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ロシアにおける特許制度のまとめ-手続編

1. 出願に必要な書類 
 発明または実用新案に関する出願は、以下を含まなければならない。 
・権利付与を求める請求書(願書、弁理士が作成する。) 
・クレームされた発明(または実用新案)を実施できるよう十分詳細に開示する明細書 
・発明(または実用新案)の本質的な特徴を記載し、明細書によって完全に裏付けられた特許請求の範囲 
・発明(または実用新案)を理解するために必要な図面、その他の資料 
・要約 
(連邦民法第4法典第1375条、第1376条)

 出願は、1つの発明のみ、または単一の一般的な発明概念を形成するために関連付けられた一群の発明についてのみ行うことができる(発明の単一性の要件)。実用新案登録出願は、1つの実用新案(1つの独立請求項)についてのみ行うことができる。
(連邦民法第4法典第1375条、第1376条)

 出願日は、付与を求める請求書、明細書および明細書に図面の記載がある場合は図面を提出した日に成立するものとする。前述の書類が同時に提出されない場合、出願日は、それらの書類のうち最後のものを受領した日に与えられる。
 優先権書類の認証謄本は、優先日から16月以内にロシア特許庁に提出しなければならない。
(連邦民法第4法典第1375条、第1376条、第1382条)

関連記事: 
「ロシアにおける優先権主張の手続」(2020.12.24) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19645/
「ロシアにおける特許・実用新案出願制度の概要」(2019.11.12) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17907/
「日本とロシアにおける特許出願書類・手続の比較」(2019.09.17) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17715/

2. 記載が認められるクレーム形式 
2-1. クレームの許容される形式 
 以下の請求項が認められる。 
・デバイス(装置・製品)のクレーム 
・組成物(化合物)のクレーム 
・方法(プロセス)クレーム 
・プロダクト・バイ・プロセス・クレーム 
・用途クレーム 

 単一請求項と複数請求項の両方が認められる。請求項は、発明の目的を反映した前文と、発明の特徴を含む本文を含むべきである。本文は、特徴の前提部分と特徴部分から構成されてもよい(義務ではない)。特許請求の範囲は、発明の本質を定義し、明細書によって完全に裏付けられなければならない。発明の単一性の要件を満たせば、複数の独立請求項を記載することができる。 

 独立請求項の数に制限はない。1つの独立請求項は、1つの発明のみを特定すべきである。代替的特徴(マーカッシュ形式による発明特定事項の記載)は、独立請求項と従属請求項の両方で使用することができる。1つの独立請求項は、1文であるべきである。プロダクト・バイ・プロセス・クレームが許容される。 

 先行する独立請求項を引用する従属請求項が認められる。複数の請求項を引用する請求項は、他の複数の請求項を引用する請求項を引用してはならない(マルチ-マルチクレームは許容されない)。従属請求項は、付加的な特徴および/または詳細化した特徴を含むことができ、詳細化した特徴は、独立請求項の一部の特徴および/または特徴の前提部分の特徴を発展させたものである。従属請求項の数には制限はない。 

(2023年2月21日付のロシア連邦経済開発省の命令第107号(以下「命令第107号」という)添付2「発明の特許出願書類の要件」I. 申請書を提出するための一般的な要件、およびIV. 請求項の要件、発明の国家登録と発明特許の付与という公共サービスの提供の枠内での行政手続と行為に関するガイドライン 第5節(発明の単一性))

関連記事: 
「ロシアにおけるプロダクト・バイ・プロセスクレーム解釈のプラクティス」(2017.05.25) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13689/
「ロシアにおける特許の審査基準・審査マニュアル」(2014.11.20) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/7134/

2-2. 認められないクレーム形式 
 複数の請求項を引用する請求項は、他の複数の請求項を引用する請求項を引用してはならない。 
(命令第107号添付2「発明の特許出願書類の要件」IV. 請求項の要件) 

関連記事: 
「ロシアにおける特許および実用新案登録を受けることができる発明とできない発明」(2020.12.22) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19643/

3. 出願の言語 
 特許出願、実用新案登録出願または意匠登録出願は、外国語で行うことができる。ロシア語の翻訳文は、出願と一緒に提出することができ、正式なオフィスアクションに対応して後から提出することもできる。 
(連邦民法第4法典第1374条、第1384条、命令第107号添付1「発明の国家登録のために法的に重要な措置を講じるための基礎となる文書の作成、提出、検討に関する規則」II. 申請書類の審査(第21条)) 

関連記事: 
「日本とロシアにおける特許出願書類・手続の比較」(2019.09.17) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17715/

4. グレースピリオド 
 出願日の6月前までのグレースピリオドが適用される。発明者、出願人、または発明者もしくは出願人から直接もしくは間接に情報を得た者による発明に関する情報の公開は、その情報が公開されてから6月以内に特許庁に発明が出願されれば、その発明の特許性を喪失させない。立証責任は出願人にある。 
(連邦民法第4法典1350条第3項) 

関連記事: 
「ロシアにおける特許新規性喪失の例外」(2017.05.30) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13706/

5. 審査 
5-1. 方式審査 
 特許出願は、方式審査の対象となる。方式審査では、以下の要件がチェックされる。 
a) 必要な出願書類がすべて提出されており、すべての書類が方式要件を満たしていること。いずれかの要件が満たされていない場合、出願人に通知され、不備を修正するための3月の期間が与えられる(手数料の支払いで、期間延長を請求することができる)。出願人が期限内に不備を修正できない場合、修正または不足する書類を提出できない場合、出願は取下げられたものとみなされる。 
b) 手数料が正しく支払われていること。 
c) 発明の単一性の要件が満たされていること(発明の内容は確認されず、明らかな矛盾点のみが判断される)。発明の単一性の要件が満たされない場合、出願人は、審査官の要請により3月以内に請求された発明のどれを審査すべきかを示すことができる。この期間内に出願人が審査すべき発明を示さない場合、審査は最初にクレームされた発明に関してのみ行われる。 
d) IPC(国際特許分類)が付されている場合、正しく付されていること(付されていない場合は、審査官が付与する)。 
(連邦民法第4法典第1384条、命令第107号添付1「発明の国家登録のために法的に重要な措置を講じるための基礎となる文書の作成、提出、検討に関する規則」II. 申請書類の審査(第14条、第28条、第29条)およびIII. 規則第3条に基づく請求書の審査(第118条)) 

関連記事: 
「ロシアにおける特許・実用新案出願制度の概要」(2019.11.12) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17907/

5-2. 実体審査 
 出願が方式審査に合格すると、出願人は実体審査請求書を提出し、手数料を支払わなければならない。ロシアでは、発明の繰延べ審査制度がある。 
 審査請求は、出願人または第三者が行う。審査請求は、出願時または出願日(PCTの場合は国際出願日)から3年以内に行わなければならない。審査請求期間は、2月延長することができる。前記期間内に審査請求が行われなかった場合、出願は放棄される。期間徒過は、期間徒過の日から1年間は回復することができる。 
 再審査および異議申立の制度はない。しかし、ロシア特許庁によって出願中の発明に関する情報が公表された後、何人もロシア特許庁に対して発明の特許性に関する意見を提供する権利を有し、意見は出願の実体審査において考慮される。ただし、当該意見の提出は、出願の審査における手続上の権利を当該者に与えるものではない。 
(連邦民法第4法典第1386条、1389条、命令第107号添付1「発明の国家登録のために法的に重要な措置を講じるための基礎となる文書の作成、提出、検討に関する規則」I. 書類の作成と提出(第5条第7)項)) 

関連記事: 
「日本とロシアの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較」(2019.08.29) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17659/
「ロシアにおける特許制度」(2017.07.04) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/13867/

5-3. 早期審査(優先審査)
 特許出願から特許権取得までの期間は、短縮される傾向にあるが、案件によって大きく異なる。平均では、1年またはそれ以下となる場合もある。
 ロシアはPPH(特許審査ハイウェイ)制度に加盟している。ロシア特許庁は、オーストリア、カナダ、中国、デンマーク、ドイツ、エストニア、欧州(EPO)、ハンガリー、イスラエル、チリ、ペルー、ポルトガル、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、アイスランド、日本、韓国、ノルウェイ、ポーランド、フィンランド、スウェーデン、コロンビア、スペイン、トルコ、英国、米国の27か国・地域の特許庁と、PPH協定およびPPH-MOTTAINAI協定を締結している。また、上記27か国・地域から中国を除く26か国・地域の特許庁とPCT-PPH協定を、上記27か国・地域から中国、欧州(EPO)、トルコを除き北欧特許庁およびヴィシェグラード特許機構を加えた26か国・地域の特許庁とGlobal PPH協定を締結している。
 しかし、2022年5月10日、日本国特許庁(JPO)は、ロシア特許庁との間の特許審査ハイウェイ(PPH)を一時停止することを決定した。また、米国特許商標庁(USPTO)、欧州特許庁(EPO)もロシア特許庁との間のPPHの申請手続きを中止している。

