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タイにおける商品・役務の類否判断について(後編)

(中編から続く)

4. 役務の類似性または非類似性
4-1. 役務の類似・非類似の判断方法
 前編および中編で述べたとおり、DIPは、各区分においてクロスチェックの対象となる関連区分のリストをウェブサイトで提供している*1。下表は、役務の各区分に関連する役務区分をDIPのウェブサイトから抜粋したものである。出願前調査の指定区分以外の区分とのクロスチェックに活用されたい。なお、このリストで指定されている以外の区分についてもクロスチェックが行われる例もあることに留意されたい。

区分3536373839
関連区分36354041,42
区分404142434445
関連区分373838

*1 DIPのウェブサイトを閲覧する方法を稿末【クロスチェックリストの閲覧方法】に示した。

 役務の類似・非類似の判断については、前記「前編2-2.3)(C) 商品・役務の関連性・非関連性の検討」における5つの評価点に加え、その他の関連する要素も考慮する。主な考慮点としては、役務の性質並びに特質、事業分野および需要者グループが挙げられる。

(A) 役務が関連しているとみなされた例
① 商標審決番号366/2561(2018)
出願商標:
区分36:土地・建物の鑑定評価・管理

引用商標:, COURTARD, および
区分43:ホテル・レストランにおけるサービスの提供

 出願商標の指定役務は、ホテル、リゾート、キャンプを含む広範な不動産の開発および管理であると説明している。従って、両当事者の役務は区分が異なるにも拘わらず、同じ種類の不動産に関連する同じ性質のものである。従って混同の可能性がある。

注目点:役務が提供される事業分野の関連性を考慮する。

② 商標審決番号634/2559(2016)
出願商標:
区分35:メディアに関する包括的な広告制作

引用商標:
区分38:有線テレビ放送、区分41:ラジオ・テレビ番組の企画、娯楽目的のファッションショーの企画、コンサートの企画
引用商標:
区分41:テレビおよびラジオの番組制作

 出願商標の役務が「総合的な広報媒体の制作」であるのに対し、引用商標の役務は「有線テレビ放送、ラジオおよびテレビ番組の制作、企画、娯楽目的のファッションショーの企画、コンサートの企画」であり、両商標の役務は異なる区分ではあるが関連性がある、とされた。

注目点:本審決において、役務間の関連性/非関連性を判断するために、どのような考慮事項を用いるかについて明示していない。しかし、著者は、両商標の役務が、同じ事業分野、すなわちエンターテインメント産業とメディア産業で提供されていることから、両商標の役務は、関連性があると判断されたと理解している。

③ 商標審決番号628/2563(2022)
出願商標:
区分41:不動産・不動産に関連する時事・トレンド・経済分野のオンライン・ニュースレターの提供、不動産・不動産に関連する時事・トレンド・経済分野の電子メールによるオンライン電子ニュースレターの配信等

引用商標:
区分35:インターネット上の動画再生前後の広告、モバイルメッセンジャーを通じた広告、インターネットを通じた広告、オンライン上の広告スペースのレンタル、広告資料の作成および更新、商業情報代理店、経営管理に関する助言サービス、経営管理コンサルタントなど

 両商標の役務は、異なる区分ではあるが、同じ性質、すなわち、すべて情報の提供および配布であり、両商標間には混同の可能性がある、とされた。

注目点:上記②の審決(634/2559(2016))とは異なり、本件では、両商標の役務が全く異なる分野(出願商標が不動産分野であるのに対し、引用商標は広告および経営管理分野)であるにも拘わらず、両商標の役務の性質に注目し、両商標が本質的に情報の提供と配布である点で関連している、と判断した。

(B) 役務が関連していないとみなされた例
① 商標審決番号148/2559(2016)
出願商標:
区分35:ビタミン剤等の栄養補助食品に関する小売・卸売業経営、ミネラルエキス等の小売・卸売業経営

引用商標:
区分44:医療研究センターサービス

 両商標の役務は異なる区分であり、同じ性質のものではないと説明している。

注目点:両商標の役務の関連性/非関連性の判断に考慮点は明示されていない。著者は、異なる事業分野、異なる需要者グループに対して提供される役務であることが考慮されたと理解している。特に、出願商標は一般消費者を対象とした商業分野であり、引用商標は医療関係者を対象とした医療研究産業分野であると解される。

② 商標審決番号1341/2559(2016)
出願商標:
区分43:食品・飲料の小売サービス、カクテルラウンジ、コーヒーショップ、食品・飲料のケータリング等

引用商標:
区分35:ホテルの経営管理、ホテルに関する宣伝・販売促進サービス等
区分36:不動産管理、不動産の賃貸等

 両商標の役務は異なる区分であり、同じ性質のものではないと説明している。

注目点:両商標の役務の関連性/非関連性の判断に考慮点は明示されていない。著者は、両商標の役務は異なる事業分野で提供される役務であることが考慮されたと理解している。特に、出願商標は飲食業において提供され、引用商標は不動産業および一時宿泊業において提供されている点が考慮されたと考えられる。

③ 商標審決番号805/2563(2020)
出願商標:
区分42:補聴器に関する科学研究サービス、補聴器に関する技術研究サービス等

引用商標:
区分42:農業科学研究サービス、農業に関するコンピュータプログラム作成サービス、農業に関する科学研究サービス等

 両商標の役務は異なる区分であり、同じ性質のものではないと説明している。

注目点:両商標の役務の関連性/非関連性の判断に、考慮点は明示されていない。著者は、両商標の役務は異なる事業分野および異なる需要者グループに提供される役務であることが考慮された、と理解している。特に、出願商標は、聴覚障碍者を対象とする補聴器に特定された科学分野であり、引用商標は、農業従事者を対象とする農業に特定された科学分野である点が考慮された、と考えられる。

 上記の審決例に基づけば、タイでは、例えば、対象としている需要者の範囲や需要者グループが一致しているか、事業分野のカテゴリーが一致しているかなど、日本と同様の要素が考慮されている。ただし、対象役務や対象事業分野が同一の法律で規制されている点を考慮する日本とは異なり、これらのアプローチは、タイでは採用されていない。
 また、上記の審決例から、EUIPOの商標審査基準(https://guidelines.euipo.europa.eu/1803468/1786759/trade-mark-guidelines/3-1-1-similarity-factors)における役務の非類似性・類似性を検討する際の基準(役務の性質、役務の目的、関連する公衆や需要者)をEUと共有していると思われる。

4-2. 小売役務
 前記「(中編)3-2 ニース分類の活用」で述べたように、指定役務は明確に記載しなければならず、広範であってはならない。現行の実務に基づけば、「小売」という役務表記は広範すぎて受け入れられないと考えられる。例えば、「バッグの小売店サービス」、「宝飾品の小売サービス」のように、出願人はどの商品を提供するのかを明確に特定しなければならない。
 とはいえ、DIPは現在、「小売役務」よりもさらに広範な役務記載、すなわち、役務の名称「他人の利益のために、輸送を除く様々な商品を集め、消費者がそれらの商品を便利に見て購入できるようにすること」を認めている。このことは、商標審決番号2484/2562(2019)においても採用されている。
 小売役務と商品との関連性を評価する際のアプローチを説明するため、商標審決番号2484/2562(2019)および商標審決番号1013/2564(2021)を示す。

① 商標審決番号 2484/2562(2019)
出願商標:
区分35:他人のために、様々な商品を集めること、消費者が便利に商品を見たり購入したりできるようにすること、食品の販売管理、商品の輸出入管理、他の事業者のための購買サービスなど
[重要:本出願は「小売」というサービス自体を対象とするものではない。]

引用商標:
区分30:チューインガム

引用商標:
区分30:ゼリー

理由:出願商標の役務は、商品と同じ性質を有さないビジネスの一種であるとした。したがって、混同の可能性は生じないとした。
 本審決は、出願商標の役務から保護される事業の範囲が引用商標に使用する商品と重複するか否かを検討することなく、単に事業が商品と同一性質のものではないと判断しているように思われる。
 しかし、その2年後、審判部は、対象商標の具体的な商品と役務との関連性をより詳細に検討した審決を下したので以下に紹介する。

② 商標審決番号1013/2564(2021)
出願商標:
区分35:顧客が便利に商品を見たり購入したりできるように、他人の利益のために様々な商品を集めること、化粧品の小売・卸売、トイレタリー製品の小売・卸売、歯科用品の小売・卸売、飲料などのオンライン小売

引用商標:
区分29:牛肉缶詰、魚缶詰、果物缶詰、野菜缶詰、魚介類缶詰など

理由:両商標の商品と役務とは異なる区分である。さらに、出願商標の役務は、他人の利益のために、顧客が便利にそれらの商品を見たり購入したりできるように、様々な商品をまとめることであり、引用商標の商品と同じ性質のものではない特定の商品の小売や卸売を行うことである。その結果、混同のおそれはない、とした。

