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タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシアの意匠制度比較

国または
地域名
パリ
条約
WTO
協定
ハーグ
協定
ロカルノ
協定
意匠法
(存続期間)
公開制度 審査制度
タイ × ×
(10年)
出願公開
ベトナム ×
(最長15年)
出願公開
インドネシア × × ○出願公開
(10年)
出願公開
シンガポール
(最長15年)
付与後公告 ×
マレーシア × ×
(最長25年)
付与後公告 ×

国または地域名 多意匠一出願 部分意匠 関連意匠 秘密意匠*2
タイ × × *1
ベトナム × × ×
インドネシア ×
シンガポール
マレーシア *1 ×

*1:制度はないが、実務上認められる。
*2:公開を延期することが出来る場合は、○と表記している。

1.パリ条約
 タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシアはすべてパリ条約に加盟している。

関連記事:
「タイにおける産業財産権の取得に関する概要」(2015.01.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7674/
「タイにおける意匠権の効力範囲および侵害が及ぶ範囲」(2014.10.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6693/
「ベトナムにおける優先権主張の手続」(2020.04.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18515/
「ベトナムにおける意匠権の効力範囲および侵害が及ぶ範囲」(2014.11.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/7112/
「インドネシアにおける意匠権の効力範囲及び侵害が及ぶ範囲」(2014.10.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6681/
「マレーシアにおける意匠登録制度及びその運用実態」(2013.12.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/4907/
※64ページに優先権について記載されている。
「シンガポールにおける意匠登録制度及びその運用実態」(2013.12.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/4909/
※80ページに優先権について記載されている。

関連情報:
齊藤 良平、優先権主張時における意匠の同一性、パテント、2018,vol.71、p.27
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3120

2.WTO協定
 タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシアはすべてWTO協定に加盟している。

関連記事:
「タイにおける産業財産権制度」(2013.09.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/4466/
「ベトナムにおける知的財産制度の現状と今後の方向」(2015.11.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/8618/
「インドネシアにおける意匠権の取得」(2018.11.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16142/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.ハーグ協定
 ベトナムおよびシンガポールが加盟している。未加盟であるタイ、インドネシア、マレーシアへの意匠登録出願は各国別に行う必要がある。

関連記事:
「タイにおけるハーグ協定のジュネーブ改正協定加盟に向けた課題」(2014.10.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/6697/
「インドネシアにおけるハーグ協定のジュネーブ改正協定加盟に向けた課題」(2014.10.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/6685/
「マレーシアにおけるハーグ協定のジュネーブ改正協定加盟に向けた課題」(2013.12.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/4935/

関連情報:
「ハーグ制度を利用した意匠の国際的保護」(2020.11.12)
https://www.wipo.int/export/sites/www/about-wipo/ja/offices/japan/pdf/webinar_2020_11_12.pdf
「2019年12月30日発効 1999年改正協定への加盟:ベトナム(参考訳)」(2019.10.16)https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11740744/www.jpo.go.jp/system/design/hague/hague_ichiran/wipo_vietnam1999.html
「ハーグ協定の1999年ジュネーブ改正協定第11条(1)及び第13条(1)に基づく宣言:シンガポール(参考訳)」(2016.02.23)
https://www.jpo.go.jp/system/design/hague/members_info/wipo_singapore1999.html

4.ロカルノ協定
 タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアのいずれの国もロカルノ協定に未加盟であるがロカルノ分類を採用している。
 シンガポールはロカルノ協定に加盟している。
 ロカルノ協定は意匠の国際分類を定めるものであり、締約国の管轄官庁は、意匠の寄託または登録を反映する公式文書に、意匠を組み込んだ物品が属する分類のクラスおよびサブクラスの番号を示さなければならない。

関連情報:
「Kingdom of Thailand(TH)(タイ王国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/th.pdf
「Socialist Republic of Viet Nam(VN)(ベトナム社会主義共和国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/vn.pdf
「Republic of Indonesia(ID)(インドネシア共和国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/id.pdf
「技術・工業および知的財産権供与に関わる制度(シンガポール)」
https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/invest_08.html
「Malaysia(MY)(マレーシア)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/my.pdf

5.意匠法
 タイでは、意匠は意匠特許として特許法に規定されている。タイの存続期間は出願日から10年である。
 特有の意匠制度(タイ)
タイでは部分意匠制度はないが、該当部分が分離できる「部品」である場合には、その部分のみを記載して出願することができる。
 ベトナムでは、意匠は知的財産法により規定されている。ベトナムの存続期間は出願日より5年であるが、各5年の延長を2回行うことができる。
 特有の意匠制度(ベトナム)
ベトナムでは組物やバリエーションを多意匠一出願として出願できる。
 インドネシアでは、意匠は意匠法により規定されている。インドネシアの存続期間は出願日から10年である。
 特有の意匠制度(インドネシア)
インドネシアでは単一性があり同一分類に属する複数の意匠を1つの出願とすることができる。また、部分意匠、組物意匠も登録可能である。
シンガポールでは、意匠は意匠法により規定されている。シンガポールの存続期間は登録から5年であるが、各5年の延長を2回行うことができる。
 特有の意匠制度(シンガポール)
シンガポールでは同一分類であれば複数の意匠を1つの出願とすることが出来る。また、部分意匠、関連意匠制度もある。
マレーシアでは、意匠は意匠法により規定されている。マレーシアの存続期間は出願日から5年であるが、各5年の延長を4回行うことができる。
 特有の意匠制度(マレーシア)
マレーシアでは同一分類か組物、同一部品構成に係わる場合、複数の意匠を一出願に含めることができる。また、関連意匠制度もある。

関連記事:
「タイにおける知的財産に関する基礎情報(全体マップ)-実体編」(2020.05.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18584/
「タイにおける意匠出願制度概要」(2019.08.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17585/
「タイの特許・実用新案、意匠関連の法律、規則、審査基準等」(2019.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16571/
「ベトナムにおける知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2020.02.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18239/
「ベトナムにおける意匠出願制度概要」(2019.06.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17471/
「ベトナムの意匠関連の法律、規則、審査基準等」(2019.02.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16559/
「インドネシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17528/
「インドネシアの意匠関連の法律、規則等」(2019.03.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16720/
「シンガポールにおける知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18589/
「シンガポールにおける意匠登録出願制度概要」(2019.07.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17579/
「マレーシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17561/

6.公開制度
 タイでは、意匠は意匠特許として扱われ、特許と同様に出願公開制度がある。出願時に公開延期を申請することができる。
 ベトナムでは、意匠は方式審査から2月で公開される。秘密意匠制度や公開を遅らせる制度はない。
 インドネシアでは、意匠は出願から3月以内に公開されるが、請求により出願日または優先日から12月まで遅らせることができる。
 シンガポールでは、意匠は登録後に公告となるが、出願時の請求により出願日から18月まで公開を延期することができる。
 マレーシアでは、意匠は方式要件(新規性を含む)を満たすと登録され、公告となる。

関連記事;
「タイにおける意匠出願制度概要」(2019.08.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17585/
「タイにおける意匠権の取得」(2014.12.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/7424/
「ベトナムにおける意匠出願制度概要」(2019.06.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17471/
「ベトナムにおける意匠出願の公開」(2014.05.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/5964/
「インドネシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17528/
「シンガポールにおける意匠の公開延期請求について」(2019.09.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17676/
「マレーシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17561/

7.審査制度
 タイでは、意匠が公開され、異議申立がなかった場合、実体審査が行われる。
 ベトナムおよびインドネシアでは、方式審査を通過したすべての意匠について、実体審査が行われる。
 シンガポールでは、方式審査を通過した場合、実体審査なしで登録され、公告となる。
 マレーシアでは、新規性審査を含む方式審査が行われ、通過した場合は登録され、公告となる。

関連記事:
「タイにおける意匠出願制度概要」(2019.08.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17585/
「ベトナムにおける意匠出願制度概要」(2019.06.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17471/
「インドネシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17528/
「インドネシアにおける意匠制度の概要」(2014.10.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6836/
「シンガポールにおける意匠登録出願制度概要」(2019.07.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17579/
「シンガポールにおける意匠登録の機能性および視認性」(2018.10.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15931/
「マレーシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17561/

中国、韓国、台湾、香港の商標制度比較

国または
地域名
パリ
条約
WTO
協定
TLT マドリッド
協定議定書
ニース協定 商標法
(存続期間)
審査制度
中国
(登録日から10年)
韓国
(登録日から10年)
台湾 × × × ×
(登録日から10年)
香港 *1 × × ×
(出願日から10年)

*1:香港に関しては、中国の一部としてパリ条約が適用される。

1.パリ条約
 中国、韓国は加盟しているが、台湾、香港は未加盟である。ただし、台湾はパリ条約には未加盟であるが、WTO加盟国にした出願に基づき優先権を主張して出願することができる。また、香港に関しては、中国の一部としてパリ条約が適用される。(関連情報参照)。

関連記事:
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「中国における商標出願手続の注意点」(2020.12.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19601/
「韓国における商標出願制度概要」(2018.10.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16045/
「韓国における条約加入の現況」(2020.02.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18313/
「台湾における商標制度のまとめ-実体編」(2021.06.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20101/
「香港における商標の権利取得手続」(2021.09.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/20877/
「香港における商標出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17526/

関連情報:
「Paris Notification No. 178」(1997.06.10)
https://www.wipo.int/treaties/en/notifications/paris/treaty_paris_178.html

2.WTO協定
 中国、韓国、台湾、香港が加盟しており、WTO協定の付属書であるTRIPS協定の義務付けにより、WTO加盟国はパリ条約に加盟していなくても同加盟国にした出願に基づき優先権を主張して出願することができる。

関連記事:
「中国の知的財産関連機関・サイト」(2020.06.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18767/
「韓国における条約加入の現況」(2020.2.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18313/
「台湾における商標制度のまとめ-実体編」(2019.03.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16666/
「台湾における未登録周知商標について」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8496/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.商標法条約(TLT)
 商標法条約は商標出願手続きの国際的な制度調和と簡素化を図るための条約である。
 中国、韓国は加盟しているが、香港、台湾は未加盟である。

