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韓国における特許出願手続の期日管理

1.特許出願
 パリ条約による優先権を主張する場合は、最初の出願日から1年以内に出願しなければならない(特許法第54条第2項)。もっとも、1年が経過した場合でも、どの国においても公開されていなければ、優先権主張なしで韓国国内出願することもできる。
 PCT出願の国内移行手続の場合は、PCT出願の優先権主張日(優先権主張がない場合はPCT出願日)から31か月以内に翻訳文を提出しなければならない(特許法第201条)。ただし、出願人からの請求があれば、外国語国際特許出願(PCT)の韓国語翻訳文の提出期間を1か月延長可能である。しかし、期間経過以前に書面で延長の請求をしなければならない(特許法第201条)。

2.委任状
 委任状は包括委任状を提出することが多いが、一般委任状の場合は、特許出願ごとに提出しなければならない(特許法施行規則第2条)。委任状を出願と同時に提出しない場合には、通常1か月以内に委任状を提出することを要求する補正指示書が出され(特許審査基準第1部第4章3(1))、この期間は、海外からの出願の場合、1か月ずつ2回延長が可能である(特許法第15条)。包括委任状の場合、最新の様式なのか確認した上で、下段に包括委任状の重要事項の説明を受けたとの確認を含めて二度印を押さなければならない。

3.新規性喪失の例外
 出願前に販売または展示場に出品した場合等には、優先権主張と関係なく公知となった日から1年以内(不変期間)に韓国に出願すれば新規性喪失の例外規定を受けることができる(特許法第30条)。しかし韓国にこの規定に基づく出願をする場合でも、先出願の地位を確保するために可能な限り韓国に早く出願するのが望ましい。

4.審査請求
 韓国では、特許出願(または実用新案登録出願)に対して審査請求をしなければ、審査は着手されない。審査請求は、2017年3月1日以降出願の場合、韓国特許出願日(またはPCT出願日)から3年以内にしなければならない。実用新案登録出願の場合も、韓国の実用新案登録出願日(またはPCT出願日)から3年以内であることに注意しなければならない(特許法第59条、実用新案法第12条)。これらの期間は延長できない。

5.審査時の拒絶理由通知書
 審査時に拒絶理由通知書(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)(特許法第63条)を受けた場合、意見書および補正書の提出期限として、通常発送日から2か月にあたる期日が明記・指定されている(特許・実用新案審査事務取扱規程第23条第1項)。この期日は1か月ずつ4回延長が可能である(同第23条第3項~5項)。なお、2回目の延長時からは延長回数に伴って指定期間延長申請料(韓国語「지정기간연장신청료」)が高くなる(1回:2万ウォン、2回:3万ウォン、3回:6万ウォン、4回:12万ウォン)(特許料等の徴収規則第2条第3項11)。また、2か月(1~2回)以上を一度に延長申請することもできる(特許・実用新案審査事務取扱規程第23条第2項)。すなわち、一度の申請で4か月(1~4回)の延長を行うこと、または、2か月の延長を2度(1~2回、3~4回)行うことも可能である。

6.拒絶査定
 審査で拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)を受けた場合は、拒絶査定謄本の送逹日から3か月(第15条第1項により第132条の17による期間が延長された場合その延長された期間)以内に再審査請求または拒絶査定不服審判を請求することができる(特許法第67条の2、第132条の17)。この期間は、海外からの出願の場合は30日を2回まで延長することができる(審判便覧第13編第2章第3節 審判手続に関する法定期間)。なお、延長のための特許庁手数料は、再審査請求、拒絶査定不服審判のいずれも1回目が2万ウォン、2回目が3万ウォン(2回分を一時に延長する場合は5万ウォン)となっている(特許料等の徴収規定第2条第3項第11号)。
 拒絶査定不服審判を請求する際、審判請求書には請求の理由を記載しなければならないが、具体的な請求の理由は後で提出することが可能である。具体的な請求の理由を記載しないで審判請求書を提出する場合は、補正命令を受けるので、該当補正命令書に記載されている期限までに請求の理由を提出すればよい。この期限は延長が可能である(延長回数や期間についての定めはない)。また、請求の理由を提出した後は、審理終結前までは自発的に何度でも請求の理由を補充することが可能である(審判便覧 第3編第4章 4. 請求理由の補充がある場合の取扱い)。

7.特許査定
 審査で特許査定(韓国語「등록결정(登録決定)」)を受けたら、特許査定謄本の送達日から3か月以内に3年分の登録料を納付しなければならない。この期間が経過すると6か月の追納期間はあるが、追加費用が付加される(追納期間月ごとに追加費用は異なる。特許料等の徴収規則第8条第5項、第6項)。納付期限内または追納期間内に登録料を納付しなかった場合は、放棄したものとみなされる(特許法第79条、第81条)。