注目点:上記2つの審決例から得られるポイントは以下の通りである:
・「小売」という役務よりも、「他人の利益のために、消費者が便利に商品を見たり購入したりできるようにするために、様々な商品を集めること」という役務の方が広範であるため、これらの審決から、提供される商品が表示されていない「小売役務」や「卸売役務」、「販売役務」などは(DIPによって認められる場合)、商品と同じ性質のものではないと結論づけることができると思われる。換言すれば、「小売」という広範な役務を指定する先行登録商標は、区分 1から区分 34までのいずれかに属する商品を指定する後行商標出願の登録を妨げるものであってはならない。このことは、区分35の「消費者の便宜のために種々の商品を一緒にすること」、「販売管理」および「商品のオンライン販売サービス」は、区分25の「シャツ」および「ズボン」と同一性質のものではないとする新審査基準でも確認されている(新審査基準90頁参照)。詳細は「5.商品・役務間の類似性または非類似性」で後述する。
・「小売役務“retail services”」、「卸売役務“wholesale services”」、「販売役務“sale services”」に使用する提供商品が具体的に表示されている場合は、当該商標の商品とは性質が異なる商品を提供する他の商標とは無関係とみなされる。
 例えば、「バッグの小売店舗サービス」と「化粧品の小売店舗サービス」のように、提供する商品が異なる小売サービス間の関連性を検討した前例はない。しかし、「3.商品の類似性・非類似性」に記載したようなアプローチにより、販売する特定の商品間の関連性を検討すべきであると考える。特に、商品が同じ性質のものでない場合、または同じ需要者グループを対象としていない場合は、関連性がなく、混同の可能性は生じない。同様に、関連性のない商品を提供する小売サービスも、需要者に混同を生じさせるものではないと考えられる。例えば、「化粧品産業で使用する化学薬剤の小売サービス」と「無菌包装で使用する過酸化水素水溶液の小売サービス」は、商標審決番号246/2563(2020)に基づくと、特定商品の使用目的により関連性が認められない、と考えられる。

4-3. 不使用取消
 法第63条によれば、3年間使用されていない商標登録は、不使用を理由に取消される可能性がある。しかし、実際には、不使用取消は、不使用の立証責任を申立人が負うため、非常に困難である。審判部は、商標権者が使用を証明する証拠を全く提出せず、反駁しない場合であっても、不使用の証明が不十分であるという理由で申立を却下するケースもある。不使用の場合であっても、商標権者は、不使用が特別な事情によるものであり、商標を放棄する意図によるものではないことを証明することにより、防御することができる。例えば、商標権者が特定の商品または役務に関して商標を使用している場合、商標権者に商標を放棄する意思がないと解釈することができる。法律は、特定の商品および役務に対する部分的取消の可能性も明示していない。

4-4. 役務を指定する際の考慮事項
 審査官は、指定役務記載の可否を判断する際に、中編「3-4. 商品を指定する際の留意点」で説明した基準を同様に適用する。また、出願人は、意図する役務を項目ごとに明確に指定しなければならない。しかし、区分1~34では認められない広範な商品が、役務の説明では含まれることがある。例えば、「区分5:食品サプリメント」および「区分25:衣料品」という商品は認められないが、「食品サプリメントに関する小売サービス」および「衣料品の小売サービス」というサービスの指定は、区分35で認められる。したがって、出願人は、サービスの範囲を不必要に限定しないよう、前記「タイで商標登録出願された商品・サービス一覧」に掲載されている最新の商品・役務許容リストを常に入手する必要がある。

5. 商品・役務間の類似性または非類似性
 DIPは、各区分においてクロスチェックの対象となる関連区分のリストをウェブサイトで提供している。下表は、区分1から34までの商品に対する区分35から45までの役務との関連区分と、役務に対する商品との関連区分とのリストをDIPのウェブサイトから抜粋したものである。なお、このリストで指定されている以外の区分についてもクロスチェックが行われる例もあることに留意されたい。

区分12345
関連区分353535,42,443535,42,44
区分678910
関連区分3535,373535,37,38,41,4235,44
区分1112131415
関連区分35,3735,37,393535,3735
区分1617181920
関連区分35,37,41353535,37,4235,37,43
区分2122232425
関連区分3535353535,40,45
区分2627282930
関連区分35,403535,4135,42,4335,42,43
区分3132333435
関連区分35,42,4335,42,4335,42,4335
区分3637383940
関連区分912
区分4142434445
関連区分99

 クロスチェックとは別に、審査官は、「前編2-2.3)(C)商品・役務の関連性・非関連性の検討」に記載されたアプローチに沿って、特定の商品・役務の関連性を検討する。
 上記のアプローチに加え、新審査基準では、広範な役務の記載は、狭義の商品の記載と同じ性質を有するとはみなされないことが具体的に規定されている(新審査基準90頁参照)。その例は以下の通り:
・区分35の「消費者の便宜のために各種の商品を集めること」、「販売管理」、「商品のオンライン販売サービス」は、区分25の「ワイシャツ」、「ズボン」と性質が異なる。
・区分43の「飲食店サービス」は、区分30の「茶、コーヒー、ココア」、区分32の「飲料、水(飲料)」、区分33の「酒類、蒸留アルコール飲料」と性質が異なる。
・区分44の「美容サービス」は、区分3の「皮膚栄養クリーム」と性質が異なる。

 商品と役務の関連性を判断する際のアプローチを示す商標審決例を以下に示す。

(A) 商品と役務とが関連しているとみなされた例
① 商標審決番号1617/2560(2017)
出願商標:
区分19:非金属建材、建築用硬質非金属パイプ、建築用非金属材料シート、建築用非金属板、建築用非金属ポータブル構造部品

引用商標:
区分43:倉庫の建設、工場の建設、店舗の建設、家屋の建設、倉庫の建設、工場の建設、店舗の建設、家屋の建設、建設に関するコンサルタント業など

理由:引用商標の役務は建設サービスに関するものであるため、両者の商品/役務は同じ性質のものであるとした。

注目点:建築材料である出願商標の商品が引用商標の建築サービスの提供に使用できることから、両商標の商品と役務とは同じ性質であると考えることができる。

② 商標審決番号106/2559(2016)
出願商標:
区分42:個人用電子機器に関するオンライン問題の処理、個人用電子機器の技術サポート

引用商標:
区分9:オーディオテープレコーダー、スピーカ、コンピュータ等

理由:両商標は異なる区分に属するが、両商標の商品とサービスは同じ性質であり、混同の可能性がある、とした。

注目点:両商標の商品および役務が、電子機器という同じ分野に関するものであることから、両商標の商品および役務が同じ性質のものであると考えることができる。

(B) 商品と役務が無関係とみなされた例
① 商標審決番号921/2564(2021)
出願商標:
区分11:空気濾過媒体、空気濾過装置、空気濾過装置用フィルター、音響媒体

引用商標:
区分37:車両注油、車両保守、車両整備、車両修理、車両洗浄

理由:両商標の商品と役務は異なる区分であり、それぞれの使用目的は特定されている。その結果、両商標の商品と役務は同じ性質のものではなく、混同の可能性は生じない。

注目点:両商標の商品・役務の具体的な使用目的または提供目的が重複しているかどうかを検討する。

② 商標審決番号371/2562(2019)
出願商標:
区分44:美容施術に関する助言サービス、美容コンサルタント、美容施術等

引用商標:
区分3:皮膚栄養クリーム

理由:両商標は化粧品に関連するが、異なる需要者グループを対象としており、異なる取引経路を通じて提供されている。その結果、出願商標の商品と引用商標の役務は同じ性質のものではない、とした。

注目点:区分とは別に、商品の関連要素、すなわち、需要者の対象グループと取引経路も考慮した結論となっている。本審決例と新審査基準に基づき、商品と役務の類似性・非類似性を判断する際、例えば、商品と役務の意図された目的が合致しているか、商品と役務が対象とする需要者が一致しているかなど、タイと日本は、その判断方法を共有している。
 さらに、タイは、欧州の商標審査基準に規定されている要因の一部、すなわち、商品・役務の性質や意図する目的を考慮している。

6. まとめ
 DIPおよび裁判所は、商品および役務の類似性を判断するために、商標の国際分類(区分)のみならず、例えば、商品および役務の性質、商品の使用または役務の提供の目的、生産段階における関連性、対象需要者、取引経路、商品または役務の価格等の様々な要素を考慮している。

