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ニュージーランド商標制度概要

 ニュージーランドにおける商標保護は、2003年8月20日に施行された2002年商標法(2002年第49号)および2003年商標規則(2003/187)(以下、規則)の規定にしたがって付与される。
 2002年商標法は、2003年商標改正法(2003年第100号)、2005年商標改正法(2005年第116号)、2011年商標改正法(2011年第71号)、2012年商標改正法(2012年第20号)、2013年特許法2013による改正(2013年第68号)、2016年環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定2018(the Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership Amendment Act 2018)による改正(2016年第90号)、2017年電子相互作用改革法2017(Electronic Interactions Reform Act 2017)による改正(2017年第50号)、2018年税関物品税法208(Customs and Excise Act 2018)による改正(2018年第4号)、2019年規制システム(経済開発)改正法2019(the Regulatory Systems (Economic Development) Amendment Act 2019)による改正(2019年第62号)などにより商標法が改正されている。このうち、2011年商標改正法により、マドリッドプロトコル(標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書)が2012年12月10日に、ニース協定が2013年10月16日に発効している。また、2019年改正により(2020年1月13日施行)、2020 年 1 月 13 日もしくはその後に商標権の存続期間が満了する商標権については商標登録更新期限の猶予期間が6か月に変更された。
 ニュージーランドでは、2022年9月現在、2017年1月1日に発効したニース分類第11版を採用している。

 ニュージーランドは「先使用主義」である。市場における商標の最初の使用者が、商標の真正な「所有者」または「所有権者」とみなされる。未登録商標の先使用者は、第三者により当該商標の出願がなされた場合には、当該出願の登録を阻止する、または既存の第三者の商標登録を取り消すことができる。

 ニュージーランドにおいて、商標に関して準拠すべき他の法規範には、ニュージーランドの裁判所の判決および商標局長の決定が含まれる。その他の商標に影響を及ぼす法律としては、詐称通用および消費者保護に関する1986年公正取引法(The Fair Trading Act)
や2008年刑事情報開示法( the Criminal Disclosure Act)が挙げられる(「Enforcing」https://www.iponz.govt.nz/about-ip/trade-marks/enforcing/)。

1.保護可能な商標の種類
 写実的に表現可能であり、商品または役務を他者のものと識別可能なあらゆる標識は、登録することができる(商標法第5条「商標」)。このようなものには、下記が含まれる(商標法第5条「標識」、Practice guidelines「Examination of trade mark applications」(https://www.iponz.govt.nz/about-ip/trade-marks/practice-guidelines/current/examination-of-trade-mark-applications/#fn:15))。
・ブランド
・色彩:識別性のある色彩であることを条件とする(商標法第19条)。出願人は願書とともに、色彩見本、または広く認知され容易に入手可能な色標準(Pantone®カラーシステムの色見本帳など)による色彩の説明のうち、いずれか一方を提出しなければならない(規則42(b)、Practice guidelines「Examination of trade mark applications」「3.4.1 Colour marks」)。
・図形
・見出し
・ラベル
・文字:外国文字の場合は字訳の提出が必要である(規則44(e))。
・名称:標識が人の名称または表示を含んでいる場合、名前を含む本人またはその代理人からの同意書を提出する必要がある(商標法第23条、Practice guidelines「Names and Representations of Persons」「2.The name or representation of a person」)
・数字
・形状(立体商標も登録可能):出願人は願書とともに、当該商標のすべての特徴を明確に示す見本を提出しなければならない。この要件は通常、その形状の複数の角度からの図を提出することで満たされる(Practice guidelines「Examination of trade mark applications」「4.3.2 Shape marks」
・署名
・におい
・音:楽譜は、音商標を写実的に表現する手段として受け入れられる。その音を生み出すために使用された楽器が音商標の一部を構成する場合、その旨を明示しなければならない(規則42(b)、Practice guidelines「Examination of trade mark applications」4.3.3 Sound marks)。
・味
・チケット
・単語:外国語句の場合は翻訳の提出が必要である(規則44(f))。
・証明商標、団体商標およびシリーズ商標
・アニメーション、動画:動画を表示するには、一連の静止画像とともに、当該商標の内容およびその使用時の配列に関する説明書を提出する必要がある(規則42(b)、Practice guidelines「Examination of trade mark applications」「4.3.4 Animation or moving images」)。

 ニュージーランド知的財産庁(IPONZ)が受領したすべての商標出願は、ニュージーランドの先住民であるマオリ人の標識を含んでいるかどうか、またはマオリ人の標識から派生したものかどうかが判断される(商標法第条17条(1)(c)、Practice guidelines「Examination of trade mark applications」「2.4 Māori trade marks」(https://www.iponz.govt.nz/about-ip/trade-marks/practice-guidelines/current/examination-of-trade-mark-applications/#jumpto-2__002e-examination1))。

2.採用分類
 ニュージーランドは、世界知的所有権機関(WIPO)により公表されている2017年1月1日に発効した商品およびサービスに関する国際分類が詳述されたニース分類第11版を採用している(「Eleventh edition of the Nice Classification」https://www.iponz.govt.nz/news/eleventh-edition-of-the-nice-classification/)。

3.複数分類出願
 単一の出願に1つまたはそれ以上の商品およびサービスに関する分類を含めることができる(規則43(1))。

4.出願時の必要書類および情報
 出願は,出願時において次の情報を含んでいなければならない(規則42)。
(1) 出願人の名前および住所;共同出願の場合は、各出願人の名前および住所
(2) 商標の明瞭な表示
(3) 連続商標(1出願に商標のバリエーションが複数含まれるもの)の場合、その連続における各商標の明瞭な表示
(4) 求める登録の対象である商標およびサービス
(5) 出願人宛先に関する情報(電話番号、ファックス番号、eメールアドレス、代替宛先(代理人を選任している場合は、代理人の名前(ニュージーランドにおける送達先住所が必要である))。

5.優先権
 ニュージーランドは、工業所有権の保護に関するパリ条約の加盟国である。パリ条約の第4条に従い、出願人は第一国出願の優先日を主張できるが、かかる後の出願が第一国出願から6か月以内に提出されることを条件とする(商標法第36条)。