関連情報: 
「PPHプログラム」(ロシア特許庁の公表、ロシア語)(2021.02.20) 
https://rospatent.gov.ru/ru/activities/inter/bicoop/pph/patent-prosecution-highway
「PCT-PPHプログラム」(ロシア特許庁の公表、ロシア語)(2021.02.20) 
https://rospatent.gov.ru/ru/activities/inter/bicoop/pph/pct-pph
「PPH-MOTTAINAIプログラム」(ロシア特許庁の公表、ロシア語)(2021.02.20) 
https://rospatent.gov.ru/ru/activities/inter/bicoop/pph/pph-mottainai
「グローバルな優先特許手続(Global PPH)」(ロシア特許庁の公表、ロシア語)(2021.02.20) 
https://rospatent.gov.ru/ru/activities/inter/bicoop/pph/gpph
「日露特許審査ハイウェイについて」(JPOの公表、日本語)(2022.05.10) 
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/japan_russia_highway.html
※Global PPH加盟国については次の情報を参照されたい。 
「PCT-特許審査ハイウェイプログラム(PCT-PPHおよびグローバルPPH)」(WIPOの公表、英語)(2024.01.11) 
https://www.wipo.int/pct/en/filing/pct_pph.html

関連記事: 
「ロシアにおける特許権早期取得のテクニック」(2016.06.21) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/11804/
「ロシアにおける特許および実用新案に関する統計」(2018.06.21) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/15360/

6. 出願から登録までのフローチャート 
6-1. 出願から登録までの特許出願のフローチャート 

6-2. フローチャートの簡単な説明 
 発明に対する特許は、発明毎にされた特許出願の審査の肯定的な結果に基づいて、ロシア特許庁により特許証が発行される。特許出願は、一般に、出願に応じて作成された願書、明細書、図、請求の範囲および要約書を含み、願書はすべてロシア語で、その他の出願書類はロシア語または他言語(ロシア語による翻訳文を添付)で作成されなければならない(連邦民法第4法典第1374条)。 
 出願は、ロシア特許庁に直接、郵送またはオンラインで行うことができる。 

 発明の出願がロシア特許庁に受理された後、その出願は審査に付される。審査は、方式審査(連邦民法第4法典第1384条)および実体審査(連邦民法第4法典第1386条)から構成される(上記5.を参照)。 
 発明の出願は、ロシア特許庁への出願日から18月を経過した後に公開される(連邦民法第4法典1385条)。実用新案出願は公開されず、方式審査を通過後、直ちに実体審査に移行する。 
 出願公開後は、誰でも出願書類(審査経過を含む)を閲覧することができ、出願書類の写しを取り寄せることができる。 
 特許審査ハイウェイ(PPH)は、ロシアで利用できる効率的な早期審査の機会であり、よく利用されている。PPHは、実体審査前または実体審査請求時に請求することが望ましい。 

 最終的な決定に先立ち、通常、1~2回のオフィスアクションまたは通知が行われ、最初のオフィスアクションまたは通知(または、それがない場合は、肯定的な決定自体)は、通常、実体審査の開始から6~7月で行われる。前記早期審査を採用した場合、ロシア特許庁からの最初の通知は2~3月でなされる。 
 特許付与または拒絶の最終決定(および出願を取下げたとみなす決定)は、出願に関するそれぞれの決定の送付日から7月以内にロシア特許庁に審判請求することにより争うことができる(連邦民法第4法典第1387条第3項)。 
 ロシアの法律では、実体審査の請求、オフィスアクションに対する応答の提出、またはロシア特許庁の決定に対する審判の提出のための期間を、期間徒過時から1年以内に回復するオプションがある(連邦民法第4法典第1389条第1項、2項)。 
(連邦民法第4法典第1374条、第1384条~第1387条、第1389条) 

関連記事: 
「ロシアにおける特許制度の運用実態」(2015.11.24) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10074/
「ロシアにおける特許制度」(2017.07.04) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/13867/

[権利設定前の争いに関する手続] 
7. 拒絶査定に対する手続 
 審査官の決定に対する不服審判は、決定の日から7月以内にロシア特許庁に提出できる。不服審判は、審判部のメンバーおよびロシア特許庁の対応する審査部の審査官の双方から選ばれた3~5名の審査官/審判官で構成される審判体により審理される。ヒアリングには、出願人および審判請求された決定を出した審査官の双方が参加する。 

 審理の結果、以下のような決定がされる。 
拒絶査定に対して不服がある場合: 
– 請求を認容し、既存の請求項に対し特許の決定を下す。 
– 請求を不成立とし、ロシア特許庁の決定を維持する。 
– 請求を認容し、補正された請求項に対し特許の決定を下す。 

特許査定に対して不服がある場合: 
– 請求を認容し、付与決定を取り消し、出願を追加審査に付す。 
– 請求を不成立とし、ロシア特許庁の決定を維持する。 
– 請求を一部認容し、補正後された請求項に対し特許の決定を下す。 

取り下げ決定に対して不服がある場合: 
– 請求を認容し、出願を回復させる。 
– 請求を不成立とし、ロシア特許庁の決定を維持する。 

 決定は、ヒアリングにおいて審判部によって言い渡され、その後、ロシア特許庁の書面による決定が2月以内に作成されて出願人に送付される。 
(連邦民法第4法典第1387条、第1389条)

8. 権利設定前の異議申立 
 法律には、特許出願に対する異議申立に関する規定はない。しかし、出願公開後、何人もファイルを閲覧し、出願の特許性に関して意見をロシア特許庁に提出することができる。意見書を提出するための手数料はかからない。これらの意見は、審査官が審査手続において考慮する。意見の提出をした者は、出願を審査する際の手続には参加しない。 
(連邦民法第4法典第1386条第5項)

9. 上記7.の判断に対する不服申立 
 審決に対する不服申立は、審決書の受理日から3月以内に知的財産権裁判所(IPR裁判所)に提出することができる。知的財産権裁判所は、審理により、審決を支持するか、破棄することができる。破棄する場合、知的財産権裁判所は通常、ロシア特許庁に各請求を再度審理するよう命ずる。 
(連邦憲法(ロシア連邦の仲裁裁判所について)第43条第4項、ロシア連邦仲裁手続法第198条) 
 なお、上記「仲裁裁判所」(арбитражный суд)および上記「ロシア連邦仲裁手続法」(арбитражный процессуальный кодекс российской федерации)は、英語では、それぞれ「Commercial Court」および「Commercial Procedure Code」と表記される。

[権利設定後の争いに関する手続] 
10. 権利設定後の異議申立 
 ロシアには、付与後の異議申立制度はない。特許付与後、特許無効の申立をすることができる。 

関連記事: 
「ロシアにおける特許制度」(2017.07.04) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/13867/

11. 設定された特許権に対して、権利の無効を申し立てる制度 
 連邦民法第4法典第1398条によれば、発明に対する特許については、以下の場合に、その有効期間中いつでも、全部または一部の無効を申立することができる。 
(a) 特許された主題が特許性の条件を満たさないとき。 
(b) 付与された特許請求の範囲が、当初の明細書および特許請求の範囲に出願日時点で存在しなかった特徴を含んでいる場合。 
(c) 特許が、同一の優先日を有する同一の発明に対する複数の出願に対して付与された場合。 
(d) 発明者または特許権者の表示を誤ったまま特許が付与された場合。 

 (a)、(b)、(c)を理由とする無効の提起は、ロシア特許庁に提出する。 
 (d)の無効の提起は、知的財産権裁判所に提出する。 

 当事者(特許権者、無効申立人)および特許付与決定を行った審査官もヒアリングに参加する。 
 ロシア特許庁は、無効の申立を検討した結果、以下の決定を下すことができる。 
– 無効申立を不成立とし、特許を全て有効なまま残す。 
– 無効申立を認容し、特許を全て無効とする。 
– 無効申立を一部認容し、特許を一部無効とする。特許が一部無効となった場合、新たな特許が付与される。 

 このような無効関連の審理期間の目安は、4~6月である。 
 無効に関するロシア特許庁の決定に対して不服がある場合には、知的財産権裁判所に出訴することができる。審理の結果、知的財産権裁判所は決定を支持するか、破棄することができる。破棄する場合、知的財産権裁判所は通常、ロシア特許庁に申立事由について再度審理するよう命ずる。 
(連邦民法第4法典第1398条) 

関連記事: 
「ロシアにおける権利無効手続の統計データ」(2018.02.15) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/14554/

12. 権利設定後の権利範囲の修正 
 無効申立の審理中(上記11.参照)、特許権者は、請求項により定義された範囲を拡張することなく、請求項を訂正する権利を有する。訂正された請求項が認容されると確認された場合、無効の申立がされた特許の代わりに、上記請求項を有する新たな特許が付与されたものとする。 
(ロシア特許庁による紛争の検討および解決のための規則、パラグラフ40)。 

関連記事: 
「ロシアにおける特許のクレームの変更」(2014.06.27) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/6179/

13. その他の制度 
 ロシアで技術的解決策に対して得ることができるもう一つのタイプの法的保護は、実用新案特許(UM)である。この実用新案の有効期間は10年であり、延長することはできない。実用新案として保護されるのは、デバイス/装置のみである(空間的に分散したシステム(例:構造的に一体でない装置)は、実用新案として保護されるデバイス/装置とはならないことに留意されたい)。すべての実用新案登録出願のクレームは、1つの実用新案にのみ関係するものでなければならない(すなわち、代替語句のない1つの独立請求項のみが認められる)。一般的に、実用新案登録の要件は、基本的には特許に関する要件と同様であり、その詳細はすでに述べたとおりである。両者の基本的な違いは、実用新案の審査事項には、進歩性の要件が含まれないことである。 

 ロシアの現行法は以下のようなオプションを提供しており、これらは柔軟に利用することができる。 
– 発明の進歩性に不安がある場合などには、特許出願を実用新案登録出願に変更することができる。 
– ロシア特許庁において特許に対する無効審判請求が審理されている間に、特許権者は所定の基準を満たせば、その特許を実用新案に変更するよう請求することができる。 