【クロスチェックリストの閲覧方法】
(1) DIPのウェブサイト https://search.ipthailand.go.th/ に接続する。

(2) クリック

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(4) 何も入力せず、ここをクリック

(5) 区分    ニース分類 Class Heading       関連区分(商品・役務)
46はDIP独自分類で証明商標を、47は団体商標を示し、全区分に関連する。

台湾における商品・役務の類否判断について(後編)

(前編から続く)

4.役務間の類否について
(1) 役務間の類否判断における考え方

 役務間の類否判断も、商品の類否判断と同様、前述のとおり、基本的に「商品・役務分類及び相互検索参考資料」に開示されている同じ類似群(類似群コード前4桁が同一)に属するものと、相互検索すべき類似群に属するものであるか否か、をもって行われている。その具体的な判断原則については、台湾における役務の類否判断に関し、「誤認混同のおそれに関する審査基準」5.3.9には、「役務の性質、内容又は提供者などの要素に関する判断原則」が示されている。
 役務の性質、内容は、他人へ提供する労務または活動の類型により異なる。例えば、「タクシーによる輸送」と「バスによる輸送」はいずれも乗物による運輸役務を提供するほか、性質も同じであるため、類似関係を有すると認定される。
 役務の目的は、消費者の特定の需要を満たすことである。その需要の類似性、または代替性が高くなれば、それだけ役務間の類似程度も高くなる。例えば、「英語専門の塾」と「数学・理科専門の塾」、「民宿における宿泊施設の提供」と「ホテルにおける宿泊施設の提供」は、類似役務に該当する。
 さらに、通常、両役務が同一の業者によって提供される場合、類似関係があると認められる可能性は高い。例えば、「指圧マッサージ」と「サウナ」がその例である。

(2) 小売役務について
 台湾では、役務名として「小売(retail services or wholesale services)」のみを指定することは認められない。
 「商品・役務分類及び相互検索参考資料」では、「総合的小売」および「特定商品の小売」に分けて、それぞれ具体的に列挙して指定する必要がある、と明記されている。「総合的小売」の具体的な例としては、デパート、インターネットショッピング、スーパーマーケット等が挙げられる。
 台湾では、「小売」の代わりに、特定商品の小売を指定しなければならないので、総合的小売の「デパート」と、特定商品の小売としての「被服の小売」とが類似を構成するか否かは、審査基準に関連規定はないが、審査実務上、原則的に類似しないとされている。一般の社会通念および市場取引状況に基づき、役務の受取人(消費者)に、その商品が同一、または同一ではないが出所に関連があると誤認されやすい場合、例外的に類似関係を有すると認められる。一方、「特定商品の小売」と「特定商品」とが類似するか否かは、下記5.を参照願いたい。
 また、当該登録商標を使用していない商品に関し、不使用取消とされる可能性があるか否かについては、台湾商標法第63条第2項により、商標が登録された後に、正当な事由なくそれを使用せず、またはその使用を停止して既に3年を経過したとき、商標主務官庁は職権または請求により、その登録を取り消すことができる。即ち、特定商品を指定して登録を受けても、登録後3年以上の不使用という事実がある場合、当該商品における登録が取り消されるリスクがある。

(3) 役務名を指定する際の留意事項について
 実務上、よく日本の実務者が「電子出版物の提供」のような名称を第41類で指定するが、それは日本で認められる表記であって、台湾では認められない。台湾では、役務として「(第41類)電子出版物のオンライン閲覧(ダウンロードできない)」を指定するか、または商品として「(第9類)ダウンロードできる電子出版物」を指定する必要がある。
 商標登録出願の政府手数料は、役務の場合、第35類を除くその他の区分(第36類~第45類)は、区分ごとにNT$3,000であるが、第35類の「特定商品の小売・卸売り」を指定した場合、5個以内はNT$3,000で、5個を超えた場合、1個ごとに政府手数料NT$500の割増料金を納付する必要がある。第35類では、「特定商品の小売・卸売り」以外の役務を指定する場合、個数を問わず一律NT$3,000となる。

5.商品・役務間の類否について
(1) 商品・役務間の類否判断における考え方

 台湾における商品・役務間の類否判断に関しても、基本的に「商品・役務分類及び相互検索参考資料」に開示されている相互検索すべき類似群に属するものであるか否かをもって行われている。具体的な判断原則について、「誤認混同のおそれに関する審査基準」5.3.10には、①通常、商品の製造・販売と役務の提供が同一の事業者によって行われるか、②商品と役務の効能又は使用目的が一致するかどうか、③商品の販売場所と役務の提供場所が同一であるかどうか、および④商品と役務の消費者層の範囲が重なるかどうか、などの要素を総合的に考慮して判断する、と示されている。
 同審査基準では、以下の具体例が挙げられている。

① 第9類の「コンピュータハードウエア;コンピュータソフトウエア」商品と第42類の「コンピュータプログラミング;コンピュータデータ処理」役務は、類似関係を有する。
 商品と役務の間には、効能上、相互補完関係が存在し、また、同じ情報技術分野に属すものであるので、性質・消費者層および販売ルートなどの要素において共通・関連しているので、類似関係を有すると認める。

② 第25類の「被服」商品と第35類の「被服の小売」役務は、類似関係を有する。
 役務の目的が、特定商品の販売を提供する場合、両者は類似関係を有すると認められている。
 「被服の小売」の目的は、「被服」の販売を提供することで、また、通常、商品の販売場所と役務の提供場所が同一であるほか、消費者層も同様であるため、類似関係を有すると認める。

 台湾では、「『特定商品の小売り及び卸売り』および『当該特定商品』間の類似検索関係の参考表(「特定商品零售批發服務」與該「特定商品」間類似檢索關係參考表)」という参考資料があり、そこには、「一般社会通念及び取引の状況に照らして、役務又は商品の出所が同一である、または同一ではないが関連性があると誤認を生じやすい場合は、類似関係を有する、という一般的な原則が定められている。「被服」と「被服の小売」のほか、例えば、「飲料」と「コーヒー飲料の小売」、「薬剤」と「人用薬品の小売」も類似関係を有すると認められている。
 一方、同審査基準では、「総合的小売」(デパート、インターネットショッピングなど)と、「特定商品」の間に類似関係を有するか否かについて、明確な規定がない。知的財産及び商業裁判所110年行商更(一)字第4号行政判決では、「インターネットショッピング」と「電気製品」とが非類似と認められた。その理由は、前者がインターネットを販売ルートとして、商品の小売を行い、ウェブサイトを通じて商品情報を提供し、インターネット上で注文を受けた後、顧客に商品を届ける、という一体性がある役務であり、これは後者の特定商品と性質が異なり、また、前者は取り扱う商品の範囲がかなり広く具体的に限定されず、消費者が、両者の出所が同一である、または同一ではないが関連性があると誤認することが予想できないからである、とされた。

ベトナムのその他の法律、規則、審査基準等

 特許・実用新案、意匠、商標を除く、その他知的財産と関連するベトナムの法律、規則等(公用語・英語)は、以下のとおりである。
注)リンク先(公用語)へのリンクは時間帯により、回線が混んでいる場合は、ダウンロードに時間を要する場合がある。

No. 種別 法規範文書番号 公布日
(DD/MM/YYYY)
法規範文書名
(日本語訳)
リンク先
(公用語)
リンク先
(英語/日本語)
1 法令 101/2015/QH13 27/11/2015 Bộ luật Tố tụng Hình sự
(刑事訴訟法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.3+B%E1%BB%99+Lu%E1%BA%ADt+t%E1%BB%91+t%E1%BB%A5ng+h%C3%ACnh+s%E1%BB%B1.pdf/51fce358-6f18-46d3-ab31-91d8d0cab1e5 https://www.moj.go.jp/content/001400101.pdf
(日本語)
2 法令 92/2015/QH13 27/11/2015 Bộ Luật Tố tụng Dân sự
(民事訴訟法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.4+B%E1%BB%99+Lu%E1%BA%ADt+t%E1%BB%91+t%E1%BB%A5ng+d%C3%A2n+s%E1%BB%B1.pdf/989ee470-7f17-45f0-9094-77b46361f1a0 https://www.moj.go.jp/content/001212572.pdf
(日本語)
https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17221
(英語)
3 法令 100/2015/QH13 27/11/2015 Bộ luật Hình sự
(刑法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.5.+B%E1%BB%99+lu%E1%BA%ADt+h%C3%ACnh+s%E1%BB%B1.pdf/5fae6cc8-85fa-4f28-8568-4ffb2267da3c https://www.moj.go.jp/content/001279114.pdf
(2015 年法,法律番号 12/2017/QH14 による修正及び補充を反映させたもの、
日本語)

