韓国における商標の不使用取消審判制度
(1)商標不使用取消審判における「不使用」の意味
- 商標登録後、商標権者および商標使用権者の双方とも取消審判請求日前に継続して3年以上、韓国国内で使用していないことをいう。過去に使用していたが、審判請求日前3年以上継続して使用を中止した場合も含まれる。
- 上記登録商標の使用とは、商品または商品の包装に商標を表示する行為、商品または商品の包装に商標を表示することを譲渡または譲受したり、その目的のための展示、輸出または輸入する行為、商品に関する広告・定価表・取引書類・看板または表札に商標を展示または頒布する行為をいう(商標法第2条第1項第11号)。
- 法律による規制または輸入制限措置等のように商標不使用に対する正当な理由があるときには取消を免れることができる。
(2)商標不使用取消審判請求の要件および効果
(i)商標不使用取消審判は誰でもすることができる(商標法第119条第5項)。
(ii)登録商標の2以上の指定商品を指定している場合には、その指定商品の全部または一部について請求することができる(商標法第119条第2項)。
(iii)商標使用についての立証責任は被請求人(商標権者)にあり、商標権者は登録商標の正当な使用を立証すれば、不使用取消を免れることができる(商標法第119条第3項)。
(iv)不使用取消審判において、商標の使用は登録商標と同一でなければならない。ただし、同一性が認定される範囲内での変形使用は正当な使用として認定される。
(v)取消審判が確定した場合、審判請求日に遡及して商標権が消滅する(商標法第119条第6項)。
(vi)取消審決が確定した場合、商標権者は、3年間は、取消された商標と同一または類似する商標を同一または類似する指定商品に対して登録を受けることができない(商標法第34条第3項)。
【留意事項】
(1)従前は、出願商標と引用商標の同一・類似の判断時点が出願時を基準としたが、改正商標法(2016.2.29改正、2016.9.1施行)により登録可否決定時に変更された。したがって、拒絶理由に該当する引用商標に対して不使用取消審判を請求して、取消が確定すれば拒絶理由が解消されるため、その出願は維持される。
(2)従前は、商標不使用取消審判を利害関係者のみが請求できたが、上記改正商標法により誰でも請求できるように改正された。不使用取消審判が易しくなったので商標権者は登録後3年ごとに自身の商標権を確認する必要がある。
(3)不使用の基準は審判請求日を基準とする(日本は審判請求登録日を基準とする)ため、商標権者と商標権の譲受交渉を行うとしても、まず、商標不使用取消審判を請求することが望ましい。これは、交渉中に商標権者が商標を使用すれば、商標権者は不使用取消を免れるようになるからである。
ロシアにおける商標ライセンス契約
【詳細】
ロシア連邦民法第1490条によれば、商標の使用許諾契約、およびその他の商標に係る排他的権利の移転等に関する契約は、書面により締結されるものとし、ロシア連邦知的財産局への登録により効力を生ずる。
○ライセンス契約書の要件
ライセンス契約においては、ライセンサーがライセンシーに対し、当該商標が登録されている全部または一部の商品につき、一定の契約上の制限内で(使用が認められる地域を特定するか否かを問わない)、商標の使用権を許諾する。
ライセンス契約には次の事項を定める。
・契約対象(使用権を与える商標の登録番号を付記した商標の特定)
・使用許諾対価(ロイヤルティの具体的な金額を秘密保持の対象と定め、契約書の別紙に定めることもできる。2014年10月1日に施行された改正法に基づき、民法第1235条第5項は無償のライセンス契約を認めているが、5.1項では商業的組織の間で行われるライセンスの際の無償契約は禁止されている。現在、この条項の施行については活発な議論が行われている。)
・商標の使用方法(排他的か非排他的か)
・商標の使用権が供与される商品の一覧
・品質管理に関する条項(ライセンシーは、TMマークを付して製造する商品の品質がライセンサーの定める要件を順守することを保証する。ライセンサーは、この条件の実行につき管理・監督することができる。ライセンサーとライセンシーは、連帯責任を負う。)
・実費償還型契約とする旨の定め
・契約の期間(期間の定めがない場合、契約は5年契約とする)
・使用権が許諾される地域(契約に地域の定めがある場合)
・再許諾(サブライセンス契約)に対する同意の有無(同意されている場合)
・一方的な契約取消の可否
○使用権設定(ライセンス契約)登録の手順
ロシア民法典が改正される以前は、登録の対象は、商標使用に関する契約書そのものであり、当局への提出は強制的なものであったが、2014年10月1日に施行された新しい規則により登録の対象は、商標使用権設定の事実となった。
現在、ライセンス契約を登録するには、登録された権利および金額の評価に必要な主要事項全てを記入し両当事者が署名した申請書を提出すればよい。
一方の当事者、または特許弁護士が申請を行う場合、申請人は、次のいずれかの文書を選択し、これを添付しなければならない。
・当該契約の両当事者が署名したライセンス契約が交わされた旨の通知書および公証人が認証した契約書の抄本
・契約書原本
ロシア連邦知的財産権局からの追加の要請がない限り、申請から2~3ヶ月で審査が行われる。