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日本と中国における特許分割出願に関する時期的要件の比較

1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
 日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。

(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
 (i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
 (ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
 (iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
 (iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
 (i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
 (ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)
 第44条第1項第3号に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

日本国特許法第44条(特許出願の分割)
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
(第2項以下省略)

2. 中国における特許出願の分割出願の時期的要件
(1) 出願人が特許査定通知を受領した日から2か月(すなわち登録手続きの期限)を期限として、出願後この期限までいつでも分割出願をすることができる(専利法実施細則第48条第1項、専利法実施細則第60条第1項)。したがって、予備審査中または実体審査中でも分割出願は可能である。ただし、出願が既に拒絶され、取り下げされた、または取り下げられたものとみなされた場合は、分割出願をすることができない。

(2) 拒絶査定通知を受領した日から3か月以内であれば、復審(日本の拒絶査定不服審判に相当。)請求の有無にかかわらず分割出願を提出することができる(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。

(3) 復審請求の提出後の復審係属期間、復審決定の日から3か月以内、および復審決定に対して不服を申し立てる行政訴訟期間でも、出願人は分割出願を提出することができる(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。

(4) 既に出願された分割出願(一次分割出願)について、出願人が更に分割出願(二次分割出願)をする場合、二次分割出願は、原出願に基づいて分割出願ができる期間にしなければならない(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。

 ただし、一次分割出願の単一性の欠陥を審査意見通知書(日本の拒絶理由通知に相当。)で指摘されて分割出願をする場合は(専利審査指南第2部第6章3.1(2))、二次分割出願は、一次分割出願に基づいて分割出願ができる期間にすることができる(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。よって、一次分割出願の単一性の欠陥を指摘した審査意見通知書を受領後、一次分割出願について専利権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月の期限まで、二次分割出願をすることができる。

専利法実施細則第48条
一つの専利出願に二つ以上の発明、実用新案又は意匠が含まれる場合、出願人は本細則第六十条第一項に規定する期限が満了するまでに、国務院専利行政部門に分割出願を申し出ることができる。ただし、専利出願が既に拒絶され、取り下げられた又はみなし取下げとされた場合、分割出願を申し出ることはできない。
(第2項以下省略)
専利法実施細則第60条
国務院専利行政部門が専利権を付与する旨の通知を出した後、出願人は通知を受領した日から起算して2か月以内に登録手続を取らなければならない。出願人が期限内に登録手続を取った場合、国務院専利行政部門は専利権を付与し、専利証を交付し、公告しなければならない。
(第2項省略)
専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3)
 出願人は、専利局から原出願に対して専利権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月の期限(即ち処理手続の期限)までに分割出願を提出しなければならない。前記期限が満了した場合、又は原出願が拒絶された場合、又は原出願が取り下げられた場合、又は原出願が取り下げられたものとみなされかつその権利が回復しなかった場合は、一般的に分割出願を再び提出することができない。
 審査官により拒絶査定がなされた原出願に対して、出願人は拒絶査定を受領した日から3か月以内に、復審請求の有無に拘わらず分割出願を提出することができる。復審請求の提出後の復審期間、復審決定の日から3か月以内及び復審決定に対して不服を申し立てる行政訴訟期間でも、出願人は分割出願を提出することができる。
(中略)
 提出済みの分割出願について、出願人が当該分割出願に対して更に分割出願を提出する場合、再度提出する分割出願の提出日は、原出願に基づいて確認しなければならない。再分割出願の提出日が上記の規定に合致しない場合、分割出願をすることができない。
 ただし、審査官が分割出願に単一性の欠陥が存在することを指摘した分割出願通知書又は審査意見通知書を発行したことにより、出願人が審査官の審査意見に基づいて分割出願を再度提出した場合、分割出願を再度提出した提出日は単一性の欠陥が存在する当該分割出願を基礎として確認しなければならない。
(以下省略)

日本と中国における特許分割出願に関する時期的要件の比較

日本中国
分割出願の時期的要件1. 補正ができる期間

2. 特許査定の謄本送達後30日以内

3. 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内
1. 出願後、専利権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月の期限まで

2. 拒絶査定を受領した日から3か月以内

3. 復審請求の提出後の復審係属期間、復審決定の日から3か月以内、および復審決定に対して不服を申し立てる行政訴訟期間

日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
 日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。

(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
 (i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
 (ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
 (iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
 (iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
 (i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
 (ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内(第44条第1項第3号)
 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

日本国特許法第44条(特許出願の分割)
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
(第2項以下省略)

