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日本とインドにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

1.日本における意匠権の権利期間
 日本における意匠権の権利期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。
 ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から20年である。

 なお関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年間である(意匠法第21条第2項)。
 ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年である。

 なお、権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。

条文等根拠:意匠法第21条、第42条、第43条

日本意匠法第21条 存続期間
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

日本国意匠法第42条 登録料
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
(第2項以下省略)

日本意匠法第43条 登録料の納付期限
前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
(第3項以下省略)

2.インドにおける意匠権の権利期間
 インドおける意匠権の権利期間は、出願日(優先権主張がある場合は優先日)から最長15年をもって終了する(インド意匠法第11条(1)、インド意匠規則30条(3))。

 なお、最長15年までの権利維持を希望する場合は、出願日(優先日)を起算日として10年間の満了前に所定の手数料を支払う必要がある(インド意匠法第11条(2)、インド意匠規則30条(3))。

条文等根拠:インド意匠法第11条、インド意匠規則30条

インド意匠法第11条 登録による意匠権
(1) 意匠が登録された時、登録意匠所有者は、本法に従うことを条件として、登録日から10年間当該意匠権を有する。

(2) 前記10年間の満了前に意匠権期間の延長申請が所定の方法で長官に対してされたときは、長官は、所定の手数料の納付により、意匠権期間を、最初の10年間の満了時から、次期の5年間延長する。

インド意匠規則第30条 意匠登録
((1)、(2)省略)
(3) 受理された意匠が相互主義主張日の認められているものに係る場合は、前記意匠における意匠権の登録、期間の延長または満了については、相互主義主張日から起算する。

日本とインドにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本 インド
権利期間 出願日から25年 出願日(優先日)から最長15年
権利維持 登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金の支払い要 出願日(優先日)を起算日として10年間の満了前に手数料の支払い要

日本と韓国における意匠権の権利期間および維持に関する比較

1.日本における意匠権の権利期間
 日本における意匠権の権利期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。
 ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から20年である。

 関連意匠の意匠権の権利期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年である(意匠法第21条第2項)。
 ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年である。

 なお、権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。

条文等根拠:意匠法第21条、第42条、第43条

日本意匠法第21条 存続期間
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

日本国意匠法第42条 登録料
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
(第2項以下省略)

日本意匠法第43条 登録料の納付期限
前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
(第3項以下省略)

2.韓国における意匠権の権利期間
 韓国における意匠権の権利期間は、出願日から20年間をもって終了する。ただし、出願日が2014年7月1日より前の出願は、登録日から15年間をもって終了とする。また、関連意匠権の権利期間は、基本意匠の権利期間と同時に終了する(デザイン保護法第91条第1項)。

 なお、権利維持を希望する場合には、登録日を年金納付起算日として、登録後4年次から毎年、年金を支払う必要がある(デザイン保護法第79条第1項)。

※デザイン保護法は、日本における意匠法に相当する。

条文等根拠:デザイン保護法第91条、第79条

韓国デザイン保護法 第91条 意匠権の存続期間
(1) 意匠権は、第90条第1項によって設定登録した日から発生して意匠登録出願日後20年になる日まで存続する。ただし、第35条に基づく関連意匠権の存続期間満了日は、その基本意匠の存続期間満了日とする。
(2) 正当な権利者の意匠登録出願が第44条および第45条によって意匠権が設定登録された場合には、第1項の意匠権存続期間は無権利者の意匠登録出願日の翌日から起算する。

韓国デザイン保護法 第79条 意匠登録料
(1) 第90条第1項による意匠権の設定登録を受けようとする者は、設定登録を受けようとする日から3年分の意匠登録料(以下“登録料”という)を支払わなければならず、意匠権者はその翌年からの登録料をその権利の設定登録日に該当する日を基準に毎年1年分ずつ出さなければならない。
(2) (1)にもかかわらず意匠権者はその翌年からの登録料はその納付年度順序によって数年分または全ての年度分を共に出すことができる。
(3) (1)および(2)による登録料、その納付方法および納付期間、その他必要な事項は、産業通商資源部令で定める。

日本と韓国における意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本 韓国
意匠権の権利期間 出願日から25年 出願日から20年
関連意匠の意匠権の権利期間 基礎意匠の出願の日から25年 基本意匠の権利期間と同じ
権利維持 登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金の支払い要 登録日を年金納付起算日として4年次から毎年、年金の支払い要

フィリピンにおける特許、実用新案、および意匠の年金/更新制度の概要

1.特許権
 フィリピンにおける特許権の権利期間は、出願日(PCTに基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である(知的財産法第54条)。年金は、PCT出願の場合は国際公開日、フィリピンへの直接出願あるいはパリ条約による優先権を主張した出願の場合はフィリピン国内での公開日を起算日として5年次から発生し、特許出願が登録されたかどうかに関わらず、出願の係属中であれば納付を行う必要がある(知的財産法 第55条、2022年特許・実用新案・意匠に関する改正施行規則(以下、施行規則という)1100、1101)。

 請求項の数が5を超える場合は超過料金を納付する必要がある(施行規則1100および審査マニュアル1.6.1)。年金はフィリピン国内に在住する者のみが支払うことができる(知的財産法第33条)。