 優先権主張は、出願時または出願後2就業日以内に行われなければならず、その後の優先権主張は認められない(規則46)。

6.審査手続
 すべての商標出願は、下記に示す商標法の要件を満たしているかどうか審査される(商標法第39条、規則41、Practice guidelines「Examination of trade mark applications」「2. Examination」https://www.iponz.govt.nz/about-ip/trade-marks/practice-guidelines/current/examination-of-trade-mark-applications/)。
(a) 出願が商標法の規定に従って行われている(商標法第13(2)(a))。
(b) 出願が必須の書類および情報を満たしている(規則41(1)(b)、規則44)。
(c) 優先権主張が要件にしたがって行われている(規則46、規則47)。
(d) 出願に関する所定の料金が支払われている(規則41(1)(a))。
(e) 絶対的拒絶理由*1または相対的拒絶理由*2が存在しない(商標法第13条(2)(c))。
*1:絶対的拒絶理由は、商標法第17条から第21条に規定されている。
*2:相対的拒絶理由は、商標法第22から第30条に規定されている。

 審査は通常、出願日から40日以内に行われる(「Timeframes」Trade Marks「Correspondence」(https://www.iponz.govt.nz/support/timeframes/#jumpto-trade-marks1))。

 商標法の要件を満たしていないと判断されたときは、拒絶理由通知(Compliance report)を発行し、出願人に応答または補正の機会が与えられる(商標法第41条、規則69(1))。なお、拒絶理由に対する応答期間は出願日から12か月以上の期限が与えられる(延長可)(規則61、規則62)。応答しない場合は放棄されたものとみなされる(商標法第44条(1))。

7.認可および異議申立
 出願が商標法の要件を満たしている場合、その出願は許可される(商標法第40条)。許可された出願は、毎月1回、オンラインIPONZ商標公報において公告される(商標法第46条、「The Journal」(https://www.iponz.govt.nz/about-iponz/the-journal/))。

 何人も、公告日から3か月以内に異議申立を行うことができる(規則75(1))。

 異議申立書が提出された場合、出願人はその後2か月以内に答弁書を提出する(規則79)か、自己の商標出願を取り下げなければならない。異議申立の期限は出願人の同意なしに1か月および出願人の同意を得て2か月まで延長することができる(規則75(2))。出願人が当該2か月以内またはその延長期間内に答弁書を提出しない場合、その出願は取り下げられたものとみなされる(商標法第48条(2))。

 異議申立手続が開始された場合、各当事者は証拠を提出することができ、かかる証拠は宣誓書とともに提出しなければならない(規則82、規則84、商標法第160条(1))。すべての証拠が提出され、正式なヒアリングが行われた後に、異議決定が下される(商標法第49条)。

 ヒアリングの代わりに、提出された証拠のみに基づく異議決定を要求することができる(規則122、「Trade Mark Hearings」Opposition to registration of a trade mark「10. Hearing」(a)(https://www.iponz.govt.nz/about-ip/trade-marks/hearings/current-hearings/opposition/)。

 費用の支払い命令を含む異議決定書が発行される(規則162、「Trade Mark Hearings」「Opposition to registration of a trade mark」「11. Assistant Commissioner’s written decision」(https://www.iponz.govt.nz/about-ip/trade-marks/hearings/current-hearings/opposition/))。異議決定を不服とする場合は、その決定の日から20就業日以内に不服申立を高等裁判所に提起することができる(商標法第5条「裁判所」(a)、第170条、第171条、「Trade Mark Hearings」「Opposition to registration of a trade mark」「12. Appeal」(https://www.iponz.govt.nz/about-ip/trade-marks/hearings/current-hearings/opposition/))。

8.登録および更新
 商標登録存続期間は10年間である(商標法第57条(1))。存続期間は更新申請により延長できる。期限までに更新申請されない場合、その商標は登録簿から削除される(商標法第59条(6))。商標登録は、期限の12か月前以降および期限日6か月後まで更新することができる(商標法第59条(2)(a))。

9.商標の使用
 登録日から連続する3年間にわたり使用されなかった場合、商標登録は取り消される可能性がある(商標法第66条(1)(a))。商標権者による商標の使用には、商標権者以外のライセンシーその他の者による使用も含まれる(規則96(1))*1
*1:規則96(1)に「不使用を理由とする取消申請の対象である商標の所有者又はライセンシー(中略)当該申請に異議を申し立てることができる。」と記載されていることより使用者に含まれていると解すことができる。

10.取消
 商標権者は、登録商標の取消通知を提出することにより商品またはサービスの全部または一部について抹消することができる(商標法第61条、規則113)。
 このような自発取消は、紛争または不使用取消請求の後、和解の条件として行われる場合がある。
 商標権者は、登録日後は登録商標の態様は、いかなる方法によっても変更することはできないが、登録簿における商標権者の名義または住所は変更することができる(商標法第77条、第78条(a))。

インドにおけるブランド保護

 ブランディングの中核は、企業のアイデンティティを発信することである。企業は、自社の製品について競合他社の製品との差別化を図り、洗練されたイメージを公衆に印象付けるため、戦略的な事業計画の一環として、ブランディングに多大な投資を行う。企業が自社の製品やサービスを提供する際に使用するブランド名は、一般に商標と呼ばれる。インドでは、商標とは「図形的に表現でき、かつ、ある者の商品またはサービスを他人の商品またはサービスから識別できる標章をいい、商品の形状、その包装、および色彩の組合せを含む」と定義される(インド商標法第2条(1)(zb))。このようにインド商標法は、商標を包括的に定義しており、言葉、文字、数字、図案のほか、音声商標、色彩商標、立体商標など図形的表示できて、商品と役務を識別することができる新しいタイプの商標もカバーする。

 米国、英国、オーストラリアと同様に、インドはコモンローに基づく商標権を認めており、先使用主義を採用している。すなわち、登録の有無にかかわらず、最初に商標を採用し使用した者がより強い権利を有する。インドはまた、インドで使用も登録もされていない商標であっても、広く知られており、国境を越えた評判を有する周知商標の保護を認めている。

