チリにおける特許法の概要
1.チリにおける特許法(産業財産法)の概要
1-1.発明者および出願人
発明者、および、発明者からの譲受人(自然人であるか法人であるかを問わない)のいずれもが、特許出願の出願人となることができる(産業財産法第2条)。
特許出願に際して、発明者の氏名の記載が必要である(チリ産業財産規則(以下「産業財産規則」という。)第11条)。
外国人およびチリに居住していないチリ国民は、特許出願に際して、チリに居住する代理人を指定しなければならない。外国人に与えられる保護は、チリ国民に与えられる保護と同一である(産業財産法第2条)。
1-2.特許を受けることができる発明
発明とは、産業の分野において生じる技術的課題の解決手段をいう(産業財産法第31条)。発明の対象は、製品および方法のいずれでもよい(産業財産法第31条)。
発明は、新規性および進歩性を有し、産業上利用可能である場合に、特許を受けることができる(産業財産法第32条)。
1-2-1.新規性
チリにおける特許出願日前に世界のいずれかの国で公衆に開示された先行技術がない場合、その発明は新規性を有する。先行技術には、出願日時点において公開されていない先行のチリ特許出願が含まれる(産業財産法第33条)。
1-2-2.新規性喪失の例外
出願前の12か月以内に行われた公衆への開示が、出願人自身に開示されたものである場合、出願人の許可に基づき開示されたものである場合、または、出願人自身による開示に基づいて更に開示されたものである場合、発明の新規性を判断する際にその開示は考慮されない(産業財産法第42条)。
1-2-3.進歩性
当業者にとって発明が自明でない場合、その発明は進歩性を有する(産業財産法第35条)。
1-2-4.産業上の利用可能性
発明に係る物または方法を何れかの産業分野において製造または使用できる場合、発明は産業上利用可能性を有する(産業財産法第36条)。
1-2-5.特許保護の例外
以下のものは、特許を受けることができない(産業財産法第37条、第38条)。
(1) 発見、科学的理論および数学的方法
(2) 植物または動物の品種。植物または動物を生産するための生物学的方法。ただし、微生物学的方法は特許を受けることができる。
(3) 経済上、金融上、商業上の、制度、方法、原則、計画。精神的活動または知的活動をするための規則。ゲームをするための規則。
(4) 外科または治療による人体または動物体の処置方法。人体または動物体に対して行う診断方法。ただし、これらの方法において処置や診断に使用する製品は、特許を受けることができる。
(5) 既に使用されている物または要素の、新しい用途、形状の変更、寸法の変更、比率の変更、または、材質の変更。ただし、従来は解決策がなかった技術的問題を解決し、新規性および進歩性を有し、産業上利用可能である場合、特許を受けることができる。
(6) 自然界において見出される生命体の一部、自然界の生物学的過程、自然界に存在する生物学的材料または分離することのできる材料。これにはゲノムまたは生殖質が含まれ、ゲノムまたは生殖質は特許を受けることができない。一方、生物学的材料を使用する工程および生物学的材料を使用する工程から直接に得られた製品は、特許を受けることができる。
(7) 法律、公の秩序および国家の安全に反する発明、道徳もしくは公正な慣行、人もしくは動物の健康もしくは生命、または植物もしくは環境の保全に反する発明。
2.出願時の書類
2-1.特許出願に必要な書類(産業財産法第43条、産業財産規則第11条、第60条)
(1) 委任状(代理人にチリ工業所有権局への手続きを委任する場合)。委任状には、公証認証や領事認証は不要である。
(2) スペイン語の要約、明細書およびクレーム
(3) 図面(必要な場合)
(4) 優先権証明書(優先権を主張する場合)。優先権証明書の公証認証や領事認証は不要である。
以上の必要書類が不足した状態でも特許出願を行うことができる。ただし、予備審査(方式審査に相当)により不足書類が明らかになった場合、出願人は、60日以内(延長不可)に不足書類の補充を行う必要がある。不足書類が補充されない場合、出願はなかったものとみなされる(産業財産法第45条)。
チリ工業所有権局に対する手続のための委任状には、公証認証や領事認証は不要である(産業財産法第15条)。一方、裁判所に対する手続のための委任状には、領事認証が必要である。このため、外国企業などがチリ特許出願時に使用する際に代理人への委任状にチリ領事の認証を受けておけば、出願後に裁判所に対する手続きが必要になった場合、裁判所に対してこの委任状を使用できる。
2021年の法改正により、仮出願制度が導入され、産業財産法第43条の提出書類の要件を満たさない場合は、仮出願をすることができることになった(産業財産法第40条)。仮出願をした者は、仮出願の日から12か月以内に特許出願をすることにより、仮出願の出願日の利益を享受することができる。仮出願には、発明を十分に明確かつ完全に説明するスペイン語または英語による文書を添付しなければならない。なお、特許権の存続期間は、仮出願の日から20年となる。
2-2.チリ工業所有権局を受理官庁とするPCT出願(国際段階)
