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中国における商標の譲渡(移転)の要件

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インドネシアにおける指定商品または役務に関わる留意事項

 インドネシアにおいては現在、単一区分出願と多区分出願の双方が可能である。商標出願は、登録を求める商品または役務の指定を含む、商品または役務の区分を示さなければならない。一区分においてカバーされる商品の数、または一出願における区分の数に制限はない。インドネシア知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property Rights:DGIP)商標局は、2017年1月1日に発効したニース分類第11版を採用しており、34の商品区分と11の役務区分がある。

1.関連立法
 商標に関する2016年法律第20号(インドネシア商標法)第6条は、商品および役務の分類について、以下のとおり規定する。

インドネシア商標法第6条
(1)商品および、または役務2以上の類に対する出願は、単一の出願で行うことができる。
(2)(1)にいう出願は、登録出願された類に属する商品および、または役務の種類を明記しなければならない。
(3)(1)にいう商品または役務の分類は、さらに政令に定める。

2014年7月3日に施行された、「法務人権省(Ministry of Law and Human Rights)に適用される非課税の国家歳入の適用種および金額に関する政府規則」2014年第45号は、商標出願にかかる法定出願手数料について規定しており、それによれば、各区分につき商品または役務10件を単位として出願手数料は計算され、したがって、一区分において、商品10件毎に追加の法定出願手数料が課されるとされていたが、同規則は2016年11月10日施行の政府規則2016年第45号により改正、さらに2019年3月3日施行の政府規則2019年第28号により改正され、法定出願手数料はクラスごとの設定となっている。

2.商品および役務の確認
 実務上、DGIP商標局には、出願願書が提出される前に、カバーされる商品または役務の数を確認するための確認部門がある。可能であれば、提出する出願の準備をする前に、十分な時間を設けてこの確認を行うことが推奨される。願書受理部門に商標出願願書を提出すると、指定する商品または役務が検証されるので、出願人が正しい法定手数料を納付し、方式要件について補正指令が発行される可能性を減らすことになる。

 なお、商標出願によりカバーされる商品または役務の数を判断するにあたり、商標局は、基準資料としてニース分類第11版を使用する。ニース分類に記載されていない商品または役務についての数量判断は審査官の解釈に委ねられる。

3.再分類
 出願時に商品または役務が適切に分類されていない場合、DGIP商標局は、補正指令を発行する。再分類により追加の法定出願手数料が発生しない場合、DGIP商標局は、変更についてのみ通知する。納付すべき法定出願手数料が発生する商品または役務の再分類については、出願人は、手数料納付と補正指令に対する応答期間として30日が与えられる。所定期間内に再分類が行われない場合、当該出願は放棄されたとみなされる。

4.類見出し(クラスヘディング)の指定は認めらるか?
 2019年8月17日以降、DGIPは電子出願の運用を開始し、商品または役務はシステムに表示されるものから選択するようになった。このため、類見出しに使用される語句が選択肢に表示される場合は認められるが、表示されない場合は認められないこととなる。
 また、インドネシア商標法が、以下の場合において、登録商標に対する不使用取消訴訟が提起される場合があると規定している点に留意しなければならない。

インドネシア商標法(2016年法律第20号)第74条第1項
登録商標の廃止は、商標または役務の登録または最終の使用日から3年間連続で使用されていないことを利用として、利害関係のある第三者によって商事裁判所に訴訟の形で提起される場合がある。

 上記に鑑み、出願人は、実際の商標使用がある商品または役務、もしくは登録後3年以内に使用意図がある商品または役務を指定して出願することが推奨される。

トルコにおける商標の使用と使用証拠

【詳細】

1.商標の使用

 トルコでは、商標の登録後5年以内にまたはその後において5年連続して「使用」されない場合には、商標の取消請求が可能となる。ここにいう商標の「使用」は、以下を満たすものでなくてはならない。

 ・真正な使用、すなわち、トルコにおいて商標が付された商品または役務がマーケットシェアを生み出す水準であること

 ・トルコで使用されること

 ・商標が登録された商品および役務の観点から使用されること

 