 納付期限日までに年金の納付が行われなかった場合、フィリピン知的財産庁よりその旨が電子公報に公告され、出願人、権利者もしくはフィリピン国内に在住する代理人に通知される。当該公告日から6か月以内であれば、年金の追納が可能である。追納期間中に、所定の年金費用、追徴金および公告費用、加えて該当する場合はクレーム超過費用を同時に支払う必要がある(施行規則1102)。

 上記の通り、追納期間経過までに年金を納めない場合、出願または特許権は失効し、回復されない(施行規則1100、1102、知的財産法第55.2条)。特許権を権利放棄したい場合は、所定の宣誓書をフィリピン知的財産庁に提出することにより、放棄手続を行うことも可能である(知的財産法第56.1条、施行規則1206)。また、取下宣言書を提出し出願を取下げることもできるが、任意に取下げられた出願は、回復されず、権利放棄したとみなされる(施行規則930)。

参考:年金納付Form https://drive.google.com/file/d/14W5sbeT2jKFisa0zzBRd274lw5o3Pmtj/view

2.実用新案権
 実用新案権の権利期間は出願日から7年であり、更新することはできない(知的財産法第109.3条、規則1415)。また、特許権のような年金納付は不要であるが、出願時に公告手数料の納付が必要となる(知的財産法第109条、規則1404,1407,1411)。

 実用新案の権利を放棄したい場合は、所定の宣誓書をフィリピン知的財産庁に提出することにより放棄手続が可能である(知的財産法第108条に基づく第56.1条)。また、取下宣言書を提出し出願を取下げることもできるが、任意に取下げられた出願は、回復されず権利放棄したものとみなされる(規則1414)。

3.意匠権
 意匠権の権利期間は出願日から15年である。まず、意匠権が登録になると出願日を起算日として5年の権利期間が与えられる。その後、6年次前と11年次前に更新手数料の納付を行うことで、合計で最長15年の権利期間を得ることができる。更新手数料は登録期間満了前12月以内に納付しなければならない(知的財産法第118条、規則1518、1519)。更新手数料はフィリピンに在住する者のみが支払うことができる(知的財産法第33条)。

 納付期限までに更新手数料の納付が行われなかった場合、納付期限日から6か月以内であれば追納が可能である(知的財産法第118条、規則1519)。追納期間中は、所定の更新手数料と追徴金を同時に支払う必要がある。特許と同様、更新手数料の未納により失効した意匠権の回復制度は存在しないため、注意が必要である。

 上記の通り、追納期間経過までに更新手数料を納付しない場合、意匠権は失効する。権利を放棄したい旨を記した宣誓書をフィリピン知的財産庁に提出することにより、放棄手続を行うことも可能である(知的財産法第119条に基づく第56条)。取下宣言書の提出により、任意に取下げられた出願については、権利の回復を行うことはできない(規則1515、1517)。

参考:更新手数料納付Form https://drive.google.com/file/d/1tdZy_-N4KAPFPONFpdtZ63fLJ3-0y4dJ/view

4.その他
 フィリピン知的財産庁側に過失がなく支払われた全ての料金および超過料金は、返金されない。ただし、フィリピン知的財産庁側に過失がある場合は、納付日から30日以内に、返金を請求することができる。納付を行った日から30日を経過した後や、返金請求の理由が妥当ではない場合は返金されないため、注意が必要である(図1の赤線で囲んであるフィリピン知的財産庁(IPOPHL)サイトの「Online Payment FAQs」(https://www.ipophil.gov.ph/help-and-support/online-payment-faqs/)の「How do I request for reversal of payment, credit card refund or Error or Mistake in Payment?」の項目を参照)。なお、フィリピン知的財産庁(IPOPHL)のHPは、アンチウィルスソフトによっては閲覧不可と表示される場合がある。

図1 IPOPHL 「Online Payment FAQs」画面

チリにおける特許法の概要

1.チリにおける特許法(産業財産法)の概要

1-1.発明者および出願人
 発明者、および、発明者からの譲受人(自然人であるか法人であるかを問わない)のいずれもが、特許出願の出願人となることができる(産業財産法第2条)。

 特許出願に際して、発明者の氏名の記載が必要である(チリ産業財産規則(以下「産業財産規則」という。)第11条)。

 外国人およびチリに居住していないチリ国民は、特許出願に際して、チリに居住する代理人を指定しなければならない。外国人に与えられる保護は、チリ国民に与えられる保護と同一である(産業財産法第2条)。

1-2.特許を受けることができる発明
 発明とは、産業の分野において生じる技術的課題の解決手段をいう(産業財産法第31条)。発明の対象は、製品および方法のいずれでもよい(産業財産法第31条)。

 発明は、新規性および進歩性を有し、産業上利用可能である場合に、特許を受けることができる(産業財産法第32条)。

1-2-1.新規性
 チリにおける特許出願日前に世界のいずれかの国で公衆に開示された先行技術がない場合、その発明は新規性を有する。先行技術には、出願日時点において公開されていない先行のチリ特許出願が含まれる(産業財産法第33条)。