日系の現地企業以外、日本企業が使うことは基本的にないと思われるが、チリ工業所有権局を受理官庁とする国際特許出願(PCT出願)をする際には、出願書類としてスペイン語で作成した要約書、明細書、クレーム、図面(必要な場合)が必要である(産業財産法第115条)。
チリ工業所有権局を受理官庁とする国際特許出願では、チリ工業所有権局、欧州特許庁、スペイン特許商標庁または米国特許商標庁を国際調査機関として選択可能である。国際調査機関として欧州特許庁または米国特許商標庁を選択する場合、要約書、明細書、クレーム、図面の英語訳を、PCT出願日から1か月以内に提出しなければならない。
2-3.PCT出願のチリへの国内移行
PCT出願のチリへの国内移行期限は、優先日から30か月である(産業財産法第117条)。
国際出願がスペイン語以外の言語で記載されている場合、チリへの国内移行に際してスペイン語翻訳文が必要である(産業財産法第118条)。具体的には、明細書、クレーム、図面のテキスト部分、要約書のスペイン語翻訳が必要である。
3.審査の流れ
審査に際して、予備審査および実体審査が実施される(産業財産法第6条、45条)。
3-1.予備審査
出願されると、予備審査が行われ、実務上、出願日から6~8か月で予備審査通知が発行される。出願人は、予備審査において指摘された方式要件の不備に対して、予備審査通知から60日以内に応答する必要がある(産業財産法第45条)。すべての方式要件が満たされると、出願は受理される。出願受理から60日以内に出願(出願番号、出願人、要約書)が官報に公告されるよう、出願人(若しくは代理人)自らが、チリ官報局に手配しなければならない(産業財産規則第14条)。チリ工業所有権局は、官報における公告まで出願を秘密に保てる。
3-2.出願の公告
官報に出願が公告されると、出願は公衆の閲覧に供される。公告日から45営業日以内に、第三者は異議申立が可能である(産業財産法第5条)。異議申立がない場合、実体審査を進めるために審査官が指名される(産業財産法第6条)。
3-3.実体審査
審査官は、技術水準、産業上の利用可能性、発明の新規性および進歩性について、実体審査を行い、審査報告書を発行する(産業財産法第7条)。発明に拒絶理由があった場合に出願人が審査報告書で指摘された拒絶理由に対して応答することができる期限は、審査報告書の発行から60日である。一方、拒絶理由がない場合に特許付与が決定されると、出願人は、特許付与の決定から60日以内に手数料を納付しなければならない(産業財産法第8条)。
3-4.分割出願
出願人は、第一回の審査報告書が発行される前であれば、自発的に分割出願を行うことができる(産業財産規則第49条)。第一回の審査報告書が発行された後は、審査官による発明の単一性不備の指摘に対してのみ、分割出願を行うことができる(産業財産規則第40条)。
4.特許付与および保護
4-1.存続期間
特許権の存続期間は、出願日から20年である(産業財産法第39条)。
4-2.追加の保護
(1) 特許付与に際して不当な行政上の遅延(例えば、チリ工業所有権局による審査手続の遅延)があり、かつ出願日から起算して5年以上または審査請求から3年以上にわたって審査が行われた場合、特許権者は特許権の追加の保護期間を請求することができる。追加の保護期間の請求期限は、特許付与後60日である(産業財産法第53条の1)。この請求期限は、2021年の法改正により、従来の6か月から短縮されたものである。
(2) 医薬品の承認手続において不当な行政上の遅延(例えば、チリ公衆衛生局による医薬品の承認手続の遅延)があった場合、特許権者は特許権の追加の保護期間を請求することができる。追加の保護期間の請求期限は、医薬品の承認日から60日である(産業財産法第53条の2)。この請求期限は、2021年の法改正により、従来の6か月から短縮されたものである。
なお、特許出願または医薬品の承認手続に影響を及ぼす以下の事情は、不当な遅延とはみなされない(産業財産法第53条の3)。
(a) 異議申立または司法手続
(b) 審査に必要とされる国内もしくは国際機関からの報告書の受領に要した期間
(c) 出願人の行為または怠慢
4-3.特許表示
特許に係る発明を実施している商品には、「Patente de Invención(発明特許)」または「P.I.」という記載、および、特許番号が付されなければならない(産業財産法第53条)。この要件を満たさなくても特許の有効性に影響を与えることはないが、この要件を満たしていない場合、特許侵害者を刑事訴追することができない。
4-4.特許権
特許権者は、特許製品または方法を、製造、販売、販売の申出、輸入、またはその他の方法で商業的に利用する排他的権利を享受する(産業財産法第49条)。方法の特許にあっては、方法から直接得られた製品にも特許権による保護が及ぶ。
一方、医薬品の承認を取得する目的のためであれば、第三者は、発明特許の対象を輸入、輸出または製造することができる。ただし、特許権者の許可なく販売することはできない(産業財産法第49条)。
4-5.無効または取消手続
利害関係人は、特許の登録日から5年以内に、特許の無効を請求することができる。(産業財産法第18条の2G、50条)。
