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シンガポールにおける特許、意匠年金制度の概要

1.特許権
 シンガポールにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)から20年である。年金は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した案件であっても、審査中には年金は発生しない。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許登録手続の際に5年次から査定を受けた年までの年金を納付する必要がある。これを累積年金(*)という。その後の年金納付期限日は、出願応当日である。
 特許権の存続期間の延長制度として、特許が認可になるまでにシンガポール知的財産庁(IPOS)側に不合理な遅延があった場合、特許権者の申請により存続期間の延長を認める制度がある。
 また、特許出願に係る発明が市場売買にあたって承認を要する医薬品であり、当該承認を得るまでに不合理な遅延があった場合には、権利期間の延長申請を行うことが可能である。
(特許法第36条、第36A条、第85条、特許規則51、51A)

 シンガポール特許法第29条(1)(d)に規定される他国特許庁の出願の審査結果に基づくシンガポール特許出願(補充審査、外国ルート)の審査手続オプションについても存続期間の延長を認める制度があるが、本オプションによる出願は2020年1月1日以降の出願には適用されない。
(特許法第29条、特許規則43)

 納付期限日までに年金が納付されなかった場合、年金納付期限日から6か月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて追徴金を同時に納付しなければならない。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から18か月以内であれば回復の申請を行うことができる。回復の申請の際には、年金の未納付が特許権者の意図しないものであることを示す必要がある。
(特許法第36条、第39条、特許規則51、53)

 また、追納期間経過までに年金を納めない場合、特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール知的財産庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
(特許法第40条、特許規則54)

(*) 累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される場合において、登録の手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

2.意匠権
 意匠権の権利期間は出願日から15年である。シンガポールの意匠は出願日が登録日とみなされるため、登録日も出願日と同日として取り扱われる。まず、意匠が登録になると出願日(登録日)を起算日として5年の権利期間が与えられる、その後、6年次と11年次に年金の納付を行うことで、計15年の権利期間を得ることができる。年金納付期限日は出願応当日(登録応答日)である。
(意匠法第21条、意匠規則35)

 追納制度は特許と同様である。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から12か月以内であれば回復の申請を行うことができる。
(意匠法第21条、意匠規則35C)

 また、追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール知的財産庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
(意匠法第26条、意匠規則39)

3.年金の納付者
 年金の納付は、国籍は居住地によらず、だれでも可能であるが、シンガポール居住者ではない場合、シンガポール知的財産庁からの通信を受け取れるシンガポール国内の住所の提供が必要である。また、支払いにはシンガポール知的財産庁に登録されたアカウントが必要である。
 年金を誤納付した場合、返金の申請を行うことができる。

タイにおける特許年金制度の概要

  1. 特許権

 

 タイにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した場合であっても、審査中には年金は発生しない。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許査定後に5年次から査定を受けた年までの年金を特許庁が指定する期間内に納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。その後の年金納付は、各年毎に出願応当日から60日以内に行わなければならない。

 

 年金の納付はタイの法曹資格を有する者であれば可能である。意図しない特許権に対して年金を誤って納付してしまった場合、返金の申請を行うことができる。

 

 納付期限日すなわち出願応当日から60日経過後、納付期限日から120日以内であれば、所定の年金金額に加えて追徴金を同時に納付することを条件に年金の追納が可能である。

 

 追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効し、タイ特許庁よりその旨を知らせる通知が発行される。特許権者は当該通知を受領した日から60日以内であれば権利回復の申請を行うことができる。回復の申請の際には、追納期間を超えて年金が納付されなかった理由を示す必要があり、権利が回復されるかどうかは当該理由に基づいて判断される。

 

 上記の通り、追納期間経過までに年金を納めない場合、特許権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面をタイ特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある。

 

