日本とタイにおける特許出願書類の比較
1.日本における特許出願の出願書類
(1) 出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
(条文等根拠:特許法第36条)
・日本特許法 第36条(特許出願)
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。 一 特許出願人の氏名又は名称および住所又は居所 二 発明者の氏名および住所又は居所 2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書を添付しなければならない。 3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 発明の名称 二 図面の簡単な説明 三 発明の詳細な説明 4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。 二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。 5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。 6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。 二 特許を受けようとする発明が明確であること。 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。 7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。 |
(2) 手続言語
日本語
(3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語、その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日(優先権主張を伴う出願においては最先の優先日)から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
(条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4)
・日本特許法 第36条の2
特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。 2 前項の規定により外国語書面および外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。 3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。 4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかったときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。 6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。ただし、故意に、第四項に規定する期間内に前項に規定する翻訳文を提出しなかったと認められる場合は、この限りでない。 7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。 8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。 |
・日本特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語
特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。 |
(4) 優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類(優先権主張書)を所定の期間内に提出し、その基礎出願の謄本(優先権証明書)を最先の優先日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。優先権主張書の提出は、特許出願の願書に所定の事項を記載することで、省略することができる。
(*特許庁「出願の手続」第二章第十一節「優先権主張に関する手続」、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_11-1.pdf)
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。
(条文等根拠:特許法第43条)
・日本特許法 第43条(パリ条約による優先権主張の手続)
パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をしもしくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名および出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。 2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、もしくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲もしくは実用新案登録請求の範囲および図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報もしくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 一 当該最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日 二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項もしくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知ったときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。 4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。 5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。 6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかったときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。 7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。 8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。 9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があったときは、第四項の規定は、適用しない。 |
<参考URL>
(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
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2.タイにおける特許出願の出願書類(パリルート)
(1) 出願書類
タイ特許法および省令にて規定された以下の書面を提出する。ただし、出願時に出願書類(願書または証拠書類)に不備がある場合は90日以内に補完提出が可能。
・願書
・発明の説明(明細書)
・特許請求の範囲
・要約
・必要な図面
・優先権書類
・委任状(公証人認証済みのもの)
・該当する場合は譲渡証
(条文等根拠:特許法第10条、第17条、特許法に基づく省令第22号(B.E.2542)第2条、特許法(B.E.2522)に基づく省令第21号(B.E.2542)第13条、発明特許及び小特許出願審査マニュアル2019(第1章第1部添付書類1、備考1))
・タイ特許法 第10条
発明者は,特許を出願すると共に発明者として特許に名称を記載される権利を有する。 特許を出願する権利は,譲渡又は承継により移転することができる。 特許を出願する権利の譲渡は,書面で行わなければならず,また,譲渡人及び譲受人の署名を必要とする。 |
・タイ特許法 第17条
特許出願は,省令に定める規則及び手続に従わなければならない。 特許出願書類には,次の事項が含まれていなければならない。 (1) 発明の名称 (2) 発明の特徴及び目的に関する簡単な説明 (3) 当該発明が帰属するか又は最も密接に関連する技術分野において通常の知識を有する者が当該発明を実施及び使用することができるような完全,簡潔,明瞭かつ正確な言葉で記され,かつ発明者が自らの発明を実施する上で企図する最良の態様が示された,発明の詳細な説明 (4) 明確かつ正確な 1 又は複数のクレーム (5) 省令に定めるその他の事項 タイが特許に関する国際協定又は国際協力に加盟した場合,かかる国際協定又は国際協力の要件を満たす特許出願は,本法に基づく特許出願とみなされる。 |
・タイ特許法に基づく省令第22号(B.E.2542) 第2条
特許法第28条又は第65条の5(場合に応じ)の規定に基づいて長官に審査報告書を提出するため発明特許出願又は発明小特許出願を処理するにあたり,担当官は,次の事項についてかかる特許出願又は小特許出願の審査を行うものとする。 (1) 願書,発明の説明,クレーム,図面(もしあれば)及び要約が,特許法第17条又は第17条を準用する第65条の10(場合に応じ)に基づいて公布される省令に準拠していること (2) 当該発明が,特許法第9条又は第9条を準用する第65条の10(場合に応じ)に基づく特許性のない発明でないこと (3) 出願人が,特許法第10条,第11条,第14条又は第15条第1段落若しくは第2段落に基づいて特許を出願する権利,又は,第10条,第11条,第14条又は第15条第1段落若しくは第2段落を準用する第65条の10に基づいて小特許を出願する権利(場合に応じ)を有していること (4) 出願人が,特許法第16条又は第16条を準用する第65条の10(場合に応じ)に基づいて特許又は小特許の付与を受ける権利を有していること (5) 特許出願又は小特許出願の対象たる発明が,その出願日より前に特許法第65条の3に基づいて国内で特許出願又は小特許出願がなされた発明と同一のものでないこと (6) 小特許出願の対象たる発明が単一の発明概念を構成すべく連結していること |
・タイ特許法(B.E.2522)に基づく省令第21号(B.E.2542) 第13条
タイの居住者でない出願人,異議申立人,答弁人又は審判請求人は,その者の代理人としてタイ国内で行為する者として長官に登録された代理人を任命しなければならない。委任状は長官に提出するものとする。 前段落の委任状は,タイの外交代表者,商務参事官,通商局長官,商務官若しくはその国の領事,又は委任者の国の法律により署名認証権を与えられた官吏による証明を得なければならない。 |
・発明特許及び小特許出願審査マニュアル2019(第1章第1部添付書類1、備考1)
出願又は証拠書類が不正確・不完全な場合は、担当官が追加提出すべき書類又は証拠書類の項目の不備を記録する。その場合、出願人は特許又は小特許の出願日から90日以内に、補正及び追加書類の提出を行うこと。出願人が上記の期限までに追加書類を揃えて送らなかった場合は、出願人は出願を放棄したものと見なし、担当官は出願人に出願返却すると共に、願書の返却理由及び審判請求の権利について通知する。 |
(2) 手続言語
タイ語
(条文等根拠:特許法(B.E.2522)に基づく省令第21号(B.E.2542) 第12条)
・タイ特許法(B.E.2522)に基づく省令第21号(B.E.2542) 第12条
すべての願書及び出願時に提出される書類は,次に従うものとする。 (1) 正確,明確及び完全な情報を様式の定めるとおりに記載すること (2) 発明の説明,クレーム及び要約も含め,タイ語で印刷又はタイプすること 出願人が既に外国で特許又は小特許の出願を行っている場合,出願人は,発明の説明,クレーム及び要約を原出願における外国語で提出することを要求することができる。この場合出願人は,正確かつ原出願に対応したタイ語による発明の説明,クレーム及び要約を出願から90日以内に提出しなければならない。 出願人が所定の期間内にタイ語による出願書類を提出しない場合,出願人は,かかるタイ語の書類を提出する日をもって出願を行ったものとみなされる。 (3) 場合に応じ,出願人,異議申立人,答弁人若しくは審判請求人,又は第11条又は第12条の規定に基づき委任が行われた場合は登録代理人が署名すること |
(3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
明細書、特許請求の範囲および要約は、他国での出願言語にて提出した後にタイ語訳の補完提出が可能。補完提出期限は出願から90日以内。
(条文等根拠:上記、タイ特許法(B.E.2522)に基づく省令第21号(B.E.2542) 第12条)
(4) 優先権主張手続
優先権主張を出願と同時に行う必要がある。優先権証明書を優先日から16か月以内かつ出願公開前に提出する必要がある。
(条文等根拠:特許法第19条の2、特許法に基づく省令第21号(B.E.2542)第10条)
・タイ特許法第19条の2
第14条に基づき外国で発明特許出願を行った者は,外国での最初の出願日から12月以内に国内で出願を行ったときは,かかる最初の外国出願日を国内での出願日として主張することができる。 |
・タイ特許法に基づく省令第21号(B.E.2542)第10条
外国で特許又は小特許の出願がなされた発明につき,かかる外国での最初の出願日から12月以内に特許出願を行う場合において,出願人が特許法第19条の2に基づきかかる外国での最初の出願日をタイでの出願日とすることを希望する場合,出願人は,出願時又は出願公告前でかかる外国での最初の出願日から16月以内に,長官の定める様式による別の願書を提出しなければならない。この場合,出願人はさらに,出願日及び出願の詳細を示す外国で提出した特許又は小特許の出願書類の謄本で,出願を行った国の特許庁が認証したものを提出することを要する。 |
(5) 委任状および譲渡証について
(公証人認証済み委任状)
タイの居住者でない出願人は、タイ国内での代理人を任命しなければならず、委任状を出願とともに提出しなければならない。委任状は、公証人認証が必要となる。
(譲渡証)
発明者は、特許を出願すると共に発明者として特許に名称を記載される権利を有する。出願人が発明者本人でない場合(所属する法人等が出願人となる場合)、特許を出願する権利の譲渡が書面にて行われる必要がある。この譲渡証には、譲渡人および譲受人の署名を必要とする。
委任状、譲渡証も含め、出願書類(願書または証拠書類)に不備があった場合、出願日から90日以内に補完提出が可能であるが、期限に間に合わなかった場合は特許法第27条に従って出願を放棄したものとみなされる。
(条文等根拠:特許法第10条、特許法(B.E.2522)に基づく省令第21号(B.E.2542)第13条(いずれも上記)、特許法第27条)
・タイ特許法第27条
出願審査において,担当官は,出願人を召喚して質問に答えさせ又は書類その他を提出させることができる。 外国で特許出願を行った出願人は,省令に定める規則及び手続に従い,出願審査報告書を提出しなければならない。 提出すべき書類が外国語である場合,出願人は,その書類をタイ語の翻訳文と共に提出しなければならない。 出願人が前段落に基づく担当官の指示に従わないとき,又は90日以内に本条第2段落に従って審査報告書を提出しないときは,出願人は,その出願を放棄したものとみなす。長官は,必要に応じて適当と考える期間を延長することができるものとする。 |
日本とタイにおける特許出願書類の比較日本
日本 | タイ | |
手続言語 | 日本語 | タイ語 |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 | 可 出願日(優先権主張を伴う場合は最先の優先日)から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 |
可 出願日から90日以内に発明の説明(明細書)、特許請求の範囲および要約のタイ語による翻訳文を提出しなければならない。 |
優先権主張 手続 |
優先権主張を出願と同時に行う(又は優先権主張書を所定の期間内に提出する)。優先権証明書を最先の優先日から1年4か月以内に特許庁長官に提出する。 | 優先権主張を出願と同時に行う。優先権証明書を優先日から16か月以内かつ出願公開前に提出しなければならない。 |
日本と台湾における特許出願書類の比較
1.日本における特許出願の出願書類
(1)出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条
日本国特許法 第36条(特許出願) 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。 一 特許出願人の氏名又は名称および住所又は居所 二 発明者の氏名および住所又は居所 2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書を添付しなければならない。 3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 発明の名称 二 図面の簡単な説明 三 発明の詳細な説明 4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。 二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。 5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。 6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。 二 特許を受けようとする発明が明確であること。 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。 7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。 |
(2)手続言語
日本語
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語、その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日(優先権主張を伴う出願においては最先の優先日)から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4
日本国特許法 第36条の2 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。 2 前項の規定により外国語書面および外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。 3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。 4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかったときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。 6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。ただし、故意に、第四項に規定する期間内に前項に規定する翻訳文を提出しなかったと認められる場合は、この限りでない。 7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。 8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。 |
日本国特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語 特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。 |
(4)優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類(優先権主張書)を所定の期間内に提出し、その基礎出願の謄本(優先権証明書)を最先の優先日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。優先権主張書の提出は、特許出願の願書に所定の事項を記載することで、省略することができる。
(*特許庁「出願の手続」 第二章第十一節「優先権主張に関する手続」、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_11-1.pdf)