4 法令 12/2017/QH14 20/06/2017 Luật Sửa đổi, bổ sung một số điều của Bộ luật Hình sự số 100/2015/QH13
(刑法(2017年改正法))
http://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/626826/5.6.+Lu%E1%BA%ADt+s%E1%BB%ADa+%C4%91%E1%BB%95i%2C+b%E1%BB%95+sung+m%E1%BB%99t+s%E1%BB%91+%C4%91i%E1%BB%81u+c%E1%BB%A7a+B%E1%BB%99+lu%E1%BA%ADt+h%C3%ACnh+s%E1%BB%B1+s%E1%BB%91+100.2015.QH13.pdf/9fef6d7d-c49f-4507-a1e1-1ca160d04b8a https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/20940
5(1) 法令 15/2012/QH13 20/6/2012 Luật Xử lý vi phạm hành chính
(行政違反処理法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.7.+Lu%E1%BA%ADt+x%E1%BB%AD+l%C3%BD+vi+ph%E1%BA%A1m+h%C3%A0nh+ch%C3%ADnh.pdf/42b8eaf9-ea8a-458a-8447-109611bae409 https://www.moj.go.jp/content/001212574.pdf
(日本語)
https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17209
(英語)
5(2) 法令 67/2020/QH14 13/11/2020 Luật số 67/2020/QH14 của Quốc hội: Luật Sửa đổi, bổ sung một số điều của Luật xử lý vi phạm hành chính
(行政違反処理法を補足する法律)
https://datafiles.chinhphu.vn/cpp/files/vbpq/2021/02/67.signed.pdf
6 法令 54/2014/QH13 23/06/2014 Luật Hải quan
(税関法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.8.+Lu%E1%BA%ADt+H%E1%BA%A3i+quan.pdf/f1c0b18a-c232-4fd7-913e-40333a68d210 https://www.moj.go.jp/content/001153057.pdf
(日本語)
https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17213
(英語)
7 法令 29/2013/QH13 18/06/2013 Luật Khoa học và Công nghệ
(科学技術法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.9+Lu%E1%BA%ADt+KHCN2.pdf/149f4264-6b89-4c23-a7f5-a9ab01e729c5 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17224
8 法令 23/2018/QH14 12/6/2018 Luật Cạnh tranh
(競争法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.10.+LUAT+CANH+TRANH.pdf/2a23b525-57be-44ff-a69f-082fe41747d2 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/19109
(英語)
9 法令 36/2005/QH11 14/06/2005 Luật Thương mại
(商業法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.11.+Luat+Thuong+mai+2005.pdf/abd363d4-2646-48d5-a2db-4d42f231578e https://www.moj.go.jp/content/000111009.pdf
(日本語)

10 法令 59/2020/QH14 17/06/2020 Luật Doanh nghiệp
(企業法)
https://datafiles.chinhphu.vn/cpp/files/vbpq/2020/07/59.signed.pdf


https://www.moj.go.jp/content/001391584.pdf
(日本語)
11 法令 67/2006/QH11 29/06/2006 Luật Công nghệ thông tin
(通信技術法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.13.+Lu%E1%BA%ADt+C%C3%B4ng+ngh%E1%BB%87+th%C3%B4ng+tin.pdf/63dbaecf-f8f1-4d8e-aa8c-30d5c190732b https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/19111
12 法令 07/2017/QH14 19/6/2017 Luật Chuyển giao công nghệ
(技術移転法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.14.+Lu%E1%BA%ADt+Chuy%E1%BB%83n+giao+c%C3%B4ng+ngh%E1%BB%87.pdf/cd0bd203-4043-4864-b4a5-588db7121a8a https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/18555
13 法令 21/2008/QH12 13/11/2008 Luật Công nghệ cao
(ハイテク法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.15.+Luat+Cong+nghe+cao.pdf/e2555331-f467-4780-8456-989550e5e830
14 法令 61/2020/QH14 17/06/2020 Luật Đầu tư
(投資法)
https://datafiles.chinhphu.vn/cpp/files/vbpq/2020/07/61.signed.pdf https://www.moj.go.jp/content/001400102.pdf
(日本語)

15 法令 26/2008/QH12 14/11/2008 Luật Thi hành án dân sự
(民事執行法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.17.+Lu%E1%BA%ADt+Thi+h%C3%A0nh+%C3%A1n+d%C3%A2n+s%E1%BB%B1.pdf/69b74ae5-ae96-4cc8-9832-40ad2dbdedfc https://www.moj.go.jp/content/001142504.pdf
(日本語)

