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台湾における商標出願制度の概要

図1. 台湾商標登録出願手続フローチャート図

1.出願
1-1.出願書類

 願書、商標見本、委任状に加え、必要に応じて優先権証明書を提出する(商標法第19条第1項、第20条第4項、商標細則第5条第1項、第13条第1項)。

1-2.保護対象
 台湾商標法では、商標を「識別性を具えた標識で、文字や図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音など、又はその結合によって構成するものをいう」(商標法第18条第1項)と定義しており、文字、図形、記号、立体形状からなる商標のみならず、色彩、動き、ホログラム、音からなる商標も出願することができる。

2.方式審査(中国語「程序審査」)
 主に書類の様式(商標法第19条、商標法施行細則第2条、同細則第3条、同細則第4条、同細則第12条~同細則第19条など)、申請手数料(商標法第104条)などの確認が行われ、願書を提出した日が出願日として認定される(商標法第19条第2項)。

3.実体審査(中国語「實體審查」)
 識別性の有無(商標法第29条第1項第3号、同条第3項)、先願登録商標との同一・類似、品質誤認の有無、公序良俗違反の有無など、登録を受けることができない商標(商標法第30条第1項、同条第4項)に該当しないかについて審査される。これらの登録要件を具備しない場合は拒絶理由が通知され、意見書で反論する機会が与えられる(商標法第31条第2項)。

4.補正・分割
 指定商品や役務の減縮等の補正や出願の分割は、拒絶査定がなされる前まで、行うことが可能である(商標法第31条第3項)。

5.公告
 登録査定書送達の翌日から2か月以内に、登録料を納付することによって、商標登録および公告がなされ、商標登録証が交付される(商標法第32条第2項)。2か月以内に納付できない場合でも、未納付が故意でなければ、6か月以内に2倍の登録料を納付することにより、救済される(商標法第32条第3項)。

6.異議申立
 登録公告日から3か月以内であれば、誰でも異議申立ができる(商標法第48条第1項)。指定商品や役務単位で申立が可能(商標法第48条第2項)。副本送達後、商標権者は答弁書を提出して反論する(商標法第49条第2項)。異議決定により、異議理由が存在する指定商品や役務のみ取り消される(商標法第55条)。

7.商標権の効力
 商標権は公告の日から効力を有し、存続期間は10年間である(商標法第33条、同法第34条)。更新回数に制限はない。

8.留意事項
 登録査定後の登録料納付期間も異議申立期間も日本より長く、出願商標が本当に必要であるか、他人の登録商標に対して異議を申立てるかを検討するために、有効活用したいところである。
 なお、商標の審査等にかかる期間については、【ソース】の「処理期限(商標處理時限)」を参照願いたい。

中国改正商標法関連規定の主な改正点

【詳細】

 中国・改正商標法マニュアル(2015年3月、日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課)一の3、4、5、6、7

 

(目次)

一 改正法及び関連規定の主な改正点

 3 馳名商標認定保護規定 P.44

  (1) 第2条:馳名商標の概念の明確化 P.44

  (2) 第3条、第5条、第6条、第7条:馳名商標の認定機関及び認定申請のルートの明確化 P.45

  (3) 第4条:馳名商標の認定規則の明確化 P.46

  (4) 第8条:当事者の責任の明確化 P.46

  (5) 第9条:馳名商標の証拠に対する要求の細分化 P.46

  (6) 第10条、第11条、第12条:馳名商標保護請求の処理期限についての改正 P.47

  (7) 第13条、第14条、第15条:地方工商部門の馳名商標に関わる業務職責の明確化・細分化 P.49

  (8) 第17条:商標局による認定取消しの新設 P.49

  (9) 第18条、第19条、第20条:馳名商標に関わる各級の工商部門の職責及びその職員の責任及び監督の明確化 P.50

  (10) 条項の削除:原規定の第9条、第13条 P.50

 4 商標評審規則 P.51

  (1) 第一章 総則 P.51

   ① 第2条:審判案件の審理の規範化、商標審判案件の種類及び係争商標の呼称の明確化 P.51

   ② 第3条、第5条:データ電文方式による審判書類を提出・送達する規定の追加 P.53

   ③ 第8条第2項:和解に合意した案件の商標評審委員会による継続的な審理 P.53

  (2) 第二章 請求及び受理 P.54

   ① 第20条:当事者の提出した副本が要求に合致しない場合の法的結果の明確化 P.54

   ② 第23条:挙証期間満了後に提出する証拠の規範化 P.54

   ③ 第26条:商標の譲渡又は移転後の案件審理の規範化 P.55

  (3) 第三章 審理 P.55

   ① 第30条:当事者の合法的な権利の保障及びプロセスに関する規定のさらなる整備 P.55

   ② 第31条:先行権利案件の結果を待つという規定の追加 P.56

   ③ 第35条:審判決定・裁定の商標局への引き渡し、執行時間の延長 P.57

   ④ 第36条:審判決定・裁定を下した後の撤回及び更正に関する規定の追加 P.58

   ⑤ 第37条:人民法院の判決を執行するための再審プロセスの規範化 P.59

  (4) 第四章 証拠規則 P.60

   ① 第38条第2項:証拠形式の明確化 P.60

   ② 第44条第2項:証拠調べの必要性の規定 P.60

  (5) 第五章 期間、送達 P.61

   ① 第53条:提出形式及び提出期間の計算方法及び提出文書に対する要件 P.61

   ② 第54条:文書送達の効率の向上 P.62

   ③ 第55条:外国当事者の法律文書の送達方式 P.63

  (6) 第六章 附則 P.64

   ① 第57条:新旧法適用の基本原則の確定 P.64

 5 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.66

  (1) 商標登録事項について P.66

   ① 各種の商標登録出願案件、異議申立案件が適用する法律の問題について P.66

   ② 商標案件審査期限の計算問題 P.66

  (2) 商標審判について P.67

   ① 各種の商標審判案件の適用する法律について(2014年5月1日以降に審理する案件) P.67

   ② 商標審判案件の審査期限を計算する問題について P.67

  (3) 商標監督管理について P.67

   ① 商標違法行為の時間と適用法律に関する問題について P.67

   ② 「馳名商標」を使用する行為に対して適用する法律の問題について P.67

 6 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.68

  (1) 商標法改正決定施行前に提出した争議案件 P.68

  (2) 異議申立不服審判の請求について P.68

  (3) 審判案件の文書様式について P.68

  (4) 審判案件の費用を納付する規定について P.69

 7 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題に関する解釈」 P.70

  (1) 第1条:人民法院が受理する商標事件のタイプ P.70

  (2) 第2条、第3条:案件を管轄する規定について P.71

  (3) 第5条~第9条:各類の商標案件の適用する法律の規定について P.71

 

参考資料

 1 改正法の条文・対照表

  (4) 馳名商標認定保護規定 P.150

  (5) 商標評審規則 P.157

  (6) 工商総局による改正実施後の「中華人民共和国商標法」に関する問題の通知 P.169

  (7) 最高人民法院「改正商標法の施行決定後の商標事件の管轄と法律適用の問題

に関する解釈」 P.171

  (8) 商標評審委員会による商標法改正決定実施後の商標審判案件に関する問題の通知 P.174