関連記事:
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)―実体編」(2021.5.18)https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「韓国における条約の加入の現況」(2020.02.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18313/

関連情報:
「商標法条約」1994年10月
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/tlt-shouhyou94.pdf
「商標法条約締約国」
https://wipolex.wipo.int/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=5
「商標法条約に基づく規則」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/tlt/rutlt/chap1.html#rule1

4.マドリッド協定議定書
 マドリッド協定議定書は、商標についてWIPO国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できる条約である。
 中国、韓国は加盟しているが、香港、台湾は未加盟である。

関連記事:
「中国における商標出願手続の注意点」(2020.12.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19601/
「中国におけるマドリッド協定議定書に基づく国際競争出願に関する手続」(2018.12.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16358/
「中国における国内出願とマドプロ出願のメリットとデメリット」(2018.09.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15728/
「中国におけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証と商品・役務に関する審査の在り方」(2017.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13663/
「韓国におけるマドリッド協定議定書に基づく国際商標出願に関する手続」(2018.12.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16363/
「韓国におけるマドリッド協定議定書に基づく商標出願と直接出願の動向」(2018.05.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15055/
「韓国におけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証と商品・役務に関する審査の在り方」(2017.05.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13685/

関連情報:
「マドリッド協定議定書の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/seido/mado.html

5.ニース協定
 ニース協定は商標およびサービスマークの登録のための商品およびサービスの分類として各国共通の国際分類を採用することを目的としている。
 中国、韓国は加盟しているが、香港、台湾は未加盟である。

関連記事:
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「韓国における指定商品役務に関わる留意事項」(2016.5.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/11228/
「韓国における条約加入の現況」(2020.02.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18313/
「台湾における商標審査基準関連資料」(2016.02.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10290/
「香港における指定商品もしくは指定役務に関わる留意事項」(2016.05.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/11154/

関連情報:
「ニース協定と国際分類の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kokusai_bunrui/document/kokusai_bunrui_11-2020/10.pdf

6.商標法
 中国では商標は商標法により規定されている。存続期間は、登録日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。
 韓国では商標は商標法により規定されている。存続期間は、登録日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。
 台湾では商標は商標法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*2も採用している。
 香港では商標は商標条例により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*2も採用している。
*2:コンセント制度とは、先行登録商標に類似すると判断される場合であっても、当該先行登録商標の商標権者が同意をすれば出願商標の登録を認める制度

関連記事:
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「中国の商標関連の法律、規則、審査基準等」(2021.04.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19811/
「中国における商標制度のまとめ-実体編」(2019.3.5)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16632/
「韓国における小売役務の保護の現状」(2021.05.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20003/
「韓国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2020.05.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18579/
「韓国の商標関連の法律、規則、審査基準等」(2021.05.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19827/
「韓国における商標制度のまとめ-実体編」(2020.6.2)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18611/
「台湾における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19830/
「台湾の商標関連の法律、規則、審査基準等」(2020.06.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18631/
「台湾における商標出願から登録まで(所要時間と費用)」(2018.11.13)https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16133/
「台湾における商標のコンセント制度」(2017.2.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13201/
「香港における商標の権利取得手続」(2021.09.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/20877/
「香港における商標出願制度概要」(2019.7.4)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17526/
「香港の商標関連の法律、規則等」(2019.03.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16717/

7.審査制度
 中国では商標は、実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。出願公告後3月以内に異議申立ができる。
 韓国では商標は、実体審査が行われる。審査期間を短縮する優先審査制度が採用されている。出願公告後2月以内に異議申立ができる。
 台湾では商標は、実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。登録公告後3月以内に異議申立ができる。
 香港では商標は、実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。出願公告後3月以内に異議申立ができる。

関連記事
「中国における商標の『識別力』」(2021.05.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19908/
「中国における商標出願制度概要」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18449/
「中国における商標制度のまとめ-手続編」(2019.03.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16636/
「中国における商標登録出願の流れと審査期間および期間短縮への動き」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8225/
「韓国における商標出願の拒絶理由通知に対する対応」(2021.05.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19860/
「韓国における商標制度のまとめ-手続編」(2020.07.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19288/
「韓国における商標優先審査制度」(2019.04.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16903/
「韓国における商標出願制度概要」(2018.10.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16045/
「韓国における改正商標審査基準の概要」(2015.05.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/8660/
「台湾における商標制度のまとめ-手続編」(2021.06.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20098/
「台湾における商標出願から登録まで(所要時間と費用)」(2018.11.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16133/
「台湾における外国語(日本語)商標の取り扱い」(2018.09.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15843/
「台湾における商標審査基準関連資料」(2016.02.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10290/
「香港における商標の権利取得手続」(2021.09.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/20877/
「香港における商標出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17526/
「香港における商標異議申立制度」(2017.06.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13794/
「香港における英語あるいは中国語(公用語)以外の言語を含む商標出願」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8339/

タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシアの商標制度比較

国または
地域名
パリ
条約
WTO
協定
TLT マドリッド
協定議定書
ニース協定 商標法
(存続期間)
審査制度
タイ × ×
(登録日から10年)
ベトナム × ×
(登録日から10年)
インドネシア ×
(登録日から10年)
シンガポール ×
(登録日から10年)
マレーシア ×
(出願日から10年)

1.パリ条約
 タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシアはすべてパリ条約に加盟している。

関連記事:
「タイにおける商標出願制度概要」(2019.06.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17463/
「ベトナムにおける優先権主張の手続」(2020.04.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18515/
「インドネシアにおける商標出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17530/
「インドネシアにおける商標の重要判例」(2018.06.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15370/
「シンガポールにおける商標制度のまとめ-手続編」(2020.09.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19446/
「マレーシアにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17563/
 

2.WTO協定
 タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシアはすべてWTO協定に加盟している。

関連記事:
「タイにおける産業財産権制度」(2013.09.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/4466/
「ベトナムにおける知的財産制度の現状と今後の方向」(2015.11.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/8618/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.商標法条約(TLT)
 商標法条約は商標出願手続きの国際的な制度調和と簡素化を図るための条約である。
 インドネシアは加盟しているが、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアは未加盟である。なお、シンガポールは商標法条約を包含する商標法に関するシンガポール条約(STLT)には加盟している。

関連情報:
「商標法条約に基づく規則」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/tlt/rutlt/chap1.html#rule1
「商標法に関するシンガポール条約(STLT)の概要」
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/stlt_20160210.html
「商標法条約」1994年10月
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/tlt-shouhyou94.pdf
「商標法条約締約国」
https://wipolex.wipo.int/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=5

4.マドリッド協定議定書
 マドリッド協定議定書は、商標についてWIPO国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できる条約である。
 タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシアのすべてが加盟している。

関連記事:
「タイにおける『商標の使用』と使用証拠」(2019.10.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17781/
「タイにおける商標出願制度概要」(2019.06.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17463/
「タイにおける知的財産行政を巡る現状と展望」(2018.08.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/15679/
「ベトナムにおけるマドリッド協定議定書に基づく商標出願と直接出願の動向」(2018.05.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15107/
「ベトナムにおけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証」(2017.06.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13766/
「インドネシアにおけるマドリッド協定議定書に基づく国際商標出願に関する手続」(2021.10.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20943/
「インドネシアのマドリッド協定議定書の加盟」(2018.05.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14984/
「シンガポールにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17581/
「シンガポールにおけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証と商品・役務に関する審査の在り方」(2017.05.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13693/
「マレーシアにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17563/
注)マレーシアは2019年にマドリッドプロトコルに加盟
「参考:マドリッド協定議定書締約国」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/madopro_kamei.html

関連情報:
「マドリッド協定議定書の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/seido/mado.html

5.ニース協定
 ニース協定は商標およびサービスマークの登録のための商品およびサービスの分類として各国共通の国際分類を採用することを目的としている。
 シンガポール、マレーシアは加盟している。タイ、ベトナム、インドネシアは未加盟であるが、いずれもニース国際分類を採用している。

関連記事:
「タイにおける商標出願に際しての指定商品および役務の書き方」(2020.04.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18441/
「タイにおける小売役務の保護の現状」(2018.07.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15390/
「タイにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10286/
「ベトナムにおける商標出願に際しての指定商品および指定役務の記述」(2015.11.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8620/
「インドネシアにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2021.06.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20279/
「インドネシアにおける小売役務の保護の現状」(2018.04.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14892/
「シンガポールにおける商標出願の拒絶理由通知に対する応答」(2016.04.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10419/
「シンガポールにおける商標出願に際しての商品および役務の記述に関する留意事項」(2016.03.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10417/
「シンガポールにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10281/
「マレーシアにおける小売役務の保護の現状」(2018.07.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15382/
「マレーシアにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10268/
「マレーシア商標出願における指定商品・役務の記載に関する留意事項」(2014.04.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/5833/

関連情報:
「ニース協定と国際分類の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kokusai_bunrui/document/kokusai_bunrui_11-2020/10.pdf

6.商標法
 タイでは、商標は商標法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。
 ベトナムでは、商標は知的財産法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*1も採用している。
 インドネシアでは、商標は商標法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。
 シンガポールでは、商標は商標法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*1も採用している。
 マレーシアでは、商標は商標法により規定されている。存続期間は、登録日から10年である。また、コンセント制度*1も採用している。
*1:コンセント制度とは、先行登録商標に類似すると判断される場合であっても、当該先行登録商標の商標権者が同意をすれば出願商標の登録を認める制度