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。
条文等根拠:特許法第43条
日本国特許法 第43条(パリ条約による優先権主張の手続) パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をしもしくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名および出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。 2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、もしくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲もしくは実用新案登録請求の範囲および図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報もしくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 一 当該最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日 二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項もしくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知ったときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。 4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。 5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。 6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかったときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。 7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。 8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。 9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があったときは、第四項の規定は、適用しない。 |
<参考URL>
(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
2.台湾における特許出願の出願書類
(1)出願書類
専利法および専利法施行細則にて規定された以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・要約
・必要な図面
・委任状(出願日から4か月以内(2か月延長可能))
条文等根拠:専利法第25条、専利法第11条、専利法施行細則規則第9条、専利審査基準第16章
台湾専利法 第25条 特許出願は、特許出願権者が願書、明細書、特許請求の範囲、要約および必要な図面を備えて、専利主務官庁にこれを提出する。 特許出願は、願書、明細書、特許請求の範囲および必要な図面が全て揃った日を出願日とする。 出願時に、明細書、特許請求の範囲および必要な図面の中国語による翻訳文を提出せず、外国語で提出し、かつ専利主務官庁が指定する期間内に中国語による翻訳文が補正された場合、当該外国語書面が提出された日を出願日とする。 前項に言う指定期間を過ぎて中国語による翻訳文を提出しなかった場合、出願を受理しないものとする。ただし、処分前に提出した場合、翻訳文を提出した日を出願日とし、当該外国語書面は提出されなかったと見なす。 |
(委任状)
台湾内に住所又は営業所がない者は、特許出願および特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行わなければならない。
台湾専利法 第11条 出願人は、特許出願および特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行うことができる。 台湾内に住所又は営業所がない者は、特許出願および特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行わなければならない。 代理人は、法令に別段の規定がある場合を除き、弁理士でなければならない。 弁理士の資格および管理は別途法律で定める。 |
台湾専利法施行細則 第9条 出願人が代理人に委任する場合は、委任状を添付し、代理権限及び送達先を明記しなければならない。 専利の出願およびその他の手続きについて代理人に手続きを委任した場合、その代理人は3名を超えてはならない。 代理人が2名以上の場合は、いずれも単独で出願人の代理を行うことができる。 前項の規定に違反して委任を行った場合、その代理人は依然として単独で代理を行うことができる。 出願人が代理人の権限又は代理人を変更する場合、又は代理人を交代させる場合は、書面によって専利主務官庁への通知しなければ、専利主務官庁に対する効力は生じないものとする。 代理人の送達先を変更する場合は、専利主務官庁に対して変更の申請を行わなければならない。 |
台湾専利審査基準第16章 2.期間の延長 専利法は当事者がある種の特定行為をすべき一定期間を規定し、性質上は法定期間であり、例えば優先権証明書類の補正期間のように、当事者の申請により延長してはならない。ただし、専利法に別途規定がある場合は、その規定に従う。例えば、専利権者が無効審判請求書のコピーの送達後1か月以内に答弁できなかった場合、理由を説明して延長を申請することができる。専利出願において補正が必要な事項がある場合、その指定された補正期間および期間の延長は、以下の原則により処理し、全ての補正期間は6か月を超えないことを原則とする: (1)特許、意匠出願又は再審査請求は、4か月以内の期限を設けて補正することを先に出願人に通知しなければならず、出願人が指定期間内に補正できなかった場合、指定期間が満了する前に、理由を記載して延長を申請することができ、原則上2か月の延長期間を許可する。 |
(2)手続言語
中国語(繁体字)
条文等根拠:専利法25条(上記)、専利法施行細則第3条
台湾専利法施行細規 第3条 技術用語の中国語翻訳が国家教育研究院(National Academy for Educational Research)によって行われ、かつ、発表されている場合は、その公定訳を使用しなければならない。ただし、当該公定訳がないとき又は専利主務官庁が必要とみなすときは、専利主務官庁は申請人に対し、中国語で表示した用語に原語を付記するよう要求することができる。 申請書およびそれに関連する全ての書類は、中国語によるものでなければならない。証明書類が外国語で作成されている場合において、専利主務官庁が必要と考えるときは、専利主務官庁は申請人に対し、その全文又は抜粋の中国語翻訳文を提出するよう要求することができる。 |
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
可
ただし、出願から4か月以内(2か月延長可能)に中国語による翻訳文を補完。
条文等根拠:専利法第25条(上記)、専利審査基準第16章(上記)
(4)優先権主張手続
優先権主張を出願と同時に行う必要がある。優先権証明書を最先優先日から16か月以内に提出しなければならない。優先権証明書の提出は、原本を提出するか、又は、日本国特許庁と台湾智慧財産局との間での優先権書類データの電子的交換が利用可能である。
<参考URL>
(日本国特許庁と台湾智慧財産局との間での優先権書類データの電子的交換)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/pdx-tipo.html
条文等根拠:専利法第28条、第29条、専利法施行細則第26条
台湾専利法 第28条 出願人が、同一の発明について、台湾と相互に優先権を承認する外国又はWTO加盟国において最初に法律に則って特許出願し、かつ最初の特許出願日後の12か月以内に、台湾に特許出願をする場合、優先権を主張することができる。 出願人が1出願において2以上の優先権を主張する場合、前項期間の計算は最先の優先日を基準とする。 外国の出願人がWTO加盟国の国民ではなく、かつその所属する国と台湾とが相互に優先権を承認していない場合、WTO加盟国又は互恵関係にある国の領域内に住所又は営業所を有していれば、第1項の規定により優先権を主張することができる。 優先権を主張した場合、その特許要件の審査は優先日を基準とする。 |
台湾専利法 第29条 前条の規定により優先権を主張しようとする者は、特許出願と同時に、下記の内容を申し出なければならない。 1.最初の出願の出願日 2.該出願を受理した国又はWTO加盟国。 3.最初の出願の出願番号 出願人は、最先優先日から起算して16ヶ月以内に、前項の国又はWTO加盟国が受理を証明した特許出願書類を提出しなければならない。 第1項第1号、第2号又は前項の規定に違反する場合は、優先権を主張しなかったと見なす。 出願人が故意によらず特許出願と同時に優先権を主張しなかった場合、又は第1項第1号、第2号の規定に違反し主張しなかったと見なされた場合は、最先優先日から起算して16ヶ月以内に優先権主張の回復を請求することができ、かつ出願料の納付及び第1項に規定する行為を補足して行う。 |
台湾専利法施行細則 第26条 本法第29条第2項の規定に基づいて提出される優先権証明書類は、正本でなければならない。 出願人は本法第29条第2項が規定する期間内に提出した優先権証明書類が写しである場合、専利主務官庁は出願人へ期限を決めて当該写しと同一の書類の正本を追完するよう通知しなければならない。期限までに追完しない又は追完しても依然として完備していない場合、本法第29条第3項の規定により、優先権を主張しないと見なす。ただし、その正本がすでに専利主務官庁に提出された場合は、正本に明記された添付案件番号を記載した写しをもってこれの代わりとすることができる。第一項の優先権証明書類は、専利主務官庁及び当該国又は世界貿易機関の加盟国・地域の特許受理官庁によって電子交換が行われた場合には出願人が提出したものと見なされる。 |
日本と台湾における特許出願書類の比較
日本 | 台湾 | |
手続言語 | 日本語 | 中国語(繁体字) |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 | 可 出願日(優先権主張を伴う場合は最先の優先日)から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 |
可 出願から4か月以内(2か月延長可)に中国語による翻訳文を補完する。 |
優先権主張 手続 |
優先権主張を出願と同時に行う(又は優先権主張書を所定の期間内に提出する)。優先権証明書を最先の優先日から1年4か月以内に特許庁長官に提出する。 | 優先権主張を出願と同時に行う。優先権証明書を最先優先日から16か月以内に提出。優先権証明書の提出は、原本の提出か、日本国特許庁と台湾智慧財産局との間での優先権書類データの電子的交換を利用可能。 |
日本とマレーシアにおける特許出願書類の比較
1.日本における特許出願の出願書類
1-1.出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
特許法第36条 特許出願 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。 一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所 二 発明者の氏名及び住所又は居所 2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。 3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 発明の名称 二 図面の簡単な説明 三 発明の詳細な説明 4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。 二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。 5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。 6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。 二 特許を受けようとする発明が明確であること。 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。 7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。 |
1-2.手続言語
手続言語は、日本語である。
特許法施行規則 第2条 書面(次項に規定するものを除く。)は、法令に別段の定めがある場合を除き、日本語で書かなければならない。 2 委任状、国籍証明書その他の書面であつて、外国語で書いたものには、その翻訳文を添附しなければならない。 |
1-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
特許法第36条の2 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。 2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあつては、本文の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。 3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。 4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。 6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。 8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。 |
特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語 特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語(*)とする。 |
(*) 外国語書面出願の言語は、「英語その他の外国語」であり、英語以外の言語も可能である。
1-4.優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を出願と同時に最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
なお、2022年9月1日現在、マレーシア知的財産公社(MyIPO)はデジタルアクセスサービス(DAS)に参加していない。
特許法第43条 パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。 2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であつてその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日 二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。 4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。 5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。 6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。 7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。 8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。 9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。 |
関連情報:
・優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について)(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
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2.マレーシアにおける特許出願の出願書類(パリルート)
2-1.出願書類
特許法および特許規則にて規定された以下の書面を提出する。
・願書(様式1)
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約
・委任状(様式17)
・陳述書(様式22)(出願人が発明者でない場合)
マレーシア特許法第28条 出願日 (1) 登録官は,出願書類受領の日を出願日として記録するものとする。 ただし,出願書類が次に掲げる事項を含んでいることを条件とする。 (a) 出願人の名称及び宛先 (b) 発明者の名称及び宛先 (c) もしあれば配列表を含む明細書 (d) 1又は複数のクレーム,及び (e) 出願書類の受領時に所定の手数料が納付されていることを示すもの (1A) (1)項(d)の目的のため,出願が10個を超えるクレームからなる場合,各請求項について所定の手数料を納付しなければならない。 (2) 登録官が,出願書類の受領時に(1)項(a),(b),(c),又は(d)に基づく要件が満たされていないと認定したときは,登録官は出願人に対し,必要な訂正を所定の期限内に行うよう要求するものとする。 (2A) 登録官は、申請者による申請が(1A)項に基づく要件を満たしていないことを発見した場合、所定の期間内に超過したクレームごとに所定の手数料を支払うよう申請者に要求するものとする。 (3) 出願人が- (a) (2)項に基づく必要な訂正を提出するための登録官の要求を遵守したときは,登録官は,要求した訂正を受領した日を出願日として記録するものとする。 (b) (2)項に基づく必要な訂正を提出するための登録官の要求に従わない場合,出願は放棄されたものとして扱われるものとする。 (c) (2A)項に基づく超過したクレームごとに所定の手数料を支払うという登録官の要求に従う場合、登録官は(1)項に基づく出願の受領日を出願日として記録するものとする。また、 (d) (2A)項に基づく超過したクレームごとに所定の手数料を支払うという登録官の要求に従わない場合、最初の10個のクレームのみ、(1)項に基づく出願の受領日を出願日として記録するものとする。 (4) 出願人が,実際には出願書類に含まれていない図面に言及している場合は,登録官は出願人に対し,欠落している図面を所定の期限内に提出するよう要求するものとする。 (5) 出願人が(4)項にいう要求を遵守したときは,登録官は,欠落していた図面を受領した日を出願日として記録しなければならず,かつ,出願人がそのように遵守しなかったときは,登録官は,出願書類受領の日を出願日として記録しなければならず,前記図面へは言及しないものとする。 (6) (2)項,(2A)項及び(4)項にいう所定の期限は、第82条に基づいて、登録官は延長してはならない。 |
マレーシア特許規則5 特許付与出願 (1) 特許付与の出願を行うには,次のものを提出しなければならない。 (a) 願書 (b) もしあれば配列表を含む明細書 (c) 1又は複数のクレーム (d) 必要な場合は,1又は複数の図面,及び (e) 要約 (2) 特許付与の出願は,特許登録局に対して行うものとする。 |
マレーシア特許規則7 特許付与請求 (1) 特許付与請求は,所定の手数料を納付し,登録官によって決定された様式により登録官に対して行うものとする。 (2) 発明の名称には,発明の対象が明確かつ具体的に表示されなければならない。 |
マレーシア特許規則10 出願人の特許を受ける権利 (1) 出願人が発明者である場合は,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書においてその事実を述べなければならない。 (2) 出願人が発明者でない場合は,出願人が当該特許を受ける権利を有することを正当化する旨の陳述書を,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書に,登録官が定める様式により,所定の手数料を添えて,添付しなければならない。 (3) (1)及び(2)の規定の適用上,特許代理人を選任する場合,特許付与のための願書には,登録官が定める様式による特許代理人の選任請求書を所定の手数料の支払いとともに添付しなければならない。 |