○ブランド管理
・ブランドの特定と評価:ブランド価値を最大限に活用するためには、知的財産監査(Intellectual Property Audit)を通じて、商標ポートフォリオを構成するブランドや商標を正確に特定する必要がある。これには、登録商標のみならず、使用されているが未登録の標章や、ドメイン名等が含まれる。

・先行技術調査:新たな商標の採用や導入に際して、拒絶や異議申立、無効審判請求等を回避するため、出願前に先行例調査を行うことが望ましい。

・商標の登録:商標登録により、商標権者は、当該商標を独占的に使用し、または他人に使用許諾することができる。また、商標登録により法廷確実性が生じ、訴訟に際しての商標権者の立場が強化される。

・商標の使用:商標権者は、不使用取消審判請求を受けないよう注意する必要がある。インド商標法第47条は、商標が善意で登録されたのではなく、出願日の3か月前までに使用されていないことが立証された場合、または登録証の発行日から5年3か月にわたり継続して使用されていない場合、当該商標は商標登録簿から削除されると定めている。

・商標権の更新:インドでは更新料を納付することにより、10年毎に商標権の存続期間を更新することができ、更新の回数に制限はない。更新を行わない場合、商標登録簿から削除される。

○インド財務省中央物品関税局(Central Board of Indirect Taxes & Customs:CBIC)への登録
 2007年知的財産権(輸入品)執行規則は、模倣品や不正な輸入品の悪影響を排除するため、知的財産権(特許、商標、著作権、意匠権、地理的表示)を中央物品関税局(CBIC)に登録する制度を規定している。CBICへの登録により、インドで登録され有効に存続する知的財産権を侵害することが認定され、または侵害が疑われる物品の通関を停止し、差押さえ、押収する権限が税関当局に与えられる。

 知的財産権が税関登録されると、データベースに当該知的財産権が登録され、インドの全入港地点で税関当局の職員が閲覧可能となる。税関当局の職員は、データベースの登録情報を確認し、知的財産権保護の観点から、侵害品や模倣品が市場に流入する前に、職権により差し押さえることができる。

 税関登録は、登録日から最低5年有効である。ただし、届出人または知的財産権者が、より短い期間での税関の支援または措置を求める場合はこの限りではない。さらに、申請者は1件の申請で、侵害品や模倣品の輸出入が疑われる税関の航空貨物センター(Custom Air Cargo Complexes)、港湾(Seaports)、陸上税関局(Land Customs Stations)のすべてをカバーすることができる。

○商標権の保護と権利行使
 以下に、ブランド所有者が、自らのブランドおよび商標権を保護するためイに講じることができる対策の一部を紹介する。

(1)防衛的戦略
・商標、取引標章等の特定と登録
・TMマークやRマークなど適切な商標表示の使用
・ドメイン名として商標を登録し、ドメイン名の不法占拠に対抗する
・登録商標のタイムリーな更新による商標ポートフォリオの管理
・公報モニタリングによる商標ウォッチを通じて、侵害者および競合の活動を把握
・インターネット上での(他社による)商標利用のモニタリング
・レーザーコーディング(レーザーによる刻印)、電子透かし技術、およびRFID等の技術的保護措置を使用した模倣品の検知

(2) 攻撃的戦略(インド商標法に基づく救済)
・侵害の場合は警告状の送付
・異議申立または訂正措置の申請
・民事訴訟または刑事訴訟の提起

○知的財産権が侵害された場合の救済策
 以下の図は、知的財産権の侵害訴訟等により得られる救済を示す。

知的財産権侵害に対する救済ルートと救済内容

 インド商標法は、誤認表示、不正表示、虚偽表示、侵害、詐称通用に対して、損害賠償、差止、罰金または禁固もしくはその併科による民事救済と刑事救済を定めている。

○まとめ
 インド政府は、知的財産環境の更なる構築を表明しており、マドリッド協定議定書への加盟や、国内の知的財産政策により、インドでは様々な政策改革が今後も予想される。

ブラジルにおけるマドリッドプロトコルの採用

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トルコ商標制度概要

トルコ特許商標庁(以下、「TÜRKPATENT」)に行われた商標出願は、TÜRKPATENTにより、形式的審査の後に絶対的拒絶理由の観点から審査され、絶対的拒絶理由の審査を通過した商標は、商標公報(以下、「公報」)で公告される。商標出願の公告から2月以内に、利害関係人により絶対的または相対的拒絶理由に基づいて異議申立が可能である。

商標登録の有効期間は、出願日から10年である。商標登録更新料を支払うことにより、10年ごとの更新が可能となっている。登録日から5年間使用されていない商標は、商標の不使用取消請求により取り消される。

 

1. 産業財産法

トルコの国内法において商標法は、2017年1月10日に施行された産業財産法第6769号および2017年4月24日に施行された産業財産法の適用に関する規則で規定されている。

トルコは、「先使用主義」を認めている。

 

2. 標章

ある商品または役務を、他の事業の商品または役務から区別し、商標として登録された場合に、その商標権者に保証される保護の対象を明確に理解できる形式で登録簿に表示できる場合には、下記の標章は商標として登録される。

・文字

・名称

・図形

・立体的形状

・色彩(審査は、色彩が具体化された一定の形の中で使用される場合、識別性を有するか否かの観点から行われる。)

・スローガン

・音

・匂い(出願に化学式を添付する必要がある。)

・トレードドレス

・動き(動きの標章を示す画像の連続は動きの出願時に提出する必要がある。さらに、明確で包括的な動きの説明、提出された画像の説明ならびに画像の数および順番を含む動きの明細書が提出される必要がある。出願対象の動きに関する電子ログを、コンピューター環境で見て保存することができる形で保存されたCDを出願時に提出する必要がある。)

TÜRKPATENTは、味の商標に関する出願を認めていない。

 

3. 分類

トルコにおいて、商品および役務は、「標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」(以下、「ニース協定」)に従って分類される。

