シンガポールにおける知的財産の基礎的情報(全体マップ)-実体編
1. 出願ルート
シンガポールでは、特許権、意匠権、商標権を取得するために、以下のルートにより出願することができる。また、特許、意匠、商標について、国際出願ができる。
[シンガポールにおける出願ルート]
直接出願 | 国際出願 | 広域出願 | |
---|---|---|---|
特許 | 可 | 可 | 不可 |
実用新案 | – | – | – |
意匠 | 可 | 可 | 不可 |
商標 | 可 | 可 | 不可 |
<諸外国・地域・機関の制度概要および法令条約等>
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/mokuji.html
2. 法令・制度等
(1) 主な法律
法域 | 法律・規則(公用語)/(英語) a: 法律・規則等の名称 b: 主な改正内容 URL: | 改正年 (YYYY) | 施行日 (DD/MM/ YYYY) |
---|---|---|---|
特許 | (公用語・英語) a: Singapore Patents Act 1994(シンガポール特許法) b:Intellectual Property (Dispute Resolution) Act 2019(Act 23 of 2019)により、シンガポール特許法が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. 登録の有効性証明書の付与が裁判所だけでなく登録官も付与可能となった(特許法第72条)。 2. 裁判における示談の徴収金額について上限が定められた(特許法第103条)。 URL: https://sso.agc.gov.sg/Act/PA1994 【参考】Intellectual Property (Dispute Resolution) Act 2019(Act 23 of 2019) https://sso.agc.gov.sg/Acts-Supp/23-2019/Published/20190911?DocDate=20190911 | 2019 | 10/06/2022 (最終施行日) |
(日本語) a: シンガポール特許法 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaik当oku/document/mokuji/singapore-tokkyo.pdf | |||
(公用語・英語) a: Singapore Patents Act 1994(シンガポール特許法) b: Intellectual Property (Amendment) Act 2022 (Act No. 7 of 2022)により、シンガポール特許法が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. 実質的な応答の必要がなく、軽微な補正で対処できる場合には、審査官は、見解書に代えて補正指令書を出願人に提供して、補正を求めることができるようになった(特許法第29条(7B))。 2. 再審理の請求時に、すべての未解決の拒絶理由を解消する目的で補正書が提出された場合には、審査官は、従前の審査報告書に同意するか否かを明記する必要がなくなった(特許法第29B条(4A))。 3. シンガポール知的財産庁が調査の最終結果または英語による国際調査報告書を作成し、かつ報告書が事前に出願人に送付されている場合には、出願人は、審査請求時に調査結果の写しを提出する必要がなくなった(特許法第29条(1)(c))。 4. 英語以外の言語で出願された国際出願の国内段階への移行時に、英訳の公開を求める申請書の提出および英訳の公開手数料が廃止された(特許法第86条(6))。 5. 登録官は、第三者からの請求がない場合であっても、裁量によって、公開された出願に関する一切の情報および書類を公開することができるようになった(特許法第108条(1A))。 URL: https://sso.agc.gov.sg/Act/PA1994 【参考】Intellectual Property (Amendment) Act 2022 (Act No. 7 of 2022) https://www.wipo.int/wipolex/en/text/587162 | 2022 | 26/05/2022 | |
(日本語) a: シンガポール特許法 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaik当oku/document/mokuji/singapore-tokkyo.pdf | |||
(公用語・英語) a: Singapore Patent Rules(シンガポール特許規則) b: 2022年改正特許法が施行され、これにより特許規則が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. 要約に添付する図の数が2つまでに制限された(特許規則22(6)) 2. 所定の書類の提出義務が削除された(特許規則26(4A))。例えば、特許出願が先の出願を参照する場合、先の出願に関する書類が以前に提出されていれば、先の出願と対応する書類の複写の提出は不要となる。 3. 配列リストを提出する際に、WIPO 標準で要求される配列リストの提出が必要となった(特許規則19A)。 4. 出願が、単一性の要件を満たさない場合、最初の発明のみに審査が制限されることになった(特許規則45(1A))。 URL: https://sso.agc.gov.sg/SL/PA1994-R1 【参考】Patents(Amendment NO. 2) Rules 2022 https://sso.agc.gov.sg/SL-Supp/S399-2022/Published/20220523?DocDate=20220523#pr25- | 2022 | 26/05/2022 | |
(日本語) a: シンガポール特許規則 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-tokkyo_kisoku.pdf | |||
関連記事:シンガポールにおける特許制度のまとめ-手続編(2022.12.01) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27217/ 関連記事:シンガポールにおける特許制度のまとめ-実体編(2020.05.19) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18575/ 関連記事:「シンガポールにおける知的財産法改正について」(2023.03.16) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/34012/ 関連記事:「シンガポールの法令へのアクセス方法―AGCウェブサイト」(2023.11.14) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/37646/ 関連記事:シンガポールにおける特許公報へのアクセス方法(2022.10.25) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/26817/ 関連記事:「シンガポールにおける特許出願制度概要」(2019.07.25) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17577/ 関連記事:「シンガポールの特許関連の法律、規則、審査基準等」(2021.05.11) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19849/ 関連記事:「シンガポールにおける特許、意匠年金制度の概要」(2022.11.15) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/27089/ 関連記事:シンガポールにおける特許審査迅速化の方法(2023.02.14) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/33773/ | |||