2-2.手続言語
手続言語は、マレー語または英語である。
マレーシア特許規則18 物的要件 (1) 別段の定めがない限り,願書及び付属の陳述書その他の書類は各1通提出するものとする。ただし,登録官は,必要に応じて,1通以上を提出するよう要求することができる。 (1A) 出願書類及び付随する陳述書又は文書は,次の順序で提出する必要がある。 (a) 願書 (b) 明細書 (c) 1又は複数のクレーム (d) 要約 (e) 必要な場合は,1又は複数の図面,及び (f) もしあれば配列表 (1B) (1A)で言及されるすべての出願書類及び付随する陳述書又は文書は,新しいページから始めるものとする。 (2) すべての出願書類は,写真,静電印刷法,写真オフセット印刷法及びマイクロフィルムによる直接の複製が可能なように提出されなければならない。 (3) 出願を構成する各紙面のすべてのページに裂け目,しわ及び折り目があってはならず,かつ,片面にのみ記載がなされなければならない。 (4) すべての出願書類は丈夫で白くなめらかな無光沢で耐久力のあるA4の用紙(29.7cm×21cm)を使用しなければならない。 (5) (4)の規定に拘らず,登録官は,A4版以外の用紙の使用を許すことができる。 (6) 各用紙の最低余白は2cmとする。 (7) 明細書,1又は複数のクレーム,及び要約には,頂部中央にアラビア数字で続き番号を付さなければならない。 (7A) (7)に記載される要件に加え,出願に1又は複数の図面及び配列表が含まれる場合,1又は複数の図面及び配列表には,ページ内の上部に,(7)に述べるように,明細書,クレーム,要約とは別の独立した続き番号を付さなければならない。 (8) 出願の本文は,消去不能な暗色で,かつ,少なくとも1.5行の行間スペースを取ってタイプ又は印刷するものとする。ただし,図式記号,化学式,数学式及び若干の文字については,必要な場合,手書きすることが認められる。 (9) 出願の中で,明細書及びクレームについては,各ページの5行ごとに,該当行の左部,余白の右側にアラビア数字で行番号が付されなければならない。 (10) 図面は,耐久性のある,十分な緻密性を有する黒色の,一様な厚みの明確な線と筆法で,着色せずに作成するものとする。 (11) 願書及び付属の陳述書その他の書類は,マレーシア国語又は英語で作成し提出しなければならない。 (12) 配列表は,登録官によって決定された基準及び以下の基準に従って,配列表の複写を含む物理的なコンピューター記録媒体で特許登録局に提出されなければならない。 (13) (12)に基づいて,登録官に提出された物理的なコンピューター記録媒体は,登録官によって決定された要件に準拠する必要がある。 |
2-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
外国語書面出願制度は設けられていない。
2-4.優先権主張手続
優先権証明書およびその翻訳文は、登録官から要求があった場合に提出が必要である。提出期限は、登録官による要求の日から3か月以内である。
マレーシア特許法第27条 (1) 出願は,国際条約に基づき,出願された発明と同一の発明に関して,出願人又はその前任者が,当該国際条約に基づく出願日の直前12箇月の間に行った1又は複数の国内,地域又は国際出願について優先権を主張する宣言を含むことができる。出願人又はその前任者が、その宣言を含む出願の出願日の直前の12箇月の間に,当該国際条約又は条約の締約国において又は締約国のためにした1つ以上の国内出願、地域出願又は国際出願について,国際条約に基づく優先権を主張する宣言を含むことができる。 (1A) (1)に記載した12月の期間は、第82条の規定に基づく延長を受けることができない。 (1B) 出願人が(1)に記載した12箇月の期間中に優先権を主張しなかった場合、優先権は以下の場合に回復することができる。 (a) 優先権の回復の請求が,登録官が定める様式により,所定の手数料の支払いとともに出願人により登録官に対して行われること;及び (b) (a)に基づく請求が所定の条件を満たすこと。 (2) 出願が(1)に基づく申立を含んでいるときは,登録官は出願人に対し,先の出願の謄本であって,出願先の当局によって,又は,先の出願が国際条約に基づいてなされた国際出願である場合は,世界知的所有権機関の国際事務局によって,正しいものとして認証されたものを,所定の期間内に提出するよう要求することができる。 (3) (1)にいう申立の効果は,同項にいう条約が定めているところによる。 (4) 本条又はそれに付属する規則の要件の何れかが遵守されていないときは,(1)にいう申立は,無効とみなす。 |
マレーシア特許規則第21条 優先権を主張する申立 (1) 特許法第27条(1)に基づく優先権主張の申立においては、次の事項を記載しなければならない。 (a) 各先願の日付 (b) (2)の規定に従うことを条件として、各先願の出願番号 (c) (3)の規定に従うことを条件として、各先願に付された国際特許分類記号(ある場合) (d) 各先願が提出された国の名称または、先願が地域出願または国際出願であるときは、当該出願に関して指定された国の名称、および (e) 先願が地域出願または国際出願である場合は、それが提出された官庁の名称 (2) (1)にいう申立の時に、先願の番号が不明な場合は、その番号は、当該優先権申立を含む出願がなされた日から3月以内に通知されるものとする。 (3) 国際特許分類記号が先願に付されない場合または(1)に述べる申立の時に未だ割り当てられていない場合は、出願人は申立中でこの事実を陳述するものとする。 (4) (1)の規定に従い複数の先願の優先権が主張される場合、それら複数の先願に関する情報を1個の申立において提供することができる。 |
マレーシア特許規則第22条 先願の謄本 (1) 特許法第27条(2)の規定が適用になる場合、出願人は、登録官による要求の日から3月以内に、各先願の認証謄本を提出しなければならない。 (2) (1)にいう認証謄本が他の出願において既に提出されている場合は、出願人はかかる他の出願に言及することができる。 (3) (1)にいう先願がマレーシア国語または英語以外の言語で作成されている場合は、登録官は、出願人に対して、登録官による要求の日から3月以内に、当該先願のマレーシア国語または英語による翻訳文を提出するよう出願人に求めることができる。 |
2-5.その他の書類
出願人が発明者でない場合は、出願人が当該特許を受ける権利を有することを正当化する旨の陳述書を添付しなければならない。また、出願人が代理人を通じて手続を行う場合は、委任状を提出する。
マレーシア特許規則第10条 出願人の特許を受ける権利 (1) 出願人が発明者である場合は,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書においてその事実を述べなければならない。 (2) 出願人が発明者でない場合は,出願人が当該特許を受ける権利を有することを正当化する旨の陳述書を,規則7(1)に基づく特許の付与のための願書に,登録官が定める様式により,所定の手数料を添えて,添付しなければならない。 (3) (1)及び(2)の規定の適用上,特許代理人を選任する場合,特許付与のための願書には,登録官が定める様式による特許代理人の選任請求書を所定の手数料の支払いとともに添付しなければならない。 |
マレーシア特許規則第45B条 手続における代理 (1) 特許法または特許法に基づき制定される規則において別段の定めがなされない限り、または登録官が別段の指示をしない限り、何人も、特許登録局における手続を特許代理人に委任することができ、委任を受けた特許代理人は、本人に代わって手続に出席し、書類を提出し、また書類に署名することができる。 (2) 特許代理人の任命および変更は、委任者が署名した登録官が定める様式により、登録官の定める所定の手数料の支払いとともに、登録官に提出して行わなければならない。 |
日本とマレーシアにおける特許出願書類の比較
日本 | マレーシア | |
手続言語 | 日本語 | マレー語または英語 |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 | 可 その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 |
不可 優先期間内に英語(またはマレー語)で出願書類作成しなければならない。また、陳述書や委任状の手配も必要。 |
優先権主張手続 | 優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 | 優先権証明書およびその翻訳文は、登録官から要求があった場合に提出が必要である。提出期限は、登録官による要求の日から3か月以内である。 |
日本と中国における特許出願書類の比較
日本における特許出願の出願書類
(1)出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条
日本特許法 第36条 特許出願
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名または名称および住所または居所
二 発明者の氏名および住所または居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲または図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
(2)手続言語
日本語
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語その他の外国語(その他の外国語に制限は設けられていない)により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。この場合は、その特許出願の日(最先の優先日)から1年4か月以内(分割出願等の場合は出願日から2か月以内)に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、特許法条約(PLT)に対応した救済規定がある。
条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4
日本特許法 第36条の2
特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書または特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面および必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)ならびに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2 前項の規定により外国語書面および外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)または第四十三条の三第一項もしくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願もしくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンでおよび千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)または第四十三条の三第一項もしくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から1年4月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項もしくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願または第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更または実用新案登録に基づく特許出願の日から2月以内に限り、外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面および外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
7 第四項または前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲および図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
日本特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語
特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。
(4)優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。
条文等根拠:特許法第43条
日本特許法 第43条 パリ条約による優先権主張の手続
パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨ならびに最初に出願をしもしくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をしまたは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名および出願の年月日を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、もしくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲もしくは実用新案登録請求の範囲および図面に相当するものの謄本またはこれらと同様な内容を有する公報もしくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から1年4月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項または次条第一項もしくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知ったときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府または工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類または前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類または第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類または第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類または書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第七項または前項の規定により第二項に規定する書類または第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。
<参考URL>
特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
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中国における特許出願の出願書類(パリルート)
(1)出願書類
専利法および実施細則にて規定された以下の文書を提出する。
・願書
・説明書およびその要約
・権利要求書
・図面(必要な場合)
・優先権書類
・委任状
条文等根拠:専利法第26条,専利法実施細則第15条
中国専利法 第26条
発明または実用新案の特許の出願には、願書、説明書およびその要約、権利要求書等の文書を提出しなければならない。
願書には発明または実用新案の名称、発明者の氏名、出願者の氏名または名称、住所およびその他の事項を明記しなければならない。
明細書では、発明または実用新案に対し、その所属技術分野の技術者が実現できることを基準とした明確かつ完全な説明を行い、必要時には図面を添付しなければならない。要約は発明または実用新案の技術要点を簡単に説明しなければならない。
権利要求書は説明書を根拠とし、専利保護請求の範囲について明確かつ簡潔に要求を特定しなければならない。
遺伝資源に依存して完成した発明創造について、出願者は特許出願書類において当該遺伝資源の直接的由来と原始的由来を説明しなければならない。原始的由来を説明できない場合、出願者はその理由を陳述しなければならない。
中国専利法実施細則 第15条
書面によって特許を出願する場合は、国務院特許行政部門に出願書類1式2部を提出しなければならない。
国務院特許行政部門が規定するその他の形式で特許を出願する場合は、規定の要求に合致しなければならない。
申請人が特許代理機関に委任して国務院特許行政部門に特許を出願しまたはその他の特許事務を行う場合は、同時に委任の権限を明記した委任状を提出しなければならない。
出願人が2人以上でかつ特許代理機関に委任していない場合は、願書に別途言明されている場合を除き、願書に明記されている第一出願人を代表人とする。
(2)手続言語
中国語(簡体字)
中国専利法実施細則 第3条
専利法および本細則に基づいて提出する各種の書類は中国語を使用しなければならない。国に統一的に規定された科学技術用語がある場合には、規範用語を採用しなければならない。外国の人名、地名、科学技術用語であって、統一的な中国語訳が無いものについては、その原文を注記しなければならない。
専利法および本細則に基づいて提出される各種の証明書および証明書類が外国語によるものであって、国務院特許行政部門は必要と認める場合、指定の期限内に中国語訳文を追加添付するよう当事者に要求することが出来る。期限が過ぎても追加添付されなかった場合には、当該証明書と証明書類が提出されていなかったとみなす。
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
不可
(4)優先権主張手続
優先権主張を出願と同時に行う。優先権証明書を最初の特許出願日から16か月以内に提出。ただし、日本での特許出願を基礎とする中国特許出願の場合、デジタルアクセスサービス(DAS)を利用して日本国特許庁から優先権書類の電子データを取得するよう中国国家知識産権局に対して請求することにより、優先権書類の紙による提出を省略することが可能となる。
条文等根拠:専利法第30条
中国専利法 第30条
出願人が発明、実用新案について専利優先権を要求する場合、出願時に書面による声明を提出し、かつ最初に専利出願を提出した日から16か月以内に、最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない。出願人が意匠について専利優先権を要求する場合、出願時に書面による声明を提出し、かつ3か月以内に、最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない。
出願人が書面による声明を提出せず、または期限を過ぎても専利出願書類の副本を提出しない場合は、優先権を要求しなかったものとみなす。
<参考URL>
特許庁:DASを利用する際に日本国特許庁に行う手続について 1.日本国特許庁を第一庁としてDASを利用する場合の手続)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/jpo-tetsuduki.html#howto1
(5)その他の書類
(委任状)
出願人は専利代理機構に委任して、中国国家知識産権局に専利出願を行う場合、委任状の提出が求められる。
ただし、出願ごとに委任状を準備する手間を省くため、専利局に総委任状を交付し、その後、書面による専利出願を提出するときに、専利代理委任状の原本を提出せず、総委任状のコピーのみを提出し、電子ファイルによる専利出願を提出するときに、願書に総委任状の番号を明記し、電子ファイル形式の総委任状および総委任状のコピーを提出しないことも可能である。
条文等根拠:専利審査指南 第一章 6.1.2,専利審査指南 第十一章 5.1
中国専利審査指南 第一章 発明専利出願の方式審査 6.1.2 委任状
出願人は専利代理機構に委任して、専利局に専利出願およびその他専利事務を行う場合、委任状を提出しなければならない。委任状は専利局で制定された標準フォームを使い、委任権限、発明創造の名称、専利代理機構の名称、専利代理人の氏名を明記するものとし、かつ願書に書いてある内容と一致させなければならない。専利出願の出願番号が確定された後に委任状を提出する場合、専利出願番号を明記しなければならない。
