インドネシアにおける商標異議申立制度
インドネシアにおいて、商標出願に対する異議申立は、「商標及び地理的表示法」第20/2016号第14条、第15条、第16条および第17条に規定されている。以下に述べる異議申立手続は、2016年11月25日から実施されている。
法律第11/2020号による改正(以下、「商標法2020」)により、これまでの実体審査が公開期間終了後30日以内に開始され、150日以内に完了とされていたものが、公開期間終了時に開始され、異議のない出願については30日以内、異議のあった出願については90日以内に終了しなければならないとされた。
異議申立は、商標出願の公告期間中に提起することができる。商標法2020第13条に従い、商標出願は全ての方式要件を満たした時点で出願日が付与される。法定の公告期間は、遅くとも出願日の15日後から始まる2か月間である。
商標出願が認可されると、インドネシア知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property Rights;以下、「DGIP」)は商標公報およびDGIPのウェブサイトにおいて出願を公告する。公告は、2か月間にわたり実施される。
商標法2020第16条(1)項に従い、上記の公告期間中に、何人も、DGIPに書面による異議申立を提起することができる。異議申立の際には、オフィシャルフィーを支払わなければならない。
異議申立の際に要求されるオフィシャルフィーは、法務人権省(Ministry of Justice and Human Rights Affairs)内で適用される非課税収益の種類および料金に関する政令第28/2019号に定められており、金額は商標出願1件につき100万ルピアである。
1.異議申立の理由
異議申立の理由は、商標法2020に下記のように規定されている。
(1) 商標法2020第20条
次の商標は登録できない: a. 国家のイデオロギー、法規、道徳規範、宗教、倫理、公序良俗に反するもの; b. 登録対象の商品/サービスと同じ名称、これを説明するもの、又はその単なる言及に過ぎないもの; c. 登録対象の商品/サービスの出所、品質、形式、サイズ、種類、又はその使用目的について、公衆を誤認させる可能性のある要素を含んでいるもの、又は同類の商品/サービスに対し保護対象となっている植物品種の名称。 d. 生産された商品/サービスの品質、便宜又は効能と一致しない情報を含んでいる。 e. 識別性を有する特徴がないもの; f. 一般名称、公有財産の象徴となっているもの; g. 機能的な形態が含まれているもの。 |
2020年の改正により、機能的な形態が含まれる標章の商標登録ができないとされた。
(2) 商標法2020第21条
1) 商標の要部又は全体が、次のいずれかと類似する場合、出願は拒絶される; a. 同類の商品/サービスに関して既に登録又は出願されている、他者の所有する商標; b. 同類の商品/サービスに関して、他者の所有する周知商標; c. 特定の条件を満たす、同じ種類ではない商品/サービスに関して他者の所有する周知商標;又は d. 登録済みの地理的表示 2) 次に該当する商標は拒絶される; a. 有名人の名前、略称、写真又は他者が所有する法人の名称に相当する、又はこれと類似するもの。但し、正当な権利者の書面による同意がある場合を除く。 b. 国家又は国内もしくは国際機関の名称又は略称、旗、紋章、シンボル又は象徴を模倣する、又はこれと類似するもの。但し、管轄当局の書面による同意がある場合を除く; c. 国家又は政府機関によって使用される公的な標識、印章又は証印を模倣する、又はこれと類似するもの。但し管轄当局の書面による同意がある場合を除く。 3) 出願人が悪意をもって提出した商標出願は拒絶される。 4) 1)項a項~c項までにいう、商標出願の拒絶に関する更なる詳細な規定は、大臣令により定められる。 |
2.異議申立の内容
商標法2020第16条(2)項に従い、異議申立は、十分な理由と共に、出願商標が商標法2020に基づき登録されるべきではない、または拒絶されるべきであることを証明する証拠を提出することができる。
異議申立は、異議理由を示す異議申立書に異議理由を裏付ける証拠を添付して提出される。異議申立を提出する際に必要な証拠の量に関する規定は存在しない。異議申立時に提出されなかった追加の証拠がある場合、異議申立人は、異議申立日から2週間以内であれば追加証拠を提出することができる。
商標法2020第16条
