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日本とインドネシアにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

1. 日本における意匠権の権利期間
 日本における意匠権の権利期間は、出願日から最長25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年間、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から20年間である。

 なお、関連意匠の意匠権の権利期間は、その基礎意匠の出願日から25年間である(意匠法第21条第2項)。ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から20年間である。

 権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次分から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。

日本意匠法 第21条 存続期間
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

 意匠法第42条および第43条は、省略(【ソース】の「日本国意匠法」を参照されたい。)。

2. インドネシアにおける意匠権の権利期間
 インドネシアにおける意匠権の権利期間は、出願日から最長10年をもって終了する(インドネシア意匠法第5条)。登録時には登録料の納付手続はなく、登録証が発行される。登録証は、出願日から有効となる(インドネシア意匠法第29条(2))。

 権利期間の間に、年金納付や更新などの意匠権を存続させるための手続はない。

インドネシア意匠法 第5条
(1) 意匠の保護は、出願日から10年間与えられる。
(2) (1)の規定における保護の開始日は、意匠一般登録簿に記録され、意匠公報により公開される。

 インドネシア意匠法第29条は、省略(【ソース】の「インドネシア意匠法」を参照されたい。)。

日本とインドネシアにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本インドネシア
権利期間出願日から25年出願日から10年
権利維持登録日を年金納付起算日として2年次分から毎年、年金の支払い要なし(更新不可)

日本とインドにおける特許審査請求期限の比較

1. 日本における審査請求期限
1-1. 審査請求
 日本において特許出願の審査を受けるためには、出願審査の請求を行う必要がある。出願審査の請求は、出願日から3年以内に行うことができ(日本特許法(以下「特許法」という。)第48条の3第1項)、この期限内に出願審査の請求がされない場合は、その特許出願は取下げられたものとみなされる(特許法 第48条の3第4項)。ただし、所定の期間内に出願審査の請求がなされなかったことにより特許出願が取り下げられたものとみなされた場合であっても、その期間を徒過したことについて「故意によるものでない」ときは、出願審査の請求をすることができるようになった日から2か月以内であって、期間経過後1年以内に限り、出願審査の請求を行うことができる(特許法 第48条の3第5項)。

 出願が、国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は、優先日(先の出願の出願日)ではなく、優先権主張を伴う出願(後の出願)の実際の出願日である(工業所有権法逐条解説 特許法 第48条の3趣旨)。

 PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でなければ、出願審査の請求をすることができない(特許法 第184条の17)。この場合、国際出願は国際出願日に出願された特許出願とみなされるので(特許法 第184条の3第1項)、審査請求期限は国際出願日から3年である。
 また、特許出願の分割に係る新たな特許出願、意匠登録出願または実用新案登録出願の変更に係る特許出願、実用新案登録に基づく特許出願については、原出願から3年の期間経過後であっても、分割または変更による特許出願の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができる(特許法第48条の3第2項)。

 なお、出願審査の請求は、出願人だけでなく、第三者も行うことができる(特許法第48条の3第1項)。

日本特許法 第48条の2 特許出願の審査
特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。
日本特許法 第48条の3 出願審査の請求
 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。
(第2項から第3項省略)
4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。
5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、出願審査の請求をすることができる。ただし、故意に、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。
(第6項以降省略)

1-2. 優先審査
 出願公開後に特許出願人でない者が業として特許出願の発明を実施している場合には、出願人または特許出願の発明を実施している者は、優先審査を受けるために、優先審査の事情説明書を提出することができる(特許法 第48条の6)。特許庁長官が必要と認める場合には、その出願は、他の出願に優先して審査を受けることができる。
 事情説明書には、特許出願の発明の実施状況等を記載し、根拠となる書類または物件を添付することができる(日本特許法施行規則 第31条の3)。
 
1-3.早期審査
 出願人は、早期審査の申請により、一定の要件の下で通常に比べて早期に特許出願の審査を受けることができる(特許出願の早期審査・早期審理ガイドライン)。これは法定されている優先審査とは異なり特許庁における運用であり、以下の要件を満たす出願が対象とされる。

(1) 出願審査の請求がなされていること
(2) 以下のいずれか1つの条件を満たしていること
 ・中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願
 ・外国関連出願
 ・実施関連出願
 ・グリーン関連出願
 ・震災復興支援関連出願
 ・アジア拠点化推進法関連出願
(3) 特許法第42条第1項の規定により取下げとならないものであること
(4) 代理人が弁理士、弁護士または法定代理人のいずれかに該当すること

2. インドにおける審査請求
2-1. 審査請求
 インドにおいて特許出願の実体審査を受けるためには、実体審査請求を行う必要がある(インド特許法 第11B条(1))。

 実体審査請求は、出願日から、または優先権主張を伴う出願は原出願の優先日から31か月以内に行うことができる(インド特許規則 24B(1)(i))。従来、審査請求期間は、出願日または優先日から48か月以内とされていたが、2024年3月15日施行のインド特許規則の改正によって短縮された。