 産業財産法第9条第2項では、次に掲げる事項を、商標の使用として認める。

(1)登録商標の識別性を改変しないで、要素において異なる様式での登録商標の使用

(2)専ら輸出目的の商品またはその包装上の商標の使用

 なお、産業財産法第9条第2項によると、商標所有者の承諾による使用も商標所有者による使用として認められている。

 産業財産法では、商標出願において実際の使用もしくは使用意図またはその証拠は要求されていない。また、トルコ特許商標庁(以下、「TÜRKPATENT」)における商標の更新の際も、商標の使用に関する証拠は要求されない。

 登録商標が5年以内に使用されない場合も、登録商標が自動的に登録簿から削除されるわけではなく、登録商標の不使用による取消は裁判で争われる。不使用を理由とする登録商標の取消訴訟を回避するためには、登録後5年以内にトルコにおいて使用されなければならない。

 

2.大統領令の取消し

 産業財産法において規定される前に不使用による取消を規定していた、商標の保護に関する大統領令第556号(以下、「大統領令」)第14条は、憲法裁判所判決2016年12月14日付第2016/148 E、2016/189 K号によって、財産権は大統領令により規定されないという理由から取り消された。この憲法裁判所の判決は、2017年1月6日付官報で公表・施行され、当該日時点で確定判決となっていない係争中の全ての訴訟において適用される。

 この大統領令を取り消す憲法裁判所の判決が第一審裁判所における紛争に適用されることは認められている。第二審および第三審の段階にある訴訟に関しても適用されるかについては未だ確立された判断は下されていないが、それらの訴訟は、憲法裁判所の取消判決に従う方向で審理しなおされるために第一審に差し戻されている。そのため、大統領令の時代に起こされた係争中の訴訟は、訴訟原因が消滅したとして訴訟が取り下げられている。

 憲法裁判所による大統領令第14条を取り消す判決が施行された2017年1月6日の4日後の2017年1月10日には、産業財産法が施行された。産業財産法においても、不使用による取消が規定されているため、取り下げられた従来の取消訴訟および新たな取消訴訟は当該条項に基づいた新たな訴訟として提起されている。

 

3.権限のトルコ特許商標庁への移行および施行の7年延長

 産業財産法第26条によると、取消訴訟における所轄官庁はトルコ特許商標庁である。しかし、当該条項の施行日は産業財産法第192条により7年延長されたため、現在の不使用による取消訴訟の所轄官庁は民事知財裁判所であるが、2024年1月10日から所轄官庁はトルコ特許商標庁となる。

 

4.不使用の主張‐使用証拠

 商標出願は、産業財産法第6条第1項*)に基づき混同の可能性を理由とする異議が申立てられた場合、出願人は、異議の基礎となっている商標(先願商標)が異議の対象となっている商標(後願商標)の出願日または優先日時点において登録から5年以上経過しているものである場合、先願商標が、異議の対象となっている商品または役務について、トルコにおいて、後願商標の出願日前の5年間において使用されていることの証拠、または使用されていない場合には当該不使用を正当化する理由を提出するよう要求することができる。

 この異議申立に対する不使用の主張は、トルコ産業財産法により導入された。

 商標が登録されている商品または役務に関し使用されていることの証拠として、請求書、目録、価格表、製品コード、製品、包装および看板の見本、広告、広報、市場調査、広告ビデオ、見本市への参加が挙げられる。

 

*)登録出願が行われる商標は、登録された、またはより前の日付で出願された商標と同一または類似の商標であって、同一または類似の商品または役務を指定するものであり、商標について国民に混同が生じる可能性がある場合、異議に基づき登録が拒絶される。

 

【留意事項】

 使用義務は商標登録された全ての商品または役務に関して発生する。したがって、一部の登録商品または役務が使用されない場合、その一部について取消決定がなされる。一部の商品または役務についてのみの使用証拠も認められる。

 また、不使用の主張は、無効および侵害訴訟において抗弁として主張することができる。

 

