アジア / 統計
フィリピンにおける意匠出願の係属状況に関する統計
2018年04月17日
■概要
フィリピンにおける意匠登録出願および登録意匠に関する統計について説明する。■詳細及び留意点
フィリピン知的財産庁(IPOPHL)は、1998年から2017年の第3四半期までの意匠に関する知的財産統計を発表した。この統計には、出願年別の意匠登録出願件数、登録年別の意匠登録件数、出願件数が多い出願人別の意匠登録出願件数、出願人の国籍別に出願件数が多い国毎の意匠登録出願件数に関連するデータが含まれている。以下の表1は、1998年から2017年の過去10年間にIPOPHLに提出された意匠登録出願の年別の件数を示す。
表1:過去10年間(2007年から2017年)の年別の意匠登録出願件数
*第3四半期までの件数
上の表1の中で、国外居住者による出願とはフィリピンに居住していない出願人による意匠登録出願を指しており、国内居住者による出願とはフィリピンに居住している出願人による意匠登録出願を指している。
2007年から2017年の過去10年間にIPOPHLに出願された意匠登録出願の各年の平均件数はおよそ1,125件である。特許出願の場合、国外居住者がフィリピンに大量の特許出願を行っているが、意匠登録出願の場合はそれと異なり、平均で見ると意匠登録出願の総件数のうち半分以上が国内居住者による出願である。たとえば2016年の場合、合計1,489件の意匠登録出願のうち969件(およそ65%)が国内居住者による出願であり、国外居住者による出願は520件(およそ35%)に過ぎない。
2016年にIPOPHLに出願された意匠登録出願の出願人の国籍として上位を占める国はフィリピン、日本、アメリカ合衆国である。以下の表2は、出願人の国籍別に2016年の出願件数上位10位までの国毎の意匠登録出願件数を示したものである。
表2:2016年の出願件数上位10位の国別の意匠登録出願件数
さらに、下の表3は、2016年の出願件数上位10位までの出願人毎の意匠登録出願件数を示したものである。
表3:2016年の出願件数上位10位の出願人別の意匠登録出願件数
2007年から2017年の過去10年間にIPOPHLに出願された意匠登録出願の各年の平均件数はおよそ1,125件であるが、同過去10年間に登録された意匠の各年の平均件数はおよそ1,020件である。以下の表4は、2007年から2017年の過去10年間に登録された意匠の年別の件数を示す。
表4:過去10年間(2007年から2017年)に登録された意匠の年別の件数
IPOPHLは意匠に関して迅速な登録手続を採用している。公開手数料を含む意匠登録出願に関する所定の手数料が全額支払われ、意匠登録出願に関する規則に定められた形式的要件をすべて満たしていれば、その出願に係る意匠は実体審査なしに登録される。したがって、意匠登録出願に関して審査請求する必要はない。
フィリピンにおける意匠登録出願の係属期間に関してIPOPHLは情報を開示していないが、およそ8か月から12か月程度であることが一般的である。
また、最初の拒絶理由通知(方式審査報告書)が発行される場合は、出願から6~8か月後に発行されることが一般的である。ただし、以下に示す形式的要件をすべて満たす意匠登録出願の書類を提出することによって拒絶理由通知の発行は避けられる。すなわち、提出すべき書類は以下のものを含む。
- 意匠登録出願の願書
- 明細書および請求項
- 出願される意匠を様々な視点から示した正式な図面(透視図、正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図など(表面に陰影を施したもの))
- 委任状原本
- 条約に基づく優先権主張がなされる場合には、当該出願に対応する外国出願の願書原本の真正な認証済みコピーにその英語訳を添えたもの
出願時に形式的要件がすべて満たされている場合、IPOPHLの審査官は当該意匠登録出願の公開および登録の手続へ直接進めることができる。早期の登録のためには、出願時に形式的要件をすべて満たした意匠登録出願の書類を提出することが望ましい。
■ソース
フィリピン知的財産庁の公式ウェブサイトhttp://ipophil.gov.ph/ フィリピン知的財産庁が提供する知財統計-工業意匠
http://122.49.208.245/ipophlweb102817/transparency/statistics/industrial-design
■本文書の作成者
FEDERIS & ASSOCIATES LAW OFFICE■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2018.01.26