トルコにおける指定商品または役務に関わる留意事項
トルコは、1996年1月1日に、ニース協定の加盟国となった。産業財産法第6769号の適用に関する規則(以下、「産業財産規則」)の第5条第2項eによると、トルコ特許商標庁にて行われる商標出願は、出願の対象となる商品および役務を、ニース協定による区分に従って指定しなければならない。
ニース国際分類に従って作成された、最新の商標登録出願に関する商品および役務の分類に関する通達は、2016年12月30日に官報で公表され、2017年1月1日に施行された。この通達は、下記のリンクから入手可能である。
http://www.turkpatent.gov.tr/TURKPATENT/resources/temp/86D9FC05-00FC-445B-BAE9-38BBB38AD845.pdf
トルコは、ニース国際分類を採用しているが、商品および役務の審査は、独自の副分類に基づいて行われている。ある区分に属する商品および役務の副分類には、分類番号が割り当てられる。トルコでは、複数の副分類を指定しても、追加の出願料は必要とならない。ある区分の下にある副分類の全部または一部を選択して出願申請することも可能である。出願された商標の商品または役務が先行する商標出願または登録と同じ区分に属するものであっても、副分類が異なる場合、先願および後願の商標の商品および役務は類似とならない可能性がある。
産業財産法第6769号(以下、「産業財産法」)第5条(商標出願における絶対的拒絶理由)によれば、「同一または同様の種類の商品または役務に関して登録されたまたは先の出願日を有する商標と同一または区別できない程類似した標章」についての出願は、絶対的拒絶理由のあるものとみなされる。
産業財産法第11条第3項によると、「出願の対象となる商品および役務は、・・・標章の登録のため商品およびサービスの国際分類に関するニース協定により分類される。トルコ特許商標庁は、出願で指定されるべき商品および役務に関する分類および分類番号について必要な訂正を行うことができる」。
産業財産規則第9条第3号によると、「商品または役務の指定において、一般的な語句またはトルコ特許商標庁により明確にする必要があるとされた表現が使用された場合、その指定商品または役務を明確にするため、出願人に2か月の期間が与えられる。当該期間内に不備が訂正された場合、出願日は影響を受けず出願は係属する。期間内に不備の訂正がトルコ特許商標庁に提出されない場合、明確化が要求された一般的な語句または表現は指定から削除される」。例えば、「ファッションアクセサリー」は、一般的な語句または表現とみなされるが、「ファッションアクセサリー、即ち、帽子、腕時計、財布、ハンドバッグ、扇子、日傘および雨傘」であれば登録されうる。
トルコにおいて、第35類の第6副分類にある卸売り、小売りならびに電子商取引による商品の仕入れおよび販売を出願において指定する場合、そのサービスがどの商品に関するものであるかを明確にする義務が導入された。すなわち、第35類で出願を行う出願人は、提供するサービスがどの商品グループまたはビジネス分野に関するものであるかを明確にする必要がある。
産業財産規則の第9条第4項によると、トルコ特許商標庁は、商品および役務が属する区分および分類番号に関して必要な訂正を行うことができる。商品および役務がニース協定の本質に従って指定されていない場合、必要に応じて、トルコ特許商標庁は、訂正のために、出願人から区分を訂正する料金を2か月以内に支払うよう要求する。期間内に料金支払いに関する情報がトルコ特許商標庁に提供されない場合、出願は取り下げとみなされる。2か月の期間は延長されない。
トルコにおける指定商品または役務に関わる留意事項
【詳細】
トルコは、1995年7月12日に、標章の登録のための商品およびサービスの国際分類に関するニース協定の加盟国となった。ニース協定に基づく「商品およびサービスの国際分類」の最新版(第10版)が、2012年1月28日から採用されている。トルコ特許庁(TPI)に提出される商標出願の商品および役務の分類は、ニース協定に基づくニース国際分類にしたがって行われる。
ニース国際分類に沿った商品および役務の分類に関する最新の通達が、2014年12月8日にトルコ官報において発表され、2015年1月1日に発効した。この通達は、下記のリンクから入手可能である。
http://www.tpe.gov.tr/TurkPatentEnstitusu/commonContent/MClassification/
トルコは、ニース国際分類を採用しており、商品および役務の審査は、該当するトルコ独自の副分類に基づいて行われている。(トルコでは、ニース分類にはない、同一区分内に類似商品および類似役務をまとめた独自のサブクラスがある。区分を超える類似範囲を規定している日本の類似群コードの考え方とは違っている。)したがって同じ分類に属する商品または役務であっても、同じ分類内の異なる副分類に分類される場合は、異なる出願人名義による同一または類似の商標であっても登録が認められる。言い換えれば、審査官は原則として、とりわけ法律第556号(以下、商標法)第7条(b)に基づく審査において、これらの副分類に基づき、先行商標と同一または混同を生じる類似の商標であって、後に出願された商標が、同じ分類内の同一副分類に分類される商品に関して出願された場合には、かかる後の商標出願を拒絶する。しかし、第三者の異議申立を審査する際は、より柔軟な判断が行われる。
商標法第7条(b)には「商標登録の絶対的拒絶理由」が記されており、商品および役務が同じ分類内の同一副分類に分類される場合は、同じ種類の商品または役務とみなされる。
「第7条(b):同一または同様の種類の商品または役務に関して、先に登録された商標または先の出願日を有する商標と同一または混同を生じる類似の商標は、商標として登録されない。」
商標法第24条に基づき、出願の対象となる商品および役務は、ニース国際分類の分類番号により指定され、分類されなければならない。特許庁は、商品および役務の分類に関して必要な改訂を行うことができる。
2015年1月18日に改正された商標法施行規則に従い、出願書式において具体的でない指定商品および指定役務は認められず、TPIの指令に従い、2か月以内に品目ごとに補正されなければならない。この補正期限の延長は認められない。補正指令を受けた指定商品および指定役務で、この期間内に補正されなかった商品および役務は削除され、これらを削除した状態で当該出願の以後の手続が遂行される。例えば、ファッションアクセサリーは、具体的でないとみなされ認可されないが、「ファッショアクセサリー、即ち、帽子、腕時計、財布、ハンドバッグ、扇子、日傘および雨傘」であれば認可される。
「商品・サービス国際分類表」第35類についても具体的でない記載が禁止されており、2011年10月19日に新たな規定が承認された際に、小売役務をカバーする第35類の商標出願に関して、大きな反響を引き起こした。「他者のために各種商品を取り揃え、買い手がこれらの商品を閲覧および購入できるように便宜を図ること」という広義の小売役務については、もはや商標登録できないため、出願人はその「各種商品」に代え、役務の対象となる商品、商品グループまたは特定の分野を示さなければならない。
法定料金に対する指定商品または役務の影響
TPIは、商品および役務の分類に関して必要な措置または改訂を行う権限を有している。また、出願の商品または役務が当該出願の指定商品または役務と異なる別の分類に属すると判断した場合には、TPIは分類追加料金を請求する。の要求に応じて2か月以内にかかる分類追加料金が納付しない場合、当該出願は取り下げたものとみなされる。この支払期限の延長は認められない。