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インドネシアにおける知財訴訟関連の統計情報
2022年01月18日
■概要
インドネシアにおける知的財産訴訟に関する統計情報は、公式には提供されていない。ただし、インドネシア最高裁判所ウェブサイト(https://putusan3.mahkamahagung.go.id/)において、判決等を検索する際に該当件数が表示されるため、この件数を元に知的財産訴訟の状況を把握することができる。■詳細及び留意点
インドネシアの知的財産訴訟について、インドネシア最高裁判所のウェブサイトで閲覧することができる。以下に、インドネシア最高裁判所ウェブサイトにおいて、知的財産訴訟の統計情報を取得する方法を紹介する。
- インドネシア最高裁判所ウェブサイトの閲覧方法
ウェブサイトはインドネシア語のみで提供されている。提供されている判決内容はインドネシア語であり、pdf形式で入手できる。
ウェブサイトを閲覧して、情報を入手する手順を説明する。
(1) 最高裁判所ウェブサイト(https://putusan3.mahkamahagung.go.id)にアクセスし、ホーム画面(図1)の上部にある「Direktori(ディレクトリ)」をクリックする。
図1 インドネシア最高裁判所ウェブサイト、ホーム画面
(2) 図2に示す、ディレクトリ・メニューが表示される。知的財産民事訴訟の場合は「Perdata Khusus(特別民事)」を、知的財産刑事訴訟の場合は「Pidana Khusus(特別刑事)」をクリックする。
図2 ディレクトリ選択画面
Perdata Khusus(特別民事)判決の場合
(3) ディレクトリ選択画面で「Perdata Khusus(特別民事)」をクリックし、下方にスクロールすると図3に示す、「klasifikasi(分類)」が現れる。知的財産に関する特別民事訴訟は「Merek(商標)」、「Hak Cipta(著作権)」、「Desain Industri(意匠)」、「Paten(特許)」である。各項目の横に表示される数字は、各ケースの件数を表している。
図3 「Perdata Khusus(特別民事)」分類表示、選択画面
この画面から、年ごとの知的財産判決の数を調べることができる。例えば、「Merek(商標)」をクリックして商標判決に絞り込み、年ごとの判決数を調べることができる。
(4) 「Merek(商標)」をクリックして、画面を下にスクロールすると、「Tahun(年)」が表示される。各年の横の数字は、年ごとの判決数を示している。例えば2020年をクリックすると、2020年の月ごとの判決数が示される。
図4 2020年の「Merek(商標)」判決画面
ここで、「Tahun(年)」の下にある分類はPutus:裁定済、Register:登録済、Upload:ファイルのアップロード済(閲覧可)の意味であり、それぞれの件数が表示されている。
(5) 「Hak Cipta(著作権)」、「Desain Industri(意匠)」、「Paten(特許)」について調べるときは、図3の画面からそれぞれをクリックし、同様の操作を繰り返す。
Pidana Khusus(特別刑事)判決の場合
(6) 図2のディレクトリ選択画面で「Pidana Khusus(特別刑事)」を選択し、画面を下方にスクロールすると「klasifikasi(分類)」の項目に「Kejahatan Merek(商標刑事判決)」、「Kejahatan Hak Cipta(著作権刑事判決)」、「Rahasia Dagang(営業秘密)」が見られる。各分類の横の数字はそれぞれの件数である。
図5 「Pidana Khusus(特別刑事)」分類表示、選択画面
この画面から、年ごとの知的財産判決の数を調べることができる。例えば、「Rahasia Dagang(営業秘密)」をクリックして営業秘密に関する判決に絞り込み、年ごとの判決数を調べることができる。
(7) 「Rahasia Dagang(営業秘密)」をクリックし、画面を下方にスクロールすると「Tahun(年)」が表示される。各年の横の数字は、年ごとの判決数を示している。
図6 年ごとの「Rahasia Dagang(営業秘密)」関連の判決数
(8) 「Kejahatan Merek(商標刑事判決)」、「Kejahatan Hak Cipta(著作権刑事判決)」について調べるときは、図5の画面からそれぞれをクリックする。
備考:
- 「pengadilan(裁判所)」
ディレクトリ・メニューには「pengadilan(裁判所)」が表示される。インドネシアには、1999年のインドネシア共和国の大統領規則第97号に基づいて、下記に示す知的財産事件を特別に処理する5つの商事裁判所がある。
(1) 「PNジャカルタプサット」(中央ジャカルタ商事裁判所)
(2) 「PNスラバヤ」(スラバヤ商事裁判所)
(3) 「PNスマラン」(スマラン商事裁判所)
(4) 「PNメダン」(メダン商事裁判所)
(5) 「PNマカッサル」(マカッサル商事裁判所)
2016年11月25日に商標法第20/2016号、2016年8月26日に特許法第13/2016号が制定されて以降、外国企業が関与する商標および特許訴訟は、中央ジャカルタ商事裁判所によって審理されるが、新商標法の制定前は、被告の居住地を管轄する商事裁判所が当該事件を審理していた。
図7 ディレクトリ選択画面に表示される商事裁判所
- 上記方法を元に調べた判決件数をグラフ化した例(サイト上では提供されていない)
インドネシア最高裁判所ウェブサイトで提供される判決件数について、年ごと、知的財産分類ごとにグラフ化した例を示す。
図8 「Perdata Khusus(特別民事)件数の推移
図9 「Pidana Khusus(特別刑事)」件数の推移
■ソース
・インドネシア最高裁判所https://putusan3.mahkamahagung.go.id
■本文書の作成者
Acemark IP, Indonesia■協力
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2021.10.05