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韓国において「位置商標」を認めた判例

2015年03月31日

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■概要
韓国大法院は、「記号ㆍ文字ㆍ図形それぞれまたはその結合が一定の形状や模様をなし、この一定の形状や模様が指定商品の特定位置に付着することによって自他商品を識別することになる標章」も商標の一つとして認められるとし、このような標章を「位置商標」とする判決を下した。位置商標出願時には登録を受けようとする対象部分が物品の全体形状とは区別されるように図示し、位置商標に該当しない物品の他の部分は破線で図示することが望ましい。
■詳細及び留意点

【詳細】

 2006年、WIPO商標に関する常設委員会(Standing Committee on the Law of Trademarks, Industrial Designs and Geographical Indications :SCT)において、立体、色彩、ホログラム、位置、音、匂い等が「新たな類型の商標」として保護を受けるための論議が始まった。この論議を基に、韓国では商標法改正を通じて立体商標、色彩のみからなる商標、ホログラム商標、動きの商標、音および匂いの商標を導入し、韓国大法院は、全合議体判決を通じて、位置商標についても認める判断を下した。

 

(1)韓国商標法上認められる「商標」

 韓国商標法第2条第1項第1号によると、「商標」とは以下のいずれかに該当するものをいう。

 (i)記号・文字・図形、立体的形状またはこれらを結合するか、これらに色彩を結合したもの

 (ii)他のものと結合しない色彩または色彩の組み合わせ、ホログラム、動きまたはその他視覚的に認識できるもの

 (iii)音・匂い等視覚的に認識できないもののうち記号・文字・図形またはその他の視覚的な方法で事実的に表現したもの

 

(2)「位置商標」を認めた韓国判例の要旨

 韓国大法院は、「記号ㆍ文字ㆍ図形それぞれまたはその結合が一定の形状や模様をなし、この一定の形状や模様が指定商品の特定位置に付着することによって自他商品を識別することになる標章」も商標の一つとして認められるとし、このような標章を「位置商標」とするとした。すなわち、商標の定義規定から位置商標の概念を導出し、その許容根拠として提示した。

 

 商標法上の商標の定義規定は、1949年11月28日付法律第71号で制定された商標法第1条第1項から対象判決の出願商標に適用される旧商標法(2011年12月2日付法律第11113号により改正前の商標法)第2条第1項第1号に至るまで何度も改正されてきた。しかし、「自己の商品を他人の商品と識別されるようにするために用いる記号ㆍ文字ㆍ図形またはその結合」を商標と見る、という趣旨は共通して含まれている。このような商標の定義規定は、記号ㆍ文字ㆍ図形またはその結合を用いて視覚的に認識できるように構成する全ての形態の標章を商標の範囲に包含しており、これを判決の具体的根拠としている。

 

 また、大法院は、位置商標はたとえ一定の形状や模様等がそれ自体では識別力を有していなくても、指定商品の特定位置に付着して用いられることにより、当該商品に対する大多数の取引者および需要者に特定人の商品を表示するものと認識されるに至った場合、使用による識別力を取得したものと認められ商標として登録することができるとした。すなわち、識別力がない位置商標も使用による識別力の取得により商標登録が可能であることを明確にした。

大法院の判決で認められた位置商標

大法院の判決で認められた位置商標

 

【留意事項】

(1)本判決では、対象物品の全体形状を破線で図示して、そのうち保護を受けようとする位置商標部分は実線(太線)で確然と区分して表示しているという点で、点線部分は標章自体の外形をなす図形でないと見て識別力判断の対象から除外された。

 

(2)したがって、位置商標出願時には登録を受けようとする対象部分が物品の全体形状とは区別されるように図示し、位置商標に該当しない物品の他の部分は破線で図示することが望ましいと考えられる。

■ソース
・韓国商標法
・韓国商標審査基準
・韓国大法院2012年12月20日付宣告第2010HU2339号 全員合議体判決
http://glaw.scourt.go.kr/wsjo/panre/sjo100.do?contId=2061863&q=2010%ED%9B%842339&nq=&w=panre§ion=panre_tot&subw=&subsection=&subId=1&csq=&groups=6,7,5,9&category=&outmax=1&msort=s:6:0,d:1:1,p:2:0&onlycount=&sp=&d1=&d2=&d3=&d4=&d5=&pg=1&p1=&p2=&p3=&p4=&p5=&p6=&p7=&p8=&p9=&p10=&p11=&p12=&sysCd=WSJO&tabGbnCd=&saNo=&joNo=&lawNm=&hanjaYn=N&userSrchHistNo=&poption=&srch=&range=&tabId=&save=Y&bubNm=
■本文書の作成者
河合同特許法律事務所
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.01.16

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