 ロシアはユーラシア特許条約(EAPC)およびユーラシア特許条約の工業意匠の保護に関する議定書に加盟しており、ユーラシア特許庁(EAPO)が発行するユーラシア特許およびユーラシア意匠は、国内(RU)の特許および意匠と同様にロシアで有効である。 
(連邦民法第4法典第1351条、第1363条、第1376条、第1379条) 

関連記事: 
「ロシアにおける実用新案制度の運用実態」(2016.01.21) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10212/
「ロシアにおける特許取得-ユーラシア特許制度」(2017.07.11) 
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/13889/

ロシアにおける商標制度のまとめ-手続編

1. 出願に必要な書類
 商標出願の要件は、民法第1492条および商標出願書類の要件により定められている。
 商標出願には、出願人に関する情報、出願する商標、その説明、および、商標登録を目的とする商品およびサービスの国際分類(ニース分類)のクラスに従ってグループ化された、保護を求める商品またはサービスのリストが含まれなければならない。
 外国出願人は、ロシア特許庁(ロスパテント、Rospatent)に対して登録された商標弁護士を代理人とする必要がある。出願書類と共に委任状を提出することは必須ではないが、出願の手続中に要求される。委任状は、出願人により発行され、権限を有する者の署名がその者の氏名および職位とともに必要である。公証や認証の必要はない。委任状は、出願後、ロシア特許庁の求めから3月以内に提出する必要がある。
 従来の優先権(パリルート等)を主張する場合、最初の(第一国)出願の認証謄本を提出する必要がある。出願内容は、最初の出願のものと一致させる必要がある。最初の出願の認証謄本は、出願をロシア特許庁に提出した日から3月以内に提出する必要がある。

参考情報:
「商標出願書類の要件」(2020.11.23)
https://new.fips.ru/documents/npa-rf/prikazy-minekonomrazvitiya-rf/prikaz-ministerstva-ekonomicheskogo-razvitiya-rf-ot-20-iyulya-2015-g-482.php#II

関連記事:
「ロシアにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17685/
「ロシアにおける法制度・代理人・知的財産権情報等」(2017.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13865/
「ロシアにおける指定商品または役務に関わる留意事項」(2016.05.11)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/11152/
「ロシアにおける優先権主張の手続」(2020.12.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/19645/
「ロシアにおける小売役務の保護の現状」(2018.06.21)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15358/

2. 登録できる商標/登録できない商標
2-1. 登録できる商標の種類
 文字列、図形、文字列と図形の要素からなる複合標章、非伝統的標章(立体標章、におい標章、動き標章、位置標章、音標章、色標章、その他標章)は、商標として登録することができる。商標として登録可能な標章のリストは、網羅的ではない。

1-2. 登録できない商標の種類
 ある事業者の商品または役務を他の事業者の商品または役務から識別することができないものは、商標として登録することができない。

1-3. 通常以外の商標の登録システム
 民法には、団体商標や周知商標の登録についても規定されている。
 団体商標とは、組合、事業者団体、事業関係者またはその他の任意事業団体の標章であって、その団体の構成員である者が生産しまたは販売する商品が、品質またはその他の特性において共通の特徴を有することを示すことが意図された標章と定義されている。
(民法第1510条および第1511条)
 団体商標の出願には、商標の使用に関する規則を定めた団体商標憲章を添付する必要がある。規則には、商標をその名で登録する権利を有する団体の名称、および商標を使用する権利を有する企業のリスト、商標の登録目的、商品のリストとその共通特性(品質またはその他に関する)の説明、商標の使用条件、商標の使用が管理される原則、規則違反に対する制裁を示さなければならない。商標を使用する権利を有する企業の名称と、商標が登録された商品の共通特性に関する規則からの抜粋は、ロシア特許庁の公式公報に掲載される団体商標の登録公報に記載される。登録権者は、規則の改正についてロシア特許庁に通知しなければならない。

 団体商標が共通の質的特性またはその他の共通特性を持たない商品に関して使用されている場合、利害関係者は知的財産権裁判所に団体商標の登録の全部または一部の取消を請求することができる。団体商標は第三者に譲渡または使用許諾することができない。
(民法第1514条第1項第2号)
 団体商標および団体商標の登録出願は、それぞれ商標または商標出願に変更することができる。
(民法第1511条第4項)

 ロシアでは周知商標が保護される。企業家または法人の要求により、無登録商標、登録商標またはその他の方法で保護されている商標として使用されている標識は、当該個人または法人の商品に関して消費者の関連部門で広く知られるようになった場合、ロシア連邦において周知であるとみなされる。ロシア特許庁によるしかるべき決定により、周知商標は周知商標リストに登録される。
(民法第1508条および第1509条)

関連記事:
「ロシアにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17685/
「ロシアにおける商標の識別力」(2014.04.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/5841/
「ロシアにおける商標制度」(2013.09.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/3758/

3. 出願の言語
 出願の言語はロシア語でなければならない。
(民法第1492条第6項)

関連記事:
「ロシアにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/17685/

4. グレースピリオド
 商標について、特許法でいうようなグレースピリオドはない。
 ただし、商標に関連して、優先権と商標の出願期限について議論することは可能である。まず、商標の優先権は、パリ条約の加盟国における最初の商標登録出願の最初の出願日から6月以内にロシア特許庁に出願した場合に認められる。
(民法第1495条第1項)
 次に、パリ条約の加盟国のいずれか1つの領域内で開催された公式または公的に認められた国際的な展示会においてその商標が展示された日を基準とする商標の優先権が、その日から6月以内にロシア特許庁に商標出願をすることにより認められる。
(民法第1495条第2項)

関連記事:
「ロシアにおける優先権主張の手続」(2020.12.24)
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5. 審査
5-1. 実体審査
 ロシアにおける実質的な審査は、申請された名称が登録可能要件に適合しているかどうかを確認するために行われる。商標出願は、絶対的もしくは相対的な理由のいずれかまたは絶対的もしくは相対的な理由の両方によって拒絶される可能性がある。

 絶対的理由とは、出願された標章の実質に関わるもので、基本的には、識別力の欠如、誤認のリスクや混同の可能性、国家の表象や標識との類似または同一による混同、国際機関や政府間組織の名称のフルネームもしくは略称または表象の複製、ロシアや世界の文化遺産の最も価値が高いものの正式名称や画像の複製などが含まれる。

 相対的な拒絶理由としては、以下のものがある。
・類似の商品、サービスに関して第三者が所有する先行商標(ロシアで登録または出願されたもの)との同一または混同する類似。
・ロシアにおける周知商標との同一または混同する類似。
・ロシアで保護されている第三者の工業デザイン、原産地呼称、会社名、商業表示との同一または混同する類似であって、混同する範囲のもの。

 また、第三者が所有する著作物、名前、ペンネーム(またはその派生物)、写真、著名人の複製画像、第三者が所有する工業デザインはもちろん、保護された他人の差別化手段(および紛らわしい類似標識)についても、これを商標の要素として含む場合は保護されない。
 出願の審査結果を決定する前に、審査結果の通知が出願人に送付され、通知に記載の理由に対する出願人の意見の提出が求められる。出願人への当該通知の発送後6月以内に提出された出願人の意見は、審査結果を決定する際に考慮される。
 実質的な審査の後、審査官の決定が行われるが、その形式は、完全な登録決定、申請された商品区分の一部の登録決定(結果として、残りの部分の商品については拒絶)、申請された商品区分すべてに及ぶ拒絶査定となる。
(民法第1231.1条、第1473条および第1483条)

5-2. 早期審査(優先審査)
 早期審査には、出願が45区分をカバーしていなくとも、これらすべての商標のサーチを揃える必要がある。ロシア特許庁の調査報告書(請求後2週間以内)を受領したら、早期審査請求書とともにロシア特許庁に提出しなければならない。請求書の提出後、数日間で審査結果が得られる。追加料金を支払わなければならない。
 審査の早期化にはリスクがあり、第三者が条約により先行する優先権を伴う出願をした場合には、審査結果および登録査定が将来ロシア特許庁によって修正される可能性があり(民法第1499条第4項)、また先行する権利者は、公開日から5年以内に登録異議の申立てをすることができる(民法第1512条第2項第2号)。したがって、早期審査は、できるだけ早く登録を取得する必要がある場合にのみ推奨される。

5-3. 商標の類否判断の概要
 審査により判明した出願商標と他の商標との類似性の評価は、商標登録のための提出書類の出願および審査に関する規則(ロシア連邦経済開発省、2015年7月20日命令第482号)の第42項から第45項に記載の基準に基づいて行われる。
 それらの類似性の基準は、音声的、図形的、意味的である。

5-3-1. 音声的類似性
 音声的類似性は、比較する称呼における近接音または同一音の存在、比較する称呼を構成する音の近接性、近接音および音の組み合わせの互いに対する位置、二重調音の存在およびその位置、比較する称呼の音節数、比較する称呼の二重調音の組み合わせの位置、母音の組み合わせの近接、子音の組み合わせの近接、比較称呼の併記部分の特徴、一方の称呼が他方に入るか否か、比較称呼におけるアクセントなどの基準に基づいて判定することができる。

5-3-2. 図形的類似性
 図形的類似性は、一般的な視覚的印象、印刷の種類、文字の特性(大文字または小文字または大文字)、互いに対する文字の位置、比較された指定が表現されるアルファベット、色または色の組み合わせからみた比較された指定の図形的実行などの基準に基づいて決定される。