2. 台湾における特許出願の分割出願の時期的要件
 台湾では、原出願の再審査(*)の査定前、または原出願の登録査定書の送達日から3か月以内に分割出願することができる(台湾専利法第34条)。
(*):再審査とは、拒絶査定に不服がある場合に請求することができる制度である。再審査では、原審査に参与しなかった特許審査官が審査し査定書が作成される(台湾専利法第48条、第50条)。

台湾専利法 第34条
 特許を出願した発明が、実質上2以上の発明である場合、特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる。
 分割出願は次の各号に掲げる期間内にこれを行わなければならない。
1. 原出願の再審査の査定前
2. 原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して3か月以内。
 分割後の出願は、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合は、優先権を主張することができる。
 分割後の出願は、原出願の出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えてはならない。
 第2項第1号規定により分割を行った後の出願は、原出願で既に完了した手続から審査を続行しなければならない。
 第2項第2号規定により行う分割は、原出願の明細書又は図面に開示された発明で、且つ登録査定となった請求項と同じ発明に属しないものから分割出願しなければならない。分割を行った後の出願は、原出願が査定される前の審査手続きを続行するものとする。
原出願の登録査定を経た明細書、特許請求の範囲又は図面は変動してはならず、登録査定時の特許請求の範囲及び図面をもってこれを公告するものとする。

日本と台湾における特許分割出願に関する時期的要件の比較

日本台湾
分割出願の時期的要件1. 補正ができる時または期間
(i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)
(ii) 審査官から拒絶理由通知を受けた場合の指定応答期間内
(iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の指定応答期間内
(iv) 拒絶査定不服審判請求と同時

2. 特許査定の謄本送達後30日以内(以下の(i)(ii)の特許査定を除く)
(i) 前置審査における特許査定
(ii) 審決により、審査に付された場合における特許査定

3. 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内
1. 原出願の再審査の査定前

2. 原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して3か月以内

日本とタイにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

1. 日本における意匠権の権利期間
 日本における意匠権の権利期間は、意匠登録出願の日から25年をもって終了する(意匠法第21条第1項)。
 ただし、平成19年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録日から15年、平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願された意匠権は、設定登録の日から20年である。

 なお、関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年間である(意匠法第21条第2項)。
 ただし、本意匠および関連意匠の双方が、平成19年3月31日以前の出願の場合は、関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定登録日から15年間であり、本意匠が平成19年3月31日以前の出願で、関連意匠が平成19年4月1日から令和2年3月31日までの出願の場合は、関連意匠の意匠権の権利期間は、その本意匠の意匠権の設定登録の日から20年である。

 なお、権利維持を希望する場合は、登録日を年金納付起算日として2年次から毎年、年金を支払う必要がある(意匠法第42条第1項、第43条第2項)。

条文等根拠:意匠法第21条、第42条、第43条

日本意匠法第21条 存続期間
意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、意匠登録の出願の日から25年をもって終了する。
2 関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から25年をもって終了する。
日本国意匠法第42条 登録料
意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、第二十一条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、一万六千九百円を超えない範囲内で政令で定める額を納付しなければならない。
(第2項以下省略)
日本意匠法第43条 登録料の納付期限
前条第一項の規定による第一年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
2 前条第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
(第3項以下省略)

2. タイにおける意匠権の権利期間
 タイにおける意匠権の権利期間は、出願日から10年をもって終了する(特許法第62条)。

 なお、権利維持を希望する場合には、出願日を年金納付起算日として5年次から毎年、年金を支払う必要がある。ただし、登録になるまでは年金を支払う義務はなく、意匠特許が意匠特許期間の5年次の開始後に付与された場合は、意匠特許付与後60日以内に累積年金(出願日を年金納付起算日として5年次から意匠特許が付与された年次までを合わせた年金)をまとめて支払う。

条文等根拠:特許法第62条、第43条、第65条(特許法第43条を準用する根拠)

タイ特許法 第62条
意匠特許の有効期間は、国内での出願の日から10年間とする。
意匠特許の期間は、第16条を準用する第65条、又は第74条に基づき裁判所に訴訟が係属している期間を含まない。
タイ特許法 第43条
特許権者は、省令に定める年金を特許期間の5年目から納付しなければならない。年金は、特許期間の5年目及びそれに続く年度の開始後60日以内に納付しなければならない。
特許が特許期間の5年目の開始後に付与されたときは、最初の年金は、特許の付与後60日以内に納付しなければならない。
(以下省略)
タイ特許法 第65条
第II章の発明特許に関する第10条、第11条、第12条、第13条、第14条、第15条、第16条、第19条、第20条、第21条、第22条、第27条、第28条、第29条、第31条、第32条、第33条、第34条、第37条、第38条、第39条、第40条、第41条、第42条、第43条、第44条及び第53条の規定は、第III章の意匠特許について準用するものとする。

