶ月以内に審査レビューを請求することができる。出願人はこの請求を行う際に、意見書と(必要に応じて)補正書を提出しなければならない。
上記と同様に、審査レビュー報告書が肯定的な結果である場合、IPOSは、特許付与適格通知書を発行し、出願人は、当該通知の発行から2ヶ月以内に登録費用を支払うことが要求される。
拒絶意思通知において提起された拒絶事項が解消されないため、審査レビュー報告書が否定的な結果である場合、IPOSは拒絶通知を発行し、これは通知の日から2ヶ月後に効力を生じる。この2ヶ月間、当該出願は依然として係属中であり、出願人は分割出願を行う機会を有する。拒絶通知の発行は、当該シンガポール出願の審査手続きの終了を意味する。
7.付与証明書
特許が付与されると、特許の権利期間は年金費用の納付を条件として、出願日から20年間である。
特許を維持するためには、出願日から4年度目の終了から始まり特許が失効するまでの間、出願人は毎年維持年金を納付する必要がある。維持年金は、出願日相当日の前3ヶ月以内に納付することができる。
出願日から45ヶ月以降に特許が付与された場合、すべての年金は、特許付与の日から3ヶ月以内に支払うことができる。
以下のフローチャートに、シンガポールの特許審査手続きの概要を示す。
シンガポールに国内移行した国際出願
国際出願におけるシンガポール国内段階への移行期限は、最先の優先権主張日から30ヶ月、または優先権主張されていない場合は国際出願日から30ヶ月である。
国際出願が英語以外の言語で出願・公開された場合、当該国際出願の英語訳を優先日から30ヶ月以内に提出しなければならない。また、優先日から32ヶ月までに翻訳文の確認証明書を提出する必要がある。
シンガポール国内段階に移行した国際出願に関する調査および審査手続きは、優先権を主張したパリルートでの出願および優先権を主張しない出願と同一である。
南アフリカにおける知的財産権関連制度の運用実態
【詳細】
アフリカ諸国における知的財産権制度運用実態及び域外主要国による知財活動に関する調査研究報告書(平成26年2月、日本国際知的財産保護協会)4-(1)
(目次)
4 各調査対象国の知的財産権関連制度の運用実態
(1) 南アフリカ P.92