16 法令 19/2012/QH13 20/11/2012 Luật Xuất bản
(出版法)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1226838/5.18.+Lu%E1%BA%ADt+Xu%E1%BA%A5t+b%E1%BA%A3n.pdf/6aebdc04-f5c8-4431-bea1-fa8e202f043c
17 政府決議(政令) 22/2018/NĐ-CP 23/02/2018 Nghị định số 22/2018/NĐ-CP ngày 23 tháng 02 năm 2018 của Chính phủ quy định chi tiết một số điều và biện pháp thi hành Luật sở hữu trí tuệ năm 2005 và Luật sửa đổi, bổ sung một số điều của Luật sở hữu trí tuệ năm 2009 về quyền tác giả, quyền liên quan
(著作権および著作隣接権に関して2005年知的財産法および2009年改正知的財産法の一部条項の施行細則を規定する2018年2月23日付けの政府決議第22/2018/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/627934/6.5.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bn+s%E1%BB%91+22_2018_ND-CP.pdf/533bc8f8-b8b4-4b34-a385-e4afbdd044cd https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/18010
18 政府決議(政令) 88/2010/NĐ-CP 16/08/2010 Nghị định số 88/2010/NĐ-CP ngày 16 tháng 08 năm 2010 của Chính phủ quy định chi tiết, hướng dẫn thi hành một số điều của Luật Sở hữu trí tuệ và Luật sửa đổi, bổ sung một số điều của Luật Sở hữu trí tuệ về quyền đối với giống cây trồng
(植物品種に対する権利に関して知的財産法およびその改正法の一部条項の施行細則を規定する政令2010年8月16日付けの政令第88/2010/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/627934/6.6.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+88.2010.ND.CP.pdf/faaaa50f-e2e9-4954-95bf-f44b891e36f8 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/13110
19 政府決議(政令) 131/2013/NĐ-CP 16/10/2013 Nghị định số 131/2013/NĐ-CP ngày 16 tháng 10 năm 2013 của Chính phủ quy định xử phạt vi phạm hành chính về quyền tác giả, quyền liên quan
(著作権および著作隣接権の行政違反に対する罰則を規定する2013年10月16日付けの政府決議第131/2013/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/627934/6.8.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+131.2013.ND.CP.pdf/058999f5-1548-40ae-b42f-15ee3a740c04 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17258
20 政府決議(政令) 28/2017/NĐ-CP 20/03/2017 Nghị định số 28/2017/NĐ-CP ngày 20 tháng 03 năm 2017 của Chính phủ về việc sửa đổi, bổ sung một số điều của Nghị định 131/2013/NĐ-CP ngày 16/10/2013 của Chính phủ quy định xử phạt vi phạm hành chính về quyền tác giả, quyền liên quan và Nghị định 158/2013/NĐ-CP ngày 12/11/2013 của Chính phủ quy định xử phạt vi phạm hành chính trong lĩnh vực văn hóa, thể thao, du lịch và quảng cáo
(著作権および著作隣接権に関する行政措置を規定する2013年10月16日付けの政府決議131/2013/ND-CPおよび文化、スポーツ、観光、広告の分野における行政措置に関する2013年12月11日付けの政府決議158/2013/ND-CPを修正、補足する2017年3月20日付けの政府決議第28/2017/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/627934/6.9.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+28.2017.N%C4%90-CP.pdf/e8b6dcaf-8ccd-4dbb-a359-67974f1bb18e https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17239
21 政府決議(政令) 31/2016/NĐ-CP 6/5/2016 Nghị định số 31/2016/NĐ-CP ngày 6 tháng 05 năm 2016 của Chính phủ quy định xử phạt vi phạm hành chính trong lĩnh vực giống cây trồng, bảo vệ và kiểm dịch thực vật
(植物品種、植物保護および検疫の分野における行政措置に関する2016年5月6日付けの政府決議第31/2016/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/627934/6.10.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+31_2016_ND-CP.pdf/e9c24cb3-d9f1-4133-84cd-664aa6d80434
22 政府決議(政令) 21/2015/NĐ-CP 14/02/2015 Nghị định số 21/2015/NĐ-CP ngày 14 tháng 02 năm 2015 của Chính phủ quy định về nhuận bút, thù lao đối với tác phẩm điện ảnh, mỹ thuật, nhiếp ảnh, sân khấu và các loại hình nghệ thuật biểu diễn
(映画、美術、写真、演劇、その他の舞台芸術作品の著作権料とロイヤルティを規制する2015年2月14日付けの政府決議No.21/2015/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/627934/6.11.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+21.2015.ND.CP.pdf/46e42b59-50f3-4feb-8665-a9382a4bcbf4 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17278
23 政府決議(政令) 18/2014/NĐ-CP 14/03/2014 Nghị định số 18/2014/NĐ-CP ngày 14 tháng 03 năm 2014 của Chính phủ quy định về chế độ nhuận bút trong lĩnh vực báo chí, xuất bản khác
(報道およびその他の出版の分野における著作権料制度を規定する2014年3月14日付けの政令第18/2014/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/627934/6.12.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+18.2014.ND.CP.pdf/6e1b6fc2-3a04-45c7-9516-3bbf974762d6 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17321
24 政府決議(政令) 08/2015/NĐ-CP 21/01/2015 Nghị định số 08/2015/NĐ-CP ngày 21 tháng 01 năm 2015 của Chính phủ quy định chi tiết và biện pháp thi hành Luật Hải quan về thủ tục hải quan, kiểm tra, giám sát, kiểm soát hải quan
(税関手続き、検査、監督および管理に関する税関法の一部条項の施行細則を規定する2015年1月21日付けの政府決議No.08/2015/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227762/7.2.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+08.2015.ND.CP.pdf/fb9d2dc3-18f5-4778-bf80-d7f1d2563816 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17268
25 政府決議(政令) 59/2018/NĐ-CP 20/04/2018 Nghị định số 59/2018/NĐ-CP ngày 20 tháng 04 năm 2018 của Chính phủ sửa đổi, bổ sung một số Điều của Nghị định số 08/2015/NĐ-CP ngày 21 tháng 01 năm 2015 của Chính phủ quy định chi tiết và biện pháp thi hành Luật hải quan về thủ tục hải quan, kiểm tra, giám sát, kiểm soát hải quan
(税関手続き、検査、監督および管理に関する税関法の一部条項の施行細則を規定する2015年1月21日付けの政府決議第08/2015/ND-CPのいくつかの条項を修正および補足するための2018年4月20日付けの政府決議第59/2018/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227762/7.3.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+59.2018.N%C4%90-CP.pdf/d2b5c428-a494-4e36-a726-b977bec76be7
26 政府決議(政令) 78/2015/NĐ-CP 14/09/2015 Nghị định số 78/2015/NĐ-CP ngày 14 tháng 09 năm 2015 của Chính phủ về đăng ký doanh nghiệp
(事業登録に関する2015年9月14日付けの政府決議第78/2015/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227762/7.4.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+78.2015.ND.CP.pdf/6c363d74-5936-47ad-b7b0-147df70bc63e https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17237
27 政府決議(政令) 72/2013/NĐ-CP 15/07/2013 Nghị định số 72/2013/NĐ-CP ngày 15 tháng 7 năm 2013 của Chính phủ về quản lý, cung cấp, sử dụng dịch vụ Internet và thông tin trên mạng
(インターネットサービスおよびオンライン情報の管理、提供、および使用に関する2013年7月15日付けの政府決議第72/2013/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227762/7.5.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+72.2013.ND.CP.pdf/778c4565-54a5-4b95-8dc4-ee9f295b4733 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/19110
28 政府決議(政令) 76/2018/NĐ-CP 15/05/2018 Nghị định số 76/2018/NĐ-CP ngày 15 tháng 5 năm 2018 của Chính phủ quy định chi tiết và hướng dẫn thi hành một số điều của Luật Chuyển giao công nghệ
(技術移転法の施行細則を規定する2018年5月15日付けの政府決議第76/2018/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227762/7.6.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+76.2018.N%C4%90-CP.pdf/7d80d579-0ab5-4c2c-b5d4-c1dd8735724f https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/18556
29 政府決議(政令) 185/2013/NĐ-CP 15/11/2013 Nghị định số 185/2013/NĐ-CP ngày 15/11/2013 của Chính phủ quy định xử phạt vi phạm hành chính trong hoạt động thương mại, sản xuất, buôn bán hàng giả, hàng cấm và bảo vệ quyền lợi người tiêu dùng
(商業活動、偽造品および禁止品の製造と取引、および消費者の利益の保護における行政違反に対する罰則を規定する2013年11月15日付けの政府決議第185/2013/ND-CP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227762/7.7.+Ngh%E1%BB%8B+%C4%91%E1%BB%8Bnh+s%E1%BB%91+185.2013.ND.CP.pdf/401fa4a9-d67f-405a-81fa-05df8405ae29
30 省令 16/2013/TT-BNNPTNT 28/02/2013 Thông tư 16/2013/TT-BNNPTNT ngày 28 tháng 02 năm 2013 của Bộ Nông nghiệp và Phát triển nông thôn hướng dẫn về bảo hộ quyền đối với giống cây trồng
(植物品種の権利の保護を指導する農業農村開発省の2013年2月28日付けの通達16/2013/TT-BNNPTNT)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/8.9.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+s%E1%BB%91+16.2013.TT.BNNPTNT.pdf/b726e674-64a6-457c-b365-d863d5e36d0f
31 省令 41/2009/TT-BNNPTNT 09/07/2009 Thông tư 41/2009/TT-BNNPTNT ngày 09 tháng 7 năm 2009 của Bộ Nông nghiệp và Phát triển nông thôn quy định về quản lý và sử dụng mẫu giống cây trồng
(植物品種の管理と使用を規制する農業農村開発省の2009年7月9日付けの通達41/2009/TT-BNNPTNT)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/8.10.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+41.2009.TT-BNNPTNT.pdf/b39e703c-0afa-4cd5-ba52-39e89ae0740a
32 省令 207/2016/TT-BTC 09/11/2016 Thông tư số 207/2016/TT-BTC ngày 09 tháng 11 năm 2016 của Bộ Tài chính quy định mức thu, chế độ thu, nộp, quản lý và sử dụng phí, lệ phí trong lĩnh vực trồng trọt và giống cây lâm nghiệp
(栽培および林業品種の分野における料金および料金の料金、徴収、支払い、管理および使用を規定する財務省の2016年11月9日付けの通達第207/2016/TT-BTC)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/8.11.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+s%E1%BB%91+207.2016.TT.BTC.pdf/3ecbce31-6c7d-4ffc-ae4e-1c02b5c9afa8
33 省令 211/2016/TT-BTC 10/11/2016 Thông tư số 211/2016/TT-BTC ngày 10 tháng 11 năm 2016 của Bộ Tài chính quy định mức thu, chế độ thu, nộp, quản lý và sử dụng phí đăng kí quyền tác giả, quyền liên quan đến tác giả
(著作権および著作隣接権の登録料の徴収率、徴収方法、支払い、管理および使用を規定する財務省の2016年11月10日付けの通達No.211/2016/TT-BTC)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/8.12.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+s%E1%BB%91+211.2016.TT.BTC.pdf/db1785a2-7259-42ea-a918-fefc0c5f7c2d https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/17294
34 省令 15/2012/TT-BVHTTDL 13/12/2012 Thông tư số 15/2012/TT-BVHTTDL ngày 13 tháng 12 năm 2012 của Bộ Văn hóa, Thể thao và Du lịch hướng dẫn hoạt động giám định quyền tác giả, quyền liên quan
(著作権および著作隣接権の評価を指導する文化スポーツ観光省の2012年12月13日付けの通達第15/2012/TT-BVHTTDL)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/8.13.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+s%E1%BB%91+15.2012.TT.BVHTTDL.pdf/fed10afc-d74f-463d-a716-7df795b19dd7
35 省令 07/2012/TTLT-BTTTT-BVHTTDL 19/06/2012 Thông tư liên tịch số 07/2012/TTLT-BTTTT-BVHTTDL ngày 19 tháng 6 năm 2012 của Bộ Văn hóa, Thể thao và Du lịch và Bộ Thông tin và Truyền thông quy định về trách nhiệm của doanh nghiệp cung cấp dịch vụ trung gian trong việc bảo hộ quyền tác giả và quyền liên quan trên môi trường mạng Internet và mạng viễn thông
(インターネットおよび電気通信ネットワーク環境における著作権および著作隣接権の保護に関するサービスプロバイダー仲介者の責任を規制する文化スポーツ観光省と情報通信省の2012年6月19日付の共同通達第07/2012/TTLT-BTTTT-BVHTTDL)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/8.14.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+li%C3%AAn+t%E1%BB%8Bch+s%E1%BB%91+07.2012.TTLT.BTTTT.BVHTTDL.pdf/8f71d800-c06f-40ec-86d4-fa3c48e41c4d https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/19104
36 省令 08/2016/TT-BVHTTDL 02/07/2016 Thông tư số 08/2016/TT-BVHTTDL ngày 02 tháng 7 năm 2016 của Bộ Văn hóa, Thể thao và Du lịch về việc quy định các biểu mẫu trong hoạt động đăng ký quyền tác giả, quyền liên quan
(著作権および著作隣接権の登録に関する書式を規定する文化スポーツ観光省の2016年7月2日付けの通達第08/2016/TT-BVHTTDL)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/8.15.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+s%E1%BB%91+08.2016.TT.BVHTTDL.pdf/36c974d9-e1df-4f04-bb8c-cb40772506a4
37 省令 13/2015/TT-BTC 30/01/2015 Thông tư số 13/2015/TT-BTC ngày 30 tháng 01 năm 2015 của Bộ Tài chính quy định về kiểm tra, giám sát, tạm dừng làm thủ tục hải quan đối với hàng hóa xuất khẩu, nhập khẩu có yêu cầu bảo vệ quyền sở hữu trí tuệ; kiểm soát hàng giả và hàng hóa xâm phạm quyền sở hữu trí tuệ
(知的財産権を保護する必要のある輸出入品の通関手続きの検査、監督、および水際差止を規定し、模倣品や知的財産権侵害物品の検査に関する財務省の2015年1月30日付けの通達第13/2015/TT-BTC)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/9.1.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+s%E1%BB%91+13.2015.TT.BTC.pdf/e2e43a0c-e802-4601-bf05-692146aaea60 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/15792
38 省令 05/2016/TTLT-BKHCN-BKHĐT 05/04/2016 Thông tư liên tịch số 05/2016/TTLT-BKHCN-BKHĐT ngày 05 tháng 4 năm 2016 của Bộ Khoa học và Công nghệ và Bộ Kế hoạch và Đầu tư quy định chi tiết và hướng dẫn xử lý đối với trường hợp tên doanh nghiệp xâm phạm quyền sở hữu công nghiệp
(産業財産権の侵害にあたる商号の取り扱いの詳細と指導を規定する科学技術省と計画投資省の2016年4月5日付けの共同通達No.05/2016/TTLT-BKHCN-BKHĐT)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/9.2.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+li%C3%AAn+t%E1%BB%8Bch+s%E1%BB%91+05_2016_TT.BKHCN_BKH%C4%90T.pdf/63f66ee1-70c9-43eb-8ce0-23d4b5e21234 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/20941
39 省令 14/2016/TTLT-BTTTT-BKHCN 08/06/2016 Thông tư liên tịch số 14/2016/TTLT-BTTTT-BKHCN ngày 08 tháng 6 năm 2016 của Bộ Khoa học và Công nghệ và Bộ Thông tin và Truyền thông hướng dẫn trình tự, thủ tục thu hồi tên miền vi phạm pháp luật về sở hữu trí tuệ
(知的財産に関して違法なドメイン名を取り消すための命令と手順を指導する科学技術省と情報通信省の2016年6月8日付けの共同通達第14/2016/TTLT-BTTTT-BKHCN)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/9.3.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+li%C3%AAn+t%E1%BB%8Bch+s%E1%BB%91+14-2016-TTLT-BTTTT-BKHCN.pdf/aca0964c-1656-46d7-9929-b25fab227d4a
40 省令 02/2008/TTLT- TANDTC-VKSNDTC-BCA-BTP 03/04/2008 Thông tư liên tịch số 02/2008/TTLT- TANDTC-VKSNDTC-BCA-BTP ngày 03 tháng 04 năm 2008 của Toà án nhân dân tối cao, Viện Kiểm sát nhân dân tối cao, Bộ Văn hoá, Thể thao và Du lịch, Bộ Khoa học và Công nghệ và Bộ Tư pháp hướng dẫn áp dụng một số quy định của pháp luật trong việc giải quyết tranh chấp về quyền sở hữu trí tuệ tại Tòa án nhân dân
(人民裁判所での知的財産権をめぐる紛争の解決において、いくつかの法律の規定の適用を指導する2008年4月3日付けの最高人民裁判所、最高人民検察院、文化スポーツ観光省、科学技術省、および司法省の共同通達No.02/2008/TTLT-TANDTC-VKSNDTC-BCA-BTP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/9.4.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+li%C3%AAn+t%E1%BB%8Bch+s%E1%BB%91+02.2008.TTLT.TANDTC.VKSNDTC.BVHTTDL.BKHCN.BTP.pdf/c9478ba7-1146-45e1-8762-4d10463c9ccc https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/5180
41 省令 01/2008/TTLT- TANDTC-VKSNDTC-BCA-BTP 29/02/2008 Thông tư liên tịch số 01/2008/TTLT- TANDTC-VKSNDTC-BCA-BTP ngày 29 tháng 02 năm 2008 của Tòa án nhân dân tối cao, Viện kiểm sát nhân dân tối cao, Bộ Công an và Bộ Tư pháp hướng dẫn việc truy cứu trách nhiệm hình sự đối với các hành vi xâm phạm quyền sở hữu trí tuệ
(知的財産権侵害行為に対する刑事責任追及を指導する2008年2月29日付けの最高人民裁判所、最高人民検察院、公安省、司法省の合同通達No.01/2008/TTLT-TANDTC-VKSNDTC-BCA-BTP)
https://ipvietnam.gov.vn/documents/20182/1227912/9.5.+Th%C3%B4ng+t%C6%B0+li%C3%AAn+t%E1%BB%8Bch+s%E1%BB%91+01.2008.TTLT.TANDTC.VKSNDTC.BCA.BTP.pdf/dcc035ea-fe96-4ab6-be0e-860f93ec6490 https://wipolex.wipo.int/en/legislation/details/5052