日本とタイにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較

日本タイ
権利期間出願日から25年出願日から10年
権利維持登録日を年金納付起算日として、2年次から毎年、年金の支払い要出願日を納付起算日として、5年次以降毎年、年金の支払い要。ただし、意匠特許が意匠特許期間の5年次の開始後に付与された場合は、意匠特許付与後60日以内に累積年金を支払う。

日本とフィリピンにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

1.日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
 日本特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。

(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
 (i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
 (ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
 (iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
 (iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
 (i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
 (ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)
 (3) に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

日本特許法第44条(特許出願の分割)
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
2 前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし、新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。
3 第一項に規定する新たな特許出願をする場合における第四十三条第二項(第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第四十三条第二項中「最先の日から一年四月以内」とあるのは、「最先の日から一年四月又は新たな特許出願の日から三月のいずれか遅い日まで」とする。
4 第一項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類であって、新たな特許出願について第三十条第三項、第四十一条第四項又は第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
5 第一項第二号に規定する三十日の期間は、第四条又は第百八条第三項の規定により同条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
6 第一項第三号に規定する三月の期間は、第四条の規定により第百二十一条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
7 第一項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第二号又は第三号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から十四日(在外者にあっては、二月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後六月以内にその新たな特許出願をすることができる。

2.フィリピンにおける特許出願の分割出願の時期的要件
 フィリピンでは、2022年にフィリピン知的財産施行規則(以下、「施行規則」という。)が改正され、これに伴い、分割出願に関する時期的要件も改正された(2022年9月20日施行)。
 自発的な分割出願は、改正前は、親出願が取り下げられ、放棄されまたは特許を付与される前である係属中の出願について、いつでも行うことができたが、改正後は、親出願が取り下げられ、または特許を付与された日から4か月以内に係属出願について任意の分割出願を行うことができることとされた(施行規則 規則611)。
 単一性違反の指令後の分割(フィリピン知的財産法第38条第2項)は、改正前は、その指令書発行から4か月以内または4か月を超えない範囲で認められる追加の期間内に分割出願ができたが、改正後は、分割の指令が確定した日、または分割指令に対する不服申立の決定があった日から4か月以内に分割出願が可能とされた(施行規則 規則604、610、928b)。分割指令による分割出願の場合は、必要であれば、2か月の期間延長が認められる場合がある。

フィリピン知的財産法 第38条 発明の単一性
38.1 出願は、1の発明または単一の包括的発明概念を形成する一群の発明についてのみ行う。
38.2 単一の包括的発明概念を形成しない複数の独立した発明が1の出願において請求されている場合は、局長は当該出願を単一の発明に限定することを要求することができる。分割する発明についてされる後の出願は、最初の出願と同一の日に出願されたものとみなす。ただし、分割の要求が最終となった後4月以内または4月を超えない範囲で認められる追加の期間内に後の出願がなされることを条件とする。分割出願は、当初の出願における開示を超えてはならない。
38.3 発明の単一性を満たさない出願に特許が付与されたという事実は、特許を取り消す理由とはならない。

フィリピン知的財産施行規則 規則604 発明の単一性
(a) 出願は、1の発明又は単一の一般的発明概念を形成する1群の発明についてのみ行う。(IP法第38条(38.1))
(b) 単一の一般的発明概念を形成しない複数の独立した発明が1の出願においてクレームされている場合は、局長は、当該出願を単一の発明に限定するよう要求することができる。分割した発明についてなされる後の出願は、最初の出願と同一の日に出願されたものとみなす。ただし、分割の要求が確定した後4月以内又は規則928bの下2月を超えない範囲で認められる追加期間内に後の出願がなされることを条件とする。更に、各分割出願が当初の出願における開示の範囲を超えないことを条件とする。(IP法第38条(38.2))