1-2-2.新規性喪失の例外
 出願前の12か月以内に行われた公衆への開示が、出願人自身に開示されたものである場合、出願人の許可に基づき開示されたものである場合、または、出願人自身による開示に基づいて更に開示されたものである場合、発明の新規性を判断する際にその開示は考慮されない(産業財産法第42条)。

1-2-3.進歩性
 当業者にとって発明が自明でない場合、その発明は進歩性を有する(産業財産法第35条)。

1-2-4.産業上の利用可能性
 発明に係る物または方法を何れかの産業分野において製造または使用できる場合、発明は産業上利用可能性を有する(産業財産法第36条)。

1-2-5.特許保護の例外
 以下のものは、特許を受けることができない(産業財産法第37条、第38条)。

(1) 発見、科学的理論および数学的方法
(2) 植物または動物の品種。植物または動物を生産するための生物学的方法。ただし、微生物学的方法は特許を受けることができる。
(3) 経済上、金融上、商業上の、制度、方法、原則、計画。精神的活動または知的活動をするための規則。ゲームをするための規則。
(4) 外科または治療による人体または動物体の処置方法。人体または動物体に対して行う診断方法。ただし、これらの方法において処置や診断に使用する製品は、特許を受けることができる。
(5) 既に使用されている物または要素の、新しい用途、形状の変更、寸法の変更、比率の変更、または、材質の変更。ただし、従来は解決策がなかった技術的問題を解決し、新規性および進歩性を有し、産業上利用可能である場合、特許を受けることができる。
(6) 自然界において見出される生命体の一部、自然界の生物学的過程、自然界に存在する生物学的材料または分離することのできる材料。これにはゲノムまたは生殖質が含まれ、ゲノムまたは生殖質は特許を受けることができない。一方、生物学的材料を使用する工程および生物学的材料を使用する工程から直接に得られた製品は、特許を受けることができる。
(7) 法律、公の秩序および国家の安全に反する発明、道徳もしくは公正な慣行、人もしくは動物の健康もしくは生命、または植物もしくは環境の保全に反する発明。

2.出願時の書類
2-1.特許出願に必要な書類(産業財産法第43条、産業財産規則第11条、第60条)

(1) 委任状(代理人にチリ工業所有権局への手続きを委任する場合)。委任状には、公証認証や領事認証は不要である。
(2) スペイン語の要約、明細書およびクレーム
(3) 図面(必要な場合)
(4) 優先権証明書(優先権を主張する場合)。優先権証明書の公証認証や領事認証は不要である。

 以上の必要書類が不足した状態でも特許出願を行うことができる。ただし、予備審査(方式審査に相当)により不足書類が明らかになった場合、出願人は、60日以内(延長不可)に不足書類の補充を行う必要がある。不足書類が補充されない場合、出願はなかったものとみなされる(産業財産法第45条)。

 チリ工業所有権局に対する手続のための委任状には、公証認証や領事認証は不要である(産業財産法第15条)。一方、裁判所に対する手続のための委任状には、領事認証が必要である。このため、外国企業などがチリ特許出願時に使用する際に代理人への委任状にチリ領事の認証を受けておけば、出願後に裁判所に対する手続きが必要になった場合、裁判所に対してこの委任状を使用できる。

 2021年の法改正により、仮出願制度が導入され、産業財産法第43条の提出書類の要件を満たさない場合は、仮出願をすることができることになった(産業財産法第40条)。仮出願をした者は、仮出願の日から12か月以内に特許出願をすることにより、仮出願の出願日の利益を享受することができる。仮出願には、発明を十分に明確かつ完全に説明するスペイン語または英語による文書を添付しなければならない。なお、特許権の存続期間は、仮出願の日から20年となる。

2-2.チリ工業所有権局を受理官庁とするPCT出願(国際段階)
 日系の現地企業以外、日本企業が使うことは基本的にないと思われるが、チリ工業所有権局を受理官庁とする国際特許出願(PCT出願)をする際には、出願書類としてスペイン語で作成した要約書、明細書、クレーム、図面(必要な場合)が必要である(産業財産法第115条)。

 チリ工業所有権局を受理官庁とする国際特許出願では、チリ工業所有権局、欧州特許庁、スペイン特許商標庁または米国特許商標庁を国際調査機関として選択可能である。国際調査機関として欧州特許庁または米国特許商標庁を選択する場合、要約書、明細書、クレーム、図面の英語訳を、PCT出願日から1か月以内に提出しなければならない。

2-3.PCT出願のチリへの国内移行
 PCT出願のチリへの国内移行期限は、優先日から30か月である(産業財産法第117条)。

 国際出願がスペイン語以外の言語で記載されている場合、チリへの国内移行に際してスペイン語翻訳文が必要である(産業財産法第118条)。具体的には、明細書、クレーム、図面のテキスト部分、要約書のスペイン語翻訳が必要である。