商標出願は、複数の分類についても行うことができる。

商標出願は、出願人の要求に基づいて、TÜRKPATENTにより出願が登録されるまで、複数の出願に分割することができる。分割のために、申請書および料金の支払いを示す書類をTÜRKPATENTに提出する必要がある。登録された商標は分割することができず、分割された出願は、再度まとめることができない。

 

4. 出願

商標出願は、TÜRKPATENTが有効と認める出願フォームを用いて作成し、TÜRKPATENTに提出する。出願フォームには、下記の情報を記載する必要がある。

  • 出願人の身分および連絡先情報
  • 出願が代理人により行われる場合、代理人の身分および連絡先情報
  • 優先権の主張があれば、その優先権に関する情報
  • 商標の見本
  • 商標の見本でローマ字以外の文字が使用されている場合、その文字に対応するローマ字
  • 商標出願に係る商品または役務のニース協定における区分番号およびこの番号に従って作成されたリスト
  • 権限者の署名
  • 出願料、出願範囲内に複数の商品または役務の分類がある場合、追加の分類の料金が支払われたことを示す書類
  • 同意書が提出される場合には、その同意書に関する情報
  • 共同出願人の代表者がいる場合には、その代表者に関する情報
  • 追加の文書や添付資料がある場合には、それらの資料に関する情報

 

優先権を主張する場合は、下記の情報もTÜRKPATENTに提出する必要がある。

  • 所轄官庁から取得した優先権を示す書類の原本および特定の要件(トルコ国籍、大学以上を卒業、十分な外国語能力があることの証書を有する等)を満たす翻訳者が承認したトルコ語翻訳(出願から3月以内にTÜRKPATENTに提出されない場合、優先権を利用することはできない)
  • 優先権の主張に関する料金が支払われたことを示す書類

 

パリ条約またはWTO設立協定の加盟国の国民またはこれらの国の国民ではないが居住所または商業施設がこれらの国にある自然人、法人、またはこれらの相続人は、これらの政府の所轄官庁に、商標登録のために適切に行った出願日から6月以内にパリ条約の条項の範囲内で同一の商標および商品および役務について、トルコでの出願について優先権を利用することができる。

 

商標出願は、電子署名(GSMの認証するモバイル証明を含む。以下同じ。)を使用して、または予約による出願により、行うことができる。

 

予約による出願:電子署名所有者でないものは、個人番号または税金番号により、オンライン文書システムにログインし、出願を開始することができる。この場合、予約システムにより作成された出願フォームを30日以内にTÜRKPATENTに持参または郵送により提出することにより出願業務は完了する。

 

オンライン出願:電子署名所有者は、出願業務を電子署名によりオンライン文書システムにログインすることで行うことができる。

 

5. 審査

TÜRKPATENTに行われた商標出願は、TÜRKPATENTにより、形式的審査の後に絶対的拒絶理由の観点から審査される。商標出願の公告から2月以内に、利害関係人は、絶対的および相対的拒絶理由に基づいて異議申立を行うことができる。

公告された商標について、異議申立がなされなかった場合、または行われた異議申立が最終的に理由なしとされ、登録料が支払われたことに関する情報を含む不足書類が、期間内にTÜRKPATENTに提出された場合、出願は登録簿に登録され、公報で公告される。

絶対的拒絶理由に基づいて、TÜRKPATENTにより商標出願が拒絶された出願人は、決定通知日から2月以内に、書面で理由を記載してTÜRKPATENTの決定に異議申立を行うことができる。

出願人の異議申立がTÜRKPATENTにより認められた場合、商標出願は公報で公告される。

TÜRKPATENTが、産業財産法の範囲内で行った決定により不利益を被る当事者は、この決定に対し、再審査評価委員会に異議申立を行うことができる。

異議申立は、決定通知から2月以内に書面で理由を記載してTÜRKPATENTに行われる。異議申立が審議されるためには、異議申立期間内に料金を支払い、同期間内に料金の支払いが行われたことに関する情報をTÜRKPATENTに提出しなければならない。

TÜRKPATENTは、異議申立に関する見解を通知するために、出願人に1月の期間を与える。

再審査評価委員会決定により不利益を被る当事者は、決定に対し、決定が自身に通知されてから2月以内に、アンカラの民事知財裁判所に訴訟を起こすことができる。

 

6. 登録証

産業財産法第22条によると、「出願が瑕疵なく行われ、または瑕疵が除かれ、審査、公告が行われ、異議申立が行われず、または行われた異議申立のすべてが最終的に拒絶され、登録料が支払われたことに関する情報も含む不足文書が期間内にTÜRKPATENTに提出され、すべての段階が完了した出願は登録簿に登録され、公報で公告される」。

登録証は、その要求があり、料金が支払われた場合に与えられる。

 

7. 更新

登録商標の保護期間は、出願日から10年である。この期間は10年ごとに更新できる。

更新請求は、商標権者により、保護期間の満了日の6月前までの期間に行い、同期間内に更新料が支払われたことに関する情報をTÜRKPATENTに提出する必要がある。期間内に請求が行われない、または更新料が支払われたことに関する情報がTÜRKPATENTに提出されない場合、更新請求は、保護期間満了日から6月以内に、追加料金を支払うことにより行うことも可能である。

 

8. 商標の使用

正当な理由なく、登録された商品または役務について、商標権者によるトルコにおける真正な使用が、登録日から5年以内に開始されていない、または使用が5年連続して中断されている商標は、商標権登録が取消の対象となる。

商標が、商標権者のライセンスに基づき、ライセンシーによって使用されることも商標者による使用として認められる。

 

下記の状況も商標の使用とみなされる。

  • 商標の識別性を変えることなく、異なる形態で登録商標を使用すること
  • 商標を輸出のためだけに商品またはその包装に使用すること

 

9. 無効

絶対的および相対的拒絶理由が存在する商標は、裁判所による商標権の無効に関する決定の対象となる。

利害関係人、検察官、または関係する公的機関は、商標権の無効を裁判所に請求することができる。

商標権者は、自らの商標登録より遅れる商標登録について、その商標の使用を知っていた、または知りえたにもかかわらず、連続して5年間の商標の使用を黙認した場合、その商標登録が悪意でなされたものでない限り、自らの商標登録を無効の理由として主張できない。

