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(中国)選択肢で表された請求項において共通の構成が発明の共通の性能又は作用に対して必須なものでない場合には、単一性を満たさないと判断され得ることを示す事例

2013年02月22日

  • アジア
  • 審決例・判例
  • 特許・実用新案

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■概要
本件においては、選択肢を有する化合物について特許を請求していたが、審判において、全ての化合物に共通の構造を有していても、この共通の構造が化合物の共通の性能または作用に対して必須なものでなければ、1つの総体的な発明思想に属さず、専利法第31条第1項に規定する単一性の要件を満たしていないと判断された。
■詳細及び留意点

 本件特許出願は、白血球結合性化合物の発明に関するものであり、化合物を選択肢で表してクレームに記載していた。

 中国特許庁審査部は、より一般的な形で化合物を特定していた請求項1に従属する請求項4に選択可能な形で列挙されていた化合物について、その共通の構成が公知となっていたことから、請求項4に係る化合物の間に同一のまたは対応する特別な技術的特徴がなく、1つの総体的な発明思想に属さず、単一性の要件を満たしていないとして拒絶した。

 これに対し、出願人は審判請求時に各化合物が-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys(NH 2 )-ε-(-Serという共通のアミノ酸構造を有する形に請求項1の記載を補正し、請求項1におけるこのような共通の構造により、請求項における単一性の要件は満たされるようになった旨主張した。

 しかし、特許庁審判部(中国語「专利复审委员会」)は、出願人の主張を採用せず、明細書中の比較例を見ると、このような共通の構造を有しない化合物においてもクレームされた化合物と同等程度以上の白血球との結合特性が示されていることから、白血球との顕著な結合活性は上記の共通のアミノ酸配列構造に必ずしもよらないとした。特許庁審判部は、このような請求項に係る化合物の共通の構造が発明において共通の性能または作用に不可欠とは言えない場合については単一性の要件を満たさないこととなると判断し、審査部の拒絶査定を維持する審決を出した。

 

参考(中国特許庁審判部拒絶査定不服審決2009年9月11日付第18930号より):

本案中,在权利要求1所要求保护的12个肽化合物中,所具有的共同氨基酸序列结构为-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys(NH 2 )-ε-(-Ser。然而根据本申请说明书以及对比文件1的描述,其中的甲酰-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys作为受体结合部分,其结构及其所对应的结合嗜中性粒细胞和单核细胞的功能已经是现有技术,不能构成上述肽化合物之间的特定技术特征。其次,根据本申请说明书第12页第4段以及说明书第29页第2-4行的描述,本申请通过在上述化合物中引入-Ser-,使本申请化合物获得与淋巴细胞和单核细胞的显著结合活性,使得肽与淋巴细胞和单核细胞的结合比粒性白细胞更强。然而说明书第29页的表3和第47页的表14却显示即使不存在-Ser-的对照肽肽12(甲酰-Met-Leu-Phe-Lys-ε-(-Gly-Asp-Ac-S-Bzl)),其同样具有与所有种类的白细胞,即嗜中性粒细胞、单核细胞和淋巴细胞的结合能力,甚至其与淋巴细胞和单核细胞的结合能力强于具有-Ser-的本申请权利要求1要求保护的肽6。由此可见权利要求1中这些化合物具有与所有种类的白细胞的结合能力并且具有与淋巴细胞和单核细胞的显著结合活性并不是由它们的共同氨基酸序列结构-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys(NH 2 )-ε-(-Ser所带来的,由本申请说明书中给出的内容不能得出权利要求1中的化合物的共同氨基酸序列结构-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys(NH 2 )-ε-(-Ser对于这些化合物的共同性能或作用是必不可少的结论。因此目前的权利要求1中这些可选择的化合物不具有相同的特定技术特征,不属于一个总的发明构思,不具备单一性,不符合专利法第31条第1款的规定。

(日本語訳(下記調査研究報告書より):本件において、請求項1に係る12種のペプチド化合物が有する共通のアミノ酸配列構造は、-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys(NH2)-ε-(-Serである。しかし、本願明細書及び引用文献1の記載により、そのうちのホルミル-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lysが受容体結合部分として、その構造及びそれに対応する好中球及び単球との結合機能が公知技術であり、上記ペプチド化合物の間の特別な技術的特徴とすることができない。そして、本願明細書第12頁第4段落及び明細書第29頁2~4行目の記載により、本願は、上記化合物に-Ser-が導入されることによって、本願化合物はリンパ球及び単球との顕著な結合活性が得られ、ペプチドとリンパ球及び単球との結合が顆粒性白血球よりも強固なものとなる。しかし、明細書第29頁の表3及び第47頁の表14には、-Ser-が存在しない比較例であるペプチドペプチド12(ホルミル-Met-Leu-Phe-Lys-ε-(-Gly-Asp-Ac-S-Bzl))であっても、同様に、あらゆる種類の白血球、すなわち、好中球、単球及びリンパ球との結合能力を有し、ひいては、そのリンパ球及び単球との結合能力が、-Ser-を有する本願請求項1が特許請求するペプチド6よりも強いことが示されている。これにより、請求項1に係るこれらの化合物があらゆる種類の白血球との結合能力を有すること、且つリンパ球及び単球との顕著な結合活性を有することは、それらの共通のアミノ酸配列構造である-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys(NH2)-ε-(-Serがもたらしたことではないことが明らかとなり、本願明細書に開示された内容から、請求項1に係る化合物の共通のアミノ酸配列構造である-Nle-Leu-Phe-Nle-Tyr-Lys(NH2)-ε-(-Serが、これらの化合物の共通の性能または作用に不可欠であるという結論に辿り着くことができない。したがって、現請求項1に記載のこれら選択可能な化合物は同一の特別な技術的特徴を有せず、1つの総体的な発明構想に属さず、単一性を欠いており、専利法第31条第1項に規定する要件を満たしていない。)

 

 なお、本文書の作成にあたっては、特許庁平成23年度産業財産権制度問題調査研究「発明の特別な技術的特徴を変更する補正及び発明の単一性の要件に関する調査研究」の翻訳を用いた。

 

【留意事項】

本来、単一性の要件は必要以上に厳しく求めるべきではない要件であるが、選択肢を含むクレームの記載においては、単一性の要件も考慮し、クレームにおいて共通する構成と明細書中の記載等との関係にも注意してクレームの作成・補正を行うべきである。

■ソース
・特許庁平成23年度産業財産権制度問題調査研究
 「発明の特別な技術的特徴を変更する補正及び発明の単一性の要件に関する調査研究」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/zaisanken.htm#5003 http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/pdf/zaisanken/2011_03.pdf ・中国特許庁審判部拒絶査定不服審決2009年9月11日付第18930号
・中国専利法
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 古田敦浩
■協力
北京林達劉知識産権代理事務所
■本文書の作成時期
2012.12.05
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