フィリピン知的財産施行規則 規則610 選択されない発明の分離出願・強制分割出願
強制分割出願とは、先の又は親出願の主題を含む特許出願のことで、発明の単一性欠如による拒絶に伴う限定の場合に生じる可能性がある。1の出願が複数の分割出願を生じさせることができ、分割出願はそれ自体で1以上の分割出願を生じさせることができる。分割出願は、先の又は親出願と同様に審査され、先の又は親出願の優先権の利益を享受する。ただし、分割出願は、分割の要求が確定した日又は不服申立が決定された日から4月以内に提出されることを条件とする。4月の所定期間は、当該処分又は不服申立に対する決定の通知の郵送日から起算される。
先の分割出願から生じた後続の強制分割出願で、発明の単一性の拒絶が提起された場合は、4月の所定期間は、選択の日又は分割の要求が確定した日から起算される。
選択されなかった発明又は分割出願は、出願人が署名し作成した出願様式、ある場合は先の出願の要約書、明細書、クレーム及び図面の正確な謄本、関連しないクレーム又はその他の事項を取り消した補正クレーム案、図面に関する規則に従って作成された図面の写し、対応する出願手数料の全額納付とともに提出することができる。
分割の要求が確定した日から4月の所定期間を超えて提出された分割出願は、無効な分割出願として却下される。2月を超えない分割出願のための追加期間は、規則928bの下で認められる。
ただし、先の出願が特許を付与される前又は取り下げられる前に当該分割出願がなされた場合、かつ、それが出願された先の出願と同一である場合は、図面が同一であり、当該書類が、出願人が署名し作成した原文書の正確な謄本を構成するときは、出願人による署名及び作成を省略することができる。当該出願は、出願手数料及び図面に関する規則を遵守する図面の写しで構成することができ、同時に、関連しないクレーム又はその他の事項を取り消した補正案も添付することができる。
親出願と分割出願は、同一の主題をクレームしてはならない。すなわち、それらのクレームは、実質的に同一の範囲にあってはならず、異なる言葉であっても、他方でクレームされた主題をクレームしてはならない。両出願のクレームされた主題の違いは、明確に区別できるものでなければならない。

フィリピン知的財産施行規則 規則611 任意の分割出願
出願人は、親出願が取り下げられ、又は特許を付与された日から4月以内に係属出願について任意の分割出願を行うことができる。ただし、その主題が親出願の内容を超えないことを条件とする。
後続の任意の分割出願は、先の分割出願について出願し、検討することができる。ただし、先の分割出願が取り下げられ、又は特許を付与された日から4月以内に係属出願について後続の分割出願は提出されなければならない。
任意の分割出願は、親出願と同一の出願日が付与され、優先権の利益を得る。出願の様式に関する要件は、規則610に規定する要件と同じものとする。
親出願と分割出願は、同一の主題をクレームしてはならない。すなわち、それらのクレームは、実質的に同一の範囲にあってはならず、異なる言葉であっても、他方でクレームされた主題をクレームしてはならない。両出願のクレームされた主題の違いは、明確に区別できるものでなければならない。

日本とフィリピンにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

日本 フィリピン
分割出願の時期的要件 補正ができる期間 自発的な分割は、親出願が取り下げられ、または特許を付与された日から4か月以内

単一性違反の指令後の分割は、分割の指令が確定した日、または不服申立の決定があった日から4か月以内。2か月の延長が認められる場合あり。

日本とベトナムにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

1.日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
 日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。

(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
 (i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
 (ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
 (iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
 (iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
 (i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
 (ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内(第44条第1項第3号)
 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

日本国特許法第44条(特許出願の分割)
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
2 前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし、新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。
3 第一項に規定する新たな特許出願をする場合における第四十三条第二項(第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第四十三条第二項中「最先の日から一年四月以内」とあるのは、「最先の日から一年四月又は新たな特許出願の日から三月のいずれか遅い日まで」とする。
4 第一項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類であって、新たな特許出願について第三十条第三項、第四十一条第四項又は第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
5 第一項第二号に規定する三十日の期間は、第四条又は第百八条第三項の規定により同条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
6 第一項第三号に規定する三月の期間は、第四条の規定により第百二十一条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
7 第一項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第二号又は第三号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から十四日(在外者にあっては、二月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後六月以内にその新たな特許出願をすることができる。

2.ベトナムにおける特許出願の分割出願の時期的要件
 ベトナムでは、出願人は、特許出願についての保護証書付与の拒絶通知の決定あるいは付与の決定(日本での拒絶査定、特許査定に相当)の前であれば、いつでも出願を分割することができる(ベトナム知的財産法(以下、「知的財産法」という。)第115条)。

