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インドにおける意匠権者による詐称通用の主張に関する判例

2016年03月22日

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■概要
インド意匠法には、コモンロー上の概念である詐称通用に対して、権利者を保護する規定が設けられていない。これまで、意匠権に基づく詐称通用に対しての訴訟を提起することができるか否かについて、裁判所は判断の異なる複数の判決を下してきたが、インドのデリー高等裁判所の大法廷は、意匠法に規定されていないものの、意匠権者は詐称通用に対しての訴訟を提起することができるとの判断を下した。
■詳細及び留意点

【詳細】

 本件は、デリー高等裁判所の大法廷が、意匠権侵害訴訟について判断を下した事案である。同裁判所はこれまで、意匠権者が詐称通用訴訟を提起できるか否かについて、判断の異なる複数の判決を下しており、裁判所としての判断を統一し、今後の判例法とするため、通常は1人の判事が審理するところを、3人の判事による合議制にて審理を行った。

  本件の背景としては、意匠法には、コモンロー上の概念である詐称通用に対して権利者を保護するための商標法にあるような規定がないことである。このため、意匠権者は、詐称通用に対して救済を得ることができなかった。また、意匠は、意匠法に基づき登録されると、商標として登録することができない。意匠法は独立した法規であり、「意匠」の定義はコモンロー上の権利には及ばないとされてきた。

  デリー高等裁判所はこれまでの考え方を否定し、意匠法には規定されていないものの、意匠に関して詐称通用に対する訴訟を提起することができると判示した。詐称通用に対する救済を受けるためには、原告が以下を立証しなければならない。

 (1)原告が提供する商品またはサービスに関連するのれん(goodwill)または信用が存在すること。すなわち消費者が、使用される商標(表装(get-up)、トレードドレス、図柄、パッケージ、ラベル等を含む)により、かかる商品またはサービスを識別できること。

 (2)被告による不実表示の結果、それを見た業界や消費者が被告商品の出所が原告である、あるいは原告商品と関連があると思い込んだという事実。この不実表示が意図的ではなかったとか、詐欺的意図はなかったという主観的な意図は詐称通用訴訟における抗弁とはならない

 (3)被告の行動が損害を生じさせたか、あるいは、損害を生じさせるよう計画されていること。

 

 裁判所は、物品には意匠法と商標法に基づく二重の保護が併存可能との見解を示した。ただし、同一の主題について、意匠と商標の両方を登録することはできない。しかし、ある物品を意匠として登録し、それを商標として使用することは可能である。したがって、意匠権者は、自らは当該意匠を商標として使用しており、それが保護する価値のあるのれんまたは信用を獲得したと主張することが可能である。

  裁判所は、登録意匠権者でも詐称通用に対する訴訟を提起することが可能であるとしたが、意匠権侵害訴訟と詐称通用に対する訴訟を一つの訴訟に併合することはできないと判示した。

■ソース
HIGH COURT OF DELHI CS(OS) 1446/2011
■本文書の作成者
Rouse & Co. International (India) Ltd.
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2015.01.05

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