3.審査の流れ
 審査に際して、予備審査および実体審査が実施される(産業財産法第6条、45条)。

3-1.予備審査
 出願されると、予備審査が行われ、実務上、出願日から6~8か月で予備審査通知が発行される。出願人は、予備審査において指摘された方式要件の不備に対して、予備審査通知から60日以内に応答する必要がある(産業財産法第45条)。すべての方式要件が満たされると、出願は受理される。出願受理から60日以内に出願(出願番号、出願人、要約書)が官報に公告されるよう、出願人(若しくは代理人)自らが、チリ官報局に手配しなければならない(産業財産規則第14条)。チリ工業所有権局は、官報における公告まで出願を秘密に保てる。

3-2.出願の公告
 官報に出願が公告されると、出願は公衆の閲覧に供される。公告日から45営業日以内に、第三者は異議申立が可能である(産業財産法第5条)。異議申立がない場合、実体審査を進めるために審査官が指名される(産業財産法第6条)。

3-3.実体審査
 審査官は、技術水準、産業上の利用可能性、発明の新規性および進歩性について、実体審査を行い、審査報告書を発行する(産業財産法第7条)。発明に拒絶理由があった場合に出願人が審査報告書で指摘された拒絶理由に対して応答することができる期限は、審査報告書の発行から60日である。一方、拒絶理由がない場合に特許付与が決定されると、出願人は、特許付与の決定から60日以内に手数料を納付しなければならない(産業財産法第8条)。

3-4.分割出願
 出願人は、第一回の審査報告書が発行される前であれば、自発的に分割出願を行うことができる(産業財産規則第49条)。第一回の審査報告書が発行された後は、審査官による発明の単一性不備の指摘に対してのみ、分割出願を行うことができる(産業財産規則第40条)。

4.特許付与および保護
4-1.存続期間
 特許権の存続期間は、出願日から20年である(産業財産法第39条)。

4-2.追加の保護
(1) 特許付与に際して不当な行政上の遅延(例えば、チリ工業所有権局による審査手続の遅延)があり、かつ出願日から起算して5年以上または審査請求から3年以上にわたって審査が行われた場合、特許権者は特許権の追加の保護期間を請求することができる。追加の保護期間の請求期限は、特許付与後60日である(産業財産法第53条の1)。この請求期限は、2021年の法改正により、従来の6か月から短縮されたものである。

(2) 医薬品の承認手続において不当な行政上の遅延(例えば、チリ公衆衛生局による医薬品の承認手続の遅延)があった場合、特許権者は特許権の追加の保護期間を請求することができる。追加の保護期間の請求期限は、医薬品の承認日から60日である(産業財産法第53条の2)。この請求期限は、2021年の法改正により、従来の6か月から短縮されたものである。

 なお、特許出願または医薬品の承認手続に影響を及ぼす以下の事情は、不当な遅延とはみなされない(産業財産法第53条の3)。

(a) 異議申立または司法手続
(b) 審査に必要とされる国内もしくは国際機関からの報告書の受領に要した期間
(c) 出願人の行為または怠慢

4-3.特許表示
 特許に係る発明を実施している商品には、「Patente de Invención(発明特許)」または「P.I.」という記載、および、特許番号が付されなければならない(産業財産法第53条)。この要件を満たさなくても特許の有効性に影響を与えることはないが、この要件を満たしていない場合、特許侵害者を刑事訴追することができない。

4-4.特許権
 特許権者は、特許製品または方法を、製造、販売、販売の申出、輸入、またはその他の方法で商業的に利用する排他的権利を享受する(産業財産法第49条)。方法の特許にあっては、方法から直接得られた製品にも特許権による保護が及ぶ。

一方、医薬品の承認を取得する目的のためであれば、第三者は、発明特許の対象を輸入、輸出または製造することができる。ただし、特許権者の許可なく販売することはできない(産業財産法第49条)。

4-5.無効または取消手続
 利害関係人は、特許の登録日から5年以内に、特許の無効を請求することができる。(産業財産法第18条の2G、50条)。

オーストラリアにおける分割出願に関する留意事項

1.はじめに
 オーストラリアにおける標準特許出願とイノベーション特許出願を説明する。標準特許出願とは、実体審査を経て標準特許が付与される特許出願であり、標準特許の権利期間は特許の日(”date of the patent”、完全明細書の提出日、特許法第65条)から20年である(特許法第67条)。イノベーション特許出願とは、実体審査を経ずにイノベーション特許が付与される特許出願であり、イノベーション特許の権利期間は特許の日(完全明細書の提出日)から8年である(特許法第68条)。イノベーション特許は実体審査を経ずに付与されるが、権利行使をするには、審査請求を行い実体審査されたことの証明(certificate)(以下、「審査証明」)を得る必要がある(特許法第120条1A)。
 なお、イノベーション特許出願制度は段階的な廃止が決定されており、2021年8月26日以降は、分割出願としてのみ出願することができ、すべてのイノベーション特許が期限切れとなる2029年8月26日までに段階的に廃止される(イノベーション特許の段階的廃止法)。

 オーストラリアでは、下記の理由により分割出願が行われる。
 ・発明の単一性に係る拒絶理由への対応のため
 ・出願認可後に、より狭いクレームまたは代替のクレームでの権利化を目指すため
 ・侵害者への権利行使を行う目的で、速やかにイノベーション特許の付与とその審査証明を得るため

