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ニュージーランドにおける特許を受けることができる発明と特許を受けることができない発明【その1】

【詳細】

 ニュージーランドにおける特許を受けることができる発明と特許を受けることができない発明について、全2回のシリーズで紹介する。(その1)

 

1.はじめに

 2013年ニュージーランド特許法(「新法」)は、2014年9月13日より施行された。2014年9月13日以降にニュージーランドで出願されたすべての特許出願は、新法の規定に基づき審査されるが、2014年9月13日より前にニュージーランドで出願された特許出願は1953年特許法(「旧法」)に基づき審査される。

 以下、新法における特許を受けることができる発明について説明する。

 新法はニュージーランドにおいて特許を受けることができる発明を定義している。新法第14条に基づき、クレームに記載の発明が以下を全て満たす場合に限り、発明は特許を受けることができる。

 (a)専売条例(Statute of Monopolies)の第6条における「新規製造の態様」(manner of new manufacture:方法・製造物・製造方法などを含む広い概念)であり、

 (b)先行技術と比較した際に新規であり、また進歩性も有し、

 (c)有用であり、かつ

 (d)第15条または第16条に基づく特許を受けることができる発明から除外されていない

 したがって、特許を受けることができるためには、発明が、専売条例第6条の意味における「新規製造の態様」でなければならない。この専売条例は、1623年にイングランドで制定されたものであり、第6条は、以下の通り規定されている。

 

専売条例第6条

 前述の宣言は、いかなる特許状(現在の特許証に相当するもの)に対しても一切適用されず、今後14年またはそれ以下の期間について、王国内において、あらゆる「新規製造の態様」を独占的に実施または製造する特権を、当該製造物の真正かつ最初の発明者に付与することを定め、これを宣言し、制定する。ただし、当該特許状の発行または付与の時点において、他者が当該製造物を使用していてはならず、国内における商品の価格が上昇されたり、取引を阻害したり、その他一般的な不都合を生じさせることにより、法律に反したり、国家に損害を与えてはならないものとする。

 

 この専売条例は、コモンローを成文化したものであり、特許を受けることができる発明に関して、約400年にわたるイギリスの司法解釈の基礎となるものである。ただし、イギリス連邦を構成する国々の中でも、特にオーストラリアおよびニュージーランドでは、特許を受けることができる発明に関する重要な規定を独自に追加している。

 

 新法第15条及び第16条は、特許を受けることができない発明について、以下の通り規定している。

 (i商業的利用が公序良俗に反する発明

 (ii)人間およびその産生のための生物学的方法

 (iii)人間を診断する方法

 (iv)植物品種

 さらに、新法第11条は、コンピュータプログラムを、ニュージーランドにおける特許を受けることができる発明から除外している。

 

2.発明の特許性

2-1. 公序良俗に反する発明

 商業的理由が公序良俗に反する発明に関するクレームは、認められない。

 ニュージーランド知的財産庁(Intellectual Property Office of New Zealand :IPONZ)が発行した特許審査基準によると、発明の利用が犯罪行為、不道徳または反社会的行為を助長することが想定される発明については、特許は付与されない。公序良俗に反するとみなされるものは、社会情勢の変化により変わるものであるが、審査官自身の個人的信条で判断してはならない。

 人間のクローンを作成する方法、または人間の生殖細胞について遺伝的同一性を改変する方法に関するクレームは認められない。工業的または商業的目的におけるヒト胚の使用に関するクレームは認められない。また、動物の遺伝的同一性を改変する方法に関するクレーム、または、こうした方法により生じる動物である発明に関するクレームは認められない。

 

2-2.生物学的材料

 遺伝子を改変または組み換えされた植物および人間以外の動物は、自然に発生した生物学的材料がクレームの範囲に含まれないことを条件として、特許を受けることができる主題であるとされている。

 人間およびその産生のための生物学的方法は、特許性から除外されている。また、無傷ヒト細胞(intact human)またはヒト全能幹細胞を含むクレームは認められない。

 微生物学的方法および当該方法による生成物、ならびに微生物自体は、特許を受けることができる。また、遺伝子配列は特許を受けることができる。

 

2-3.医薬品および化学組成物

 医薬品および化学組成物は、特許を受けることができる。

 

2-4.既知の物質の新規医療用途

 病気の治療用途として既に知られている化合物の第二以降の用途(「第二用途」)に関する発明は、そのクレームが、以下のようなスイスタイプの形式で作成されていることを条件として、特許を受けることができる。

 病気Yの治療用の薬剤製造のための化合物Xの使用

 

2-5.治療方法

 人間以外の動物に対する処置方法は特許を受けることができる。

 しかし、人間に対する治療方法または人間に対する診断方法を含むクレームは、特許を受けることができない。

 人間の治療方法に関する特許クレームが拒絶された場合、「スイスタイプ」クレームに補正する必要がある。

 

2-6.植物品種

 植物品種については、特許を受けることはできないが1987年植物品種権法に基づいて保護を受けることができる。植物品種法は、菌類を含むすべての植物に適用される。藻類および細菌は、植物とはみなされない。なお植物品種権法に基づく保護は、特許法による保護と同じように、登録された特定の植物品種を業として育成することができる権利(育成者権)を定めるものである。