出願人が個人である場合、委任状には出願人が署名または捺印しなければならない。出願人が機構である場合、機構の公印を捺印するものとし、同時にその法定代表者の署名または捺印を付しても良いとする。出願人が2名いる場合、出願人全員が署名または捺印しなければならない。また、委任状に専利代理機構が公印を捺印しなければならない。
出願人は専利代理機構に委任した場合、専利局に総委任状を交付して良いとする。専利局は規定に合致する総委任状を受取った後に、総委任状に番号を付け、専利代理機構に通知しなければならない。総委任状を交付した場合、専利出願を提出する時に、専利代理委任状の原本を提出せず、総委任状のコピーを提出して良いとする。同時に発明創造の名称、専利代理機構の名称、専利代理人の氏名と専利局から付与された総委任状番号を明記し、専利代理機構の公印を捺印する。
委任状は規定事項に合致しない場合、審査官は補正通知書を出し、専利代理機構に指定された期限以内に補正するよう通知しなければならない。先頭署名した出願人が中国大陸の機構または個人であり、期限内に答弁しない、または補正をしても規定事項に合致しない場合、審査官は双方当事者に対して、専利代理機構に委任していないものと見なす旨の通知書を発行しなければならない。先頭署名した出願人が外国人、外国企業または外国のその他の組織であり、期限内に答弁しない場合、審査官は取下げとみなすとの通知書を発行しなければならない。補正しても規定事項に合致しない場合、当該専利出願は却下されなければならない。先頭署名した出願人が香港、マカオまたは台湾地区の個人、企業またはその他の組織であり、期限内に答弁しない場合、審査官は取下げとみなす通知書を発行しなければならない。補正しても規定事項に合致しない場合、当該専利出願は却下されなければならない。
中国専利審査指南 第十一章 電子出願についての若干の規定 5.1 専利代理委任状
出願人が専利代理機構に、電子ファイル形式での専利出願やその他専利関連事務の代行を委任する場合、電子ファイル形式の専利代理委任状および専利代理委任状の紙書類の原本を提出しなければならない。出願人が専利代理機構に、費用の軽減・延長手続の代行を委任する場合、電子ファイル形式の専利代理委任状の中で宣言を行わなければならない。
すでに専利局で総委任状を提出しており、そして専利出願時は願書に総委任状の番号を明記している場合、もしくは記載事項の変更時に申告書に総委任状の番号を明記している場合には、電子ファイル形式の総委任状および総委任状のコピーを提出する必要がない。
日本 | 中国 | |
手続言語 | 日本語 | 中国語(簡体字) |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 | 可(英語またはその他の外国語) その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 |
不可 |
優先権主張 手続 |
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 | 優先権主張を出願と同時に行う。優先権証明書を最初の特許出願日から16か月以内に提出。 (日本特許出願を基礎とする場合には、特許庁間DAS利用可) (留意点) 日本特許出願を優先権主張の基礎として中国出願する場合、優先期間内に中国語で出願書類作成し出願を行わなければならない。 |
日本と台湾における特許出願書類の比較
日本における特許出願の出願書類
(1)出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条
日本特許法 第36条 特許出願
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名または名称および住所または居所
二 発明者の氏名および住所または居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項に特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲または図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
(2)手続言語
日本語
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語、その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4
日本特許法 第36条の2
特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書または特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面および必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2 前項の規定により外国語書面および外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)または第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)または第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項もしくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願または第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更または実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかったときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
7 第四項または前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲および図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
日本特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語
特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。
(4)優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。
条文等根拠:特許法第43条
日本特許法 第43条 パリ条約による優先権主張の手続
パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をしもしくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をしまたは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名および出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、もしくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲もしくは実用新案登録請求の範囲および図面に相当するものの謄本またはこれらと同様な内容を有する公報もしくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)または第四十三条の三第一項もしくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知ったときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府または工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類または前項に規定する書面の提出がなかったときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類または第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類または第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類または書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第七項または前項の規定により第二項に規定する書類または第五項に規定する書面の提出があったときは、第四項の規定は、適用しない。
<参考URL>
(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
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台湾における特許出願の出願書類
(1)出願書類
専利法および専利法施行細則にて規定された以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・要約
・必要な図面
・委任状(出願日から4か月以内(2か月延長可能))
条文等根拠:専利法第25条、専利法第11条、専利法施行細則規則第9条、専利審査基準第16章(https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-682-870070-5036b-101.html)
日本語訳(https://chizai.tw/legal/)
台湾専利法 第25条
特許出願は、特許出願権者が願書、明細書、特許請求の範囲、要約および必要な図面を備えて、専利主務官庁にこれを提出する。
特許出願は、願書、明細書、特許請求の範囲および必要な図面が全て揃った日を出願日とする。
出願時に、明細書、特許請求の範囲および必要な図面の中国語による翻訳文を提出せず、外国語で提出し、かつ専利主務官庁が指定する期間内に中国語による翻訳文が補正された場合、当該外国語書面が提出された日を出願日とする。
前項に言う指定期間を過ぎて中国語による翻訳文を提出しなかった場合、出願を受理しないものとする。ただし、処分前に提出した場合、翻訳文を提出した日を出願日とし、当該外国語書面は提出されなかったと見なす。
(委任状)
台湾内に住所または営業所がない者は、特許出願および特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行わなければならない。
台湾専利法 第11条
出願人は、特許出願および特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行うことができる。
台湾内に住所または営業所がない者は、特許出願および特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行わなければならない。
代理人は、法令に別段の規定がある場合を除き、弁理士でなければならない。
弁理士の資格および管理は別途法律で定める。
台湾専利法施行細則 第9条
出願人が代理人に委任する場合は、委任状を添付し、代理権限及び送達先を明記しなければならない。
専利の出願およびその他の手続きについて代理人に手続きを委任した場合、その代理人は3名を超えてはならない。
代理人が2名以上の場合は、いずれも単独で出願人の代理を行うことができる。
前項の規定に違反して委任を行った場合、その代理人は依然として単独で代理を行うことができる。
出願人が代理人の権限または代理人を変更する場合、または代理人を交代させる場合は、書面によって専利主務官庁への通知しなければ、専利主務官庁に対する効力は生じないものとする。
代理人の送達先を変更する場合は、専利主務官庁に対して変更の申請を行わなければならない。
台湾専利審査基準第16章 2.期間の延長
専利法は当事者がある種の特定行為をすべき一定期間を規定し、性質上は法定期間であり、例えば優先権証明書類の補正期間のように、当事者の申請により延長してはならない。ただし、専利法に別途規定がある場合は、その規定に従う。例えば、専利権者が無効審判請求書のコピーの送達後1か月以内に答弁できなかった場合、理由を説明して延長を申請することができる。専利出願において補正が必要な事項がある場合、その指定された補正期間および期間の延長は、以下の原則により処理し、全ての補正期間は6か月を超えないことを原則とする:
(1)特許、意匠出願又は再審査請求は、4か月以内の期限を設けて補正することを先に出願人に通知しなければならず、出願人が指定期間内に補正できなかった場合、指定期間が満了する前に、理由を記載して延長を申請することができ、原則上2か月の延長期間を許可する。
(2)手続言語
中国語(繁体字)
条文等根拠:専利法25条(上記)、専利法施行細則第3条
台湾専利法施行細規 第3条
科学用語の中国語翻訳が国家教育研究院(National Academy for Educational Research)によって行われ、かつ、発表されている場合は、その公定訳を使用しなければならない。ただし、当該公定訳がないときまたは専利主務官庁が必要とみなすときは、専利主務官庁は申請人に対し、中国語で表示した用語に原語を付記するよう要求することができる。
申請書およびそれに関連する全ての書類は、中国語によるものでなければならない。証拠書類が外国語で作成されている場合において、専利主務官庁が必要と考えるときは、専利主務官庁は申請人に対し、その全文または抜粋の中国語翻訳文を提出するよう要求することができる。
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
可
ただし、出願から4か月以内(2か月延長可能)に中国語による翻訳文を補完。
条文等根拠:専利法第25条(上記)、専利審査基準第16章(上記)
(4)優先権主張手続
優先権主張を出願と同時に行う必要がある。優先権証明書を最先優先日から16か月以内に提出しなければならない。優先権証明書の提出は、原本を提出するか、または、日本国特許庁と台湾智慧財産局との間での優先権書類データの電子的交換が利用可能である。
<参考URL>
(日本国特許庁と台湾智慧財産局との間での優先権書類データの電子的交換)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/pdx-tipo.html
条文等根拠:専利法第28条、第29条、専利法施行細則第26条
台湾専利法 第28条
出願人が、同一の発明について、中華民国と相互に優先権を承認する外国またはWTO加盟国において最初に法律に則って特許出願し、かつ最初の特許出願日後の12か月以内に、台湾に特許出願をする場合、優先権を主張することができる。
出願人が1出願において2以上の優先権を主張する場合、前項期間の計算は最先の優先日を基準とする。
外国の出願人がWTO加盟国の国民ではなく、かつその所属する国と台湾とが相互に優先権を承認していない場合、WTO加盟国または互恵関係にある国の領域内に住所または営業所を有していれば、第1項の規定により優先権を主張することができる。
優先権を主張した場合、その特許要件の審査は優先日を基準とする。
台湾専利法 第29条
前条の規定により優先権を主張しようとする者は、特許出願と同時に、下記の内容を申し出なければならない。
1.最初の出願の出願日
2.該出願を受理した国またはWTO加盟国。
3.最初の出願の出願番号
出願人は、最先優先日から起算して16か月以内に、前項の国またはWTO加盟国が受理を証明した特許出願書類を提出しなければならない。
第1項第1号、第2号または前項の規定に違反する場合は、優先権を主張しなかったと見なす。
出願人が故意によらず特許出願と同時に優先権を主張しなかった場合、または前項規定により主張しなかったと見なされた場合は、最先優先日から起算して16か月以内に優先権主張の回復を請求することができ、かつ出願料金の納付および第1項および第2項に規定する行為を補足して行う。
台湾専利法施行細則 第26条
本法第29条第2項の規定に基づいて提出される優先権証明書類は、正本でなければならない。
出願人は本法第29条第2項が規定する期間内に提出した優先権証明書類が写しである場合、専利主務官庁は出願人へ期限を決めて当該写しと同一の書類の正本を追完するよう通知しなければならない。期限までに追完しないまたは追完しても依然として完備していない場合、本法第29条第3項の規定により、優先権を主張しないと見なす。ただし、その正本がすでに専利主務官庁に提出された場合は、正本に明記された添付案件番号を記載した写しをもってこれの代わりとすることができる。第一項の優先権証明書類は、専利主務官庁および当該国または世界貿易機関の加盟国・地域の特許受理官庁によって電子交換が行われた場合には出願人が提出したものと見なされる。
https://chizai.tw/wp-content/themes/chizai/uploads/20130227_1674161956_%E5%B0%88%E5%88%A9%E6%B3%95%E6%96%BD%E8%A1%8C%E7%B4%B0%E5%89%87%E3%80%80%E4%BB%AE%E8%A8%B3.pdf
日本と台湾における特許出願書類の比較
日本 | 台湾 | |
手続言語 | 日本語 | 中国語(繁体字) |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 | 可その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 | 可出願から4か月以内(2か月延長可)に中国語による翻訳文を補完する。 |
優先権主張手続 | 優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を経済産業省令で定める期間内に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 | 優先権主張を出願と同時に行う。優先権証明書を最先優先日から16か月以内に提出。優先権証明書の提出は、原本の提出か、日本国特許庁と台湾智慧財産局との間での優先権書類データの電子的交換を利用可能。 |
日本とベトナムにおける特許出願書類の比較
1.日本における特許出願の出願書類
1-1.出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条
日本特許法 第36条 特許出願
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 発明者の氏名及び住所又は居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
1-2.手続言語
日本語
1-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年2か月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4
日本特許法 第36条の2
特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
日本特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語
特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語とする。
1-4.優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。
条文等根拠:特許法第43条
日本特許法 第43条 パリ条約による優先権主張の手続
パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。
<参考URL>
特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について)
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
1-5.明細書の様式
特許法施行規則様式第29に明細書の作成様式を示している。
【発明の名称】
【技術分野】
【背景技術】
【先行技術文献】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【産業上の利用可能性】
【符号の説明】
条文等根拠:特許法第36条、特許法施行規則様式第29
2.ベトナムにおける特許出願の出願書類(パリルート)
2-1.出願書類
知的財産法にて規定された以下の書面を提出する。
・願書
・保護を求める発明を特定する書類
(発明の説明書(日本における明細書)および要約書を含み、発明の説明書には必要な図面および特許請求の範囲が含まれる)
・委任状
条文等根拠:知的財産法第100条
ベトナム知的財産法 第100条 工業所有権登録出願に係る一般的要件
(1)工業所有権登録出願は、次の書類から構成される。
(a)所定の様式による願書