 オーストラリアの分割出願は、標準特許出願、イノベーション特許出願、標準特許出願に基づく分割出願、およびPCT出願に基づき出願することができる。分割出願には、親出願の種類と出願日に応じて異なる法律や規則が適用される。これらの点について以下で詳しく解説する。

2.標準特許出願に基づく分割出願を行うことができる時期
 標準特許出願に基づく分割出願の出願期限は、標準特許出願の許可通知が公表される日から3か月であり、この期限を延長することはできない。分割出願は、標準特許出願として出願することができる(特許法第79B条、特許規則6A.1)。また、親出願の標準特許が2021年8月26日より前に出願された場合、イノベーション特許として出願することもできる。
 分割出願の出願期限は、特許付与に対する異議申立人からの異議申立期限と同じである。なお、異議申立人が異議申立を行った際に、出願人に代替のクレーム(例えば、より広範なクレーム)で分割出願を行うことができる機会を与えないために、実務上、異議申立は期限当日に行うのが一般的である。

3.イノベーション特許出願に基づく分割出願を行うことができる時期
 イノベーション特許の審査の実行通知が、公表される日から1か月以内の期間、分割出願を行うことができる。
 この期間はイノベーション特許出願としてのみ分割出願を行うことができる期間であり、親出願に開示されていた発明についてのみ(例えば、出願人が、親出願に対して発明の単一性に係る拒絶理由を受けた場合に)分割出願を行うことができる(特許法第79C条、特許規則6A.2)。

4.PCT出願に基づく分割出願を行うことができる時期
 PCT出願は、標準特許の完全出願として扱われ、したがって、オーストラリアを指定国とするPCT出願は、分割出願の出願時に、PCT出願が失効、拒絶または取下げられていないことを条件として、分割出願の親出願とすることができる(特許法第29A条)。
 また、PCT出願が2021年8月26日より前に出願されていた場合、PCT出願の分割出願をイノベーション特許として出願することもできる。

5.分割出願の出願要件
 分割出願として認められるためには、分割出願の出願時点において親出願が有効に存続している(すなわち、親出願が、失効しておらず、拒絶または取り下げもされていない)必要がある。しかし、分割出願の出願日以降に親出願が失効、拒絶または取り下げられても、分割出願は無効とはならない(特許法第79B条、第79C条)。
 また、分割出願は、親出願に含まれる開示によって裏付けられるクレームを少なくとも1つ含む必要がある(特許審査基準2.10.5a)。

6.分割出願における主題の追加(新規事項)
 オーストラリアではクレームごとに優先日が決定される(特許法第43条)。
 分割出願には新規事項を含めることを禁止する条項は無い。しかし、この新規事項に関するクレームは、親出願に含まれていないため、分割出願された日が当該クレームの優先日となる(特許規則2.3、3.12、3.13D、特許審査基準2.10.5a)。

7.その他―追加特許
 特許出願の出願日以降に発明に軽微な改良または変更が行われた場合、出願人は、これらの改良または変更を保護するために、当該特許出願に基づき追加特許出願を行うことができる。追加特許出願のクレームは、親特許および親特許出願の開示に対して新規性がなければならないが、進歩性を有する必要はない(特許法第25条、特許規則2.4)。
 追加特許出願については、下記の点に注意する必要がある。
 (a)親出願でクレームされた発明の改良または変更に関するものでなくてはならない。
 (b)標準特許または標準特許出願に基づき出願できる。
 (c)親特許の付与後に権利が付与される。
 (d)親特許が有効に存続している間のみ、効力を維持する。
(特許法80条、81条、82条、83条)

シンガポールにおける特許、意匠年金制度の概要

1.特許権
 シンガポールにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)から20年である。年金は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した案件であっても、審査中には年金は発生しない。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許登録手続の際に5年次から査定を受けた年までの年金を納付する必要がある。これを累積年金(*)という。その後の年金納付期限日は、出願応当日である。
 特許権の存続期間の延長制度として、特許が認可になるまでにシンガポール知的財産庁(IPOS)側に不合理な遅延があった場合、特許権者の申請により存続期間の延長を認める制度がある。
 また、特許出願に係る発明が市場売買にあたって承認を要する医薬品であり、当該承認を得るまでに不合理な遅延があった場合には、権利期間の延長申請を行うことが可能である。
(特許法第36条、第36A条、第85条、特許規則51、51A)

 シンガポール特許法第29条(1)(d)に規定される他国特許庁の出願の審査結果に基づくシンガポール特許出願(補充審査、外国ルート)の審査手続オプションについても存続期間の延長を認める制度があるが、本オプションによる出願は2020年1月1日以降の出願には適用されない。
(特許法第29条、特許規則43)

 納付期限日までに年金が納付されなかった場合、年金納付期限日から6か月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて追徴金を同時に納付しなければならない。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から18か月以内であれば回復の申請を行うことができる。回復の申請の際には、年金の未納付が特許権者の意図しないものであることを示す必要がある。
(特許法第36条、第39条、特許規則51、53)

 また、追納期間経過までに年金を納めない場合、特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール知的財産庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
(特許法第40条、特許規則54)