 期限内に実体審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(インド特許法 第11B条(4))。
 
 なお、インドにおいて実体審査請求を行うことができるのは、出願人または利害関係人である(インド特許法 第11B条(1))。

インド特許法 第11B条 審査請求
(1) 如何なる特許出願についても、出願人または他の利害関係人が所定の期間内に所定の方法により審査請求をしない限り、審査しないものとする。
((2) 以下省略)
インド特許規則 24B(1)(i) 出願の審査
 第11B条に基づく審査請求は、様式18により、出願の優先日又は出願日の何れか先の日から31月以内にしなければならない。
((1)(ii)以下省略)

2-2. 早期審査請求
 インドにおいて出願人は、下記のいずれかの理由に基づき、所定の手数料を添えて早期審査の請求をすることができる。早期審査の請求は、電子送信によって行わなければならない(インド特許規則 24C(1)))。

(1) 出願に関する理由
・国際出願であって、インドが管轄国際調査機関として指定されているか、または国際予備審査機関として選択されている。
・中央政府の各省庁の長からの要請に基づいて、中央政府が通知した分野に関連する出願である。

(2) 出願人に関する理由
・スタートアップ企業である。
・小規模事業体である。
・自然人であり、かつ女性である。出願人が複数の場合は、全てが自然人であり、かつ少なくとも一人が女性である。
・政府の各省庁である。
・政府により所有または管理されている、国法、地域法または州法により設立された機関である。
・2013年会社法(18 of 2013)第2節の条項(45)に定義される国有会社である。
・政府によって全額または実質的に資金提供されている機関である。
・出願人がインド特許庁と外国特許庁との間の協定に従って特許出願を処理するための取決めに基づく資格を有する。

◆日本とインドの特許審査請求期限を比較すると、以下のようになる。

日本インド
提出期間3年31か月
基準日・優先権主張の有無に関わらず日本の出願日・インドの出願日 ・優先権が主張されている場合は優先日

日本とタイにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

1. 日本における意匠権の権利期間
 日本における意匠権の権利期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。
 ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から20年である。

 なお、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年間である(意匠法第21条第2項)。
 ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年である。

 なお、権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。

条文等根拠:意匠法第21条、第42条、第43条

日本意匠法第21条 存続期間
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。
日本国意匠法第42条 登録料
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
(第2項以下省略)
日本意匠法第43条 登録料の納付期限
前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
(第3項以下省略)

2. タイにおける意匠権の権利期間
 タイにおける意匠権の権利期間は、出願日から10年をもって終了する(特許法第62条)。

 なお、権利維持を希望する場合には、出願日を年金納付起算日として5年次から毎年、年金を支払う必要がある。ただし、登録になるまでは年金を支払う義務はなく、意匠特許が意匠特許期間の5年次の開始後に付与された場合は、意匠特許付与後60日以内に累積年金(出願日を年金納付起算日として5年次から意匠特許が付与された年次までを合わせた年金)をまとめて支払う。

条文等根拠:特許法第62条、第43条、第65条(特許法第43条を準用する根拠)

タイ特許法 第62条
意匠特許の有効期間は、国内での出願の日から10年間とする。
意匠特許の期間は、第16条を準用する第65条、又は第74条に基づき裁判所に訴訟が係属している期間を含まない。
タイ特許法 第43条
特許権者は、省令に定める年金を特許期間の5年目から納付しなければならない。年金は、特許期間の5年目及びそれに続く年度の開始後60日以内に納付しなければならない。
特許が特許期間の5年目の開始後に付与されたときは、最初の年金は、特許の付与後60日以内に納付しなければならない。
(以下省略)
タイ特許法 第65条
第II章の発明特許に関する第10条、第11条、第12条、第13条、第14条、第15条、第16条、第19条、第20条、第21条、第22条、第27条、第28条、第29条、第31条、第32条、第33条、第34条、第37条、第38条、第39条、第40条、第41条、第42条、第43条、第44条及び第53条の規定は、第III章の意匠特許について準用するものとする。

日本とタイにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本タイ
権利期間出願日から25年出願日から10年
権利維持登録日を年金納付起算日として、2年次から毎年、年金の支払い要出願日を納付起算日として、5年次以降毎年、年金の支払い要。ただし、意匠特許が意匠特許期間の5年次の開始後に付与された場合は、意匠特許付与後60日以内に累積年金を支払う。

日本とインドネシアにおける特許審査請求期限の比較

1.日本における審査請求期限
 日本においては、特許出願の審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ(特許法第48条の3第1項)、この期限内に出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(特許法第48条の3第4項)。ただし、所定の期間内に出願審査の請求がなされなかったことにより特許出願が取り下げたものとみなされた場合であっても、当該期間を徒過したことについて「故意によるものでない」ときは、出願審査の請求をすることができるようになった日から2か月以内で、期間経過後1年以内に限り、出願審査の請求を行うことができる(特許法第48条の3第5項)。

