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ベトナムにおける意匠出願の新規性判断基準と新規性喪失の例外

【詳細】

 ベトナムにおける意匠の新規性および新規性喪失の例外については、知的財産法第65条において、以下の通り規定されている。

 

ベトナム知的財産法第65条 意匠の新規性

(1)意匠は、それが意匠登録出願の出願日前、または該当する場合は優先日前に、ベトナム国内または国外において、使用によりまたは書面での説明その他何らかの形態により既に開示されている他の意匠と実質的に異なるときは、新規であるとみなす。

(2)2つの意匠は、容易に認識できず、記憶することも困難であり、かつ2つの意匠を区別するために一般的には用いることができないような形状や特徴によってのみ区別される場合、実質的に異なるとはみなされない。

(3)意匠は、それを秘密に保持する義務を有する限られた数の者のみに知られているときは、未だ公然と開示されてはいないとみなす。

(4)意匠は、それが次の状況において公開されたときは、新規性を欠くとはみなさない。ただし、意匠登録出願が公開または展示の日から 6 月以内に行われることを条件とする。

 (a)それが第 86 条に規定する登録を受ける権利を有する者の許可なしに他人により公開された。

 (b)それが第 86 条に規定する登録を受ける権利を有する者により学術的発表の形態で公開された。

 (c)それが第 86 条に規定する登録を受ける権利を有する者によりベトナム国内博覧会または公式もしくは公認の国際博覧会において展示された。

 

○絶対的新規性・世界的新規性

 ベトナム知的財産法に基づき、意匠を登録するためには、新規性を有していなくてはならない。すなわち、出願日または優先日前に世界のどこかで使用、文書、その他の形で開示された意匠と実質的に異ならなければならない。新規性判断の際に必ず参照しなければならない最低限の情報は、ベトナムにおける過去の意匠登録出願、国際機関または他国の特許庁が過去25年間に公開した意匠出願(ベトナム特許庁で入手可能)、その他ベトナム特許庁(National Office Of Intellectual Property Of Vietnam : NOIP)が収集維持している情報源である。

 

 上記の最低限の情報以外の情報源は、必要に応じて利用される場合がある。2つの意匠が、容易に認識し記憶できず一般的な差異と見なされない形状や特徴によってしか区別できない場合、意匠は実質的に異なるとは見なされない。

 

○新規性のグレースピリオド

 以下の場合、意匠は新規性を欠如すると見なされない。(1)登録を受ける権利を有する者の許可なく他人が公表した場合、および、または(2)登録を受ける権利を有する者が科学的発表の形態で公表した場合、および、または(3)登録を受ける権利を有する者がベトナムの国内博覧会または公式もしくは公認の国際博覧会で展示した場合。ただしこうした公表または展示後6ヶ月(グレースピリオド)以内に、意匠出願が行われなければならない。

 

○新規性に関する審査

 意匠の実質的な意匠特徴とは、容易に認識可能で、記憶可能であり、同種の物品に使用されている他の意匠と区別する上で必要かつ適切なものである。それ以外の意匠特徴は、意匠の非実質的な意匠特徴とみなされる。

 

 2つの意匠が同種の物品に使用され、同一の一連の実質的および非実質的な意匠特徴を有する場合、この2つの意匠は同一とみなされる。2つの意匠が同種の物品に使用され、実質的な意匠特徴のいくつかが同一である場合、これら2つの意匠は類似しているとみなされる。2つの類似意匠は、他の類似意匠と比べ実質的な意匠特徴において同一部分が多い場合に、最も類似すると見なされる。

 

 「引用意匠」とは、出願意匠と同一または類似し、出願意匠と比較するために使用される過去に開示された意匠と定義される。

 

 出願意匠の新規性を評価する方法は、一連の実質的な意匠特徴を、引用意匠として使用される他の意匠や最も近い類似意匠の実質的な意匠特徴と比較することである。

 

 出願意匠は(1)検討が義務付けられている最低限の情報に引用意匠が1つも見つからなかった場合、(2)引用意匠が見つかった場合でも、出願意匠が引用意匠の実質的な意匠特徴にない実質的な意匠特徴を少なくとも1つ有する場合、もしくは(3)引用意匠が公表または開示された出願意匠と同じであるが、上記「新規性のグレースピリオド」の項で述べたとおり新規性喪失とみなされない場合に、新規とみなされる。