5-3-3. 意味的類似性
 出願された商標と商標審査により判明した商標との意味的類似性は、比較された名称の観念の類似性(比較された名称の異なる言語での意味の類似性)、論理的に強調され独立した意味を有する比較された名称の要素の一つの類似性、比較された名称の観念を逆にしたものなどのいくつかの基準に基づいて判断される。

 ロシア特許庁の審査官は、これらの観点と基準を組み合わせて、またはそれぞれを別々に検討する。

関連記事:
「ロシアの商標関連の法律、規則、審査基準等」(2019.04.11)
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「ロシアの知財関連の審査基準へのアクセス方法」(2019.08.22)
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「ロシアにおける商標出願の拒絶理由通知に対する対応策」(2020.04.16)
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「ロシアにおける物品デザインの商標的保護」(2018.08.07)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15640/
「ロシアにおける商標の重要判例」(2018.09.25)
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6. 出願から登録までのフローチャート
6-1. 商標出願の出願から登録までのフローチャート

6-2. フローチャートの簡単な説明
 出願人が商標登録出願を行い(出願)、不受理の理由がなければ出願は受理され、ロシア特許庁から出願人に対し出願日および出願番号を記載した通知書が送付される。
 出願受理後、出願に関する情報は、ロシア特許庁のウェブサイトの公報に掲載される。
https://new.fips.ru/publication-web/bulletins/UsrTM?lang=en

 手数料の支払が確認される。
 受理された出願に基づき、提出書類の審査(方式審査)および出願指定の審査(絶対的・相対的根拠による実質審査)が行われる。
 方式審査または実体審査において、ロシア特許庁は申請者に対し、出願の審査に必要な追加情報または書類の提出を求めることができる。
 方式審査の過程で、必要な情報および書類の入手可能性と、それらが定められた要件に適合しているかどうかが確認される。
 方式審査の結果、次のいずれかの決定がなされる。(1) 申請を受理してさらに検討する(受理通知)、(2) 拒絶理由を明示して申請を受理しない(受理拒否)、(3) ロシア特許庁が要求した情報または書類を申請者が提出しない場合、申請を取り下げと認定する。

 絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由の審査は、方式審査の結果、さらに検討することが認められた出願について行われる。実体審査の過程で、商標の先後願が決定され、出願された商標が登録要件に適合しているかどうかが確認される。
 実体審査の結果を決定する前に、出願された名称が登録要件に適合していない旨の意見を含む第三者の情報提供を受領した場合、これらの意見は審査中に考慮される。
 商標登録の拒絶または商品リストに含まれる商品の一部についての商標登録の決定を行う前に、出願人に対し出願された指定の要件への適合に関する審査結果の通知(拒絶理由通知)が送付され、通知に示された理由に関して意見を述べるよう求められる。出願人の見解は、通知後6月以内に提出された場合、請求された指定の審査結を決定する際に考慮される。
 審査の結果、商標の国家登録の決定(登録査定)またはその国家登録における拒絶の決定(全拒絶査定)が行われる。出願された指定が、商品リストに含まれる商品の一部についてのみ要件を満たすことが立証された場合、その商品の一部についての商標の国家登録に関する決定(部分登録査定)が行われる。

「ロシアにおける商標制度の運用実態」(2016.01.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10246/

[登録前の不服申立手続]
7. 拒絶査定不服審判
 商標出願に関するロシア特許庁の査定に対して、出願人は対応する査定の日から4月以内に審判を請求することができる。
 この期限は延長することができないが、出願人が期限内に審判請求できなかったことをについて正当な理由を説明できる場合、かつ、手数料が支払われた場合は、請求期限を延長できる。復活は、請求の期限を過ぎた日から6月以内である。
 審判請求は、出願されたすべての商品・サービスに関わる拒絶査定(全部拒絶査定)に対しても、商品・サービスの一部に関わる拒絶査定(一部登録査定)に対しても、ロシア特許庁に提出することができる。さらに、出願人が、商標の特定要素の放棄を条件として請求された名称が登録されることを審判請求した場合に、審判が行われることがある。
 審判の審理において、出願人は、商標出願に対する拒絶理由を解消できるものならば、出願を分割したり、補正したりすることができる。

関連記事:
「ロシアにおける商標制度および原産地(地理的)表示の保護」(2017.07.04)
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8. 付与前の異議申立
 法律では、付与前の異議申立手続きは規定されていない。しかし、商標出願の公開後(合理的に可能な限り早く)、何人もロシア特許庁に商標の登録可能性に関する意見を提出することができる。これは出願の審査で考慮されるが、提出者に手続上の権利はない。

9. 前記7.の判断に対する不服申立
 審判請求を審理して出されたロシア特許庁の審決に対し、3月以内に知的財産権裁判所に出訴することができる。
 仮にロシア特許庁の審決が覆された場合、知的財産権裁判所はロシア特許庁に審判請求の再審理または単に商標登録するよう義務付けることになる。

関連記事:
「ロシアにおける商標出願制度概要」(2019.09.10)
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[登録後の争いに関する手続]
10. 登録後の異議申立
 存在しない。

11. 商標を無効にする制度
 利害関係人は商標の登録に対する無効審判を請求することができる。請求理由が他人の商標または原産地表示との類似性に基づく場合は、商標登録に関する公告の日から5年以内に提訴しなければならない。その他の理由、例えば、周知商標との類似、絶対的拒絶理由(識別力の欠如、記述性、欺瞞性もしくは誤認の可能性等)または真の所有者の許可を得ずに代理人の名義で商標を違法登録した場合は、商標登録の存続期間中に無効審判を請求できる。
 無効が認められると、商標登録は取消され、初めから登録がなかったものとされる。
 無効審判の請求は、係争中の商標が登録された時点における法律の規定違反を根拠としなければならない。適用可能な複数の理由に基づいて、同時に無効審判を請求することもできる。
 無効審判におけるロシア特許庁の審決については、3月以内に知的財産権裁判所に出訴可能である。
 もしロシア特許庁の審決が覆された場合、知的財産権裁判所はロシア特許庁に対して、事案に応じて登録の回復または取消および/または無効審判の再審理を義務付ける。
(民法第1512条)

関連記事:
「ロシアにおける第三者による商標の不正登録に対する対応策」(2014.05.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/5939/

12. 商標の不使用取消制度
 登録後3年間連続した不使用を理由として、商品区分の全部または一部の商標の保護を終了させることができる。ただし、請求の直前まで使用されていないことが条件となる。
(民法第1486条)

 不使用取消訴訟は、知的財産権裁判所に提訴する。
 商標権者は、その商標が適切に使用されていたことについて立証責任を負う。
 商標は、商標権者またはそのライセンシーによって、商標登録されている商品および/またはその商品の包装に使用されていれば、適切に使用されていたとみなされる。また、「所有者の管理下にある」他の個人または団体によって使用されていた場合も、商標が使用されていたとみなされる。加えて、若干の変更が加えられた商標の使用も、商標の適正な使用とみなされる。
 不使用が所有者の管理できない理由(不可抗力)により生じた事実に関する証拠が商標権者から提出された場合は、取消訴訟の審理における判断において考慮することができる。
(民法第1486条)

 不使用に基づく取消訴訟を提起する当事者は、当該訴訟における利害関係を示さなければならない。現行の実務によれば、取消の利益は、申立対象の商標が他の係属中の商標の登録の障壁になっているという事実だけでは立証できない。不使用を理由に先行商標を取り消す出願人の利益を確認する追加書類(他の管轄地で登録されている事実や、ロシアでの商標の使用意思など)を知的財産権裁判所に提出する必要がある。

関連記事:
「ロシアにおける「商標の使用」と使用証拠」(2016.05.01)
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「ロシアにおける商標の重要判例」(2018.09.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/15851/

13. その他の制度
13-1. 国際登録
 ロシア連邦における商標の保護は、マドリッドシステムに基づく国際商標出願によって得ることができる。

13-2. ユーラシア経済連合における商標保護の地域システム
 2021年4月26日、ユーラシア経済連合(EAEU)の商標、サービスマークおよび原産地呼称に関する条約(関連情報参照)が発効した。
 同条約では、特に以下のことが規定されている。
・EAEU商標という概念の導入。
・EAEU商標をEAEU加盟国の特許商標庁に1回出願し、その後EAEU加盟国すべてで同時に法的保護を受けることができること。
・出願人は1つの官庁としかやり取りをしない-ワンストップ原則。
・ユーラシア経済委員会の公式ウェブサイトに掲載されるEAEU商標の統一登録簿の維持。

関連記事:
「ロシアにおけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証と商品・役務に関する審査の在り方」(2017.05.23)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13673/
「ロシアの知的財産関連機関・サイト」(2020.06.18)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/link/18773/
「ロシアにおける法制度・代理人・知的財産権情報等」(2017.07.04)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13865/
「ロシア特許庁の組織と審査体制」(2018.04.12)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/14814/
「ロシアにおける商標制度の運用実態」(2016.01.26)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/10246/

関連情報:
ユーラシア経済連合の商標、サービスマーク、および商品の原産地の表示に関する合意(Договор о товарных знаках, знаках обслуживания и наименованиях мест происхождения товаров Евразийского экономического союза)
https://docs.eaeunion.org/docs/en-us/01426627/itia_03022020
上記リンクが開けない場合、下記リンクに同じものが掲載されている。
http://www.eurasiancommission.org/ru/act/finpol/dobd/intelsobs/Documents/%D0%94%D0%9E%D0%93%D0%9E%D0%92%D0%9E%D0%A0%20%D0%BE%20%D1%82%D0%BE%D0%B2%D0%B0%D1%80%D0%BD%D1%8B%D1%85%20%D0%B7%D0%BD%D0%B0%D0%BA%D0%B0%D1%85%20%D0%95%D0%90%D0%AD%D0%A1.pdf

