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メキシコにおける商標異議申立制度の導入

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メキシコにおける商号の保護

【詳細】

 メキシコでは、会社を設立するための手続として、商号許可を取得しなければならないが、商号許可はメキシコ産業財産庁(Instituto Mexicano de la Propiedad Industrial:IMPI)によってなされるものではない。

 

 商号許可は、長年の間外務省によって許可が与えられてきたが、2012年1月1日より、経済省の管轄となっている。

 

 現在、商号許可は非常に簡易な手続となっており、許可申請人は経済省への申請書に採用希望順に三つの商号候補を記載すると、経済省は省内の商号データベースを用いて既存商号の有無を調査し、商号候補を許可するかどうか審査している。

 

 以前は、商号許可申請時には一つの商号候補しか申請が認められていなかった為に、同一の商号が既に存在し拒絶となった場合には、新たに商号許可申請を出し直す必要があった。このため、許可申請の数を減らし、最初の許可申請で許可を得られる可能性を増やすために、経済省は三つの商号候補を提示させる方法を採用した。

 

 2012年9月15日から、経済省とIMPIの合意に基づき、経済省はIMPIの商標データベースも調査し、商号候補が登録商標に抵触していなかどうかを確認するようになっている。

 

 経済省による調査の結果、商号候補が登録商標に抵触している場合、当該登録商標を商号候補の要部として使用する権限を有しているかどうか許可申請人に確認し、許可申請人が当該権限を有する証拠を提出できなかった場合、商号許可申請は拒絶される。

 

 商号許可は、許可申請人と経済省との間のみに限定された手続であり、第三者に公示されることはない。従って、商号許可手続において、利害関係を有する第三者が当該商号候補の許可に対して異議申立や無効請求を提起することは不可能である。

 

 メキシコ産業財産法は、商号に関する規定をいくつか有しているが、商号に関する最も重要な規定として、同法213条の5は、登録商標または登録商標と混同するほどに類似する商標を、商標権者の同意を得ることなく、自己の商号もしくは企業名称の要素として使用すること、およびその逆の行為は、商号もしくは企業名称の事業が登録商標の商品または役務に関連する場合に限り、法規違反を構成すると規定している。

 

 企業が商号を商標として保護することを決定する際には、下記の注意すべき点と、個々の状況によってケースバイケースとなることを踏まえて検討が必要である。

 

 メキシコ産業財産法に基づき、登録商標は、登録された同一の態様、もしくは登録商標の識別性を変えない微細な修正態様の範囲で使用されなければならない。商号を商標出願する前に、当該商号の使用態様が、メキシコ産業財産法が要求している商標の使用の要件を満たしているかどうか、第三者による権利行使に対して防御できるかどうか、メキシコの知財弁護士への事前確認を推奨する。