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トルコにおける商標異議申立制度

【詳細】

 産業財産法第5条で商標登録の絶対的拒絶理由が、同第6条で商標登録の相対的拒絶理由が規定されている。

 

 商標登録の絶対的拒絶理由は下記のとおりである。

(1)産業財産法第4条により商標とならない標章

(2)識別性がない標章

(3)種類、特徴、品質、意図された目的、価値若しくは産地を示すために、または商品もしくは役務の生産時期その他の特徴を示すために取引で使用される要素または特徴のみにより、または専らかかる要素もしくは特徴により構成される商標

(4)同一または類似の商品および役務に関して、先に登録された商標または先に出願された商標と同一のまたは区別できない程度に類似する商標

(5)取引実務において全ての当事者が広く使用している表記もしくは名称のみにより、または専らかかる表記もしくは名称により構成されている商標、または、特定のグループの職人、商人または専門家を識別するために使用されている商標

(6)商品の形状、商品の性質に由来する実質的な価値をその商品に与える形状、または技術的結果を得るために必要な形状からなる標識

(7)商品および役務の質や産地について公衆を欺く可能性のある商標

(8)パリ条約第6条の3により拒絶される標章

(9)パリ条約第6条の3には該当しない場合でも、歴史的および文化的価値に基づいて一般に知られたバッジ、エンブレムまたは盾および標識が組み込まれた商標

(10)宗教的シンボルを含む標章

(11)公の秩序または道徳に反する標章

(12)登録された地理的表示から成り立つまたは登録された地理的表示を含む標章

 

 また、商標登録の相対的拒絶理由は下記のとおりである。

(1)同一または類似の商品または役務に関する同一または類似の先行商標が存在するために、先行商標と関連することを含め公衆に混同を生じさせる可能性が存在する場合

(2)商標所有者の代理人が、所有者の同意または正当な理由なく、自己の名義で登録出願をした場合

(3)未登録の商標その他の商標に関する権利が、出願日または優先日の前に取得されている場合

(4)商標が、同一または類似の商品および役務に関して、パリ条約の第6条(2)に該当する周知の商標と同一または類似である場合

(5)商品および役務が同一または類似していない場合でも、登録商標または先に出願された商標が公衆からの評判を有していて、かかる評判のため、出願された商標が、正当な理由なしに不当な利益を得るか、先行商標の評判を毀損しまたはその特徴を害する場合

(6)商標に名称、会社名、写真、著作物その他の知的財産が含まれている場合

(7)出願商標が、同一または類似の商品および役務につき登録された団体商標または保証商標であり、出願商標が、団体または保証商標の不更新に伴う存続期間満了から3年以内に出願された場合

(8)出願された商標が、同一または類似の商品および役務に関して、先行商標と同一または類似しており、出願された商標が、先行商標の不更新に伴う存続期間満了から2年以内に出願されている場合

(9)出願された商標が不正の目的で出願された場合

 

 異議申立期間は、商標出願の公告から2月の間である。

 

 異議申立は、書面で理由を記載し、TÜRKPATENTに提出する必要がある。異議申立が規定されている期間内に提出されない場合、異議申立はなかったものとみなされる。また、異議申立の審査のためには、異議申立期間内に料金が支払われ、その支払いに関する情報をTÜRKPATENTに提出する必要がある。

 

 TÜRKPATENTは、被異議申立人に、異議申立に関する意見を提出するための期間として1月期間を与える。TÜRKPATENTは必要に応じて、追加の情報、書類および理由に関する説明を行うために、当事者にさらに1月の期間を与えることもできる。この期間内に要求された追加の情報、書類、説明および見解を提出しない場合、異議申立は存在する情報および書類により審査される。

 

 TÜRKPATENTから不利な決定を受けた当事者は、決定が通知されてから2月以内に、書面で理由を付して、再審査部に不服申立てをすることができる。この再審査部がTÜRKPATENTの最終決定機関となる。再審査部から不利な決定を受けた当事者は、決定の通知日から2月以内に管轄裁判所に訴訟を起こすことができる。

 

 トルコを対象国として選択してなされた国際登録出願に基づく出願も、トルコに直接行われた国内出願と同じ異議申立理由が適用される。国際登録出願に異議申立がされた場合、その異議申立についての結果のみがWIPO国際事務局へ通知される。トルコの国内出願と大きく異なる点は、国際登録出願人に対して、異議申立の審査中に、異議申立がなされた場合の通知が行われず、異議申立が認められたか否かが通知されるにとどまることである。このため、異議申立に対して意見を提出する機会を失わないために、出願人が出願状況を追跡することが重要である。異議申立に対する意見を提出しない場合、決定に対する不服申立手続が使用できるのみとなる。

