韓国における特許権侵害の判例
「韓国の知的財産権侵害 判例事例集」(2021年3月、日本貿易振興機構ソウル事務所)
(目次)
特許法 p.1
1.特許無効審判等の審判請求における一事不再理の原則違反の判断基準時点は「審決時」である点を明確にした事例 p.1
(一事不再理の原則違反の判断基準時点を明確にして、実務上の混乱を防止したことに意味があると言える判例を紹介している。)
2.抗癌剤併用療法発明の新規性及び進歩性が先行文献としての臨床試験計画書により否定されないとした事例 p.4
(医薬用途発明において、公開されている臨床試験実施計画だけでは進歩性が否定されないと判断された判例を紹介している。)
3.無権利者から特許権の移転を受けた譲受人は、特許法第38条第1項にいう「第三者」には該当しないとされた事例 p.8
(特許権の移転を受ける場合において、特許権の権利関係、責任関係を明確にしておく必要があることについて参考となる判例を紹介している。)
4.権利範囲確認審判における確認対象発明の説明書に不明確な部分があっても確認対象発明が特定されていると判断した大法院判決 p.10
(確認対象発明の権利範囲は、記載が不明確でも総合的に考慮して判断するとした判例を紹介している。)
5.特許請求の範囲の解釈において発明の説明と図面を参酌するとしても、それによって請求の範囲を制限または拡張して解釈することは許されないとした事例 p.14
(参酌する程度を超えた発明の説明や図面などにより、特許請求の範囲を制限または拡張することは許容されないという点を確認した判例を紹介している。)
6.登録特許の公知時点は登録料の納付日ではなく特許登録原簿の生成により特許権の設定登録がされた時点であるとした事例 p.17
(登録公告が先行発明とされて公知時点が問題となった場合に参考となる判例を紹介している。)
7.特許発明の構成要素の一部を省略して他の構成を付加した確認対象発明に対し、特許発明との利用関係を否定した事例 p.21
(明細書に実施例や請求項にどのような構成を必須構成として記載するか検討する際に参考となる判例を紹介している。)
8.数値限定を含む構成要素が他の構成要素と有機的に結合しており数値限定に臨界的意義がなくても進歩性が認められるとされた事例 p.24
(どのような場合に数値限定発明の進歩性が認められるのか参考となる判例を紹介している。)
9.確定した審決後に請求された無効審判事件で新たに提出した証拠が確定審決を覆すだけの有力な証拠であると認めることができない場合は、一事不再理の原則に違背する p.28
(インターネット上の動画等を先行技術とする場合の取り扱いについて、実務上参考となる判例を紹介している。)
10.共同開発契約に違反して一方が特許登録して実施した場合にも、契約内容上、損害賠償請求等が成立しないとされた事例 p.31
(共同開発の契約締結の際、実施制限や利益分配などの約定の検討に参考となる判例を紹介している。)
11.数値限定発明である出願発明は先行発明と比べて異質的効果がなく数値限定に臨界的な意義を確認できる資料もないので進歩性が否定されるとした事例 p.34
(これまでの法理と同じだが、数値限定発明の進歩性判断に関する判例を紹介している。)
12.人体への有害性が認められた植物抽出物を含有する食品組成物は、公衆の衛生を害するおそれがあるため特許を受けられない p.37
(食品に関する発明において、原料が人体に有害であるため特許を受けることができないと示された判例を紹介している。)
13.大きな問題にならない訂正前の表現を、請求の範囲の解釈上の憂慮を払拭させるために訂正したことは訂正要件に違反しないとした事例 p.41
(特許登録後、請求の範囲の減縮に該当しない場合において、請求項の範囲の表現の訂正する際に参考となる判例紹介している。)
14.特許法院において補正却下の決定は適法であるとしながらも、補正前の明細書に基づいて出願発明の進歩性が否定されないとした事例 p.44
(技術的思想を考慮することが重要であるという進歩性判断の参考となる判例を紹介している。)
15.改正法の施行日前の原出願時に公知例外主張をしていなければ、その施行日以後の分割出願に対しても公知例外主張をすることはできない p.49
(分割出願における公知例外((日本の「新規性喪失の例外」に相当)主張の改正前の時期的要件についての判例を紹介している(大法院での上告審進行中)。)
16.特許庁の旧告示に基づき存続期間延長の無効が争われ、外国の臨床試験期間が存続期間の延長期間に含まれるとされた事例 p.52
(医薬品許可等に基づいた存続期間の延長期間算定に関する外国の臨床試験期間の扱いについての判例を紹介している(大法院での上告審進行中)。)
17.特許侵害差止訴訟の事実審の弁論終結以後に特許の訂正請求に係る審決が確定しても、訂正前の明細書により判断した原審判決に再審事由はない p.56
(特許権者が侵害差止訴訟を提起した後、訂正審判または無効審判の手続において訂正請求をした場合の訴訟戦略において参考となる判例を紹介している。)
18.訂正請求があった無効審判の審決取消判決が確定した場合において、その確定した審決取消判決の拘束力の範囲について判示した大法院判決 p.60
(確定した審決取消判決の拘束力の範囲について示した判例を紹介している。)
韓国における特許法改正(2015年1月/7月施行)が出願実務に与える影響【その2】
【詳細及び留意点】
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