中国における意匠出願制度概要
意匠の出願手続フローチャート図
(1)出願手続
(i)出願
出願書類は、出願書、意匠の図面又は写真、意匠の簡単な説明書等(専利法第27条。専利法実施細則第27条・同第28条。以下単に「細則」とする)。
すべての書類は中国語で提出する必要があり、中国語でない場合は不受理となる(細則第3条・同第39条)。外国語出願制度はない。
パリ条約を利用した優先権主張は、第一国への出願から6か月以内にしなければならない(専利法第29条)。
なお、日本と異なり部分意匠制度や秘密意匠制度はない。
(ii)方式審査(中国語「初步审查(初歩審査)」)
願書や添付書類などが所定の方式に適合しているか否か、および、明らかに不登録事由に該当するか否かの審査が行われ、必要に応じ、指定期限内に意見の陳述または補正をするよう通知される(専利法第40条、細則第44条)。
新規性、先行する他人の権利と抵触するか否かの実体審査は行われず(登録後の無効請求により対応される)、出願公開制度、審査請求制度もない。
意匠出願が拒絶された場合には、出願人は拒絶査定の通知の日から3か月以内に審判部(中国語「专利复审委员会(専利復審委員会)」)に対して審判(中国語「复审(復審)」)を請求することが出来る(専利法第41条)。
(iii)登録・公告
審査の結果、出願を却下する理由が存在しない場合には権利付与決定の後、意匠権(中国語「外观设计专利权(外観設計専利権)」)が付与され、その旨が公告される。意匠権は公告日から有効となる(専利法第40条)。
意匠の登録手続を行う際には、登録料、公告印刷料及び特許付与年の年金を納付しなければならない(細則第97条)。
意匠権の存続期間は、出願日から10年(専利法第42条)。なお、出願日は初日に算入する(審査指南第五部分第九章2.1)。
(2)類似意匠(中国語「相似外观设计(相似外観設計)」)・組物意匠
原則として一出願一意匠であるが、同一製品における二つ以上の類似意匠、あるいは同一種類でかつセットで販売又は使用する製品の二つ以上の意匠は、一件の出願として提出することができる(専利法第31条、細則第35条)。なお、一件の意匠出願で最大10の類似意匠を出願できる(細則第35条)。
組物(中国語「成套产品」)の意匠の有効性については、場合に応じ、組物としての対比又は個々の構成物品としての対比により判断される(審査指南第四部分第五章5.2.1、同5.2.5.1)。
(3) GUI外観設計
国家知識産権局は2014年5月1日施行の「特許審査指南」において、通電後のGUI(グラフィカルユーザインターフェース)表示に該当する製品を意匠の保護範囲に取り入れた。
また、2019年4月4日の「審査指南改正草案」において、GUIに関する記載要件(GUI外観設計の製品名称や簡単な説明の記載要件、意匠の図面または写真の提出に関して)を明確にする案が提出されている。(審査指南改正草案第一部分第三章4.2~4.4)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/opinion/20190404_1.pdf
(4)自発補正
出願人は、出願日より2か月以内に、意匠出願を自発的に補正(中国語「修改」)することができる。書類の補正は、元の画像又は写真で表示した範囲を超えてはならない(専利法第33条、細則第51条)。
(5)評価報告書
意匠権の付与決定が公告された後に、意匠権者及び利害関係者は侵害訴訟における証拠となる意匠権の評価報告書(中国語「专利权评价报告(専利評価報告)」)の作成を中国特許庁に請求することができる(専利法第61条、細則第56条)。
利害関係者とは、裁判所に侵害訴訟を提起する権利を有する原告、例えば、意匠権、専用実施権者、及び意匠者から契約等により訴権を取得した通常実施権者をいう。
中国における商標出願制度概要
商標の出願手続フローチャート図
商標(中国語「商标(商標)」)の出願手続は、上記フローチャートに示したように、主に(1)出願、(2)方式審査、(3)出願公告、(4)実体審査、(5)登録・公告の手順で進められる。
(1)出願
・一つの出願において、多数の区分について同一の商標を登録出願することができる。(商標法第22条)。また、マドリッド協定又はマドリッド議定書に基づく国際出願において、指定商品又は役務は、国内の基礎出願又は基礎登録の商品又は役務の範囲を超えてはならない。(商標法実施条例(以下「条例」という)第39条)。
・出願手続は中国語を使用しなければならない(条例第6条)。
・音声を商標として登録出願できる(商標法第8条、条例第13条)。
・優先権を主張する場合は、最初の出願から6か月以内に行い、その主張の日から3か月以内に商標登録出願の副本を提出する(商標法第25条)。なお、この期間は延長できない。
・出願公開制度はない。
・団体商標制度及び証明商標制度がある(商標法第3条)。
(2)方式審査(中国語「形式审查(形式審査)」)
・出願日は、商標局が出願書類を受領した日となる。出願手続に不備がないかの方式審査を開始し、出願書類の受理又は不受理の通知を出願人に行う。出願手続または出願書類の記載に不備があり、関連規定の要件を満たさない場合、商標局は書面により出願人にその旨を通知し理由を説明する(条例第18条)。