 

【留意事項】

 産業財産法では、第三者による意見提出も規定されている。商標出願の公告後、何人も、商標出願が同一、または類似の商品もしくは役務に関して登録されていること、またはその他所定の理由で登録できないことを理由とともに記載した書面を、商標が登録されるまでの間、TÜRKPATENTに提出することができる。

トルコにおける商標異議申立制度

【詳細】

商標法第35条により、異議申立書は商標登録の絶対的拒絶理由、相対的拒絶理由または悪意を根拠として提出することができる。絶対的拒絶理由とは、商標が記述的であること、顕著性を欠くこと、公的な標章に抵触すること等である。最も重要かつ通常の異議申立の根拠は、下記のような相対的拒絶理由である。

 

(1)同一性(同一商標かつ同一指定商品または役務である場合。)

(2)出所混同のおそれ(同一商標かつ類似指定商品または役務であること、もしくは類似商標かつ同一または類似指定商品または役務である場合。)

(3)代理人等の不当出願(商標権者の代理人または代表者の名義で、当該商標権者の同意なく出願されている場合。)

(4)未登録商標または取引上使用されている標識の先使用(未登録商標が、被異議申立商標出願の出願日前に使用されている場合。)

(5)知名度を有する商標(指定商品または役務が非類似であっても、登録商標またはより早い出願日を有する商標が知名度を有する場合であって、被異議申立出願の同一または類似の商標が、登録商標もしくはより早い出願日を有する商標を不当に利用し、害することになる場合。)

(6)他の知的財産権(被異議申立出願の商標が、第三者の人名、写真、著作権、その他の知的財産権を侵害する場合。)

(7)団体標章または証明標章(団体標章または証明標章と同一または類似の商標で、当該団体標章または証明標章の権利期間満了後3年以内の場合。)

(8)未更新の登録商標(未更新の登録商標と同一または類似の商標で、かつ同一または類似の指定商品または役務であり、当該未更新の登録商標の権利期間満了後2年以内の場合。)

 

異議申立は、書面で提出しなければならず、全ての異議理由の陳述が含まれていなければならない。特許庁は、施行規則に定められた期間内に、追加の事実、証拠および書類の提出を要求することができる。要求された追加の事実、証拠および書類が、施行規則に定められた期間内に提出されなかった場合、異議申立はなされなかったものとみなされる。

 

特許庁より被異議申立人に対して異議通知が送達され、被異議申立人は、当該異議通知から1ヵ月以内に答弁書を提出することができる。

 

異議決定は、特許庁内部の業務量に拠るが、通常4ヵ月から8ヵ月で送達されている。異議決定により、異議申立が全部または一部成立し、被異議申立出願が全部または一部拒絶された場合、被異議申立人は、異議決定より2ヵ月以内に再審査評価委員会に不服申立書を提出することができる。同様に、異議申立が全部または一部拒絶された場合、異議申立人は、異議決定より2ヵ月以内に再審査評価委員会に不服申立書を提出することができる。不服申立に対しては、他の当事者は答弁書を提出することができる。

 

不服申立に関する再審査評価委員会の決定に対しては、当該決定より2ヵ月以内に管轄裁判所に対して提訴することができる。

 

トルコを指定国とする国際登録出願についても、上記の直接出願と同様の理由により異議申立を提起することが可能である。国際登録出願の拒絶理由が異議申立である場合は、当該拒絶がWIPO国際事務局へ通知される。直接出願と大きく異なる点は、国際登録出願人に対して、異議申立の審査中に公的な異議通知が送達されないことである。

 

2013年5月24日より、オンラインによる異議申立が可能となっている。ただし、トルコ語が唯一認められている使用言語であり、直接外国からのオンラインファイリングは認められていない。

 

2015年1月より、オンラインによる異議申立とペーパーによる異議申立の公費に差額が設けられている。オンラインによる異議申立の公費が低く設定されているため、最近ではオンラインによる異議申立の割合が増加傾向にある。

 

【留意事項】

商標法は、異議申立制度とは別に、「第三者による所見」制度を規定している。「第三者による所見」制度に基づき、第三者は誰でも、商標登録の絶対的拒絶理由により登録要件を満たしていない旨の所見を特許庁に提出することができる。この所見は、公費の支払いが不要となっており、商標出願の公告後登録までの間ならばいつでも提出可能である。ただし、この制度は、商標登録の相対的拒絶理由には適用されない。