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ベトナムにおける特許事由と不特許事由

【詳細】

(1)特許を受けることができる発明の基本的要件

 ベトナムにおいて、特許を受けることが出来る発明は、下記3つの基本的な要件(新規性、進歩性、産業上の利用可能性)を満たさなければならない。

 

(i)新規性(知的財産法第60条)

 知的財産法第60条(1)によれば、ベトナム国内または国外において、出願日または優先日前に、使用によりまたは書面もしくは口頭での説明その他何らかの形態の手段により公然と開示されていない場合、発明は新規であるとみなされる。

 

 一方、知的財産法第60条(3)によれば、発明が、以下の事情で公知になった日から6ヵ月以内にその発明が特許庁に出願された場合は、発明の新規性は失われないものとみなされる(新規性喪失の例外)。

 (a)権利所有者の同意なしに第三者によって発明が開示された場合

 (b)権利所有者により科学研究報告書の形式で発明が開示された場合

 (c)ベトナム国内博覧会または国際博覧会において発明が開示された場合

 

(ii)進歩性(知的財産法第61条)

 ベトナム国内または国外において、出願日の前または優先日より前に国内または国外で、使用により、または書面もしくは口頭での説明その他の形式により既に開示されていた全ての技術的解決手段から、それが発明的進歩を構成し、かつ、当業者により容易に創出可能ではない発明は、進歩性を有すると判断される。

 

(iii)産業上の利用可能性(知的財産法第62条)

 発明に係る製品を大量生産し、または発明に係る方法を反復し、かつ、安定的成果を達成することが可能な場合、当該発明は産業上の利用可能性を有するとみなされる。

 

(2)特許性の例外

(i)不特許事由(知的財産法第59条)

 知的財産法第59条は、不特許事由を以下の通り規定している。

 (a)発見、科学的理論および数学的方法

 (b)精神活動の実行、飼育動物の訓練、ゲーム、事業遂行を行うための計画、企画、規則または方法、コンピュータプログラム

 ベトナム知的財産法とその実務によれば、コンピュータプログラムは一般的に、著作権により保護される。コンピュータプログラムは、特許保護の対象とはならない。ただし、請求項に記載されたコンピュータプログラムが何らかの技術的改善を有し、コンピュータによってそのプログラムを実行したときに、プログラムとコンピュータの間の通常の相互作用以外の特定の技術的効果を確実に提供する場合は、当該プログラムは特許保護の対象となる可能性がある。コンピュータプログラムに関する特許保護を求める場合、発明の名称は、「コンピュータプログラム」、「コンピュータソフトウェア」、「信号を搬送するプログラム」またはそれに類する用語を含んではならない。

 (c)情報の提示

 (d)審美的特徴のみの解決

 発明は特定の有用性または効果を社会に提供しなければならないので、審美的特徴のみの解決は、特許保護の対象から除外される。

 (e)植物品種と動物品種

 (f)植物および動物の生産のための本質的に生物学的性質の方法であって、微生物学的方法以外のもの

 (g)ヒトまたは動物のための疾病予防、診断および治療

 この例外は、人道主義と公衆衛生への配慮に基づくものである。なお、この例外は、診断、疾病予防または治療を目的とした器具または製品には適用されない。

 

(ii)公共の秩序または社会道徳に反する発明(知的財産法第8条)

 知的財産法第8条(1)は、社会道徳、公共の秩序に反し、または国家の防衛および安全保障に反する知的財産対象物は保護しない、と規定している。