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メキシコにおける「商標の使用」と使用証拠

 出願をする際に、メキシコにおける使用開始日を主張することは、主に次の二つの効果を有する。

(1)出願した商標が、第三者名義の登録商標の存在を根拠として拒絶された場合であって、当該引用商標が登録後3年を経過していない際には、拒絶された商標の出願人は、拒絶された商標が当該引用商標より先に使用していた場合には、先使用を根拠として当該引用商標を取消すことができる。

(2)使用開始日を主張している登録商標に対して登録の取消を意図している第三者は、当該登録商標の使用開始日以前に使用していることを立証しなければならない。

 

 使用開始日を主張するには、単に願書に記載するだけで十分であり、使用証拠を提出する必要はない。しかし、使用開始日に対する疑義が生ずる場合に備え、使用開始日が真実である証拠(送り状等の書類)を保管しておくことが重要である。ただし、使用開始日が虚偽であった場合、登録商標の無効理由となる。したがって、商標が出願日前にメキシコで使用されている場合、書類で証明できる最も早い使用開始日を主張することを推奨する。

 

 また、2018年8月10日以降に登録された商標の商標権者は、商標登録証の発行から3年目の日から3か月以内にメキシコ国内において当該商標を実際に効果的に使用した旨の宣誓を手数料とともに提出しなければならない(産業財産法第128条)。使用宣誓書を提出しないと、商標登録が失効する可能性がある(同第152条)。おそらく、本制度は商標の保護を目的として出願されたものの、メキシコで使用されていない商標登録の存在を防ぐために制定された条文であると考えられる。

 

 なお、商標登録を更新するときも、商標権者自身または正式な代理店により当該商標を実際に使用していることを宣誓しなければならない。さらに重要なのは、登録商標を更新するときに区分ごとに商標の使用が必要になることである。すなわち、メキシコでは一商標多区分出願(複数分類をカバーする出願)は認められていないため、指定商品の異なる同一商標が各区分毎に登録されることになる。そして、複数の区分に商品・役務がある登録商標の場合、1つの区分の商品またはサービスで登録商標の使用があった場合でも、当該区分での使用が他の区分の同一商標の登録更新のための使用として認められない。つまり、区分毎に使用されていなければ、登録商標の更新ができなくなる。一方、1つの区分に複数の指定商品・役務が登録されている登録商標の場合、登録に指定されている商品または役務の1つが使用されていれば、その登録商標に指定されているすべての商品または役務の更新をサポートできるようである。登録商標の更新に関する新規則は、2018年8月10日以降に行われる登録商標の更新に適用され、更に、2018年8月10日以降に登録となった登録商標の全てに適用される。

 

 その関係で、産業財産法第130条により、登録商標がメキシコにおいて3年間継続して使用されない場合は、当該登録商標は不使用を理由とする取消の対象となる。したがって、第三者により不使用取消請求を受けた場合、商標権者は、当該登録商標の指定商品または役務に関して、取消請求日前3年以内に、商標権者または登録された使用権者により当該登録商標をメキシコにおいて継続して使用していたことを立証しなければならない。

 

 上記の使用の立証が不可能な場合、不使用が商標権者の意思や制御の及ばない状況によって生じたこと、およびそのような状況が登録商標の使用の妨げとなったことを立証すれば、不使用取消を免れることができる。このような状況の具体例としては、登録商標の指定商品または役務に対して適用された輸入制限その他の行政規制が挙げられる。

 

 商標の使用証拠として、法はあらゆる種類の書類を認めている。しかし、メキシコ産業財産庁(Instituto Mexicano de la Propiedad Industrial:IMPI)によって推奨されている使用証拠は、メキシコでの商品販売または役務提供を示す送り状である。メキシコで発行された送り状には、商標権者名または使用権者名または代理店名、商標、商品または役務が表示されていることが必要である。

 

 販売されている商品または提供されている役務に関して、送り状にNo.305というような品番を使用した場合、品番だけでは商品や役務を特定できないため、不使用取消請求人からの攻撃の根拠となるため、送り状には具体的な商品名を表示すべきである。

 

 また、商標権者と商標権者の業務提携先との間で、商標権使用許諾契約書または代理店契約書を締結しておくことが極めて重要である。

 

 送り状とは別に、広告、新聞記事または雑誌記事といった資料も、使用証拠として利用できる。ただし、これらの資料は、第三者により発行され、かつ日付が特定できることが必要である。例えば、商標権者によって発行されたカタログは、発行日が真実か改ざんされているかを確認することが不可能であるという理由で、証拠として認められない可能性がある。しかし、第三者によって発行された雑誌記事であれば、発行日が改ざんされないため、証拠として採用される。

 

 以上のように、不使用取消請求を受けた場合は、商標権者は当該登録商標を維持するために、メキシコで使用されていることを立証しなければならない。

 

【留意事項】

 登録商標がメキシコにおいて3年間継続して使用されていない場合、商標権者が依然として当該商標を保護したいのであれば、当該登録商標が有効に存続している場合であっても、当該商標を再出願することが推奨される。なぜなら、再出願が登録されれば、当該商標の使用開始まで新たに3年間の猶予が発生するからである。ただし、再出願を行う場合は、有効に存続している当該登録商標によって拒絶を受けるため、当該登録商標を自発的に抹消する必要がある。

