韓国における意匠登録出願の公開制度
韓国では、意匠登録出願は、出願人の申請により設定登録前でも出願公開をすることができ、公開された出願意匠が侵害された場合、登録後に補償金を請求できる。以下に、意匠登録出願の公開制度について紹介する。
(1) 申請人
出願公開を申請することができる者は、出願人である。共同出願人の場合には、共有者全員が請求しなければならない。
(2) 公開申請対象となる出願
出願公開申請は、特許庁に係属中である出願に対してすることができ、複数意匠登録出願された意匠に対する公開申請は、その出願に含まれている全ての意匠または一部に対して申請することができる(意匠法(韓国語「디자인보호법(デザイン保護法)」)第52条第1項)。
(3) 公開申請できる時期
出願公開申請は、最初の意匠登録可否決定の謄本が送達される前までにする必要がある。送達後は、することはできない(意匠法第52条第3項)。
(4) 公開の方法
意匠登録出願の公開申請があった場合には、公開意匠公報(韓国語「디자인공보(デザイン公報)」に記載して公開する(意匠法第52条第2項)。
(5) 公開の効果
- 出願公開があった後には、意匠登録出願人は、公開された意匠登録出願と同一または類似した意匠を業として実施した者に対して、書面をもって警告することができる(意匠法第53条第1項)。
- 意匠登録出願人は、公開された意匠登録出願と同一又は類似した意匠を業として実施した者に対して、警告を受けたり、出願公開された意匠であることを知ったときから意匠権の設定登録時までの期間について、当該登録意匠またはこれと類似した意匠の実施に対して通常受けることができる金額に相当する補償金の支払いを請求することができる(意匠法第53条第2項)。
- 出願公開後、意匠設定登録前に出願人でない者が業として出願された意匠を実施していると認められる場合には、意匠登録出願人は、優先審査を申請することができる(意匠法第61条)。また、出願公開をすれば、拡大された先願の地位が確保され、同一または類似した後願の登録を防ぐことができる(意匠法第33条第3項)。
(6) 出願公開申請の取下げ
出願公開申請を取下げようとする場合は、公開申請書を提出した日から10日以内に取下書(韓国語「취하서」)を提出しなければならない(意匠法施行規則第48条第2項)。
【留意事項】
意匠登録出願は、公開申請をすれば公開され、公開された出願意匠が侵害された場合、登録後に補償金を請求できるが、出願公開によって意匠登録出願の存在を知った第三者に情報提供の機会を与え(公開しなくても第三者による情報提供は可能)、登録が困難になることもある。
また、意匠登録出願は、公開されない場合には、審査で拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)を受けた場合、再出願をして登録可能となることもあるが、出願公開申請をして公開された後に拒絶査定を受けた場合は、再出願による登録が不可能となるので注意が必要である。すなわち、公開せずに拒絶査定を受けた場合、その出願は初めからなかったものとされるため、再出願が可能である。しかし、公開申請をし、公開された後に審査で拒絶査定を受けた場合は、公開による公知となるため登録を受けることができなくなる。
オーストラリアにおける指定商品または指定役務に関わる留意事項
【詳細】
オーストラリア知的所有権保護局(IP Australia; IPA)商標部門は、「商品およびサービスの国際分類」の第10版を採用している。第10版では、商品および役務が45の分類に分けられ、各分類が異なるカテゴリーの関連商品または役務に対応している。このシステムは、ニースで開催された外交会議において合意されたものである。あらゆる商標出願にとって指定商品または指定役務の記載は、その出願および最終的な登録の範囲を決定づけるため、明確かつ正確に記載することが重要である。また、抵触する商標の厳密な調査を容易にするために、指定商品または指定役務を正確に分類することも大切である。
1995年オーストラリア商標法(連邦法)(本法)第19条は、次のように規定している。
(1)商標は、次のものに関し、本法にしたがって登録することができる。
(i)商品、または
(ii)役務、または
(iii)商品および役務の両方
(2)商標は、2以上の類の商品またはサービスについてすることができる。
(3)商標規則において、本法の適用上、商品および役務が分類されるべき類を定めることができる。
1995年オーストラリア商標規則(連邦法)(商標規則)の附則1には、「商品およびサービスの国際分類」の第10版の分類およびクラスヘディング(類見出し)が掲載されている。
商品または役務が該当する分類は、通常の審査ではニース協定に基づく「商品および役務の国際分類」を基準として採用しているが、本法の第32条は、係争となっている商品または役務がどの分類に属するかの判断は、登録官に決定権限を与えている。
審査基準
商品および役務の審査基準は、IPA商標部門実務・手続便覧において解説されている。さらにIPA商標部門は、商標分類検索データベースも運用しており、商品名や役務名を基に該当する分類を検索することができる。
(http://xeno.ipaustralia.gov.au/tmgns/facelets/tmgoods.xhtml)
出願の指定商品または指定役務の審査は、指定商品または指定役務の記載がオーストラリアの実務基準を満たしているかどうか確認するために行われる。指定商品または指定役務の記載の補正、または該当する分類の変更に関する補正指令が出された場合、出願人は審査官の指令書から15か月以内に、自己の出願が認可される状態にしなければならない。
間違って分類された商品または役務は、補正するか、または追加料金の納付をもって該当する新たな分類に属する商品または役務として指定することができる。
出願が受理された後は、商品または役務の範囲を拡大する補正はできない。
複数の分類に属すると判断される多機能の商品の場合、当該商品が正しい一つの分類に指定されていれば、敢えて複数の分類に指定されていなくてもよい。ただし、出願時に指定する分類以外の分類での保護を求める場合には、その分類に属する商品機能を含む多機能商品である事が判る商品記載(例:携帯端末機能付きの腕時計)とする必要がある。
IPA商標部門は、基本的にはクラスヘディング(類見出し)を認めているが、クラスヘディング(類見出し)の表現では含まれると判断されない可能性のある商品は、具体的な個別商品記載として指定商品に指定する事が推奨される。なぜなら、クラスヘディング(類見出し)は1つの分類におけるすべての商品または役務を含んでいるとは限らないとした判例が存在するためである(NEC Coproration (2002) ATMO 32)。該当分類に含まれると想定できる全ての商品や役務を指定する為に、「すべての商品」、「すべての役務」を使用する事、または具体的商品記載以外に想定される全ての商品や役務を指定する為に「他のすべての商品または役務」という表現を使用することは許されていない。不明瞭な広義の表現の場合は、審査官により指定商品または役務の範囲を限定するよう補正指令が出される。
審査上引例として挙げた先行商標との抵触関係に関し、先行商標と同一の商品や同一の役務がある場合は、その該当する商品や役務を削除することで、先行商標との抵触関係を解消できる。また、先行商標と類似する商品や役務が含まれる場合も、IPA商標部門は、当該後願から抵触関係にある商品を削除することで、先行商標との抵触関係が解消されたと認める。
手数料に対する指定商品または役務の影響
出願、登録および更新に関する手数料は、分類ごとに要求されるが、分類内の指定商品または役務の数には影響されない。
【留意事項】
あらゆる商標出願にとって、指定商品または指定役務を明確かつ正確に記載することが重要である。出願書を提出する前に、指定商品または指定役務の記載が認可されるかどうか確認するために、オーストラリア代理人にチェックしてもらうことが推奨される。