ベトナムにおけるインターネット上の著作権侵害

 インターネットのユーザー数増加により、ベトナムにおいてもインターネット上の侵害問題が増加している。著作権および著作隣接権の侵害が特に拡大しており、違反行為はほぼすべての著作権対象物、特に音楽や映画、ソフトウェア、書籍について問題となっている。ストリーミングまたはダウンロードを行うウェブサイト、P2Pプラットフォーム、オンラインストレージまたはソーシャルネットワーキングサイト等を用いて、無許可のコンテンツを取得する無数の方法が提供されているためである。
 ベトナムにおけるオンライン上の著作権侵害および著作隣接権侵害に関する概要を以下に示し、可能な救済策を考察する。

1.ベトナムにおけるインターネット上での著作権侵害
(1) インターネットユーザーの一次責任
 インターネット上の著作権侵害の多くが、著作権所有者の同意なく無許可のコンテンツを直接アップロード、共有、ダウンロードする等、インターネットユーザーによって行われている。

 2022年に改正された知財法では、著作権を財産権の一態様として「有線、無線、電子情報ネットワーク又はなんらかのその他の技術的な手段により公衆に著作物を放送し、伝達すること。公衆が実演の場所及び時間を決めることができる方式で著作物を提供することを含む。」と定義し、これを侵害することを著作権の侵害行為として規定した(知財法第20条第1項dd項、第28条第2項)。また、実演者の権利(知財法第29条)、録音・録画製作者の権利(第30条)においてインターネットによる頒布に関連した権利を定義し、これらを侵害することを著作隣接権の侵害行為として規定している(知財法第35条)。

 ベトナムでは、著作権および著作隣接権を侵害するインターネットユーザーを取り締まる専門機関は設立されていない。したがって、行政、民事および刑事訴訟を通じて救済を受けることとなる。特にインターネットユーザーの所在を突き止めることが難しいため、これまでにベトナムでオンライン著作権侵害もしくは著作隣接権侵害を根拠として個人を相手取った訴訟が提起されたことはない。

(2) インターネットサービスプロバイダー等中間機関の責任
(a) 一次責任
 著作権および著作隣接権を侵害する個別のインターネットユーザーを特定することは困難なため、著作権所有者は、一次侵害者としてウェブサイト運営者を訴える場合が多い。

 インターネットユーザーに適用される法律規定は、オンラインで入手可能な無許可コンテンツの提供元となる個人および組織にも同様に適用される。

 具体的な規制は、共同通達第07/2012/TTLT-BTTTT-BVHTTDL号(インターネットおよび通信ネットワークにおける著作権および著作隣接権の保護に関する中間サービス業者の責任を規定する2012年6月19日付の情報通信省(Ministry of Information and Communications : MoIC)と文化スポーツ観光省(Ministry of Culture, Sports and Tourism : MoCST)の共同通達)(以下、「2012年7月共同通達」という)であり、インターネットサービスプロバイダー等の中間機関が著作権および著作隣接権の侵害を理由とする一次責任を問われる場合を2012年7月共同通達第5条第5項で以下のように規定している。