(b)第102条から第106条までの規定に従い保護を求めてクレームされた工業所有権を特定する書類、見本、情報
(c)出願が代理人を通じて行われるときは、委任状
(d)出願人が登録を受ける権利を他人から取得したときは、その権利を証明する書類
(dd)優先権を主張するときは、それを証明する書類
(e)所定の手数料および料金の領収書
(2)工業所有権登録出願書類および出願人と国家工業所有権庁との間の通信書類は、ベトナム語により作成しなければならない。ただし、次のものは例外として、他の言語により作成することができるが、国家工業所有権庁の請求があればベトナム語に翻訳しなければならない。
(a)委任状
(b)登録を受ける権利を証明する書類
(c)優先権を証明する書類
(d)当該出願を支持する他の書類
(3)工業所有権登録出願の優先権を証明する書類には、次のものを含める。
(a)受理官庁により認証された最初の出願書類の写し
(b)他人から取得したときは、優先権の譲渡証書
ベトナム知的財産法第102条 発明登録出願に係る要件
(1)発明登録出願において保護を求める発明を特定する書類は、発明の説明および保護の範囲から構成される発明の説明書並びに要約を含まなければならない。
(2)発明の説明は、次の条件を満たさなければならない。
(a)発明の内容について当該発明が当該技術の通常の知識を有する者により実施できる程度に開示すること
(b)発明の内容を更に明らかにするために図面が必要であるときは、当該図面を簡単に説明すること
(c)発明の新規性、進歩性および産業上の利用可能性を明らかにすること
(3)発明の保護の範囲は、その発明に対する権利の範囲を特定するのに必要かつ十分な技術的特徴の組合せの形態で表現するものとし、発明の説明書および図面に合致していなければならない。
(4)発明の要約は、発明の内容の本質的特徴を開示しなければならない。
2-2.手続言語
ベトナム語
条文等根拠:知的財産法第100条(2)(上記)
2-3.手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
不可
2-4.優先権主張手続
優先権主張を出願と同時に行う必要がある。出願と同時もしくは出願から3か月以内に優先権証明書を提出しなければならない。また、優先権証明書の表紙(certification)部分のベトナム語訳の提出が必要である。
条文等根拠:知的財産法第100条(1)(dd)(上記)、知的財産法第91条
ベトナム知的財産法 第91条 優先権の原則
(1)発明、工業意匠、または標章の登録出願人は、次の条件が完全に満たされるときは、同一主題の保護に係る最初の出願に基づいて優先権を主張することができる。
(a)最初の出願がベトナムにおいて、または優先権に関する規定を有し、ベトナム社会主義共和国が締約国である国際条約の締約国において、または当該規定の適用をベトナムと同意した国において行われたこと
(b)出願人が、ベトナムもしくは(a)にいう国の国民であるか、またはベトナムもしくは(a)にいう国における居住者であるかまたはそこに取引もしくは生産の事業所を有すること
(c)優先権の主張が出願書類に明確に記載されており、かつ、最初の出願書類の写しがその受理官庁により証明されていること
(d)ベトナムが締約国である国際条約に規定する期限内に出願が行われたこと
(2)単一の発明、工業意匠、または標章の出願において、出願人は、異なる先の出願に基づく複合優先権を主張することができる。ただし、当該先の出願および当該出願の対応する内容が表示されていることを条件とする。
(3)優先権を享受する工業所有権登録出願は、最初の出願日と同一の優先日を有するものとする。
2-5.明細書の様式
明細書には以下の順で構成されなければならない。
(i)発明の名称
(ii)発明技術分野
(iii)発明の先行技術
(iv)発明の目的*1
(v)発明の技術的本質
(vi)添付の図面の簡単な説明(もしあれば)
(vii)発明実施方法の詳細な明細書
(viii)発明の実施例(もしあれば)*1
(ix)期待される利点(効果)(もしあれば/発明の技術的本質に記載があれば)*1
条文等根拠:産業財産権に関する省令第01/2007/TT-BKHCN号、第16/2016/TT-BKHCN号
*1: 2018年1月15日施行の産業財産権に関する省令第16/2016/TT-BKHCN号により変更された。
日本とベトナムにおける特許出願書類の比較
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日本 |
ベトナム |
手続言語 |
日本語 |
ベトナム語 |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 |
可(英語) その特許出願の日から1年2か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 |
不可 (留意点) 優先期間内にベトナム語で出願書類を作成し、出願を行わなければならない。 |
優先権主張手続 |
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 |
優先権主張を出願と同時に行う。出願と同時もしくは出願から3か月以内に優先権証明書提出を提出しなければならない。優先権証明書の表紙(certification)部分のベトナム語訳の提出が必要である。 |
日本とインドネシアにおける特許出願書類・手続の比較
1. 日本における特許出願の出願書類
(1)出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条
日本特許法 第36条 特許出願 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。 一 特許出願人の氏名または名称および住所または居所 二 発明者の氏名および住所または居所 2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書を添付しなければならない。 3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 発明の名称 二 図面の簡単な説明 三 発明の詳細な説明 4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。 二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。 5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。 6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。 二 特許を受けようとする発明が明確であること。 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。 7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲または図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。 |
(2)手続言語
日本語
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4
日本特許法 第36条の2 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書または特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面および必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)ならびに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。 2 前項の規定により外国語書面および外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日から一年四月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項もしくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願または第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更または実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。 3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間内に同項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。 4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。 6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面および外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。 7 第四項または前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。 8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲および図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。 |
日本特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語 特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。 |
(4)優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を出願と同時に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月または優先権主張出願日から4か月のいずれか遅い日までの間に特許庁長官に提出しなければならない。優先権証明書の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に提出が可能である。
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっているが、本稿作成時点ではインドネシアとの間では実施されていない。
条文等根拠:特許法第43条、特許法施行規則第27条の4の2、特許法施行規則第27条の3の3
日本特許法 第43条 パリ条約による優先権主張の手続 パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨ならびに最初に出願をしもしくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をしまたは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名および出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。 2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、もしくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲もしくは実用新案登録請求の範囲および図面に相当するものの謄本またはこれらと同様な内容を有する公報もしくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 一 当該最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日 二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)または第四十三条の三第一項もしくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日 3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願もしくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願または同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知ったときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。 4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。 5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府または工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。 6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類または前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。 7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類または第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。 8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類または第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類または書面を特許庁長官に提出することができる。 9 第七項または前項の規定により第二項に規定する書類または第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。 |
特許法43条1項の「経済産業省令で定める期間」は、以下のとおりである。
日本特許法施行規則 第27条の4の2 1~2(略) 3 特許法第四十一条第四項および第四十三条第一項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)および第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める期間は、次に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。 一 特許出願(特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項もしくは第二項または第四十六条の二第一項の規定による特許出願を除く。)について、同法第四十一条第一項、第四十三条第一項または第四十三条の三第一項もしくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。)優先日(優先権主張書面を提出することにより優先日について変更が生じる場合には、変更前の優先日または変更後の優先日のいずれか早い日。次号において同じ。)から一年四月の期間が満了する日またはこれらの規定による優先権の主張を伴う特許出願の日から四月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求または出願公開の請求があつた後の期間を除く。) |
特許法第43条7項の「経済産業省令で定める期間」は、以下のとおりである。
日本特許法施行規則 第27条の3の3 5 特許法第四十三条第七項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める期間は、同法第四十三条第六項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定による通知の日から二月とする。 |
<参考URL>
(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
2. インドネシアにおける特許出願の出願書類(パリルート)
(1)出願書類
特許法および特許規則にて規定された以下の書面を提出する。
・願書
(出願の年月日、出願人の名称および住所、発明者の名称および国籍、代理人の名称および住所、および発明の名称、優先権主張などの情報を含む)
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
・委任状
条文等根拠:特許法第24条、第25条、特許規則第4条
インドネシア特許法 第24条 (1)特許は、出願に基づき付与される。 (2)(1)項の出願は、出願人または代理人により大臣に対して手数料の納付と共にインドネシア語による書面提出によってなされる。 (3)(略) (4)(2)項の出願は、電子媒体および/または非電子媒体により申請することができる。 |
インドネシア特許法 第25条 (1)第24条における特許出願は少なくとも以下を含む: (a)出願書の年月日; (b)発明者の氏名、完全な住所および国籍; (c)出願人が法人でない場合には、出願人の氏名、完全な住所および国籍; (d)出願人が法人の場合には、出願人の名称および完全な住所; (e)出願が代理人を通して行われる場合、代理人の氏名および完全な住所; (f)出願が優先権を伴って出願される場合、最初の出願の国名と出願日 (2)(1)項における特許出願には以下の要件を添付しなければならない: (a)発明の名称; (b) 発明の明細書; (c)特許請求の範囲; (d)発明の要約; (e)図面が出願と共に添付される場合、発明の説明に必要とされる明細書に記載される図面; (f)出願が代理人により行われる場合、委任状; (g)発明者による発明の所有を宣言した書類; (h)発明者でない出願人が出願する場合、発明の所有権を譲渡することを示す書類; (i)微生物に関する出願の場合、微生物の保管証明書 |
インドネシア特許規則 第4条 特許出願書類 特許出願は、次に掲げる事項からなるものとする。 (a)特許を取得するための願書 (b)発明に関する明細書 (c)発明に含まれる1または2以上の請求の範囲 (d)説明するために必要とされる明細書において述べられている1または2以上の図面 (e)発明に関する要約 |
(2)手続言語
インドネシア語
条文等根拠:特許法第24条(上記)
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
可(ただしインドネシア出願日から30日以内に明細書のインドネシア語の翻訳文の提出が必要)
条文等根拠:特許法第34条
インドネシア特許法 第34条 (1)最小要件を満たした出願は出願日を付与され大臣により記録される。 (2)(1)項における最小要件とは: (a)第25条(1)項に規定する出願データ; (b)第25条(2)項(a)号から(e)号にいう出願データ;および (c)出願手数料納付の証明 (3)第25条(2)項(b)号にいう発明に関する明細書が外国語で記載されている場合、インドネシア語に翻訳された明細書を伴うことを義務付けられ、(1)項の出願日から30日以内に提出されなければならない。 (4)発明に関する外国語の明細書にインドネシア語の翻訳が(3)項の期間内に提出されない場合には、当該出願は取下げられたものとみなされる。 |
(4)優先権主張手続
特許出願が優先権の主張を伴ってなされるという申立は出願時もしくは出願後4か月以内にしなければならない。また、優先権証明書については優先日から起算して16か月以内に提出しなければならない。
条文等根拠:特許法第30条、特許規則第42条~第44条
インドネシア特許法 第30条 (1)優先権を伴う出願は、優先日から起算して12か月以内に提出されなければならない。 (2)第25条に規定の要件に加え、(1)項における優先権を伴う出願には、その国の権限ある公務員により認証された優先権証明書を添付しなければならない。 (3)(2)項にいう該当国の権限ある公務員により認証された優先権証明書は、優先日から起算して16か月以内に大臣に提出されなければならない。 (4)(1)項、(2)項および(3)項の要件が出願人により満たされない場合には、出願は優先権を利用しない出願とみなされる。 |
インドネシア特許規則 第42条 認証謄本 (1)特許出願が優先権を伴ってなされる場合は、第4条にいう規定の遵守の他に、特許出願には、他の国で最初に提出された特許を取得するための願書の謄本を付さなければならない。 (2)(1)にいう願書の謄本とは、最初に特許出願を受理した国の権限ある当局により認証された謄本をいう。 |