南アフリカにおける指定商品または役務に関わる留意事項

【詳細】

1.関連法

 南アフリカでは、商標出願を行う場合、登録対象の商品または役務の分類を指定しなければならない。現在、複数の分類を指定した商標出願はできず、保護を求める分類ごとに別個の商標出願を提出する必要がある。南アフリカ商標庁は、商品または役務の分類として、2012年5月30日からニース国際分類の第10版を採用している。

 

 商品および役務の分類について、1993年法律第194号の商標法第11条に次のように規定されている。

 

 商標法第11条 登録は特定の商品またはサービスについてされる。

 (1)商標は、所定の分類に基づいて特定の類に分類される商品またはサービスについて登

 録される。ただし、商標の登録から生じる権利は、当該商標の登録の日に適用される所

 定の分類に基づいて決定されるものとする。

 

 ニース国際分類の採用は、南アフリカ商標規則の附則3に定められている。この附則に示された商品および役務の分類一覧表は、45の分類についてのいわゆる「類見出し(クラスヘディング)」から成っている。登録官は、特別な状況を除き、商品および役務がどの分類に属されるべきかの判断に関し、この国際分類の考えに忠実にしたがっている。

 

 指定商品または指定役務がどの類に分類されるかを正しく判断し、正しい分類に出願することが極めて重要である。この分類が正確でないと、その商標が無効になり、登録を取り消される可能性がある。出願により保護される商品または役務の範囲は、商標が出願および登録された分類により制限される。つまり、登録商標の指定商品または指定役務に記載されている商品または役務が、誤った分類で指定されている場合は、指定商品または指定役務として記載されていても、登録による保護の対象にはならない。その理由は、商標法第11条における「商標は、所定の分類に基づく特定の単一または複数の分類に該当する商品または役務に関して登録される」という文言にある。

 

2.ニース国際分類の修正

 商標法は、既存の分類の修正について規定している。ただし、商品および役務の分類のあらゆる修正を特許公報において公表するのは、登録官の責任である。したがって、世界知的所有権機関(WIPO)の商品または役務の分類が修正された場合であっても、かかる修正が南アフリカ特許公報(South African Patent Journal:商標もこの公報に掲載される)において公表されるまでは、南アフリカにおいていかなる効力も生じない(商標規則4(3))。商標法は、ニース国際分類が変更された時点における自動的な分類の修正を規定していない。例えば、ニース国際分類の第10版は、2012年1月1日に発効した。しかし、南アフリカ特許公報において公表されたのは2012年5月30日であったため、第10版が南アフリカにおいて発効したのは2012年5月30日となる。

 

3.再分類

 商標法第11条(2)は、所定の分類が改訂され、または新たな分類に差し替えられた場合を取り上げている。本項は次のように規定している。

 

 商標法第11条

 (2)商標が本法の施行の前または後に(1)にいうように登録され、かつ、当該登録の存続期間中にその商標の登録に係る所定の分類が改訂されまたは新しい分類により取り替えられる場合は、商標の所有者は,改訂された分類または新しい分類にしたがって、いつでも、商標が登録されている類の改訂を所定の方法により申請することができる。

 

 出願時に商品または役務が正確に分類されていたが、その分類が後にニース国際分類の変更に伴い変更された場合、当該商標所有者はいつでも自己の商標の分類を変更することができる。

 

4.類見出し(クラスヘディング)の使用

 実際に、商標出願する際に、広範な指定商品および指定役務(例えば、類見出し)を一般的に使用するケースが多い。しかし、広範な指定商品または指定役務を指定した場合、その商標は、不使用または不十分な使用意思を理由として、全部または一部取消請求を受ける可能性がある。商標法第27条(1)(a)では、出願人が指定商品または指定役務に含まれるすべての商品または役務に関して、商標に対する善意の使用をしていなかった場合における部分的取消を規定している。

 

 出願人が遵守すべき最も明確な指針は、使用または使用意図のある商品または役務に関して出願することであるが、これを含む広範な上位概念の商品または役務に関して商標出願することもできる。