・著作権所有者の許可なしに、コンテンツを利用できるオリジナルソースになりすますこと
・著作権所有者の許可なしに、任意の方法でデジタル情報を格納するコンテンツを修正またはコピーすること
・著作権および著作隣接権を保護するために著作権所有者が使用する有効な技術的対策を故意に迂回すること
・著作権および著作隣接権を侵害して生産されたデジタル情報を二次頒布ソースとして機能すること

 これに加え2012年7月共同通達は、中間機関も管轄当局から要請された場合には、著作権および著作隣接権を侵害するデジタル情報を含むコンテンツを削除する義務を負っており、この義務を怠った場合、無許可コンテンツをオンラインで提供するオリジナルソースとみなされる、と規定している。

(b) 二次責任
 ベトナムでは、2012年7月共同通達を通じ、インターネットサービスプロバイダーおよびその他の中間機関の二次責任に係る法制度の策定の検討が開始された。この規制は、インターネットサービスプロバイダーおよびその他の中間機関が「著作権および著作隣接権の侵害行為を防止するために、インターネットと通信ネットワークの中で提供されるか、保管されるか、送信される情報の検査、監督、処理のシステムを設置する」権利を有すると規定している。またインターネットサービスプロバイダーおよびその他の中間機関は「著作権および著作隣接権についての法律の条項に反するサービスを提供することを一方的に拒絶する」権利も与えられる。ただし、これは義務ではなく、つまり中間機関は、自らがサービスを提供する個人または組織によって引き起こされる侵害については責任を負わないため、管轄機関から通知を受けた状況で自主的に対応することを期待されているということである。
 
 この点において、2022年に改正された知財法では、インターネットサービスプロバイダー等の通信事業者が著作権侵害責任を負う場合が明確に規定された(知財法第28条第8項、第35条第11項、第198b条第3項)。
 通信事業者を「電気通信ネットワーク及びインターネットに電子情報を掲載し、公衆がそのネットワークで電子情報を利用することができるように、設備およびデータ通信回線を提供する者」と定義し(知財法第198b条第1項)、通信事業者が自らのサービス提供および利用に関して、電気通信ネットワークおよびインターネット上で著作権、著作隣接権を侵害する行為について責任を免除される場合を規定し(知財法第198b条第3項))、この責任免除の条件を満たしていないか、またはその一部のみを満たしている場合を侵害行為として規定した(知財法第28条第8項、第35条第11項)。改正後の知財法第198b条第3項の規定では、著作権、著作隣接権を侵害する行為について責任を免除される場合について、以下のとおり定めている。

3. 通信事業者は、次に掲げる場合において、自らのサービス提供及び利用に関して、電気通信ネットワーク及びインターネット上で著作権、隣接権を侵害する行為について責任を免除されるものとする。
a) 電子情報の通信のみを実施し、又は一定の電子情報にアクセスするルートのみを提供する場合。
b) 情報通信中にキャッシュサーバーで情報を蓄積するにあたり、情報通信の中継及び通信の効果を向上させる目的で自動的かつ暫定的に保存する場合。また、次に掲げる条件も適用されるものとする。
i. 技術的な理由で必要とされる場合のみに情報を変更すること。
ii. 電子情報の伝達及び利用に関する法令を遵守すること。
iii. 当該業界における周知の方式での電子情報の更新に関する法令を遵守すること。
iv. 一定の電子情報の利用に関するデータを収集するために、周知かつ一般的に用いられる技術を適法に利用することは妨げられない。
v. 一定の電子情報がその送信元で削除されたこと、又は送信元から当該情報にアクセスするルートが削除されたことを認識する場合に、当該の電子情報へのアクセス権を無効にすること。
c) サービス利用者の請求によってその者の電子情報を保存する場合、その情報が著作権又は隣接権を侵害することを知らず、知って以降、遅滞なくその情報を削除したこと、又はアクセス権を無効にした場合。
d) 政府が定める他の場合。

2.著作権侵害および著作隣接権侵害に対する救済策
 注意が必要なのは、ベトナムの消費者をターゲットとしたインターネット上の侵害だけがベトナム法の適用対象になるということである。したがって、インターネット上の侵害に対する強制処分は、侵害ウェブサイトがベトナムの消費者をターゲットとしているか否かによって決まる。具体的には、ウェブサイトがベトナム語で書かれている等、ベトナムの消費者に向けて侵害コンテンツが提供されている等の場合である。

 著作権者、ライセンシーまたは著作権管理機関は知財法第198条、第199条に従い、以下のようなインターネット上の侵害に対する法的措置をとることができる。

・侵害の中止、公の謝罪および損害賠償を求める書面の通知を侵害者に送付する
・行政処分
・民事訴訟
・刑事訴訟

 現在でも、行政手続が迅速な処分のための最も一般的な方法である。MoCST傘下のベトナム著作権局は、国全体を通じて著作権および著作隣接権の管理と保護を管轄する主要行政機関である。2013年10月16日付政令第131/2013/ND-CP号(著作権および著作隣接権分野における行政制裁措置の基準となる2013年10月16日付政令第131/2013/ND-CP号、2013年12月15日に発効)において、著作権および著作隣接権の侵害に対する行政の制裁措置が規定されているが、この政令によれば、侵害の深刻さに応じてインターネットユーザーに対して警告または最高5億ベトナム・ドン(約25,000米国ドル)の罰金が科され、著作権侵害者は、最終的にインターネットから無許可の著作権コンテンツをすべて削除しなければならない。

 インターネット上の侵害に対する強制執行処分にはまだ課題が残っている。主な課題は以下の通りである。

(i) インターネット上の侵害を取り扱う有効な手続の欠如
(ii) 証拠と実際の損害を提示する著作権所有者側の負担の重さ
(iii) 執行当局が伝統的に消極的なことによる、インターネット上の侵害事件についての経験不足
(iv)侵害ウェブサイトの巧妙化

 我々の経験から、自分の身元を隠す個人によって運営されるウェブサイト、またはユーザーに登録やログインを求めることなく侵害コンテンツへのアクセスを提供するウェブサイトの存在が明らかになっている。そのために、ベトナム著作権局はますます処分を行うことに消極的になっている。

 これまでに行政当局が取り扱った事件は、ほんの数件に過ぎない。2013年に「phim47.com」、「v1vn.com」および「pub.vn」の3つのベトナム映画ストリーミングウェブサイトが、MoCSTから侵害コンテンツをすべて撤去することを強制され、警告決定を受けた(Tuoitre News「ベトナムで蔓延する映画の著作権侵害」)。それ以外には、MoCSTの傘下に設立された、登録されたベトナムの歌手および作詞作曲家を代表する協会団体であるベトナムレコード産業協会(Recording Industry Association of Vietnam : RIAV)による苦情申立も何件かなされている。

 他の事例として、ベトナムにホストコンピューターを有する、Phimmoiに関する事件がある。Phimmoiはベトナム語のストリーミングWebサイトで、米国の権利所有者が所有する多くのタイトルを含む、何千もの無許諾の映画やテレビシリーズを提供しているとされている。2019年8月に、権利所有者はサイトの運営者に対してベトナムの当局に刑事告訴を行い、当局はこのサイトの活動に対する公式調査を開始した。しかし、2020年6月、当局は、理由は不明であるが調査を中断した。権利所有者によると、ドメインphimmoi.netはその後当局によって閉鎖されたが、その取引のほとんどはphimmoizz.netに移行し、これは同じオペレーターによって運営されていると考えられている。新しいドメインは、ベトナムで最も人気のあるWebサイトの1つとなっている(米国通商代表部「模倣品と海賊版による悪意的市場に関する2020年レビュー」)。

 情報技術分野においては、著作権者は、刑事訴訟を求めてハイテク警察(High-Tech Police)に苦情を申立てることができる。ハイテク警察はその侵害が社会に深刻な影響を及ぼす恐れがある場合にのみ事件の処理を受理するとされているが、ハイテク警察は、ソフトウェアの海賊行為が疑われる会社等に対しての強制捜索を定期的に実施している。

3.まとめ
 ベトナムの知的財産保護については、以前より改善されてきたが、法整備が不十分であるというよりも法律の実施が徹底されていないために、まだ多くの課題が残っている。執行当局による処分が難しいため、著作権者は、ウェブサイト運営者に対して侵害コンテンツ撤去の自発的協力を要請する通知を送付するなど、自衛策を取ることが推奨される。
 2022年の知財法の改正によって、インターネットサービスプロバイダーへの二次責任が明確にされたが、一層の対策の強化と徹底した指導が待ち望まれている。

