アジア / 統計
インドにおける意匠出願の係属状況に関する統計
2018年05月31日
■概要
インドにおける意匠登録出願および登録意匠に関する統計について説明する。■詳細及び留意点
1.インドにおける過去10年間の出願件数
インドにおける2015年度から過去10年間の出願件数の推移が図1に示されている。図1は、インド国内出願人および外国出願人の総出願数に占める各割合をあわせて示す。
図1 2006年度‐2015年度の出願件数
(青:インド国内出願人による出願件数、赤:外国出願人からの出願件数、緑:出願総数)
図1に示されるように、直近の5年間では、外国出願人による出願が伸び悩み、およそ3000件前後で推移しているのに対して、インド国内出願人による出願は急増している。
以下に示す図2は、最新の年度である2015年度中(2015年4月1日から2016年3月31日までの期間)の意匠登録出願について、出願人の国籍別の内訳を示す。図3が示すように、外国出願人の中で件数が最も多い国籍はアメリカ合衆国であり、韓国と日本がアメリカ合衆国に続く。
図2 出願人の国籍別の2015年度の出願件数
インド国内出願人および外国出願人が2015年度に行った意匠登録出願をロカルノ意匠分類に従って分析すると、図3に示されるように、インド国内出願人による意匠登録出願は、一般に、衣料品、家具、宝飾、又は台所用品等といった分野の分類に多く含まれる。また、図3には、インドで活況を呈する自動車産業を示す第12類の出願も多い。
図3 ロカルノ意匠分類別の2015年度の出願件数
2.審査された出願および登録された意匠の件数
インドの意匠登録出願の審査制度によれば、出願人は審査請求を行う必要はなく、意匠登録出願は自動的に審査にされる。通常は、出願日から6か月の期間内に意匠登録出願を登録できる状態にしなければならないとする規定がある。なお、この期間はさらに3か月の延長が認められる。一方、登録できる状態となった後、意匠の登録期限については特に定めはない。このため、出願の審査は迅速に行われる(インドにおける出願日から1か月未満)一方、登録証の発行は迅速には行われない。図4には、2015年から過去10年間の出願件数、並びに、審査、登録及び取り下げされた各件数の推移が示される。
図4 2006年‐2015年度の出願件数、審査、登録及び取り下げされた各件数
(青:出願件数、赤:審査された件数、緑:登録された件数、紫:取り下げとなった件数)
図5に、2015年度から過去10年間のインドでの登録意匠に関するデータに基づいて、意匠権者がインド国内出願人の件と外国出願人の件とに分けて示す。インド国内出願人による出願数が外国出願人による出願数よりも遙かに多いことを鑑みれば、図5は、インド国内出願人による場合よりも外国出願人による場合の方が出願に対する登録の割合が高いといえる。
図5 2006年度‐2015年度の登録意匠数
(青:インド国内出願人による登録意匠、赤:外国出願人による登録意匠、緑:登録意匠総数)
3.意匠登録の取消に関する統計
2015年度には、意匠登録の取消申請が80件提出されている。当該取消申請に関して同年度に発行された決定は56件であり、そのうち請求が認められた(意匠登録が取り消された)件は15件、請求が棄却された(意匠登録が維持された)件は41件であった。
■ソース
インド特許意匠商標総局の年次報告書(Patent Office Annual Reports)■本文書の作成者
De Penning & De Penning■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2018.01.19