  1. 実用新案権

 実用新案権(タイ特許法第66条の2に規定される小特許、以下、実用新案権とする。)の権利期間は出願日から最長10年である。実用新案権の登録時には、出願日を起算日として6年の存続期間が設定される。その後、7年次と9年次にそれぞれ2年分の存続期間の延長手続を行うことで、計10年の権利期間を得ることができる。年金は出願日を起算日として5年次に発生するが、出願が登録査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した案件であっても、審査中には年金は発生しない。出願から登録査定まで4年以上を要した場合は、登録査定後に5年次から査定を受けた年までの年金を特許庁が指定する期間内に納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。累積年金後の、5年次、6年次は、各年毎に出願応当日から60日以内に納付を行わなければならない。

 

 年金の納付はタイの法曹資格を有する者であれば可能である。意図しない実用新案権に対して年金を誤って納付してしまった場合、返金の申請を行うことができる。

 

 5年次と6年次の年金の追納制度および回復制度は特許と同様である。権利期間延長後の7年次から9年次には年金の追納と回復の制度がないため、注意が必要である。

 

 追納期間経過までに年金を納付しない場合、実用新案権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面をタイ特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある。

 

  1. 意匠権

 意匠権の権利期間は出願日から10年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願日を起算日として5年次に発生するが、出願が登録査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した案件であっても、審査中には年金は発生しない。出願から登録査定まで4年以上を要した場合は、登録査定後に5年次から査定を受けた年までの年金を特許庁が指定する期間内に納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。その後の年金納付は、出願応当日から60日以内に行わなければならない。

年金の納付はタイの法曹資格を有する者であれば可能である。誤って意図しない意匠権に年金を納付してしまった場合、返金の申請を行うことができる。

 追納制度、回復制度ともに特許と同様である。

 追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は消滅するが、権利を放棄したい旨を記した書面をタイ特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある。

 

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、且つ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録の手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

インドネシアにおける特許年金制度の概要

  1. 特許権

 

 インドネシアにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願の審査中には発生せず、特許査定が発行された場合に発生する。出願に対して特許査定が発行されると、出願年から特許査定発行の翌年次までの年金を特許発行日から6ヶ月以内に納付しなければならない。この特許発行時の納付年金を累積年金と言う(*下記参照)。累積年金の納付後の各年の年金は、出願応当日の1ヶ月前までに納付しなければならない。

 

 累積年金の納付期限は、旧法では登録日(特許証発行日)から1年であったが、2016年のインドネシア特許法の改正により、登録日(特許証発行日)から6ヶ月以内に変更された。

 

 年金の納付金額は請求項数により変動する。年金の納付は特許権者もしくはインドネシア国内の法曹資格を有する者であれば可能である。意図しない特許権に対して年金を誤って納付してしまった場合や、所定の納付金額以上の額を誤って納付した場合にも、一度納付した年金は返金されない。

 

 納付期限日までに年金が納付されなかった場合、権利は失効する。追納が認められるのは、年金納付期限日から遅くとも7日前までにインドネシア特許庁に所定の書面をあらかじめ提出した場合にのみである。納付期限日から最長12ヶ月の追納期間が認められる。

 

 追納の申請手続は納付期限経過前に行わなければならない点には注意が必要である。さらに、インドネシアには失効した特許権に対する権利回復の制度はない。

 

 追納は、認められた期間内に所定の納付年金に加えて、追徴金も同時に納付する必要がある。

 

 上記の通り、年金納付期限日もしくは追納期間経過までに年金が納付されない場合、特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をインドネシア特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。書面提出による権利放棄の場合も、特許権の権利回復の制度はない。

 

 登録後の年金は、旧法においては、連続して3年間納付しなかった場合に初めて権利が消滅し、その間の年金は負債として残るという制度であったが、2016年のインドネシア特許法の改正により、納付されなかった場合には権利が消滅する制度となった。

 

  1. 実用新案権

 

 実用新案権(インドネシア特許法第104条に規定される小特許、以下単に実用新案権という)の権利期間は、出願日から10年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願の審査中には発生せず、登録査定を受けてから発生する。出願が登録査定を受けると、出願された年から査定を受けた年の翌年までの年金を登録証発行日から6ヶ月以内に納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。累積年金の納付後の各年の年金は、出願応当日の1ヶ月前までに納付しなければならない。