(*) 累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される場合において、登録の手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

2.意匠権
 意匠権の権利期間は出願日から15年である。シンガポールの意匠は出願日が登録日とみなされるため、登録日も出願日と同日として取り扱われる。まず、意匠が登録になると出願日(登録日)を起算日として5年の権利期間が与えられる、その後、6年次と11年次に年金の納付を行うことで、計15年の権利期間を得ることができる。年金納付期限日は出願応当日(登録応答日)である。
(意匠法第21条、意匠規則35)

 追納制度は特許と同様である。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から12か月以内であれば回復の申請を行うことができる。
(意匠法第21条、意匠規則35C)

 また、追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール知的財産庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
(意匠法第26条、意匠規則39)

3.年金の納付者
 年金の納付は、国籍は居住地によらず、だれでも可能であるが、シンガポール居住者ではない場合、シンガポール知的財産庁からの通信を受け取れるシンガポール国内の住所の提供が必要である。また、支払いにはシンガポール知的財産庁に登録されたアカウントが必要である。
 年金を誤納付した場合、返金の申請を行うことができる。

ブラジルにおける特許年金制度の概要

1.特許権
 ブラジルにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)から20年である(産業財産法第40条、特許協力条約第11条)。登録後最低10年間の権利期間を保障する条項は、2021年に違憲と判断され、廃止された(関連記事1参照)。特定条件を満たす特許権に対して存続期間の延長を認める制度はない。年金は出願日を起算日として、3年次から発生する(産業財産法第84条)。年金は一年ごとに納付し、特許登録前、出願が係属中にも納付しなければならない。各年の年金納付期限日は出願応当日である(産業財産法第84条)。

 電子出願様式での年金の納付にはGRU(Guia de Recolhimento da União:ユニオン・コレクション・ガイド、料金徴収システム)への登録が必要である(関連記事2参照)。
 このシステムへの登録は、「Cadastro no e-INPI(e-INPIへの登録、https://www.gov.br/inpi/pt-br/cadastro-no-e-inpi)」へアクセスして実行できるが、登録の対象者はブラジル居住者か代理人のみとされている。

 意図しない特許権や特許出願に対して年金を誤って納付してしまった場合、庁内で納付金を正しい納付先に変更することはシステム上対応されておらず、誤納付の返金のための手続を行い、期限内に改めて正しい年金納付手続をする必要がある。
 年金納付金額に不足があった場合は、不足分のみを追加で納付し手続を補完することができる(決議第113/2013年 第7条)。

 納付期限内に年金の納付が行われなかった場合、期限日から9か月以内であれば追納が可能である(産業財産法第84条第2項)。最初の3か月間に限り追徴金が発生しないため、通常納付時の金額の年金を追納すれば権利を維持することができる。年金納付期限日から4か月目からは追徴金が発生し、所定の年金に加えて追徴金も同時に納付しなければならない(産業財産法第84条第2項)。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合や追徴金の支払いがなされなかった場合、特許権については失効し、特許出願については出願が取下げられたものとみなされる(産業財産法第86条)。ただし、ブラジル産業財産庁から発行される失効通知から3か月以内であれば特許権の回復、特許出願の再開が可能である。回復手続の際には、所定の年金と追徴金に加えて回復費用も支払う必要がある(産業財産法第87条)。

 上記のとおり、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合に特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をブラジル産業財産庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。

関連記事:
1.「ブラジルにおける特許権の存続期間に関する連邦最高裁判所判例」(2022.03.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/22841/
2.「ブラジルにおける特許制度のまとめ-手続編」(2022.06.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/23704/

2.実用新案権
 実用新案権の権利期間は、原則として、出願日(PCT条約に基づく実用新案登録出願の場合は国際実用新案登録出願日)から15年である(産業財産法第40条)。登録後最低7年間の権利期間を保障する条項は、2021年に違憲と判断され、廃止された。特定条件を満たす登録実用新案権に対して存続期間の延長を認める制度はない。年金は出願日を起算日として3年次から発生する(産業財産法第84条)。年金は一年ごとに納付され、各年の年金納付期限日は出願応当日である(産業財産法第84条)。

 年金の納付、追納、権利の回復については特許権の場合と同様である。

3.意匠権
 意匠権の権利期間は出願から10年であり、5年ごとに連続して3回の更新が可能である(産業財産法第108条)。年金は出願日から起算し、特許権や実用新案権とは異なり、権利期間中は5年ごとに更新でき、更新する場合は更新の都度年金を納付する必要がある。各納付年次の年金納付期限日は出願応当日である(産業財産法第120条)。

 年金の納付、追納、権利の回復については特許権の場合と同様である。

香港における特許年金制度の概要

1.特許権
 香港の特許権には標準特許(R)、標準特許(O)と短期特許の3種類が存在する。
 標準特許(R)および標準特許(O)の登録後の年金は4~10年次、11年~15年次および16~20年次で累進的に増額する料金制度である(特許(一般)規則付則2-13)。