 出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は、優先日(先の出願の出願日)ではなく、優先権主張を伴う出願(後の出願)の実際の出願日である(工業所有権法逐条解説 特許法第48条の3趣旨)。

 PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。この場合の審査請求期限は、国際出願日から3年である。

 また、特許出願の分割に係る新たな特許出願、意匠登録出願または実用新案登録出願の変更に係る特許出願、実用新案登録に基づく特許出願については、原出願から3年の期間経過後であっても、分割または変更による特許出願の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる(特許法第48条の3第1項)。

条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第184条の17

日本国特許法 第48条の2(特許出願の審査)
 特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。

日本国特許法 第48条の3(出願審査の請求)
 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

4 第一項または第二項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、出願審査の請求をすることができる。ただし、故意に、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

(第6から第8項省略)

日本国特許法 第184条の17(出願審査の請求の時期の制限)
 国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあつては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあつては第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

2.インドネシアにおける審査請求期限
 インドネシアにおいては、特許出願の審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある(特許法第51条(1))。審査請求は、インドネシア出願日から36か月以内に行わなければならず、出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(特許法第51条(2)(3))。なお、審査請求は出願人のみが行うことができる(特許規則第52条(1))。

条文等根拠:特許法第51条(1)(2)(3)、特許規則第52条(1)

インドネシア特許法 第51条
(1) 実体審査の請求は、手数料を納付して大臣に対して書面で行われる。
(2) (1)項における実体審査請求は、出願日から36か月以内に行われる。
(3) (1)項における期間内に実体審査請求が行われなかった場合又はそのための手数料が支払われなかった場合、出願は取下げられたものとみなされる。
(4)から(8) 省略

インドネシア特許規則 第52条
(1) 公開期間の満了後であるが、特許出願の受理の日から 36 月以内に、実体審査の請求は、特許局に対して特許出願人により行うことができる。
(2) (1)にいう実体審査の請求は、手数料の額及び納付手続が大臣により定められた手数料の納付とともに行われる。
(3) 省略

日本とインドネシアにおける特許審査請求期限の比較

日本 インドネシア
提出期限 3年 36か月
基準日 日本の出願日 インドネシアの出願日

日本とインドにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

1.日本における意匠権の権利期間
 日本における意匠権の権利期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。
 ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から20年である。

 なお関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年間である(意匠法第21条第2項)。
 ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年である。

 なお、権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。

条文等根拠:意匠法第21条、第42条、第43条

日本意匠法第21条 存続期間
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

日本国意匠法第42条 登録料
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
(第2項以下省略)

日本意匠法第43条 登録料の納付期限
前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
(第3項以下省略)

2.インドにおける意匠権の権利期間
 インドおける意匠権の権利期間は、出願日(優先権主張がある場合は優先日)から最長15年をもって終了する(インド意匠法第11条(1)、インド意匠規則30条(3))。

 なお、最長15年までの権利維持を希望する場合は、出願日(優先日)を起算日として10年間の満了前に所定の手数料を支払う必要がある(インド意匠法第11条(2)、インド意匠規則30条(3))。

条文等根拠:インド意匠法第11条、インド意匠規則30条

インド意匠法第11条 登録による意匠権
(1) 意匠が登録された時、登録意匠所有者は、本法に従うことを条件として、登録日から10年間当該意匠権を有する。

(2) 前記10年間の満了前に意匠権期間の延長申請が所定の方法で長官に対してされたときは、長官は、所定の手数料の納付により、意匠権期間を、最初の10年間の満了時から、次期の5年間延長する。

インド意匠規則第30条 意匠登録
((1)、(2)省略)
(3) 受理された意匠が相互主義主張日の認められているものに係る場合は、前記意匠における意匠権の登録、期間の延長または満了については、相互主義主張日から起算する。

日本とインドにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本 インド
権利期間 出願日から25年 出願日(優先日)から最長15年
権利維持 登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金の支払い要 出願日(優先日)を起算日として10年間の満了前に手数料の支払い要

日本と韓国における意匠権の権利期間および維持に関する比較

1.日本における意匠権の権利期間
 日本における意匠権の権利期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。
 ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から20年である。

 関連意匠の意匠権の権利期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年である(意匠法第21条第2項)。
 ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年である。

 なお、権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。

条文等根拠:意匠法第21条、第42条、第43条

日本意匠法第21条 存続期間
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

日本国意匠法第42条 登録料
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
(第2項以下省略)

日本意匠法第43条 登録料の納付期限
前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
(第3項以下省略)

2.韓国における意匠権の権利期間
 韓国における意匠権の権利期間は、出願日から20年間をもって終了する。ただし、出願日が2014年7月1日より前の出願は、登録日から15年間をもって終了とする。また、関連意匠権の権利期間は、基本意匠の権利期間と同時に終了する(デザイン保護法第91条第1項)。