1) 第14条にいう公告期間中、何人もそれぞれ大臣宛の書面で手数料を支払い、当該の出願に異議を申立てることができる。 2) 1)項にいう異議申立ては,出願されている商標が本法に基づき、登録不可能又は拒絶されるべきであることが、証拠を伴う十分な理由がある場合に申立てることが出来る。 3) 1)項にいう異議申立てがあった場合,異議申立受理日から起算して14日間以内に,当該異議申立書の写しが出願人又は代理人宛に送達される。 |
3.異議申立の手続期間
商標法2020第16条(3)項に従い、異議申立が提出されると、DGIPは異議申立を受領した日から遅くとも14日以内に、異議申立書の写しを出願人に送付する。
出願人は、DGIPから送付された異議申立書の写しの送達日から2か月以内に、異議申立に対する答弁書を提出することができる(商標法2020第17条(2)項)。
商標法2020に定められた異議申立手続は、3つの段階からなる。第1段階は異議申立人による異議申立書の提出であり、第2段階は出願人による答弁書の提出であり、最後の段階はDGIPにより下される異議決定である。さらに、異議申立人および出願人は、異議申立書または答弁書について説明するために、DGIPにヒアリングを要求することができる。ヒアリングはDGIPにおいて行われる。
DGIPは、答弁書の提出期限から1か月以内に、当該出願の実体審査において、異議申立書および答弁書を審査資料として検討する(商標法2020第23条(2)項および(4)項)。
DGIPは、公告期間の満了日もしくは答弁書提出期限から、異議のない場合は30営業日以内に、異議のあった場合は90営業日以内に、当該出願の実体審査を完了する。
審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できないと判断した場合、DGIPは出願人に対し、当該出願は登録できない、または拒絶される旨を書面で通知する。その場合、出願人は、当該通知の送達日から30日以内に応答する機会を与えられる(商標法2020第24条(3)項)。
審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できると判断した場合、当該出願は商標登録簿に登録される(商標法2020第24条1)項)。
DGIPは、実体審査の結果について、異議申立人にも書面で通知する。
商標法2020第17条
1) 出願人又は代理人は、第16条にいう異議申立てに対する答弁書を提出する権利を持つ。 2) 1)項にいう答弁書は、大臣によって異議申立書の写しが送達された日付から起算して2カ月間以内に書面で提出されること。 |
商標法2020第23条
1) 実体審査とは、商標登録出願に対し、審査官が行う審査である。 2) 第16条及び第17条にいう異議申立て又は答弁は全て、1)項にいう実体審査において考慮対象とされる。 3) 公告期間満了日までに異議申立が提起されなかった場合、出願の実体審査が実施される。 4) 3)項にいう実体審査は、30日以内に完了するものとする。 5) 第17条にいう答弁書の提出期限最終日から起算して30日以内に、異議申立てが提起された場合、出願の実体審査が実施される。 6) 5)項にいう実体審査は、最長で90日以内に完了するものとする。 7) 実体審査実施のための必要に応じて、審査官以外の商標審査専門家を配置することが出来る。 8) 7)項にいう商標審査専門家によって行われた実体審査結果は、大臣の承認によって、審査官によって行われた実体審査結果と同等とみなすことが出来る。 |
商標法2020第24条
1) 審査官が、出願を登録可能であると決定すると、大臣は: a. 当該商標を登録する; b. 当該商標が登録されたことを出願人又は代理人に通知する; c. 商標証書を発行する;及び d. 当該商標の登録を、電子及び非電子媒体の商標官報上で公表する。 2) 審査官が、出願を登録不可能である又は拒絶すると判断した場合、大臣は出願人又は代理人に、拒絶理由通知書を送る。 3) 出願人又は代理人は,2)項にいう通知書を受け取った日付から30日以内に,その応答の理由を記載した応答書を提出することが出来る。 4) 出願人又は代理人が、3)項にいう応答書を提出しなかった場合、大臣は当該出願の拒絶を決定する。 5) 3)項にいう応答書を出願人又は代理人が提出し、審査官がその応答書を検討可能であると判断した場合、大臣は1)項に記載した規定を実施する。 6) 出願人又は代理人が3)項にいう応答書を提出し、審査官がそれを検討不可能であると判断した場合、大臣はその出願の拒絶を決定する。 7) 4)項及び6)項にいうような拒絶は、その理由を記載した文書により、出願人又は代理人に通知される。 8) 第16条にいう異議申立てのある場合、大臣は登録又は拒絶の通知書の写しを、当該異議申立の提起者宛てに送達する。 |