1-1.標準特許(R)
 標準特許(R)とは、指定特許庁(*)の特許権を基礎として香港国内で再登録される特許権をいう(特許条例第10条)。
(*)中国国家知識産権局、英国特許庁、欧州特許庁(英国を指定国とするもの)
 標準特許(R)の権利期間は20年であり、期間の起算日は特許出願のみなし出願日(中国、英国または英国が指定国である欧州特許の出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日))である。年金納付期限日の起算日も同じく、特許出願のみなし出願日である(特許条例第39条)。
 標準特許(R)については、権利期間、年金納付期限日ともに起算日は香港知識產權署(知的財産局)への出願日ではないので注意が必要である。

 年金は特許権が登録になったかどうかに関わらず、香港特許庁に係属中であれば納付しなければならないが、年金の発生のタイミングが登録前後で異なる点に注意しなければならない。香港特許庁に係属中の特許権に関しては、香港国内での公開日から満5年経過した後に最初に到来する出願応当日から年金が発生する。一方で、特許権が登録になった後の年金は、香港の特許登録日から満3年経過後に最初に到来する出願応当日から発生する。出願中に既に年金が発生していて香港特許庁に納付を行っており、その後に特許権が登録になった場合は、登録後3年間は年金納付が不要となる。そのため、年金納付を行わない空白期間が存在する点に留意する必要がある(特許条例第23条および第33条)。

 納付期限日までに年金の納付が行われなかった場合、期限日から6か月以内であれば年金の追納が可能である。追納期間中は、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付する必要がある。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合は、権利は失効もしくは出願は取り下げられたものとみなされる(特許条例第33条および第39条)。
 ただし、当該特許出願が香港特許庁に係属中である場合には、追納期間の最終日から12か月であれば、手数料の納付により出願の回復を申請することができる(特許条例第34条)。
 また、当該特許権が登録後である場合には、追納期間の最終日から18か月以内であれば、追加手数料の納付により権利の回復を申請することができる(特許条例第40条)。回復手続の際には、当初の年金と追徴金に加えて回復費用も納付する必要がある(特許条例第34条および第40条)。

 上記のとおり、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合に特許権は失効するが、登録官に対する書面による通知により、積極的に放棄を行うことも可能である(特許条例第48条)。

1-2.標準特許(O)
 標準特許(O)は2019年に導入された、香港特許庁独自の審査により付与される特許である。
 標準特許(O)の権利期間は標準特許(R)と同じく20年であるが、起算日は香港特許庁への出願日となる。また、年金納付期限日も香港特許庁への出願日が起算日となる(特許条例第39条)。

 納付期限までに年金の納付が行われなかった場合の扱いについては、標準特許(R)と同様である(特許条例第39条および第40条)。

1-3.短期特許
 短期特許は、香港特許庁に直接出願される。また、実用新案または発明に係る特許を求め、かつ、中華人民共和国を指定国とする国際出願が、中華人民共和国において国内段階に入った場合、国際出願の出願人は、当該出願に開示された発明の短期特許を出願することができる(特許条例第125条)。
 短期特許の場合、最初に与えられる権利期間は4年であり、5年次に4年分の年金を1回納付することで計8年の権利期間を得ることができる。権利期間の延長制度は存在しない。権利期間の起算日は香港の出願日(PCT条約に基づく中国の実用新案出願の場合は、当該実用新案の国際実用新案出願日)であり、年金の納付期限日は出願応当日である(特許条例第126条)。

 標準特許と同様に追納制度があり、追納期間は納付期限日から6か月である。追納期間中は、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付する必要がある。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効する。ただし、追納期間の最終日から18か月以内であれば権利の回復を請求することができる。回復手続の際には、当初の年金と追徴金に加えて回復費用も納付する必要がある(特許条例第127条)。

中国における特許年金制度の概要

1.特許権
 中国における特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年(専利法第42条)*1である。年金は出願が特許査定を受けた時点から発生し、特許登録後の各年の納付期限日は出願応当日である。特許査定が下されると、特許権を登録するための要件として初回の年金納付が求められる。具体的には、初回年金は中国知識産権局が設定する期限内(専利権付与通知書および登録手続実行通知書の受領日から2か月以内)に登録料および特許証の印刷料とともに納付しなければならず(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 1.1.2登記手続実行通知、1.1.3登記手続、2.2.1年金)、当該期限内に登録料、印刷料、初回年金を遅滞なく納付した後に公告される(専利審査指南 第五部分 第八章 専利公報と単行本の編集 1.2.1.2発明専利権の付与)。当該年金は、登録時、すなわち特許権が成立した年の出願応当日から翌年の出願応当日までの1年分の年金として扱われる。なお、出願応当日と特許査定の発行日との関係により、登録時の納付から次回の納付までの期間が異なるが、何年次の年金を登録時に納付するかは特許査定(登記手続実行通知書)で指定されるため、これに従う必要がある(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 1.1.3登記手続)。原則として特許の認可通知発行日が含まれる年次の年金の納付が求められる。

*1:国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて、発明専利の権利付与過程における不合理的な遅延について専利権の期間に補償を与える。ただし、出願人に起因する不合理的な遅延は除外する。また、中国で発売許可を得られた新薬に関連する発明専利(特許)について、国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて専利権の存続期間の補償を与える。補償の期間は5年を超えず、新薬発売承認後の専利権の合計存続期間は14年を超えないものとする(専利法第42条第3項)。
 なお、2回目以降の年金は前年度の期限満了前に納付する(専利法実施細則 第98条)。権利期間を延長できる制度は存在しない。

