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香港における知財訴訟関連の統計情報のアクセス方法

2020年09月29日

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■概要
香港司法機構ウェブサイト(https://www.judiciary.hk/en/home/index.html)の「年報/環境保護報告」の項目において、香港の各レベルの法院の案件数、結審件数、および法院待ち時間を調べることができるが、該統計データは知識産権(知的財産権)に関する案件を個別に集計していない。香港政府の他の知識産権関連ウェブサイト、例えば、知識産権署(https://www.ipd.gov.hk/sc/home.htm)などには、知的財産権訴訟に関する統計データは記載されていない。ただし香港司法機構のウェブサイトには、高等法院原訴訟法廷が2019年5月6日から知的財産権の案件リストの作成を開始するという情報が掲載されている。本稿では、香港における司法事件全般の統計情報へのアクセス方法を解説する。
■詳細及び留意点
  1. 香港の知的財産権の保護体制

 香港の知的財産権保護は、主として行政機関と法律執行機関で実施されている。

 行政機関には、主として知識産権署、漁農自然護理署などが含まれる。知識産権署は、商標登録、特許登録、意匠登録を扱っている。漁農自然護理署は、植物新品種の登録を扱っている。

 法律執行機関には、主として香港税関、香港警務処、律政司、および法院が含まれる。

 香港税関は、主として著作権および商標権を侵害する行為に対して刑事的な制裁を加える。権利者、公衆は、何れも著作権、商標権を侵害する嫌疑のある刑事犯罪行為を税関に告発することができる。税関は、権利侵害行為を調査し、権利侵害者の逮捕、偽物・海賊版の貨物の差し押さえ、商標権または著作権の権利侵害行為に対する告発・告訴を受けて捜査を開始することができる。

 香港警務処は、職務を履行する際に発見された権利侵害の嫌疑のある行為に対して、嫌疑のある権利侵害者の逮捕、および権利侵害の貨物の差し押さえをすることができる。その後、香港警務処は案件の処理を香港税関に移管する。

 律政司は、深刻な知識産権の刑事案件に対して税関の代わりに権利侵害者に対する公訴を提起する。

 法院は、知的財産権に関する刑事事件および民事事件の裁決を扱っている。

 

2.香港司法機構の年報

 香港には、知的財産権に関する刑事訴訟および民事訴訟を扱う法院が複数ある。例えば、裁判法院、少年法廷、地方法院、および高等法院である。

 しかし、2019年5月までは、香港には知的財産権に関する訴訟制度について特別な制度、例えば、専門の法院または専門の尋問手続などがなかった。知的財産権に関する訴訟は、一般的な訴訟手続の形式にて提起されなければならなかった。

 香港において知的財産権に関する訴訟について専門の法院または特別な制度が設置されていないため、香港の司法機構により知的財産権案件についての専門の統計が行われていないと考えられる。

 香港司法機構のウェブサイトは(https://www.judiciary.hk/en/home/index.html)、中国語繁体字版、中国語簡体字版、および英語版がある。以下、英語版のウェブサイトを例にして説明する。

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図1 香港司法機構ウェブサイト

 

(1)図1の画面左メニュー欄の「Publications」のドロップダウンリスト「Annual Report/Environmental Report」をクリックすると、図2の画面に2000年以後の各年度の年報が表示される。

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図2 Annual Report/Environmental Reportページの表示

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図3 2018年度年報の表紙ページ

 

(2)図3の画面の「Enter」をクリックすると、2018年度の年報の具体的な内容が表示される。

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図4 2018年の年報の具体的な内容

(3)図4の画面の左側には年報の目次が列挙される。「Caseload, Case Disposal and Waiting Time at Different Court Levels」をクリックすると、各レベルの法院のリストが表示される。

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図5

Caseload, Case Disposal and Waiting Time at Different Court Levelsの具体的な表示内容

 

(4)図5に示す法院リストにおいて「High Court」をクリックすると、高等法院の案件数、結審数(図6、図7)、および法院待ち時間(図8)などの統計情報が表示される。

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図6 高等法院の案件数および結審数‐上訴法院

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図7 高等法院の案件数および結審数‐原訴訟法院

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図8 高等法院案件平均待ち時間

 

 ただし、図6から図8に示す統計情報では、民事の部分(Civil)に知的財産権に関する詳細は記載されていない。つまり、図6および図7の画面に掲載された高等法院の案件数および結審数から、知的財産権訴訟に関する案件数を判断することはできない。したがって、司法機構ウェブサイトの年報から知的財産権に関する訴訟の統計情報を入手することはできない。

 

3.他のウェブサイト

 知識産権署などの香港の知的財産権に関するウェブサイト上に、知的財産権に関する訴訟の統計情報は存在しない。また、インターネット検索においても、中国大陸の知識産権保護白書に類似した訴訟に関連する統計情報が掲載されたウェブサイトは存在しないようである。

 

4.高等法院原訴訟法廷が知的財産権の案件リストを作成することについて

 香港司法機構のウェブサイトには、高等法院原訴訟法廷が2019年5月6日から知的財産権の案件リストの作成を開始するという情報が掲載されている(図9)。当該知的財産権の案件リストの作成により、知的財産権案件の管理が容易になり、知的財産権紛争の解決にかかる費用および時間を減ることが期待されている。

 上記事情により、今後の司法年報において知的財産権に関する案件が単独で集計される可能性がある。

 

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図9 知的財産権案件リストに関するニュース

5.留意点

 2019年11月時点で、香港の知的財産権訴訟に関する公式な統計情報はない。

■ソース
香港司法機構のウェブサイト
https://www.judiciary.hk/en/home/index.html
■本文書の作成者
北京銀龍知識産権代理有限公司
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2019.11.14
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