 

 しかし、広範な指定商品または指定役務が必ずしも出願人の利益になるとは限らないと同時に、あまりに狭い記載も望ましくない。なぜなら登録から生じる独占的権利の範囲を不当に狭めてしまい、商標所有者が将来の使用を考えている当該商標の商品を保護できないおそれがあるためである。裁判所は付与された権利に狭義の解釈を適用するため、指定商品または指定役務を作成する際は、細心の注意を払い必要な権利範囲の確保に努めるべきである。

トルコにおける商標の使用と使用証拠

【詳細】

商標法第14条では、次に掲げる事項は、商標の使用を構成すると規定されている。

(1)登録商標の識別性を改変しないで、要素において異なる様式での登録商標の使用

(2)専ら輸出目的の商品またはその包装上の商標の使用

(3)商標権者の承諾のある商標の使用

(4)商標を付した商品の輸入

 

商標法では、商標出願において実際の使用または使用意図は要求されておらず、登録前に使用証拠を提出することも要求されていない。さらには、登録後5年以内や更新時に、特許庁に使用証拠を提出することも要求されていない。商標法第14条に規定された期間内に登録商標が使用されていない場合、登録商標は自動的に取り消されることはないが、不使用を理由とする登録商標の取消は、裁判所にて争われる。

 

不使用を理由とする登録商標の取消訴訟を回避するためには、登録後5年以内にトルコにおいて使用を開始していなければならない。

 

2014年4月9日以前は、商標法第42条1項(c)において、登録商標は次に掲げる場合は、裁判所により無効を宣言されると規定されていた。

 

商標法第42条1項(c)

登録商標が、第14条に違反する場合(ただし、手続の提起日と5年の期間の満了日の間の善意の使用は、無効理由を構成しない。手続が提起されることを知った上で使用がなされた場合は、裁判所は、手続提起に先立つ3月の間になされた使用を考慮に入れない。)

 

しかし、上記の商標法第42条1項(c)は、憲法裁判所判決2014年4月9日付第2013/147E.-2014/75K号により取り消されている。

 

上記判決の後、イスタンブール特別知的財産裁判所は、商標法第14条は、遡及効を有する無効ではなく、取消とみなされるべき不使用の制裁措置を定めたものであると主張した。現在、当該判決の効力は商標の専門家および専門機関で議論されているが、現状では、商標法第14条に基づき不使用を理由に裁判所に訴訟を提起した場合、不使用を認定する判決では遡及効を有していない取消のみが認められ、登録日まで遡及する無効を主張することはできなくなっている。

 

裁判所に提出される使用証拠は、問題となる商品や役務の性質、市場の特性、商標の使用の規模および頻度といった関連する状況を全て考慮し、裁判所の自由裁量により、使用証拠として十分であるかが判断されるので、単に商標として使用されているだけでは不十分な場合がある。

 

【留意事項】

使用義務は、登録された全ての指定商品または役務に関する使用を意味する。したがって、不使用を理由とした訴訟においては、一部の使用していない商品や役務があった場合には一部取消の決定がなされ、全く使用していない場合には全部取消の決定がなされる。

インドネシアにおける指定商品または役務に関わる留意事項

【詳細】

インドネシアにおいては現在、単一区分出願と多区分出願の双方が可能である。商標出願は、登録を求める商品または役務の指定を含む、商品または役務の区分を示さなければならない。一区分においてカバーされる商品の数、または一出願における区分の数に制限はない。インドネシア知的財産権総局(Directorate General of Intellectual Property Rights : DGIP)商標局は、2012年1月1日に発効したニース分類第10版を採用しており、34の商品区分と11の役務区分がある。

 

