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台湾におけるインターネット上の著作権侵害とノーティス・アンド・テイクダウン

2013年05月14日

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■概要
台湾では、インターネット上の著作権侵害行為について、インターネット・サービス・プロバイダ(以下、プロバイダ)は、ノーティス・アンド・テイクダウン手続により、ネット利用者の侵害行為について賠償責任を免れることができる。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1)ノーティス・アンド・テイクダウン

(ⅰ)必要性

 一般的にネット利用者による著作権侵害について、プロバイダの責任の範囲が不明確であるが、インターネット上の著作権侵害の被害は急速に広がることから、プロバイダに適切な対応を行わせる必要がある。そこで、所定の行動を行うことを条件に、ネット利用者による著作権侵害についてプロバイダの賠償責任を免責するノーティス・アンド・テイクダウンの規定が著作権法に設けられている。

(ⅱ)概要

 プロバイダを4つの類型に分けて定義し(第3条第1項第19号)、第90条の4第1項で定める行為を行うプロバイダがノーティス・アンド・テイクダウンの適用対象となる。賠償免責の条件はプロバイダの種類ごとに規定されている(第90条の5-第90条の8)。賠償免責の条件に従って侵害物を削除されたネット利用者から削除された物の回復を求める規定があり(第90条の9)、事実に反して権利侵害又は回復請求を通知した場合の損害賠償責任も規定されている(第90条の11)。

(ⅲ)プロバイダの定義

 台湾著作権法におけるプロバイダは以下の4つのタイプがあり、それぞれ以下のように説明できる(著作権法第3条第1項第19号)。

 

接続サービス・プロバイダ

管理運営するシステム又はインターネットにより、情報の送受信等を行い、その過程において情報を暫定保存する業務の提供者。

キャッシング・サービス・プロバイダ

管理運営するシステム又はインターネットにより、情報を仲介・蓄積し、蓄積情報を再び要求された際に配信してネット利用者が迅速に情報を得られるようにする業務の提供者。プロキシサーバなど。

ホスティング・サービス・プロバイダ

管理運営するシステム又はインターネットにより、ネット利用者の要求に応じて情報を保存する業務の提供者。オークションサイトなど。

検索サービス・プロバイダ

ネット利用者に関連するコンテンツの索引、参照若しくはリンクの検索又はリンクサービスなどの業務の提供者。

 

(ⅳ)適用されるプロバイダの条件

 定義に該当するプロバイダがノーティス・アンド・テイクダウンの適用対象となるには、以下の行動を行っていることが必要である(著作権法第90条の4)。

 

①契約、電子送信、自動探索その他の方法により、著作権又は製版権保護の措置を利用者に告知し、保護措置を確実に実施していること。

②契約、電子送信、自動探索その他の方法により、3回の権利侵害で、全部又は一部のサービスを終了することを利用者に告知していること。

③通知の連絡窓口情報を発表していること。

④第3項の一般認識又は技術的保護を実施していること。

 

(ⅴ)著作権者等に対する免責条件

 プロバイダがネット利用者の著作権侵害について賠償責任を免れるために行う措置について、プロバイダの種類ごとに定められている(著作権法第90条の5-第90条の8)。

 

接続・サービス・プロバイダ(第90条の5)

①送信情報が利用者による請求等によるものであること。②情報の送信、リンク又は保存が自動的に行われ、接続サービス・プロバイダが送信情報の選択・修正を行っていないこと。

キャッシング・サービス・プロバイダ(第90条の6)

①情報改変をしていないこと。②情報提供者が自動保存される元の情報を修正・削除等をする際、自動的に同一処理を行っていること。③利用者による権利侵害の通知を著作権者又は製版権者から受けた際、迅速に権利侵害物を削除又は遮断したこと。

ホスティング・サービス・プロバイダ(第90条の7:①-③、第90条の9:④)

①利用者の権利侵害行為があることを知らないこと。②利用者の権利侵害行為により直接財産上の利益を得ていないこと。③利用者による権利侵害の通知を著作権者又は製版権者から受けた際、迅速に権利侵害物を削除又は遮断したこと。