・出願手続または出願書類の記載が基本的に関連規定の要件を満たすが、補正(中国語「补正(補正)」)の必要がある場合には、商標局は出願人に通知し、30日以内に補正をさせる(条例第18条)。なお、この応答期間は延長できない。
(3)実体審査
・商標局は商標登録出願について審査し、登録要件を満たす出願には出願公告査定(中国語「初步审定(初歩審定」)を行い、かつ公告する(商標法第28条、条例第21条)。
・出願が登録要件を満たさない又は一部の指定商品について登録要件を満たさない場合には、これを拒絶又は部分的に拒絶し、その旨を出願人に通知し理由を説明する(商標法第29条、第34条、条例第21条)。部分拒絶の場合、不服審判を請求しない限り、登録要件を満たす部分のみが公告される。
・商標局の拒絶通知に不服があるときは、出願人はその通知の日から15日以内に商標審判部に不服審判請求を行うことができる(商標法第34条)。
(4)出願公告
・出願公告査定され公告された商標については、公告後3か月以内であれば、誰でも異議を申し立てることができる(商標法第33条)。この異議は商標局の裁定を受け、商標局の裁定に不服がある場合、当事者は裁定の通知の日から15日以内に国家知識産権局の商標審、判部(中国語「商标评审委员会(商標評審委員会」)に審判請求を行うことができる(商標法第35条)。
(5)登録公告
・出願公告後3か月以内に異議申立がないとき、又は異議が成立しないと裁定された場合は、登録(中国語「注册(注冊)」)が認められ、商標登録証を交付され公告が行われる(商標法第33条、第35条)。
・登録商標が、商標法第4条、第10条、第11条、第12条、第19条第4項の規定のいずれかに違反するとき、または欺瞞的手段若しくはその他不正手段により登録を受けたときは、その他の事業単位または個人は登録の無効を請求でき(商標法第44条)、商標法第13条第2項および第3項、第15条、第16条第1項、第30条、第31条、第32条の規定に違反するときは、商標権者(中国語「商标所有人」)又は利害関係人(中国語「利害关系人」)は登録日から5年以内に商標審判部にその登録の無効を請求できる。ただし、登録商標が馳名商標(日本における著名商標)であり、かつ悪意の出願人により登録された場合であれば、該登録商標の商標権者は無効の請求につき5年の期間制限を受けない(商標法第45条)。
・権利の存続期間は登録日より10年であり(商標法第39条)、登録日は初日に算入する。更新したい場合は、存続期間満了前12か月以内に更新手続をしなければならない。この期間に手続できなかった場合は、追加料金の支払いが必要となるが、6か月の更新手続の延長期間が認められる(商標法第40条)。
・商標が登録後3年以上不使用の場合、如何なる単位または個人も商標局に不使用取消請求ができる(商標法第49条)。
(6)留意点
2019年11月1日施行予定の改正商標法では「使用を目的としない悪意の商標登録出願」を拒絶すること(商標法第4条1項)、異議理由(商標法第33条)、無効理由(商標法第44条1項)とすることが明文化されており、加えて、悪意による商標登録行為を行政罰の対象とし、悪意による権利行使を裁判所による司法罰の対象とすることが規定されている(商標法第68条4項)。
韓国における意匠(韓国語「デザイン」)出願制度概要
デザインの出願手続フローチャート図
・出願時に一部審査対象品目であるかを確認し、審査出願またはデザイン一部審査出願の別を決定する(デザイン保護法(韓国語「디자인보호법(デザイン保護法)」)第37条)
・部分デザイン出願(デザイン保護法第2条)、関連デザイン出願(デザイン保護法第35条)、一組の物品のデザイン(デザイン保護法第42条)、秘密デザイン出願(デザイン保護法第43条)等がある。
(1)方式審査
・出願書類等に不備がある場合、補正指示が発付される。これに応じなければ、出願は不受理となる。
(2)実体審査
・出願後、実体審査で拒絶理由があれば、意見提出通知書が発付され、拒絶理由がなければ、登録査定(韓国語「등록결정(登録決定)」となる(デザイン保護法第62条、第65条)。
・拒絶理由通知(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)を受けた場合、意見書や補正書を提出し、再度審査を受ける。通常発送日から2か月にあたる日が提出期日として明記・指定されている。この期日は、1か月ずつ4回延長が可能で、必要ならば4か月を一度に延長することも可能である。延長費用は、1回目は2万ウォン、2回目は3万ウォン、3回目は6万ウォン、4回目は12万ウォン、一度に4か月延長する場合は23万ウォンである。
ここで拒絶理由が解消されれば登録査定となるが、解消されなければ、拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)となる(デザイン保護法第62条、63条)。
(3)再審査請求