 

 コンピュータプログラムとビジネス方法の取り扱いについて、【その2】で説明する。

インドにおいて特許を受けることができない発明

【詳細】

 インド特許法第3条は、特許を受けることができない発明として、以下を規定する。

 

 1.取るに足らない発明(特許法第3条(a))

 取るに足らない発明、または確立された自然法則に明らかに反する事項を発明としてクレームしても特許を受けることができない。

 

 2.公序良俗(特許法第3条(b))

 その意図された用途が、公序良俗に反し、または人、動物、植物の生命もしくは健康または環境に深刻な害悪を引き起こす発明をクレームしても特許を受けることができない。

 

 3.発見(特許法第3条(c))

 科学的原理の「単なる」発見、または抽象的理論の形成、または現存する生物もしくは非生物物質の発見を発明としてクレームしても特許を受けることができない。

 なお、ここでいう基準は「単なる発見」に対してのみである。仮にその発明が単なる発見を超えるものであれば、特許を受けることができる。

 

 4.既知の物質についての新たな形態(特許法第3条(d))

 特許法第3条(d)は、以下のカテゴリーは特許を受けられないと規定する。

 ・既知の物質について何らかの新規な形態の単なる発見であって当該物質の既知の効能の増大にならないもの。

 ・既知の物質の新規特性もしくは新規用途の単なる発見。

 ・既知の方法、機械、もしくは装置の単なる用途の単なる発見。

 ただし、かかる既知の方法が新規な製品を作り出すことになるか、または少なくとも一の新規な反応物を使用する場合は、この限りでない。

 特許法第3条(d)では、適用に際して、「説明」も記載される。そこには「既知物質の塩、エステル、エーテル、多形体、代謝物質、純形態、粒径、異性体、異性体混合物、錯体、配合物、および他の誘導体は、それらが効能に関する特性上実質的に異ならない限り、同一物質とみなす」と記載される。

 

 5.混合(特許法第3条(e))

 物質の成分の諸性質についての集合という結果となるに過ぎない「単なる」混合によって得られる物質は、特許を受けることができる発明から除外される。当該物質を製造する方法もまた、特許を受けることができる発明から除外される。本項で用いられる「単なる」という用語は、ある程度の混合によっては特許を受けることができる可能性がある。

 

 6.再配置(特許法第3条(f))

 既知の装置の「単なる」配置もしくは再配置または複製であり、これを構成する各装置が既知の方法によって相互に独立して機能するものを発明としてクレームしても特許を受けることができない。

 

 7.農業についての方法(特許法第3条(h))

 農業または園芸についての方法は、特許を受けることができない。

 

 8.内科的または診断的な方法(特許法第3条(i))

 人や動物の内科的、外科的、治療的、予防的、診断的、療法的もしくはその他の処置方法であって,疾病から自由にしまたはそれらの製品の経済的価値を増進させるものは、特許を受けることができない。

 

 9.植物および動物(特許法第3条(j))

 植物、動物、種子、変種および種の全部または一部は、特許を受けることができない。ただし、微生物は除外されており特許を受けることができる。

 

 10.コンピュータプログラムおよびビジネス方法(特許法第3条(k))

 数学的もしくは営業の方法、またはコンピュータプログラムそれ自体もしくはアルゴリズムは、特許を受けることができない。コンピュータプログラムに関連した発明のうち、本項により、コンピュータプログラムそれ自体についての発明は特許の対象とはならないが、発明の一部としてコンピュータプログラムが存在するということによって、特許を受けることができなくなるわけではない。

 

 11.文学および芸術作品(特許法第3条(l))

 文学、演劇、音楽もしくは芸術作品、または映画作品およびテレビ制作品を含む他の何らかの審美的創作物は、特許を受けることができない。これらの創作物は著作権法により保護される。

 

 12.精神的行為をなすための方法(特許法第3条(m))

 精神的行為をなすための「単なる」計画もしくは規則もしくは方法、またはゲームをするための方法は、特許を受けることができない。

 

 13.情報の提示(特許法第3条(n))

 情報の提示に関する発明は特許を受けることができない。

 

 14.集積回路(特許法第3条(o))

 集積回路の回路配置をクレームする発明は特許を受けることができない。半導体の配置に関しては、2000年半導体集積回路配置法により保護される。

 

 15.伝統的知識(特許法第3条(p))

 事実上、古来の知識である発明、または古来知られた部品の既知の特性の集合もしくは複製である発明は、特許を受けることができない。

 

 また、特許法第4条では、1962年原子力法(Atomic Energy Act, 1962)第20条(1)に該当する原子力に関する発明には特許を付与しない旨を規定する。1962年原子力法第20条(1)は、「原子力の生産、制御、利用もしくは処分、または、指定物質もしくは放射性物質の探査、採鉱、抽出、生産、物理的もしくは化学的処理、加工、濃縮、被覆もしくは利用、または原子力操業の安全性確保のために有用な、またはそれらに関係する発明」に対して、特許の付与を禁止する。発明がこのようなカテゴリーに属するかどうかを判断する権限は、中央政府(インド原子力省、Department of Atomic Energy, Government of India)に委ねられている。