 年金の金額は年次が上がるにしたがって増加する(専利費用、集積回路レイアウト設計料)。中国に常駐住所または営業場所を持たない外国人、外国企業またはその他外国組織が年金納付する場合、法に基づき設立された専利代理機関に委託して処理する必要がある。(専利法第18条)。

 登録後、年金納付期限日までに年金納付がされない場合や納付金額に不足がある場合、中国知識産権局よりその旨を知らせる通知が発行される。どちらの場合でも、納付期限日から6か月以内であれば追納が可能である。追納期間中は、所定の年金金額や不足分の金額に加えて、追徴金も同時に納付する必要がある。追徴金は納付期限日から時間が経過するにしたがって増額する(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 2.2.1.3滞納金)。6か月の追納期間を超えて年金納付がされない場合や、追徴金の納付漏れがあった場合、権利は納付すべき期間の最終日から失効とされ、知識産権局から権利喪失確認通知が発行される。ただし、当該通知書の受領日から2か月以内であれば、権利の回復が可能である。権利回復の際には、当初の年金と追徴金に加え、回復費用も納付する必要がある(専利審査指南 第五部分 第二章 専利に係わる費用 1.費用の納付期限(4))。

 上記のとおり、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、特許権は年金を納付すべき期限の満了日に終了する((専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 2.2.2終了)が、権利を放棄したい旨を記した宣誓書を知識産権局に提出することにより積極的に放棄する手続もある(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 2.3専利権者の専利権放棄)。

2.実用新案権
 実用新案権の年金制度は、権利期間を除き特許権とほぼ同様である。権利期間は出願日(PCT条約に基づく実用新案登録特許出願の場合は国際実用新案登録出願日)から10年(専利法第42条)、年金の納付期限日は出願応当日である。年金は実用新案権が査定になってから発生し、登録手続の際に初回の年金納付を行う。特許権と同様に、この初回年金は実用新案権が登録になった年の出願応当日から翌年の出願応当日までの1年分の年金である。当該年金は、中国知識産権局が指定する納付期限日までに登録料や実用新案登録証の印刷料と共に納付しなければならない(専利審査指南 第五部分 第八章 専利公報と単行本の編集 1.2.2.1実用新案権の付与)。2回目以降の年金は前年度の期限満了前に納付し、権利の延長期間は存在しない。

 年金は年次が上がるにしたがって増額し(専利費用、集積回路レイアウト設計料)、中国国内に在住する者または事業を行う場所を有する者のみが納付することができる(専利法第18条)。追納制度、回復制度ともに特許権の場合と同様である。

3.意匠権
 意匠権の権利期間は出願日から15年である(専利法第42条)。年金制度は特許権のそれとほぼ同様であり、年金の納付期限日は出願応当日である。年金は意匠の登録査定時に発生し、意匠登録手続の際に初回の年金を納付する。特許権と同様に、この初回の年金は意匠権が登録された年の出願応当日から翌年の出願応当日までの1年分の年金であり、登録料と意匠登録証の印刷料とともに中国知識産権局が指定する納付期限日までに納付しなければならない(専利審査指南 第五部分 第八章 専利公報と単行本の編集 1.2.3.1意匠権の付与)。2回目以降の年金は前年度の期限満了前に納付し、権利の延長期間は存在しない。

 年金は年次が上がるにしたがって増額し(専利費用、集積回路レイアウト設計料)、中国に常駐住所または営業場所を持たない外国人、外国企業またはその他外国組織が年金納付する場合、法に基づき設立された専利代理機関に委託して処理する必要がある。(専利法第18条)。追納制度、回復制度ともに特許権と同様である。

日本と台湾における意匠権の権利期間および維持に関する比較

1.日本における意匠権の権利期間

日本における意匠権の権利期間は、設定登録日から最長25年をもって終了する。(意匠法第21条)ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年間である。また、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から最長20年です。

なお、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年間である。本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間である。

本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日以降から令和2年3月31日までの出願の場合、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から20年間である。

権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある。

条文等根拠:意匠法第21条

日本意匠法第21 存続期間

意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。

2.台湾における意匠権の権利期間

台湾における意匠権の権利期間は、出願日から最長15年をもって終了する。関連意匠権の権利期間は、基本意匠権の権利期間終了と同時に終了する(専利法第135条)。

なお、権利維持を希望する場合には、公告日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある。

条文等根拠:専利法(日本における特許法、意匠法、実用新案法に相当。以下「専利法」。)第135条

専利法 第135

意匠権の存続期間は、出願日から起算して15年をもって満了とする。関連意匠権の存続期間は、基本意匠権の存続期間と同時に満了するものとする。

日本と台湾における意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本 台湾
権利期間 登録日から25年 出願日から15年
権利維持 年金起算日:登録日
年金支払い:2年次から毎年
年金起算日:公告日
年金支払い:2年次から毎年