インドネシア特許規則 第43条 認証謄本の提出不可 (1)第42条(2)にいう認証謄本が、特許法第29条(2)に定める期間内に提出され得ない場合は、特許出願は、当該謄本に対する認証の請求の証拠書類を付して、最初の特許出願についての願書の謄本の証拠書類を提出することにより行うことができる。 (2)(1)にいう完備された書類の提出は、特許法第29条(2)の規定の遵守とみなされるものとする。 |
インドネシア特許規則 第44条 要件 (1)第5条にいう要件の具備の他に、特許を取得するための願書は、次に掲げる事項も含むものとする。 (a)当該特許出願は、優先権の主張を伴ってなされるという申立 (b)当該優先権を伴う出願の基礎となる他の国における最初の特許出願の出願日 (c)当該特許出願がなされたインドネシア以外の国名 (2)(1)にいう申立は、特許局による特許出願についての願書の受理の日以後遅くとも4月以内にそのことが行われるという条件で、別個にすることもできる。 |
日本とインドネシアにおける特許出願書類・手続の比較
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日本 |
インドネシア |
出願書類 |
所定の様式により作成した以下の 書面を提出する。 ・願書 ・明細書 ・特許請求の範囲 ・必要な図面 ・要約書 |
特許法および特許規則に規定された以下の書面を提出する。 ・願書 ・明細書 ・特許請求の範囲 ・必要な図面 ・要約書 ・委任状 |
手続言語 |
日本語 |
インドネシア語 |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 |
・可(英語その他の外国語)。 ・その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 ・翻訳文の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に翻訳文の提出が可能である。 |
・可 ・出願日から30日以内に明細書の インドネシア語の翻訳文の提出が必要である。 |
優先権主張手続 |
・優先権主張の基礎となる出願国名と出願の年月日を記載した書面及び優先権証明書は、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 ・優先権証明書の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に提出が可能である。 ・日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっているが、本稿作成時点ではインドネシアとの間では実施されていない。 |
・優先権主張は出願時または、出願後4か月以内に可能。 ・優先権証明書を優先日から16か月以内に提出しなければならない。 |
日本とシンガポールにおける特許出願書類・手続の比較
1.日本における特許出願の出願書類
(1)出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。特許出願日の認定を受けるためには、特許法第38条の2第1項に規定する3つの要件を満たす必要がある。3つの要件を満たしていない場合、出願人に対してその旨の通知がされ、出願人は補完手続を行うことが可能であるが、手続補完書を提出した日が特許出願の日として認定されることに留意が必要である。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条、第38条の2
日本特許法 第36条 特許出願
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名または名称および住所または居所
二 発明者の氏名および住所または居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面および要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第29条第1項第3号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第2項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第2項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第2項の要約書には、明細書、特許請求の範囲または図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
日本特許法 第38条の2 特許出願の日の認定
特許庁長官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特許出願に係る願書を提出した日を特許出願の日として認定しなければならない。
一 特許を受けようとする旨の表示が明確でないと認められるとき。
二 特許出願人の氏名若しくは名称の記載がなく、又はその記載が特許出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。
三 明細書(外国語書面出願にあっては、明細書に記載すべきものとされる事項を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面。以下この条において同じ。)が添付されていないとき(次条第1項に規定する方法により特許出願をするときを除く。)。
2 特許庁長官は、特許出願が前項各号のいずれかに該当するときは、特許を受けようとする者に対し、特許出願について補完をすることができる旨を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、その補完をすることができる。
4 前項の規定により補完をするには、経済産業省令で定めるところにより、手続の補完に係る書面(以下「手続補完書」という。)を提出しなければならない。ただし、同項の規定により明細書について補完をする場合には、手続補完書の提出と同時に明細書を提出しなければならない。
5 第3項の規定により明細書について補完をする場合には、手続補完書の提出と同時に第36条第2項の必要な図面(外国語書面出願にあっては、必要な図面でこれに含まれる説明を第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語で記載したもの。以下この条において同じ。)を提出することができる。
6 第2項の規定による通知を受けた者が第3項に規定する期間内にその補完をしたときは、その特許出願は、手続補完書を提出した時にしたものとみなす。この場合において、特許庁長官は、手続補完書を提出した日を特許出願の日として認定するものとする。
7 第4項ただし書の規定により提出された明細書は願書に添付して提出したものと、第5項の規定により提出された図面は願書に添付して提出したものとみなす。
8 特許庁長官は、第2項の規定による通知を受けた者が第3項に規定する期間内にその補完をしないときは、その特許出願を却下することができる。
9 特許を受けようとする者が第2項の規定による通知を受ける前に、その通知を受けた場合に執るべき手続を執つたときは、経済産業省令で定める場合を除き、当該手続は、その通知を受けたことにより執った手続とみなす。
(2)手続言語
日本語
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。翻訳文の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に翻訳文の提出が可能である。
条文等根拠:特許法第36条の2、第25条の7、特許法施行規則第25条の4
日本特許法 第36条の2
特許を受けようとする者は、前条第2項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第3項から第6項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第7項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第41条第1項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第43条第1項、第43条の2第一項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(1900年12月14日にブラッセルで、1911年6月2日にワシントンで、1925年11月6日にヘーグで、1934年6月2日にロンドンで、1958年10月31日にリスボンで及び1967年7月14日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約をいう。以下同じ。)第4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第41条第1項、第43条第1項、第43条の2第1項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による2以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第64条第1項において同じ。)から1年4月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第44条第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条第1項若しくは第2項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第46条の2第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から2月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかったときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第2項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第2項に規定する翻訳文の提出がなかったときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第4項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第2項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
7 第4項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第2項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
8 第2項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第2項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第2項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第2項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
日本特許法施行規則 第25条の7 翻訳文の様式等
4 特許法第36条の2第4項の経済産業省令で定める期間は、同条第3項の規定による通知の日から2月とする。
5 特許法第36条の2第6項の経済産業省令で定める期間は、同項に規定する正当な理由がなくなった日から2月とする。ただし、当該期間の末日が同条第4項に規定する期間の経過後1年を超えるときは、同項に規定する期間の経過後1年とする。
日本特許法施行規則 第25条の4 外国語書面出願の言語
特許法第36条の2第1項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。
(4)優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出し、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。優先権証明書の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に提出が可能である。
条文等根拠:特許法第43条
日本特許法 第43条 パリ条約による優先権主張の手続
パリ条約第4条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から1年4月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願若しくはパリ条約第4条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第41条第1項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項、次条第1項(第43条の3第3項において準用する場合を含む。)又は第43条の3第1項若しくは第2項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第1項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第1項の規定による優先権の主張をした者が第2項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第2項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第1項の規定による優先権の主張をした者が、第2項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前2項の規定の適用については、第2項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第2項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかったときは、第1項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第2項に規定する書類又は第5項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第6項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第2項に規定する書類又は第5項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第7項又は前項の規定により第2項に規定する書類又は第5項に規定する書面の提出があったときは、第4項の規定は、適用しない。
特許法43条1項の「経済産業省令で定める期間」は、以下のとおりである。
優先日(優先権主張書面を提出することにより優先日について変更が生じる場合には、変更前の優先日又は変更後の優先日のいずれか早い日。次号において同じ。)から1年4月の期間が満了する日又はこれらの規定による優先権の主張を伴う特許出願の日から4月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があった後の期間を除く。)(特許法施行規則27条の4の2第3項1号の一部抜粋)。
特許法第43条7項の「経済産業省令で定める期間」は、以下のとおりである。
特許法第43条第6項(同法第43条の2第2項(同法第43条の3第3項において準用する場合を含む。)及び第43条の3第3項において準用する場合を含む。)の規定による通知の日から2月とする。(特許法施行規則27条の3の3第5項の一部抜粋)。
<参考URL>
(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
2.シンガポールにおける特許出願の出願書類(パリルート)
(1)出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約
・特許を受ける権利についての陳述書(様式8)を所定の期間内に提出
条文等根拠:特許法第25条(3)、第26条(1)、第24条(2)、特許規則第18条(1)、(1A)
シンガポール特許法第25条 出願手続
(3)各特許出願書類には、次のものを含めなければならないが、本項は、第26条(1)に従った書類による出願を妨げるものではない。
(a)特許付与を求める願書
(b)明細書、これに含まれる発明の説明、クレームおよび当該説明またはクレームにおいて言及される図面、ならびに
(c)要約
シンガポール特許法第26条 出願日
(1)本法の規定に従うことを条件として、特許出願の出願日は、出願を開始するために登録局に提出される書類が次の条件を満たす最初の日と解する。
(a)特許を求めていることが当該書類で示されていること
(b)当該書類で特許出願人が特定されること、ならびに
(c)当該書類に次のものが含まれていること
(i)当該特許出願を求める発明の説明となるか若しくは説明となると認められる事項、または
(ii)当該出願において若しくはそれに関連して第17条(2)に基づく宣言が行われている場合は、
(A)当該宣言で指定する先の関係出願の言及
(B)先の関係出願に関する所定の情報、および
(C)当該特許出願を求める発明の説明が、当該先の関係出願の引用により当該特許出願に組み入れられており、かつ、出願時での当該先の関係出願に完全に含まれている旨の陳述
「特許を受ける権利についての陳述書」は出願人と発明者が一致しない場合に提出する書類であって、出願人が、いかにして特許を受ける権利を有したかを示す陳述書であり、様式8により優先日から16か月以内に提出する必要がある。
シンガポール特許法第24条 発明者の明記
(2)特許出願人は,本項にいう情報を登録局に与えていない限り,所定の期間内に,
(a)発明者であると出願人が信じる者を特定し,かつ
(b)出願人が単独の発明者でなく又は複数出願人が共同発明者でない場合は,特許を付与されるべき権原を示す陳述書を登録局に提出しなければならず,
出願人がそれを怠るときは,当該出願は放棄されたものとして取り扱う。
シンガポール特許規則 第18条
(1)規則28並びに規則86(8)及び(8A)に従うことを条件として,第24条(2)適用上の所定の期間は,
(a)宣言された優先日が存在しない場合は,特許出願の出願日から16月,又は
(b)宣言された優先日が存在する場合は,当該宣言された優先日から16月,とする。
(1A)第24条(2)に基づいて提出する陳述書は,特許様式8によるものとする。
(2)手続言語
英語
(3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
特許規則上は認められる。
翻訳文の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に翻訳文の提出が可能である。
条文等根拠:特許規則第19条(10)~(12)
シンガポール特許規則第19条 特許付与を求める出願
(10)(a)特許出願を開始するために登録局に提出された書類に、
(i)特許を求めている発明の説明である、もしくは説明であると認められる事項であって、
(ii)英語以外の言語によるものが含まれており、かつ
(b)出願人により当該事項の英語翻訳文が提出されていない場合は、
登録官は、当該事項の英語翻訳文が必要である旨を出願人に通知する。
(11)出願人は、(10)に基づいて通知を受けた場合は、当該通知の日付から2月以内に、当該事項の英語翻訳文を提出しなければならない。
(12)出願人が(11)に従わない場合は、登録官は、その特許出願を拒絶する。
(4)優先権主張手続
優先権主張を出願と同時に行う必要があるが、所定の場合には出願後に行うことができる(優先日から16か月以内)。優先権証明書は、特許庁より提出の要請があった場合には、要請の通知の日から2か月以内に提出する必要がある。
条文等根拠:特許法第17条、特許規則第9条、第9B条
シンガポール特許法第17条 優先日
(1)本法の適用上、特許出願に係わる発明の優先日および当該出願に含まれる何らかの事項(当該発明と同一であるか否かを問わない)の優先日は、本法の規定に定める場合を除き、当該出願の出願日とする。
(2)特許出願(本条において問題の出願という)においてまたはそれに関連して、出願人またはその前権利者が、規則の関連要件に従ってかつ当該出願人またはその前権利者により行われた1または2以上の先の関係出願を本条の適用上指定して宣言を行い、かつ、問題の出願が(2A)(a)または(b)にいう期間内に出願日を有する場合において、
(a)問題の出願の対象である発明が先の関係出願において開示された事項により裏付けられるときは、その発明の優先日は、問題の出願を行った日ではなく、当該事項が開示されていた関係出願の出願日とするか、または当該事項が2以上の関係出願で開示されていたときは、それらのうち最先の出願の出願日とし、