・審査で拒絶査定を受けた場合、拒絶査定謄本の送逹日から30日以内(2か月期間延長可能)にデザイン登録出願書に添付された図面、図面の記載事項および写真や見本を補正して、当該デザイン登録出願に関する再審査を請求することができる(デザイン保護法第48条、64条、120条、160条)。なお、再審査請求をするときには補正は必須である(補正を希望しない場合は、再審査請求ではなく拒絶査定不服審判を請求することができる)。
上記期間は、外国人の場合30日ずつ2回(内国人は1回)延長することができる。1回目は2万ウォン、2回目は3万ウォンである。(デザイン保護法第17条、第64条)
(4)拒絶査定不服審判(デザイン保護法第17条、第120条、127条)
・拒絶査定を受けてから30日以内(2か月期間延長可能)に拒絶査定不服審判を請求することができる。この期間は、外国人の場合30日ずつ2回(内国人は1回)延長することができる。1回目は2万ウォン、2回目は3万ウォンである。
・審判部で審理され、審査部に差し戻されるかまたは拒絶査定が維持される。
・拒絶査定が維持されれば、特許法院に審決取消訴訟をすることができ、その後、大法院に上告することができる。
(5)デザイン一部審査登録出願の異議申立(デザイン保護法第68条)
・デザイン一部審査登録出願では、設定登録されデザイン一部審査登録公告日後3か月前までに異議申立が可能である。
・異議申立で取消理由ありとされれば、登録取消となり、取消理由なしとされれば、登録維持となる。
(6)登録決定および存続期間(デザイン保護法第79条、第89条、第90条、第91条)
・審査後、登録決定され、3か月以内に3年次分の登録料を納付すれば、登録証が発付される。
・その後、継続して年金を納付すれば、設定の登録日から20年間、デザイン権が存続する。
中国における特許出願制度概要
特許の出願手続フローチャート図
発明特許の出願手続は、上記フローチャートに示したように、主に、(1)出願、(2)方式審査、(3)出願公開、(4)実体審査、(5)登録・公告の手順で進められる。
(1)出願
出願書類は、願書、明細書およびその概要(必要時には図面を添付)、特許請求の範囲等(専利法第26条)
すべての書類は中国語で提出する必要があり、中国語でない場合は不受理となる(専利法実施細則第3条・同第39条。以下、「細則」とする)。外国語出願制度はない。
日本と異なり、特許・実用新案・意匠の間での出願変更制度はない。ただし、同一の出願人が同一の発明創造に対して実用新案特許と発明特許の双方を出すことは認められている(専利法第9条)。
パリ条約を利用した優先権主張は、第一国への出願から12か月以内にしなければならない(専利法第29条)。PCT出願の場合は、優先日より30か月以内に中国国内移行手続きを行う必要がある。この期間は期限延長費を支払うことにより2か月延長できる(細則第103条)。
(2)方式審査(中国語「初步审查(初歩審査)」)
形式的要件を中心に審査されるが、一部の実体的要件(不特許事由、発明の単一性等)も審査される(細則第44条)。
形式的要件等を満たしていないと判断された場合、拒絶理由通知書(中国語「审查意见通知书」)が発せられ、所定の期間内に不備を訂正するよう求められる(細則44条)。
(3)出願公開
出願日(または優先日)から18か月経過後に公開される(専利法第34条)。
請求に基づき、早期公開も可能(専利法第34条。細則第46条)。
(4)実体審査
出願日(または優先日)から3年以内に審査請求をすることにより、新規性、進歩性および産業上利用可能性等についての実体審査が行われる。前記期間内に審査請求がなされなかった場合、出願は取り下げられたものとみなされる(専利法第35条)。
日本と異なり、中国では審査請求できるのは出願人のみである(第三者は請求できない)。
出願人は、実体審査に入る旨の通知を受領した日より3か月以内に、特許出願を自発的に補正(中国語「修改」または「补正(補正)」)することができる。書類の補正は、元の明細書および特許請求の範囲(中国語「原说明书和权利要求书记载的范围(原説明書と権利要求書記載の範囲)」)に記載した範囲を超えてはならない(専利法第33条、細則第51条)。
実体審査において、審査官が拒絶理由を発見した場合は、拒絶理由通知書等が出され、出願人との間で意見書・補正書(中国語「意见陈述书・补正书(意見陳述書・補正書)」)により応答がおこなわれる。
(5)登録・公告
特許要件を満たしていると判断された場合、特許査定(中国語「发明专利权的通知书(発明特許通知書)」)が出され、この通知の日から2か月以内に、登録手続を行わなければならない。期限内に登録手続をしなかった場合は、権利を放棄したものとみなされる(細則第54条)。
登録手続を行う際には、特許登録料、公告印刷料および特許付与年の年金を納付しなければならない(細則第97条)。
発明特許権の存続期間は、出願日から20年(専利法第42条)であり、出願日から計算する(審査指南第五部分第九章2.1)。日本と異なり、存続期間の延長制度はない。
韓国における商標出願制度概要
商標の出願手続フローチャート図
(1)商標登録出願(商標法第36条、第38条、第46条)
・商標登録出願の種類には通常の商標出願だけでなく、業務標章、団体標章、証明標章の出願もある。
