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タイにおける商標表示に際してのRマーク「®」の使用
2015年02月18日
■概要
登録商標であることを意味するRマーク「®」(Registered Trademark)がラベルや製品表示に使用されていることが多い。外国において登録済みの商標をタイで使用する際、タイにおいては登録前である商標にRマーク「®」を併用して表示し得るのかについて分析している。■詳細及び留意点
【詳細】
しばしば、ラベルや製品表示に「TM」あるいはRマーク「®」を目にする。一般的に、「TM」とは、商品名やロゴが、単なる記述的な一般語ではなく商標であることを意味し、Rマーク「®」はそれが登録商標であることを意味している。
タイ商標法においては、これらの記載について直接的に関わる条項は存在しないが、関連性のある条項として、タイ商標法第111条第1項が挙げられる。タイ商標法第111条 (1)登録されていない商標、サービスマーク、証明標章もしくは団体標章をタイで登録されているように表示した者、 (2)(1)に基づく商標もしくは証明標章を付した製品をその表示が虚偽であると知りながら頒布したかもしくは頒布のため所持する者、または (3)(1)に基づくサービスマーク、証明標章若しくは団体標章の下でその表示が虚偽であると知りながらサービスを提供したかもしくはその申出をした者に対しては、1年以下の禁固もしくは2万バーツ以下の罰金またはその両方を科する。「TM」もしくはRマーク「®」は必ずしもタイ国内での商標の登録状況を示すものではなく、「TM」もしくはRマーク「®」の使用そのものが第111条の抵触につながることはない。
したがって、商標出願の有無に関わらず、タイにおいては誰でも「TM」もしくはRマーク「®」を使用することが可能と考えられる。しかしながら、ここで問題としたいのは、外国において登録済みの商標をタイで使用する際、タイにおける登録前にRマーク「®」を併用して表示し得るかという点である。現在のところ、このような状況下での商標表示に対して、第三者が第111条に基づく申立を行った事案は見当たらないが、特に「registered trademark in Thailand(タイにおける登録商標)」といった文言を伴うような商標および「TM」もしくはRマーク「®」の使用があったとすれば、厳密には第111条第(1)項に抵触するものと判断される可能性がある。
それでは、Rマーク「®」の併用のみで使用する場合(文言は伴わない)には、タイ商標法第111条に抵触するものと判断されるのか。第111条は刑事犯罪に関する規定であり、「意図」も対象の行為に含まれる。ただしRマーク「®」のみが併用されている場合、これは単に登録商標を意味するものであり、タイにおける登録、あるいはこれを意図するものとは捉えられないことから、万が一、第三者から申立を提起された場合であっても、商標権利者(他国において)はかかる申立への抗弁が可能であると考えられる。
以上のことから、外国において登録済みの商標をタイにおいて使用する場合、Rマーク「®」のみを併用することは許容されると思われる。ただし、対象の商標が何れの国においても登録されていない場合には、虚偽記載とされる可能性があることから、Rマーク「®」を併用するべきではないと考えられる。
■ソース
・タイ商標法■本文書の作成者
Rouse & Co. International (Thailand) Ltd.■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研■本文書の作成時期
2014.12.24