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韓国における特許製品の並行輸入

2016年03月11日

  • アジア
  • 審決例・判例
  • 特許・実用新案

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■概要
韓国では、並行輸入と特許権の消尽との関係について判断した事例は、ソウル地方法院東部支院1981年7月31日宣告第81GaHap466号(特許権侵害差止)判決のみである。この判決において、法院(日本における裁判所に相当。)は、国際的消尽を認め並行輸入の特許権侵害を否定する判決を下したが、この判決の立場が韓国の現在の状況に照らしても継続維持されるか否かは明確ではない。
■詳細及び留意点

【詳細】

 特許製品の並行輸入とは、外国で流通している真正品(特許権者の意思に基づいて適法に製作・流通された特許製品)を特許権者や権利者の許諾なく輸入する行為であり、並行輸入が特許権侵害を構成するか否かが問題となる。

 

 韓国では、ソウル地方法院東部支院1981年7月31日宣告第81 GaHap 466号(特許権侵害差止)判決が、法院が並行輸入と特許権の消尽との関係について判断した唯一の事例である。

 

 上記判決の事案において、原告は抗癌剤であるアドリアマイシン剤およびその製造方法について、イタリアと韓国で特許権を保有するイタリアに本社を置く製薬会社であり、原告はイタリアでアドリアマイシン剤の一種であるアドリブラスチナを自ら製造した後に、イタリア卸売商を経てスイス企業に販売した。被告は、抗生物質であるアドリブラスチナを輸入して韓国で販売していた韓国の製薬会社であり、原告が製造・販売したアドリブラスチナを原告の承諾なしに上記スイス企業から韓国に輸入、販売した。

 

 原告は、被告を相手取り自社の韓国特許侵害を主張し、訴訟を提起した。訴訟過程において原告は、各実施行為は特許の効力上互いに独立したものであり、登録された国別に特許権もそれぞれ独立したものであるので、たとえ原告がイタリアで特許権を行使して製造した後に販売したものであっても、原告の承諾なく被告がこれを国内に輸入、販売、配布する行為は原告の韓国特許侵害にあたると主張した。

 

 法院は、各国における特許権は互いに独立的し、個々の特許実施行為も互いに独立しているとしても、原告の本件特許権は原告が上記薬品を独占的に製造し、スイスに輸出することで既に行使され消尽し、その後の上記製品の流通・消費は原告の製造、販売行為に基づいて、その製品が実需要者に分配される過程に過ぎず、原告が関与する事情ではないとした。そして、上記薬品が適法に輸出された第三国から並行輸入業者である被告が再度輸入する場合にまで原告が追及権を行使することはできず、被告が特許権者の承諾なく第三国から上記特許製品を輸入したとしても、原告の特許権が侵害されたとみることはできないと判示した。

 

 さらに法院は、たとえ第三国に特許権者の特許登録がなされていないため、原告が上記製品を輸出し特許実施料を徴収する等の特許権を行使する機会がなかったとしても、少なくとも特許権者の手を離れた当該製品に関する限り特許権行使なく流通・消費されるであろうということを特許権者も容認したとみるのが妥当であると判示した。

 

 上記判決は国際的消尽を認め、並行輸入の特許権侵害を否定した立場に立っているものであるが、上記1981年下級審判決の立場が韓国の現在の状況に照らしても継続維持されるか否かについては明確ではない。

■ソース
・ソウル地方法院東部支院1981年7月31日宣告第81 GaHap 466号(特許権侵害差止)判決
■本文書の作成者
中央国際法律特許事務所
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.02.13
■関連キーワード
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