先行する商標との混同の可能性(Likelihood of confusionおよびLikelihood of association)があるとの主張により起こされた無効訴訟において、使用証拠の要求は抗弁として主張することができる。この場合、使用に関する5年の期間は、訴訟日を基準とする。無効が要求されている商標の出願日または優先日において、原告の商標が最低5年間登録されている場合、原告は出願日または優先日に、産業財産法第19条第2項で規定されている使用証拠要件を満たしていることを証明する必要がある。

 

10. 商標権の取消

下記の場合、請求に基づきTÜRKPATENTにより商標権の取消決定がなされる(産業財産法第192条によると、この権限は産業財産法の施行から7年後に、民事知財裁判所からTÜRKPATENTに移転する)。

  • 正当な理由なく、登録された商品または役務について、商標権者によるトルコにおける真正な使用が商標の登録日から5年以内に開始されていない、または使用が5年間連続して中断されている場合
  • 商標登録者が必要な措置等を取らなかった結果、商標が、登録されている商品または役務の普通名称として浸透した場合
  • 商標権者またはそのライセンシーによる使用の結果、商標が登録されている商品または役務の性質、品質または産地に関して、国民に誤解を生じさせる場合
  • 証明商標または団体商標が契約書に反する形で使用されている場合

 

商標権の取消は利害関係人が請求することができる。商標権の取消請求は、請求日に登録簿に所有者として登録されている者、またはその承継人を相手方として請求する。

 

 

ミャンマー知的財産権制度の概要【その2】~新知的財産法案について~

記事本文はこちらをご覧ください。

ミャンマー知的財産権制度の概要【その1】~知的財産保護の現状~

記事本文はこちらをご覧ください。

トルコ商標制度概要

【詳細】

1.商標法

トルコでは、1995年6月27日に施行され、その後たびたび改正が行われてきた商標の保護に関する法律第556号(以下、商標法)に、商標の保護が規定されている。商標法施行規則は、1995年11月5日に発効した後、1999年4月20日、2002年10月2日、2005年4月9日、2013年3月30日および2015年1月18日に改正が行われている。トルコは、「先使用主義」を採用している国である。

 

2.保護される標章の種類

視覚的に表示可能で、印刷により刊行および複製可能な字句などで、特定の者または事業体の商品または役務と他者のものとを識別できる下記の標識は、商標として登録することができる。

  • 文字
  • 名称
  • 図案
  • 特定の立体的形状
  • 色彩(商標が複数の色彩の組合せから成り、識別性を有する場合に限られる)
  • スローガン
  • 匂い(香の商標)(出願する場合、当該商標の視覚的複製を示すために、その匂いの化学式も提出しなければならない)
  • トレードドレス
  • ホログラム
  • 動き(動的商標)(出願する場合、提示したい瞬間の動きを視覚的に描写する商標見本を提出すべきであり、さらに当該商標における連続する動きが収録されたCDも提出しなければならない)

 

味および触感の商標に関する出願は、認められていない。

 

3.分類

トルコ特許庁では、商品および役務について、ニース協定に基づくニース国際分類を採用している。ニース国際分類は、実務における一般的指針として用いられる。

同一商標に関して、複数の分類をカバーする出願を申請することが可能である(一出願多区分制)。

登録前であればいつでも、出願人またはその代理人の請求に基づき、料金の納付をもって、一つの出願を複数の出願に分割することが可能である。ただし、登録後の分割は許されていない。

 

4.出願

商標出願する際、下記の情報および書類を提出しなければならない。

  • 出願人の名前および住所
  • 出願人の国籍
  • 商品または役務の一覧
  • 商標見本(5×5 cmまたは7×7 cmのサイズ;300 Dpi;RGBカラー)
  • 法定出願料
  • 委任状(認証不要)

 

優先権を主張する場合は、下記の情報および書類がさらに必要となる。

  • 優先権の基礎となる出願の番号と出願日(出願時に必要)
  • 優先権証明書の原本(出願後3ヵ月以内に提出されない場合、優先権主張は無効とみなされる)

 

優先権主張とは、出願人の母国がパリ条約の加盟国である場合、その母国出願の出願日がその後に出願されるトルコ出願の出願日とみなされることをいう。ただし、優先権を主張する場合、その母国出願後、6ヵ月以内にトルコ出願をしなければならない。

商標出願は、電子的にオンラインで申請することができる。2015年7月1日以降は、商標出願を書面ではできなくなっている。

 

5.登録証

商標法第39条では、「本法律および施行規則に基づいて申請された商標出願は、瑕疵がないと認定され、または瑕疵が是正され、または所定の期間内に異議申立を受けず、または異議申立が否認された場合には、登録簿に記載される。当該出願人は、登録証を受領する」と規定されている。

登録証の発行には、登録料の納付が必要となる。2015年1月12日以降、登録証はA4サイズ、中厚口(80g)の紙面に印刷され、出願人に送付される。

 

6.審査

トルコ特許庁の商標局は、審査制度を実施しており、絶対的拒絶理由の審査に加え、先行権利に対する相対的拒絶理由の審査も行っている。最初の審査で拒絶理由が見つからない場合、当該出願は毎月発行される商標公報において公告される。第三者は、当該公報の発行日から3ヵ月以内に異議申立をすることができる。

上記の期間内に異議申立がされなかった場合、当該出願は商標登録簿に記載され、商標官報に掲載される。異議申立がない場合、出願から登録までの所要期間は、約1年である。

最初の審査において出願が全体的または部分的に拒絶された場合、出願人は2ヵ月以内に特許庁商標局の審判部に審判請求することができる。この場合、審判部で審理され、審判請求が認められた場合には、異議申立の為に公報において公告される。

トルコ特許庁の商標局には、異議申立および上記の審判請求の審理を取り扱う別々の部門(異議・審判部)がある。この部門による決定を不服とする当事者は、トルコ特許庁の「再審査評価委員会」に対して不服申立できる。再審査評価委員会は、特許庁の最終決定機関であり、当委員会の決定に不服の場合、2ヵ月以内に裁判所に提訴することができる。