意 匠 | (公用語・英語) a: Singapore Registered Designs Act 2000(シンガポール意匠法) b:Intellectual Property (Dispute Resolution) Act 2019(Act 23 of 2019)により、シンガポール意匠法が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. 登録の有効性証明書の付与が裁判所だけでなく登録官も付与可能となった(意匠法第43条)。 2. 裁判における示談の徴収金額について上限が定められた(意匠法第68条)。 URL: https://sso.agc.gov.sg/Act/RDA2000 【参考】Intellectual Property (Dispute Resolution) Act 2019(Act 23 of 2019) https://sso.agc.gov.sg/Acts-Supp/23-2019/Published/20190911?DocDate=20190911 | 2019 | 10/06/2022 (最終施行日) |
(日本語) a:シンガポール意匠法 https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-ishou.pdf | |||
(公用語・英語) a: Singapore Registered Designs Act(シンガポール意匠法) b: Intellectual Property (Amendment) Act 2022 (Act No. 7 of 2022) により、シンガポール意匠法が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. パリ条約出願の優先権の主張において、組物の意匠も対象とされることが明記された(意匠法第12条(1)(a))。 2. 意匠権の部分放棄が明記された(意匠法第30A条(1))。 3. 登録意匠の虚偽表示に関して組物の意匠が明記された(意匠法第66条(1))。 4. 申請、通知または書類の修正に関して登録官が公開できることが明記された(意匠法74条(2A))。 URL: https://sso.agc.gov.sg/Act/RDA2000 【参考】Intellectual Property (Amendment) Act 2022 (Act No. 7 of 2022) https://www.wipo.int/wipolex/en/text/587162 | 2022 | 26/05/2022 | |
(日本語) a:シンガポール意匠法 https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-ishou.pdf | |||
(公用語・英語) a: Singapore Registered Designs Rules(シンガポール意匠規則) b: 2022年改正意匠法が施行され、これにより意匠規則が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. 権利者は、登録された意匠によって付与された特定の特徴に関する権利を自発的に放棄することができるようになった(意匠規則14A)。 2. 失効した権利の回復期間が、6か月から2か月へ短縮された(意匠規則 25(2)(a))。 3. 優先権主張を伴った出願の出願人は、登録官が要求した日から 3 月以内に、優先権基礎出願の出願番号を提出しなければならない(意匠規則19(2AA))。 URL: https://sso.agc.gov.sg/SL/RDA2000-R1 【参考】 Registered Designs (Amendment NO. 2) Rules 2022 (2022年意匠規則改正条項) https://sso.agc.gov.sg/SL-Supp/S402-2022/Published/20220523?DocDate=20220523 | 2022 | 26/05/2022 | |
(日本語) a: シンガポール意匠規則 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-ishou_kisoku.pdf | |||
関連記事:「シンガポールにおける意匠登録出願制度概要」(2019.7.30) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17579/ 関連記事:「シンガポールの意匠関連の法律、規則等」(2019.04.02) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/16806/ 関連記事:「シンガポールにおける意匠公報へのアクセス方法」(2024.02.06) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/38195/ 関連記事:「シンガポールにおける意匠登録の機能性および視認性」(2018.10.04) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15931/ 関連記事:「シンガポールにおける意匠の公開延期請求について」(2019.09.05) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17676/ 関連記事:「日本とシンガポールの意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較」(2015.09.25) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/9296/ 関連記事:「日本とシンガポールにおける意匠権の権利期間および維持に関する比較」(2015.03.31) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/8454/ | |||
商標 | (公用語・英語) a: Singapore Trade Marks Act 1998(シンガポール商標法) b:Intellectual Property (Dispute Resolution) Act 2019(Act 23 of 2019)により、シンガポール商標法が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. 登録の有効性証明書の付与が裁判所だけでなく登録官も付与可能となった(商標法第102条)。 2. 裁判における示談の徴収金額について上限が定められた(商標法第105A条)。 URL: https://sso.agc.gov.sg/Act/TMA1998 【参考】Intellectual Property (Dispute Resolution) Act 2019(Act 23 of 2019) https://sso.agc.gov.sg/Acts-Supp/23-2019/Published/20190911?DocDate=20190911 | 2019 | 10/06/2022 (最終施行日) |
(日本語) a: シンガポール商標法 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-shouhyou.pdf | |||
(公用語・英語) a: Singapore Trade Marks Act 1998(シンガポール商標法) (Chapter 332, Revised Edition 2005) b: Intellectual Property (Amendment) Act 2022 (Act No. 7 of 2022) により、シンガポール商標法が改正された。主な改正点は以下のとおりである。 1. 国内の商標出願を対象とした部分登録制度が導入され、拒絶された商品または役務のみが取り下げられるか、拒絶されることになった(第12条(4)(b))。 2. 取下げとされた出願の手続継続に関して規則で制定することができるとされ、商標出願が取り下げられた日から6か月以内に、出願継続の請求をすることができる期間が短縮された(第108条(ia))。 URL: https://sso.agc.gov.sg/Act/TMA1998 【参考】Intellectual Property (Amendment) Act 2022 (Act No. 7 of 2022) https://www.wipo.int/wipolex/en/text/587162 | 2022 | 26/05/2022 | |
