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台湾における特許の早期権利化の方法

2015年03月31日

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■概要
(本記事は、2023/12/26に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/37984/

台湾において、発明特許出願を早期審査する二つの方法として、「発明特許早期審査の運用方案(AEP)」と台日特許審査ハイウェイ(PPH MOTTAINAI)について、両制度の要件や事由、その効果を紹介する。
■詳細及び留意点

【詳細】

台湾において、発明特許出願を早期審査するには、「発明特許早期審査の運用方案(AEP)」と台日特許審査ハイウェイ(PPH MOTTAINAI)の二つ方法がある。

 

(1)発明特許早期審査(AEP)制度

台湾では2010年1月1日から「発明特許早期審査の運用方案(AEP)」を正式に施行しているが、2014年1月1日からグリーンエネルギー技術に関する出願についても、早期審査申請事由に追加された。

 

AEP制度を利用できる要件として、早期審査を申請する場合は、申請の時点で出願が公開されていなければならず、公開されていない場合は、早期公開を申請する必要がある(政府料金NT$1,000)。また、早期審査申請事由として以下に示す(ⅰ)事由1、(ⅱ)事由2、(ⅲ)事由3、(ⅳ)事由4のいずれかを満たす必要がある。

 

早期審査申請事由

(ⅰ) 事由1-対応する外国出願が外国特許庁の実体審査を経て、登録査定されたもの
必要書類 外国特許庁 審査結果までの処理期間
  1. 申請書
  2. 外国特許庁が登録査定公告したクレーム(台湾語訳を含む)又は外国特許庁の登録査定通知(※1)の写し及び間もなく公告されるクレーム(台湾語訳を含む)。
  3. 外国特許庁の審査過程で出された審査意見通知書及びサーチレポート。台湾語、英語以外の場合は、台湾語の要点説明書を提出しなければならない。
  4. 上記2のクレーム台湾語訳と台湾出願で提出したクレームとの差異の説明。差異のない場合は上記1の申請書における「差異なし」の項目に印を付けること。
  5. 上記3で、対応出願が新規性又は進歩性の欠如を指摘され非特許文献が引用された場合は、その写し(特許文献の場合は、提出不要)。
  6. 早期審査の申請時、当該特許出願が公開されていない場合は、併せて早期公開を申請しなければならない。
限定されない 6ヶ月
但し実際の審査期間は、出願の属する技術領域により異なる。

注1.台湾で優先権を主張している基礎出願で、同一のパテントファミリーに属するものを「対応する外国出願」とすることができる。但し、台湾において優先権を主張していない対応出願を除外するものではなく、出願のクレームに記載されている発明が対応出願の明細書又は図面に開示されているかどうかによって判断することを原則とする。

注2.必要書類1~3は、提出必須。但し、サーチレポートが発行されていない場合は、提出しなくてよい。4~6は該当しない場合は不要。

注3.出願人が早期審査のために有利と考える場合は、以下を提出することができる。

例:
  • 外国特許庁に提出した答弁書
  • 引用文献により、対応出願が新規性又は進歩性の欠如を指摘された場合、出願人は台湾出願が特許性を有する理由を説明することができる。

注4.台湾出願において、出願人にクレームの減縮を要求する審査意見通知が出され出願人が既に減縮したときは、出願人は、補正クレームより範囲が広い登録査定された外国出願に基づいて早期審査を申請することはできない。

 

※1. 米国特許庁の「Notice of Allowance and Fees Due(PTOL-85)」、日本特許庁の「特許査定」、欧州特許庁の「Decision to Grant a European Patent」等が該当する。

 

(ⅱ) 事由2-対応する外国出願が、米国、日本、欧州特許庁の審査意見通知書及びサーチレポートの発給を受けているが、審査結果は出ていないもの
必要書類 外国特許庁 審査結果までの処理期間
  1. 申請書
  2. 米国、日本、欧州特許庁の審査意見通知書で依拠したクレーム(台湾語訳を含む)。
  3. 米国、日本、欧州特許庁が発行した審査意見通知書(※2)及びサーチレポート(※3)の写し。英語以外のものは、台湾語の要点説明書を提出しなければならない。
  4. 上記2のクレーム台湾語訳と台湾出願で提出したクレームとの差異の説明。差異のない場合は上記1の申請書における「差異なし」の項目に印を付けること。
  5. 上記3の審査意見通知書及びサーチレポートにおいて、引用文献により対応出願が新規性又は進歩性欠如を指摘されている場合は、台湾出願が特許性を有する理由を説明しなければならない。
  6. 上記5の引用文献に非特許文献が含まれている場合は、その写し (特許文献の場合は提出不要)。
  7. 早期審査の申請時、当該特許出願が公開されていない場合は、併せて早期公開を申請しなければならない。
米国、日本、欧州特許庁
6ヶ月
(クレームに差異がない場合)
9ヶ月
(クレームに差異がある場合)
但し実際の審査期間は、出願の属する技術領域により異なる。