ロシアにおける商標出願の拒絶理由通知に対する対応策

 実体審査の結果、商標出願に拒絶理由があると審査官が判断したときは、直ちに拒絶査定をすることなく、拒絶理由を出願人に通知する。応答期間は拒絶理由の発送日から6か月である(ロシア民法第1499条第3項)。拒絶理由通知に対する対応策としては、以下のものがある。

 

(1)意見書の提出

 (i)識別力を有しないとの拒絶理由の場合

  出願商標が指定商品等の品質表示に過ぎないと認定されたが、当該認定は審査官の誤解によるものであって不適切なものである場合は、意見書にてその旨を主張する。

  出願商標の一部に識別力がない部分が含まれている場合も拒絶理由が通知されるが、当該部分が当該出願商標の主要部分でなく、当該出願商標全体として識別力を有する場合は、当該部分について、権利不要求をするとともに、その旨を意見書にて主張することにより、拒絶理由の克服を狙うこともできる(ロシア民法第1483条第1項)。

  また、識別力を有しないとの拒絶理由の場合、長年の使用により識別力を獲得したことの主張および立証を行うことにより、拒絶理由の克服を狙うこともできる(ロシア民法第1483条第1項)。

 

 (ii)他人の先願登録商標と類似する、との拒絶理由の場合

  他人の先願登録商標と類似する、と認定された場合は、称呼、観念および外観のいずれの点からも出願商標とは非類似である旨の反論を意見書で行うことにより、拒絶理由の克服を試みることができる。

  また、後述する指定商品・役務(以下、「指定商品等」という)の補正や不使用取消訴訟等により拒絶理由が解消した場合には、意見書にてその旨を主張する。

 

 (iii)先行する商号・取引上の表示と類似する場合

  この理由は職権審査の対象ではなく、第三者より情報提供された場合に限り、先行する商号・取引上の表示と類似する、との拒絶理由が通知される。商号は、ロシアで登記されている場合に限り保護され、取引上の表示に関する権利は、識別力がありロシアの特定の地域で使用され知られるようになった場合に発生し、1年間全く当該地域で使用されない場合は消滅する。したがって、引用された先行する商号がロシアでは未登記の場合や引用された取引上の表示が1年以上不使用の場合は、意見書にてその旨を主張することにより争うことができる。また、引用された先行する商号や取引上の表示が使用される商品等が指定商品と非類似の場合も意見書にて争い、拒絶理由の克服を試みることができる。

 

(2)指定商品等の補正

 指定商品等の補正により拒絶理由を克服することもできる。例えば、指定商品等の一部のみが先願登録商標の指定商品等や先行する商号等を使用する商品等と類似する場合に、当該類似する指定商品等を削除することにより、拒絶理由を克服できる。

 

(3)商標出願の分割

 拒絶理由のない指定商品等については、分割出願を行うことにより、早期に登録を受けるとともに、拒絶理由を有する指定商品等については、別途争うという対応を取ることもできる。

 

(4)先願商標権者または登録周知商標の所有者(以下、「先願商標権者等」という)との交渉

 拒絶理由が先願登録商標または登録周知商標と類似することを根拠とする場合、先願商標権者等と交渉を行うことにより、拒絶理由の克服を試みることができる。交渉の内容としては、以下のものがある。

 (i)商標登録を受けることについて、先願商標権者等の同意を受けるための交渉

 交渉により後願の出願商標の登録を受けることについて先願商標権者等より同意を受けることができれば、拒絶理由を克服できる可能性がある(ロシア民法第1483条第6項)。ただし、先願商標権者等の同意に審査官は拘束されず、同意を受けて拒絶理由を解消させるか否かは審査官の裁量に委ねられているので、前記同意を受けたとしても、拒絶理由を克服できない場合もある。

 また、先願登録商標と後願の出願商標が同一であって、かつ、先願の指定商品等と後願の指定商品等も同一の場合には、先願商標権者の同意を受けたとしても、拒絶理由を克服することはできない。

 

 (ii)先願商標権を譲り受けるための交渉

  上記交渉により、先願商標権を譲り受けることできれば、先願商標権者と後願の出願人が同一人となるため、拒絶理由を克服することができる。

  先願商標権者等の交渉の結果、同意書を得ることができたとしても、これだけでは拒絶理由は解消せず、当該同意書を上記意見書とともに提出しなければならない。

  同様に、先願商標権の譲り受けの交渉に成功した場合も、これだけでは拒絶理由は解消しない。譲渡契約は書面により締結していなければならず、登録しなければならない(ロシア民法第1234条および第1490条)。譲渡契約が書面によらない場合や登録されていない場合は、いずれも商標権の譲渡は無効である(ロシア民法第1234条第6項)ため、前記譲り受けの交渉が成功した場合は、譲渡契約書を作成の上、移転登録申請を行って移転登録をしなければならない。

 

(5)不使用取消訴訟の提起、無効審判の請求

 拒絶理由が先願商標と類似することを根拠とする場合、当該先願商標の登録に対して不使用取消訴訟の提起や無効審判の請求をし、当該商標登録を消滅させることにより拒絶理由の克服を試みることが可能である(ロシア民法第1483条第6項第2項、第1486条、第1512条)。

 

(6)留意事項

 (i)上記のような先願商標権者等との交渉を行っている場合や不使用取消訴訟の提起や無効審判の請求を行っている場合であっても、応答期間経過後に審査手続が中止されないため、交渉成立や不使用取消訴訟の判決前に拒絶査定が出されてしまう可能性がある点に留意する必要がある。

 

 (ii)先願商標権の放棄か譲渡を求める書簡を権利者に送付し、2か月以内に放棄申請の提出、譲渡契約の締結のいずれもされなかった場合に、前記2か月経過後30日以内に不使用取消訴訟が提起可能である点に留意が必要である。

 

 (iii)無効審判の請求や不使用取消訴訟の提起をするためには、取消、無効にすることについて利害関係を有することを要するが、無効審判等の被請求登録商標を引例とした拒絶理由通知がされた、という事実のみでは「利害関係あり」とはいえない点に留意が必要である。例えば、ロシア以外の国で使用しており、ロシアで使用意図がある、といった事実があれば、利害関係を有すると認められる。

ロシア意匠公報へのアクセス方法(FIPSウェブサイト)

(1) ロシア連邦産業財産権機関(FIPS)ウェブサイト(http://new.fips.ru/)へアクセスし、上部の選択肢、左から3番目の「ПОИСК(検索)」にカーソルを移動し、プルダウンメニューで表示される選択肢の左上にある「Поисковая система(検索システム)」をクリックする。

30RU22_1

FIPSウェブサイト トップ画面

(2) 表示される画面上の「Перейти к поиску(検索ページに移動)」をクリックする。

30RU22_2

情報検索システム アクセス画面

(3) 画面が切り替わり、下記のデータベース選択画面が表示されるので、「Российские промышленные образцы(ロシアの工業意匠)」をクリックし、「Российские промышленные образцы из последнего бюллетеня(最新の公報からのロシア工業意匠)」のチェックボックスにチェックが入っていることを確認し、画面左に表示されているサイドメニューの「поиск(検索)」をクリックする。

30RU22_3

データベース選択画面-1

30RU22_4

データベース選択画面-2

(4) すると、以下のような検索条件入力画面に切り替わる。

30RU22_5

検索条件入力画面

 1つ以上の項目に入力の上、「поиск(検索)」をクリックすると検索結果一覧が表示される。なお、検索項目及び入力方法は、上から順に以下のとおりである。数字を除き、ロシア語で入力する必要がある。日付の入力は、日付指定の場合は「yyyy.mm.dd」、期間指定の場合は「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd」のように入力する。また、各項目はブーリアン検索が可能であり、利用できる演算子は各入力欄の右側にある 30RU15_7 のアイコンをクリックすると、その使用方法と共に表示される。

 

・Основная область запроса:検索クエリの主な範囲

検索したいキーワードを入力する。

・(11) Номер документа:登録番号

 例:「49000」

・(54) Название:タイトル

 例:「ФОНАРЬ ЗАДНИЙ ДЛЯ АВТОМОБИЛЯ(車の後部ライト)」

・(45) Дата публикации:公開日

 例:「yyyy.mm.dd(日付指定)」、「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd(期間指定)」

・(21) Номер заявки:出願番号

 例:「2012504509」

・(22) Дата подачи заявки:出願日

 例:「yyyy.mm.dd(日付指定)」、「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd(期間指定)」

・(51) МКПО:国際分類

 例:「19-08」

・(71) Заявитель:出願人

 出願人名をロシア語で入力する。

 例:「Закрытое акционерное общество “Вега”, п. Черноголовка Московской обл. (RU)」

・(72) Автор:発明者

 発明者名をロシア語で入力するか、発明者の国名コードを入力する。

 例:「МЮЛЛЕР Уве (DE)」、「DE」

・(73) Патентообладатель:権利者

 権利者名をロシア語で入力するか、権利者の国名コードを入力する。

 例:「ДЖИЭМ Глобал Текнолоджи Оперейшн ЛЛЦ (US)」、「US」

・(98) Адрес для переписки:住所

 例:「129278, Москва, ул. Павла Корчагина 15, кв.127, Щаренский В.М.」

・(24) Дата начала отсчета срока действия патента:権利発生日

 例:「yyyy.mm.dd(日付指定)」、「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd(期間指定)」

・(74) Патентный поверенный:代理人

 例:Песиков Э.П.