関連記事:
「タイにおける商標制度のまとめ-手続編」(2020.09.01)
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「タイにおける商標制度のまとめ-実体編」(2020.06.04)
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タイにおける商標出願に際しての指定商品および役務の書き方」(2020.04.14)
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「ベトナムの特許・実用新案関連の法律、規則、審査基準等」(2021.05.11)
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「ベトナムにおける商標制度のまとめ-実体編」(2020.05.26)
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「ベトナムにおける商標規則の改正」(2020.04.21)
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「ベトナムにおける商標のコンセント制度」(2017.03.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13215/
「ベトナム商標における指定商品・役務の留意事項」(2014.06.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6203/
「インドネシアにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2021.06.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20279/
「インドネシアにおける商標出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17530/
「インドネシアの商標関連の法律、規則等」(2019.03.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16723/
「インドネシアにおける商標登録手続の概要と商標の使用義務」(2018.09.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15838/
「シンガポールの商標関連の法律、規則、審査基準等」(2021.05.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19846/
「シンガポールにおける商標制度のまとめ-手続編」(2020.09.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19446/
「シンガポールにおける商標制度のまとめ-実体編」(2020.06.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18623/
「シンガポールにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17581/
「シンガポールにおける商標のコンセント制度」(2017.02.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13205/
「マレーシアにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17563/
「マレーシアの商標関連の法律、規則、審査基準等」(2019.04.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16803/
「マレーシアにおける商標のコンセント制度」(2017.03.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13213/
「マレーシア商標出願における指定商品・役務の記載に関する留意事項」(2014.04.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/5833/

7.審査制度
 タイでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていないが、実務上は適切な理由を添えた上申書を提出することで、早期審査を請求することができる。出願公告後60日以内に異議申立が出来る。
 ベトナムでは、商標は実体審査が行われる。早期審査を実施する通達が出されているが、2021年2月時点では、実施されていない。公開日から登録査定日までいつでも異議申立が出来る。
 インドネシアでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。出願公告日から2月以内に異議申立ができる。
 シンガポールでは、商標は実体審査が行われる。早期審査を請求することができる。出願公告日から2月以内に異議申立ができる。
 マレーシアでは、商標は実体審査が行われる。早期審査を請求することができる。出願公告日から2月以内に異議申立ができる。

関連記事
「タイにおける商標制度のまとめ-手続編」(2020.09.01)
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https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13602/
「タイにおける商標出願制度概要」(2019.06.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17463/
「タイにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10286/
「ベトナムにおける商標の識別性に関する調査」(2021.09.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20828/
「ベトナムにおける商標登録出願の早期審査」(2021.06.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20267/
「ベトナムにおける商標制度のまとめ-手続編」(2020.07.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19290/
「ベトナムにおける商標出願制度概要」(2019.06.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17473/
「ベトナムにおける商標異議申立(第三者意見)」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8504/
「インドネシアにおける商標出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17530/
「インドネシアにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10257/
「シンガポールにおける商標の識別性に関する調査」(2021.09.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20809/
「シンガポールの知的財産の審判等手続に関する調査」(2021.8.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20769/
「シンガポールにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17581/
「シンガポールにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10281/
「マレーシアにおける商標の識別性に関する調査」(2021.08.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20803/
「マレーシアにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17563/
「マレーシアにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10268/
「マレーシアにおける商標登録出願の早期審査」(2014.08.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6344/

関連情報:
「早期審査の拡大」
https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/trade-marks/circulars/2020/tm-circular-no-9-of-2020.pdf

ロシア、ブラジル、インド、トルコ、メキシコの商標制度比較

国または
地域名
パリ
条約
WTO
協定
TLT マドリッド
協定議定書
ニース協定 商標法
(存続期間)
審査制度
ロシア
(出願日から10年)
ブラジル × ×
(登録日から10年)
インド ×
(出願日から10年)
トルコ
(出願日から10年)
メキシコ
(出願日から10年)

1.パリ条約
 ロシア、ブラジル、インド、トルコ、メキシコのすべての国がパリ条約に加盟している。

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「ロシアにおける優先権主張の手続」(2020.12.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19645/
「ブラジルにおける商標の重要判例」(2018.09.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15849/
「ブラジルにおける商標制度の運用実態」(2016.01.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10228/
「インドにおける商標制度の運用実態」(2016.01.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10208/
「トルコにおける商標の優先権主張について」(2020.10.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19526/
「トルコ商標制度概要」(2019.11.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17945/
「トルコにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17683/
「メキシコ商標制度概要」(2019.10.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17773/

2.WTO協定
 ロシア、ブラジル、インド、トルコ、メキシコのすべての国がWTO協定に加盟している。

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https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7184/
「トルコ商標制度概要」(2019.11.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17945/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.商標法条約(TLT)
 商標法条約は商標出願手続きの国際的な制度調和と簡素化を図るための条約である。
 ロシア、トルコ、メキシコは商標法条約に加盟しているが、ブラジル、インドは未加盟である。

関連記事:
「ロシア特許庁の組織と審査体制」(2018.04.12)
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関連情報:
「商標法条約」1994年10月
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/tlt-shouhyou94.pdf
「商標法条約に基づく規則」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/tlt/rutlt/chap1.html#rule1
「商標法条約締約国」
https://wipolex.wipo.int/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=5

4.マドリッド協定議定書
 マドリッド協定議定書は、商標についてWIPO国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できる条約である。
 ロシア、ブラジル、インド、トルコ、メキシコのすべての国が加盟している。

関連記事:
「ロシア特許庁の組織と審査体制」(2018.04.12)
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「EU・メルコスール間の貿易協定の知的財産の章」(2020.09.24)
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「ブラジルにおけるマドリッドプロトコルの採用」(2020.07.23)
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「インドにおける商標出願制度概要」(2019.07.09)
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「インドの商標関連の法律、規則、審査マニュアル」(2019.03.26)
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「トルコにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17683/
「トルコにおけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証と商品・役務に関する審査の在り方」(2017.05.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13675/
「メキシコにおける商標出願制度概要」(2019.11.19)
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「メキシコにおけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証」(2017.06.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13774/
「メキシコにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2016.04.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11069/

関連情報:
「マドリッド協定議定書の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/seido/mado.html

5.ニース協定
 ニース協定は商標およびサービスマークの登録のための商品およびサービスの分類として各国共通の国際分類を採用することを目的としている。
 ロシア、インド、トルコ、メキシコは加盟している。ブラジルは未加盟であるが、ニース国際分類を採用している。

関連記事:
「ロシアにおける小売役務の保護の現状」(2018.06.21)
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「ブラジルにおける商標出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17915/
「ブラジルにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2016.05.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11208/
「ブラジルにおける商標制度の運用実態」(2016.01.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10228/
「インドにおける知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2020.5.5)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18543/
「インドにおける商標出願に関する指定商品、役務に関わる留意事項」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8397/
「トルコにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2019.10.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17844/
「トルコにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17683/
「トルコでの商標出願の拒絶理由通知への対応策」(2016.04.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/11122/
「メキシコにおける商標出願制度概要」(2019.11.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17927/
「メキシコにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2016.04.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11069/
関連情報:
「ニース協定と国際分類の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kokusai_bunrui/document/kokusai_bunrui_11-2020/10.pdf

6.商標法
 ロシアでは、商標は連邦民法第4法典により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*1も採用している。
 ブラジルでは、商標は産業財産法により規定されている。存続期間は、登録日から10年である。また、コンセント制度*1も採用している。
 インドでは、商標は商標法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*1も採用している。
 トルコでは、商標は知的財産法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*1も採用している。
 メキシコでは、商標は産業財産法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、コンセント制度*1も採用している。
*1:コンセント制度とは、先行登録商標に類似すると判断される場合であっても、当該先行登録商標の商標権者が同意をすれば出願商標の登録を認める制度。

関連記事:
「ロシアにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17685/
「ロシアの商標関連の法律、規則、審査基準等」(2019.04.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16891/
「ロシアにおける商標のコンセント制度」(2017.02.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13207/
「ロシアにおける物品デザインの商標的保護」(2018.08.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15640/
「ブラジルにおける商標出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17915/
「ブラジルの商標関連の法律、規則、審査基準等」(2019.04.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16874/
「ブラジルにおける商標のコンセント制度」(2017.02.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13209/
「インドにおける商標のコンセント制度」(2017.02.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/13211/
「インドにおける商標出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17532/
「インドの商標関連の法律、規則、審査マニュアル」(2019.03.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16714/
「インドにおける連続(シリーズ)商標制度」(2018.09.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15836/
「トルコにおける商標の優先権主張について」(2020.10.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19526/
「トルコ商標制度概要」(2019.11.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17945/
「トルコにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17683/
「トルコの特許・実用新案、意匠、商標関連の法律、規則等」(2019.02.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16551/
「メキシコにおける商標出願制度概要」(2019.11.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17927/
「メキシコ商標制度概要」(2019.10.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17773/
「メキシコの特許・実用新案、意匠、商標関連の法律、規則等」(2019.02.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16553/

関連情報:
「商標制度におけるコンセント制度についての調査研究報告書」(平成28年2月、株式会社サンビジネス)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/jpowp/wp-content/uploads/2017/02/4ad491d9026cbcf4c7b00594654963ac.pdf

7.審査制度
 ロシアでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。
 ブラジルでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。出願公告後60日以内に異議申立が出来る。
 インドでは、商標は実体審査が行われる。申請および追加費用の納付により早期審査請求ができる。早期審査が認められた場合、3か月以内に審査が開始される。出願公告後4か月以内に異議申立ができる。
 トルコでは、商標は絶対的理由について実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。出願公告後2か月以内に異議申立(相対的拒絶理由も可能)ができる。
 メキシコでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。出願公告後1か月以内に異議申立ができる。

関連記事:
「ロシアにおける商標出願の拒絶理由通知に対する対応策」(2020.04.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18451/
「ロシアにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17685/
「ロシアにおけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証と商品・役務に関する審査の在り方」(2017.05.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13673/
「ロシアにおける商標制度の運用実態」(2016.01.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10246/
「ブラジルにおける商標出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17915/
「ブラジルにおける商標異議申立制度」(2017.04.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13631/
「ブラジルにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2016.05.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11208/
「ブラジルにおける商標制度の運用実態」(2016.01.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/10228/
「インド商標法に基づく拒絶理由に関する調査報告書」(2021.08.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20765/
「インドにおける商標制度のまとめ-手続編」(2020.10.8)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19497/
「インドにおける商標出願制度概要」(2019.07.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17532/
「インドの商標異議申立制度」(2017.06.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13786/
「インドにおける外国語(日本語)商標の取扱い」(2018.08.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15654/
「トルコ商標制度概要」(2019.11.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17945/
「トルコにおける商標異議申立制度」(2019.12.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17970/
「トルコにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17683/
「メキシコにおける商標出願制度概要」(2019.11.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17927/
「メキシコ商標制度概要」(2019.10.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17773/
「メキシコにおける商標異議申立制度の導入」(2016.06.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/12186/
「メキシコでの商標出願の拒絶理由通知への対応策」(2016.04.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/11120/

フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイの商標制度比較

国または
地域名
パリ
条約
WTO
協定
TLT マドリッド
協定議定書
ニース協定 商標法
(存続期間)
審査制度
フィリピン × ×
(登録日から10年)
ミャンマー × × × × ○(未施行)
(出願日から10年)
*1
カンボジア × ×
(出願日から10年)
ラオス × ×
(登録日から10年)
ブルネイ × ×
(登録日から10年)

*1 方式および絶対的拒絶理由のみ審査され、公開後に異議申立があった場合に実体審査が行われる。

1.パリ条約
 フィリピン、カンボジア、ラオス、ブルネイは加盟しているが、ミャンマーは未加盟である。しかし、ミャンマーにおいては、2019年に制定された商標法(未施行)によればパリ条約またはWTO協定の加盟国への出願による優先権が認められるとされている。

関連記事:
「フィリピンにおける優先権主張の手続」(2020.11.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19547/
「フィリピンにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2019.09.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17673/
「ミャンマーにおける新たな商標出願制度の概要」(2019.06.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17451/
「カンボジアにおける優先権主張の手続」(2020.10.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19536/
「カンボジアにおける商標出願制度の概要」(2019.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17935/
「ラオスにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17559/
「ブルネイにおける優先権主張の手続(外国優先権)」(2020.09.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19466/

関連情報: 
「ミャンマー 商標法」(翻訳の14頁)(2019.01.30)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/materials/ku57pq00003sxpf7-att/trademark_jp.pdf#page=14

2.WTO協定
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイはすべてWTO協定に加盟している。

関連記事:
「フィリピンにおける地理的表示に関する施行規則の策定検討状況」(2018.08.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/15670/
「ラオスにおける知的財産保護を巡る動き」(2020.11.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19543/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf
「ミャンマー 商標法」(翻訳の14頁)(2019.01.30)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/materials/ku57pq00003sxpf7-att/trademark_jp.pdf#page=14
「カンボジアにおける模倣品流通実態についての調査」(2017年9月)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/jpowp/wp-content/uploads/2020/02/0b21563bae8c13afbd1bbb8dd8de8c42.pdf

3.商標法条約(TLT)
 商標法条約は商標出願手続きの国際的な制度調和と簡素化を図るための条約である。
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイのすべてが未加盟である。

関連情報:
「商標法条約」1994年10月
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/tlt-shouhyou94.pdf
「商標法条約に基づく規則」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/tlt/rutlt/chap1.html#rule1
「商標法条約締約国」
https://wipolex.wipo.int/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=5

4.マドリッド協定議定書
 マドリッド協定議定書は、商標についてWIPO国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できる条約である。
 フィリピン、カンボジア、ラオス、ブルネイは加盟しているが、ミャンマーは未加盟である。

関連記事:
「フィリピンにおける優先権主張の手続」(2020.11.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19547/
「フィリピンにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2019.09.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17673/
「カンボジアにおけるマドリッド協定議定書に基づく国際商標出願に関する手続」(2020.03.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18342/
「ラオスにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17559/
「ブルネイにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17517/

関連情報:
「マドリッド協定議定書の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/seido/mado.html

5.ニース協定
 ニース協定は商標およびサービスマークの登録のための商品およびサービスの分類として各国共通の国際分類を採用することを目的としている。
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイはすべて未加盟であるが、いずれもニース国際分類を採用している。

関連記事:
「フィリピンにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2019.09.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/17673/
「フィリピンにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10274/
「カンボジアにおけるマドリッド協定議定書に基づく国際商標出願に関する手続」(2020.03.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18342/
「ラオスにおける商標公報へのアクセス方法」(2021.01.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/19677/
「ブルネイ商標制度概要」(2016.06.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11269/

関連情報:
「ニース協定と国際分類の概要」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kokusai_bunrui/document/kokusai_bunrui_11-2020/10.pdf
「ミャンマー商標法」(2019年1月)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/materials/ku57pq00003sxpf7-att/trademark_jp.pdf
「カンボジア・ラオス・ミャンマーにおける知財統計情報の調査」(2020年2月)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/asean/ip/pdf/report_202002.pdf

6.商標法
 フィリピンでは、商標は知的財産法により規定されている。存続期間は、登録日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。さらに、コンセント制度*2も採用している。
 ミャンマーでは、商標は商標法(未施行)により規定される予定である。存続期間は、出願日から10年の予定である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる予定である。
 カンボジアでは、商標は商標法により規定されている。存続期間は、出願日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。
 ラオスでは、商標は知的財産法および商標に関する首相令により規定されている。存続期間は、登録日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。
 ブルネイでは、商標は商標法により規定されている。存続期間は、登録日から10年である。また、一つの出願で多区分について同一商標を出願できる。
*2:コンセント制度とは、先行登録商標に類似すると判断される場合であっても、当該先行登録商標の商標権者が同意をすれば出願商標の登録を認める制度。

関連記事:
「フィリピンにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17571/
「フィリピンの商標等関連の法律、規則、審査基準等」(2019.04.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16877/
「ミャンマーにおける知的財産法の制定について(前編)」(2020.07.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19350/
「ミャンマーにおける知的財産法の制定について(後編)」(2020.07.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19352/
「ミャンマー知的財産権制度の最新状況」(2019.06.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17449/
「カンボジアにおける商標出願制度の概要」(2019.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17935/
「カンボジアの商標関連の法律、規則等」(2019.03.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16726/
「ラオスにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17559/
「ラオスの商標関連の法律、規則等」(2019.04.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16880/
「ブルネイにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17517/
「ブルネイの商標関連の法律、規則等」(2019.04.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16818/
「ブルネイ商標制度概要」(2016.06.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11269/

関連情報:
「ミャンマー商標法」(2019年1月)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/materials/ku57pq00003sxpf7-att/trademark_jp.pdf
「商標制度におけるコンセント制度についての調査研究報告書」(平成28年2月、株式会社サンビジネス)https://www.globalipdb.inpit.go.jp/jpowp/wp-content/uploads/2017/02/4ad491d9026cbcf4c7b00594654963ac.pdf

7.審査制度
 フィリピンでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度として審査を優先処理する制度がある。出願公告後30日以内に異議申立が出来る。
 ミャンマーでは、商標は方式および絶対的拒絶理由のみが審査され、公開後60日以内に異議申立があった場合に実体審査が行われる予定である。早期審査制度は採用されない。
 カンボジアでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度が採用されていない。登録公告日から90日以内に異議申立が出来る。
 ラオスでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。公開日から60日以内に異議申立が出来る。
 ブルネイでは、商標は実体審査が行われる。早期審査制度は採用されていない。出願公告後3月以内に異議申立が出来る。

関連記事:
「フィリピンにおける商標の識別性に関する調査」(2021.09.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20806/
「フィリピンにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17571/
「フィリピンにおける商標異議申立制度」(2017.06.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13788/
「フィリピンにおける商標審査基準関連資料」(2016.02.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10274/
「フィリピンにおける商標の審査迅速化のための対応」(2015.03.31)
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「ミャンマーにおける新たな商標出願制度の概要」(2019.06.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17451/
「ミャンマー知的財産権制度の最新状況」(2019.06.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17449/
「カンボジアにおける商標出願制度の概要」(2019.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17935/
「カンボジアにおけるマドリッド協定議定書に基づく国際商標出願に関する手続」(2020.03.10)
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「ラオスにおける商標出願制度概要」(2019.07.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17559/
「ブルネイにおける商標登録出願制度概要」(2019.07.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17517/
「ブルネイ商標制度概要」(2016.06.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11269/

関連情報:
「Lao People’s Democratic Republic(LA)(ラオス人民民主共和国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/la.pdf
「Brunei Darussalam(BN)(ブルネイ・ダルサラーム国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/bn.pdf

フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイの意匠制度比較

国または地域名 パリ
条約
WTO
協定
ハーグ
協定
ロカル
ノ協定
意匠法
(存続期間)
公開制度 審査制度
(実体審査)
フィリピン × × ○ (15年) 方式審査後公告 ×
ミャンマー × × × ○(未施行)
(15年)
出願公開 ×
カンボジア × ○ (15年) 付与後公告
ラオス × × ○ (15年) 出願公開
ブルネイ × ○ (15年) 付与後公告 ×

国または地域名 多意匠一出願 部分意匠 関連意匠 秘密意匠*1
フィリピン 〇(同一区分、
組物は可)
×
ミャンマー ○(同一区分
は可)
×
カンボジア ○(同一区分、
組物は可)
× ×
ラオス ○(同一区分、
組物は可)
× ×
ブルネイ ○(同一区分、
組物は可)
×

*1:公開を延期することができる場合は、○と表記している。

1.パリ条約
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイの中ではミャンマーのみが未加盟である。しかし、2019年に制定された特許法(未施行)によればパリ条約またはWTO協定の加盟国への出願による優先権が認められるとされている。

関連記事:
「フィリピンにおける優先権主張の手続」(2020.11.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19547/
「ミャンマー知的財産権制度の概要【その2】~新知的財産法案について~」(2016.06.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/11737/
「カンボジアにおける優先権主張の手続」(2020.10.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19536/
「カンボジアにおける意匠出願制度の概要」(2019.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17933/
「ラオスにおける意匠出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17556/
「ブルネイにおける優先権主張の手続(外国優先権)」(2020.09.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19466/

2.WTO協定
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイの各国はすべてWTO協定に加盟しており、WTOの規定によるTRIPS協定の義務付けにより、WTO加盟国はパリ条約に加盟していなくても同加盟国にした出願に基づき優先権を主張して出願することができるる。

関連記事:
「カンボジアにおける特許および実用新案登録を受けることができる発明とできない発明」(2020.08.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19437/
「ラオスにおける知的財産保護を巡る動き」(2020.11.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19543/
「ミャンマーの模倣被害に対する措置および対策」(2017.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14265/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.ハーグ協定
 カンボジアおよびブルネイが加盟している。未加盟であるフィリピン、ミャンマー、ラオスへの意匠登録出願は各国別に行う必要がある。

