ロシアにおける商標制度および原産地(地理的)表示の保護
「模倣対策マニュアル ロシア編」(2016年3月、日本貿易振興機構)第1章第3節、第4節
(目次)
第1章 ロシアにおける知的財産権の取得
第3節 商標 P.46
(1) 商標制度の概要 P.46
(a) 管轄官庁及び担当官 P.46
(b) 最近5年間の統計データ P.46
(c) ロシア商標制度の特徴 P.48
(2) 出願人適格 P.49
(3) 登録要件 P.49
(a) 商標の定義及び登録可能な対象 P.49
(b) 商標の先願主義及び先使用 P.49
(c) 出願拒絶理由、相対的拒絶理由(1483条) P.50
(d) 絶対的拒絶理由等、登録できない対象 P.50
(4) 商標出願手続及び審判部 P.51
(a) 出願の方式審査 P.53
(b) 実体審査 P.53
(c) 登録に要する期間 P.53
(d) 出願手数料 P.53
(e) 出願の公開又は公告 P.54
(f) 登録前又は後の出願に対する不服申立て P.54
(g) 商標の審判 P.54
1) 出願に対する拒絶査定についての審判 P.54
2) 商標登録の取消し又は無効についての審判 P.55
3) 審決に対する不服申立てを扱う裁判所とその手続 P.55
(5) 商標権 P.55
(a) 商標権の基本的内容及び範囲 P.55
(b) 商標登録の存続期間、権利証書の発行及び期間の更新/延長 P.56
(c) 先使用者の権利をはじめとする登録商標に対する制限 P.56
(d) 登録商標の譲渡及び使用許諾 P.56
(e) 商標権と商号権の抵触 P.57
(6) 商標及び商品/役務の類似性に関する基準 P.57
(7) 商標の「使用」の定義 P.58
(8) 周知の商標 P.59
(9) ユーラシア経済連合の商標登録出願統一窓口 P.60
第4節 原産地表示(又は地理的表示) P.62
南アフリカにおける商標権の権利行使に関する留意点
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香港における英語あるいは中国語(公用語)以外の言語を含む商標出願
【詳細】
香港において、商標は、単語、表示、意匠、文字、符号、数字、図形要素、色彩、音、匂い、形状、およびこれらの組合せから構成することができる。単語や文字については、ローマ字であるか漢字であるかを問わない。
○出願時に提出する情報
出願された商標がローマ字でも漢字でもない単語、文字または字体を含む場合、出願人は当該単語、文字または字体の言語を願書において述べなければならない。また、その単語、文字または字体の翻訳または翻字を提出しなければならない(香港商標規則第120条(4))。
○先天的識別性に関する評価
香港知的財産局商標登録所は、出願人により提供された商標の翻訳および音訳を考慮に入れ、当該商標の登録可能性を検討する。日本語の単語については、商標局は、その単語の辞書上の意味を和英辞典等で調べることもできる。
商標を構成する外国語の単語または字体が単なるコードの羅列または判読できない単語または字体で構成されており、一般的な需要者が当該商標について、出所を示す標章として見なさない可能性がある場合、当該商標は識別性を欠くとして、商標条例第11条(1)(b)に基づき拒絶される。例えば、香港の平均的な需要者は、日本語の「よりよい製品およびよりよいサービス」という表記を理解できないかも知れないが、当該商標は識別的でなく出所を示す記章とはなり得ないため、需要者は、日本語の字体の文字列全体を商標として見なすとは考えらない。
英語や中国語以外の言語による記述的または識別性のない商標については、当該商標が一応の証拠に基づいて登録可能であるか否かは、香港において当該商品または役務の関連する需要者が当該商標の意味を理解するか否かに依拠する。
例えば、英語の「paint(ペイント、塗る)」を意味するオランダ単語「Verf」は、香港における当該商品の平均的な需要者がその意味を理解するとは考えられないため、「paint」の対象となる商品に関して登録可能である。一方、日本語で「最高」を意味する「ICHIBAN」という単語は、香港における平均的な需要者がこの賞賛的な意味を理解するので、対象となるあらゆる商品または役務に関して登録不可である。
外国単語がその関連する商品または役務の記述である英単語または漢字と似ていれば似ているほど、その外国語での記述的意味が需要者によってより理解される。例えば、カメラを意味し、「camera」という英単語に非常に近い、ドイツ語の単語「Kamera」は、「写真器具」に関して登録不可である。
商標が外国語の単語または字体と、識別性のない英単語または中国語(漢字)と併記している場合、需要者は、外国語の単語または字体が英単語または中国語(漢字)の翻訳であり、同じ意味を有すると認識する可能性がある。したがって、商標全体としては、当該商品または役務を記述しており、識別性のないものとして需要者に認識され、登録不可とされるだろう。
対象となる商品または役務が特定グループの需要者のためのものである場合、その識別性は、当該商品または役務のターゲットとなる需要者の視点で判断される。
○先行商標との類似性
香港では、商標の類似性は、外観、称呼および観念上の類似性を比較し、その識別的かつ主要な構成要素を考慮した上で、標章が創出する全体印象によって判断される(Guccio Gucci SpA v Gucci事件(第[2009] 5 HKLRD 28号)。したがって、異なる言語で表現された純粋な単語標章は、商標の全体印象が異なると考えられる可能性が高いため、同じ意味を有するにもかかわらず、類似するとは見なされない可能性が高い。
標章間の類似性の程度を判断するためには、それらの標章の外観上、称呼上および概念上の類似性の程度を決定しなければならない。