トルコ特許庁より異議通知を受領した出願人は、異議通知から1か月以内に答弁書を提出することができる。

異議申立が全部または一部認められ、当該出願が全部または一部拒絶された場合、出願人は異議決定通知から2ヵ月以内に、異議決定に対する不服申立を再審査評価委員会にすることができる。同様に、異議申立人も2ヵ月以内に、異議申立の否認または一部承認に対する不服申立をすることができる。不服申立において答弁書を提出できるが、異議申立または不服申立のいずれの段階においても答弁書の提出は強制ではない。

 

7.更新

商標登録は、出願日から10年間有効に存続する。登録はその後、10年ごとに更新できる。商標登録は、商標権者または商標権者の代理人による更新出願および更新登録料の納付をもって更新される。

有効期間が満了する月の末日前の6ヵ月以内に、更新出願し、更新登録料を納付しなければならない。満了日を過ぎた場合は、追加料金の納付をもって、当該満了日後の6ヵ月以内に、更新出願することができる。更新出願は、電子的にオンラインですることもできる。

 

8.商標の使用

登録から5年以内に正当な理由なく商標が使用されなかった場合、または継続して5年間にわたり使用が中断されていた場合、当該商標登録は不使用取消対象となる。

ただし、次の行為は、登録商標の使用とみなされる。

  • 商標の識別性を変えることなく、異なる形態で登録商標を使用すること
  • 輸出のためだけに商品またはその包装に商標を使用すること
  • 商標権者の同意を得て商標を使用すること
  • 商標を付した商品を輸入すること。

 

9.無効

管轄裁判所において、商標登録の無効が認定される。一般的な無効理由は、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由ならびに有効な使用の欠如である。

絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由に基づく無効訴訟は、登録日から5年以内に提起しなければならない。ただし、悪意が存在する場合には、期限は適用されない。

無効訴訟を提起できるのは、あらゆる利害関係者、先行権利の所有者、ライセンシー、検察官または関係する政府機関である。

マレーシアにおける「商標の使用」と使用証拠

【詳細及び留意点】

1.商標の使用

 商標の使用は、商標法において重要な意味を持っている。マレーシアは「先使用主義」の原則を採用している。すなわち、ある商標を最初に使用することで最初の所有権が与えられる。商標の先使用者が、同じ商標を先に出願した者に打ち勝つこともある。出願人が特定の商標を登録するためには、当該商標を商標として使用する意図があることを証明しなければならない。

 

2.商標法に規定された使用の態様

 1976年法律175号(商標法)の第3条(2)項は、以下のように規定している。

 (a)本法において、ある標章の使用というときは、当該標章の印刷その他の視覚的表示による使用をいうものとする。

 (b)商品に関してある標章の使用というときは、商品そのものへのまたは商品との物理的その他の関係における当該標章の使用をいうものとする。

 (c)役務に関してある標章の使用というときは、役務の利用可能性または実行に関する陳述もしくはその一部としての当該標章の使用をいうものとする。

 

 商品または役務に「関して」という表現は、商標が使用される対象は必ずしも商品自体もしくは役務自体でなくてもよいということを意味しており、包装や容器、広告もしくは送り状(製品に添付されているか否かを問わない)に登録商標を表示することも商標の使用に含まれる。

 

3.不使用に伴う取消しのリスク

 登録商標は、一定期間にわたる継続的な不使用を理由として登録を取り消されることがある。不使用取消請求は、高等裁判所に対して提訴しなければならない。商標法第46条(1)項の規定によれば、裁判所は、不服を有する者の申請により、下記(a)、(b)の何れかを理由として、ある登録商標をその登録に係る商品または役務の何れかに関して登録簿から抹消すべき旨の命令を発することができる。

 (a)当該商標が、その登録出願人の側において、または第26条(1)に基づく登録の場合は、商標を使用するまたは使用予定の一般法人もしくは登録使用者の側において、それらの商品または役務に関して当該商標を使用する善意の意図がないにもかかわらず登録され、かつ、当該商標の登録所有者または登録使用者が、当該申請の日の1月前までに、それらの商品または役務に関して当該商標の善意の使用を実際に行っていないこと。

 (b)申請の日の1月前に至るまで連続して3年以上、当該商標が登録されているにもかかわらず当該商標の登録所有者または登録使用者がそれらの商品または役務に関して当商標の善意の使用を行っていないこと。

 

 登録商標に対する不使用取消訴訟を提起する場合、立証責任は申立人に課される。すなわち、登録の取消を求める者が、当該不使用に関する証拠を提出する責任を負う。その立証がなされた後、被申立人に商標の使用証拠を提出する責任が課される。実務上、申立人の提出する当該不使用に関する証拠としては、インターネットで登録商標について検索しても商品等がヒットしないことなど比較的簡単な書面などでも提訴は受理される。

 

4.商標の使用証拠

 商標の使用を証明する為の使用証拠は、商品および役務に関係するものでなければならない。以下のようなものに商標が表示されていることで、商標の使用を証明することができる。

 (a)ラベル、チケット、パンフレット、レターヘッドまたは印刷媒体もしくは容器、包装材。

 (b)その他の視覚的表示(商品にエンボス加工や刺繍で表現された表示等)。

 (c)電子画像の形態をとった表示(映画、テレビ画面、コンピュータ画面の画像等)。

 

 商品広告における商標の使用も、広告される商品に関係する当該商標の「使用」と見なされる。広告の中には、チラシ、プラカード、看板、新聞等に印刷された広告だけでなく、テレビおよび映画による広告が含まれる。同様に、パンフレット、カタログ、業務上の書簡、送り状等、上記以外の文書に商標が使用された場合も、商品に関係する商標の使用となる。役務に関する商標の使用については、役務の提供もしくは遂行に関する陳述もしくは当該陳述の一部としての商標の使用が含まれる。