関連記事:
「フィリピンにおけるハーグ協定のジュネーブ改正協定加盟に向けた課題」(2014.10.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/6689/
「カンボジアにおける模倣品対策」(2020.03.05)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/18338/
「ブルネイにおける意匠登録出願制度概要」(2019.10.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17832/

関連情報:
「ハーグ制度を利用した意匠の国際的保護」(2020.11.12)
https://www.wipo.int/export/sites/www/about-wipo/ja/offices/japan/pdf/webinar_2020_11_12.pdf

4.ロカルノ協定
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイのいずれの国もロカルノ協定に未加盟である。
 フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイのいずれの国もロカルノ分類を採用している。
 ロカルノ協定は意匠の国際分類を定めるものであり、締約国の管轄官庁は、意匠の寄託または登録を反映する公式文書に、意匠を組み込んだ物品が属する分類のクラスおよびサブクラスの番号を示さなければならない。

関連記事:
「カンボジアにおける意匠登録の要件および手続」(2020.11.05)https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19550/
「ラオスにおける意匠出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17556/

関連情報:
「Republic of Philippines(PH)(フィリピン共和国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/ph.pdf
「Union of Myanmar(MM)(ミャンマー連邦)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/mm.pdf
「Kingdom of Cambodia(KH)(カンボジア王国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/kh.pdf
「Lao People’s Democratic Republic(LA)(ラオス人民民主共和国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/la.pdf
「Brunei Darussalam (BN)(ブルネイ・ダルサラーム国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/bn.pdf

5.意匠法
 フィリピンでは、意匠は知的財産法により規定されている。存続期間は出願日から5年だが、5年ごとに2回更新でき、最長15年である。
 特有の意匠制度(フィリピン)
 フィリピンでは国際分類の同一のサブクラスに属するか、または同一の組物もしくは構成物品に係るものであれば、2以上の意匠を1の出願の対象とすることができる。部分意匠制度もある。
 ミャンマーでは、意匠は工業意匠法(未施行)により規定される予定である。登録期間は出願日から5年だが、最大2回更新でき、最長15年である。
 特有の意匠制度(ミャンマー)
 ミャンマーでは国際分類の同一分類の場合、複数の意匠について単一の申請書を提出することができる。部分意匠制度もある。
 カンボジアでは、意匠は特許法により規定されている。存続期間は出願日から5年だが、5年ごとに2回更新でき、最長15年である。
 特有の意匠制度(カンボジア)
 カンボジアでは国際分類が同一、または組物である場合、2以上の意匠を同一の出願の対象にすることができる。
 ラオスでは、意匠は知的財産法により規定されている。存続期間は出願日から15年である。
 特有の意匠制度(ラオス)
 ラオスでは国際分類が同一、または同一の組または構成に関わる場合、2以上の意匠を同一出願の対象とすることができる。
 ブルネイでは、意匠は意匠令により規定されている。存続期間は出願日から5年だが、5年ごとに2回更新でき、最長15年である。
 特有の意匠制度(ブルネイ)
 ブルネイでは同一の意匠分類または同一の組物に関わる場合、2またはそれ以上の意匠を同一の登録出願の主題とすることができる。

関連記事:
「フィリピンにおける意匠登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17569/
「ミャンマー知的財産制度の最新状況」(2019.06.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17449/
「カンボジアにおける意匠出願制度の概要」(2019.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17933/
「ラオスにおける意匠出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17556/
「ブルネイにおける意匠登録出願制度概要」(2019.10.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17832/

関連情報:
「ミャンマーにおける知的財産に関する法律の成立」(2019.06.03)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/news/20190603.html
「ミャンマー工業意匠法(仮訳)」(2019.01.30)(未施行)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/materials/ku57pq00003sxpf7-att/industrial_design_jp.pdf
※15ページに優先権の規定がある。

6.公開制度
 フィリピンでは、意匠は方式審査を通過すると公報により公告される。なお、公開の延期は最長30月できる。
 ミャンマーでは、意匠は方式審査を通過すると出願公開され、また、公開の延期(繰延べ)は最大18月を求めることができる予定である。
 カンボジアでは、意匠は方式審査後に実体審査がなされ、審査通過後に登録、公告となる。また、出願時に公告の時期を最長12月繰延べる請求ができる。
 ラオスでは、意匠は方式審査後に出願公開(公告)され、その後実体審査を経て登録となる。また、公開の延期が最長12月できる。
 ブルネイでは、意匠は方式審査を通過すると登録、公告となる。公告される前に請求することにより公開の延期が最長12月できる。

関連記事:
「フィリピンにおける意匠登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17569/
「カンボジアにおける意匠出願制度の概要」(2019.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17933/
「ラオスにおける意匠出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17556/
「ブルネイにおける意匠登録出願制度概要」(2019.10.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17832/

関連情報:
「ASEAN各国の知財政策及びIP5等からの知財協力の現状に関する調査研究」(2019年3月)
https://www.aippi.or.jp/data_files/view/945/download:1
「ミャンマー工業意匠法」(2019.01.30)(未施行)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/materials/ku57pq00003sxpf7-att/industrial_design_jp.pdf

7.審査制度
 フィリピンでは、意匠は方式審査を通過すると公告され、公告から30日以内に不利な情報が提供されなかった場合、登録となる。不利な情報があった場合、局長による査定が行われる。
 ミャンマーでは、意匠は方式審査を通過すると公開され、公開から60日以内に異議申し立てがなければ出願が認容され、登録証が発行される、という流れになる予定。
 カンボジアでは、意匠は方式審査を通過すると実体審査が行われ、問題がなければ登録査定となり、公告される。異議のある場合は無効訴訟で対応する必要がある。
 ラオスでは、意匠は方式審査後に出願公開(公告)され、その後実体審査を経て登録となる。
 ブルネイでは、意匠は方式審査を通過すると登録、公告となる。登録官の決定に対しては、裁判所へ上訴することができる。

関連記事:
「フィリピンにおける意匠登録出願制度概要」(2019.07.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17569/
「カンボジアにおける意匠出願制度の概要」(2019.11.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17933/
「ラオスにおける意匠出願制度概要」(2019.07.16)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17556/
「ブルネイにおける意匠登録出願制度概要」(2019.10.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17832/

関連情報:
「ミャンマー工業意匠法」(2019.01.30)(未施行)
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/materials/ku57pq00003sxpf7-att/industrial_design_jp.pdf

ロシア、ブラジル、インド、トルコ、メキシコの意匠制度比較

国または地域名 パリ
条約
WTO
協定
ハーグ
協定
ロカル
ノ協定
意匠法
(存続期間)
公開制度 審査制度
(実体審査)
ロシア
(25年)
付与後公開
ブラジル × ×
(25年)
付与後公開 ×
インド ×
(15年)
付与後公開
トルコ
(25年)
付与後公開
メキシコ
(25年)
出願公開

国または地域名 多意匠一出願 部分意匠 関連意匠 秘密意匠*1
ロシア ○(密接に関係
付けられた
一群)
*2 × ×
ブラジル ○(同一区分) × ×
インド ○(同一区分) △(実質的に運
用されている)
×
トルコ ○(同一区分) ×
メキシコ × △(規定はない
が登録可能)
× ×

*1:公開を延期することができる場合は、○と表記している。
*2:「ТРЕБОВАНИЯК ДОКУМЕНТАМ ЗАЯВКИ НА ВЫДАЧУ ПАТЕНТА НА ПРОМЫШЛЕННЫЙ ОБРАЗЕЦ (с изменениями на 23 ноября 2020 года)」
(意匠の特許付与の申請書類の要件(2020年11月23日修正))32条15項を参照
https://new.fips.ru/documents/npa-rf/prikazy-minekonomrazvitiya-rf/prikaz-ministerstva-ekonomicheskogo-razvitiya-rf-ot-30-sentyabrya-2015-g-695.php#T32

1.パリ条約
 ロシア、ブラジル、インド、トルコ、メキシコのすべてが加盟している。

関連記事:
「ロシアにおける優先権主張の手続」(2020.12.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19645/
「ロシアにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10277/
「ブラジルにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10226/
「インドにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10259/
「トルコにおける意匠の優先権主張について」(2020.10.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19509/
「トルコにおける意匠出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17681/
「メキシコにおける条約に基づく優先権主張の手続」(2021.01.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19671/

関連情報:
齊藤 良平、優先権主張時における意匠の同一性、パテント、2018,vol.71、p.27
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3120

2.WTO協定
 ロシア、ブラジル、インド、トルコ、メキシコのすべての国が加盟している。

関連記事:
「ロシアにおける優先権主張の手続」(2020.12.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19645/
「インドにおけるグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)の意匠権による保護」(2015.08.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8540/
「トルコにおける意匠出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17681/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.ハーグ協定
 ロシア、メキシコ、トルコが加盟している。未加盟であるブラジル、インドへの意匠登録出願は各国別に行う必要がある。

関連記事:
「ロシアにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10277/
「ブラジルにおける意匠法と意匠国際登録制度の相違点」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/8312/
「インドにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10259/
「トルコの知的財産法(新規)、規則および条約の概要」(2019.12.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18030/
「メキシコにおける意匠制度の運用実態」(2015.12.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10064/

関連情報:
「ハーグ協定の1999年ジュネーブ改正協定の批准及び宣言事項:ロシア(参考訳)」(2018.01.16)
https://www.jpo.go.jp/system/design/hague/members_info/wipo_russia_180130.html

4.ロカルノ協定
 ロシア、インド、トルコ、メキシコが加盟している。ブラジルは未加盟であるが意匠の分類には国際意匠分類(ロカルノ分類)を使用している。ロカルノ協定は意匠の国際分類を定めるものであり、締約国の管轄官庁は、意匠の寄託または登録を反映する公式文書に、意匠を組み込んだ物品が属する分類のクラスおよびサブクラスの番号を示さなければならない。