 なお、権利維持を希望する場合には、登録日を年金納付起算日として、登録後4年次から毎年、年金を支払う必要がある(デザイン保護法第79条第1項)。

※デザイン保護法は、日本における意匠法に相当する。

条文等根拠:デザイン保護法第91条、第79条

韓国デザイン保護法 第91条 意匠権の存続期間
(1) 意匠権は、第90条第1項によって設定登録した日から発生して意匠登録出願日後20年になる日まで存続する。ただし、第35条に基づく関連意匠権の存続期間満了日は、その基本意匠の存続期間満了日とする。
(2) 正当な権利者の意匠登録出願が第44条および第45条によって意匠権が設定登録された場合には、第1項の意匠権存続期間は無権利者の意匠登録出願日の翌日から起算する。

韓国デザイン保護法 第79条 意匠登録料
(1) 第90条第1項による意匠権の設定登録を受けようとする者は、設定登録を受けようとする日から3年分の意匠登録料(以下“登録料”という)を支払わなければならず、意匠権者はその翌年からの登録料をその権利の設定登録日に該当する日を基準に毎年1年分ずつ出さなければならない。
(2) (1)にもかかわらず意匠権者はその翌年からの登録料はその納付年度順序によって数年分または全ての年度分を共に出すことができる。
(3) (1)および(2)による登録料、その納付方法および納付期間、その他必要な事項は、産業通商資源部令で定める。

日本と韓国における意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本 韓国
意匠権の権利期間 出願日から25年 出願日から20年
関連意匠の意匠権の権利期間 基礎意匠の出願の日から25年 基本意匠の権利期間と同じ
権利維持 登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金の支払い要 登録日を年金納付起算日として4年次から毎年、年金の支払い要

日本と中国における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

1.日本における意匠出願の新規性喪失の例外
 日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下のとおりである。

(1) 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(意匠法第4条第1項)または
(2) 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(意匠法第4条第2項)

 上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。

(a) 意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること
(b) 意匠が最初に公開された日から1年(平成30年6月9日以降の出願に適用)以内に意匠登録出願をしていること。ただし、平成29年12月8日までに公開された意匠については、平成30年6月9日以降に出願しても、改正意匠法第4条の規定は適用されないので注意が必要。
 なお、意匠法第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。
(c) 出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(意匠法第4条第3項)。
(d) 出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(意匠法第4条第3項)。

 「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開者、公開された意匠の内容等)とともに、その事実を客観的に証明するための署名等を記載することが必要である。上記要件を満たした場合、その意匠登録出願に限り、その公開意匠は公知の意匠ではないとみなされる(意匠審査基準 新規性喪失の例外)。

条文等根拠:意匠法第4条、意匠審査基準 第Ⅲ部 第3章 新規性喪失の例外(【ソース】参照)

日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外
1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかったものとみなす。
2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同項第一号又は第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面(次項において「証明書」という。)を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
4 証明書を提出する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に証明書を提出することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなった日から十四日(在外者にあっては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその証明書を特許庁長官に提出することができる。

2.中国における意匠出願の新規性喪失の例外
 2021年6月1日施行の専利法第4次改正により、意匠出願の新規性喪失の例外が規定されている専利法第24条が改正され、第1項第1号が追加されて旧第1~3号が改正後の専利法第24条第1項第2~4号となった。なお、現時点で、専利法実施細則、専利審査指南は、専利法改正に対応した改正はなされていない。

 出願日前に意匠出願の内容が公開された出願人に対する救済措置として、(1) 国家において緊急事態、または非常事態が発生した時の、公共の利益のための初めての公開、(2) 中国政府が主催する、または認める国際展示会での初めての展示、(3) 規定の学術会議、あるいは技術会議上での初めての発表、(4) 出願者の同意を得ない他者によるその内容の漏洩、の四つの場合に限って、6か月の新規性喪失の例外期間が設けられている。

 この新規性喪失の例外期間を利用するには、(2)と(3)の場合には、出願の時に宣誓し、かつ出願日から2か月以内に証明書類を提出しなければならない(専利法実施細則第30条第3項、専利審査指南第1部分第1章6.3.1、6.3.2)。また、(4)の場合には、他人が出願人の許可を得ずに当該内容を漏らしたことを出願人が出願日以前に知っているならば、出願時に宣誓し、かつ出願日から2か月以内に証明資料を提出しなければならず、出願人が出願日以降に知った場合には、当該事情を知った後の2か月以内に新規性喪失の例外期間を要求する声明書を提出し、証明資料を添付しなければならない(専利審査指南第1部分第1章6.3.3)。なお、国務院専利行政部門(中国国家知識産権局)は必要に応じて、指定期限内での証明書類の提出を出願人に要求することができる(専利法実施細則第30条第4項)。