ニュージーランド商標制度概要

【詳細】

ニュージーランドにおける商標保護は、2003年8月20日に施行された2002年商標法(2002年第49号)および2003年商標規則(2003/187)の規定にしたがって付与される。2011年商標改正法(2011年第71号)により2002年商標法が改正され、マドリッド・プロトコル(標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書)が2012年12月10日に、ニュージーランドにおいて発効されている。2011年商標改正法では、ニュージーランドがニース協定(標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定)に加盟するための条項が盛り込まれ、ニース協定は2013年10月16日に、ニュージーランドにおいて発効されている。

ニュージーランドは「先使用主義」である。市場における商標の最初の使用者が、商標の真正な「所有者」または「所有権者」とみなされる。未登録商標の先使用者は、第三者により当該商標の出願がなされた場合には、当該出願の登録を阻止する、または既存の第三者の商標登録を取り消すことができる。

ニュージーランドにおいて、商標に関して準拠すべき他の法規範には、ニュージーランドの裁判所の判決および商標局長の決定が含まれる。その他の商標に影響を及ぼす法律としては、詐称通用および消費者保護に関する1986年公正取引法が挙げられる。

1.保護可能な商標の種類

写実的に表現可能であり、商品または役務を他者のものと識別可能なあらゆる標識は、登録することができる。このようなものには、下記が含まれる。

(a)文字

(b)図案(立体商標も登録可能)

(c)スローガン

(d)外装

(e)人名(他のあらゆる標識と同様、識別性のない名字(サーネーム)は登録できない。したがって、珍しい名字または有名な意味を持つ名字は登録できる可能性が高い。ファーストネームで構成される商標は、通常は十分な識別性を有するものとして認可される。)

(f)証明商標、団体商標およびシリーズ商標

(g)形状(出願人は願書とともに、当該商標のすべての特徴を明確に示す見本を提出しなければならない。この要件は通常、その形状の複数の角度からの図を提出することで満たされる。)

(h)色彩(識別性のある色彩であることを条件とする。単一の色彩は、商標として登録できない。出願人は願書とともに、色彩見本、または広く認知され容易に入手可能な色標準(Pantone®カラーシステムの色見本帳など)による色彩の説明のうち、いずれか一方を提出しなければならない。)

(i)音(楽譜は、音商標を写実的に表現する手段として受け入れられる。その音を生み出すために使用された楽器が音商標の一部を構成する場合、その旨を明示しなければならない。)

(j)匂い

(k)味

(l)アニメーション、動画(動画を表示するには、一連の静止画像とともに、当該商標の内容およびその使用時の配列に関する説明書を提出する。)

(m)文字および数字(文字および数字は、商標として登録を受けられる可能性がある。)

(n)署名

(o)外国の言葉(識別性のない外国の言葉を含んでいる標章は、その言語がニュージーランドの関連需要者に一般に知られている場合は、登録を禁じられる可能性がある。)

ニュージーランド知的財産庁(IPONZ)が受領したすべての商標出願は、まずニュージーランドの先住民であるマオリ人の標識を含んでいるかどうか、またはマオリ人の標識から派生したものかどうかが判断される。

2.採用分類

ニュージーランドは、世界知的所有権機関(WIPO)により発表されている商品およびサービスに関する国際分類に詳述されたニース国際分類を採用している。ニース国際分類第10版の2015年版が、2015年1月1日に発効している。

3.複数分類出願

単一の出願に1つまたはそれ以上の分類を含めることができる。

4.出願時の必要書類および情報

(1)出願人の名前および住所;共同出願の場合は、各出願人の名前および住所。

(2)代理人が選任されている場合は、代理人の名前(ニュージーランドにおける送達先住所が必要である)。

(3)商標の明確な見本。

(4)シリーズ商標(1出願に商標のバリエーションが複数含まれるもの)の場合、そのシリーズにおける各商標の明確な見本。

(5)分類および指定商品または指定役務。

5.優先権

ニュージーランドは、工業所有権の保護に関するパリ条約の加盟国である。パリ条約の第4条に従い、出願人は第一国出願の優先日を主張できるが、かかる後の出願が第一国出願から6か月以内に提出されることを条件とする。

優先権主張は、出願時または出願後2就業日以内に行われなければならず、その後の優先権主張は認められない。

6.審査手続

すべての商標出願は、下記に示す商標法の要件を満たしているかどうか審査される。

(a)出願が必須の書類および情報を満たしている。

(b)優先権主張が要件にしたがって行われている。

(c)出願が必須の認可要件を満たしている。

(d)出願に関する法定料金が支払われている。

(e)絶対的拒絶理由または相対的拒絶理由が存在しない。

審査は通常、出願日から6週間以内に行われる。

7.認可および異議申立

出願が商標法の要件を満たしている場合、その出願は許可される。許可された出願は、毎月1回、オンラインIPONZ商標公報において公告される。

何人も、公告日から3ヵ月以内に異議申立を行うことができる。

異議申立書が提出された場合、出願人はその後2ヵ月以内に答弁書を提出するか、自己の商標出願を取り下げなければならない。双方の当事者の間で交渉が開始された場合、最大6ヵ月の審査保留期間(クーリングオフ)が認められる。出願人が当該2ヵ月以内またはその延長期間内に答弁書を提出しない場合、その出願は取り下げられたものとみなされる。

異議申立手続が開始された場合、各当事者は証拠を提出することができ、かかる証拠は宣誓書とともに提出しなければならない。すべての証拠が提出され、正式なヒアリングが行われた後に、異議決定が下される。

ヒアリングの代わりに、提出された証拠のみに基づく異議決定を要求することができる。この場合、弁護士による弁論は行われない。

費用の支払い命令を含む異議決定書が発行される。いずれの当事者も、異議決定を不服とする場合は、その決定の日から20就業日以内に不服申立を提起することができる。不服申立は、高等裁判所に提起しなければならない。

8.登録および更新

商標登録存続期間は10年間である。存続期間は更新申請により延長できる。期限までに更新申請されない場合、その商標は失効する。商標登録は、期限より最大12ヵ前に更新することができる。

