インドにおける知的財産権侵害に係る損害賠償システムの概要
「インドの知財に係る裁判所・審判所及び知財侵害に係る損害賠償システムの概要」(2021年3月、日本貿易振興機構ニューデリー事務所 知的財産権部)
(目次)
第1章 インドの知財事案を扱う裁判所と審判所 p.1
(特許意匠商標総局(O/o CGPDTM)、知的財産審判委員会(IPAB)、裁判所の権能および権限についての紹介やインドの裁判所における「レビュー」について解説をしている。また、特許に関する行政事件および侵害事件の手続概要を紹介している(特許に関する不服申立ルートの表、上訴手続のフローチャートあり)。)
1.1 特許意匠商標総局(O/o CGPDTM) p.1
1.1.1 民事裁判所としての長官の権限 p.1
1.1.2 特許に関する長官の判断レビュー権限 p.2
1.2 知的財産審判委員会(IPAB) p.4(2021年4月に、インド法務省がIPAB即時廃止を公表しました。)
1.3 裁判所 p.5
1.4 レビュー p.6
1.4.1. 一般概念 p.6
1.4.2. De NovoレビューとClearly Erroneousレビュー p.6
1.5 特許に係る行政事件 p.8
1.5.1 特許庁、IPABおよび裁判所の関係 p.8
1.5.2 特許に関する不服申立ルート p.9
1.6 特許に関する侵害事件 p.10
1.7 判決・命令の執行 p.11
1.8 その他 p.12
第2章 知財侵害訴訟における損害賠償 p.13
(特許法および商標法における損害賠償について解説するとともに、損害賠償の種別、損害賠償の付与についての裁判所の判断の傾向、商事裁判所の規定、損害賠償の算定方法および損害賠償に関する判例を紹介している。)
2.1 損害賠償の裁定アプローチ p.13
2.1.1 損害賠償の評価に係る原則 p.13
2.1.2 裁判所が裁定する損害賠償の種別 p.14
2.1.3 懲罰的損害賠償に係る裁判所の動向 p.15
2.1.4 損害賠償の付与の考え方 p.17
2.1.5 その他 p.18
2.2 損害賠償額と「利益の損失」 p.19
2.2.1 利益の損失 p.19
2.2.2 一般的な算定方法 p.19
2.3 ライセンス p.21
2.3.1 親子会社間のロイヤリティ料 p.21
2.3.2 標準必須特許(SEP)におけるロイヤルティ料 p.21
2.4. 損害賠償訴訟の分析 p.22
2.4.1 概要 p.22
2.4.2 裁判所が裁定した損害賠償に関する事例 p.22
2.4.3 インドの裁判所が裁定する損害賠償額に関する分析/意見 p.24
2.5 事例研究 p.26
2.5.1 ケース1(商標) p.26
2.5.2 ケース2(特許) p.27
ベトナムの模倣被害に対する措置および対策
「模倣被害に対する主要各国による措置及び対策に関する実態調査報告書」(平成29年3月、日本国際知的財産保護協会)第3章14、第2章
(目次)
第3章 各国の模倣被害に対する措置及び対策
14 ベトナム P.267
14.1 エンフォースメントに係る制度の内容及び運用状況 P.267
14.1.1 水際措置の内容及び実施状況 P.269
14.1.2 刑事措置の内容及び実施状況 P.283
14.1.3 民事措置の内容及び実施状況 P.285
第2章 概括表 P.7
アラブ首長国連邦における商標異議申立制度
1.異議申立の要件および異議理由
アラブ首長国連邦商標法第14条の規定により、UAEにおいて、公告決定となった商標出願は、異議申立のために公告され、いかなる利害関係者も、異議理由に基づき異議申立書を提出することができる。異議申立期間は、公報およびアラビア語の日刊新聞2紙の最後の公告日から30日間である。異議申立期限の延長を申請することはできない。
異議申立は、UAEにおける行政手続であり、基本的に訴訟手続ほど費用はかからない。異議申立手続は、登録可能性の問題にほぼ限定され、書面記録に基づいて行われる。
UAEにおいて先行権利が確立されていない場合でも、著名性を根拠に異議申立を提起できる。商標が著名とみなされる程度は通常、周知商標の保護に関する国際基準(パリ条約の第6条の2)に従い、さらに周知商標保護の国内基準に従い判断される。いかなる証明力のある証拠も受け入れられ、次の要因を含む証拠全体に基づいて判断が下される:(i)販売の期間および地理的範囲;(ii)売上高;(iii)広告支出および広告の見本;(iv)表彰、論評および報道;(v)国内の関連する業界および消費者団体における当該商標の評判;ならびに(vi)商標の認知度を評価するための専門家証言および調査。
他に認められる異議理由として、次のものが挙げられる:絶対的拒絶理由;悪意;パリ条約第6条の7(商標所有者の代理人または他の代表者の名義による登録)に基づく権利;パリ条約第8条(商号)に基づく権利;パリ条約第6条の3(国章、公式証明印および政府間機関の紋章に関する禁制)に基づく権利;公序良俗に反するもの。
2.異議手続および取下
異議を提起する当事者として異議申立人は、異議理由を述べる責任がある。出願人は答弁書を提出できるが、出願人が答弁書を提出した場合、異議申立人は反駁書を提出する機会を与えられる。これらの書面に関しては、提出期限およびページ数の制限が設けられている。異議手続は書面記録のみで行われ、一方の当事者が要求する場合に限り、ヒアリングが開かれる。ヒアリングが設定されると、新たな証拠を提出することはできない。商標局は、ヒアリングを利用して、両当事者の書面において明確ではない事実や主張について質問する。
異議申立書が提出された場合、当該出願の出願人は、異議申立書を受領後、答弁書を提出できるが、答弁書を提出しない場合、当該出願は却下される。答弁書は異議申立書内容に対する簡潔な否認で構成され、かかる答弁を裏づける証拠を提出する必要はない。
UAEは、先願主義の国であるので、異議申立において先行登録商標の使用を論点とすることはできない。先行登録商標の使用について論争するためには、出願人は別個に不使用取消訴訟を提起しなければならない。不使用取消訴訟において判決が出されるまでの間、異議申立手続が中断されることはなく、その逆もまた同様である。
双方の当事者は、異議対象の商標の使用について和解契約を締結することがあるが、異議申立の取下条件について出願人または異議申立人が同意しているかどうかにかかわらず、異議申立の取下により、異議手続は自動的に終了する。異議申立人は、どの時点でも手続を取り下げることができるが、異議申立手続は、取下を証明する商標局の公式通知が発行されるまで、有効に存続する。
各当事者により提出された書面に基づいて、さらに特定の場合にはヒアリングに基づいて、商標局は異議対象の出願に対する異議決定を発行する。異議決定を不服とする場合は、商標局の異議決定から15日以内に商標委員会に不服申立することができる。さらに商標委員会の決定を不服とする場合は、その決定の通知日から30日以内に、更なる上訴を民事裁判所に提起することができる。
チリにおける特許ライセンスおよび技術移転に関する留意点
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