 

 年金の金額は請求項数により変動する。年金の納付は実用新案権者もしくはインドネシア国内の法曹資格を有する者であれば可能である。意図しない実用新案権に対して年金を誤って納付してしまった場合や、所定の納付金額以上の額を誤って納付した場合にも、一度納付した年金は返金されない。

 

 追納の申請手続は納付期限前に行わなければならない点は、特許権と同様に注意が必要である。特許権と同様、失効した実用新案権に対する権利回復の制度はない。

 

 上記の通り、年金納付期限日もしくは追納期間経過までに年金を納めない場合、実用新案権は自動的に失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をインドネシア特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。書面提出による権利放棄の場合も、実用新案権の権利回復の制度はない。

 

  1. 意匠権

 

 意匠権の権利期間は、出願日から10年である。権利期間の延長制度は存在しない。インドネシアの意匠を維持するにあたっては、年金の納付は必要ない。

 

 権利を放棄したい場合は、その旨を記した書面をインドネシア特許庁に提出することにより積極的な放棄が可能である。特許権や実用新案権と同様、放棄された意匠権も権利回復の制度はない。

 

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録の手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

 

【留意事項】

 本稿において、特許権及び実用新案権についての年金制度の説明は、インドネシア特許法(法律第13号 2016年新特許法)下での年金制度についての説明である。2016年8月26日以降、年金納付期限が新法に基づき設定されることとなった。

シンガポールにおける特許年金制度の概要

  1. 特許権

シンガポールにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。年金は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した件であっても、審査中には年金は発生しない。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許登録手続の際に5年次から査定を受けた年までの年金を納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。その後の年金納付期限日は、出願応当日である。

特許権の存続期間の延長制度として、特許が認可になるまでに特許庁側に不合理な遅延があった場合、特許権者の申請により存続期間の延長が認められる制度がある。同様に、シンガポール特許法29(1)(d)に規定される他国特許庁の出願の審査結果に基づくシンガポール特許出願の審査手続オプション(対応他国出願審査結果に基づく補充調査)において、対応他国出願が認可になるまでに他国特許庁側に不合理な遅延があり、かつ、当該対応他国での特許に対して当該他国特許庁が存続期間の延長が認めた場合に、本シンガポール特許についても特許権者の申請により存続期間の延長が認められる制度がある。

権利期間の延長申請を行うことが可能である。

(審査オプションについては、シンガポールにおける特許出願制度(https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10358/)を参照)

その他、特許出願に係る発明が市場売買にあたって承認を要する医薬品であり、当該承認を得るまでに不合理な遅延があった場合には、権利期間の延長申請を行うことが可能である。

年金の納付はシンガポールの法曹資格を有する者またはシンガポールに送達宛先を有する者もしくは団体であれば可能である。意図しない特許権に対して年金を誤って納付してしまった場合、返金の申請を行うことができる。ただし、納付された金額が返金されるかどうかはシンガポール特許庁の裁量に委ねられている。

納付期限日までに年金が納付されなかった場合、年金納付期限日から6ヶ月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて追徴金を同時に納付しなければならない。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から18ヶ月以内であれば回復の申請を行うことができる。回復の申請の際には、年金の未納付が特許権者の意図しないものであることを示す必要がある。

上記の通り、追納期間経過までに年金を納めない場合、特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。

  1. 意匠権

意匠権の権利期間は出願日から15年である。シンガポールの意匠は出願日が登録日とみなされるため、登録日も出願日と同日として取り扱われる。まず、意匠が登録になると出願日(登録日)を起算日として5年の権利期間が与えられる、その後、6年次と11年次に年金の納付を行うことで、計15年の権利期間を得ることができる。年金納付期限日は出願応当日(登録応答日)である。