商標登録が失効して1年以内であれば、権利の回復請求することができる。失効後1年以内は、当該商標は商標登録簿において「失効、ただし回復可能」と示される。

9.商標の使用

登録日から連続する3年間にわたり使用されなかった場合、商標登録は取り消される可能性がある。商標権者による商標の使用には、商標権者が使用を許可し、商標権者の管理下で使用される場合は、商標権者以外のライセンシーその他の者による使用も含まれる。

10.取消

商標権者は、登録商標の取消申請を提出することができる。

商標権者は、指定商品もしくは指定役務または分類の一部を取り消すことができる。このような自発取消は、紛争または不使用取消請求の後、和解の条件として行われる場合がある。

登録商標の態様は、いかなる方法によっても変更することはできないが、登録簿における商標権者の名義または住所は変更することができる。

インドにおけるブランド保護

【詳細】

ブランディングの中核は、企業のアイデンティティを発信することである。企業は、自社の製品について競合他社の製品との差別化を図り、洗練されたイメージを公衆に印象付けるため、戦略的な事業計画の一環として、ブランディングに多大な投資を行う。企業が自社の製品やサービスを提供する際に使用するブランド名は、一般に商標と呼ばれる。インドでは、商標とは「図形的に表現でき、かつ、ある者の商品またはサービスを他人の商品またはサービスから識別できる標章をいい、商品の形状、その包装、および色彩の組合せを含む」と定義される(インド商標法第2条(1)(zb))。このようにインド商標法は、商標を包括的に定義しており、言葉、文字、数字、図案のほか、音声商標、色彩商標、立体商標など図形的に表示できて、商品と役務を識別することができる新しいタイプの商標もカバーする。

 

米国、英国、オーストラリアと同様に、インドはコモンローに基づく商標権を認めており、先使用主義を採用している。すなわち、登録の有無にかかわらず、最初に商標を採用し使用した者がより強い権利を有する。インドはまた、インドで使用も登録もされていない商標であっても、広く知られており、国境を越えた評判を有する周知商標の保護を認めている。

 

○ブランド管理

・ブランドの特定と評価:ブランド価値を最大限に活用するためには、知的財産監査(Intellectual Property Audit)を通じて、商標ポートフォリオを構成するブランドや商標を正確に特定する必要がある。これには、登録商標のみならず、使用されているが未登録の標章や、ドメイン名等が含まれる。

 

・先行例調査:新たな商標の採用や導入に際して、拒絶や異議申立、無効審判請求等を回避するため、出願前に先行例調査を行うことが望ましい。

 

・商標の登録:商標登録により、商標権者は、当該商標を独占的に使用し、または他人に使用許諾することができる。また、商標登録により法的確実性が生じ、訴訟に際しての商標権者の立場が強化される。

 

・商標の使用:商標権者は、不使用取消審判請求を受けないよう注意する必要がある。インド商標法第47条は、商標が善意で登録されたのではなく、出願日の3ヶ月前までに使用されていないことが立証された場合、または登録証の発行日から5年3ヶ月にわたり継続して使用されていない場合、当該商標は商標登録簿から削除されると定めている。

 

・商標権の更新:インドでは更新料を納付することにより、10年毎に商標権の存続期間を更新することができ、更新の回数に制限はない。更新を行わない場合、商標登録簿から削除される。

 

○インド財務省中央物品税・関税局(Central Board of Excise and Customs : CBEC)への登録

2007年知的財産権(輸入品)執行規則は、模倣品や不正な輸入品の悪影響を排除するため、知的財産権(特許、商標、著作権、意匠権、地理的表示)を中央物品税・関税局(CBEC)に登録する制度を規定している。CBECへの登録により、インドで登録され有効に存続する知的財産権を侵害することが認定されまたは侵害が疑われる物品の通関を停止し、差押さえ、押収する権限が税関当局に与えられる。

 

知的財産権が税関登録されると、データベースに当該知的財産権が登録され、インドの全入港地点で税関当局の職員が閲覧可能となる。税関当局の職員は、データベースの登録情報を確認し、知的財産権保護の観点から、侵害品や模倣品が市場に流入する前に、職権により差し押さえることができる。

 

税関登録は、登録日から最低5年有効である。ただし、届出人または知的財産権者が、より短い期間での税関の支援または措置を求める場合はこの限りではない。さらに、申請者は1件の申請で、侵害品や模倣品の輸出入が疑われる税関の航空貨物センター(Custom Air Cargo Complexes)、港湾(Seaports)、陸上税関局(Land Customs Stations)のすべてをカバーすることができる。

 

○商標権の保護と権利行使

以下に、ブランド所有者が、自らのブランドおよび商標権を保護するために講じることができる対策の一部を紹介する。

 

(1)防衛的戦略

・商標、取引標章等の特定と登録

・TMマークやRマークなど適切な商標表示の使用

・ドメイン名として商標を登録し、ドメイン名の不法占拠に対抗する

・登録商標のタイムリーな更新による商標ポートフォリオの管理

・公報モニタリングによる商標ウォッチを通じて、侵害者および競合の活動を把握

・インターネット上での(他社による)商標利用のモニタリング

・レーザーコーディング(レーザーによる刻印)、電子透かし技術、およびRFID等の技術的保護措置を使用した模倣品の検知

 

(2)攻撃的戦略(インド商標法に基づく救済)

・侵害の場合は警告状の送付

・異議申立または訂正措置の申請

・民事訴訟または刑事訴訟の提起

 

○知的財産権が侵害された場合の救済策

以下の図は、知的財産権の侵害訴訟等により得られる救済を示す。

知的財産権侵害に対する救済ルートと救済内容

知的財産権侵害に対する救済ルートと救済内容

 

インド商標法は、誤認表示、不正表示、虚偽表示、侵害、詐称通用に対して、損害賠償、差止、罰金または禁固もしくはその併科による民事救済と刑事救済を定めている。

 

○まとめ

インド政府は、知的財産環境の更なる構築を表明しており、マドリッド協定議定書への加盟や、国内の知的財産政策により、インドでは様々な政策改革が今後も予想される。