マレーシアにおける2022年特許法改正の概要(前編)
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シンガポールにおける商標のコンセント制度について
1.基本的な考え方
シンガポールにおける商標に関する法律は、商標法(Cap.332、2022年6月10日施行)、および商標規則(Cap.332 R1、2022年5月26日施行)、商標国際登録規則(Cap.332 R3、2022年5月26日施行)からなる。
商標法第8条(登録拒絶の相対的理由)第9項において「登録官は,先の登録商標又は他の先の権利の所有者が同意を与えれば,自己の裁量で商標を登録することができる。」と規定されている。
この条項は、最終的に、登録官が同意書を受諾するかどうかの裁量権を保持し、同意書に基づいて関連する理由による異議を放棄することができることを明確にしている。
ただし、登録官には同意書を受理するかどうかの裁量権があり、各事例はその実体的側面に基づいて検討されなければならない。また、登録官は、出願された商標と先の商標が実質的に同一で、同一の商品/サービスを主張し、商標が同一の市場で使用されると考える場合、相対的拒絶理由を維持する裁量権を有している。
一般に、要件を充足した同意書は、市場の実情を示し、出願商標と先行商標とを併存して使用しても誤認および混同を生じないことを示すことから、相対的拒絶理由を克服する可能性が高まると考えられている。
2.同意書作成の原則
同意書を作成する際の原則と、留意点は以下のとおりである(商標審査基準、相対的拒絶理由7.1.2.1)。
(a) 同意書にはいかなる条件も含めてはならない。
登録官が商標の使用に関する条件が満たされていることを確認する立場にないことから、同意書にはいかなる条件も含めてはならない。
(b) 引用商標権者によって同意が与えられなければならない。
同意を提供する当事者の名前は、引用商標の商標権者の名前と一致しなければならず、署名者は当該商標権者またはその権利者に代わって署名する権限を与えられた人物でなければならない。ライセンサーなどの実際の使用者ではないことに留意しなければならない。
(c) 同意を与えた商標が明確に特定されていること。
同意書には、出願商標の詳細(出願番号、標章の表示、区分および指定商品・役務)を含めなければならない。
(d) 同意書には、先行商標権者が、同意を与えた出願商標の使用および登録のいずれにも同意していることが明確であること。
具体的には、同意書には、先行(引用)商標の詳細(例:登録番号、先行商標権者の名称、標章の表示、区分および指定商品・役務)を含めなければならない。
また、同意書に含まれる指定商品・役務が最初に指定されたものよりも減縮されている場合、同意が適用される指定商品・役務のみを反映するように願書を補正しなければならない。
3.先行商標権者と出願人との契約について
先行商標権者と出願人とが商標の併存契約を選択することは任意である。しかし、前記2.(a)にあるように、同意書に当該併存契約を含めてはならない。登録官はクレームされた明細書に基づいて、使用の全範囲を検討するためである。
4.アサインバックについて
商標の移転について、権利範囲に基づく審査は行われないので、出願人から先行商標権者に権利を移転し、拒絶理由が解消した後に先行商標権者から出願人に再び権利を移転するアサインバックは理論的に可能である。ただし、アサインバックは、2回の移転手続が必要で費用がかかることから、実際は同意書またはライセンス契約を選択すると思われる。
5.登録後の同意書の取消しについて
出願商標が同意書に基づいて登録された場合、同意書を撤回することはできない。先行商標権者が登録された出願商標を登録簿から削除することを希望する場合は、当該商標の無効または取消しの措置を講じなければならない。
シンガポールでは、商標が登録されると、その商標を再審査する仕組みがなく、同意書が撤回されたことを理由に再審査することができないため、無効化または取消措置が必要となる。
台湾における知的財産関連契約の留意点
「台湾における知的財産関連契約の留意点」(2020年3月、日本台湾交流協会)【1章-4章1節】【4章2節-5節】【4章6節以降】
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(目次)
第一章 序言 p.1