・出願に必要な書類は、出願書、商標見本、委任状等である。パリ条約等に基づく優先権主張が可能となるのは、第一国の出願日から6ヶ月以内である。
・1出願多区分性を採っており、1区分追加ごとに料金が追加される。また、1区分につき指定商品・役務が20を超える場合は、超過の1商品・役務ごとに加算手数料が発生する。
(2)方式審査
・出願書類等が不備である場合、補正指示が発付される。これに応じなければ、出願が不受理となる。
(3)審査および意見提出通知書(商標法第55条)
・商標出願は審査で拒絶理由が発見されれば、拒絶理由通知(韓国語「의견제출통지서(意見提出通知書)」)が発付される。これに対して2ヶ月以内(1ヶ月ずつ4回延長可能)に意見書、補正書を提出すれば、再度審査され、公告決定または拒絶査定(韓国語「거절결정(拒絶決定)」)となる。
・複数類1出願においては拒絶理由が全て解消されなければ、複数類全てで拒絶査定となる。
(4)拒絶査定および拒絶査定不服審判(商標法第54条、第116条)
・拒絶査定されれば、拒絶査定謄本の送達日から30日以内(2ヶ月延長可能)に特許審判院に拒絶査定不服審判請求をすることができる。
・拒絶査定が維持されれば、特許法院に審決取消訴訟をすることができ、その後、大法院に上告することができる。
(5)出願公告(商標法第57条)
・審査で拒絶理由がなければ、公告決定され、公告される。公告日から2ヶ月以内であれば、誰でも公告された商標に対して異議申立をすることができる。
・審査官合議体は、異議申立に関して出願人や異議申立人が主張しない理由に関しても審査することができる(商標法第63条)。審査官合議体が異議申立に関する審査中に新しい拒絶理由を発見した場合には、出願人に期間を定めて意見陳述の機会を与えなければならない。
(6)登録決定および存続期間(商標法第68条、第83条)
・公告期間中、登録に瑕疵がなければ登録査定(韓国語「등록결정(登録決定)」)となり、2ヶ月以内に登録料を納付すれば、登録証が発付される。
・商標権の存続期間は設定登録日から10年間である。
(7)商標更新登録申請(商標法第84条)
・商標更新登録申請は、存続期間満了の1年前から申請することができる。
・また、商標権の存続期間が満了した後、6ヶ月以内においても更新登録申請が可能であるが、その場合には追加費用がかかる。
ペルーにおける特許法の概要
【詳細】
1.特許出願が満たすべき事項
1-1.新規性、進歩性、産業上利用可能性
特許が付与されるために、発明は、新規性、進歩性、産業上利用可能性を有する必要がある(決議第486号第14条)。
1-2.明瞭性、完全性
特許出願の明細書およびクレームは、明瞭性および完全性を有する必要がある(決議第486号第28条および第30条)。明細書の記述に基づき当業者が発明を実施することができず、さらなる技術的説明が必要な場合、出願は拒絶される。
1-3.発明の単一性
一つの特許出願は、単一の発明のみを含む必要がある(決議第486号第25条)。
複数の発明が一つの特許出願に含まれる場合、特許性は否定されないものの、審査官は、各発明について新たな特許出願を行うよう要求することができる。
2.方式審査
特許出願されると、ペルー公正競争知的所有権保護庁(INDECOPI)の発明新技術局は、出願が方式要件(決議第486号第26条および第27条)を満たすか否かを審査する。
方式要件が満たされていない場合、出願人にその旨が通知され、出願人に応答の機会が与えられる。応答期間は、通知から2ヶ月である。この応答期間は、出願人からの請求により一度限り、2ヶ月の延長が可能である(決議第486号第39条)。
応答期間の満了時に出願人が方式要件を満たさなかった場合、出願は放棄されたものとみなされる。
3.審査請求
公開日から6ヶ月以内に、出願人は、実体審査を請求しなければならない(決議第486号第44条)。
4.実体審査
4-1.審査官による審査報告書の発行
出願人が実体審査を請求すると、担当する審査官が任命される。審査官は、出願時の明細書およびクレームとともに、存在する場合は、図面、配列表、生物学的材料に関する証明書も審査し、審査報告書を発行する。
4-1-1.明瞭性の評価
明細書およびクレームが明瞭でなく、技術的課題と課題の解決方法とを理解することができない場合、審査官は、審査報告書に、明瞭性に関する拒絶理由を記載する。
4-1-2.禁止事項に該当するか否の評価
明細書およびクレームの明瞭性が満たされている場合、審査官は、発明が、決議第486号の第15条、第20条、第21条における特許性にかかる禁止事項に該当するか否かについて評価する。
4-1-3.発明の単一性の評価
審査官は、出願が発明の単一性を満たしているか否かを評価し、一つの出願に二つ以上の発明概念が存在する場合、発明の単一性の欠如を審査報告書で指摘する。発明の単一性欠如を理由とする審査報告書に対して、出願人は、分割出願を行うことができる。
4-1-4.新規性の評価
新規性に関して、審査官は先行技術に関する調査を行う。審査官は、発明の新規性を喪失させる先行技術が存在した場合、新規性が欠如するクレームを審査報告書で指摘する。