 また、2018年改正法前までは、更新時に使用宣誓書を提出する義務があるだけであったが、2018年改正法により、登録後3年目の日から3月以内にも、使用宣誓書を提出しなければならなくなった。使用宣誓書を提出しない場合、当該登録は自動的に失効することとなる。この新たに要求された使用宣誓書の提出期限は、登録後3年目の日から3月という短い期間であるため、登録維持管理には十分な注意が必要である。

 

インドネシアにおける商標出願への拒絶理由通知に対する応答

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メキシコにおける「商標の使用」と使用証拠

【詳細】

メキシコでの使用開始日の主張は、主に次の二つの効果を有する。

(1)出願した商標が、第三者名義の登録商標の存在を根拠として拒絶された場合であって、当該引用商標が登録後3年を経過していない際には、拒絶された商標の出願人は、拒絶された商標が当該引用商標より先に使用していた時には、先使用を根拠として当該引用商標を取消すことができる。

(2)使用開始日を主張している登録商標に対して登録の取消を意図している第三者は、当該登録商標の使用開始日以前に使用していることを立証しなければならない。

 

使用開始日を主張する場合、単に出願書に記載するだけであり、使用証拠を提出する必要はない。しかし、使用開始日に対する疑義が生ずる場合に備え、使用開始日が真実である証拠(送り状等の書類)を保管しておくことが重要である。ただし、使用開始日が虚偽であった場合、登録商標の無効原因となる。したがって、商標が出願日前にメキシコで使用されている場合、書類で証明できる最も早い使用開始日を主張することを推奨する。

 

商標が登録された場合、産業財産法では、出願日から10年目の更新期限までは、任意で使用宣誓書を提出する義務はない。更新出願を行う際には、登録商標が更新日前3年以内にメキシコで使用されていることを宣誓しなければならない。

 

産業財産法第130条により、登録商標がメキシコにおいて3年間継続して使用されない場合は、当該登録商標は不使用を理由とする取消対象となる。したがって、第三者により不使用取消請求を受けた場合、商標権者は、当該登録商標の指定商品または役務に関して、取消請求日前3年以内に、商標権者または登録された使用権者により当該登録商標をメキシコにおいて継続して使用していたことを立証しなければならない。

 

上記の使用の立証が不可能な場合、不使用が商標権者の意思や制御の及ばない状況によって生じたこと、およびそのような状況が登録商標の使用の妨げとなったことを立証すれば、不使用取消を免れることができる。このような状況の具体例としては、登録商標の指定商品または役務に対して適用された輸入制限その他の行政規制が挙げられる。

 

商標の使用証拠としては、法はあらゆる種類の書類を認めている。しかし、メキシコ産業財産庁(Instituto Mexicano de la Propiedad Industrial:IMPI)によって推奨されている使用証拠は、メキシコでの商品販売または役務提供を示す送り状である。メキシコで発行された送り状には、商標権者名または使用権者名または代理店名、商標、商品または役務が表示されていることが必要である。

 

販売されている商品または提供されている役務に関して、送り状にNo.305というような品番を使用した場合、品番だけでは商品や役務を特定できないため、不使用取消請求人からの攻撃の根拠となるため、送り状には具体的な商品名を表示すべきである。

 

また、商標権者と商標権者の業務提携先との間で、商標権使用許諾契約書または代理店契約書を締結しておくことが極めて重要である。

 

送り状とは別に、広告、新聞記事または雑誌記事といった資料も、使用証拠として利用できる。ただし、これらの資料は、第三者により発行され、かつ日付が特定できることが必要である。例えば、商標権者によって発行されたカタログは、発行日が真実か改ざんされているかを確認することが不可能であるという理由で、証拠として認められない可能性がある。しかし、第三者によって発行された雑誌記事であれば、発行日が改ざんされないため、証拠として採用される。

 

以上のように、不使用取消請求を受けた場合は、商標権者は当該登録商標を維持するために、メキシコで使用されていることを立証しなければならない。

 

【留意事項】

登録商標がメキシコにおいて3年間継続して使用していない場合、商標権者が依然として当該商標を安全に保護したいのであれば、当該登録商標が有効に存続している場合であっても、当該商標を再出願することが推奨される。なぜなら、再出願が登録されれば、当該商標の使用開始まで新たに3年間の猶予が発生するからである。ただし、再出願を行う場合は、有効に存続している当該登録商標によって拒絶を受けるため、当該登録商標を自発的に抹消する必要がある。

モロッコにおける意匠制度概要と権利行使

【詳細】

 モロッコにおける知的財産権利行使マニュアル(2015年1月、日本貿易振興機構 デュッセルドルフ事務所)5

 

(目次)

5 意匠 P.30

 5.1 法規則 P.30

  c) 規定法 P.30

  d) 国際条約、議定書および協定 P.31

 5.2 登録手続きの概要 P.31

  a) 出願手続き P.31

  b) 審査および付与 P.31

 5.3 権利行使 P.32

  a) 侵害 P.32

  b) 救済手段 P.32

  c) 管轄当局 P.33

 1 事例研究 P.33

付属書3(様式D1)

インドネシアにおける商標出願への拒絶理由通知に対する応答