8.特許査定後の分割出願
 特許査定後、3か月以内に分割出願ができる。ただし、登録料を納付した後は分割出願ができない(特許法第52条第1項3号)。

【留意事項】
(1) 期間を延長する際、特に送達日から計算が必要な場合等、十分注意を払う必要がある。期間計算は、2か月延長するのか、または1か月の期間延長を2回分まとめてするのか等、様々な事情により少しずつ異なり得るため、考えられ得る候補日の中で一番直近の期日を念頭に置いて手続を行うのが安全である。なお、韓国では、期間計算方法は特許法第14条で定められており、原則として初日不算入である。

(2) 期間延長申請手続は期限前に行っても期限の翌日から計算される。例えば、期日が25日である場合、5日前の20日に1か月の期間延長申請をしたとしても、次の期日は翌月の(20日ではなく)25日となる。

韓国における特許出願手続きの期日管理

(1) 特許出願

 

パリ条約による優先権を主張する場合は、最初の出願日から1年以内に出願しなければならない(特許法第54条第2項)。もっとも、1年が経過した場合でも、どの国においても公開されていなければ、優先権主張なしで韓国国内出願する場合もある。PCT出願の国内移行手続の場合は、PCT出願の優先権主張日(優先権主張がない場合はPCT出願日)から31ヶ月以内に翻訳文を提出しなければならない(特許法第201条)。ただし、出願人の申し込みがあれば、外国語国際特許出願(PCT)の韓国語翻訳文の提出期間を1ヶ月延長可能である。しかし、期間経過以前に書面で延長の申し込みをしなければならない。(特許法第201条)

 

(2) 委任状

 

委任状は包括委任状を提出することが多いが、一般委任状の場合は特許出願時ごとに提出しなければならない。委任状を出願と同時に提出しない場合には、通常30日以内に委任状を提出することを要求する補正指示書が出され、この期間は1ヶ月ずつ2回延長が可能である。包括委任状の場合、最新の様式なのか確認した上で、下段に包括委任状の重要事項の説明を受けたとの確認を含めて二度印を押さなければならない。

 

(3) 新規性喪失の例外

 

出願前に販売または展示場に出品した場合等には、優先権主張と関係なく公知となった日から1年以内(不変期間)に韓国に出願すれば新規性喪失の例外規定を受けることができる(以前は公知日から6ヶ月だったが2012年3月15日改正特許法が施行され、1年に改正された。特許法第30条)。しかし韓国にこの規定に基づく出願をする場合でも、先出願の地位を確保するために可能な限り韓国に早く出願するのが望ましい。

 

(4) 審査請求

 

韓国では、特許出願(または実用新案出願)に対して審査請求をしなければ、審査は着手されない。審査請求は、2017.3.1.以降出願の場合、韓国特許出願日(またはPCT出願日)から3年以内にしなければならない。実用新案登録出願の場合も、韓国の実用新案登録出願日(またはPCT出願日)から3年以内であることに注意しなければならない(特許法第59条、実用新案法第12条)。これらの期間は不変期間である。

 

(5) 審査時の拒絶理由通知書

 

審査時に拒絶理由通知書(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)を受けた場合、意見書および補正書の提出期限として、通常発送日から2ヶ月にあたる期日が明記・指定されている。この期日は1ヶ月ずつ4回延長が可能である(特許・実用新案審査事務取扱規程第23条第3項~第5号)。なお、2回目の延長時からは延長回数に伴って指定期間延長申請料(韓国語「지정기간연장신청료」)が高くなる(1回:2万ウォン、2回:3万ウォン、3回:6万ウォン、4回:12万ウォン)。また、2ヶ月(1~2回)以上を一度に延長申請することもできる(特許法第63条、特許料等の徴収規則第2条③第11項)。すなわち、一度の申請で4ヶ月(1~4回)の延長をしたり、2ヶ月の延長を2度(1~2回、3~4回)行うことも可能である。

 

(6) 拒絶査定

 

審査で拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)を受けた場合は、拒絶査定謄本の送逹日から30日以内に再審査請求または拒絶査定不服審判を請求することができる。(特許法第67条の2、第132条の3)この期間は1回に限り2ヶ月まで延長することができる。なお、延長期間にかかわらず延長のための特許庁手数料は、延長期間にかかわらず同一金額(2万ウォン)となっている(特許法第67条の2、第132条の3)。

 