1.関連立法

商標に関する2001年法律第15号(インドネシア商標法)第8条は、商品および役務の分類について、以下の通り規定する。

インドネシア商標法第8条

(1)商品および、または役務の2以上の類に対する出願は、単一の出願で行うことができる。

(2)(1)にいう出願は、登録出願された類に属する商品および、または役務の種類を明記しなければならない。

(3)(1)にいう商品または役務の分類は、さらに政令に定める。

さらに、2014年7月3日に施行された、「法務人権省(Ministry of Law and Human Rights)に適用される非課税の国家歳入の適用種および金額に関する政府規則」2014年第45号は、商標出願にかかる法定出願手数料について規定しており、それによれば、各区分につき商品または役務10件を単位として出願手数料は算定される。したがって、一区分において、商品10件毎に追加の法定出願手数料が課される。

例えば、出願人が、一区分一出願において25の商品について出願を希望する場合、法定手数料は、最初の10件の商品について100米ドル、11~20番目の商品について100米ドル、21~25番目の商品について100米ドルがそれぞれ課される。この場合、この出願について納付すべき法定手数料の総額は300米ドルとなる。

 

2.商品および役務の確認

実務上、DGIP商標局には、出願願書が提出される前に、カバーされる商品または役務の数を確認するための確認部門がある。可能であれば、提出する出願の準備をする前に、十分な時間を設けてこの確認を行うことが推奨される。願書受理部門に商標出願願書を提出すると、指定する商品または役務が検証されるので、出願人が正しい法定手数料を納付し、方式要件について補正指令が発行される可能性を減らすことになる。

なお、商標出願によりカバーされる商品または役務の数を判断するにあたり、商標局は、基準資料としてニース分類第10版を使用する。ニース分類に記載されていない商品または役務についての数量判断は審査官の解釈に委ねられる。

 

3.再分類

出願時に商品または役務が適切に分類されていない場合、DGIP商標局は、補正指令を発行する。再分類により追加の法定出願手数料が発生しない場合、DGIP商標局は、変更についてのみ通知する。納付すべき法定出願手数料が発生する商品または役務の再分類については、出願人は、手数料納付と補正指令に対する応答期間として30日が与えられる。所定期間内に再分類が行われない場合、当該出願は放棄されたとみなされる。

 

4.類見出し(クラスヘディング)の指定は認められるか?

現行実務において、インドネシア商標局は、類見出し(クラスヘディング)の指定を認めている。

しかし、インドネシア商標法が、以下の場合において、登録商標に対する不使用取消手続が生じ得ると規定している点に留意しなければならない。

(1)登録商標が、その登録日または最終使用日から未使用で3年以上経過している場合。

(2)登録商標が、登録証に記載された商標とは異なる形で使用されている場合。

(3)登録商標が、登録により保護される商品または役務とは異なる商品または役務について使用されている場合。

上記に鑑み、出願人は、実際の商標使用がある商品または役務、もしくは登録後3年以内に使用意図がある商品または役務を指定して出願することが推奨される。

オーストラリア商標制度概要

【詳細】

 オーストラリアにおける商標の登録は、1995年商標法(連邦法)(「商標法」)および商標規則に準拠している。その他の関連法として、2010年競争・消費者法があり、とりわけ当該法の附則2のオーストラリア消費者法において、取引者は誤認や欺瞞を招く行為に関与してはならず、他の取引者の後援または承認を受けて提供および販売促進される役務の不実または虚偽表示を行ってはならないと規定されている。また、コモンローの国であるため、商標の所有者は、コモンロー上の詐称通用を根拠として訴訟を起こすことができる。

 

 商標の所有者は、オーストラリアにおいて最初に商標を使用する者または最初に商標出願する者のうち、いずれか早い方である。

 オーストラリアにおいて、商標の所有者でまたは事業体は、商標出願することができる。出願人は法的主体でなければならないため、屋号、パートナーシップまたは法人格のない信託の名義で出願することはできない。

 ペーパーによる商標出願には追加料金が課せられるため、電子的手段によりオーストラリア知的財産局に直接商標出願するのが一般的である。電子的手段による出願は、ほぼ即時にオーストラリア知的財産局のデータベースに公開され、一般閲覧が可能である。

