メキシコにおけるTMマークおよびRマーク「Ⓡ」の使用
メキシコ産業財産法では、商標権侵害を理由とする民事訴訟および刑事訴訟を提起するためには、当該商標権者は商品またはパッケージに「Marca Registrada」、または「M.R.」、またはRマーク「Ⓡ」を表示する必要があると規定されている(メキシコ産業財産法第236条、第409条)。
ただし、「Marca Registrada」、または「M.R.」、またはRマーク「Ⓡ」を表示していない場合であっても、商標登録の有効性に悪影響が生じることはなく、登録商標を有効に維持できる。
「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」の表示方法は、目に見える方法で商標の横に付記する必要がある。メキシコでは通常、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」は、商標の右上か右下に小さく付記されている。
「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」に代えて、商標の登録番号を使用することはできない。商標の登録番号で代用した場合、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を使用していないことと同じ結果を招く。
商標が横長の場合は、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を商標と同じライン上に付記し、商標が縦長の場合は、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を商標の上部または下部と同じライン上に付記することが推奨される。
「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を上記で示した箇所以外に付記することは推奨されない。上記以外の箇所に付記した場合、商標と近接する場所に付記したとしても、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」が当該登録商標を示しているかどうか不明確となり、別の商標に付記されていると解釈される可能性がある。
重要なことは、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」は、メキシコにおいて既に登録されている商標に関してのみ使用しなければならないことである。メキシコで登録されていない商標に「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を使用した場合、メキシコ産業財産法違反となり、以下の制裁措置が科される場合がある(メキシコ産業財産法第388条)※。
(1) 違反が行われた時点で有効なUMA(Unidad de Media y Actualización)日額の250,000倍(約1,092,393.95米ドル)を上限とした罰金(発生した行為ごとに科される)
(2) 違反行為が1日続くごとに、UMAの1,000倍(約4,368.36米ドル)を上限とする追加罰金
(3) 90日以内の営業停止
(4) 永久的な営業停止
※「中南米における模倣品対策の制度および運用状況に関する調査」JETROサンパウロ事務所2022年3月、256頁。米ドルへの換算は2021年度の基準による。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/cs_america/br/ip/pdf/survey_202203.pdf
上記の虚偽表示による産業財産法違反は、産業財産局により職権で告発される場合よりも、先行する登録商標を有している第三者が、商標権侵害の主張とともに虚偽表示による産業財産法違反を主張する可能性が高い。
■留意事項
TMマークの使用は、メキシコにおいては何の効果もないことに注意が必要である。商標出願人が、まだ登録になっていない商標にTMマークを付記したい場合、当該商標の将来的な商標権に何ら悪影響を及ぼすものではないため、TMマークを付記しても問題ない。しかし、TMマークを付記しても、メキシコでは全く法的保護を得ることはできない。
ロシアにおける無方式の権利(営業秘密の保護と不正競争防止法)
「模倣対策マニュアル ロシア編」(2016年3月、日本貿易振興機構)第1章第7節
(目次)
第1章 ロシアにおける知的財産権の取得
第7節 無方式の権利 P.73
(1) 技術ノウハウを含む営業秘密の保護 P.73
(a) 序文 P.73
(b) 営業秘密に関連する法規 P.73
(c) 営業秘密の定義 P.73
(d) 営業秘密の保護の内容とその管理 P.74
1) 機密保持契約 P.74
2) 秘密の管理 P.74
3) 従業者管理 P.75
4) 排他的権利の譲渡及び使用許諾 P.75
(e) 紛争解決 P.76
1) 民事上の救済措置 P.76
2) 行政上の救済措置 P.77
3) 刑事上の救済措置 P.77
(f) 治験データの保護 P.77
(2) 不正競争防止法 P.79
参考資料
行政違反法 P.183
競争保護法 P.187
刑法 P.191
メキシコにおけるTMマークおよびRマーク「Ⓡ」の使用
【詳細】
メキシコ産業財産法第229条において、商標権侵害を理由とする民事訴訟および刑事訴訟を提起するためには、当該商標権者は商品またはパッケージに「Marca Registrada」、または「M.R.」、またはRマーク「Ⓡ」を表示する必要があると規定されている。
ただし、「Marca Registrada」、または「M.R.」、またはRマーク「Ⓡ」を表示していない場合であっても、商標登録の有効性に悪影響が生じることはなく、登録商標を有効に維持できる。
「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」の表示方法は、目に見える方法で商標の横に付記する必要がある。メキシコでは通常、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」は商標の右上か右下に小さく付記されている。
「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」に代えて、商標の登録番号を使用することはできない。商標の登録番号で代用した場合、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を使用していないことと同じ結果を招く。
商標が横長の場合は、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を商標と同じライン上に付記し、商標が縦長の場合は、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を商標の上部または下部と同じライン上に付記することが推奨される。
「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を上記で示した箇所以外に付記することは推奨されない。上記以外の箇所に付記した場合、商標と近接する場所に付記したとしても、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」が当該登録商標を示しているかどうか不明確となり、別の商標に付記されていると解釈される可能性がある。
重要なことは、「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」は、メキシコにおいて既に登録されている商標に関してのみ使用しなければならないことである。メキシコで登録されていない商標に「M.R.」またはRマーク「Ⓡ」を使用した場合、産業財産法違反となり、以下の制裁措置が科される場合がある。
(1)約US$85,000以下の罰金
(2)約US$2,120以下の追加罰金(継続中の違反行為につき一日当たり)
(3)90日以内の営業停止
(4)永久的な営業停止
(5)36時間以内の行政監禁
上記の虚偽表示による産業財産法違反は、産業財産局により職権で告発される場合よりも、先行する登録商標を有している第三者が、商標権侵害の主張とともに虚偽表示による産業財産法違反を主張する可能性が高い。
【留意事項】
TMマークの使用は、メキシコにおいては何の効果もない。商標出願人が、まだ登録になっていない商標にTMマークを付記したい場合、当該商標の将来的な商標権に何ら悪影響を及ぼすものではないため、TMマークを付記しても問題ない。しかし、TMマークを付記しても、メキシコでは全く法的保護を得ることはできない。