・(15) Дата регистрации:登録日

 例:「yyyy.mm.dd(日付指定)」、「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd(期間指定)」

・Статус документа(文書状況)(選択)

 Нет данных(データなし)

 Действует(有効)

 Может прекратить свое действие(消滅の可能性あり)

 Прекратил действие, но может быть восстановлен(消滅、ただし回復可能)

 Прекратил действие(消滅)

・(31) Номер конвенционного приоритета:基礎出願番号

 例:「DE 40 2012 100 426.3」

・(32) Дата конвенционного приоритета:基礎出願日

 例:「yyyy.mm.dd(日付指定)」、「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd(期間指定)」

・(33) Страна конвенционного приоритета:基礎出願の国名コード(WIPO標準ST.3)

 例:「JP」、「US」

 

(5) 例えば、上記(4)で「(45) Дата публикации(公開日)」の欄に「2018.8.30」と入力して検索した場合、次のような検索結果一覧の画面が表示される。

30RU22_6

検索結果一覧の画面

 閲覧したい案件にカーソルを移動すると、リストされている案件がハイライトされるので、その部分をクリックすると下記のような該当の情報がロシア語で表示される。法的状況についての情報も掲載されており、下記の例では「Статус: действует (последнее изменение статуса: 17.10.2018)(法的状況:有効(最終変更2018年10月17日))」となっている。ステータス欄は、「緑色:有効」「黄色:消滅する可能性あり」「赤色:消滅、ただし回復可能」「黒色:消滅」と色分けされている。

 表示されるリストは一見登録番号順のように見えるが、ページにより異なったり、後日のアクセスでは順番が異なるなどするため、注意が必要である。

30RU22_7

意匠公報の一部

 このページを印刷するには、上部右側に表示されるプリンターのアイコンをクリックして印刷用のページを開く。また、「(45) Дата публикации(公開日)」の日付部分をクリックすれば、選択した公報についてPDF形式で閲覧・保存・印刷が可能である。

 

(6) (4)の画面でサイドメニューから「Настройки(設定)」をクリックすると、検索項目設定画面が表示される。デフォルトではすべての項目が選択されているが、削除したい検索項目のチェックを外して「Сохранить(保存)」をクリックした後、「Поиск(検索)」をクリックして検索条件入力画面へ戻ると、外された項目が非表示となる。

30RU22_8

(7) (1)のトップ画面で、最上部の「EN」をクリックすると英語表記の画面に切り替わる。

30RU22_9

トップ画面で「EN」をクリック

(8) 画面上部の「INFORMATIONAL RESOURCES(情報資源)」にカーソルを合わせ、表示されるプルダウンメニューから左上、または中段4つの選択肢アイコンの左端の「Information Retrieval System(情報検索システム)」をクリックする。30RU22_10

英語標記のトップ画面から「Information Retrieval System」を選択

(9) 表示される下記情報検索システム画面の「Search(検索)」をクリックする。

30RU22_11

英語による情報検索システム アクセス画面

(10) (3)で示したデータベース選択画面が表示される。ただし、英語表記は左側のサイドメニューのみであり、選択すべきデータベース、条件設定のプルダウンメニュー、その後の検索条件入力画面等はロシア語で表示される。

ロシア特許公報へのアクセス方法(FIPSウェブサイト)-英語による検索

【詳細】

(1) ロシア連邦産業財産権機関(FIPS)ウェブサイト(https://new.fips.ru/)へアクセスし、最上部の言語選択肢から「EN(英語)」をクリックする。

30RU16_1

図1 FIPSウェブサイト トップ画面

 

(2) 表示される画面上部の「INFORMATIONAL RESOURCES(情報資源)」にカーソルを移動し、表示されるプルダウンメニューから「Information Retrieval System(情報検索システム)」をクリックするか、または下部の「INFORMATION RETRIEVAL SYSTEM」をクリックする。

30RU16_2

図2 FIPSウェブサイト トップ画面(英文)から「Information Retrieval System」を選択

 

(3) 下図の「INFORMATION RETRIEVAL SYSTEM」画面が表示されたら「SEARCH」をクリックする。

30RU16_3

図3 「INFORMATION RETRIEVAL SYSTEM」画面

 

(4) 画面が切り替わり、下記のデータベース選択画面が表示されるので、「Russian patents (eng)(ロシアの特許文書(英語))」をクリックし、下側に表示される「Abstracts russian patents from 1994 (eng.)(英文による特許の要約)」のチェックボックスにチェックが入っていることを確認し、画面右に表示されている「TO SEARCH(検索)」をクリックする。

図4 データベース選択画面-1

図5 データベース選択画面-2

 

(5) 画面が切り替わり、以下のような検索条件入力画面が表示される。

図6 検索条件入力画面

 

(i) 1つ以上の項目に入力の上、「Search(検索)」をクリックすると検索結果一覧が表示される。なお、検索項目及び入力方法は、上から順に以下の通りである。一部項目を除き、英語入力が可能である。日付の入力は、日付指定の場合は「yyyy.mm.dd」、期間指定の場合は「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd」または「<yyyy.mm.dd」、「>yyyy.mm.dd」のように入力する。

 

・Main query:検索クエリの主な範囲(英語入力)、検索したいキーワードを入力する

・(54) Title:発明の名称(英語入力)

例:「METHOD AND APPARATUS FOR PRODUCING FERMENTED MILK (VERSIONS)」

・(11) Number:公報番号

例:「2087100」

・(45) Date of publication:特許公報が公表された日

・(21) Application:出願番号

例:「95108597」、「2010120021/07」

・Abstract:要約

要約に含まれるキーワードを入力する

・(51) IPC:IPC分類番号

例:「C07J41/00」、「H05K7/20」、「G06F1/20」

・(71) Applicant(s):出願人

出願人名はロシア語で入力する必要がある。また、出願人の国名コードで検索をかけることも可能である。

例:「Хохлов Виктор Васильевич」、「US」

・(72) Inventor(s):発明者

発明者名はロシア語で入力する必要がある。また、発明者の国名コードで検索をかけることも可能である。

例:「Федоров В.В.」、「US」

・(73) Proprietor(s):権利者

権利者名はロシア語で入力する必要がある。また、権利者の国名コードで検索をかけることも可能である。

例:「Дикарев Виктор Иванович」、「US」

・(43) Application published:出願公開日

・(13) Type document:種別コード「A、C、U」と「1、2、3、4」または「8(修正)、9(再発行)」との組み合わせ。

・(74) Representative:代理人(英語入力)

例:「Matveeva N.A.」

・(85) Commencement of national phase:PCT国内手続開始日

・(86) PCT application:PCT出願日

・(87) PCT publication:PCT出願公開日、公開番号、出願が公表された時の言語(国名コード)

・(98) Mail address:住所(英語入力)

例:「191186, Sankt-Peterburg, a/ja 230, “ARS-PATENT”」

・(56) The documents cited in search report:先行技術文献リスト

例:「US 2995024826 A1」、「US 2004240514 A1, 02.12.2004」

・(31) Number of conventional application:基礎出願番号

例:「PL 1494」、「P 42 08 505.5」、「M 191、A 0001432」、「07290579.7、PCT/EP2008/004871」

・(32) Date of filing of convention’s application:基礎出願日

・(33) Priority Country:基礎出願国または組織(WIPO標準ST.3、文末【ソース】欄参照)

例:「JP」、「US」

 

(ii) すべての項目でのブーリアン検索が可能であり、ブーリアン検索を行いたい場合は、キーワードを演算子(「AND」「OR」「NOT」「WITHIN」「ADJ」「*」「()」「””」「[]」等)を使用した式として記述すればよい。使用できる演算子は各検索項目により異なるので、各項目のヘルプ(30RU15_7 )を確認すること。

 右上、右下の「Clear(消去)」をクリックすると入力済みのキーワードが一括消去される。

 

(6) 例えば、上記(5)(図6)で「(45) Date of publication(特許公報が公表された日)」の欄に「2019.10.10」と入力して検索をかけた場合、次のような検索結果一覧の画面が英語で表示される。

図7 特許公報の検索結果

 

 閲覧したい公報にカーソルを移動すると、公報の情報が青色でハイライトされ、クリックすれば、下記のような該当の情報(書誌事項、要約、主要な図面)が英語で表示される。

図8 特許公報の一部

 

 法的状況についての情報も掲載されており、上記の例では「Legal status: stop action, but can be restored(recent status updates:19.05.2022)(2022年5月19日現在:保留)」となっている。ステータス欄は、「緑色:有効」「黄色:消滅する可能性あり」「赤色:消滅、ただし回復可能」「黒色:消滅」と色分けされている。

 

 このページを印刷する場合は、上部右側に表示されるプリンター・アイコンをクリックして印刷用のページを開く。

 

 「(45) Date of publication(特許公報が公表された日)」の日付の部分をクリックすれば、選択した公報について、PDF形式で全文をロシア語で閲覧することができる。ただし、書誌事項と要約は英語の併記がある。印刷及びファイル保存が可能である。

 

(7) また、サイドメニューで「Setup(設定)」をクリックすると、検索項目設定画面が表示される。このページで削除したい検索項目にチェックを外し(複数選択可)、下部の「SAVE(保存)」をクリックし、サイドメニューの「Search(検索)」をクリックして検索条件入力画面へ戻ると、選択した項目が削除される。

 

 