 出願前に商標が使用されていなければならないという要件はない。一般的に出願行為が、当該商標の使用または使用意図を示しているとみなされる。

 外国の出願人が国内出願を提出するためには、オーストラリア国内に送達宛先を有していなければならない。

 オーストラリアは、マドリッドプロトコルの加盟国である。それゆえ外国の事業体または個人は、オーストラリアを指定国として国際出願することができる。国内出願と国際出願は、ほぼ同じ商標制度である。

 

 商標法は、オーストラリアにおいて商標として登録可能な標識の種類について広義の定義を示しており、下記または下記のあらゆる組合せが含まれる。

・あらゆる文字、言葉、名称、署名、数字、図案、ブランド、表題、ラベル、チケット、包装の外観、形状、色彩、音または匂い

 さらに商標法は、シリーズ商標、団体商標および証明商標の登録についても規定している。

 

 審査は通常、出願日から4‐5ヵ月以内に行われる。ただし、優先権主張を伴う出願の審査は、自動的に迅速に処理され、出願日から4週間以内に行われる。通常の出願でも審査を迅速化することはできるが、早期審査を正当化する理由がなければならず、出願人またはその代理人により早期審査を請求する宣言書を提出しなければならない。早期審査を請求する一般的な理由として、次のものが挙げられる。

(1)当該商標が第三者により侵害されている、もしくはそのおそれがある場合

(2)当該出願人が当該商標を付した商品の使用、広告もしくは製造に投資してきたため、投資のリスクを最小限に抑えるために、可能な限り早期の登録を要する場合

 

 オーストラリア商標出願(およびオーストラリアを指定国とする国際出願)は、絶対的および相対的拒絶理由に基づいて審査される。

 審査段階で拒絶理由通知が送達された場合、出願人は拒絶理由通知の日付から15ヵ月以内に、自己の出願が認可される状態にしなければならない。審査官は、提出されたあらゆる応答を考慮する期間として4週間を必要とするため、実務上、出願人は拒絶理由通知から14ヵ月以内に応答する必要がある。

 出願が認可される状態にするための期限は、延長料を支払えば6ヵ月まで延長することができる。3ヵ月を超える期限延長申請は、公告されなければならないため、実際には一度に3ヵ月を超えない範囲で延長が申請される。拒絶理由通知から21ヵ月を超える期限延長は、料金の納付に加え、出願が認可される状態にするための措置を要約した宣言書を提出することにより可能となる。延長理由は曖昧であってもよく、実際問題として費用はかかるが、合計で数年の延長を得ることが可能である。

 一定の状況下では、この認可期限を延長することもできる。その出願が係属中の先願もしくは満了した登録を引用され、または引用商標に対して不使用取消請求が提起されている場合には、延長が認められる。そのような場合、出願の審査は、かかる引用された先願、満了した登録または不使用取消請求について決定が下されるまで中断される。

 また、引例による拒絶理由を克服するために、出願人が善意の同時使用もしくは継続的な先使用の証拠を準備していること、または引用商標の所有者と同意書交渉を行っていることを根拠に、認可期限を6ヵ月にわたり延長することもできる。

 拒絶理由を克服できない場合、国内出願(「親出願」)の出願人は分割出願が可能である。分割出願は親出願と同じ出願日を与えられるが、指定商品を限定しなければならない。拒絶理由が一部の指定商品または役務のみに関係している場合、拒絶理由の対象となっていない指定商品または役務を分割出願に振り分けることにより、登録可能な状態にすることができる。別の選択肢として、出願人は1つの指定商品を除くすべての指定商品または役務に関する分割出願を提出することにより、拒絶理由に対処する時間を稼ぐことができる。1つの指定商品のみをカバーする親出願は、後に失効させる。分割出願は親出願と同じ拒絶理由通知に直面するが、出願人はその拒絶理由に対処する期間として、拒絶理由通知からさらに15ヵ月間の認可期限を与えられることになる。

 拒絶理由が克服されると、出願の登録が許可され、異議申立のために公告される。第三者は、異議申立期間として、登録許可日から2か月間を与えられる。

 異議申立が提出されなかった場合、または異議申立の防御に成功した場合、その出願は登録料の納付をもって登録される。