知的財産法 第115条 工業所有権登録出願の補正,補充,分割及び変更
1. 国家工業所有権庁が保護証書の付与の拒絶通知又は付与の決定を行うまで,出願人は,次の権利を有する。
a) 出願に補正又は補充を行うこと
b) 出願を分割すること
c) 出願人の名称又は宛先の変更を記録するよう請求すること
d) 契約に基づく譲渡の結果として,相続,遺贈の結果として,又は当局の決定に基づい
  て出願人変更を記録するよう請求すること
dd) 発明特許に係る願書付きの発明登録出願を,実用新案特許に係る願書付きの発明登
  録出願に変更すること,及びその逆に変更すること
2. 本条1項に規定する手続について請求する者は,手数料及び料金を納付しなければならない。
3. 工業所有権登録出願に対する如何なる補正又は補充も,出願書類において開示され又は明記された主題の範囲を拡張してはならず,かつ,当該出願において登録を求めた主題の内容を変更してはならず,また出願の単一性を確保しなければならない。
4. 出願の分割の場合は,分割された出願の出願日は,原出願の出願日と決定されるものとする。

    日本とベトナムにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

日本 ベトナム
分割出願の時期的要件*) 補正ができる期間 拒絶査定または特許査定より前であればいつでも

*) 査定(特許査定または拒絶査定)前の時期的要件の比較

日本とブラジルにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

1.日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
 日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。

(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
 なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
 (i) 出願から特許査定の謄本送達前(登録通知を受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
 (ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
 (iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
 (iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
 (i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
 (ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内(第44条第1項第3号)
 (3)に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

日本国特許法第44条(特許出願の分割)
特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。
 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。
 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。
2 前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす。ただし、新たな特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用及び第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。
3 第一項に規定する新たな特許出願をする場合における第四十三条第二項(第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第四十三条第二項中「最先の日から一年四月以内」とあるのは、「最先の日から一年四月又は新たな特許出願の日から三月のいずれか遅い日まで」とする。
4 第一項に規定する新たな特許出願をする場合には、もとの特許出願について提出された書面又は書類であって、新たな特許出願について第三十条第三項、第四十一条第四項又は第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第四十三条の二第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな特許出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
5 第一項第二号に規定する三十日の期間は、第四条又は第百八条第三項の規定により同条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
6 第一項第三号に規定する三月の期間は、第四条の規定により第百二十一条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
7 第一項に規定する新たな特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第二号又は第三号に規定する期間内にその新たな特許出願をすることができないときは、これらの規定にかかわらず、その理由がなくなった日から十四日(在外者にあっては、二月)以内でこれらの規定に規定する期間の経過後六月以内にその新たな特許出願をすることができる。

2.ブラジルにおける特許出願の分割出願の時期的要件
 ブラジルでは、審査が終了するまではいつでも分割出願を行うことができる(ブラジル産業財産法(以下、「産業財産法」という。)第26条)。
 「審査が終了するまで」とは、特許査定または拒絶査定で記載された日付または、それら査定の官報への公開前の30日のいずれか遅い方を意味する。このため、拒絶理由(指令書)発行後であってもその応答期間により制限されないものの、拒絶査定後の審判段階では、分割出願を行うことができない(特許規則(明細書の書き方)INSTRUÇÃO NORMATIVA No 030/2013)。

産業財産法 第26条
特許出願は,出願審査が終了するまでは,職権又は出願人の請求により2以上の出願に分割することができる。ただし,分割出願が次の要件を満たしていることを条件とする。
(I) 原出願に明確に言及していること,及び
(II) 原出願に開示されている内容の範囲を超えていないこと
補項 本条の規定に従っていない分割請求は却下する。

特許規則(明細書の書き方)INSTRUÇÃO NORMATIVA No 030/2013 第32条
Para os efeitos dos artigos 26 e 31 da LPI, considera-se final de exame em Primeira instância, a data do parecer conclusivo do técnico quanto à patenteabilidade, ou o trigésimo dia que antecede a publicação da decisão de deferimento, indeferimento ou arquivamento definitivo, o que ocorrer por último.

産業財産法第26条及び第31条の規定の適用上,特許性に関する審査官の結論的見解の日,又は,付与又は拒絶の官報への公開前30日のいずれか遅い方を,審査の終了とみなす。

    日本とブラジルにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

日本 ブラジル
分割出願の時期的要件*) 補正ができる期間 出願から審査が終了するまでの期間

*) 査定(特許査定または拒絶査定)前の時期的要件の比較

日本とロシアの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

1.日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10 1.(2)ア、2.(2)ア

日本国特許法 第50条 拒絶理由の通知
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

日本国特許法 第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)および第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

方式審査便覧04.10 法定期間及び指定期間の取扱い
1.手続をする者が在外者でない場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。
ア.意見書(特50条、商15条の2、15条の3第1項、商附則7条)
2.手続をする者が在外者である場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は1.(11)及び(12)を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、1.(2)の期間とする。
ア.意見書(1.(2)ア.において同じ。)