4-1-5.進歩性の評価
進歩性に関して、審査官は、先行技術に鑑みて発明が自明であるか否かを評価する。発明が、先行技術の構成要素の構造と類似し、同一の効果を示す場合、進歩性は認められない。先行技術に対して、クレームの構成要素の技術的利点が認められる場合、審査官は、発明が進歩性を有すると判断する。
4-2.出願人による審査報告書への応答
出願人は、審査報告書の通知から60日以内(30日間の期間延長が可能)に審査報告書に対して応答することができる(決議第486号第45条)。
特許を受けることができないクレームを削除すること、新規性または進歩性のいずれかの欠如により拒絶されたクレームを補正すること、または、先行技術に対する発明の効果を立証する実験または分析結果を提出すること、により拒絶理由が克服された場合、特許が付与される。
チリにおける特許法の概要
【詳細】
1.チリにおける特許法(チリ産業財産法)の概要
1-1.発明者および出願人
発明者、および、発明者からの譲受人(自然人であるか法人であるかを問わない)のいずれもが、特許出願の出願人となることができる(チリ産業財産法第2条)。
特許出願に際して、発明者の氏名の記載が必要である(チリ産業財産規則第11条)。
外国人およびチリに居住していないチリ国民は、特許出願に際して、チリに居住する代理人を指定しなければならない。外国人に与えられる保護は、チリ国民に与えられる保護と同一である(チリ産業財産法第2条)。
1-2.特許を受けることができる発明
発明とは、産業の分野において生じる技術的課題の解決手段をいう(チリ産業財産法第31条)。発明の対象は、製品および方法のいずれでもよい(チリ産業財産法第31条)。
発明は、新規性および進歩性を有し、産業上利用可能である場合に、特許を受けることができる(チリ産業財産法第32条)。
1-2-1.新規性
チリにおける特許出願日前に世界のいずれかの国で公衆に開示された先行技術がない場合、その発明は新規性を有する。先行技術には、出願日時点において公開されていない先行のチリ特許出願が含まれる(チリ産業財産法第33条)。
1-2-2.新規性喪失の例外
出願前の12ヶ月以内に行われた公衆への開示が、出願人自身に開示されたものである場合、出願人の許可に基づき開示されたものである場合、または、出願人自身による開示に基づいて更に開示されたものである場合、発明の新規性を判断する際にその開示は考慮されない(チリ産業財産法第42条)。
1-2-3.進歩性
当業者にとって発明が自明でない場合、その発明は進歩性を有する(チリ産業財産法第35条)。
1-2-4.産業上の利用可能性
発明に係る物または方法を何れかの産業分野において製造または使用できる場合、発明は産業上利用可能性を有する(チリ産業財産法第36条)。
1-2-5.特許保護の例外
以下のものは、特許を受けることができない(チリ産業財産法第37条)。
(1)発見、科学的理論および数学的方法
(2)植物または動物の品種。植物または動物を生産するための生物学的方法。ただし、微生物学的方法は特許を受けることができる。
(3)経済上、金融上、商業上の、制度、方法、原則、計画。精神的活動または知的活動をするための規則。ゲームをするための規則。
(4)外科または治療による人体または動物体の処置方法。人体または動物体に対して行う診断方法。ただし、これらの方法において処置や診断に使用する製品は、特許を受けることができる。
(5)既に使用されている物または要素の、新しい用途、形状の変更、寸法の変更、比率の変更、または、材質の変更。ただし、従来は解決策がなかった技術的問題を解決し、新規性および進歩性を有し、産業上利用可能でる場合、特許を受けることができる。
(6)自然界において見出される生命体の一部、自然界の生物学的過程、自然界に存在する生物学的材料または分離することのできる材料。これにはゲノムまたは生殖質が含まれ、ゲノムまたは生殖質は特許を受けることができない。一方、生物学的材料を使用する工程および生物学的材料を使用する工程から直接に得られた製品は、特許を受けることができる。
(7)法律、公の秩序および国家の安全に反する発明、道徳もしくは公正な慣行、人もしくは動物の健康もしくは生命、または植物もしくは環境の保全に反する発明。
2.出願時の書類
2-1.特許出願に必要な書類(チリ産業財産法第43条、チリ産業財産規則第11条)
(1)委任状(代理人にチリ工業所有権局への手続きを委任する場合)。委任状には、公証認証や領事認証は不要である。
(2)スペイン語の要約、明細書およびクレーム
(3)図面(必要な場合)
(4)優先権証明書(優先権を主張する場合)。優先権証明書の公証認証や領事認証は不要である。
一以上の必要書類が不足した状態でも特許出願を行うことができる。ただし、予備審査により不足書類が明らかになった場合、出願人は、60日以内(延長不可)に不足書類の補充を行う必要がある。不足書類が補充されない場合、出願はなかったものとみなされる(チリ産業財産法第45条)。