韓国におけるメタバース内の仮想商品の商標出願審査処理指針について

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韓国の商標法改正について

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中国における商標の譲渡(移転)の要件

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インドにおける知財侵害に係る刑事摘発(レイド)について

 「インドにおける知財侵害に係る刑事摘発(レイド)のベストプラクティスに関する調査報告書」(2021年1月、日本貿易振興機構 ニューデリー事務所(知的財産権部))

目次
第1章 調査概要(調査対象及び方法) P.1

第2章 刑事救済に係る法令・制度/警察・裁判所の役割 P.2
(模倣品・海賊版商品に関する刑事訴訟手続の概要を、関連する法令とともに解説している(フローチャートあり)。また、インドにおける警察組織の階層、治安裁判所に対する手続および期間を紹介するとともに、商標権と著作権の手続の違いについて解説している。)

2-1.刑事訴訟の手続き概要・フロー P.5
2-2.刑事訴訟における警察・裁判所の権限・役割 P.13
2-3.手続きの違い(商標権と著作権) P.17

第3章 知財侵害に係る刑事摘発の実態概要 P.22
(2018年から2020年までの期間における模倣品に対する刑事執行総数、模倣品が流通する可能性が高い9つの地域・州の分析、および警察への調査結果を紹介している。また、権利者が直面する課題と対策を解説している。)

3-1.知財侵害に係る刑事摘発が多い地域、及びその内容 P.23
3-2.警察への聞き取り調査 P.51
3-3.調査主体の違いによる影響 P.60
3-4.権利者が多く遭遇する問題・解決手段 P.62

第4章 刑事救済の活用戦略 P.65
(刑事救済活用時の戦略、オンライン調査の役割および事例、刑事訴訟におけるサイバーセル(サイバーセル対策部署)の役割と重要性、知財侵害者との交渉(司法取引、裁判外でのFIR(First Information Report:犯罪被害の情報に基づいて警察が作成する最初の報告書)の取消申立)、交渉および調停の留意点、必要な費用および時間について解説している。)

4-1.オンライン調査の役割/刑事事件におけるCyber Cellの重要性 P.67
4-2.知財侵害者との交渉 P.69
4-3.必要な費用・時間 P.73

第5章 事例研究 P.74
(侵害者が裁判所命令に従わない場合の刑事訴訟の事例、管轄権がないとの理由で警察官が身元不明者に対するFIR登録を拒否した事例、刑事摘発後、被告人に対して差止めおよび損害賠償を求める民事訴訟が提起された事例、研修後に実施された警察の自発的な刑事摘発の事例ならびに消費者がチャンディーガル市警察のサイバーセルに苦情を申立てたことを受けて刑事摘発が実施された事例の、5つの事例を紹介している。)

5-1.タバコ産業–HANS– P.74
5-2.コスメ産業–仏ブランド– P.76
5-3.服飾産業–米ブランド– P.77
5-4.日用消費財産業–米ブランド– P.79
5-5.ウェブ上の知財侵害–仏ブランド– P.80

付録–A P.82
付録–B P.109

タイにおける模倣品流通動向調査

「タイにおける模倣品流通動向調査」(2022年3月、日本貿易振興機構バンコク事務所(知的財産部))
注)圧縮版のため画像が粗くなっています。精細な画像を確認したい方は、下記【ソース】のリンクをご利用ください。

目次
第1章 目的 P.1

第2章 タイ市場における模倣品の最新実態 P.2
(タイ市場における2019年から2021年までの模倣品の状況(商標権、特許権(意匠権、小特許(実用新案)権を含む)および著作権の侵害、オンライン上での模倣品流通)に関する統計情報(裁判件数の統計情報あり)が掲載され、コロナ禍における動向について解説している。また、製品分野ごとの模倣品の状況、模倣品の流通実態を実例に挙げ、流通経路をフローチャートで説明し、さらに、タイの5か所の税関に対する聞き取り調査の結果について解説している。)

2.1 2019年調査時と比較した模倣品の事情 P.2
2.1.1 商標権、特許権(意匠特許権、小特許権を含む)、著作権の侵害の最新動向 P.9
2.1.2 オンライン(ECサイト,SNS,etc.)上での模倣品流通実態の最新動向 P.16
2.1.3 コロナ禍の前後で模倣品の流通実態が変化したか否か? P.20
2.2 製品分野ごとの模倣品の概況 P.21
2.2.1 各製品分野ごとの模倣品 P.22
2.2.2 流通経路、販売市場の場所、販売形態の最新動向 P.28
2.2.3 フィールド調査を行った模倣品販売市場の情報 P.45
2.3 模倣品の流通実態 P.82
2.3.1 模倣品の製造、組立 P.82
2.3.2 模倣品の地理的分布および流通 P.89
2.4 タイにおける税関の状況 P.95
2.4.1 ムクダハン税関(Mukdahan Customs House) P.95
2.4.2 メーサイ税関(Mae Sai Customs House) P.98
2.4.3 アランヤプラテート税関(Aranyaprathet Customs House) P.99
2.4.4 プーケット空港税関(Phuket Airport Customs House) P.101
2.4.5 プーケット税関(Phuket Customs House) P.102

第3章 模倣品の流通に影響を与える要因 P.105
(タイ人消費者の購入および消費の動向に関するアンケート調査の内容および調査結果ならびに消費者の意思決定に影響を与える4つの要因(経済的要因、価格およびプロモーション、社会的要因ならびに個人的要因)を解説している。また、アンケート調査の内容および調査結果については、添付資料として詳細な統計も掲載している。)

3.1 タイ人消費者の購入および消費の動向 P.105
3.2 消費者の消費意思決定に影響を与える要因 P.119

添付資料 タイ人消費者の侵害品についての意識に関するアンケート調査結果 P.122

引用文献 P.148

ベトナムにおける知的財産に関する下位法令等について

 「ベトナムにおける知的財産に関する下位法令等の調査」(2021年3月、日本貿易振興機構バンコク事務所(知的財産部))

1 はじめに P.1

2 内容及び範囲 P.1
(調査報告書による調査範囲が、現在有効な関連する下位法令(決議、政令、通達、ガイドラインなど)に限定されること、ならびに2009年以降の知的財産法の改定などの概要を紹介している。)

3 ベトナムの知的財産に関する下位法令等の詳細調査 P.2
3.1 ベトナムにおける法体系P.2
(ベトナムが主にCivil lawの国であること、ならびにベトナムに存在する一般的な法令の種類およびその優劣を紹介している。また、憲法を除き国際条約の規定が優先することを解説している。)

3.1.1 Civil lawの国なのか、Common lawの国なのか P.2
3.1.2 ベトナムに存在する一般的な法令の種類及び一般的な法令の優劣 P.2
3.2 知的財産に関する下位法令 P.3
3.2.1 知的財産法、その他知的財産に関連する法律等 P.3
(知的財産権が規定されている民法および知的財産法に関する基本情報、法律の公布手続(公開されているウェブサイトの情報あり)、知的財産法における知的財産権の詳細な分析および階層、ベトナムと日本の比較、法律改正の状況について紹介している。)

3.2.2 知的財産に関する下位法令 P.83
(現在有効な下位法令および廃止/期限切れの法律を表にまとめて紹介している。また、現在有効な下位法令の章および見出しを表にまとめて紹介している。)

3.2.3 オンライン上の模倣品対策に関する法律・下位法令 P.120
(オンライン上の模倣品を規定する法的枠組み、ベトナム国内法で模倣品に関する規定、オンライン上での模倣品の現状調査および分析結果、模倣品に対する救済、インターネット上で取引される模倣品を管理する法令等を紹介している。)

3.3 知的財産に関する法律・下位法令の優劣構造を示した体系図 P.154
(著作権および隣接権、工業所有権(特許、意匠、商標)および植物品種の3つについて、知的財産法と政令の関係を図と表で説明している。)

3.4 その他 P.169
(ベトナムは原則的にCivil Lawの国ではあるが、2014年人民裁判所組織法は、判例を法源として認めた。参考として、ベトナムで判例として認められている知的財産権の紛争に関する4件の重要な判決を紹介している。)

3.4.1 判決1:知的財産権の紛争に関するHo Chi Minh Cityの最高人民裁判所の、2019年1月9日付、判決No.01/2019/KDTM-PT P.169

3.4.2 判決2:著作権および脚本の譲渡契約の紛争に関するHo Chi Minh Cityの最高人民裁判所の、2018年7月18日付、判決No.29/2018/KDTM-PT P.170

3.4.3 判決3:食品添加物の模倣品の取引行為に関するLy Nhan District, Ha Nam Provinceの最高人民裁判所の、2018年6月12日付、判決No.31/2018/HS-ST P.171

3.4.4 判決4:知的財産権の紛争に関するHa Noiの最高人民裁判所の、2016年6月12日付、判決No.18/2016/KDTM-ST P.172

参考文献 P.174