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(台湾)請求項に係る発明の解釈と明細書との関係
2013年07月16日
■概要
請求項に用いられる語彙の解釈に疑義が生じた場合は、明細書及び図面を参考にして、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が理解・認定できる意味合いを求めるべきである。明細書及び図面に該語彙について明確な定義又は記載があり、その発明の属する分野における通常の知識を有する者が理解でき、疑義が生じないものである場合、該請求項はサポート要件を満たすものとみなされる。■詳細及び留意点
【詳細】
智慧財産法院100年民専上字第21号案において、被上訴人は、請求項で定義した「アレンドロン酸活性成分の重量で計算する」と、係争特許明細書の実施例の記載とが対応していないため請求項の記載が明確でない、又は請求項に係る発明は明細書にサポートされていないおそれがあると主張した。しかしながら、法院は、係争特許明細書において「酸活性の重量を基礎とし、ビスフォスフォネートの特定重量又は百分率で示される」と明確に定義されているため、明確でない又はサポートされていないおそれがないと認定した。
参考(智慧財産法院民事判決の判決理由より抜粋):
發明專利權範圍以說明書所載之申請專利範圍為準,在申請專利範圍未記載之元件或限制條件,即非專利權範圍,是以,原則上應以每一請求項中所記載之文字意義及該文字在相關技術中通常總括的範圍予以認定,將據以主張權利之該項申請專利範圍文字,原原本本地列述(recite),不可讀入(read into)詳細說明書或摘要之內容,…。僅於對申請專利範圍中之記載有疑義(如有含混或未臻明確之用語)而需要解讀時,始應一併審酌發明說明、圖式,以求其所屬技術領域中具有通常知識者得以理解及認定之意涵。…就系爭專利申請專利範圍更正本第1項之「以亞倫多酸活性成份重量計」之一般文義解釋,通常指計算重量之基礎為亞倫多酸活性成份,亦即亞倫多酸本身…,而非亞倫多酸鹽。另系爭專利說明書中【本發明之方法】首次出現本發明化合物之重量的敘述,係第21頁第19行至第22頁第2 行所述「……因為目前命名混亂,所以非經特別說明,本發明之化合物以酸活性的重量為基礎,用雙膦酸鹽之特定重量或百分比表示。…由於系爭專利申請專利範圍更正本第1 項之文字已明確指出「以亞倫多酸活性成份重量計」,且系爭專利說明書多處提及亞倫多酸鹽化合物之劑量,並以括號加註「以亞倫多酸活性成份重量計」,而此種定義方式則與系爭專利說明書實施例8之重量計算方式相符,已於前第3.項所述。故被上訴人此部分抗辯,要無足取。
(日本語訳「特許権の範囲は明細書に記載された特許請求の範囲を基準とし、特許請求の範囲に記載されていない構成要素又は制限条件は特許権の範囲ではない。このため、原則として、各請求項に記載されている文字の意義及び関連技術における、該文字に通常含まれる範囲に基づいて認定すべきであり、権利主張の根拠となる特許請求の範囲の文字を逐字的に説明し(recite)、明細書又は要約の内容を読み込ん(read into)ではならない…。特許請求の範囲における記載に疑義(例えばあいまいな用語や明確でない用語)があって解釈する必要があるときにのみ、明細書や図面を参考にして、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者の理解及び認定できる意味合いを求める。…係争特許の訂正後の請求項1の「アレンドロン酸活性成分の重量で計算する」に対する一般的な文言解釈とは、通常、アレンドロン酸活性成分、すなわち、アレンドロン酸自身に基づいて重量を計算することを指す…。また、明細書において、【本発明の方法】に本発明の化合物の重量の記載が初めて現われるのは第21頁第19行ないし第22頁第2行の「……現在命名が混乱しているため、特別な説明がない限り,本発明の化合物は酸活性の重量を基礎とし、ビスフォスフォネートの特定の重量又は百分率で表す。」であり、…係争特許の訂正後の請求項1の文字が「アレンドロン酸活性成分の重量で計算する」を明確に指しており、かつ係争特許の明細書においてアレンドロネート化合物の使用分量が多くの箇所で言及され、括弧で「アレンドロン酸活性成分の重量で計算する」を囲い、このような定義方式は係争特許の明細書の実施例8の重量の計算方式に符合し、前の第3.項に述べられているため、被上訴人のこれについての主張は採用できない。」)
【留意事項】
請求項の記載が明細書に開示・サポートされているかを検討する際に、明細書の開示程度を確認するほか、該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明細書の開示内容に基づいて請求項に記載されている発明が得られるかどうかを十分に考慮する必要がある。
■ソース
・智慧財産法院100年民専上字第21号民事判決■本文書の作成者
知崇国際特許事務所 弁理士 松本征二■協力
萬國法律事務所 鍾文岳一般社団法人 日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2013.01.07