4.異議申立の取下げ
異議申立人は、審査官が出願の実体審査結果を決定する前であれば、DGIPに対して、異議申立の取下げ書を提出することができる。異議申立を取下げる一般的な理由としては、異議申立人と出願人との間で、商標譲渡契約、共存合意契約などを締結した場合が挙げられる。
5.審査官の拒絶査定に対する不服
審査官の拒絶査定に対して不服がある場合、出願人は、商標審判委員会に審判請求を提起することができ、その写しは、オフィシャルフィーの支払いをもってDGIPに送付される(商標法2020第28条2)項)。
商標法2020第28条
1) 第20条又は第21条にいうような理由に基づく出願の拒絶査定に対しては、審判請求を提出することが出来る。 2) 審判請求は有料で、出願人又は代理人から商標審判委員会宛に書面を提出し、その写しは大臣に届けられる。 3) 審判請求書は、拒絶査定に対する不服の理由を添え、完全に説明した上で提出すること。 4) 3)項にいう理由は拒絶された出願を改善又は補足するためのものではないこと。 |
審判請求書は、出願の拒絶査定の送達日から3か月以内に提出しなければならない(商標法2020第29条(1)項)。
商標法2020第29条
1) 拒絶された出願に対する審判請求は、拒絶査定の送達日から数えて90日以内に提出されること。 2) 1)項にいう審判請求が提出されなかった場合は、拒絶査定が出願者により受入れられたものとみなされる。 |
なお、異議申立以外に、関連当事者は商事裁判所に取消訴訟を提起することができる(商標法2020第76条)。
商標法2020第76条
1) 商標登録の取消訴訟は、第20条又は第21条にいう事由に基づき、関連当事者によって提訴することが出来る。 2) 登録されていない商標の所有者は、大臣宛に商標登録の出願を行った後、1)項にいうような訴訟を提訴することが出来る。 3) 登録商標所有者に対する取消訴訟は、商事裁判所に提訴する。 |
インドネシアにおける商標制度のまとめ-手続編
1. 出願に必要な書類
商標法第4条に従い、商標出願に必要な書類は以下のとおりである。
(1)署名された委任状(代理人によって出願する場合)
(2)署名された宣誓書様式
(3)優先権書類とそのインドネシア語訳(優先権主張する場合)
電子出願により、優先権書類を除き、すべての書類を出願時に提出する必要がある。優先権を伴う出願を行う権利の消滅後3月以内に優先権書類が提出されない場合、優先権は認められなくなる(商標法第10条)。
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2. 登録できる商標/登録できない商標
(1)登録できる商標
商標法第2条によると、保護される商標は、個人または法人によって生産された商品またはサービスを提供する活動において、それらの出所を識別させるための画像、ロゴ、名称、単語、文字、数字、色彩配色の平面または立体、音、ホログラム、またはそれらの要素の2つ以上の組合せとされる。
(2)登録できない商標
商標法第20条によると、次の商標は登録できない。
a. 国家のイデオロギー、法規、道徳規範、宗教、倫理、公序良俗に反するもの;
b. 登録対象の商品/サービスと同じ名称、これを説明するもの、又はその単なる言及に過ぎないもの;
c. 登録対象の商品/サービスの出所、品質、形式、サイズ、種類、又はその使用目的について、公衆を誤認させる可能性のある要素を含んでいるもの、又は同類の商品/サービスに対し保護対象となっている植物品種の名称。
d. 生産された商品/サービスの品質、便宜又は効能と一致しない情報を含んでいる。
e. 識別性を有する特徴がないもの;
f. 一般名称、公有財産の象徴となっているもの;
また、商標法第21条によると、次のいずれかと類似する出願は拒絶される。
1) 商標の要部又は全体が、次のいずれかと類似する場合
a. 同類の商品/サービスに関して既に登録又は出願されている、他者の所有する商標;
b. 同類の商品/サービスに関して、他者の所有する周知商標;
c. 特定の条件を満たす、同じ種類ではない商品/サービスに関して他者の所有する周知
商標;又は
d. 登録済みの地理的表示
2) 次に該当する商標
a. 有名人の名前、略称、写真又は他者が所有する法人の名称に相当する、又はこれと
類似するもの。但し、正当な権利者の書面による同意がある場合を除く。