 条文等根拠:専利法第24条、専利法実施細則30条、専利審査指南第1部分第1章6.3.1、専利審査指南第1部分第1章6.3.2、専利審査指南第1部分第1章6.3.3

※専利法:日本における特許法、意匠法、実用新案法に相当する。
※実施細則:日本における施行規則に相当する。
※審査指南:日本における審査基準に相当する。

中国専利法 第24条
専利を出願する発明創造について、出願日前6ヶ月以内に以下の状況のいずれかがあった場合、その新規性を喪失しないものとする。
(一)国家において緊急事態又は非常事態が発生し、公共の利益のために初めて公開した場合。
(二)中国政府が主催する又は認める国際展示会で初めて展示された場合。
(三)規定の学術会議、又は技術会議上で初めて発表された場合。
(四)他者が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合。

中国専利法実施細則 第30条
 専利法第二十四条第(一)号に言う中国政府が承認した国際博覧会とは、国際博覧会条約に定められた、博覧会国際事務局に登録したあるいはそれに認められた国際博覧会を指す。

 専利法第二十四条第(二)号に言う学術会議または技術会議とは、国務院の関係主管部門または全国的な学術団体が組織開催する学術会議または技術会議を指す。

 専利を出願する発明創造に専利法第二十四条第(一)号または第(二)号に挙げた事情がある場合、出願人は専利出願の提出時に声明し、かつ出願日より起算して2ヶ月以内に、国際博覧会または学術会議、技術会議の主催者が発行した、関係発明創造が既に展示されまたは発表された事実、並びに展示または発表の期日を証明する書類を提出しなければならない。

 専利を出願する発明創造に専利法第二十四条第(三)号に挙げた事情がある場合、国務院専利行政部門は必要に応じて、指定期限内での証明書類の提出を出願人に要求することが出来る。

 出願人が本条第3項の規定に基づいて声明と証明書類を提出せず、あるいは本条第4項の規定に基づいて指定期限内に証明書類を提出しなかった場合、その出願は専利法第二十四条の規定を適用しない。

専利審査指南第1部分第1章6.3.1 中国政府が主催し又は承認した国際展覧会における初めての展示

 中国政府が主催する国際展覧会は、国務院・各部委員会が主催するもの、又は国務院が許可し、その他の機構或いは地方政府が開催する国際展覧会を含む。中国政府が承認する国際展覧会とは、国際展覧会条約に規定されたもので、国際展覧局で登録又は認可された国際展覧会を指す。国際展覧会というのは、出展される展示品は主催国の製品のほか、外国からの製品も展示されなければならない。

 専利出願に係わる発明創造は、出願日以前の6ヶ月以内に、中国政府が主催し又は承認した国際展覧会で初めて展示されており、出願人は新規性を喪失しない猶予期間を要求する場合、出願時に願書で声明し、かつ出願日より2ヶ月以内に証明資料を提出しなければならない。

 国際展覧会の証明資料は展覧会の主催機構が発行するものでなければならない。証明資料に、展覧会の出展日、場所、展覧会の名称及び当該発明創造が展示された出展日時、形式と内容を記載して、公印を捺印しなければならない。

専利審査指南第1部分第1章6.3.2 認可された学術会議又は技術会議で初めて発表

 認可された学術会議又は技術会議とは、国務院の関連主管部門又は全国的な学術団体組織が開催する学術会議又は技術会議を指し、省以下、又は国務院の各部委員会若しくは全国的な学術団体から委任を受けて、或いはその名義により召集して開催する学術会議又は技術会議を含まない。後者で言う会議での公開は、新規性の喪失につながるが、これらの会議そのものに守秘の約束がある場合は除く。

 専利出願する発明創造が出願日以前の6ヶ月以内に認可された学術会議又は技術会議で初めて発表されており、出願人は新規性を喪失しない猶予期間を要求する場合、出願時に願書で声明し、かつ出願日より2ヶ月以内に証明資料を提出しなければならない。

 学術会議及び技術会議の証明資料は国務院の関連主管部門又は会議を組織する全国的な学術団体が発行するものでなければならない。証明資料には会議の開催日、場所、会議の名称及び当該発明創造の発表日、形式と内容を明記し、公印を捺印しなければならない。

専利審査指南第1部分第1章6.3.3 他人が出願人の許可を得ずに当該内容を漏らした場合

 他人は出願人の許可を得ずに、当該内容を漏らしたことにより公開されたこと

は、他人が明示又は黙認された守秘の約束を守らずに発明創造の内容を公開すること、他人が威嚇、詐欺又はスパイ活動などの手段により発明者、或いは出願人から発明創造の内容を得ることによって発明創造を公開することを含む。

