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(韓国)特許請求の範囲の「実質的に成る(consisting essentially of)」という記載が明確でないと判断された事例

2012年07月31日

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■概要
特許発明の請求項に「発明が明確で簡潔に記載されること」を要求する旧特許法(2007年1月3日法律第8197号に改正される前のもの、以下同じ)第42条第4項第2号は、請求項には明確な記載だけが許容され、発明の構成を不明瞭に表現する用語は原則的に許容されないという意味であり、これに照らしてみれば、特許請求項に記載された「実質的に成る(consisting essentially of)」という表現はその意味が不明であり、これは記載不備に該当する。
■詳細及び留意点

「癌関連抗原をコードする単離核酸分子、その抗原及びこれらの用途」という発明の名称を有する本件出願発明(PCT出願の国内移行出願)の請求項第1項は拒絶査定前は「・・・ヌクレオチド54~593に列挙されたヌクレオチドの配列を『含む』(韓国語「포함하는」)単離された核酸分子・・・」とされていたが、審査官による拒絶査定の後、原告は、不服審判を提起しながら上記の第1項の「含む」を「필수적으로 이루어지는(consisting essentially of)」(日本語の意味「実質的に成る」)」に補正した。前置審査官は上記の補正内容も不明確であるという趣旨の意見提出通知をさらに出したが、原告はこれについて追加の補正を行なわず、その後拒絶査定に対する審判及び訴訟手続きが開始された。特許法院が原告の主張を認容し、特許すべきとの決定を下すや、被告特許庁側はこれを不服として上告した。

 

大法院は、米国の場合特許発明の請求範囲解釈において特許請求項のうち、前提部と本体部などを連結する転換部用語を3種類に分けているところ、その3種類の連結部は開放形式(請求項に記載された構成要素とその他の追加構成要素を有することを権利範囲に含む記載形式)と解釈される「comprising」と、閉鎖形式(請求項に記載された構成要素以外の他の構成要素を含まない記載形式)と解釈される「consisting of」、その中間の「consisting essentially of」に区分していることを認めつつ、「韓国語部分の記載の場合、本来必須構成要素でのみ記載することになっている請求項に上記のように『成る』という表現に『実質的に』という単語を付加・維持することにより、『その構成要素が実質的にその請求項に記載された塩基配列だけから成る』という意味であるのか、それとも『その請求項に記載された構成要素が実質的に含まれ、その他の別の構成要素追加を許容する』という意味であるかが不明である」と判示した。

また、大法院は追加で、「本件出願発明の用途など内容、本件拒絶査定を前後にした何回かの意見提出通知及びその補正過程で示された出願人の考え方などに照らしてみれば、本件出願発明の請求範囲解釈と関連した第1項発明の係争部分は、米国式の特許クレームの開放形式か、少なくとも半開放形式である「consisting essentially of」を念頭に置いたものと見られるが、原告は原審においてはこれと異なり単純に「成る」の意味に過ぎないと主張しているところ、本件係争部分の英文部分として、このような原審における原告の主張と一見相反する米国式の特許請求項の半開放形式として理解される「consisting essentially of」が括弧して併記されており、むしろ塩基配列に対する本件出願発明の請求範囲に関して不明瞭な韓国語部分の意味を、さらに不明瞭にしているという理由で旧特許法第42条第4項第2号の明細書記載要件を具備しておらず、記載不備に該当する」と判示した。

 

【留意事項】

特許請求の範囲の記載において、韓国語として明確である必要があり、他言語では許容されている表現であっても、必ずしも明確とは認められないことに留意し、翻訳を行う必要がある。

■ソース
韓国大法院判決2007年10月11日付2007후1442
http://glaw.scourt.go.kr/jbsonw/jbsonc08r01.do?docID=3F935584E784F140E043AC100C64F140 特許法院判決2007年3月22日付判決2006허5751
http://glaw.scourt.go.kr/jbsonw/jbsonc08r01.do?docID=3D62C69AFEB96068E043AC100C646068 特許審判院審決2006年5月30日付2004원2564
http://dets.kipris.or.kr/ndets/SR/biblioRight.jsp?applno=2004101002564&rgstno=&ann=1019997002853&DMP=0&right=JM&kindOfReq=F&place=undefined&pub_fg=
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 中村敬子
特許庁総務部企画調査課 古田敦浩
■協力
崔達龍国際特許法律事務所
■本文書の作成時期

2012.07.04

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