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ロシアの知的財産関連機関・サイト

2020年06月18日

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■概要
ロシア憲法は、三権分立を採用しており、立法権は連邦議会、行政権は連邦政府、司法権は裁判所に属する。ロシアの知的財産と関連する公的機関について、立法機関、行政機関および司法機関とに分けて説明するとともに各機関のURLを示す。
■詳細及び留意点

1.立法機関

 ロシアの立法権は、連邦議会(http://www.duma.ru/)に属する。

 連邦議会は、連邦院(上院)と国家院(下院)の二院制を採用している。知的財産について規定する民法典も含め、すべての法案は両院の審理を経て可決し、かつ、可決後に大統領により署名されることにより成立する。

 

2.行政機関

(1)ロシア特許庁(ROSPATENT)(https://rupto.ru/en)

 ロシア特許庁は、ロシア経済発展省の管轄下にある行政機関であり、主な機能は以下のとおりである。

 ・知的財産権の保護および利用に関する手続の規定

 ・知的財産権の出願の審査の管理・監督並びに特許証・登録証の発行

 ・知的財産権、ライセンス契約および譲渡契約の登録並びにこれらの登録データの公開

 ・特許料および登録料の納付手続の管理および監督

 ・弁理士の認証および登録の実施並びにロシア連邦法上の要件遵守の管理

 

 上記の他、ロシア特許庁は、ソフトウェアおよびデータベース等の著作物に係る著作権登録も行っている。なお、当該著作権登録は任意である。

 

(2)連邦農業省(http://mcx.ru/

 連邦農業省は、動植物の新品種の登録等を行っている。

 

(3)連邦文化省(http://www.mkrf.ru/

 連邦文化省は、著作権・著作隣接権に関する政府方針の設定および法規の策定並びに著作権集中管理団体の認定および活動に対する管理・監督を行っている。

 

(4)連邦反独占庁(http://en.fas.gov.ru/

 連邦反独占庁は、独占禁止当局に係る機能、市場独占に係る活動の監視および広告に係る法令の遵守などに係る権限を有する機関であり、不正競争に関する事件を独自に審査し、行政処分を課すことができる。連邦反独占庁が下した行政処分(の決定)に対して不服がある場合は、裁判所に不服を申立てることができる。

 

(5)連邦税関庁(http://customs.ru/

 連邦税関庁は、ロシア政府の直接の管理下にある組織である。本部はモスクワにあり、その下に地域税関が8か所、直轄税関が8か所設けられている。

 税関は、知的財産権の侵害品を国境にて取締を行う権限を有しており、税関登録簿には商標権および著作権を登録することが可能である。特許権に関しては、税関登録簿への登録の対象とはなっておらず、特許権侵害品を監視する義務はない。

 税関は侵害疑義物件を発見したときは、所定の期間内、一時的に差押えをすることができるが、税関自体には処分権限はなく、侵害品の没収、廃棄等をするためには権利者からの求めに応じて税関が行政訴訟を提起するか、権利者自身が民事訴訟を提起し、裁判所の判決を得る必要がある。

 

(6)連邦内務省(https://mvd.ru/

 連邦内務省は、ロシア警察機関を有する組織であり、捜査権限を有する。警察は国内市場における知的財産権侵害行為の取締りを行うことができ、刑事取締りのみならず、行政違反法上の違反行為に対する取締りを行うこともできる。

 警察も税関と同様、処分権限はないため、処分等を行うためには裁判所に行政訴訟または刑事訴訟を提起し裁判所の判決を得る必要がある。

 

3.司法機関

 知的財産紛争を取り扱うロシアの連邦裁判所には、普通裁判所と商事裁判所との2種類がある。普通裁判所では、当事者の一方が自然人(個人)である場合の民事事件および行政事件を扱う。一方、商事裁判所は当事者の双方が法人または個人事業主の場合の民事事件および行政事件を扱う。刑事事件の場合は、被告が法人、個人事業主または自然人のいずれの場合も普通裁判所の管轄となる。

 いずれの裁判所も最高裁判所(http://vsrf.ru/)を頂点とする。2014年8月6日以前には、最高裁判所および最高商事裁判所が最高審であったが、2014年8月6日に最高商事裁判所が最高裁判所に統合された。

 知的財産紛争に関する各々の裁判所の審級は以下のとおりである。

 

(1)普通裁判所

 第一審     :治安判事裁判所/地方裁判所

 第二審(控訴審):地方裁判所

 第三審(破毀審):最高裁判所(幹部会)

 第四審(第二破毀審および監督審):最高裁判所

 

(2)商事裁判所

 第一審     :知的財産裁判所

 第二審(控訴審):控訴商事裁判所

 第三審(破毀審):知的財産裁判所

 第四審(第二破毀審および監督審):最高裁判所

 

 知的財産裁判所は、知的財産事件を専門的に審理する目的で2013年7月に創設された裁判所であり、第一審と第三審として知的財産事件を審理する。

■ソース
ロシア民法典第4部
JETRO(日本貿易振興機構)模倣対策マニュアル・ロシア編(2016年3月)
ロシア知的財産制度と実務(黒瀬雅志編著 経済産業調査会)
■本文書の作成者
西村あさひ法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2020.02.25

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