韓国における特許無効審判に関する統計データ
1.特許無効審判の請求件数
統計年譜によると、2010年から2019年までに請求された特許無効審判の請求件数は、次の表のとおりである。2015年には特許無効審判の請求件数が2,194件で、前年度に比べて大きく増加したが、これは、米韓自由貿易協定(FTA)により導入された「医薬品許可特許連携制度*」の施行により、オリジナル医薬品特許に対する、ジェネリック医薬品(複製医薬品)製薬会社の無効審判請求が一時的に急増したためである。
*「医薬品許可特許連携制度」とは、オリジナル医薬品特許権の存続期間満了前に、当該医薬品の安全性や有効性に関する資料を根拠としてジェネリック医薬品許可を申請する場合、オリジナル医薬品の特許権者などに当該申請事実および関連事項を通知するようにし、特許権者などはそのジェネリック医薬品に対する許可手続の中止を要請することができるようにする制度をいう。この制度によると、ジェネリック医薬品製薬会社はまず販売品目の許可を受けるために、オリジナル医薬品特許に対して無効審判または権利範囲確認審判を請求しなければならない。
一方、日本の「特許行政年次報告書2017年版」および「特許行政年次報告書2020年版」によると、日本で2010年から2019年までに請求された特許無効審判の請求件数は、次の表のとおりであり、日本における特許無効審判の請求件数は年間200件程度であり、2016年以降は100件台である。
韓国における特許無効審判請求の件数
日本における特許無効審判請求の件数
2.特許無効審判に関する審決結果
統計年譜によると、2010年から2019年までに処理された特許無効審判の審決結果は、次の表のとおりである。請求成立(一部成立を含む)の件数と請求不成立(棄却および却下)の件数を合わせた件数のうち、請求成立の件数が占める比率を「請求成立率」として計算した結果、2016年において、前年度に比べて特許無効審判の請求成立率が大幅に落ち、2017年、2018年も低かったが、2019年は再び増加傾向にある。
一方、日本の「特許行政年次報告書2017年版」および「特許行政年次報告書2020年版」によると、日本での特許無効審判の請求成立率は2010年度以降、徐々に落ちている傾向が見られる。
韓国における特許無効審判の審決結果
日本における特許無効審判の審決結果
3.当事者系審判における請求人および被請求人の国籍
統計年譜では、特許無効審判に限定した請求人および被請求人の国籍に関する情報はないが、権利範囲確認審判**を含めた当事者系審判全体に関する国籍別統計を整理すると、次の表のとおりである。下記表によると、2014年から2017年までは被請求人が外国人(個人および法人)で、請求人が韓国人(個人および法人)の当事者系審判の請求件数が急増していたが、その後減少してきていることが確認される。
**「権利範囲確認審判」とは、確認対象発明が特許発明の保護範囲に属するか否かを確認するために請求する審判であって、特許権者などが被疑侵害者を相手取って被疑侵害者の実施発明が特許発明の権利範囲に属するという趣旨の審決を求める積極的権利範囲確認審判と、被疑侵害者が特許権者などを相手取って被疑侵害者の実施発明が特許発明の権利範囲に属さないという趣旨の審決を求める消極的権利範囲確認審判に区分される。韓国の権利範囲確認審判は、日本の判定制度に相当する制度であるが、日本の判定制度が年間100件未満(2016年の場合、97件)しか請求されていない一方、韓国の権利範囲確認審判は年間400件以上(2016年の場合、632件)請求されている。
4.当事者系審判の審決への審決取消訴訟
特許無効審判に対する審決取消訴訟に限定した情報はないが、権利範囲確認審判を含めた当事者系審判全体に関する特許審判院の審決件数、特許法院への提訴件数、および審決件数のうち提訴件数が占める比率で示した提訴率は次のとおりである。
当事者系審判全体における審決件数、提訴件数および提訴率の推移
韓国における特許無効審判に関する統計データ
- 特許無効審判の請求件数
統計年譜によると、2007年から2016年までに請求された特許無効審判の請求件数は、次の表の通りである。2015年には特許無効審判の請求件数が2,194件で、前年度に比べて大きく増加したが、これは、米韓自由貿易協定(FTA)により導入された「医薬品許可特許連携制度*」の施行により、オリジナル医薬品特許に対する、ジェネリック医薬品(複製医薬品)製薬会社の無効審判請求が一時的に急増したためである。
*「医薬品許可特許連携制度」とは、オリジナル医薬品特許権の存続期間満了前に、当該医薬品の安全性や有効性に関する資料を根拠としてジェネリック医薬品許可を申請する場合、オリジナル医薬品の特許権者などに当該申請事実および関連事項を通知するようにし、特許権者などはそのジェネリック医薬品に対する許可手続の中止を要請することができるようにする制度をいう。この制度によると、ジェネリック医薬品製薬会社はまず販売品目の許可を受けるために、オリジナル医薬品特許に対して無効審判または権利範囲確認審判を請求しなければならない。
一方、日本の「特許行政年次報告書2017年版」によると、日本で2007年から2016年までに請求された特許無効審判の請求件数は、次の表の通りであり、日本における特許無効審判の請求件数は年間200件程度である。
韓国における特許無効審判請求の件数
日本における特許無効審判請求の件数
- 特許無効審判に関する審決結果
統計年譜によると、2007年から2016年までに処理された特許無効審判の審決結果は、次の表の通りである。請求成立(一部成立を含む)の件数と請求不成立(棄却および却下)の件数を合わせた件数のうち、請求成立の件数が占める比率を「請求成立率」として計算した結果、2016年において、前年度に比べて特許無効審判の請求成立率が大幅に落ちたことが確認される。2017年以降もこのような請求成立率の減少傾向が続くか注目される。
一方、日本の「特許行政年次報告書2017年版」によると、日本での特許無効審判の請求成立率は2008年度までは高い水準であったが、2009年度から大幅に落ちた後、現在まで低い値が維持されている。
韓国における特許無効審判の審決結果
日本における特許無効審判の審決結果
- 特許無効審判における請求人および被請求人の国籍
統計年譜では、特許無効審判に限定した請求人および被請求人の国籍に関する情報はないが、権利範囲確認審判**を含めた当事者系審判全体に関する国籍別統計を整理すると、次の表の通りである。下記表によると、2014年から被請求人が外国人(個人および法人)で、請求人が韓国人(個人および法人)の当事者系審判の請求件数が急増していることが確認される。
**「権利範囲確認審判」とは、確認対象発明が特許発明の保護範囲に属するか否かを確認するために請求する審判であって、特許権者などが被疑侵害者を相手取って被疑侵害者の実施発明が特許発明の権利範囲に属するという趣旨の審決を求める積極的権利範囲確認審判と、被疑侵害者が特許権者などを相手取って被疑侵害者の実施発明が特許発明の権利範囲に属さないという趣旨の審決を求める消極的権利範囲確認審判に区分される。韓国の権利範囲確認審判は、日本の判定制度に相当する制度であるが、日本の判定制度が年間100件未満(2016年の場合、97件)しか請求されていない一方、韓国の権利範囲確認審判は年間400件以上(2016年の場合、632件)請求されている。
- 特許無効審判の審決への審決取消訴訟
特許無効審判に対する審決取消訴訟に限定した情報はないが、権利範囲確認審判を含めた当事者系審判全体に関する特許審判院の審決件数、特許法院への提訴件数、および審決件数のうち提訴件数が占める比率で示した提訴率は次の通りである。
当事者系審判全体における審決件数、提訴件数および提訴率の推移