関連記事:
「ロシアにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10277/
「ブラジルにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10226/
「ブラジルにおける意匠の表現に関する制度・運用」(2014.08.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3658/
「インドにおける画像意匠の保護制度」(2020.10.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19502/
「トルコにおける模倣品の概要」(2019.12.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18028/
「トルコの知的財産法(新規)、規則および条約の概要」(2019.12.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18030/
「メキシコにおける意匠制度の運用実態」(2015.12.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10064/

関連情報:
「United Mexican States(MX)(メキシコ合衆国)」
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/mx.pdf

5.意匠法
 ロシアでは意匠は連邦民法第4法典により規定されている。存続期間は出願日から5年だが、5年ごとに4回延長でき、最長25年である。
特有の意匠制度(ロシア)
 ロシアでは、単一の創作的概念を形成するように密接に関連付けられた一群の意匠に関連する場合、2以上の意匠を同一出願の対象とすることができる。また、部分意匠制度については、点線を使用して法的保護を主張していない部分を表示することが許可されている。
 ブラジルでは意匠は産業財産法で規定されている。存続期間は出願日から10年だが、5年ごとに3回更新でき、最長25年である。
特有の意匠制度(ブラジル)
 ブラジルでは、同一用途に係るものであり、かつ、同一の顕著な識別性を有している場合、20を上限として同一出願の対象とすることができる。
 インドでは意匠は意匠法で規定されている。存続期間は出願日または優先日から10年だが、5年の更新が1回でき、最長15年である。
特有の意匠制度(インド)
 インドでは、同一区分に限り同一出願の対象とすることができる。また、権利に含まれない部分を点線で示すことができる。
 トルコでは意匠は知的財産法で規定されている。存続期間は出願日から5年だが、5年ごとに4回更新でき、最長25年である。
特有の意匠制度(トルコ)
 トルコでは、同一区分に限り、最大100件まで同一出願の対象とすることができる。また、部分意匠制度もある。
 メキシコでは意匠は産業財産法で規定されている。存続期間は出願日から5年だが、5年ごとに4回更新でき、最長25年である。
特有の意匠制度(メキシコ)
 メキシコでは、部分意匠制度について規定はないが登録は可能である。

関連記事:
「ロシアにおける画像意匠の保護」(2020.09.08)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19452/
「ロシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17573/
「ロシアにおける優先権主張の手続」(2020.12.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19645/
「ブラジルにおける画像意匠の保護制度」(2020.10.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19530/
「ブラジルにおける意匠出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17913/
「日本とブラジルにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/8436/
「インド法における意匠保護に関する機能性と可視性の概念」(2020.10.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19532/
「インドにおける画像意匠の保護制度」(2020.10.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19502/
「インドにおける意匠出願制度概要」(2019.06.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17418/
「トルコにおける画像意匠の保護制度」(2020.10.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19538/
「トルコにおける意匠の優先権主張について」(2020.10.15)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19509/
「トルコにおける意匠の機能性および視認性」(2020.09.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19448/
「トルコにおける意匠出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17681/
「メキシコにおける意匠の機能性および視認性」(2020.12.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19647/
「メキシコにおける条約に基づく優先権主張の手続」(2021.01.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19671/
「メキシコにおける意匠出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17917/

6.公開制度
 ロシアでは、意匠は方式審査を通過すると自動的に実体審査が行われ、実体審査を通過すると登録となり、公告される。公開を繰延べる制度はない。
 ブラジルでは、意匠は方式審査を通過すると登録査定となり公告される。申請により公開の延期が最大180日できる。
 インドでは、意匠は方式審査を通過すると自動的に実体審査が行われ、実体審査を通過すると登録となり、公告される。公開を繰延べる制度はない。
 トルコでは、意匠は方式審査を通過すると自動的に実体審査が行われ、実体審査を通過すると登録となり、公告される。公開の延期が最大30月できる。
 メキシコでは、意匠は方式審査を通過すると出願公開され、その後実体審査が行われる。早期公開を求めることはできるが、公開を繰延べる制度はない。

関連記事:
「ロシアにおける意匠制度」(2017.07.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/13891/
「ロシアにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10277/
「ブラジルにおける意匠出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17913/
「ブラジルにおける意匠法と意匠国際登録制度の相違点」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/8312/
「インドにおける意匠出願制度概要」(2019.06.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17418/
「インドにおける意匠制度の運用実態」(2016.02.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10259/
「トルコにおける意匠出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17681/
「メキシコにおける意匠出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17917/

7.審査制度
 ロシアでは、意匠は方式審査により意匠の単一性が審査され、実体審査では新規性および独創性が審査される。新規性の猶予期間は公知となった日から12月である。
 ブラジルでは、意匠は方式審査を通過すれば登録される。方式審査では「公序良俗違反」と「装飾性」も審査される。実体審査は登録された意匠の存続期間中に意匠権者の請求があれば実施される。
 インドでは、意匠は方式審査(図面要件等)の後、実体審査が行われ、新規性、創作性、公序良俗違反等が審査される。
 トルコでは、意匠は方式審査の後、実体審査が行われ、公序良俗違反、主権記章の不適切使用、新規性、独自性等が審査される。
 メキシコでは、意匠は方式審査および審査請求の後、実体審査が行われ、新規性、産業上利用可能性、独創性等が審査される。

関連記事:
「ロシアにおける意匠出願制度概要」(2019.07.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17573/
「ブラジルにおける意匠の方式審査」(2020.07.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19364/
「ブラジルにおける意匠出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17913/
「インドにおける意匠出願制度概要」(2019.06.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17418/
「トルコにおける意匠の機能性および視認性」(2020.09.03)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19448/
「トルコにおける意匠出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17681/
「メキシコにおける意匠出願制度概要」(2019.11.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17917/

中国、韓国、台湾、香港の意匠制度比較

国または
地域名
パリ
条約
WTO
協定
ハーグ
協定
ロカルノ
協定
意匠法
(存続期間)
公開制度 審査制度
(実体審査)
中国 ×
(15年)
付与後公告 ×*1
韓国
(20年)
付与後公告 *3
出願公開*2
台湾 × × ×
(15年)
付与後公告
香港 *4 × ×
(25年)
付与後公告 ×

*1:明らかに不当録事由に該当するか否かは審査する。
*2:査定前の申請により出願公開を選択できる。
*3:特定物品を対象とする意匠は、登録を迅速にするため、新規性が審査されない。
*4:香港はパリ条約に国として加盟してはいないが、中国として適用される

国または地域名 多意匠一出願 部分意匠 関連意匠 秘密意匠
中国 〇(類似意匠は
10個まで可)
〇(本意匠と同
日出願が必要)
×
韓国 〇(同一区分は
100個まで可)
〇(本意匠出願
から1年以内)
台湾 ×(組物は可)
香港 〇(同一区分、
組物は可)
× ×

1.パリ条約
 中国、韓国加盟しているが、台湾は未加盟であり、台湾への出願は注意が必要である。ただし、台湾はパリ条約には未加盟であるが、WTO加盟国にした出願に基づき優先権を主張して出願することができる。また、香港は国として未加盟であるが、中国として適用される(関連情報参照)。

関連記事:
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「中国における意匠出願制度概要」(2020.04.28)(注:2021年6月より部分意匠可)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18532/
「韓国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2020.05.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18579/
「韓国意匠出願手続における期日管理」(2020.03.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18376/
「台湾における専利法に基づく優先権主張の手続(国際優先権および国内優先権)」(2020.07.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19366/
「台湾における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2019.03.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16671/
「香港における特許出願および意匠出願の優先権主張の手続(外国優先権)」(2020.04.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18432/
「香港における意匠出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17524/

関連情報:
「Paris Notification No. 178」(1997.06.10)
https://www.wipo.int/treaties/en/notifications/paris/treaty_paris_178.html

2.WTO協定
 中国、韓国、台湾、香港が加盟しており、WTOの規定によるTRIPS協定の義務付けにより、WTO加盟国はパリ条約に加盟していなくても同加盟国にした出願に基づき優先権を主張して出願することができる。

関連記事:
「中国における専利(特許・実用新案・意匠)の存続期間」(2015.05.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/8717/
「韓国における条約加入の現況」(2020.02.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18313/
「台湾における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19830/
「台湾における専利法に基づく優先権主張の手続(国際優先権および国内優先権)」(2020.07.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19366/
「香港における特許出願および意匠出願の優先権主張の手続(外国優先権)」(2020.04.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18432/

関連情報:
「世界貿易機関(WTO)」
https://www.soumu.go.jp/g-ict/international_organization/wto/pdf/wto.pdf

3.ハーグ協定
 韓国のみが加盟している。このため未加盟である中国(加盟の準備中)、台湾、香港への意匠登録出願は各国別に行う必要がある。

関連記事:
「中国における専利(特許・実用新案・意匠)の存続期間」(2015.05.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/trend/8717/
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「韓国におけるデザイン保護法」(2020.02.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18280/
「韓国における意匠の新規性要件と新規性喪失の例外」(2015.03.31)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/8212/

関連情報:
「ハーグ制度を利用した意匠の国際的保護」(2020.11.12)
https://www.wipo.int/export/sites/www/about-wipo/ja/offices/japan/pdf/webinar_2020_11_12.pdf

4.ロカルノ協定
 中国、韓国が加盟している。台湾、香港は未加盟であるがロカルノ分類を採用している。
 ロカルノ協定は意匠の国際分類を定めるものであり、締約国の管轄官庁は、意匠の寄託または登録を反映する公式文書に、意匠を組み込んだ商品が属する分類のクラスおよびサブクラスの番号を示さなければならない。

関連記事:
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「韓国における条約加入の現状」(2020.02.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18313/
「韓国における複数意匠登録出願制度について」(2020.04.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18534/
「台湾における意匠の表現に関する制度・運用」(2014.09.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6537/
「香港における意匠の表現に関する制度・運用」(2016.01.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10240/

関連情報:
「LOC第十三版」(於110年9月1日(2021.09.01)正式施行)(台湾)
https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-719-888269-10b10-101.html
「REGISTERED DESIGNS RULES (Cap. 522 sub. leg. A)」(2015.11.12)(香港)
https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap522A!en.assist.pdf?FROMCAPINDEX=Y