 専利を出願する発明創造について、出願日以前の6ヶ月以内に、他人が出願人の許可を得ずに当該内容を漏らしたことを、出願人が出願日以前に知っているならば、専利出願時に願書で声明し、出願日より2ヶ月以内に証明資料を提出しなければならない。出願人が出願日以降に知っている場合は、当該事情を知った後の2ヶ月以内に新規性を喪失しない猶予期間を要求する声明を提出し、証明資料を添付しなければならない。審査官は必要であると判断した際に、指定された期限以内に証明資料を提出するよう、出願人に要求して良いとする。

 出願人が提出する他人による出願内容の漏洩に関する証明資料には、漏洩日、漏洩方法、漏洩内容を記載し、証明人が署名又は捺印しなければならない。

 出願人は新規性を喪失しない猶予期間を要求しているが、規定事項に合致しない場合、審査官は、新規性を喪失しない猶予期間を求めていないとみなす通知書を発行しなければならない。

日本と中国における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

日本 中国
新規性喪失の例外の有無
意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因する公知行為の限定の有無
(1) 国家において緊急事態又は非常事態が発生し、公共の利益のために初めて公開した場合
(2)中国政府が主催するまたは認める国際展示会での初めての展示
(3)規定の学術会議、あるいは技術会議における初めての発表
例外期間 公開日から1年 公開日から6か月

日本と中国の意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

1.日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定の書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後(意匠法第68条第2項、特許法第17条第3項)、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる(意匠法第16条)。実体審査において審査される内容は以下の通りである(意匠法第17条)。

物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合、建築物の形状等又は画像であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条第1項)
工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
新規性を有する意匠であること(第3条第1項各号)
創作非容易性を有すること(第3条第2項)
先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
公序良俗違反でないこと(第5条第1号)
他人の業務に係る物品、建築物又は画像と混同を生じる恐れがないこと(第5条第2号)
物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条第3号)
組物の意匠として統一的な美観を生じさせること(第8条)
内装の意匠として統一的な美観を生じさせること(第8条の2)
最先の出願であること(第9条)
関連意匠の要件を満たすこと(第10条)
共同出願の要件を満たすこと(第15条第1項で準用する特許法第38条)
外国人の権利の享有の要件を満たすこと(第68条第3項で準用する特許法第25条)
条約の規定により意匠登録できないものでないこと(第17条第2項)
一意匠一出願の要件を満たすこと(第7条)
出願人が意匠登録を受ける権利を有していること(第17条第4項)

条文等根拠:意匠法第16条、第17条

日本意匠法 第16条 審査官による審査
特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

日本意匠法 第17条 拒絶の査定
審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の2、第5条、第8条、第8条の2、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項、第4項もしくは第6項、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。
四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

2.中国における意匠出願の審査

 中国における意匠登録手続においては、新規性や、先行する他人の権利と抵触するか否かに関する審査(実体審査)は行われない。願書や添付書類などが所定の書式を満たしているかどうか、および明らかに不登録事由に該当するかどうかなどの予備審査のみが行われる(専利法第40条)。なお、予備審査において審査される内容は、以下の通りである(専利法実施細則第44条)。

法で定める意匠に該当していること(専利法第2条第4項)
公序良俗に違反しないこと(専利法第5条)
既存の意匠に属さないものであること(専利法第23条第1項)
平面印刷物の模様、色彩又は両者の組み合わせによって作成され、主に表示を機能とする意匠に該当しないこと(専利法第25条第1項第6号)
図面または写真の提出要件を満たしていること(専利法27条第2項、専利法実施細則第27条)
一意匠一出願の要件を満たしていること(専利法第31条第2項)
補正の範囲の要件を満たしていること(専利法第33条)
専利代理機関の義務に違反していないこと(専利法第18条)
手続が書面または定められたその他の形式によって行われていること(専利法実施細則第2条)
書面が中国語で作成されていること(専利法実施細則第3条)
願書の記載要件を満たしていること(専利法実施細則第16条)
意匠の簡単な説明の要件を満たしていること(専利法実施細則第28条)
分割出願の要件を満たしていること(専利法実施細則第43条第1項)

条文等根拠:専利法第40条、専利法実施細則第44条

中国専利法 第40条
 実用新案および意匠の特許出願に対して予備審査を行い、これを却下する理由が存在しない場合、国務院専利行政部門が実用新案特許権または意匠特許権を付与する決定を下し、相応する特許証書を交付する。同時に登記して公告し、実用新案特許権および意匠特許権は公告日から有効となる。