b. 国家又は国内もしくは国際機関の名称又は略称、旗、紋章、シンボル又は象徴を模
倣する、又はこれと類似するもの。但し、管轄当局の書面による同意がある場合を除
く;
c. 国家又は政府機関によって使用される公的な標識、印章又は証印を模倣する、又は
これと類似するもの。但し管轄当局の書面による同意がある場合を除く。
3) 出願人が悪意をもって提出した商標出願
4) 1)項a~cまでにいう、商標出願の拒絶に関する更なる詳細な規定は、大臣令により定められる。
(3)非標準商標(非伝統的商標)
大臣規則第3条、4~7項に従い、非伝統的商標の保護は次のとおりである。
1) 3次元
商標が3次元の形式で表示されている場合、添付される商標ラベルは、視覚的および保護クレームの説明の両方の商標の特性の形式でなければならない
2) 音
商標が音の形式で表示されている場合、添付される商標ラベルは、楽譜と録音物の両方の形式でなければならない。音を楽譜で表記できない場合、添付される商標ラベルはソノグラムの形式で表示するものとする。
3) ホログラム
商標がホログラムの形式で表示されている場合、添付される商標ラベルは、さまざまな角度の視覚的な形式で表示するものとする。
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3. 出願の言語
商標法第4条に基づき、すべての出願書類はインドネシア語で提出する必要がある。優先権書類は宣誓翻訳(sworn translation)でなければならない。
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4. グレースピリオド
商標法第9条に基づき、優先権を伴う出願は、パリ条約締約国またはWIPO協定参加国における最初の商標登録出願受理日から6月以内に認められる。
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5. 審査
(1)実体審査
実体審査とは、商標審査官が実施する審査プロセスである。この過程で、審査官は商標出願を登録するか拒否するかを決定する。商標法第23条は、公開中に異議申立がない場合、実体審査は公開終了後30営業日以内に終了しなければならないことを規定している。異議申立がある場合は、実質的な審査を90営業日以内に終了する必要がある。
商標出願が拒絶された場合、出願人は拒絶通知の日から30営業日以内に拒絶に応答することができる。その後、商標出願が再審査され、商標局が最終決定を下す。これは、多区分出願に適用され、一部の区分のみが拒否された場合でも、出願人は、拒否されていない他の区分を確保するために、拒絶に応答する必要がある。
(2)早期審査
早期審査制度はない。
(3)商標の類否判断の概要
商標規則第17条(1)によれば、商標類否判断の概要は、他の以前の商標との視覚的、概念的、音声的類似性があるかどうかにかかわらず、商標の主要な要素から評価する。同第17条(2)において、商品/サービスの類似性は、以下に関連する商品と商品、商品とサービス、またはサービスとサービスの間の類似性である。
a. 商品/サービスの性質
b. 商品の使用目的と使用方法
c. 商品/サービスの補完性
d. 商品/サービスの競争
e. 商品/サービスの流通経路
f. 関連する消費者
g. 商品/サービスの起源
商標法第22条は、一般名称となった商標について規定しており、その一般名称に識別可能な要素がある他の単語を追加することにより、誰でもそのような一般名称を含む商標を出願することが可能としている。
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6. 出願から登録までのフローチャート
(1)出願から登録までの商標出願のフローチャート
(2)フローチャートに関する簡単な説明
商標出願後、電子ファイリングで提出された必要書類を確認するための方式審査が行われる。出願人が所定の期限までに方式上の欠陥を完了しなかった場合、商標出願は取り下げられたとみなさる。方式審査が完了すると、15営業日以内に商標出願は2月間オンライン公開される(商標法第14条)。
公開期間中は、誰でも公開された商標に異議を申し立てることができる。商標庁は、異議申立があった場合、出願人または代理人に通知する。出願人は、異議申立の通知後2月以内に異議申立に反論することができる。公開中に異議申立がなかった場合、公開終了後30営業日以内に実体審査を終了する。異議申立があった場合、異議申立内容および反論を考慮した実体審査が行われ、90営業日以内に実体審査を終了する(商標法第23条)。