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能
 (*特許庁「出願の手続」第二章 第十八節 IV指定期間の延長、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_18.pdf

条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10 1.(16)ア、2.(12)ア、イ

日本国特許法 第5条 期間の延長等
特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

日本特許庁 方式審査便覧 04.10 1.(16)ア、2.(12)
1 手続をする者が在外者でない場合
(16) 次に掲げる特許法、実用新案法及び意匠法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
ア.(2)ア.の意見書(特50条及び意19条の規定によるものに限る。)ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。
2 手続をする者が在外者である場合
(12) 特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。
ア.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができる。
イ.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。


2.ロシアの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長

(1)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・拒絶理由通知(追加資料の要求)の送付から3か月以内
(拒絶理由通知の送付から2か月以内に出願人が「出願に反駁する資料の写し」を請求した場合は、その写しの送付から3か月以内)

 なお、実体審査において、発明の単一要件に触れることが判明した場合、民法第1384条(方式審査)が適用される。

条文等根拠:民法第1384条第4項および第1386条第6項

ロシア連邦民法第4法典(2021年6月11日改正)
第1384条 発明出願の方式審査
4. 発明出願の方式審査を行って,これが発明の単一性要件(第1375条第1段落)に違反していることが確認されたときは,知的所有権を所管する連邦行政機関は,出願人が対応する通知を受領してから3月の期間内に,請求された発明の何れを審査の対象とするかを述べること及び必要な場合は出願書類を補正することを求める。当該出願においてクレームされたその他の発明は,分割出願として出願することができる。出願人が当該期間内に請求された発明の何れを審査の対象とするかを宣言せず,かつ,必要な場合に,該当する書類を提出することもしなかったときは,出願中で最初に請求された発明が審査される。

第1386条 発明出願の審査6. 発明出願の実体審査の間,知的所有権を所管する連邦行政機関は,実体審査又は特許の付与に関する決定に不可欠な追加資料(補正されたクレームを含む)を,出願人に要求することができる。この追加資料は,出願の実体を変更することなしに,要求又は出願に反駁する資料の写しの送付から3月以内に提出しなければならない。ただし,当該写しに関しては,当該連邦行政機関による要求から2月以内に,出願人がこれを請求することを条件とする。所定の期間内に出願人が請求された資料を提出するか又は期間の延長を求める申立を提出しない限り,出願は取り下げられたものとみなされる。当該連邦行政機関は,請求資料の出願人による提出のために定められた期間を10月を越えない範囲で延長することができる。
出願の実体審査において,発明の単一性要件が満たされていないことが確認された場合は,本法第1384条第4段落の規定が適用される。
出願人が追加資料を提出した場合は,当該資料が出願の本質を変更する(第1378条)ものであるか否かが確認される。
出願の本質を部分的に変更する追加資料は検討されない。出願人は,かかる資料を独立出願として提出することができる。知的所有権を所管する連邦行政機関は,この旨を出願人に通知する。

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・最大10か月まで延長可能

条文等根拠:民法第1386条第6項、ロシア連邦経済開発省令第316号第8条a)

ロシア連邦民法第4法典(2021年6月11日改正)
第1386条 発明出願の審査
(前出)

ロシア連邦経済開発省令第316号(2021年3月31日改正)
8. 請求書類の提出期限延長の申立は、以下の方法で行うものとする:
a) 民法第1384条第3項、第4項または第1386条第6項に規定する要求書、または出願人が当該要求書の送付日から2か月以内に当該コピーを請求した場合、出願に反対する資料の写しをロシア特許庁が送付した日から3か月以内;


日本とロシアの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

日本 ロシア
応答期間 60日(在外者でない場合)
3か月(在外者の場合)
3か月
応答期間の延長の可否
延長可能期間 最大2か月(在外者でない場合)
最大3か月(在外者の場合)
最大10か月

日本とタイの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

1.日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10 1.(2)ア、2.(2)ア

日本国特許法 第50条 拒絶理由の通知
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

日本国特許法第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)および第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

方式審査便覧04.10 法定期間及び指定期間の取扱い
1.手続をする者が在外者でない場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。
ア.意見書(特50条、商15条の2、15条の3第1項、商附則7条)
2.手続をする者が在外者である場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は1.(11)及び(12)を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、1.(2)の期間とする。
ア.意見書(1.(2)ア.において同じ。)

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能
 (*特許庁「出願の手続」第二章 第十八節 IV指定期間の延長、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_18.pdf