年金の納付はシンガポールの法曹資格を有する者またはシンガポールに送達宛先を有する者もしくは団体であれば可能である。意図しない意匠権に対して年金を誤って納付してしまった場合、返金の申請を行うことができる。ただし、納付された金額が返金されるかどうかはシンガポール特許庁の裁量に委ねられている。

追納制度は特許と同様である。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から12ヶ月以内であれば回復の申請を行うことができる。

また、追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、且つ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録の手続きの際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

ロシアにおける特許年金制度の概要

  1. 特許権

 ロシアにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。年金は出願日を起算日として3年次から発生するが、出願から3年以上経過していても登録前であれば年金納付の必要はない。特許査定を受けた場合に初めて納付が求められる。ただし、出願から特許査定まで3年以上を要した場合は、特許登録手続の際に納付する登録料とは別に、3年次から査定を受けた年までの年金を遡って納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。この累積年金は、登録料の納付と同時に行う。その後の年金納付期限日は、権利期間の起算日となる出願応当日である。

 

 年金納付が可能なのは手続代理人のみである。誤って納付された年金であっても、ロシア特許庁が一度受理した年金については返金はなされない。また、納付金額に誤りがあった場合、納付は受理されないため、再度納付手続を行う必要がある。

 

 特許権の登録後、年金納付期限日までに年金納付がされなかった場合、期限日から6ヶ月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付しなければならない。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、追納期間最終日(すなわち年金納付期限日の6ヶ月後)から3年以内に所定の金額を納付することにより、権利の回復が可能である。

 

 上記の通り、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面と所定の金額をロシア特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある。特許庁に所定の書面を提出して権利者自らが権利放棄の手続を行った場合には、年金未納付による権利失効の場合とは異なり、権利の回復は不可能となる。

 

 なお、医薬、害虫などの駆除剤、農薬に関わる発明で法の規定に準ずるものは、最大5年間の権利延長が可能である。延長された権利の延長期間中の年金納付は通常と同様に行われる。

 

  1. 実用新案権

 実用新案権の年金制度は、権利期間と納付開始年次を除けば、特許権とほぼ同様である。権利期間は、出願日(PCT条約に基づく実用新案登録出願の場合は国際実用新案登録出願日)から10年であり、年金は出願日を起算日として1年次から発生するが、特許権と同じく、納付は実用新案の登録査定を受けてから開始される。そのため、実用新案の登録手続の際に、設定登録料とは別に累積年金として査定を受けた年次までの年金も納付する必要がある。年金納付期限は、権利期間の起算日となる出願応当日である。

 

 年金納付はロシアにおける法曹資格を有する者であれば納付手続が可能である。追納制度、回復制度ともに特許権の場合と同じである。

 

  1. 意匠

 意匠の権利期間は出願日から25年である。特許権と同じく、年金は意匠出願が登録査定を受けてから納付される。年金は出願日を起算日として3年次より発生するが、後述のように納付のタイミングは出願日によって異なっている。出願から登録まで3年以上かかった場合には、意匠の登録手続の際に登録料とは別に、累積年金として3年次から査定を受けた年次までの年金を納付しなければならない。年金の納付期限は、権利期間の起算日となる出願応当日である。

 

 意匠権を維持するためには、年金納付に加えて更新手続を行う必要がある。年金納付と更新手続は同時に行う必要があり、どちらも意匠出願がされた年によって回数および頻度が異なる点に注意を払わなければならない。

 

 出願日が2015年1月1日を含む同日以降の場合、最初に与えられる意匠の権利期間は5年である。その後、5年ごとの更新を最大4回まで行うことで、計25年の権利期間を得ることができる。すなわち、6年次、11年次、16年次、21年次が更新年にあたり、各年次には権利期間の更新を申請する文書をロシア特許庁に提出する必要がある。また、出願日が2015年1月1日を含む同日以降の意匠権の年金納付について、2017年10月6日より法改正が施行されたことにも注意されたい。最初の3年次に年金を納付した後は、前述の更新年に当たる6年次、11年次、16年次、21年次に年金の納付を行うことで権利を維持することができる。したがって、25年の権利期間を得るためには、年金の納付は計5回行う必要がある。