中国専利法実施細則 第44条
 専利法第34条と第40条に言う予備審査とは、特許出願が専利法第26条または第27条に規定する書類とその他の必要な書類を具備しているか、これらの書類が規定の書式に合致しているかを指し、さらに以下の各項を審査する。
((1)発明、(2)実用新案に関する規定は省略)
(3)意匠特許出願が専利法第5条、第25条第1項第(6)号に規定される状況に明らかに属しているか、専利法第18条、第19条第1項または本細則第16条、第27条、第28条の規定に合致しないではないか、専利法第2条第4項、第23条第1項、第27条第2項、第31条第2項、第33条あるいは本細則第43条第1項の規定に明らかに合致していないではないか、専利法第9条の規定に基づいて特許権を取得できないではないか
(4)出願書類が本細則第2条、第3条第1項の規定に合致するか。
国務院特許行政部門は審査意見を出願人に通知し、指定の期限内に意見の陳述または補正をするよう要求しなければならない。期限が満了になっても出願人が補正しない場合は、その出願を取り下げられたものと見なす。出願人が意見を陳述しまたは補正した後、国務院特許行政部門がなお前項の各規定に合致していないと考える場合、却下しなければならない。

 なお、実体審査が行われない中国においては、意匠権の付与決定が公告された後、意匠権者および利害関係者は、侵害訴訟における証拠となる意匠権の評価報告書(中国語「专利权评价报告(専利権評価報告)」)の作成を中国国家知識産権局に請求することが可能である。
 条文等根拠:専利法第61条、専利法実施細則第56条

中国専利法 第61条
 特許権利侵害を巡る紛争が新製品製造方法の発明特許に関連する場合、同様の製品を製造する部門または個人はその製品の製造方法が特許の方法と違うことを証明する証拠を提出しなければならない。
 特許権利侵害を巡る紛争が実用新案特許または意匠特許に関連する場合、人民法院または特許事務管理部門は特許権者または利害関係者に対し、特許権侵害を巡る紛争を審議し、処理するための証拠として、国務院専利行政部門が関連の実用新案または意匠について検索と分析、評価を行ってから作成した評価報告を提出するよう要求することができる。

中国専利法実施細則 第56条
 第五十六条 実用新案または意匠特許権の付与決定が公告された後、専利法第六十条に規定される特許権者または利害関係者は特許権評価報告書の作成を国務院特許行政部門に請求することができる。
 特許権評価報告書の作成を請求する場合は、特許権評価報告請求書を提出し、特許番号を明記しなければならない。一つの請求は一つの特許権に限るものとする。
 特許権評価報告請求書が規定に合致しない場合、国務院特許行政部門は指定の期限内に補正するよう請求人に通知しなければならない。期限が満了になっても請求人が補正を行わない場合、請求が提出されなかったものと見なす。

日本と中国の意匠出願の実体審査の有無に関する比較

日本 中国
実体審査の有無
 願書や添付書類などが所定の書式を満たしているかどうか、および明らかに不登録事由に該当するかどうかなどの予備審査のみが行われる。

 なお、意匠権の付与決定が公告された後に、意匠権者および利害関係者は侵害訴訟における証拠となる意匠権の評価報告書(中国語:「专利权评价报告」)の作成を中国国家知識産権局に請求することができる(専利法第61条、実施細則第56条)。

 ここで、利害関係者とは、裁判所に侵害訴訟を提起する権利を有する原告、例えば、意匠権、専用実施権者、および意匠権者から契約等により訴権を取得した通常実施権者を言う。

日本と中国における特許審査請求期限の比較

1.日本における審査請求期限
 日本においては、特許出願の審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ(特許法第48条の3第1項)、この期限内に出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(特許法第48条の3第4項)。ただし、所定の期間内に出願審査の請求がなされなかったことにより特許出願が取り下げたものとみなされた場合であっても、当該期間を徒過したことについて「故意によるものでない」ときは、出願審査の請求をすることができるようになった日から2か月以内で、期間経過後1年以内に限り、出願審査の請求を行うことができる(特許法第48条の3第5項)。

 出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は、優先日(先の出願の出願日)ではなく、優先権主張を伴う出願(後の出願)の実際の出願日である(工業所有権法逐条解説 特許法第48条の3趣旨)。
 PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。この場合の審査請求期限は、国際出願日から3年である。

 なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。
条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第184条の17

日本国特許法 第48条の2 特許出願の審査
 特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

日本国特許法 第48条の3 出願審査の請求
 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項もしくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願または第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更または実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

4 第一項または第二項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、出願審査の請求をすることができる。ただし、故意に、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

(第6から第8項省略)

日本国特許法 第184条の17 出願審査の請求の時期の制限
国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあっては第百八十四条の四第一項または第四項および第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

2.中国における審査請求期限
 中国においては、特許出願の実体審査を受けるためには実体審査請求を行う必要がある(専利法第35条)。出願審査請求は出願日から3年以内に行うことができ、出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(専利法第35条)。
 なお、実体審査請求を行うことができるのは、出願人のみである(専利法第35条第1項)。
 また、中国では、所定の場合を除き、専利法に言う出願日とは、優先権を有する特許出願については優先日を指すので(専利法実施細則第11条)、審査請求期限の起算日が日本では出願日であるのに対し、中国では優先日となることに注意する必要がある。