商標出願の登録が決定されると、電子証明書が発行される。商標出願が拒絶された場合、出願人は仮拒絶の通知日から30営業日以内に商標庁に応答することができる(商標法第24条(3))。
応答内容を元に再審査が行われ、応答が受理された場合、商標出願が登録されるが、商標審査官が応答を受け入れない場合、商標出願は拒絶される。拒絶された場合、出願人は拒絶の通知日から90営業日以内に商標審判委員会(Trademark Appeal Commission)に審判請求することができる(商標法第29条)。
審判でも拒絶とされ、不服がある場合は、審決から3月以内に商務裁判所に訴訟を起こすことができ、商事裁判所の判決に対しては最高裁判所に上告することが可能である(商標法第30条)。
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7. 権利設定前の異議申立
商標登録出願の公開期間中、だれでも異議申立が可能である(商標法第16条)。
出願人は、商標庁からの異議申立の通知日から2月以内に、異議申立に対して反論することができる(商標法第17条)。
異議申立があった場合、商標審査官は、異議申立および反論の内容を考慮した実体審査を行う(商標法第23条)。
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「インドネシアにおける商標登録手続の概要と商標の使用義務」(2018.09.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15838/
「インドネシアにおける冒認商標出願への対応」(2018.09.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/15745/
「インドネシアにおける商標異議申立制度」(2017.06.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13782/
8. 上記7の判断に対する不服申立
出願人は、実体審査の拒絶通知に不満がある場合、拒絶の通知後90営業日以内に商標審判委員会を通じて審判請求を提出することができる(商標法第29条)。
審決は、審判請求を受理した日から3月以内に行われ、審判請求が却下された場合、出願人は控訴の申立を商務裁判所に提出することができる(商標法第30条)。
控訴の判決は90日以内に下され、最高裁判所長の承認があれば、30日延長可能である(商標法第85条)。
結果が却下され、拒絶とされた場合、出願人は、判決の言い渡しから14日以内に最高裁判所に上告することを可能であり、最終決定は90日以内に下される(商標法第88条)。
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「インドネシアにおける商標権の取得」(2018.11.22)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16164/
「インドネシアにおける商標出願への拒絶理由通知に対する応答」(2018.08.28)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15677/
「インドネシアにおける行政取締実務」(2017.06.20)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/13814/
[権利設定後の争いに関する手続]
9. 権利設定後の異議申立
インドネシアでは、付与後の異議申立制度はない。商標が商標庁に登録された後は、正当な利害関係のある当事者は、商務裁判所を通じて取消訴訟を起こすことが可能である(商標法第76条)。
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「インドネシアにおける商標権関連判例・審決例」(2017.03.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/13280/
10. 設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度
商標法第76条は、第20条および第21条に規定されている理由に基づいて、登録商標の取消訴訟を商務裁判所に提起することができると規定している。