5.意匠法
 中国、台湾では意匠は専利法により規定されている。中国の存続期間は出願日から15年、台湾の存続期間も15年である。
 特有の意匠制度(中国)
 中国は原則として一出願一意匠である。ただし、類似意匠は一つの出願とできる。また、部分意匠(2021年6月より)、組物意匠制度もある。
 特有の意匠制度(台湾)
 台湾では原則として一出願一意匠である。ただし、組物意匠制度があり、例外的に複数意匠を1件の出願でできる。また、意匠公告を最大6か月遅らせることができる。
 韓国では意匠はデザイン保護法により規定されている。存続期間は出願日から20年である。
 特有の意匠制度(韓国)
 韓国は一般の意匠と一部審査の意匠とがあり、意匠の対象となる物品により異なる。一部限定された物品を対象とした意匠は新規性について審査せず、迅速に登録され、登録後に異議申立制度の対象となる。
 香港では意匠は意匠条例により規定されている。存続期間は出願日から5年だが、5年ごとに4回更新でき、最大25年である。
 特有の意匠制度(香港)
 部分意匠制度、組物意匠制度などがある。

関連記事:
「中国の意匠特許における機能性および視認性」(2021.05.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19889/
「中国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2021.05.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19874/
「中国における意匠出願制度概要」(2020.04.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18532/
「中国における画像意匠の保護制度」(2020.08.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19433/
「韓国における知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編」(2020.05.21)
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「韓国における複数意匠登録出願制度について」(2020.04.30)
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「韓国における意匠の一部審査登録制度」(2020.04.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18536/
「韓国における意匠(韓国語「デザイン」)出願制度概要」(2020.03.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18372/
「日本と韓国における意匠の新規性喪失の例外に関する比較」(2019.10.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17764/
「韓国における秘密意匠制度」(2018.10.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16039/
「台湾における意匠保護の戦略」(2021.09.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20870/
「台湾における画像意匠の保護制度」(2020.08.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19394/
「台湾における専利法の一部改正」(2020.08.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19392/
「台湾における専利法に基づく優先権主張の手続(国際優先権および国内優先権)」(2020.07.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19366/
「日本と台湾における意匠権の権利期間および維持に関する比較」(2020.03.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18388/
「香港における意匠出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17524/
「香港の意匠特許における機能性および視認性」(2018.09.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15855/
「香港における意匠の表現に関する制度・運用」(2016.01.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/10240/
「日本と香港における意匠の新規性喪失の例外に関する比較」(2015.11.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9468/

6.公開制度
 中国、香港では、意匠は方式審査の後、実体審査なしで登録・公告となる。
 韓国では、意匠は付与後の公告が一般であるが、出願人の申請があれば付与前に出願公開される。
 台湾では、意匠は付与後に公告される。

関連記事:
「中国における意匠出願制度概要」(2020.04.28)
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「韓国における意匠登録出願の公開制度」(2018.10.25)
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「香港における意匠出願制度概要」(2019.07.04)
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7.審査制度
 中国での意匠は、実体審査が行われず、登録後の無効請求により対応する。ただし、明らかに不登録事由に該当するか否かの審査は行われる。
 韓国での意匠は、実体審査の行われない「デザイン一部審査登録出願(方式審査のみ)」と実体審査の行われる「デザイン審査登録出願」とがある。デザイン一部審査登録出願の場合は登録後に異議申立制度がある。
 台湾での意匠は、すべての出願が実体審査される。
 香港での意匠出願は、実体審査が行われず、登録後の登録官または裁判所への付託(Reference)請求により対応する。

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「中国における意匠出願制度概要」(2020.04.28)(注:2021年6月より部分意匠可)
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「日本と中国の意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較」(2015.06.19)
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「中国における意匠出願の拒絶理由通知書に対する対応」(2015.05.08)
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「韓国における意匠の一部審査登録制度」(2020.04.30)
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「韓国意匠出願手続における期日管理」(2020.03.19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/18376/
「日本と韓国の意匠出願制度における実体審査制度の有無に関する比較」(2015.07.31)
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「台湾における専利に必要な書類一覧」(2021.06.17)
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「台湾における画像意匠の保護制度」(2020.08.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19394/
「日本と台湾の意匠出願制度における実体審査制度の有無に関する比較」(2015.10.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9300/
「香港における意匠出願制度概要」(2019.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17524/
「香港の意匠特許における機能性および視認性」(2018.09.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15855/
「日本と香港の意匠出願制度における実体審査制度の有無に関する比較」(2015.11.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/9256/
「香港における意匠制度の概要」(2014.10.01)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6703/

トルコ商標制度概要

トルコ特許商標庁(以下、「TÜRKPATENT」)に行われた商標出願は、TÜRKPATENTにより、形式的審査の後に絶対的拒絶理由の観点から審査され、絶対的拒絶理由の審査を通過した商標は、商標公報(以下、「公報」)で公告される。商標出願の公告から2月以内に、利害関係人により絶対的または相対的拒絶理由に基づいて異議申立が可能である。

商標登録の有効期間は、出願日から10年である。商標登録更新料を支払うことにより、10年ごとの更新が可能となっている。登録日から5年間使用されていない商標は、商標の不使用取消請求により取り消される。

 

1. 産業財産法

トルコの国内法において商標法は、2017年1月10日に施行された産業財産法第6769号および2017年4月24日に施行された産業財産法の適用に関する規則で規定されている。

トルコは、「先使用主義」を認めている。

 

2. 標章

ある商品または役務を、他の事業の商品または役務から区別し、商標として登録された場合に、その商標権者に保証される保護の対象を明確に理解できる形式で登録簿に表示できる場合には、下記の標章は商標として登録される。

・文字

・名称

・図形

・立体的形状

・色彩(審査は、色彩が具体化された一定の形の中で使用される場合、識別性を有するか否かの観点から行われる。)

・スローガン

・音

・匂い(出願に化学式を添付する必要がある。)

・トレードドレス

・動き(動きの標章を示す画像の連続は動きの出願時に提出する必要がある。さらに、明確で包括的な動きの説明、提出された画像の説明ならびに画像の数および順番を含む動きの明細書が提出される必要がある。出願対象の動きに関する電子ログを、コンピューター環境で見て保存することができる形で保存されたCDを出願時に提出する必要がある。)

TÜRKPATENTは、味の商標に関する出願を認めていない。

 

3. 分類

トルコにおいて、商品および役務は、「標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」(以下、「ニース協定」)に従って分類される。

商標出願は、複数の分類についても行うことができる。

商標出願は、出願人の要求に基づいて、TÜRKPATENTにより出願が登録されるまで、複数の出願に分割することができる。分割のために、申請書および料金の支払いを示す書類をTÜRKPATENTに提出する必要がある。登録された商標は分割することができず、分割された出願は、再度まとめることができない。

 

4. 出願

商標出願は、TÜRKPATENTが有効と認める出願フォームを用いて作成し、TÜRKPATENTに提出する。出願フォームには、下記の情報を記載する必要がある。

  • 出願人の身分および連絡先情報
  • 出願が代理人により行われる場合、代理人の身分および連絡先情報
  • 優先権の主張があれば、その優先権に関する情報
  • 商標の見本
  • 商標の見本でローマ字以外の文字が使用されている場合、その文字に対応するローマ字
  • 商標出願に係る商品または役務のニース協定における区分番号およびこの番号に従って作成されたリスト
  • 権限者の署名
  • 出願料、出願範囲内に複数の商品または役務の分類がある場合、追加の分類の料金が支払われたことを示す書類
  • 同意書が提出される場合には、その同意書に関する情報
  • 共同出願人の代表者がいる場合には、その代表者に関する情報
  • 追加の文書や添付資料がある場合には、それらの資料に関する情報

 

優先権を主張する場合は、下記の情報もTÜRKPATENTに提出する必要がある。

  • 所轄官庁から取得した優先権を示す書類の原本および特定の要件(トルコ国籍、大学以上を卒業、十分な外国語能力があることの証書を有する等)を満たす翻訳者が承認したトルコ語翻訳(出願から3月以内にTÜRKPATENTに提出されない場合、優先権を利用することはできない)
  • 優先権の主張に関する料金が支払われたことを示す書類

 

パリ条約またはWTO設立協定の加盟国の国民またはこれらの国の国民ではないが居住所または商業施設がこれらの国にある自然人、法人、またはこれらの相続人は、これらの政府の所轄官庁に、商標登録のために適切に行った出願日から6月以内にパリ条約の条項の範囲内で同一の商標および商品および役務について、トルコでの出願について優先権を利用することができる。

 

商標出願は、電子署名(GSMの認証するモバイル証明を含む。以下同じ。)を使用して、または予約による出願により、行うことができる。

 

予約による出願:電子署名所有者でないものは、個人番号または税金番号により、オンライン文書システムにログインし、出願を開始することができる。この場合、予約システムにより作成された出願フォームを30日以内にTÜRKPATENTに持参または郵送により提出することにより出願業務は完了する。

 

オンライン出願:電子署名所有者は、出願業務を電子署名によりオンライン文書システムにログインすることで行うことができる。

 

5. 審査

TÜRKPATENTに行われた商標出願は、TÜRKPATENTにより、形式的審査の後に絶対的拒絶理由の観点から審査される。商標出願の公告から2月以内に、利害関係人は、絶対的および相対的拒絶理由に基づいて異議申立を行うことができる。

公告された商標について、異議申立がなされなかった場合、または行われた異議申立が最終的に理由なしとされ、登録料が支払われたことに関する情報を含む不足書類が、期間内にTÜRKPATENTに提出された場合、出願は登録簿に登録され、公報で公告される。

絶対的拒絶理由に基づいて、TÜRKPATENTにより商標出願が拒絶された出願人は、決定通知日から2月以内に、書面で理由を記載してTÜRKPATENTの決定に異議申立を行うことができる。

出願人の異議申立がTÜRKPATENTにより認められた場合、商標出願は公報で公告される。

TÜRKPATENTが、産業財産法の範囲内で行った決定により不利益を被る当事者は、この決定に対し、再審査評価委員会に異議申立を行うことができる。

異議申立は、決定通知から2月以内に書面で理由を記載してTÜRKPATENTに行われる。異議申立が審議されるためには、異議申立期間内に料金を支払い、同期間内に料金の支払いが行われたことに関する情報をTÜRKPATENTに提出しなければならない。