(日本語) a: シンガポール商標法 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-shouhyou.pdf | |||
(公用語・英語) a: Singapore Trade Marks Rules(シンガポール商標規則) b: 2022年改正商標法が施行され、これにより商標規則が改正された。 1. 出願人は、出願が取り下げられたとみなされた日から 2か月以内に、出願手続を継続するように登録官に請求を行うことができることとされた(商標規則77AA(2),(3)(a))。 2. 拒絶理由通知に対して応答しない場合、従来は出願全体が取り下げられたものとされていたが、改正により拒絶理由通知を受けた商品・役務のみが取下げられたものとして扱われ、残りの商品・役務に関する出願手続は続行されることとなった(商標規則24(2))。 URL: https://sso.agc.gov.sg//SL/332-R1?DocDate=20220523 【参考】 Trade Narks (Amendment NO. 2) Rules 2022 (2022年商標規則改正条項) https://sso.agc.gov.sg/SL-Supp/S403-2022/Published/20220523?DocDate=20220523 | 2022 | 26/05/2022 | |
(日本語) a:シンガポール商標規則 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-shouhyou_kisoku.pdf | |||
関連記事:シンガポールにおける商標制度のまとめ-手続編(2020.09.03) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19446/ 関連記事:シンガポールにおける商標制度のまとめ-実体編(2020.06.09) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18623/ 関連記事:シンガポールにおける商標公報へのアクセス方法(2022.10.25) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/26789/ 関連記事:シンガポールにおける商標のコンセント制度について(2023.01.05) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27455/ 関連記事:シンガポールにおける英語以外の言語を含む商標の出願(2021.06.29) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/20345/ 関連記事:シンガポールにおける顧客に好まれない商標および顧客に好まれる商標(2024.01.25) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/38116/ 関連記事:シンガポールにおける商標の識別性に関する調査(2021.09.02) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20809/ | |||
著作権法 | (公用語・英語) a: Singapore Copyright Act(シンガポール著作権法) b: 2021年9月に可決され2021年11月21日に施行された改正法 URL: https://sso.agc.gov.sg/Acts-Supp/22-2021/Published/ | 2021 | 21/11/2021 |
(日本語) なし 【参考】https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/asia/2021/sg/20211126.pdf | |||
不正競争 | (公用語・英語) シンガポールには、日本の不正競争防止法のような営業秘密等の 保護を規定する明確な法律は存在せず、営業秘密は判例法により保護されている。 【参考】https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/outreach_r3_singapore.pdf | ― | ― |
(日本語) なし |
(2) 審査基準等
(3) 主な条約・協定(加盟状況)
条約名 | 加盟 | 加盟予定 (YYYY) | 未加盟 |
---|---|---|---|
(1) パリ条約 (工業所有権の保護に関するパリ条約) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(2) PCT (特許協力条約) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(3) TRIPs (知的所有権の貿易関連の側面に関する協定) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(4) PLT (特許法条約) | ☐ | ☐ ( ) | ☒ |
(5) IPC (国際特許分類に関するストラスブール協定) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(6) ハーグ協定 (意匠の国際登録に関するハーグ協定) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(7) ロカルノ協定 (意匠の国際分類を定めるロカルノ協定) | ☐ | ☐ ( ) | ☒ |
(8) マドリッド協定 (標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(9) TLT (商標法条約) | ☐ | ☐ ( ) | ☒ |
(10) STLT (商標法に関するシンガポール条約) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(11) ニース協定 (標章の登録のため商品及びサービスの国際分類に関するニース協定) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(12) ベルヌ条約 (文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(13) WCT (著作権に関する世界知的所有権機関条約) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
(14) WPPT (実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約) | ☒ | ☐ ( ) | ☐ |
3. 料金表
[情報1]
(公用語・英語) Title: First Schedule (After Rule 120) of the “Patents Rules” URL: https://sso.agc.gov.sg/SL/PA1994-R1 |
(日本語) Title: シンガポール特許規則、附則1「手数料」 URL: https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/singapore-tokkyo_kisoku.pdf |
(公用語・英語) Title: Forms & Fees(様式および手数料) URL: https://www.ipos.gov.sg/about-ip/form-fees |
(日本語) なし |
関連記事:「シンガポールにおける特許、意匠年金制度の概要」(2022.11.15) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/27089/ 関連記事:「シンガポールにおける特許ライセンス」(2018.06.28) https://www.globalipdb.inpit.go.jp/license/15376/ |