正当な利害関係者は、取消訴訟を起こすことができ、原告が商標登録をしていない場合は、登録のために商標出願を行った後、取消訴訟を起こすことができる。
取消訴訟の期限は登録日から5年である。
また、取消の根拠が悪意であり、現行法、道徳、宗教および公序良俗に違反する場合、期限はなく、いつでも取消訴訟を起こすことができる(商標法第77条)。
商事裁判所での訴訟が却下された場合、原告は最高裁判所に上告することができる。
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https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/13280/
11. 商標の不使用取消制度
商標法第74条によれば、正当な利害関係者は、登録または最後の使用から3年連続して使用されていない登録商標について、商務裁判所に不使用取消訴訟を提起することができる。
ただし、以下の場合、商標が使用されていないとはみなさない。
a. 輸入制限
b. 商標の商品流通許可に関連する禁止または法務当局からの定期的な禁止
c. 政府の法律による制限
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「インドネシアの商標関連の法律、規則等」(2019.03.28)
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https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/13280/
12. その他の制度
特になし。
インドネシアにおける商標出願への拒絶理由通知に対する応答
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インドネシアにおける商標異議申立制度
インドネシアにおいて、商標出願に対する異議申立は、新しい「商標及び地理的表示法」第20/2016号(以下、「新商標法」)第14条、第15条、第16条および第17条に規定されている。以下に述べる異議申立手続は、2016年11月25日から実施されている。
異議申立は、商標出願の公告期間中に提起することができる。新商標法第13条に従い、商標出願は全ての方式要件を満たした時点で、出願日を付与される。法定の公告期間は、遅くとも出願日の15日後から始まる2ヵ月間である。
商標出願が認可されると、インドネシア知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property Rights;以下、「DGIP」)は商標公報およびDGIPのウェブサイトにおいて出願を公告する。公告は、2ヵ月間にわたり実施される。
新商標法第16条(1)項に従い、上記の公告期間中に、何人も、DGIPに書面による異議申立を提起することができる。異議申立の際には、オフィシャルフィーを支払わなければならない。
異議申立の際に要求されるオフィシャルフィーは、法務人権省 (Ministry of Justice and Human Rights Affairs)内で適用される非課税収益の種類および料金に関する2016年政令第45号に定められており、金額は商標出願1件につき100万ルピアである。
1.異議申立の理由
異議申立の理由は、新商標法に下記のように規定されている。
a.新商標法第20条:
商標が下記のいずれかに該当する場合、その商標は登録できず、拒絶される。
(a)国家のイデオロギー、法規、道徳規範、宗教、倫理または公序良俗に反するもの。
(b)登録対象の商品または役務に類するもの、これを説明するもの、またはその単なる言及にすぎないもの。
(c)登録対象の商品または役務の出所、品質、型式、サイズ、種類もしくは使用目的について、または類似の商品または役務に関して保護されている植物品種の名称について、公衆を誤認させるおそれのある要素を含んでいるもの。
(d)生み出された商品または役務の品質、恩恵または効能と一致しない情報を含んでいるもの。
(e)識別性を有する特徴がないもの。
(f)一般名称または公有財産の象徴となっているもの。
b.新商標法第21条:
(1)商標の要部または全体が下記のいずれかと類似する場合、その商標は拒絶される。
(a)同じ種類の商品または役務に関して既に登録または出願されている、他者により所有される商標と類似する場合。
(b)同じ種類の商品または役務に関して他者により所有される周知商標と類似する場合。
(c)特定の条件を満たすことを前提として、同じ種類ではない商品または役務に関して他者により所有される周知商標と類似する場合。