TÜRKPATENTは、異議申立に関する見解を通知するために、出願人に1月の期間を与える。

再審査評価委員会決定により不利益を被る当事者は、決定に対し、決定が自身に通知されてから2月以内に、アンカラの民事知財裁判所に訴訟を起こすことができる。

 

6. 登録証

産業財産法第22条によると、「出願が瑕疵なく行われ、または瑕疵が除かれ、審査、公告が行われ、異議申立が行われず、または行われた異議申立のすべてが最終的に拒絶され、登録料が支払われたことに関する情報も含む不足文書が期間内にTÜRKPATENTに提出され、すべての段階が完了した出願は登録簿に登録され、公報で公告される」。

登録証は、その要求があり、料金が支払われた場合に与えられる。

 

7. 更新

登録商標の保護期間は、出願日から10年である。この期間は10年ごとに更新できる。

更新請求は、商標権者により、保護期間の満了日の6月前までの期間に行い、同期間内に更新料が支払われたことに関する情報をTÜRKPATENTに提出する必要がある。期間内に請求が行われない、または更新料が支払われたことに関する情報がTÜRKPATENTに提出されない場合、更新請求は、保護期間満了日から6月以内に、追加料金を支払うことにより行うことも可能である。

 

8. 商標の使用

正当な理由なく、登録された商品または役務について、商標権者によるトルコにおける真正な使用が、登録日から5年以内に開始されていない、または使用が5年連続して中断されている商標は、商標権登録が取消の対象となる。

商標が、商標権者のライセンスに基づき、ライセンシーによって使用されることも商標者による使用として認められる。

 

下記の状況も商標の使用とみなされる。

  • 商標の識別性を変えることなく、異なる形態で登録商標を使用すること
  • 商標を輸出のためだけに商品またはその包装に使用すること

 

9. 無効

絶対的および相対的拒絶理由が存在する商標は、裁判所による商標権の無効に関する決定の対象となる。

利害関係人、検察官、または関係する公的機関は、商標権の無効を裁判所に請求することができる。

商標権者は、自らの商標登録より遅れる商標登録について、その商標の使用を知っていた、または知りえたにもかかわらず、連続して5年間の商標の使用を黙認した場合、その商標登録が悪意でなされたものでない限り、自らの商標登録を無効の理由として主張できない。

先行する商標との混同の可能性(Likelihood of confusionおよびLikelihood of association)があるとの主張により起こされた無効訴訟において、使用証拠の要求は抗弁として主張することができる。この場合、使用に関する5年の期間は、訴訟日を基準とする。無効が要求されている商標の出願日または優先日において、原告の商標が最低5年間登録されている場合、原告は出願日または優先日に、産業財産法第19条第2項で規定されている使用証拠要件を満たしていることを証明する必要がある。

 

10. 商標権の取消

下記の場合、請求に基づきTÜRKPATENTにより商標権の取消決定がなされる(産業財産法第192条によると、この権限は産業財産法の施行から7年後に、民事知財裁判所からTÜRKPATENTに移転する)。

  • 正当な理由なく、登録された商品または役務について、商標権者によるトルコにおける真正な使用が商標の登録日から5年以内に開始されていない、または使用が5年間連続して中断されている場合
  • 商標登録者が必要な措置等を取らなかった結果、商標が、登録されている商品または役務の普通名称として浸透した場合
  • 商標権者またはそのライセンシーによる使用の結果、商標が登録されている商品または役務の性質、品質または産地に関して、国民に誤解を生じさせる場合
  • 証明商標または団体商標が契約書に反する形で使用されている場合

 

商標権の取消は利害関係人が請求することができる。商標権の取消請求は、請求日に登録簿に所有者として登録されている者、またはその承継人を相手方として請求する。

 

 

トルコ商標制度概要

【詳細】

1.商標法

トルコでは、1995年6月27日に施行され、その後たびたび改正が行われてきた商標の保護に関する法律第556号(以下、商標法)に、商標の保護が規定されている。商標法施行規則は、1995年11月5日に発効した後、1999年4月20日、2002年10月2日、2005年4月9日、2013年3月30日および2015年1月18日に改正が行われている。トルコは、「先使用主義」を採用している国である。

 

2.保護される標章の種類

視覚的に表示可能で、印刷により刊行および複製可能な字句などで、特定の者または事業体の商品または役務と他者のものとを識別できる下記の標識は、商標として登録することができる。

  • 文字
  • 名称
  • 図案
  • 特定の立体的形状
  • 色彩(商標が複数の色彩の組合せから成り、識別性を有する場合に限られる)
  • スローガン
  • 匂い(香の商標)(出願する場合、当該商標の視覚的複製を示すために、その匂いの化学式も提出しなければならない)
  • トレードドレス
  • ホログラム
  • 動き(動的商標)(出願する場合、提示したい瞬間の動きを視覚的に描写する商標見本を提出すべきであり、さらに当該商標における連続する動きが収録されたCDも提出しなければならない)

 

味および触感の商標に関する出願は、認められていない。

 

3.分類

トルコ特許庁では、商品および役務について、ニース協定に基づくニース国際分類を採用している。ニース国際分類は、実務における一般的指針として用いられる。

同一商標に関して、複数の分類をカバーする出願を申請することが可能である(一出願多区分制)。

登録前であればいつでも、出願人またはその代理人の請求に基づき、料金の納付をもって、一つの出願を複数の出願に分割することが可能である。ただし、登録後の分割は許されていない。

 

4.出願

商標出願する際、下記の情報および書類を提出しなければならない。

  • 出願人の名前および住所
  • 出願人の国籍
  • 商品または役務の一覧
  • 商標見本(5×5 cmまたは7×7 cmのサイズ;300 Dpi;RGBカラー)
  • 法定出願料
  • 委任状(認証不要)

 

優先権を主張する場合は、下記の情報および書類がさらに必要となる。

  • 優先権の基礎となる出願の番号と出願日(出願時に必要)
  • 優先権証明書の原本(出願後3ヵ月以内に提出されない場合、優先権主張は無効とみなされる)

 

優先権主張とは、出願人の母国がパリ条約の加盟国である場合、その母国出願の出願日がその後に出願されるトルコ出願の出願日とみなされることをいう。ただし、優先権を主張する場合、その母国出願後、6ヵ月以内にトルコ出願をしなければならない。

商標出願は、電子的にオンラインで申請することができる。2015年7月1日以降は、商標出願を書面ではできなくなっている。

 

5.登録証

商標法第39条では、「本法律および施行規則に基づいて申請された商標出願は、瑕疵がないと認定され、または瑕疵が是正され、または所定の期間内に異議申立を受けず、または異議申立が否認された場合には、登録簿に記載される。当該出願人は、登録証を受領する」と規定されている。

登録証の発行には、登録料の納付が必要となる。2015年1月12日以降、登録証はA4サイズ、中厚口(80g)の紙面に印刷され、出願人に送付される。

 

6.審査

トルコ特許庁の商標局は、審査制度を実施しており、絶対的拒絶理由の審査に加え、先行権利に対する相対的拒絶理由の審査も行っている。最初の審査で拒絶理由が見つからない場合、当該出願は毎月発行される商標公報において公告される。第三者は、当該公報の発行日から3ヵ月以内に異議申立をすることができる。

上記の期間内に異議申立がされなかった場合、当該出願は商標登録簿に記載され、商標官報に掲載される。異議申立がない場合、出願から登録までの所要期間は、約1年である。

最初の審査において出願が全体的または部分的に拒絶された場合、出願人は2ヵ月以内に特許庁商標局の審判部に審判請求することができる。この場合、審判部で審理され、審判請求が認められた場合には、異議申立の為に公報において公告される。

トルコ特許庁の商標局には、異議申立および上記の審判請求の審理を取り扱う別々の部門(異議・審判部)がある。この部門による決定を不服とする当事者は、トルコ特許庁の「再審査評価委員会」に対して不服申立できる。再審査評価委員会は、特許庁の最終決定機関であり、当委員会の決定に不服の場合、2ヵ月以内に裁判所に提訴することができる。

トルコ特許庁より異議通知を受領した出願人は、異議通知から1か月以内に答弁書を提出することができる。

異議申立が全部または一部認められ、当該出願が全部または一部拒絶された場合、出願人は異議決定通知から2ヵ月以内に、異議決定に対する不服申立を再審査評価委員会にすることができる。同様に、異議申立人も2ヵ月以内に、異議申立の否認または一部承認に対する不服申立をすることができる。不服申立において答弁書を提出できるが、異議申立または不服申立のいずれの段階においても答弁書の提出は強制ではない。

 

7.更新

商標登録は、出願日から10年間有効に存続する。登録はその後、10年ごとに更新できる。商標登録は、商標権者または商標権者の代理人による更新出願および更新登録料の納付をもって更新される。

有効期間が満了する月の末日前の6ヵ月以内に、更新出願し、更新登録料を納付しなければならない。満了日を過ぎた場合は、追加料金の納付をもって、当該満了日後の6ヵ月以内に、更新出願することができる。更新出願は、電子的にオンラインですることもできる。

 

8.商標の使用

登録から5年以内に正当な理由なく商標が使用されなかった場合、または継続して5年間にわたり使用が中断されていた場合、当該商標登録は不使用取消対象となる。

ただし、次の行為は、登録商標の使用とみなされる。

  • 商標の識別性を変えることなく、異なる形態で登録商標を使用すること
  • 輸出のためだけに商品またはその包装に商標を使用すること
  • 商標権者の同意を得て商標を使用すること
  • 商標を付した商品を輸入すること。

 

9.無効

管轄裁判所において、商標登録の無効が認定される。一般的な無効理由は、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由ならびに有効な使用の欠如である。

絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由に基づく無効訴訟は、登録日から5年以内に提起しなければならない。ただし、悪意が存在する場合には、期限は適用されない。

無効訴訟を提起できるのは、あらゆる利害関係者、先行権利の所有者、ライセンシー、検察官または関係する政府機関である。