条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10 1.(16)ア、2.(12)ア、イ

日本国特許法第5条 期間の延長等
特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

日本特許庁 方式審査便覧 04.10 1.(16)ア、2.(12)
1 手続をする者が在外者でない場合
(16) 次に掲げる特許法、実用新案法及び意匠法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
ア.(2)ア.の意見書(特50条及び意19条の規定によるものに限る。)ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。
2 手続をする者が在外者である場合
(12) 特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。
ア.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができる。
イ.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

2.タイの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・拒絶理由通知書への応答期間は90日

条文等根拠:特許法第27条、審査マニュアル第1章第3部4.4.4第5条に該当しない場合の実務指針、第27条関連記載

タイ特許法 第27条
出願審査において,担当官は,出願人を召喚して質問に答えさせ又は書類その他を提出させることができる。
外国で特許出願を行った出願人は,省令に定める規則及び手続に従い,出願審査報告書を提出しなければならない。
提出すべき書類が外国語である場合,出願人は,その書類をタイ語の翻訳文と共に提出しなければならない。
出願人が前段落に基づく担当官の指示に従わないとき,又は90日以内に本条第2段落に従って審査報告書を提出しないときは,出願人は,その出願を放棄したものとみなす。長官は,必要に応じて適当と考える期間を延長することができるものとする。

審査マニュアル第1章第3部4.4.4第5条に該当しない場合の実務指針
第27条関連記載
特許出願が検討された結果、新規の発明ではなく及び/又は進歩性及び産業上の利用可能性を有さないと判断された場合、担当官は第27条に基づき補正通知又は補正命令を発行しても良く、その場合、特許出願人は通知の受領日から90日以内に手続きしなければならない。特許出願人が所定の期限内に応答又は補正できない場合、出願人は期限の延長を2回請求でき、1回目の延長は90日、2回目は30日である。前述の期限内に手続きを行わない場合、仏暦2522年特許法第27条に基づき特許出願を放棄したものと見なされる。
但し、審査官が出願を検討した結果、第6条、第7条、及び第8条の規定を準用する第5条に基づき正確ではないと判断した場合、出願人に検討理由及び/又は補正指示を通知し、出願人が明瞭化又は通知又は補正を正確に理解できるよう検討結果及び先行技術を添付する(独立クレームに対する補正の場合あり)。


(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・拒絶理由通知書への応答期間を、最大120日延長することが可能
 延長は2回申請することが可能であり、1回目の延長申請により90日の期間延長、2回目の延長申請により更に30日の期間延長が可能。

条文等根拠: Notification of DIP on Rule of Request for Extension of Time to Submit(2014.12.16)第4条~第6条

第4条
特許出願人または小特許出願人に対し、追加の書類の提出または出願の補正が指示された場合、特許出願人または小特許出願人は、担当官からの通知を受領してから90日以内に、追加の書類の提出または補正請求をしなければならない。
特許出願人または小特許出願人が、前項で指定された期間内に当該書類を提出することができないやむを得ない理由がある場合、特許または小特許の出願人は、上記の期間が経過する前までに長官または事務局長に救済を申請することができる。

第5条
特許出願人または小特許出願人が必要な理由を示し、第3条または第4条にしたがって救済を申請する場合、書類の提出または補正請求の提出期間は、書類提出または補正請求の期限の日からさらに90日間延長されるものとする。

第6条
特許出願人または小特許出願人が書類の提出または補正請求をすることができない場合、第5条にしたがって、延長が認められる期間内であれば、救済が認められた期間の満了前に、長官または事務局長によって任命された者に、正当な理由を示すことにより、さらなる救済を申請することができる。この場合、書類の提出または補正請求の期間は、再度延長され、その期間は提出期限から30日とする。




日本とタイの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

日本 タイ
応答期間 60日(在外者でない場合)
3か月(在外者の場合)
90日
応答期間の延長の可否
延長可能期間 最大2か月(在外者でない場合)
最大3か月(在外者の場合)
最大120日
(1回目の延長申請により90日の期間延長が可能+2回目の延長申請により更に30日の期間延長が可能)

日本とフィリピンの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

1.日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10 1.(2)ア、2.(2)ア

日本国特許法 第50条 拒絶理由の通知
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

日本国特許法 第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)および第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

方式審査便覧04.10 法定期間及び指定期間の取扱い
1.手続をする者が在外者でない場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。
ア.意見書(特50条、商15条の2、15条の3第1項、商附則7条)
2.手続をする者が在外者である場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は1.(11)及び(12)を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、1.(2)の期間とする。
ア.意見書(1.(2)ア.において同じ。)