注1.必要書類1~3は、提出必須。4~7は、該当しない場合は不要。

注2.出願人が早期審査のために有利と考える場合は、以下を提出することができる。

例:外国特許庁に提出した答弁書、第2次又はそれ以降の審査意見等

 

※2. 米国特許庁の「Non-final rejection」、日本特許庁の「拒絶理由通知書」、欧州特許庁の「Communication pursuant to Article96(2)EPC」又は「Intention to Grant」又は「Communication about Intention to Grant a European Patent」

※3. 米国特許庁、 日本特許庁又は欧州特許庁を指定するPCT出願で国際調査機関(ISA)が作成した国際調査報告(ISR)又は欧州特許庁が作成する欧州調査報告(European Search Report)

 

(ⅲ) 事由3-ビジネスの実施上、必要とするもの
必要書類 審査結果までの処理期間
  1. 申請書
  2. 申請者のビジネス実施証明文書(例:既に交渉された実施許諾契約、販売カタログ等)
  3. 政府料金NT$4,000
9ヶ月
審査意見通知書又は審査決定書を含む

 

(ⅳ) 事由4-グリーンエネルギー技術に関するもの
必要書類 審査結果までの処理期間
  1. 申請書
  2. 本願はグリーンエネルギー技術に関する発明であることの説明
  3. 政府料金NT$4,000
9ヶ月

 

注1. グリーンエネルギー技術分野の範囲は以下を含む。

  1. 省エネルギー技術、新エネルギー技術、新エネルギー自動車等に関する技術分野
  2. 二酸化炭素削減及び省資源に関する発明

 

 

(2) 台日特許審査ハイウェイ(PPH MOTTAINAI)制度

2012年5月から、台湾と日本との間で特許審査ハイウェイの試行プログラムを実施し、2014 年5月1日から更に3年間の継続及び新スキーム(PPH MOTTAINAI)を導入しました。

 

PPH MOTTAINAI制度を利用できる要件として、日本特許庁(JPO)が審査を経て日本の優先権基礎出願の少なくとも1項以上の請求項を特許可能と認めれば、出願人はそれに基づき台湾の対応出願について早期審査を申請できる。但し、JPOの特許査定を取得した出願人が台湾で早期審査する場合、台湾の特許請求範囲は JPOが特許査定した特許請求範囲と完全に同一に又は減縮するよう補正しなければならない。

必要書類
  1. 申請書
  2. JPO発行の日本優先権基礎出願の各オフィスアクション(OA)、特許可能の特許請求範囲及びその翻訳本。(但し、日本の特許請求範囲がJPO AIPNから取得することができれば、提出不要です。)
  3. 台湾と日本の優先権基礎出願との特許請求範囲の比較表
  4. JPOでの審査時に引用された非特許文献
  5. 政府料金-無料(但し、若し台湾出願が未だ公開されていない場合、早期公開申請の政府料金NT$1,000を納付する必要がある。)

 

 

(3)AEP/PPH申請の効果

2013年の統計資料によると、外国出願人がAEPを利用した件数は902件で、事由(1)が670件、事由(2)が26件、事由(3)が206件である。同年の統計によれば、AEPを利用する場合、第1回目審査意見(査定)書発行までの平均日数は以下の通りであり、AEPは早期審査に有効であると考えられる。

 

  • 事由(1) 73.7日
  • 事由(2) 79.5日
  • 事由(3) 141.8日

 

一方、台湾において台日PPHを利用した場合の平均査定率は94%、第1回OA発行までの平均期間もわずか1.77ヶ月で、PPHを利用した早期審査は非常に有効な手段と考えられる。

 

2012年7月~2013年12月台日PPH審査情報統計
PPH利用全特許出願案件
平均特許査定率 94% 60%
第1回OA発行までの平均期間 (月) 1.77ヶ月 32.59ヶ月
審査終結までの平均期間(月) 3.6ヶ月 41.33ヶ月
■本文書の作成者

聯合專利商標事務所


■協力

日本技術貿易株式会社 IP総研


■本文書の作成時期

2014.12.11

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