(b)問題の出願に含まれていて先の関係出願にも開示されていた事項の優先日は、当該事項が開示された先の関係出願の出願日とするか、または当該事項が2以上の関係出願で開示されていたときは、それらのうち最先の出願の出願日とする。
(2A)(2)の適用上、期間とは、
(a)指定された先の関係出願、もしくは関係出願が2以上あるときは、それらのうち最先のものの出願日直後12月の期間、または
(b)登録官が(2B)に基づく請求を認めた場合は、(a)にいう期間の直後に開始し、かつ、所定の期間の終了時に終了する期間、
をいう。
(2B)出願人は、登録官に対し、(2)にいう宣言を(2A)(a)にいう期間の経過後に行うことを請求することができる。
(2C)出願人が(2B)に基づく請求を行う場合において、問題の出願を(2A)(a)にいう期間内に行わなかったときは、問題の出願を(2A)(a)にいう期間内に行わなかったことが次の何れに該当するかを請求書中に示さなければならない。
(a)事情に応じて必要とされる当然の注意を払ったにも拘らず生じた。
(b)故意によるものではなかった。
(2D)登録官は、次の場合に、(2B)に基づく請求を認める。
(a)当該請求が所定の期間内に所定の方法で行われて、所定の要件を満たしており、かつ
(b)出願人が問題の出願を(2A)(a)にいう期間内に行わなかったときに、登録官が、出願人が問題の出願を(2A)(a)にいう期間内に行わなかったことが次の何れかに該当することを認めた場合
(i)事情に応じて必要とされる当然の注意を払ったにも拘らず生じた。
(ii)故意によるものではなかった。
シンガポール特許規則第9条 第17条(2)適用上の優先権の宣言
(1)(2)に従うことを条件として、特許出願(本条規則ならびに規則9Aおよび規則9Bにおいて「問題の出願」という)においてまたはこれと関連して行われる第17条(2)適用上の宣言は、問題の出願を行う時に行わなければならない。
(2)第17条(2)適用上の宣言は、次の場合は、出願日後に行うことができる。
(a)当該宣言を行うことにより、
(i)宣言された優先日を有さない問題の出願が優先日を有することになる場合、または
(ii)問題の出願の宣言された優先日がそれより前の日に繰り上げられることになる場合
(b)当該宣言を、
(i)(a)(i)が該当するときに、宣言された優先日から16月以内に行う場合、または
(ii)(a)(ii)が該当するときに、当該それより前の日から16月以内に行う場合
(c)当該宣言を特許様式57により行う場合
(d)所定の手数料を納付している場合、および
(e)(4)にいう条件を満たしている場合
シンガポール特許規則第9B条 第17条(2)に基づく宣言を裏付ける出願番号及び優先権書類の提出
(1)(3)に従うことを条件として,出願人は,宣言された優先日から16月の期間の終了前に,各優先出願の出願番号を登録局に提出しなければならない。
(2)(3)に従うことを条件として,出願人が優先出願に関して(1)に従わない場合は,第17条(2)適用上の宣言は,当該優先出願に関する限り無視される。
(3)当該出願が国際特許出願(シンガポール)である場合は,(1)及び(2)は,出願番号が特許協力条約に基づく規則の第4規則10(a)に従って表示されている優先出願に関しては適用されない。
(4)登録官が,出願人又は場合により所有者に送付する通知により,同人に対し,優先出願に関して,
(a)提出先の機関が認証している,又は
(b)それ以外で登録官が受理可能な,
優先出願の写しを登録局に提出するよう要求する場合は,出願人又は場合により所有者は,当該通知の日から2月以内に,
(i)登録官の要求に従うものとし,又は
(ii)当該優先出願の写しが登録局に保管されている場合は,登録官の要求に従う代わりに,(A)当該優先出願の写しが作成されるべき旨の請求書,及び
(B)作成された写しを認証するよう登録官に請求する様式CM12,
を提出しなければならない。
(5)出願人又は場合により所有者が優先出願に関して(4)に従わなかった場合は,第17条(2)適用上の宣言は,当該優先出願に関する限り,無視される。
日本とシンガポールにおける特許出願書類・手続の比較
|
日本 |
シンガポール |
出願書類 |
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。 ・願書 ・明細書 ・特許請求の範囲 ・必要な図面 ・要約書 |
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。 ・願書 ・明細書 ・特許請求の範囲 ・必要な図面 ・要約 ・特許を受ける権利についての陳述書(様式8)を所定の期間内に提出 |
手続言語 |
日本語 |
英語 |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 |
・可(英語その他の外国語)。 ・その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならない。 ・翻訳文の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に翻訳文の提出が可能である。 |
・規則上は可能。 ・翻訳文の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に翻訳文の提出が可能である。 |
優先権主張手続 |
・優先権主張の基礎となる出願国名と出願の年月日を記載した書面及び優先権証明書は、最先の優先権主張日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 ・優先権証明書の提出がない場合には、出願人にその旨の通知が行われ、2か月以内に提出が可能である。 ・日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている |
・優先権主張は、原則、出願と同時に行う。所定の場合には出願後に行うことができる(優先日から16か月以内)。 ・優先権証明書は、特許庁より要請があった場合は、通知から2か月以内に提出しなければならない。 |
その他 |
(シンガポールにおける「特許を受ける権利についての陳述書」に相当する書類の提出は不要。) |
「特許を受ける権利についての陳述書」は出願人と発明者が一致しない場合に提出する書類であって、出願人が、いかにして特許を受ける権利を有したかを示す陳述書であり、様式8により優先日から16か月以内に提出する必要がある。 |
日本とインドにおける特許出願書類・手続の比較
<日本における特許出願の出願書類>
1)出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条
・日本特許法 第36条(特許出願)
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 発明者の氏名及び住所又は居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
2)手続言語
日本語
3)手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4
・日本特許法 第36条の2
特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
・日本特許法施行規則 第25条の4(外国語書面出願の言語)
特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。
4)優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類(優先権主張書)を最先の優先権主張日から1年4月、またはその優先権の主張を伴う特許出願の日から4月の何れか遅い日までの間に、特許庁長官に提出しなければならない。
また、優先権を証明する書類(優先権証明書)を優先権主張の基礎とした出願日から1年4月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。
条文等根拠:特許法第43条、特許法施行規則第27条の4の2第3項
・日本特許法 第43条(パリ条約による優先権主張の手続)
パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。
・日本特許法施行規則 第27条の4の2第3項
3 特許法第四十一条第四項及び第四十三条第一項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める期間は、次に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。
一 特許出願(特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願を除く。)について、同法第四十一条第一項、第四十三条第一項又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日(優先権主張書面を提出することにより優先日について変更が生じる場合には、変更前の優先日又は変更後の優先日のいずれか早い日。次号において同じ。)から一年四月の期間が満了する日又はこれらの規定による優先権の主張を伴う特許出願の日から四月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)
二 特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願について、同法第四十一条第一項又は第四十三条第一項若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日から一年四月、同法第四十四条第一項の規定による新たな特許出願に係るもとの特許出願の日、同法第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係るもとの出願の日若しくは同法第四十六条の二第一項の規定による特許出願の基礎とした実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から四月又は同法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願をした日から一月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)
三 特許法第四十一条第一項の規定による優先権の主張(同項第一号に規定する正当な理由があるときにするものに限る。)をする場合 当該正当な理由がないものとした場合における当該優先権の主張を伴う特許出願をすることができる期間の経過後二月
四 特許法第四十三条の二第一項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張をする場合 当該優先権の主張に係るパリ条約第四条C(1)に規定する優先期間の経過後二月
<参考URL>
(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
<インドにおける特許出願の出願書類(パリルート)>
1)出願書類
特許法および特許規則にて規定された以下の書面を提出する。
・願書(様式1)
・完全明細書(特許請求の範囲、要約および必要な図面含む)(様式2)
・外国出願に関する情報の陳述・宣誓(様式3)(インド出願日から6月以内)
・発明者である旨の宣誓(様式5)
・出願人としての資格の証明(インド出願日から6月以内)
・委任状(様式26)(特許代理人を通じて提出される場合)(インド出願日から3月以内)
提出する資料が英語で記載されていない場合、その英訳文も提出する。
明細書に記載される請求項中の構成要素の後に括弧で括った参照番号を記載しなければない(規則13(4))。
要約書の冒頭に発明の名称を記載しなければならない(規則13(7)(a))。要約書中の構成要素の後に括弧で括った参照番号を記載しなければならない(規則13(7)(d))。
また、要約書は150語を超えてはならない(規則13(7)(c))。
条文等根拠:インド特許法第7条,第8条,インド特許規則10,12,13,135
・インド特許法 第7条(出願様式)
(1)特許出願については、出願ごとに1発明に限るものとし、所定の様式により特許庁に提出しなければならない。
(1A)インドを指定してされた特許協力条約に基づく各国際特許出願は、対応する出願がインドにおいても長官に提出されているときは、本法に基づく出願とみなされる。
(1B)(1A)にいう出願および指定官庁または選択官庁としての特許庁により処理されるその完全明細書の提出日は、特許協力条約に基づいて付与される国際出願日とする。
(2)出願が発明についての特許出願権の譲渡によって行われるときは、出願とともにまたは出願後所定の期間内に、出願権についての証拠を提出しなければならない。
(3)本条に基づく各出願については、出願人が当該発明を所有している旨を明示し、かつ、真正かつ最初の発明者である旨主張する者を指名しなければならず、またそのように主張する者が出願人または出願人の1でないときは、当該出願にはそのように指名された者が真正かつ最初の発明者であると信じる旨の出願人の宣言を含めなければならない。
(4)各当該出願(条約出願でなくまたはインドを指定して特許協力条約に基づいてされた出願でないもの)には仮明細書または完全明細書を添付しなければならない。
・インド特許法 第8条(外国出願に関する情報および誓約書)
(1)本法に基づく特許出願人がインド以外の如何なる国においても、同一もしくは実質的に同一の発明について単独でもしくは他の何人かと共同で特許出願を行っている場合、または自己の知る限りにおいて当該出願が、何人かを通じてもしくはその者から権原を取得した何人かによって行われている場合は、当該出願人は、自己の出願とともに、またはその後長官が許可することがある所定の期間内に、次に掲げるものを提出しなければならない。
(a)当該出願の明細事項を記載した陳述書、および
(b)前号にいう陳述書の提出後所定の期間内にインド以外の何れかの国にした同一または実質的に同一の発明に係る他の各出願(ある場合)について、インドにおける特許付与日まで、前号に基づいて必要とされる明細を書面で随時長官に通知し続ける旨の誓約書
(2)インドにおける特許出願後であって、それについての特許付与または特許付与拒絶まではいつでも、長官は、インド以外の国における出願の処理に関する所定の明細を提出することを出願人に要求することもでき、その場合、出願人は、自己に入手可能な情報を所定の期間内に長官に提出しなければならない。
・インド特許規則10(第7条(2)に基づく出願権の証拠の提出期間)
発明特許の出願権の譲渡によりされた特許出願において、当該出願権の証拠が出願と共に提出されない場合は、出願人は、当該出願の後6月以内に、そのような証拠を提出しなければならない。
説明-本条規則の適用上、インドを指定する国際出願に対応する出願の場合における6月の期間は、対応する出願がインドにおいてされた実際の日付から起算する。
・インド特許規則12(外国出願に関する陳述書及び誓約書)
(1)第8条(1)に基づいて特許出願人による提出を必要とする陳述書及び誓約書は、様式3により作成しなければならない。
(1A)出願人が第8条(1)に基づいて陳述書及び誓約書を提出する期間は、出願日から6月とする。
説明-本条規則の適用上、インドを指定する国際出願に対応する出願の場合の6月の期間は、当該対応する出願がインドにおいてされた実際の日付から起算する。
(2)特許出願人が、第8条(1)(b)に基づいて当該人が提出すべき誓約書において、何れかの国において行った他の出願に係る詳細について長官に通知し続けるべき期間は、当該出願日から6月とする。
(3)第8条(2)に基づいて長官によりその旨の命令があるときは,出願人は,発明の新規性及び特許性についての拒絶理由(ある場合)に関する情報並びに容認された出願のクレームを含めて長官が必要とするその他の明細を、長官からの当該通知の日から6月以内に提出しなければならない。
・インド特許規則13(明細書)
(1)各明細書は、仮明細書か又は完全明細書かを問わず、様式2により作成しなければならない。
(2)第16条に基づく分割出願に係る明細書には、分割出願の出所である原出願の番号への言及を含めなければならない。
(3)第54条に基づく追加特許に係る明細書には、主特許の番号又は場合により主特許の出願番号への言及及び当該発明が既に付与され又は出願された主特許の明細書においてクレームされた発明についての改良又は変更を含む旨の明確な陳述を含めなければならない。
(4)発明が図面による説明を必要とする場合は、当該図面は、規則15の規定に従って作成し、明細書と共に提出し、かつ、図面で示された特徴が括弧に入れたそれぞれの参照記号により辿られるクレームを含め、明細書で詳細に言及しなければならない。
ただし、完全明細書の場合において、出願人が仮明細書と共に提出済みの図面を完全明細書のための図面として又はその一部として採用することを希望するときは、完全明細書において仮明細書と共に提出済みのものであるとして言及すれば十分とする。
(5)発明の理解に不必要であると長官が認める関連性のない事項又はその他の事項は、名称、明細書、クレーム及び図面から除外しなければならない。
(6)完全明細書を添付した出願(条約出願でなく又はインドを指定して特許協力条約に基づいてされた出願でないもの)の場合を除き、当該発明の発明者であることに関する宣言書は、様式5により、完全明細書と共に提出するか、又は完全明細書提出の日から様式4による申請に基づいて長官が許可することがある1月の期間満了前の何れかの時点で提出しなければならない。
(7)(a)第10条(4)(d)に基づいて規定され、明細書に添付される要約の記載は、発明の名称で始めなければならない。発明の名称は、発明の特有の特徴を通常15語以下で開示しなければならない。
(b)要約には、明細書の記載事項の簡潔な概要を含めなければならない。当該概要は、発明の属する技術分野、既存知識と比較した発明の技術的進歩性及び推論的な用途を除く発明の主要用途を明確に表示しなければならない。必要な場合は、要約は発明を特徴付ける化学式を含まなければならない。
(c)要約は、通常150語以下で記載しなければならない。
(d)明細書が何らかの図面を含むときは、出願人は、公開時に要約に添付することができる図面の1図又は例外的に複数の図を要約に表示しなければならない。要約に記載され、かつ、図面により明示される主要な特徴の各々には、当該図面において使用される参照符号を付記しなければならない。
(e)要約は、特定の技術分野における調査をするため、特に明細書自体を調べる必要があるか否かの評価を可能にするような効率的な文書を構成するように作成しなければならない。
(8)第10条(4)(d)(ii)(A)に基づく寄託についての言及を明細書においてする期間は、出願日から3月とする。
・インド特許規則135(代理権)
(1)法及び本規則の目的での代理人への授権は、様式26により又は委任状の形式で、当該出願又は書類の提出日から3月の期間内に提出しなければならず、不履行の場合は、当該出願又は書類に関する如何なる行為も当該不備が除去されるまで行えないものとする。
(2)(1)に基づいて委任がされた場合は、代理人に対する法又は本規則に基づく何らかの手続又は事項に関して代理人に対してされる何れの書類の送達も、その者に委任を行った者に対する送達とみなすものとし、何らかの手続又は事項に係る者に対してすることを指示された全ての通信は、当該代理人に宛ててすることができ、かつ、それに関する長官の面前への全ての出頭は、当該代理人が又は当該代理人を介して、することができる。
(3)(1)及び(2)の如何なる規定にも拘らず、長官は、必要と認めるときは、出願人、異議申立人又は当該手続若しくは事項についての当事者の自身による署名又は出頭を命じることができる。
2)手続言語
ヒンディー語または英語
条文等根拠:インド特許規則9
・インド特許規則9(書類及び写し等の提出)
(1)宣誓供述書及び図面を除き,全ての書類及び写しは次の通りとする。
(a)ヒンディー語又は英語(長官による別段の指示又は許可がある場合はこの限りでない)により,高さ0.28cm以上の大きく読みやすい文字で,消えにくいインクを用い,行間は1.5行以上のスペースとし,紙の片面にタイプ又は印刷すること
(b)使用する用紙は,柔軟で,丈夫で,白色で,滑らかで,光沢がなく,耐久性のある約29.7cmx21cmのA4紙で,余白は上及び左に少なくとも4cm,下及び右に少なくとも3cmとすること
(c)用紙下部の中央にアラビア数字の連番を付すこと,及び
(d)明細書各頁及びクレーム各頁の5行目毎に,左余白の右半分に付番すること
(2)判読できない又はヒンディー語若しくは英語以外の筆記文字で書かれた署名には,ヒンディー語若しくは英語によるその名称の翻字を大文字で添える。
