中国における実用新案出願制度概要
実用新案の出願手続フローチャート図
(1)出願手続
(i)出願
・出願書類は、願書、明細書およびその概要、図面、特許請求の範囲等(専利法第26条、専利法実施細則第17条)である。
・すべての書類は中国語で提出する必要があり、中国語でない場合は不受理となる(専利法実施細則第3条・同第39条。以下単に「細則」とする)。外国語出願制度はない。
・日本と異なり、特許、実用新案、意匠の間での出願変更制度はない。ただし、同一の出願人が同一の発明創造に対して、同時に実用新案特許と発明特許の双方を出すことは認められている(専利法第9条)。
・パリ条約を利用した優先権主張は、第一国への出願から12か月以内にしなければならない(専利法第29条)。PCT出願の場合は、優先日より30か月以内に中国国内移行手続を行う必要がある。この期間は期限延長費を支払うことにより2か月延長できる(細則第103条)。
(ii)方式審査(中国語「初步审查」)
・願書や添付書類などが所定の方式に適合しているか否かおよび、明らかに不登録事由に該当するか否かの審査が行われ、必要に応じ、指定に期限内に意見の陳述または補正をするよう通知される(専利法第40条、細則第44条)。
・新規性(調査を経ずに顕著に新規性を有しない場合を除く)および進歩性を有するか否かの実体審査は行われず(登録後の無効請求により対応される)、出願公開制度、審査請求制度もない。
(iii)登録・公告
・審査の結果、出願を却下する理由が存在しない場合には、権利付与決定の後、実用新案権(中国語「实用新型专利权(実用新型専利権)」)が付与され、その旨が公告される。実用新案特許権は公告日から有効となる(専利法第40条)。
・実用新案出願が拒絶された場合には、出願人は拒絶査定の通知の日から3か月以内に国務院専利行政部門(中国語「国务院专利行政部门」)に対して再審(中国語「复审(復審)」)の請求をすることができる。国務院専利行政部門は不服審判後に決定を下し、かつ専利出願人に通知する。出願人は国務院専利行政部門の不服審判の決定について不服がある場合、通知受領日から3か月以内に人民法院に提訴することができる(専利法第41条)。
・登録手続を行う際には、特許登録料、公告印刷料および特許付与年の年金を納付しなければならない(細則第97条)。
・実用新案特許権の存続期間は、出願日から10年(専利法第42条)。なお、出願日は初日に算入する(審査指南第五部分第九章2.1)。
(2)自発的補正
・出願人は、出願日より2か月以内に、実用新案特許出願を自発的に補正(中国語「修改」)することができる。書類の補正は、元の明細書と請求項の範囲を超えてはならない(専利法第33条、細則第51条)。
(3)評価報告書
・実用新案について開放的許諾声明(専利の実施を許諾する意思がある旨の声明)を提出する場合、専利権者が自ら書面にて国務院専利行政部門に、専利権評価報告書(中国語「专利权评价报告」)を提供しなければならない。専利権者が開放的許諾声明を取り下げる場合は、書面により提出しなければならず、かつ国務院専利行政部門がこれを公告する。開放的許諾声明の取り下げが公告された場合、先に与えられた開放的許諾の効力には影響を及ぼさない(専利法第50条)。
・専利権侵害紛争が実用新案専利の場合、人民法院または専利事業管理部門は、専利権者または利害関係者に対し、専利権侵害紛争を審理し、処理するための証拠として、国務院専利行政部門が関連の実用新案について検索、分析、評価を行ったうえ作成した専利権評価報告書を提出するよう要求することができる。専利権者、利害関係者または被疑侵害者は、自発的に専利権評価報告書を提示することもできる(専利法第66条、細則第56条)。
・利害関係者とは、裁判所に侵害訴訟を提起する権利を有する原告、例えば、実用新案権、専用実施権者、および実用新案権者から契約等により訴権を取得した通常実施権者をいう。
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