【留意事項】

・(6)で得られる特許公報のリストは、図の有無等により順番が入れ替わっている場合があるので注意が必要である。

・本稿で紹介したログイン不要の英語検索は登録特許の要約・請求項についてのみ可能である。ロシア語での検索方法については、本データバンク内コンテンツ「ロシア特許・実用新案公報へのアクセス方法(FIPSウェブサイト)-ロシア語による検索」を参照いただきたい。なお、実用新案については、ロシア語検索のみが可能である。また、有料ではあるが、登録・ログインしてロシア語検索を利用すれば、公開・登録特許公報の全文検索が可能となる。ただし、検索用語および検索結果は、どちらもロシア語である。

 

(ロシア)知的財産裁判所における訴訟統計へのアクセス方法

【詳細】

 ロシアの知的財産裁判所における知財関連訴訟の統計情報は、知的財産裁判所ウェブサイトで閲覧することができる。以下、閲覧方法を紹介する。ウェブサイト及び統計情報の表記は、いずれもロシア語である。

 

(1) 知的財産裁判所ウェブサイトhttp://www.ipc.arbitr.ru/にアクセスする。

30RU13_1

知的財産裁判所ウェブサイト トップ画面

 

(2) トップ画面右上にある「Меню(メニュー)」にカーソルを合わせ、表示されるプルダウンメニューの上段、左から3番目の「Статистика(統計)」をクリックする。

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「Статистика(統計)」をクリック

 

(3) 下記画面のような仲裁裁判所に係る統計情報のリストが表示され、希望のものの「Статистика работы арбитражных судов(仲裁裁判所統計、PDF形式)」をクリックすると当該統計情報が閲覧できる。下記図のリストのうち、「Отчет кассационная инстанция 2017 год(2017年のケース」が、本稿更新時点で掲載されている最新の知財関連の統計情報である(本稿更新時点ではリストの最上部)。

30RU13_3

「Статистика работы арбитражных судов(仲裁裁判所統計)」のページ

 

 これより古いアーカイブ情報については、「(ロシア)仲裁裁判所における訴訟統計へのアクセス方法」(2014年04月01日掲載)を参照されたい。

 

(4) 例えば、上記(3)で示した画面で、「Отчет кассационная инстанция 2017 год」をクリックすると下記のような統計情報が表示される。

 

表題「ОТЧЕТОРАБОТЕ Суда по интеллектуальным правам (кассационная инстанция) за 2017 год(お問合せ 知的財産裁判所(事例) 2017年)」

 

  1. Движение дел(事務の動向)、P2

 訴訟事務処理状況(省略)

 

  1. Результаты рассмотрения дел(事例の検討結果)、P3

 10か所の地方仲裁裁判所と仲裁裁判所の手続事務統計(省略)

 

  1. Результаты рассмотрения дел по категориям споров(紛争のカテゴリーごとの事例検討結果)、P14

 

 

Категории дел

事例のカテゴリー

 

Рассмотрено дел

審査済みの事例

Отменены судебные акты (количество дел)

司法行為の取消(件数)

Изменены судебные акты (количество дел)

変更された司法行為(件数)

А

Б

1

2

3

об оспаривании нормативных правовых актов федеральных органов исп. власти, затрагивающих права и законные интересы заявителя в области правовой охраны результатов интеллектуальной деятельности и средств индивидуализации

当局が知的財産の保護における出願人の法的利益に影響を与えた件数

1

0

0

0

 

в том числе:

патентные права

第72章 特許法

1.1

0

0

0

права на селекционные достижения

第73章 新品種に係る権利

1.2

0

0

0

права на топологии интегральных микросхем

第74章 集積回路の回路配置に係る権利

1.3

0

0

0

права на секреты производства (ноу-хау)

第75章 営業秘密(ノウハウ)に係る権利

1.4

0

0

0

права на средства индивидуализации юр. лиц, товаров, работ, услуг и предприятий

第76章 法人,商品,業務,サービス及び事業の識別手段に係る権利

1.5

0

0

0

права использования результатов интеллект. деятельности в составе единой технологии

第77章 一体化技術の知的活動の成果の利用権

1.6

0

0

0

 

・・・

 

 

 

・・・・・・・・・

 

(以下、省略)

 

・・

 

 

 

・・・

 

 

 

・・・

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 統計情報はPDFファイルで提供されているので、印刷・ファイル保存が可能である。

 

 

ロシア商標公報へのアクセス方法(FIPSウェブサイト)‐条件入力検索

【詳細】

(1) ロシア連邦産業財産権機関(FIPS)ウェブサイト(https://new.fips.ru/)へアクセスし(図1)、上部の選択肢、左から3番目の「ПОИСК(検索)」にカーソルを移動し、プルダウンメニューで表示される選択肢の左上にある「Поисковая система(検索システム)」をクリックする。

30RU14_1

図1 FIPSウェブサイト トップ画面

 

(2) 表示される画面上の「Перейти к поиску(検索ページに移動)」をクリックする。

30RU14_2

図2 情報検索システム アクセス画面

 

(3) 画面が切り替わり、下記のデータベース選択画面が表示される(図3)ので、「Российские товарные знаки(ロシアの商標)」をクリックし、下に表示される「Российские товарные знаки из двух последних бюллетеней(最新の公報に公告されたロシア商標)」のチェックボックスにチェックが入っていることを確認し(図4)、画面右に表示されている「Перейти к поиску(検索ページに移動)」をクリックする。

図3 データベース選択画面-1

図4 データベース選択画面-2

 

(4) すると、以下のような検索条件入力画面に切り替わる。

図5 検索条件入力画面

 

(i) 「поиск(検索)」の下にプルダウンメニューの選択肢があり、「Нечеткий поиск(あいまい検索)」または「Логический поиск(ブーリアン検索)」を選択する。デフォルトは「あいまい検索」になっており、この場合、さらに右欄で「Уровень соответствия(あいまいさのレベル、)」を「1~3(デフォルトは2)」を選択できる(図6)。

30RU14_6

図6 検索方法選択欄

 

(ii) 1つ以上の項目に入力の上、「поиск(検索)」をクリックすると検索結果一覧が表示される。なお、図5における検索項目及び入力方法は、上から順に以下のとおりである。数字を除き、ロシア語で入力する必要がある。日付の入力は、日付指定の場合は「yyyy.mm.dd」、期間指定の場合は「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd」のように入力する。

 

・Основная область запроса:検索クエリの主な範囲

・Название:タイトル

 例:「Мишка на севере」

・(111) Номер регистрации:登録番号

 例:「500279」

・Дата подачи заявки:出願日

・Номер заявки:出願番号

 例:「2012737615」

・Дата публикации:公開日

・Правообладатель:権利者

 権利者名をロシア語で入力するか、権利者の国名コードを入力する。

・Классы МКТУ и перечень товаров и/или услуг:商品および/または役務のニース国際分類

 例:「05」、「41」、「аренда спортивных площадок」等)

・Дата регистрации:登録日

・Дата истечения срока действия регистрации:登録の有効期限日

・Номер первой заявки:基礎出願番号

 例:「95-11772」、「1949671」

・Дата подачи первой заявки:基礎出願日

・Код страны подачи первой заявки:基礎出願の国の国名コード(WIPO ST.3、文末【ソース】欄参照)

 例:「SE」、「IE」、「GB」

・Дата внесения записи в Госреестр ТЗ:登録簿への記入日

・Указание цвета или цветового сочетания:色彩や色彩の組合せ

 例:「черный(黒)」、「белый(白)」、「желтый(黄色)」等

・Номер(а) других юридически связанных регистраций:他の関連する法的登録番号

・Неохраняемый элемент товарного знака:保護されない要素(法的保護対象外の要素を含む場合)

 例:「British」、「SALES」等

・Адрес для переписки:送達先住所

 例:「107061, Москва, Преображенская пл., 6,000 Фирма Патентных Поверенных “ИННОТЭК”」

・Коллективный знак:団体商標

・Объемный знак:立体商標

・Звуковой знак, включая характеристики:音の商標

・Дата публикации извещения:通知の発行日

・Статус документа:文書の状態

選択肢:Нет данных(情報なし)、Действует(有効)、Срок действия истек(期限切れ)、Прекратил действие(終了)

・Дата(ы) других юридически связанных регистраций:他の関連する法的登録日

 

(iii) 「Логический поиск(ブーリアン検索)」を行う場合、先の図5におけるキーワード等の入力欄に、キーワードをオペレーター(演算子)でつないで入力する。オペレーターは入力欄ごとに異なり、キーワードで検索する欄では「AND(空白でも可)」「OR」「NOT」「*(ワイルドカード)」等が使用できる。番号で検索する欄では前記のキーワード欄で使用可能なオペレーターの他に「>」「<」「-(範囲)」が使用できる。日付で検索する欄では「*」が使えない他は番号欄と同じオペレーターが使用できる。日付の入力は「YYYY.MM.DD」の要領で、「.」で区切る。使用できるオペレーターは、各入力欄の右側にある 30RU15_7 のアイコンをクリックすると、その使用方法と共に表示される。

 

(5) 検索例として、上記(4)(図5)で「Дата публикации(公開日)」の欄に「2013.12.12」と入力して検索をかけた場合、次のような検索結果一覧の画面がロシア語で表示される。

図7 検索結果一覧の画面

 

 閲覧したい公報にカーソルを移動すると案件がハイライトされ、クリックすれば、下記のような該当の情報がロシア語で表示される。法的状況についての情報も掲載されており、下記の例では「Статус: действует (последнее изменение статуса: 15.11.2013)(法的状況:有効(最終変更2013年11月15日))」となっている。ステータス欄は、「緑色:有効」「黄色:消滅する可能性あり」「赤色:消滅、ただし回復可能」「黒色:消滅」と色分けされている。