チリ工業所有権局に対する手続のための委任状には、公証認証や領事認証は不要である。一方、裁判所に対する手続のための委任状には、領事認証が必要である。このため、外国企業などがチリ特許出願時に使用する際に代理人への委任状にチリ領事の認証を受けておけば、出願後に裁判所に対する手続きが必要になった場合、裁判所に対してこの委任状を使用できる。
2-2. チリ工業所有権局を受理官庁とするPCT出願(国際段階)
日系の現地企業以外、日本企業が使うことは基本的にないと思われるが、もしチリ工業所有権局を受理官庁とする国際特許出願(PCT出願)をする際には、出願書類としてスペイン語で作成した要約書、明細書、クレーム、図面(必要な場合)が必要である。
チリ工業所有権局を受理官庁とする国際特許出願では、チリ工業所有権局、欧州特許庁、スペイン特許商標庁または米国特許商標庁を国際調査機関として選択可能である。国際調査機関として欧州特許庁または米国特許商標庁を選択する場合、要約書、明細書、クレーム、図面の英語訳を、PCT出願日から1ヶ月以内に提出しなければならない。
2-3. PCT出願のチリへの国内移行
PCT出願のチリへの国内移行期限は、優先日から30ヶ月である。
国際出願がスペイン語以外の言語で記載されている場合、チリへの国内移行に際してスペイン語翻訳文が必要である。具体的には、明細書、クレーム、図面のテキスト部分、要約書のスペイン語翻訳が必要である。
3.審査の流れ
審査に際して、方式審査および実体審査が実施される。
3-1.方式審査
出願されると、方式審査(予備審査)が行われ、実務上、出願日から6~8ヶ月で予備審査通知が発行される。出願人は、予備審査において指摘された方式要件の不備に対して、予備審査通知から60日以内に応答する必要がある(チリ産業財産法第45条)。すべての方式要件が満たされると、出願は受理される。出願受理から60日以内に出願(出願番号、出願人、要約書)が官報に公告されるよう、出願人(若しくは代理人)自らが、チリ官報局に手配しなければならない(チリ産業財産規則第14条)。チリ工業所有権局は、官報における公告まで出願を秘密に保てる。
3-2.出願の公告
官報に出願が公告されると、出願は公衆の閲覧に供される。公告日から45営業日以内に、第三者は異議申立が可能である(チリ産業財産法第5条)。異議申立がない場合、実体審査を進めるために審査官が指名される。
3-3.実体審査
審査官は、技術水準、産業上の利用可能性、発明の新規性および進歩性について、実体審査を行い、審査報告書を発行する。発明に拒絶理由があった場合に出願人が審査報告書で指摘された拒絶理由に対して応答することができる期限は、審査報告書の発行から60日である。一方、拒絶理由がない場合に特許付与が決定されると、出願人は、特許付与の決定から60日以内に手数料を納付しなければならない。
3-4.分割出願
出願人は、第一回の審査報告書が発行される前であれば、自発的に分割出願を行うことができる(チリ産業財産規則第49条)。第一回の審査報告書が発行された後は、審査官による発明の単一性不備の指摘に対してのみ、分割出願を行うことができる(チリ産業財産規則第40条)。
4. 特許付与および保護
4-1.存続期間
特許権の存続期間は、出願日から20年である。
4-2.追加の保護
(1)特許付与に際して不当な行政上の遅延(例えば、チリ工業所有権局による審査手続の遅延)があり、かつ出願日から起算して5年以上または審査請求から3年以上にわたって審査が行われた場合、特許権者は特許権の追加の保護期間を請求することができる。追加の保護期間の請求期限は、特許付与後6ヶ月である(チリ産業財産法第53条の21)。
(2)医薬品の承認手続において不当な行政上の遅延が(例えば、チリ公衆衛生局による医薬品の承認手続の遅延)あった場合、特許権者は特許権の追加の保護期間を請求することができる。追加の保護期間の請求期限は、医薬品の承認日から6ヶ月である(チリ産業財産法第53条の22)。
なお、特許出願または医薬品の承認手続に影響を及ぼす以下の事情は、不当な遅延とはみなされない(チリ産業財産法第53条の23)。
(1)異議申立または司法手続
(2)審査に必要とされる国内もしくは国際機関からの報告書の受領に要した期間
(3)出願人の行為または怠慢。
4-3.特許表示
特許に係る発明を実施している商品には、「Patente de Invención(発明特許)」または「P.I.」という記載、および、特許番号が付されなければならない(チリ産業財産法第53条)。この要件を満たさなくても特許の有効性に影響を与えることはないが、この要件を満たしていない場合、特許侵害者を刑事訴追することができない。
4-4.特許権
特許権者は、特許製品または方法を、製造、販売、販売の申出、輸入、またはその他の方法で商業的に利用する排他的権利を享受する(チリ産業財産法第49条)。方法の特許にあっては、方法から直接得られた製品にも特許権による保護が及ぶ。
一方、医薬品の承認を取得する目的のためであれば、第三者は、発明特許の対象を輸入、輸出または製造することができる。ただし、特許権者の許可なく販売することはできない(チリ産業財産法第49条)。
4-5.無効または取消手続
利害関係人は、特許の登録日から5年以内に、特許の取消を請求することができる。(チリ産業財産法第18条の2G、50条)。