(d)既知の地理的表示と類似する場合。
(2)商標が下記のいずれかに該当する場合、その商標は拒絶される。
(a)有名人の名前、略称、写真または他者が所有する法人の名称に相当する、またはこれと類似するもの。ただし、正当な権利者の書面による同意がある場合を除く。
(b)国家または国内もしくは国際機関の名称、略称、旗、紋章、シンボルまたは象徴を模倣する、またはこれと類似するもの。ただし、管轄当局の書面による同意がある場合を除く。
(c)国家または政府機関により使用される公的な標識、印章または証印を模倣する、またはこれと類似するもの。ただし、管轄当局の書面による同意がある場合を除く。
(3)出願人が悪意をもって提出した商標出願は、拒絶される。
(4)上記(1)の(a)から(c)に言及された商標出願の拒絶に関連する追加の規定が、政令により定められている。
2.異議申立の内容
新商標法第16条(2)項に従い、異議申立は、十分な理由と共に、出願商標が新商標法に基づき登録されるべきではない、または拒絶されるべきであることを証明する証拠を提出することができる。
異議申立は、異議理由を示す異議申立書に異議理由を裏付ける証拠を添付して提出される。異議申立を提出する際に必要な証拠の量に関する規定は存在しない。異議申立時に提出されなかった追加の証拠がある場合、異議申立人は、異議申立日から2週間以内であれば追加証拠を提出することができる。
3.異議申立の手続期間
新商標法第16条(3)項に従い、異議申立が提出されると、DGIPは異議申立を受領した日から遅くとも14日以内に、異議申立書の写しを出願人に送付する。
出願人は、DGIPから送付された異議申立書の写しの送達日から2ヵ月以内に、異議申立に対する答弁書を提出することができる(新商標法第17条(2)項)。
新商標法に定められた異議申立手続は、3つの段階からなる。第1段階は異議申立人による異議申立書の提出であり、第2段階は出願人による答弁書の提出であり、最後の段階はDGIPにより下される異議決定である。さらに、異議申立人および出願人は、異議申立書または答弁書について説明するために、DGIPにヒアリングを要求することができる。ヒアリングはDGIPにおいて行われる。
DGIPは、答弁書の提出期限から1ヵ月以内に、当該出願の実体審査において、異議申立書および答弁書を審査資料として検討する(新商標法第23条(2)項および(4)項)。
DGIPは、公告期間の満了日もしくは答弁書提出期限から150営業日以内に当該出願の実体審査を完了する。
審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できないと判断した場合、DGIPは出願人に対し、当該出願は登録できない、または拒絶される旨を書面で通知する。その場合、出願人は、当該通知の送達日から30日以内に応答する機会を与えられる(新商標法第24条(3)項)。
審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できると判断した場合、当該出願は商標登録簿に登録される(新商標法第24条(5)項)。
DGIPは、実体審査の結果について、異議申立人にも書面で通知する。
4.異議申立の取下げ
異議申立人は、審査官が出願の実体審査結果を決定する前であれば、DGIPに対して、異議申立の取下げ書を提出することができる。異議申立を取り下げる一般的な理由としては、異議申立人と出願人との間で、商標譲渡契約、共存合意契約などを締結した場合が挙げられる。
5.審査官の拒絶査定に対する不服
審査官の拒絶査定に対して不服がある場合、出願人は、商標審判委員会に審判請求を提起することができ、その写しは、オフィシャルフィーの支払いをもってDGIPに送付される(新商標法第28条(2)項)。
審判請求書は、出願の拒絶査定の送達日から3ヵ月以内に提出しなければならない(新商標法第29条(1)項)。
なお、異議申立以外に、関連当事者は商務裁判所に取消訴訟を提起することができる。(商標法76条)
中国における商標のコンセント制度
「商標制度におけるコンセント制度についての調査研究報告書」(平成28年2月、株式会社サンビジネス)Ⅲ-3-(1)-(i)、Ⅲ-3-(3)
(目次)
Ⅲ 海外公開情報調査
3 海外公開情報調査の結果
(1) 対象国・地域ごとの調査結果
(i) 中国 P.13
(3) 対象国・地域ごとの調査結果の比較 P.22
資料編
資料Ⅰ 海外公開情報調査
資料Ⅰ-1 質問票調査回答
1 中国 P.71