 

 一方で、出願日が2014年12月31日を含む同日以前の場合、最初に与えられる権利期間は15年である。その後、16年次の1回に限り、10年分の権利期間を得ることができる更新を行うことで、権利期間は計25年となる。そのため、前述の更新の申請文書は16年次にのみ提出する。なお、出願日が2014年12月31日を含む同日以前の場合、年金納付は3年次以降行う必要がある。

 

 年金納付はロシアにおける法曹資格を有する者であれば納付手続が可能である。追納制度、回復制度ともに特許権の場合と同じである。

 

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

インドにおける特許年金制度の概要

  1. 特許権

 インドにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願日を起算日として3年次から発生するが、特許査定が下された場合にのみ納付が求められる。したがって、出願から3年以上経過した件であっても審査中には年金は発生しない。出願から特許査定までに3年以上を要した場合には、特許査定が下された後、特許庁が指定する期間内に3年次から査定された年までの年金を納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。その後の年金は出願応当日を納付期限として各年納付される。

 

 特許権者が小規模団体あるいは個人である場合は、年金金額が減額される。年金納付は現地代理人のみが可能である。

 

 また、権利を維持するには、上記の年金納付とは別に、インド特許庁に対して実施証明書を提出しなければならない。実施に関する書面の提出が行われなかった場合、最大で百万ルピーの高額な罰金もしくは禁固刑等の罰則が課される可能性がある。

 

 特許権が登録になった後に、納付期限日までに年金の納付が行われなかった場合、期限日から6ヶ月以内であれば追納が可能である。追納期間中は所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付しなければならない。6ヶ月の追納期間を超えて年金納付がされない場合は、権利は追納期間の最終日をもって失効する。ただし、権利失効から18ヶ月以内であれば、インド特許庁に対して権利回復の請求を行うことが可能である。権利を回復するには、まず所定の書面を提出する必要がある。その後、インド特許庁が権利の回復を認めた場合には、その旨が公報に掲載され一般に公開される。公報掲載日から2ヶ月の間は権利回復に対する第三者からの異議申し立てが可能な時期であり、この期間中に異議申し立てがなければ、当該特許権の権利者は特許庁に未納付分の年金と回復費用を納付することができる。これらの金額の納付をもって、権利は回復する。

 

 上記の通り、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合に特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面と所定の金額をインド特許庁に提出することにより積極的に放棄する手続もある。

 

  1. 意匠権

 意匠権の権利期間は出願日もしくは優先権主張をしている場合は優先権主張日から15年であり、年金は意匠が登録査定を受けてから発生する。まず、意匠権が登録になると最初に出願日もしくは優先権主張をしている場合は優先権主張日を起算日として10年の権利期間が与えられる。その後、11年次に5年分の年金納付を1回のみ行うことで、計15年の権利期間を得ることができる。権利期間の延長制度は存在せず、年金納付の期限日は出願応当日である。

 

 年金の納付に際して、インド特許庁に委任状等を提出する必要がある。意匠権者が小規模団体あるいは個人である場合は、年金金額が減額される。年金納付はインドにおける法曹資格を有する者であれば納付手続が可能である。

 

 意匠権の場合、特許権と異なり追納制度が存在しない点に注意しなければならない。そのため、納付期限日までに年金の納付が行われなかった場合、権利は失効する。ただし、権利失効から12ヶ月以内であれば権利回復の請求を行うことができる。権利を回復するには、まず所定の書面を提出する必要がある。その後、インド特許庁が権利の回復を認めた場合には、その旨が公報に掲載され一般に公開される。公報掲載日から2ヶ月の間は権利回復に対する第三者からの異議申し立てが可能な時期であり、この期間中に異議申し立てがなければ、当該意匠の権利者は特許庁に未納付分の年金と回復費用を納付することができる。これらの金額の納付をもって、権利は回復する。

 

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。