中国における過去10年間(2006年~2015年)の法改正の経緯
「『日中韓における特許無効審判についての制度及び統計分析に関する調査研究』報告書」(平成28年11月、日本国際知的財産保護協会)第II部2.2
(目次)
第II部 調査研究結果
2 日中韓における過去10年間の(平成18年~平成27年)の法改正の経緯
2.2 中国 P.61
中国における専利無効宣告請求(特許無効審判)に関する制度
「『日中韓における特許無効審判についての制度及び統計分析に関する調査研究』報告書」(平成28年11月、日本国際知的財産保護協会)第II部1.2、1.4
(目次)
第II部 調査研究結果
1.2 中国における専利無効宣告請求(特許無効審判)に関する制度 P.15
1.2.1 審判部の構成 P.15
1.2.2 専利無効宣告請求制度の概要 P.16
1.2.3 専利無効宣告手続における専利書類の補正(訂正)について P.20
1.2.4 口頭審理について P.22
1.2.5 中国における証拠の提出について P.24
1.2.6 専利無効宣告請求から裁判までの流れ P.27
1.4 日中韓の対比(対比表) P.45
1.4.1 日中韓における特許無効審判の一般的な制度の対比 P.45
1.4.2 日中韓における特許無効審判の無効理由の対比 P.48
1.4.3 口頭審理に関する制度の対比 P.50
1.4.4 特許無効審判中の訂正の対比 P.52
韓国における特許無効審判に関する制度
「『日中韓における特許無効審判についての制度及び統計分析に関する調査研究』報告書」(平成28年11月、日本国際知的財産保護協会)第II部1.3、1.4
(目次)
第II部 調査研究結果
1.3 韓国における特許無効審判に関する制度 P.29
1.3.1 審判部の構成 P.29
1.3.2 特許無効審判制度の概要 P.30
1.3.3 訂正の請求について P.36
1.3.4 口頭審理について P.39
1.3.5 特許無効審判から裁判までの流れ P.42
1.4 日中韓の対比(対比表) P.45
1.4.1 日中韓における特許無効審判の一般的な制度の対比 P.45
1.4.2 日中韓における特許無効審判の無効理由の対比 P.48
1.4.3 口頭審理に関する制度の対比 P.50
1.4.4 特許無効審判中の訂正の対比 P.52
韓国における特許無効審判での証拠の取扱い
「『日中韓における特許無効審判についての制度及び統計分析に関する調査研究』報告書」(平成28年11月、日本国際知的財産保護協会)第II部4.3.1
(目次)
第II部 調査研究結果
4 ヒアリング
4.3 韓国におけるヒアリング調査結果の詳細
4.3.1 証拠の取扱いについて P.131
韓国における権利範囲確認審判で特許発明の進歩性の有無を審理・判断できないとした判例
【詳細】
韓国大法院(日本における最高裁判所に相当。)において、「特許法または実用新案法が規定している権利範囲確認審判で特許発明または登録実用新案の進歩性有無を審理・判断できるかどうか」について、否定的結論を示す判決がなされた(大法院2014.3.20宣告2012HU4162全員合議体判決)。具体的には、権利範囲確認審判においては、特許発明または登録実用新案の進歩性の有無を審理・審判することはできないとした内容である。大法院の判断は以下の通りである。
大法院の判断
「韓国特許法では、特許無効審判手続きを経て、特許が一定の事由に該当する場合、特許を無効にすることができるとされているため、特許は一旦登録となれば、たとえ進歩性がなく、当該特許を無効にできる事由があっても、特許無効審判によって無効とするという審決が確定されない限り、他の手続きでその特許が無効であることを前提に判断を行うことはできない。
さらに、韓国特許法第135条が規定している権利範囲確認審判は、審判請求人がその請求で審判の対象にした確認対象技術および製品が特許権の効力が及ぶ客観的な範囲に属するか否かを確認する目的を有した手続きであるため、その手続きにおいて特許発明の進歩性の有無まで判断することは、特許法が権利範囲確認審判制度を置いている目的から外れ、その制度の本質に合わない。
特許法が審判という同一の手続内に権利範囲確認審判とは別に特許無効審判を規定し、特許発明の進歩性の有無が問題となる場合、特許無効審判でこれに関して審理し、進歩性が否定されれば、その特許を無効にするようにしているにもかかわらず、進歩性の有無を権利範囲確認審判でも判断できるようにすることは、本来、特許無効審判の機能に属する管轄を権利範囲確認審判に与えることであり、特許無効審判の機能を相当部分弱める恐れがあるという点で望ましくない。したがって、権利範囲確認審判では、特許発明の進歩性が否定されるという理由で、その権利範囲を否定してはならない。
ただし、特許の一部または全部が出願当時に公知公用である場合には、特許請求の範囲に記載されているという理由から、権利範囲を認め、独占的・排他的な実施権を付与することはできないため、権利範囲確認審判でも特許無効の審決の有無に関係なくその権利範囲を否定することができる。」(大法院1983年7月26日付宣告第81HU56号全員合議体判決などを参照)
公知公用ではなく、その技術分野で通常の知識を有する者が先行技術によって容易に発明することができる場合までも、このような法理を拡張して進歩性を否定することはできない。上記のような法理は実用新案法第33条(「特許法」の準用)に基づき、実用新案の場合にも同様に適用されると解される。
本判決の意義
今回の判決は、権利範囲確認審判制度の目的と本質を考慮し、進歩性の有無を審理することができないという態度を明確にした点で、肯定と否定の立場が併存した既存の判例を統一したという意義がある。