条文等根拠:専利法第35条、専利法実施細則第11条

専利法 第35条
発明特許出願の出願日から三年間、国務院専利行政部門は出願者が随時提出する請求に基づき、その出願に対して実体審査を行うことができる。出願者に正当な理由がなく、期限を過ぎても実体審査を請求しない場合、当該出願は取り下げられたものと見なされる。
国務院専利行政部門は必要と認める場合、自ら発明特許の出願に対して実体審査を行うことができる。

専利法実施細則 第11条
専利法第二十八条および第四十二条に規定する状況を除き、専利法に言う出願日とは、優先権を有するものについては優先権日を指す。

 日本の基礎出願に基づいて優先権を主張し中国に特許出願した場合には、以下のようになる。

日本と中国における特許審査請求期限の比較

日本 中国
審査請求期間 3年 3年
起算日 日本の出願日 優先日(日本の出願日)

日本と韓国における特許審査請求期限の比較

1.日本における審査請求期限
 日本においては、特許出願の審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ(特許法第48条の3第1項)、この期限内に出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(特許法第48条の3第4項)。ただし、所定の期間内に出願審査の請求がなされなかったことにより特許出願が取り下げたものとみなされた場合であっても、当該期間を徒過したことについて「故意によるものでない」ときは、出願審査の請求をすることができるようになった日から2か月以内で、期間経過後1年以内に限り、出願審査の請求を行うことができる(特許法第48条の3第5項)。

 出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は、優先日(先の出願の出願日)ではなく、優先権主張を伴う出願(後の出願)の実際の出願日である(工業所有権法逐条解説 特許法第48条の3趣旨)。

 PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。この場合の審査請求期限は、国際出願日から3年である。
 また、特許出願の分割に係る新たな特許出願、意匠登録出願または実用新案登録出願の変更に係る特許出願、実用新案登録に基づく特許出願については、原出願から3年の期間経過後であっても、分割または変更による特許出願の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。

条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第1項、第2項、第3項、第4項、第5項、第184条の17

日本国特許法 第48条の2(特許出願の審査)
 特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

日本国特許法 第48条の3(出願審査の請求)
 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

4 第一項または第二項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、出願審査の請求をすることができる。ただし、故意に、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。

(第6から第8項省略)

日本国特許法 第184条の17(出願審査の請求の時期の制限)
 国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあつては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあつては第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

2.韓国における審査請求期限
 韓国においては、特許出願の審査を受けるためには審査請求を行う必要がある(特許法第59条第1項)。審査請求は韓国出願日から3年以内に行うことができ(特許法第59条第2項)、審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(特許法第59条第5項)。

 PCTルートの場合は、国際出願日が韓国出願日とみなされるので(特許法第199条)、審査請求は国際出願日から3年以内に行うことができる。

 審査請求を行うことができるのは出願人に限られず、誰でも審査請求を行うことができる(特許法第59条第2項)。

 分割出願(特許法第52条)をした場合、分離出願(特許法第52条の2)をした場合または実用新案から特許への出願変更(特許法第53条)をした場合、上記の期間が過ぎた後であっても、その分割出願をした日、分離出願をした日または出願変更をした日から30日以内に審査請求をすることができる(特許法第59条第3項)。

条文等根拠:特許法第59条、特許法第199条

韓国特許法 第59条(特許出願審査の請求)
①特許出願に対し審査請求があるときにのみこれを審査する。
②誰でも特許出願に対し特許出願日から3年以内に特許庁長に出願審査の請求をすることができる。ただし、特許出願人は、次の各号のいずれか に該当する場合には、出願審査の請求をすることができない。
 1 明細書に請求範囲を記載しなかった場合
 2 第42条の3第2項による韓国語翻訳文を提出しなかった場合(外国語特許出願の場合に限定する)

③第34条及び第35条による正当な権利者の特許出願、分割出願、分離出願または変更出願に関しては、第2項による期間が過ぎた後にも正当な権利者が特許出願をした日、分割出願をした日、分離出願をした日または変更出願をした日からそれぞれ30日以内に出願審査の請求をすることができる。

④出願審査の請求は、取下げることができない。

⑤第2項又は第3項の規定によって出願審査の請求をすることができる期間に出願審査の請求がなければ、その特許出願は取り下げたものとみなす。

韓国特許法 第199条(国際出願による特許出願)
①「特許協力条約」によって国際出願日が認められた国際出願として特許を受けるために大韓民国を指定国に指定した国際出願は、その国際出願日に出願された特許出願とみなす。

②第1項による特許出願とみなす国際出願(以下、“国際特許出願”という。)に関しては、第42条の2、第42条の3及び第54条を適用しない。

 日本の基礎出願に基づいて優先権を主張し、韓国に特許出願した場合には、以下のようになる。


日本と韓国における特許審査請求期限の比較

日本 韓国
審査請求期間 3年 3年
起算日 日本の出願日 韓国の出願日