(3)特許出願がヌクレオチド又はアミノ酸配列の配列表を開示する場合は,ヌクレオチド又はアミノ酸配列の配列表は出願と共にコンピューター解読可能なテキスト形式で提出し,ヌクレオチド又はアミノ酸配列の配列表のプリントは提出の必要がない。
(4)全ての書類の追加の写しは,長官の要求があれば所轄庁に提出する。
(5)出願人及びその他の者の名称及び住所は,それらの者の国籍及び識別に必要なその他の明細と共に,完全な形で提出する。
3)手続言語以外の明細書での出願日確保の可否
不可
4)優先権主張手続
優先権主張を行うことができる。優先権証明書(またはDASコード)は、インド特許出願日から3月以内に提出する必要があり、優先権証明書が英語で記載されていない場合、優先権証明書の認証された英訳文を提出する必要がある。優先権証明書または認証された英訳文を提出していない場合で、長官から要求された場合、その通知の日から3月以内に提出することができる。
条文等根拠︓インド特許法第136条、第138条、インド特許規則121、長官通知2018/63
・インド特許法 第136条(条約出願に関する特則)
(1)各条約出願には、
(a)完全明細書を添付し、
(b)保護出願又は場合により最初の保護出願をした日及び条約国を明示し、また
(c)出願人又はその前権原者がその日前に条約国において当該発明に係る保護出願を一切したことがない旨を記載しなければならない。
(2)第10条の規定に従うことを条件として、条約出願と共に提出された完全明細書については、条約国においてされた保護出願に係る発明の改良又は追加についてのクレームであって、当該出願人が第6条の規定に基づき別個の特許出願ができた筈の改良又は追加についてのクレームを含むことができる。
(3)条約出願は、本法の規定に基づいて当該出願ができた筈の日付より後の日付まで、第17条(1)に基づいて、後日付とすることはできない。
・インド特許法 第138条(条約出願に関する補則)
(1)この章の規定に従って条約出願をする場合において、出願人は、長官から要求されたときは、完全明細書に加え、第133条にいう条約国の特許庁に対して当該出願人が提出しもしくは寄託した明細書またはこれに対応する書類であって、長官の納得するように認証されたものの写しを、長官による通信の日から所定の期間内に、提出しなければならない。
(2)当該明細書またはその他の書類が外国語による場合において、長官から要求されたときは、当該明細書またはその他の書類の英語による翻訳文であって宣誓供述書またはその他により長官の納得するように証明されたものを提出しなければならない。
(3)本法の適用上、条約国に出願した日とは、条約国の特許庁の長が作成した証明書その他によって長官が当該条約国において出願されたと認める日をいう。
(4)インドを指定して特許協力条約に基づいてされた国際出願は、場合により第7条、第54条、および第135条に基づく特許出願の効力を有し、国際出願において提出の名称、明細書、クレームおよび要約並びに図面(ある場合)について、本法の適用上、これらを完全明細書と解する。
(5)特許出願および指定官庁としての特許庁により処理されたその完全明細書の提出日は、特許協力条約に基づいて付与される国際出願の日とする。
(6)インドを指定したかまたはインドを指定かつ選択した国際出願の出願人により、国際調査機関または予備審査機関に対して提案された補正(ある場合)については、出願人が希望するときは、特許庁に対して行った補正と解する。
・インド特許規則121(明細書等を提出すべき期間)
第138条(1)に基づいて出願人が明細書または対応する書類の写しを提出すべき期間は、長官による通知の日から3月とする。
・長官通知2018/63(2018年3月12日)(WIPO DASの運用開始公告)
https://ipindia.gov.in/writereaddata/Portal/News/397_1_WIPO_Digital_Access_Service.pdf
5)その他の書類
1)外国出願に関する情報の陳述・宣誓
特許出願人がインド以外の国に、同一発明について特許出願を行っている場合、インド出願日から6月以内に、その対応外国出願についての情報を提出しなければならない。
条文等根拠:インド特許法第8条(既出)、インド特許規則12(既出)
2)発明者である旨の宣誓、出願人としての資格の証明、委任状
上記出願書類の他、代理人を通じて出願手続きを行う場合、出願人の署名による委任状(様式26)の提出が要求される。優先権主張に基づくインド出願の出願人は、基礎となる出願の出願をする権利を有する旨の宣誓を上記願書(様式1)又は別書面としての宣誓書(様式5)で行うことで出願人としての資格を証明できる。
条文等根拠:インド特許法第8条(既出)、インド特許規則135(既出)
日本とインドにおける特許出願書類・手続の比較
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日本 |
インド |
出願書類 |
所定の様式により作成した以下の 書面を提出する。 ・願書 ・明細書 ・特許請求の範囲 ・必要な図面 ・要約書
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所定の様式により作成した以下の 書面を提出する。 ・願書 ・完全明細書 ・外国出願に関する情報の陳述・宣誓 ・発明者である旨の宣誓 ・出願⼈としての資格の証明 ・委任状 |
手続言語 |
日本語 |
ヒンディー語または英語 |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 |
英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。 |
不可 |
優先権 主張手続 |
優先権主張書を、最先の優先権主張日から1年4月、またはその優先権主張を伴う出願から4月の何れか遅い日までの間に、特許庁長官に提出しなければならない。 また、優先権証明書を基礎出願の日から1年4月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。 |
優先権証明書(またはDASコード)は、インド特許出願日から3月以内に提出する必要があり、優先権証明書が英語で記載されていない場合、優先権証明書の認証された英訳文を提出する必要がある。優先権証明書または認証された英訳文を提出していない場合で、長官から要求された場合、その通知の日から3月以内に提出することができる。 |
その他 |
(日本での出願には、在外者であるか否かを問わず、委任状の提出は必須ではない。) |
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日本とブラジルにおける特許出願書類・手続の比較
<日本における特許出願の出願書類>
(1) 出願書類
所定の様式により作成した以下の書面を提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・必要な図面
・要約書
条文等根拠:特許法第36条
・日本特許法第36条(特許出願)
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 発明者の氏名及び住所又は居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明
4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。
5 第二項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
7 第二項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。
(2) 手続言語
日本語
(3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
条文等根拠:特許法第36条の2、特許法施行規則第25条の4
・日本特許法第36条の2
特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあっては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
3 特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
5 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
6 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第四項に規定する期間内に当該翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
7 第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
8 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
・日本特許法施行規則第25条の4(外国語書面出願の言語)
特許法第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語その他の外国語とする。
(4) 優先権主張手続
優先権主張の基礎となる出願の出願国と出願日を記載した書類(優先権主張書)を最先の優先権主張日から1年4か月、またはその優先権の主張を伴う特許出願の日から4か月の何れか遅い日までの間に、特許庁長官に提出しなければならない。
また、優先権を証明する書類(優先権証明書)を優先権主張の基礎とした出願日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。
条文等根拠:特許法第43条、特許法施行規則第27条の4の2第3項
・日本特許法第43条(パリ条約による優先権主張の手続)
パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であってその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。
・日本特許法施行規則第27条の4の2第3項
3 特許法第四十一条第四項及び第四十三条第一項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める期間は、次に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。
一 特許出願(特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願を除く。)について、同法第四十一条第一項、第四十三条第一項又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日(優先権主張書面を提出することにより優先日について変更が生じる場合には、変更前の優先日又は変更後の優先日のいずれか早い日。次号において同じ。)から一年四月の期間が満了する日又はこれらの規定による優先権の主張を伴う特許出願の日から四月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)
二 特許法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願について、同法第四十一条第一項又は第四十三条第一項若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張をする場合(第三号に規定する場合を除く。) 優先日から一年四月、同法第四十四条第一項の規定による新たな特許出願に係るもとの特許出願の日、同法第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係るもとの出願の日若しくは同法第四十六条の二第一項の規定による特許出願の基礎とした実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から四月又は同法第四十四条第一項、第四十六条第一項若しくは第二項又は第四十六条の二第一項の規定による特許出願をした日から一月の期間が満了する日のいずれか遅い日までの間(出願審査の請求又は出願公開の請求があつた後の期間を除く。)
三 特許法第四十一条第一項の規定による優先権の主張(同項第一号に規定する正当な理由があるときにするものに限る。)をする場合 当該正当な理由がないものとした場合における当該優先権の主張を伴う特許出願をすることができる期間の経過後二月
四 特許法第四十三条の二第一項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張をする場合 当該優先権の主張に係るパリ条約第四条C(1)に規定する優先期間の経過後二月
<参考URL>
(特許庁:優先権書類の提出省略について(優先権書類データの特許庁間における電子的交換について))
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
<ブラジルにおける特許出願の出願書類(パリルート)>
(1) 出願書類
ブラジル産業財産法および特許規則(2013年12月4日決議第31号)にて規定される以下の書面をブラジル産業財産庁(Instituto nacional da propriedade industrial: INPI)に提出する。
・願書
・明細書
・特許請求の範囲
・図面
・要約書
・出願手数料の納付証明書
・委任状
条文等根拠:産業財産法第19条,第216条,特許規則第2条、第42条
・ブラジル産業財産法 第19条
特許出願書類には,INPIが定めた条件に従い,次に掲げるものを含めなければならない。
(I)願書
(II)明細書
(III)クレーム
(IV)図面(必要な場合)
(V)要約書,及び
(VI)出願手数料の納付証明書
・ブラジル産業財産法 第216条
本法に定めた手続は、当事者または正当な資格を有する代理人がしなければならない。
(1)委任状の原本、謄本または認証副本はポルトガル語によるものでなければならないが、領事認証または署名の公証人認証は、要求されない。
(2)委任状は、通知または要求の有無に拘らず、手続の当事者が最初に手続をした日から60日以内に提出しなければならない。提出しなかったときは、その手続を却下するものとし、特許出願、意匠登録出願および標章登録出願については、最終的却下とする。
・ブラジル特許規則 第2条
特許出願の書面は必ずポルトガル語で記載し、次に掲げるものを含むものとする。
(i)所定の書式による願書
(ii)本規則の規定に従う明細書
(iii)本規則の規定に従うクレーム
(iv)必要な場合は、本規則の規定に従う図面
(v)本規則の規定に従う要約
(vi)出願手数料の納付証
・ブラジル特許規則 第42条
当事者自らが出願を行わない場合、産業財産法第216条に従い、通知又は要求の有無に拘らず、手続の当事者が最初に手続をした日から60日以内に提出しなければならない。
- 1 国外に住所を有する者で、産業財産法第216条の規定に従い、その手続を代理人に委任しない者については、自らが手続を行う場合であっても、産業財産法第217条に従い、委任状を提出しなければならない。
- 2 産業財産法第217条に定める委任状が出願時に提示されない場合、特許の消滅後を含め、何時でもINPIから要求される可能性があり、当該委任状は出願時より60日以内に提出しなければならない。
- 3 出願から60日以内に委任状が提出されない場合、出願は終局的に却下され、その旨が公示される。
(2) 手続言語
ポルトガル語
(3) 手続言語以外で記載された明細書での出願日確保の可否
外国語で記載されているすべての書類の自由翻訳文を、公示された日から30日以内に提出した場合、認められる。
条文等根拠:特許規則第3条
・ブラジル特許規則 第3条
第2条I乃至V号の仕様に方式上合致していないが、ポルトガル語で記載された明細書又はクレーム、及び出願人及び発明者に関する資料を含んでいる場合は、日付入りの受領証と引き替えに、INPIに出願を行うことができる。INPIは、産業財産法第226条に従い、産業財産電子誌に公示された日から30日以内に、出願人が満たすべき要件を定める。
- 1 出願書類が外国語によるものである場合、本条に定める期間内に、元来外国語で記載されている全ての書類の自由翻訳文を提出しなければならない。翻訳文が第2条に規定する願書についてのものである場合は、出願人は対応する陳述書によってその翻訳文に代えることができる。
(4) 優先権主張手続
優先権の主張は出願時に行わなければならない。優先権の証拠書類は、出願時に提出しなかった場合は、出願日から180日以内に提出しなければならない。また、優先権の証拠書類がポルトガル語でない場合は、当該書類の書誌情報部分のポルトガル語翻訳文を提出する必要がある。
条文等根拠:産業財産法第16条
・ブラジル産業財産法 第16条
ブラジルと協定を締結している国においてまたは国際機関においてされた出願であって、国内出願の効力を生じるものには,当該協定に定められている期限内の優先権が与えられるものとし、また、当該出願は,前記の期間内に生じた出来事によって無効とされまたは不利な扱いをされることはない。
(1)優先権の主張は出願時に行わなければならず、また、当該主張は60日以内に、ブラジルにおける出願日前の他の優先権をもって補充することができる。
(2)優先権の主張は,原出願国が交付した適切な書類であって、出願番号、出願日、名称、明細書、ならびに該当する場合は、クレームおよび図面を含むものによって証明しなければならず、当該書類には,出願に関する識別情報を含む出願証明書または同等の書類の自由翻訳文を添付しなければならない。翻訳文の内容については,出願人が全面的に責任を負うものとする。
(3)証拠書類は、出願時に提出しなかったときは、出願日から180日以内に提出しなければならない。
(4)ブラジル国内において効力を有する条約に基づいてされた国際出願の場合は、(2)にいう翻訳文は,国内処理の開始日から60日以内に提出しなければならない。
(5)ブラジルにおいてされた出願が,原出願国からの書類に忠実に記載されている場合は、出願人は自由翻訳文に代え,その趣旨の陳述書を提出することができる。
(6)優先権が譲渡によって取得されている場合は、その関係書類は、出願日から180日以内、または該当するときは、国内処理の開始日から60日以内に提出しなければならないが、原出願国における領事認証は求められない。
(7)本条に定めた期限内に証拠を提出しなかった場合は、優先権は失効する。
(8)優先権の主張を伴ってされた出願の場合は、早期公開の請求には、優先権証明書を添付しなければならない。
日本とブラジルにおける特許出願書類・手続の比較
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日本 |
ブラジル |
出願書類 |
所定の様式により作成した以下の 書面を提出する。 ・願書 ・明細書 ・特許請求の範囲 ・必要な図面 ・要約書
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ブラジル産業財産法および特許規則(2013年12月4日決議第31号)に規定される以下の書面を提出する。 ・願書 ・明細書 ・特許請求の範囲 ・図面 ・要約書 ・出願手数料の納付証明書 ・委任状 |
手続言語 |
日本語 |
ポルトガル語 |
手続言語以外の明細書での出願日確保の可否 |
英語その他の外国語により作成した外国語書面を願書に添付して出願することができる。その特許出願の日から1年4か月以内に外国語書面および外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。 |
ポルトガル語以外の言語で作成された出願書類の場合、30日以内に翻訳文を提出することにより受理される。 |
優先権 主張手続 |
優先権主張書を、最先の優先権主張日から1年4か月、またはその優先権主張を伴う出願から4か月の何れか遅い日までの間に、特許庁長官に提出しなければならない。 また、優先権証明書を基礎出願の日から1年4か月以内に特許庁長官に提出しなければならない。 ただし、日本国特許庁と一部の外国特許庁、機関との間では、優先権書類の電子的交換を実施しており、出願人が所定の手続を行うことで、パリ条約による優先権主張をした者が行う必要がある書面(紙)による優先権書類の提出を省略することが可能となっている。 |
優先権の主張は出願時に行う。優先権の証拠書類を出願時に提出しなかった場合、出願から180日以内に提出しなければならず、優先権の証拠書類がポルトガル語でない場合は、当該書類の書誌情報部分のポルトガル語翻訳文を提出する必要がある。 |
その他 |
(日本での出願には、在外者であるか否かを問わず、出願時点では委任状の提出は必須ではない。) |
委任状の提出は必須である。 |