第一節 近年における各国企業の台湾進出の状況 p.1
第二節 近年における日系企業の台湾進出の形態 p.4
第二章 台湾での契約において留意すべき法律、規則 p.7
(契約に関する基本的な法律の概要および知的財産法に関する法律(専利法(特許法)、営業秘密法、著作権法、商標法、科学技術基本法)については権利の帰属規定に焦点を当て説明している。また、投資奨励法および個人情報保護法について説明している。)
第一節 契約に関する基本原則:民法 p.7
第二節 契約に関する知的財産権関連法 p.10
第三節 その他の法律 p.20
第三章 知財上の留意点 p.32
(日系企業が台湾企業と契約を締結する前に留意すべき点と知的財産を保護するために必要となる対策(会社内部の知財管理、第三者の権利の調査と第三者の権利を発見した際の対応、商談などの場での注意点)について説明している。)
第一節 会社内部の知財管理 p.32
第二節 第三者権利の調査 p.40
第三節 商談などの場での注意点 p.44
第四章 契約類型ごとの留意事項 p.47
(契約書の概要や契約類型別に各契約書の一般条項を説明している。また、各契約書に関連する判例を紹介するとともに判例を分析し対策や注意点を紹介している。)
第一節 秘密保持契約 p.47
第二節 開発委託契約/共同開発契約 p.61
第三節 製造委託契約 p.87
第四節 代理店契約 p.97
第五節 技術供与契約(ライセンス契約) p.114
第六節 資本提携契約/合弁会社設立契約 p.132
第七節 データ利用契約 p.148
第八節 その他の留意事項 p.153
第五章 まとめ p.162
知財プロジェクト会議 質疑応答 p.164
公平交易委員会が技術ライセンス協議の案件を取り扱う際の処理原則 p.171
個人情報保護声明 p.178
個人情報取り扱い許諾書 p.180
ロシアにおける商標ライセンスの付与方法
「ロシア・ライセンスマニュアル」(2018年3月、日本貿易振興機構知的財産課モスクワ事務所)「4」
(目次)
4 商標ライセンスの付与方法 P.40
4.1 商標ライセンス P.40
4.1.1 商標ライセンスの概念 P.40
4.1.2 商標ライセンスの主題 P.40
4.1.3 商標ライセンスの分類 P.41
4.2 商標ライセンス関連法規 P.43
4.2.1 商標ライセンス契約の締結 P.43
4.2.2 商標ライセンス契約書の形式 P.45
4.2.3 商標ライセンス契約の有効期間 P.45
4.2.4 商標ライセンスの登録 P.45
4.2.5 商標のライセンサーおよびライセンシーの義務 P.45
4.2.6 商標ライセンス契約に基づく報告 P.47
4.2.7 訴訟における登録商標のライセンシーの地位 P.47
4.2.8 商標ライセンス契約に及ぼす商標譲渡の効果 P.48
4.3 商標ロイヤルティ計算方法 P.49
4.4 商標ライセンスのケース・スタディ P.51
4.5 商標ライセンス契約(フランチャイズ契約を含む) P.54
4.5.1 契約の主要条項 P.54
4.5.2 契約締結時の留意事項 P.62
【留意事項】
ロシアでは、ロシア特許庁に登録されない発明、実用新案、工業意匠または商標等にかかるライセンス契約は無効となる点に留意されたい。登録の手続きの詳細については、こちら。
インドネシアにおける技術ライセンス契約
「新興国(タイ、ベトナム、インドネシア)における知財リスク調査」(2016年5月、日本貿易振興機構バンコク事務所知的財産部)第4章1
(目次)
第4章 インドネシア
1 技術ライセンス契約 P.49
関連法令一覧
3 インドネシア P.65
ベトナムにおける技術ライセンス契約
「新興国(タイ、ベトナム、インドネシア)における知財リスク調査」(2016年5月、日本貿易振興機構バンコク事務所知的財産部)第3章1
(目次)
第3章 ベトナム
1 技術ライセンス契約 P.26
関連法令一覧
2 ベトナム P.64
タイにおける技術ライセンス契約
「新興国(タイ、ベトナム、インドネシア)における知財リスク調査」(2016年5月、日本貿易振興機構バンコク事務所知的財産部)第2章1
(目次)
第2章 タイ
1 技術ライセンス契約 P.6
関連法令一覧
1 タイ P.64
ベトナムにおける技術移転に関する留意事項
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