拒絶査定不服審判を請求する際、審判請求書には請求の理由を記載しなければならないが、具体的な請求の理由は後に提出が可能である。具体的な請求の理由を記載しないで審判請求書を提出した場合は、補正命令を受けるので、該当補正命令書に記載されている期限までに請求の理由を提出すればよい。この期限は延長が可能である(延長回数や期間についての定めはない)。また、請求の理由を提出した後は、審理終結前までは自発的に何度でも請求の理由を補充することは可能である(審判便覧第3編第4章 4. 請求理由の補充がある場合の取扱い)。

 

(7) 特許査定

 

審査で特許査定(韓国語「등록결정(登録決定)」)を受けたら、特許査定謄本の送達日から3ヶ月以内に3年分の登録料を納付しなければならない。この期間が経過すると6ヶ月の追納期間はあるが、追加費用が付加される(追納期間月ごとに追加費用は異なる。特許料等の徴収規則第8条第5項第6号)。納付期限内または追納期間内に登録料を納付しなかった場合は、放棄したものとみなされる。

 

(8)特許査定後の分割出願

 

特許査定後、3ヶ月以内に分割出願ができる。ただし、登録料を納付した後は分割出願ができない。(特許法第52条第1項3号)

 

【留意事項】

(1)期間を延長する際、特に送達日から計算が必要な場合等、十分注意を払う必要がある。期間計算が若干難しい時もあり、この時には考えられ得る候補日の中で一番直近の期日を念頭に置いて手続きを行うのが安全である。なお、韓国では、期間計算方法は特許法第14条で定められており、原則として初日不算入である。

 

(2)期間延長申請手続は期限前に行っても期限の翌日から計算される。例えば、期日が25日である場合、5日前の20日に1ヶ月の期間延長申請をしたとしても、次の期日は翌月の(20日ではなく)25日となる。

ベトナムにおけるパリ条約ルートおよびPCTルートの特許出願の差異

【詳細】

(1)パリ条約ルート

 ベトナムは1949年3月8日にパリ条約に加盟しており、特許または実用新案登録出願についての12ヶ月の優先権は、知的財産法の実施を定めた政令第122/2010/ND-CP号により改正された政令第103/2006/ND-CP号第10.1条(c)にも具体的に規定されている。

 

 ベトナムにおいて、パリ条約に基づく優先権を主張して特許出願を行う場合、出願人は、優先権を証明するために、優先権証明書を提出しなければならない。さらに、発明者から出願人への優先権の譲渡証も必要である。譲渡証については公証人による認証は必要ないが、各頁に略式署名がなされていなければならない。優先権証明書の原本または認証謄本および優先権譲渡証のベトナム国家知的財産庁への提出に関しては、出願日から1ヶ月の猶予期間がある。

 

(2)PCTルート

 ベトナムはPCT加盟国であり(1993年3月10日発効)、ベトナム知的財産法により、PCT出願のベトナム国内への移行手続を行うのに、31ヶ月の期間が与えられている。PCT出願のベトナム国内移行手続においては、優先権書類または譲渡証のいずれも提出する必要がない。

 

(3)ベトナムにおけるパリ条約ルートとPCTルート

 ベトナムはパリ条約の加盟国であり、PCTの加盟国でもあるため、パリ条約ルートおよびPCTルートでの出願が可能である。

 

 パリ条約に基づき提出された出願について、ベトナム国家知的財産庁は通常、最初の出願がなされた出願人の自国特許庁が発行した実体審査の結果を参照し、保護を認めるか否かを検討し、決定する。当該発明につき他の主要な特許庁、すなわち米国、日本、または欧州特許庁にも国内出願が提出されている場合、発明の保護を認めるか拒絶するかに関する当該特許庁の見解も考慮される。

 

 PCT出願の場合、ベトナム特許庁の検討および決定は、国際調査および国際予備審査の結果に加え、当該PCT出願の国内移行手続が行われた米国、EU、日本等の主要特許庁の見解も考慮される。特に、日本国特許庁は2014年7月1日からPCT国際出願の国際調査、国際予備審査の管轄国をベトナムに拡大している。これにより、ベトナムに出願されたPCT国際出願について、日本特許庁での審査結果が提供されることが可能となり、審査の確実性も増すものと期待される。

 

 審査請求期限については、パリ条約ルートの場合、出願日または優先権を主張する場合は優先日から42ヶ月以内に審査請求する必要がある。一方、PCT国内移行出願の場合には、国際出願日または優先日から42ヶ月以内に審査請求する必要があり、審査請求の起算日がそれぞれ異なる。PCT国内移行出願の場合は、移行してから審査請求期限までの期間が短いため、出願と同時に審査請求をすることが推奨される。