図8 商標公報の一部

 

 このページを印刷する場合は、上部右側に表示されるプリンターのアイコンをクリックして印刷用のページを開く。

 

 また、図8において「(450) Дата публикации(公開日)」の日付をクリックすればPDF形式で閲覧することができ、印刷及びファイル保存が可能である。

 

(6) (1)のトップ画面(図9)で、最上部の「EN」をクリックすると英語標記の画面に切り替わる。

30RU14_10

図9 トップ画面で「EN」をクリック

 

(7) 画面上部の「INFORMATIONAL RESOURCES(情報資源)」にカーソルを合わせ、表示されるプルダウンメニューから左上の「Information Retrieval System(情報検索システム)」をクリックする。

30RU14_11

図10 英語版トップ画面 「Information Retrieval System」をクリック

 

(8)以下の画面(図11)が表示されるので、「Search」をクリックすると、記事文中(4)(図5)の検索画面ではなく、図12が表示されるので、(3)と同様に「Russian trademarks」を選択し、下に表示される「Russian trademarks from last bulletins (rus.)」のチェックボックスにチェックが入っていることを確認し、画面右に表示される「TO SEARCH」をクリックすると(4)(図5)の検索条件入力画面が英語で表示される。ただし、ロシア語での入力が求められる。

30RU14_13

図11 英語による情報検索システム アクセス画面

 

図12 英語版データベース選択画面

 

 

【留意事項】

・本稿では登録なしで閲覧できる商標の出願日や登録番号等の条件入力検索方法を紹介したが、FIPSに登録し、ログインして検索(有料)すれば原産地名称、周知商標に係る情報を閲覧することも可能である。

ロシア特許・実用新案公報へのアクセス方法(FIPSウェブサイト)‐ロシア語による検索

【詳細】

(1) ロシア連邦産業財産権機関(FIPS)ウェブサイト(https://new.fips.ru/)へアクセスし、上部の選択肢「ПОИСК(検索)」にカーソルを合わせ、表示されるプルダウンメニューから「Поисковая система(検索システム)」をクリックするか、または画面下方の「ИНФОРМАЦИОННО-ПОИСКОВАЯ СИСТЕМА(情報検索システム)」をクリックする。

30RU15_1

FIPSウェブサイト トップ画面

(2) ページが切り替わるので、「Перейти к поиску(検索へ進む)」をクリックする。

30RU15_2

「Поисковая система(検索システム)」ページ

(3) クリックすると下記の「Информационно-поисковая система(情報検索システム)」の「Выбор БД для поиска(データベース選択)」画面が表示されるので、「Патентные документы РФ (рус.)(ロシア特許文献(ロシア語))」をクリックすると、下側にプルダウンメニューが表示される。

「Выбор БД для поиска(データベース選択)」画面

プルダウンメニュー

プルダウンメニューは、上から順に以下の通りである。

・Рефераты российских изобретений:登録特許(C1、C2)および公開公報(A1、A2)の要約

・Заявки на российские изобретения:公開公報の請求項

・Полные тексты российских изобретений из трех последних бюллетеней:直近3回分の官報に掲載された登録・公開特許(全文)

・Формулы российских полезных моделей:実用新案の請求項

・Формулы российских полезных моделей из трех последних бюллетеней:直近3回分の官報に掲載された実用新案の請求項

・Перспективные российские изобретения:高度な発明と認められた特許

 上記プルダウンメニューのうち希望の項目にチェックを入れ(複数選択可)、「Перейти к поиску(検索する)」をクリックする。ここでは、例としてプルダウンメニューの1番上の「Рефераты российских изобретений(登録特許)」を選択する。

プルダウンメニューにチェックを入れ、「Перейти к поиску(検索する)」をクリック

(5) クリックすると、以下のような検索条件入力画面に切り替わる。

検索条件入力画面

(i) 1つ以上の項目に入力の上、画面上部または下部の「поиск(検索)」をクリックすると検索結果一覧が表示される。なお、検索項目及び入力方法は、上から順に以下の通りである。数字を除き、ロシア語で入力する必要がある。日付の入力は、日付指定の場合は「yyyy.mm.dd」、期間指定の場合は「yyyy.mm.dd-yyyy.mm.dd」または「<yyyy.mm.dd」、「>yyyy.mm.dd」のように入力する。

・Основная область запроса:検索クエリの主な範囲、検索したいキーワードを入力する(ブーリアン検索可)

・(54) Название:発明の名称(ブーリアン検索可)

・(11) Номер документа:公報番号

・(45) Опубликовано:特許公報が公表された日

・(51) МПК:IPC分類番号

例:「C07J41/00」、「H05K7/20」、「G06F1/20」

・(71) Заявитель(и):出願人、出願人名をロシア語入力するか、出願人の国名コードを入力する。

例:「Хохлов Виктор Васильевич」、「US」

・(72) Автор(ы):発明者、発明者名をロシア語で入力するか、発明者の国名コードを入力する。

例:「Федоров В.В.」、「US」

・(73) Патентообладатель(и):権利者、権利者名をロシア語で入力するか、権利者の国名コードを入力する。

例:「Дикарев Виктор Иванович」、「US」

・(43) Дата публикации заявки:出願公開日

・(74) Патентный поверенный:代理人

例:「Матвеева Н.А.」

・(85) Дата перевода заявки PCT на национальную фазу:PCT国内手続開始日

・(86)  Дата Заявка PCT:PCT出願日

・(87) Номер заявки PCT:PCT出願番号および/または出願がなされた国の2文字コード(WIPO標準St.3、文末【ソース】欄参照)

例:JP 2010/051415、EP 96/04378

・(98) Адрес для переписки:住所

例:「390023, РФ, Рязань, ул.Циолковского, 24, Научно-производственная компания “Орион-Плазма”」

・(56) Список документов, цитированных в отчете о поиске:先行技術文献リスト

例:「US 2995024826 A1」、「US 2004240514 A1, 02.12.2004」

・(13) Код вида документа:文献種別コード(WIPO標準ST.16、【文末【ソース】欄参照)

例:「A、C、U」と「1、2、3、4」または「8(修正)、9(再発行)」との組み合わせ

・Дата публикации извещения:通知日

・(21) Регистрационный номер заявки:出願登録日

・(22) Дата подачи заявки:出願提出日

・(31) Конвенционный приоритет:基礎出願番号

・(32) Дата подачи конвенционной заявки:基礎出願日

・(33) Страна приоритета:基礎出願国又は組織(WIPO標準ST.3)

・Реферат:要約

・Формула:請求項

・Описание:明細書

・Статус документа:状況

□Нет данных(情報なし)、□Действует(有効)、□Может прекратить свое действие(出願放棄)、□Прекратил действие, но может быть восстановлен(停止、回復可)、□Прекратил действие(取下げ)

・Обязательство заключить договор об отчуждении патента на основании п.1 ст.1366 ч.4 ГК РФ:譲渡契約締結の公募

(ii) すべての項目でのブーリアン検索が可能であり、ブーリアン検索を行いたい場合は、キーワードを演算子(「AND」「OR」「NOT」「WITHIN」「ADJ」「*」「()」「””」「[]」等)を使用した式として記述すればよい。使用できる演算子は各検索項目により異なるので、各項目のヘルプ(30RU15_7)を確認すること。

(6) 例えば、上記(5)で「(45) Опубликовано(公開日)」の欄に「2013.10.10」と入力して検索をかけた場合、次のような検索結果一覧の画面がロシア語で表示される。

検索結果一覧の画面(公開日:2013.10.10)

 閲覧したい公報の公報番号、公開日、発明の名称のいずれかにカーソルを移動すれば当該案件がハイライトされ、これをクリックすれば、下記のような該当の情報がロシア語で表示される。法的状況についての情報も掲載されており、下記の例では「Статус:  действует (последнее изменение статуса: 17.10.2013)(法的状況:有効(最終更新:2013年10月17日)」「Пошлина:      не взимаются – статья 1366 ГК РФ(料金:非請求、ロシア連邦民法第1366条)」となっている。ステータス欄は、「緑色:有効」「黄色:消滅する可能性あり」「赤色:消滅、ただし回復可能」「黒色:消滅」と色分けされている。

 公報上部右側のプリンター・アイコンをクリックすると印刷できる。

 (45) Опубликовано(公開日): 10.10.2013 Бюл. № 28の日付の部分(赤字)をクリックすると、ロシア語の公報全文および英語の書誌事項と要約が閲覧・ダウンロードできる。

30RU15_9

特許公報の一部

(7) また、サイドメニューで「Настройки(設定)」をクリックすると、検索項目設定画面が表示される。デフォルトですべての項目にチェックがなされているが、このページで削除したい検索項目のチェックを外し(複数選択可)、下部の「сохраниtb」をクリックし、サイドメニューの「поиск(検索)」をクリックして検索条件入力画面へ戻ると、選択した項目が削除される。

【留意事項】

・(6)で得られる特許公報のリストは、図の有無等により順番が入れ替わっている場合があるので注意が必要である。

・本稿で紹介したログイン不要のロシア語検索は登録特許の要約・請求項についてのみ可能であるが、有料登録してログインし、ロシア語検索を利用すれば、公開・登録特許公報の全文検索が可能となる。

ロシアにおける特許権早期取得のテクニック

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ロシアにおける商標権に基づく権利行使の留意点

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