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(台湾)特許請求の範囲が明細書によってサポートされていないとの主張が認められなかった事例

2013年05月30日

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■概要
原告は、請求項に記載されたパラメータの範囲について、実施例には二組の特定値のみが開示されているに過ぎないため、請求項の範囲は広すぎる旨主張したが、請求項に係る技術内容は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明細書における好ましい実施例の開示に基づいて、ルーチンの実験で過度な実験を必要とせずに該パラメータの限定範囲にまで拡張できるとされ、該主張は認められなかった。
■詳細及び留意点

 無効審判請求人は、請求項1、3、6、8の請求の範囲が広すぎるため、前記請求項に係る発明は、明細書によって支持されないと主張し、その理由として、明細書には2つの実施例が記載され、上記した各パラメータ範囲に含まれる数値としては2組の特定値のみが開示されているに過ぎないと主張した。しかしながら、智慧財産局は、実施例は例示的なもので、請求項に係る技術内容は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明細書における好ましい実施例の開示に基づいて、ルーチンの実験で過度な実験を必要とせずに該パラメータの限定範囲にまで拡張できると認定し、無効審判請求人の主張を却下した。

 

参考(専利公報の記載理由より抜粋):

 

有關系爭專利請求項是否有「範圍」過大,導致申請專利範圍缺少說明書支持之情事?經查舉發理由謂系爭專利請求項1要求0.06<WD×NA/L<0.23;請求項3要求0.1<OD×NA/L<0.4;請求項6要求0.04<T/L<0.16;請求項8要求0.28<ED×NA/MD<0.6」等參數範圍;惟系爭專利僅有二實施例,對於上述各參數範圍,僅揭露兩組特定值,系爭專利無法為說明書支持云云。惟查實施例屬例示性質,只要該發明所屬技術領域中具有通常知識者基於發明說明所揭露之內容,利用例行之實驗或分析方法即可延伸者,或對於發明說明所揭露之內容僅作明顯之修飾即能獲致者,均應認定為發明說明所支持之範圍。故系爭專利技術內容為所屬技術領域中具有通常知識者可依說明書中較佳實施例之揭示,利用例行性之實驗,而無需過度實驗,延伸於該參數之限制範圍,尚難謂系爭專利有「範圍」過大,導致申請專利範圍缺少說明書支持之情事。

 

(日本語訳「請求項の範囲が広すぎるため、請求項に係る発明が明細書によって支持されていない理由について、無効審判請求書おいて、請求項1には「0.06<WD×NA/L<0.23」、請求項3には「0.1<OD×NA/L<0.4」、請求項6には「0.04<T/L<0.16」、請求項8には「0.28<ED×NA/MD<0.6」のパラメータ範囲が記載されているが、明細書には2つの実施例が記載され、上記した各パラメータ範囲に含まれる数値としては2組の特定値のみが開示されているに過ぎず、請求項に係る発明は明細書によって支持されていないと主張している。しかしながら、実施例は例示的なものであり、該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、明細書の開示内容に基づいてルーチンの実験若しくは分析方法から導出できるもの、又は、明細書の開示内容に周知技術を付加したものは、いずれも、明細書によって支持される範囲と認定すべきである。よって、請求項に係る技術内容は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明細書における好ましい実施例の開示に基づいて、ルーチンの実験で過度な実験を必要とせずに該パラメータの限定範囲にまで拡張できるので、請求項に係る発明の「範囲」が広すぎるため、請求項に係る発明が明細書によって支持されていないとは言い難い。」)

 

【留意事項】

 特許出願において、数値限定をした請求項が明細書にサポートされているかについて、重要な点は、通常の知識を有する者が明細書の開示方法に基づいて過度な実験を必要とせずに請求の範囲まで拡張できるかどうかにある。

■ソース
専利公報第39卷第30期発文字号第10121038350号
■本文書の作成者
知崇国際特許事務所 弁理士 松本征二
■協力
萬國法律事務所 鍾文岳
一般社団法人 日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2013.01.07

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