アジア / 統計
マレーシアにおける意匠出願に関する統計
2018年05月08日
■概要
過去10年間のマレーシアにおける意匠出願件数および意匠登録件数の推移や2016年にける意匠出願件数および意匠登録件数の出願人の国別の内訳、意匠分類の内訳について分析する。■詳細及び留意点
図1は、マレーシア知的財産公社(以下、「MyIPO」という)における2006年から2017年8月までのマレーシア国内出願人および外国出願人による意匠出願件数の推移および意匠登録件数の推移を示している。
図1 2006年から2017年8月までの意匠出願件数の推移および意匠登録件数の推移(出典:MyIPO Statistical Booklet 2015, 2016)
図1は、2007‐2009年にマレーシア国内出願人による意匠出願および外国からの意匠出願が減少傾向にあったことを示している。2010‐2013年の4年間はわずかに増加したが、その後、減少傾向が続いている。なお、図は、2017年8月までに提出された出願件数を示しているが、この数から判断して、2017年末までの出願数もやはり減少傾向が続くと予測できる。
2016年の意匠出願の合計は1630件で、そのうち57%の出願人が外国人であり、残りの43%がマレーシア国内出願人であった。マレーシア国内出願人の意匠出願は前年に比べ11.8%増加している一方、外国からの意匠出願は前年に比べ18.1%減少した。
意匠分類別では、提出された意匠出願1630件のうち、最も多かったのがロカルノ分類第12類(輸送または昇降の手段)の220件で、次が第23類(液体供給機器、衛生用、暖房用、換気用および空調用機器、固体燃料)の204件であった。第12類における出願の大半は日本からの出願であった。マレーシア国内出願人の出願が最も多かったのはロカルノ第23類の96件で、合計701件のうち13.7%を占めていた。マレーシア国内出願人による出願が2番目に多かったのは、第2類の衣料品および裁縫用小物で、88件(12.6%)であった。2016年に第4類、第16類、第17類、第18類および第31類におけるマレーシア国内出願人による出願はなかった。
図2は、2006年から2017年8月までの意匠出願件数および意匠登録件数の推移である。
図2 2006年から2017年8月までの意匠出願件数の推移および意匠登録件数の推移(出典:MyIPO Statistical Booklet 2015, 2016)
2007年から2017年8月までの各年の意匠登録数は変動があり、2015年の意匠登録は1301件にまで落ち込んだ。これは2014年の意匠登録の合計数1891件から31.2%も減少している。2015年および2016年の意匠登録の減少の原因は、マレーシアにおける意匠出願の大半を占めている外国から意匠出願が減少したことにある。過去10年において外国人の出願が意匠出願全体に占める比率は60%以上であったが、2010年と2011年はそれぞれ53%と56%に留まった。しかし、2014年には外国人出願比率は72%に増えている。2016年には、意匠出願の減少にもかかわらず、この期間の意匠登録は増加した結果、登録件数が出願件数を上回った。
表1は2016年の外国からのマレーシア意匠出願の出願人国別ランキング(上位10ヶ国)を示している。2016年における外国からの意匠出願のうち日本が一番多く、19.1%を占めており、次が米国の10.4%であった。
表1: 外国からのマレーシア意匠出願の出願人国別ランキング(2016年 上位10ヶ国)
(出典:MyIPO Statistical Booklet 2015, 2016)
意匠分類別では、第12類(輸送または昇降の手段)および第9類(物品の輸送又は荷扱いのための包装用容器及び容器)の意匠登録が最も多く、それぞれ233件および194件であった。第12類の登録を取得したのは、意匠出願の場合と同様、ほとんどが日本からの出願であった。マレーシア国内出願人の意匠出願と米国からの意匠出願では最も多く登録を取得したのは、第9類の意匠であった。
MyIPOは、過去10年間における出願日から登録までの期間に関する統計データ、さらに審判請求の所要期間に関する統計データを公開していないが、出願から登録までに要する期間は、出願時に全ての方式要件および新規性要件が満たされている場合、通常1年未満である。拒絶理由が出された場合、出願人は2か月以内に要件を満たさなければならず、その応答に要する期間の分だけ、登録までに要する期間は長くなる。
■ソース
MyIPO Statistical Booklet 2016MyIPO Statistical Booklet 2015
http://www.myipo.gov.my/en/statistic-application-registration/#toggle-id-1
■本文書の作成者
Shook Lin & Bok (マレーシア法律事務所)■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2017.12.25