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能
 (*特許庁「出願の手続」第二章 第十八節 IV指定期間の延長、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_18.pdf

条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10 1.(16)ア、2.(12)ア、イ

日本国特許法第5条 期間の延長等
特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

日本特許庁 方式審査便覧 04.10 1.(16)ア、2.(12)
1 手続をする者が在外者でない場合
(16) 次に掲げる特許法、実用新案法及び意匠法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
ア.(2)ア.の意見書(特50条及び意19条の規定によるものに限る。)ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。
2 手続をする者が在外者である場合
(12) 特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。
ア.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができる。
イ.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

2.フィリピンの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・拒絶理由通知書への応答期間は通常2か月以内

条文等根拠:規則928(a)

規則928. 期限内に応答しなかった場合の申請の取り下げ
(a) 申請者には、特許庁通知の郵送日から最長2か月の応答を提出する期間が与えられる。出願人が本規則に定められた期間内に出願を遂行しなかった場合、出願は取り下げられたものとみなされる。かかる応答がなかった場合には、出願取下げ通知が出願人に郵送されるものとする。

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・拒絶理由通知書への応答期間の延長は、正当な理由が認められた時、最大2か月の延長が認められる。

条文等根拠:規則928(b)

規則928. 期限内に応答しなかった場合の申請の取り下げ
(b) 応答時間は、正当かつ十分な理由があり、指定された合理的な期間に限り延長することができる。かかる延長の申請は、申請者の返答期限日までに提出しなければならない。審査官は、最大2か月の延長申請を1回のみ認めることができる。

日本とフィリピンでの、特許出願の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

日本 フィリピン
応答期間 60日(在外者でない場合)
3か月(在外者の場合)
2か月
応答期間の延長の可否
延長可能期間 最大2か月(在外者でない場合)
最大3か月(在外者の場合)
最大2か月

日本とブラジルの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

1.日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10 1.(2)ア、2.(2)ア

日本国特許法 第50条 拒絶理由の通知
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

日本国特許法 第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)および第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

方式審査便覧04.10 法定期間及び指定期間の取扱い
1.手続をする者が在外者でない場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。
ア.意見書(特50条、商15条の2、15条の3第1項、商附則7条)
2.手続をする者が在外者である場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は1.(11)及び(12)を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、1.(2)の期間とする。
ア.意見書(1.(2)ア.において同じ。)

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能
 (*特許庁「出願の手続」第二章 第十八節 IV指定期間の延長、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_18.pdf

条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10 1.(16)ア、2.(12)ア、イ

日本国特許法 第5条 期間の延長等
特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

方式審査便覧 04.10 1.(16)ア、2.(12)
1 手続をする者が在外者でない場合
(16) 次に掲げる特許法、実用新案法及び意匠法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
ア.(2)ア.の意見書(特50条及び意19条の規定によるものに限る。)ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。
2 手続をする者が在外者である場合
(12) 特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。
ア.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができる。
イ.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

2.ブラジルの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・拒絶理由通知書への応答期間は90日

条文等根拠:産業財産法第36条

ブラジル産業財産法 第36条
前記の見解書が,出願の非特許性,クレームの内容に対する出願の不適応性を確認するものであるか又は何らかの要求が設定されて場合は,出願人は,90日の期間内に意見書を提出するよう通知を受けるものとする。
要求に対する応答が提出されなかったときは,出願は最終的に却下される。
要求に対する応答が提出されたときは,要求が満たされていない場合又は要求の設定に異論がある場合,特許性又は妥当性に関して提出されている議論があるか否かに拘らず,審査は継続されるものとする。

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・拒絶理由通知書への応答期間の延長は、原則、不可。ただし、正当な事由が認められた時は、認められた期間について延長可能。

条文等根拠:産業財産法第221条

ブラジル産業財産法 第221条
本法に定める期限は継続するものとし,それが経過したとき,手続をする権利は自動的に消滅する。ただし,当事者が,手続をしなかったことについて正当な事由があることを証明したときは,この限りでない。
(1) 正当な事由とは,当事者が手続をすることを妨げた,当事者の制御外にある不測の事態とみなされる。
(2) 正当な事由が認められたときは,当事者は,INPIによって当事者に認められた期間内に,手続をしなければならない。

日本とブラジルの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

日本 ブラジル
応答期間 60日(在外者でない場合)
3か月(在外者の場合)
90日
応答期間の延長の可否 原則不可、条件付きで可となる場合もあり
延長可能期間 最大2か月(在外者でない場合)
最大3か月(在外者の場合)
認められた期間