④上記③の処理状況を、提供サービスの性質上通知できない場合を除き、利用者と約定した連絡方法等により、権利侵害したとされる利用者に連絡する。同通知を受けた利用者から権利侵害を否認し、削除等された情報の回復を請求された場合、著作権者等に回復請求の通知を転送する。著作権者等が10営業日以内に訴訟を提起すれば、削除等した情報を回復する義務はない。提訴がない場合、転送後14営業日以内に回復させなければならない。

検索サービス・プロバイダ(第90条の8)

①サーチ又はリンク情報が権利侵害であると知らないこと。②利用者の権利侵害行為により直接財産上の利益を得ていないこと。③利用者による権利侵害の通知を著作権者又は製版権者から受けた際、迅速に権利侵害物を削除又は遮断したこと。

 

(ⅵ)ネット利用者に対する免責条件

 ノーティス・アンド・テイクダウンの適用を受けるために、著作権侵害物の削除又は遮断をプロバイダが行ったことについて、侵害物を削除等されたネット利用者から責任追及されないようになっている。ネット利用者は以下の行為について、プロバイダに対して責任追及をすることができない(著作権法第90条の10)。

 

①キャッシング・サービス・プロバイダ、ホスティング・サービス・プロバイダ、検索サービス・プロバイダが、権利侵害したとする物を削除又は遮断した行為

②インターネット・サービス・プロバイダが、利用者の行為が権利侵害であると知った後、権利侵害したとする物を善意により削除又は遮断した行為

 

(ⅶ)その他の規定

 台湾著作権法は、プロバイダによるノーティス・アンド・テイクダウンに規定する行為関連して、以下の規定も用意している(著作権法第90条の9第2項:①、第90条の11:②)。

 

①著作権者等から権利侵害の通知を受けている旨の通知をホスティング・サービス・プロバイダから受けたネット利用者は、侵害行為を否認すると共に、削除等された物の回復をホスティング・サービス・プロバイダに求めることができる。

②故意又は過失により、プロバイダに対して事実と異なる権利侵害の通知(例えば、著作権者の名を騙り通知する場合)又は回復請求(例えば、他人の著作物を自分の著作物と偽って回復を請求する場合)を行い、ネット利用者、プロバイダ、著作権者等に損害を与えた場合は、損害賠償責任を負う。

 

(3)ノーティス・アンド・テイクダウンの流れ

 

ノーティスアンドテイクダウンの流れ

ノーティスアンドテイクダウンの流れ

 インターネット上で著作権侵害行為を発見した場合、証拠を保存すると共に、プロバイダに対して、著作権等の権利者の氏名等、連絡先等、侵害された著作物の名称などの情報を記載した通知を行い(インターネット・サービス・プロバイダにおける民事免責事由実施方法第3条)、権利侵害物を削除するように求める。プロバイダが侵害物を削除すれば著作権侵害の免責がなされ、削除しなければ著作権侵害の免責はない。

 プロバイダのうち、接続サービス・プロバイダに対しては、情報の削除を要求できない。接続サービス・プロバイダは接続サービスを提供しているだけで、権利侵害物の削除又は遮断を行う立場にないからである。

 

【留意事項】

・インターネット上の著作権行為については、訴訟に備えて公証人にウェブページの公証を依頼することが考えられる。

・ノーティス・アンド・テイクダウンの手続は、プロバイダにインターネット上の侵害物を削除させるものであるが、民事訴訟法に基づいて仮処分を申立て、侵害行為の差止めを求めることもできる。

■ソース
•台湾著作権法
•Regulations Governing Implementation of ISP Civil Liability
Exemption(インターネットプロバイダ民事免責に係る施行規則)
http://law.moj.gov.tw/Eng/LawClass/LawContent.aspx?PCODE=J0070042 http://law.moj.gov.tw/LawClass/LawContent.aspx?PCODE=J0070042 •台湾民法
•台湾刑法
■本文書の作成者
聖島国際特許法律事務所(作成:2012年11月6日)
特許庁総務部企画調査課 根本雅成(改訂:2013年7月8日)
■協力
一般財団法人比較法研究センター 木下孝彦
■本文書の作成時期

2013.07.08

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